プレスリリース 2009.10.07

日本野鳥の会が、「シマフクロウ」の生息地47.6ヘクタールを購入
シマフクロウのための野鳥保護区は5箇所に
知床地方/浜中地域に野鳥保護区設置は はじめて

2009.10.07

 (財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数:約5万人)は、当会名誉顧問の持田勝郎氏(もちだかつろう・東京都杉並区)からの寄付金をもとに、2009年2月にシマフクロウの生息地としては、4箇所目となる知床地方の山林を購入した。また、2009年10月には5箇所目となる浜中地域の山林を購入した。各購入地は寄付者のお名前を冠した「持田野鳥保護区シマフクロウ知床」「持田野鳥保護区シマフクロウ浜中」とし恒久的に保全する。今後も継続して、シマフクロウの生息地を購入し、野鳥保護区を拡大していく。今回の保護区を含め、当会が野鳥保護のために設置した保護区は合計29箇所、面積は2671.2haになった。

購入した土地について

持田野鳥保護区シマフクロウ知床
知床地方の山林、面積15.1ha(151,476m2)。今回購入した土地は、シマフクロウの生息地の一部である。なお、具体的な場所や地名は、シマフクロウ保護上伏せている。国内のシマフクロウの総つがい数40つがいの4割は民有林等で法的な保護指定がなく、伐採による生息環境の悪化などの恐れがある。シマフクロウの生息する知床地方は、半島部を国立公園や世界自然遺産として保護されているが、内陸部は一部が国有林等で保護されているのみで、法的な保護がされていない。当会では、知床半島からシマフクロウの分散の足がかりとなるこの地域を対象に野鳥保護区設置を進めている。なお、この購入地の周辺では、1つがいの繁殖が確認されている。

持田野鳥保護区シマフクロウ浜中
浜中地域の山林、面積32.5ha(324,510m2)。今回購入した土地は、根室地方から釧路地方への続く、シマフクロウの分散のルート上に位置し、これまで1つがいの繁殖が確認されていた重要な地域である。浜中地域にはラムサール条約等で保護されている霧多布湿原などがあるが、山林に関しては法的な保護がされていない地域が残っている。シマフクロウの釧路方面への更なる分散を考えると、この地域の山林の確保は重要であることから、今回の保護区の設置に至った。また、購入地においては、シマフクロウ1羽が数年前から定着し、2008年から繁殖が確認されている。

寄付者のプロフィール

持田勝郎(もちだかつろう)氏は、当会名誉顧問で、1987年に根室市内のタンチョウの営巣地、2004年、2005年に根室市内、2007年に日高地方のシマフクロウの生息地を購入した際にもご寄付をいただいた。

日本野鳥の会 野鳥保護区事業について

 野鳥の生息地の保全を目的として、当会では、1986年から「野鳥保護区」を拡大している。これまでに北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に29ヶ所、2670.9haを買い取りや協定により確保してきた。また、タンチョウ営巣地の買い取りで一定の成果が得られたため、2004年からタンチョウに続き、シマフクロウの生息地の買い取りもはじめた。現在、野鳥保護区の総面積は、東京ディズニーランドが52個入る大きさで、国内の自然保護団体が設置した保護区としては最大級の面積である。
設置後は、環境省はじめ関係行政や専門家と連携して、当会職員が、調査や管理、巡回監視に当たる。
なお、土地の買い取りについては会員の方をはじめとする方々からの寄付を財源としている。

シマフクロウ Ketupa blakistoni blakistoni について

 シマフクロウは極東地域に狭い分布域を持ち、我が国では、北海道および北方領土に生息する。全長70㎝、翼を広げると約180cmの世界最大級のフクロウである。河川および湖沼で魚類やカエルなどを捕食し、広葉樹の大木の樹洞に営巣する。20世紀初頭までは、北海道全域に分布していたが、森林伐採による営巣木の減少と河川改修によるエサの魚類の減少等により、現在、北海道東部を中心に約40つがい130羽ほどが生息しているに過ぎない。その約半数が知床に生息し、残りが日高地域、根室、十勝地域に生息している。知床地域以外では何らかの人による手助けにより生息が維持されている状態がほとんどである。釣り人や心無い撮影者などにより、採食や営巣が妨害されている生息地もある。人間の生活圏に近い場所では交通事故や感電事故に遭って死んだり、生息地が分断・孤立化していることにより、繁殖地から巣立った若い個体がうまく分散することができず、近親交配が起こりやすい状態にある。

<シマフクロウの保護指定状況>

  • 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法) 「国内希少野生動植物種」
  • 文化財保護法 「天然記念物」
  • 改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物‐レッドデータブック‐ 2 鳥類 「絶滅危惧IA類(CR)」
  • IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト 「EN C2a(i)」

財団法人日本野鳥の会について

 自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体である。全国5万人の会員・サポーターの方が、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えている。

  • 創設:1934年
  • 創設者:中西悟堂
  • 支部:全国90支部

<野鳥や自然を大切に思う心を伝える>

  • 全国11ヶ所のサンクチュアリやバードプラザを訪れる年間約30万人の方に、野鳥や自然のすばらしさを伝えている。
  • 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えている。
  • バードウォッチングの指導・案内のできる人材の育成を進めている。

<野鳥や自然を守る>

  • 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として保全している。現在、保護区の面積は、29ヶ所、2671.2haで、自然保護団体としては国内最大級である。
  • 鳥類の生息地として、保全が急がれる場所を明確にするため、国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(IBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っている。

<特定公益増進法人です>

日本野鳥の会は、特定公益増進法人に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対して所得控除や損金算入が設定されている。

同時発表先

環境省記者クラブ

本件についての問合せ先

財団法人日本野鳥の会 野鳥保護区事業所 0153-25-8911 090-3008-9659 担当:松本潤慶、富岡辰先


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[PDF] 「シマフクロウ」の生息地47.6ヘクタールを購入に関するプレスリリース