プレスリリース 2011.11.11_02

 11月11日、当会とWWFジャパン、日本自然保護協会の3団体は、細野豪志環境大臣、輿石東民主党陳情要請対策本部長に対し、自然保護、生物多様性保全に関わる立場から、環境省・地方環境事務所の事務・権限の地方行政組織への移譲に反対する旨の要望書を提出いたしました。

自然保護団体3団体による
地方環境事務所の地方移管に関する要望について

 11月11日、全国的な自然保護団体である世界自然保護基金ジャパン(WWF Japan)、日本自然保護協会、公益財団法人日本野鳥の会の3団体は、細野豪志環境大臣、輿石東民主党陳情要請対策本部長に対し、環境省・地方環境事務所の事務・権限の地方行政組織への移譲に反対する旨の要望書・意見書を提出いたしました。
要望は自然保護、生物多様性保全に関わる立場から、それぞれ、国立公園の管理や野生動物の広域的な保護・管理の業務等について、地方移管をせず、引き続き地方環境事務所で行うことを求めています。それぞれの団体の要望内容は、別紙のとおりです。

記者会見出席者:
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン
(WWF Japan;会長:德川恒孝、個人サポーター数:4万人)

公益財団法人日本自然保護協会(理事長 田畑貞寿、会員数:2万2千人)

公益財団法人日本野鳥の会(理事長 佐藤仁志、会員・サポーター数:約5万1千人)

当会からの要望書

日野鳥発4 6 号
平成 23 年11 月11 日

環境大臣
細野 豪志 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志

地方環境事務所の地方移管に関する要望書の提出について

 平素より、当会の活動につきまして、ご理解ご協力をいただき深謝しております。
 さて、国では地方環境事務所の地方移管について、検討が進められていると聞き及んでいます。地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域社会をつくっていくといった地域主権改革については、異議のないところです。
 しかしながら、国が責任を持って対応すべき国立公園や国指定鳥獣保護区等の業務は、単純に地方へ移管すべきものではないと考えます。野生鳥獣は人の決めた行政の境界にかかわりなく生活し、中には国境さえも越えて移動をする種が少なくありません。それらの保護対策は、生息地を共有する諸国の責務であり、その実施に際しては国際連携と国が責任を持って保護するといった法制度の堅持が不可欠です。また、全国的な情報集約や省庁間の連携が重要も重要です。
 従って、地方環境事務所が現在行なっている業務の内、このような観点に照らし合わせ、国としての取り組みが必要な業務については、地方に移管されることなく、引き続き国が責任をもって推進していく体制を維持されるよう、別紙のとおり要望いたします。

(本件連絡先)
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
公益財団法人 日本野鳥の会 自然保護室
葉山 政治
TEL 03-5436-2633 fax 03-5436-2635

日野鳥発4 7 号
平成 23 年11 月11 日

民主党陳情要請対策本部
本部長 興石 東 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志

地方環境事務所の地方移管に関する要望書の提出について

 平素より、当会の活動につきまして、ご理解ご協力をいただき深謝しております。
 さて、国では地方環境事務所の地方移管について、検討が進められていると聞き及んでいます。地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域社会をつくっていくといった地域主権改革については、異議のないところです。
 しかしながら、国が責任を持って対応すべき国立公園や国指定鳥獣保護区等の業務は、単純に地方へ移管すべきものではないと考えます。野生鳥獣は人の決めた行政の境界にかかわりなく生活し、中には国境さえも越えて移動をする種が少なくありません。それらの保護対策は、生息地を共有する諸国の責務であり、その実施に際しては国際連携と国が責任を持って保護するといった法制度の堅持が不可欠です。また、全国的な情報集約や省庁間の連携が重要も重要です。
 従って、地方環境事務所が現在行なっている業務の内、このような観点に照らし合わせ、国としての取り組みが必要な業務については、地方に移管されることなく、引き続き国が責任をもって推進していく体制を維持されるよう、別紙のとおり要望いたします。

(本件連絡先)
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
公益財団法人 日本野鳥の会 自然保護室
葉山 政治
TEL 03-5436-2633 fax 03-5436-2635

(別紙)

地方環境事務所の地方移管に係る要望書

現在、地方環境事務所が行なっている以下の業務については、引き続き国の責務として継続し、地方環境事務所が中心となって、国と地域の連携のもとに野生生物の保護行政を推進されたく要望する。

1.ラムサール条約湿地等国際的に重要な野生生物生息地の保護に関する業務

ラムサール条約登録湿地の多くは、国際条約履行の責務として国指定鳥獣保護区に指定されその保護が図られている。また、国指定鳥獣保護区は、国境を超えて移動する渡り鳥の、国際的なネットワークを確保する上でも重要な役割を果たしている。
これら、国際的に重要な生息地の指定・管理・環境の保全等の業務は、引き続き国が責任をもち、地方環境事務所が担っていくべきである。

2.タンチョウやシマフクロウ等広域での取り組みや省庁間の連携のもとに行われている

 希少種の保護対策事業野生生物の種の絶滅を防ぐことは、生物多様性条約に加盟しているわが国の国家的な責務である。絶滅のおそれのある野生動植物種については、種の保存法により希少野生動植物指定や、保護増殖事業、生息地等保護区の設置等が行われている。
 保護増殖事業においては、タンチョウの本州への越冬地分散のように、都道府県をまたぐ広域圏における、利害関係の調整を含む取り組みが必要なものがある。また、シマフクロウのように、農林水産省や国土交通省など複数の省庁の連携のもとに行われている事業もある。こうした事業の円滑な遂行のためには、国としてリーダーシップを発揮できる体制を堅持するとともに、地方環境事務所の機能を最大限に発揮し、地域と密着した保護対策が望まれる。

3.鳥インフルエンザに関する業務

 近年、高病原性鳥インフルエンザの発生頻度が高まってきている。地方自治体においては、養鶏業を守るため防疫を中心とした対応が行われるが、鳥インフルエンザの防疫のためには、野鳥の動態に関する全国的・国際的な情報集約に基づいた素早い対応が必要であり、国レベルの対応が不可欠である。
 野鳥の死亡を受けて設定される野鳥重点監視区域の設定は、環境省が行うこととされており、そのためには地方環境事務所による情報収集や、年々変化していくウイルスの病原性等にも即応した専門的な知見に基づく調査・分析が不可欠である。

4.国立公園の管理や指定に関する業務

 自然公園法に基づく自然公園は、わが国の生物多様性を保全するための屋台骨として極めて重要な役割を担っている。中でも、特にわが国を代表する優れた自然の風景地を国が指定する国立公園は、優れた景観とともに野生動植物の生育・生息地として非常に重要な地域となっている。こうした国家として重要な地域については、科学的データの整備とこれに基づく管理水準の設定・評価を行い、適正な保護管理を行うことが生物多様性国家戦略において求められている。
 また、海洋保護区等の海洋における生物多様性の保全は、昨年開催された生物多様性条約締約国会議における主要なテーマであり、その積極的な追加指定等は、生物多様性条約COP10議長国としての重要な責務である。昨年度新たな制度として設けられた海域公園は、今後国際的・全国的な視野から、従来の海中公園からの変更や追加指定が必要であり、地域と密着した地方環境事務所による業務の推進が望まれる。

5.広域に移動し時に害を及ぼす恐れのある野生鳥獣対策業務

 カワウやツキノワグマなど、都道府県を越えて広域に移動し、農林水産業へ被害を及ぼす野生鳥獣については、生物多様性国家戦略において、関係都道府県の間の連携と、整合性が図られた保護管理の推進が求められている。関係都道府県間での利害調整や、広域連合の範囲を越えた管理や対策が必要とされることから、広域に移動し時に害を及ぼす恐れのある野生鳥獣については、環境省の出先機関である地方環境事務所が、地域の特性に応じた適切な対応を行うことが望まれる。

以上