プレスリリース 2012.09.07

2012年9月7日

世界で初めて、トモエガモの渡りルートを解明

 加賀市と(公財)日本野鳥の会は、2012年1月より、トモエガモの渡りルート調査に着手し、世界で初めて、そのルートを解明した。絶滅危惧種トモエガモは、分布が極東アジアのごく狭い範囲に限られ、日本国内の分布域も狭いことから、これまで渡りのルートや繁殖地はわかっていなかった。(公財)日本野鳥の会は、トモエガモの国内最大の越冬地・片野鴨池で捕獲した個体に衛星用発信機を装着し追跡することで、同種が中国とロシアの国境、アムール川流域を経由し、北極圏に到達するまでのルートを解明した。今後、渡りの中継国(ロシア・中国・韓国)と連携し、国際協力による保護活動の実現が期待できる。

トモエガモについて Baikal Teal (Anas formosa) 

絶滅危惧Ⅱ類(VU)
 全長40cmほどの小型のカモで、ロシア極東部で繁殖し、日本、韓国、中国で越冬する。過度の狩猟圧などのため激減し、一時期は推定総個体数75000羽まで減少したが、その後韓国での越冬個体が増加し、現在の推定個体数は50万羽とされる。しかし、日本で越冬する個体数は回復しておらず、依然として絶滅が心配される。日本で越冬するトモエガモの約半数が石川県加賀市の片野鴨池に飛来する。ここには、日本野鳥の会のレンジャーが管理運営を担う、加賀市鴨池観察館があり、トモエガモの保護を進めている。


解明された渡りルート

 2012年7月初めまでに4個体中2個体の渡りルートを追跡した。個体(ID113087)は4月8日に渡りを開始し、10日にはアムール川に近い中露国境付近で確認され、5月16日まで約1か月間同地点に滞在した。その後は移動を繰り返し、6月10日に東シベリア海から内陸に100㎞ほど入ったフロムスカヤ湾のフロマ川河口部の湿地帯に到達した。個体(ID113085)も類似しており、6月18日にインディギルガ川河口部の湿地帯に到達した。両個体とも、7月12日時点でも、それぞれの最終到達地に滞在しており、その周辺が繁殖地である可能性が高い。



調査方法

 加賀市の伝統猟法である投げ網猟「坂網猟」をもちいて4個体を捕獲し、重量9.5gの太陽電池式送信機solar PTT-100(Microwave 社製)を装着、放鳥した。送信器は10 時間送信/48 時間休止と10 時間送信/24 時間休止の2通りの送信間隔を各2台ずつ、計4台に設定した。


今後の保護活動の展望

 トモエガモの渡りの中継地・繁殖地を明らかにすることで、中国やロシアの重要な湿地が特定でき、現地の関係者を通じた国際協力による保全の実現と、同種の渡り・繁殖に関する生態など新たな知見が得られることが期待できる。

【本件のお問合せ先】
〒922-0564 石川県加賀市片野町子2-1
加賀市鴨池観察館 電話:0761-72-2200 FAX:0761-72-2935
kamoike@wbsj.org