プレスリリース 2013.04.05
2013年4月5日
日本野鳥の会のツバメ全国調査2013
~「ツバメの子育て状況調査」をスタートしました~
(公財)日本野鳥の会(会長:柳生博,会員・サポーター数:約5万人)は、近年減少傾向にあるといわれているツバメの現状を明らかにし、その背景にどのような原因があるのか把握することを目的に、昨年広く全国に呼びかけて、ツバメの目撃調査を行いました。その結果、全国各地から「ツバメが減ってきている」という声が寄せられました。同時に、人による巣の撤去や天敵であるカラスの影響などの情報も多数寄せられ、ツバメの子育てが難しくなっていることが減少の一因である可能性も見えてきました。
そこで今年は、ツバメの子育てがどのくらい成功しているのか、どんな理由で失敗しているのかを明らかにすることを目的に、広く全国に呼びかけてツバメの子育ての調査を行います。
昨年の調査結果を受けて、「ツバメの子育て状況調査」を実施します!
昨年のアンケート結果で多くの方が感じているツバメの減少を、ツバメの繁殖の状況を調べることによって明らかにします。そのため、今年のツバメ全国調査では、インターネット上に専用サイト「ツバメの子育て状況調査」を立ち上げます。
このサイトでは、参加者に継続して同じ巣を観察いただき、ツバメの子育ての状況を観察日記のように記録していただくことができます。その記録から巣立ちヒナ数や、繁殖に失敗した場合はどの繁殖ステージで失敗したのか、失敗の原因は何かの情報を収集し、それを元にツバメが減少傾向にあるのかを調べます。
また、より多くの方に気軽に参加いただけるよう、スマートフォンにも対応しています。
引き続き、「わたしの町のツバメ情報」調査を継続して全国的な状況を把握します!
昨年度、全国からツバメの目撃情報が寄せられましたが、首都圏や愛知県、大阪府といった大都市圏から寄せられた情報が多く、逆にツバメの生息に適していると考えられる農村部からの情報が少ない傾向にありました。今年も引き続き目撃情報を集め、農村部で実際にツバメの繁殖が少なくなっているのかをデータを積み上げることで調べます。
ツバメは私たちにとって最も身近な鳥のひとつであり、人と自然の共存を示すバロメーターでもあります。市民の皆さんの関心も高く、昨年の調査も大きな反響をいただきました。今年の「ツバメの子育て状況調査」も、広く全国から多くの方に参加いただき、ツバメの子育ての現状を明らかにしたいと考えています。ツバメの巣を観察できる方なら、どなたでも気軽に参加できますので、報道各位におかれましては、どうぞ広く告知いただきますよう、お願い申し上げます。
【本件に関するお問い合わせは】
公益財団法人 日本野鳥の会
担当:自然保護室 葉山政治 [email protected]
会員室 篠木秀紀 [email protected]
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2632 FAX:03-5436-2635 http://www.wbsj.org
「ツバメの子育て状況調査」の特徴
- 観察する巣が地図上に登録されるため、正確な位置がわかり、周辺環境との関係を見ることができます。
- 1巣あたりの巣立ちヒナ数を全国的に把握することができます。
- 繁殖に失敗した場合の原因やそのステージを知ることができます。
- パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットでも気軽に参加でき、全国からの情報を得やすくしています。
- 楽しんで参加いただけるように、全国から寄せられたツバメの巣の情報をリアルタイムで共有することができます。
URL:http://tsubame.torimikke.net/
検索:「日本野鳥の会 ツバメをまもろう」または「ツバメの子育て状況調査」


参考資料
- 2012年度ツバメ全国調査について
- ツバメについて
- 公益財団法人日本野鳥の会について
1.2012年度ツバメ全国調査について
(1)調査方法
この調査は、ツバメの置かれている状況を、インターネットや配布したツバメ小冊子等を通じて情報を集めました。
広く一般に参加を呼びかける「わたしの町のツバメ情報(一般目撃調査)」と、主に当会会員から情報提供をいただく「ツバメの営巣環境調査(詳細調査)」に分かれています。「わたしの町のツバメ情報」はどなたでも参加できる調査で、ツバメの目撃や営巣、周辺の環境について情報を募るアンケート形式の調査となっています。「ツバメの営巣環境調査」では、ツバメの営巣状況の把握と併せて、放射性物質がツバメに影響を与えているかどうかを調べました。
※調査項目については、調査用紙を参照のこと
(2)全国から寄せられたツバメ情報について
全国から8,402件の情報が寄せられました。この情報を元に集計を行うとともに、郵便番号レベルで位置の特定できた回答6,787件(一般目撃調査)と1,535件(詳細調査)について地図化を行いました(図1)。今回47都道府県すべてから情報が寄せられましたが、特に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏からの回答が多く得られました。

(2)調査結果
1)ツバメの分布域について
全国から寄せられた「わたしの町のツバメ情報(一般目撃調査)」の回答者のうち99%がツバメを確認し、86%が営巣を確認していました(図2)。また今回、ツバメの生息が確認された地点と鳥類繁殖分布調査(環境省 2004)の結果を重ね合わせ比較したところ、ほぼ同様の分布であり、特にツバメの分布が縮小している傾向は認められませんでした(図3)。ツバメは、本来の生息地である里地里山の他、都市部などでも広く見られていることが分かりました。

2)ツバメの生息数について
繁殖期の分布は大きな変化は見られませんでしたが、「最近(10年間)ツバメは増えた?減った?」の設問に対しては、回答者のうち39%が、ここ10年間でツバメが少なくなってきていると感じていることが明らかになりました(図4)。ツバメの分布域は大きくは変わらないものの、個体数は多くの地域で減少している可能性が示唆されました。

3)ツバメの減少要因について
ツバメ減少の要因について、自由表記で回答のあった情報を集計すると、カラスによる影響が296件、また糞で汚れるなどの理由から巣が人の手で落とされている事例が216件と上位に挙がってきました(表2)。これを地図に示してみると、この2つの要因は都市近郊で多く見られました(図5、6)。
この結果は都市部から寄せられた情報が多かったことも影響していると思われますが、今後は、詳細な繁殖率の調査などが必要でしょう。カラスについては、都市部では人の出すゴミを餌として増えているといわれています。人を頼りに渡ってくるツバメが、私たちの生活様式の変化や受け入れる人側の心の変化で、子育てがうまくいかなくなっている現状が浮き彫りとなってきました。


2.ツバメについて
ツバメは、全長17㎝程度、長く切れ込みの入った尾羽が特徴。ユーラシア大陸と北米の広い範囲で繁殖して、冬には熱帯に渡って過ごします。日本では種子島以北の日本全土に夏鳥として渡来します。北海道では南部をのぞき、数は少ない傾向があります。
ツバメはめったに地上に降りることはなく、(ハチ、ハエ、アブ、トンボなど)の昆虫を空中で飛びながら捕食します。また、飛びながら水面をひっかくように口を開けて水を飲みます。
繁殖期は4月から8月で、一夫一妻で年に1回から2回繁殖をします。ひなは巣立ち後、数日間は巣の近くにいて、親鳥から餌をもらいます。2週間ほどたつと、親鳥から離れて、水辺のヨシ原などで、集団で夜を過ごすようになります。この集団ねぐらは数千~数万羽になることもあります。東京近郊では6月中旬ごろから集団ねぐらに集まるようになり、7月下旬~8月上旬が最大になります。8月頃から10月頃に東南アジアに渡っていきます。
3.公益財団法人 日本野鳥の会について
※詳しくは当会ホームページをご参照ください
自然と人が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国約5万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。
- 会長:柳生博 会員、サポーター約5万人
- 創設:1934年
- 創始者:中西悟堂
- 連携団体:全国90団体
- 1970年 財団法人に改組。
- 2011年4月 「公益財団法人日本野鳥の会」として登記
<野鳥や自然を大切に思う心を伝える普及活動>
- 自然観察の森など、全国9ヵ所の自然系施設に訪れる、年間約30万人のビジター対して野鳥や自然の素晴らしさを伝えています。
- 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。
- 野鳥や自然のすばらしさを伝える雑誌や小冊子を発行しています。
<野鳥や自然を守る保護活動>
- タンチョウ、シマフクロウ、カンムリウミスズメなど絶滅の恐れのある野鳥の保護と生息地の保全を行っています。
- 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として生息地の保全を進めています。現在、野鳥保護区の面積は33か所、2937.8haで、自然保護団体としては国内最大級です。
- 国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(ⅠBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っています。
<公益財団法人に登記>
- 日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し、「特定公益増進法人」として税制上の優遇措置が設定されています。







