プレスリリース 2016.01.14
行徳野鳥観察舎存続の要望書を千葉県知事及び県行政改革審議会会長
宛に提出しました
公益財団法人 日本野鳥の会
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数4万6千人)は、1月14日に行徳野鳥観察舎施設の存続と機能の維持を求める要望書を千葉県知事及び県行政改革審議会会長宛に提出しました。
本会は、都立東京港野鳥公園、市立横浜自然観察の森など全国の自治体から7つの自然系施設を指定管理や委託で受け、管理運営を行っています。特に東京港野鳥公園では、東京湾の自然系施設のネットワークとして行徳野鳥観察舎との交流も深く、今回の休館及び廃止の検討に関しては大変驚いている次第です。
行徳での保全活動は、日本の自然保護運動の先駆的なものであり、その拠点施設の観察舎は、千葉県のみならずアジアの生物多様性保全に欠くことのできない施設であると考えています。
<要望書提出先>
千葉県知事、千葉県行政改革審議会会長
【問い合わせ先】
(公財)日本野鳥の会
施設運営支援室推進室 TEL:03-5436-2625 /FAX:03-5436-2635
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル http://www.wbsj.org/
担当:大畑
日野鳥発第100号
平成28年1月14日
千葉県知事
森田 健作 様
公益財団法人日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
行徳野鳥観察舎存続に関する要望について
日頃より、自然環境保全行政に関し、ご尽力いただき感謝申し上げます。
さて、貴県は昨年12月10日に行徳野鳥観察舎(以下「観察舎」という。)を、12月28日から休館にするとともに、観察舎を廃止する方針を発表されました。このことに関し、私たち自然保護関係者は大きなショックを受けました。また、多くの県民のみなさまも驚かれたことと思います。
行徳鳥獣保護区には、淡水の池から汽水域・干潟・ヨシ原など、多様な環境が存在しており、高い生物多様性を有する希少な自然環境がみられます。とりわけ、都市近郊においては、貴重な存在と言えます。このことは、昭和50年の造成以来ここで記録された野鳥が約250種に及び、毎年約120種が観察されていることからも明らかです。
保護区の一画には、関東有数のカワウの.コロニーを抱え、冬には多くのカモ類やカモメ類、タカ類が出現します。海面部は水門で東京湾とつながっており、ボラやスズキ・ハゼ類・ウナギなどが回遊し、泥質干潟にはトビハゼやヤマトオサガニなど絶滅の恐れのある貴重な生物も生息しています。
また、当会が国際的な基準により選定した重要野鳥生息地(Important Bird Areas)の一つである東京湾奥部の中核をなす重要な場所であり、シギ・チドリ類を中心とした渡り鳥にとって、大変貴重な場所となっています。
行徳野鳥観察舎は、以上のべたような優れた自然を守り活用していくために欠かすことのできない施設であることから、当会は、当該施設の存続と機能の維持を強く要望いたします。
(補足説明)
【観察舎は自然保護運動のシンボル】
行徳鳥獣保護区は東京湾の奥、市川市の市街地にある56haの人工湿地帯である。かつてこの地域は浅瀬や干潟が広がり、日本でも有数の水鳥飛来地であった。しかし、高度経済成長期に東京湾岸の埋め立てが進み、ほとんどの干潟環境が消失した。そうした中「野鳥の生息環境を守ろう」と自然保護運動が起き、結果として埋立地に造成されたのがこの保護区であり観察舎である。この経緯は、日本の自然保護運動の中では先駆的なものであり、自治体の事業としても特筆に値するものである。
【観察舎の維持管理は重要な公共事業】
廃止の理由の一つに「公の施設として管理する必要性が低い」とあるが、自然環境の保全や市民が自然と触れ合う場所の確保などの公共の福祉に資する事業は、公共が担うべき重要な公共事業である。
また、環境の保全は、公共が率先して取り組むべき課題であり、観察舎が行なっている調査・普及啓発・環境管理などの活動は、市民が自然と触れ合う場の提供というサービスを裏から支える部分であり、採算の取れる事業ではなくとも、公的な支持が不可欠な事業である。
【観察舎は市民ボランティアの活動拠点】
当初は草もまばらな荒地だった保護区には池や棚田が造成され、生活排水を水源とする淡水湿地が形成されている。富栄養な生活排水は、湿地を流れる間に多くの植物・生物を育て、やがてそれらが水鳥の餌となる。池を通った水は最終的に保護区の海面に注ぎ、淡水から汽水、海水へとつながる環境を作り出し、水辺環境の創出・水の浄化・水鳥誘致を目指している。
こうした環境復元事業は調査、普及、環境管理のバランスがとれており、市民ボランティアの主体的な参加があり、千葉県民や周辺住民にとって自然環境について学ぶ貴重な機会を提供しており、生物多様性条約COP10で定めた愛知ターゲットの目標1「人々が生物多様性の価値と行動を認識する」ことを広めるためにも重要であり、それらの拠点施設が野鳥観察舎である。
観察舎には望遠鏡など観察機材が備えられ、野鳥に関する図書室や剥製などの展示室、環境学習講座を開催する視聴覚室などがある。個人での来訪者はじめ、学校教育など団体の利用では、観察舎は不可欠の施設となっており、暑い季節や寒い季節、悪天候の場合など、室内学習にも利用できる利便性がある。
【観察舎は東京湾自然系施設ネットワークの重要メンバー】
当会が指定管理者として関わる東京都立東京港野鳥公園では、東京湾に関わる自然系の施設間で様々な交流や情報交換を行ってきている。観察舎もその自然系施設の一つであり、ネットワークの重要なメンバーである。今後、ますます交流を活発にし、東京湾の保全に資していきたいと考えており、観察舎の活動に大いに期待している。
以上







