プレスリリース 2019.12.05

生物多様性と農業政策研究会
(日本自然保護協会、日本野鳥の会、世界自然保護基金ジャパン
ラムサール・ネットワーク日本、オリザネット)

環境NGO「食料・農業・農村基本計画」に
自然環境保全機能の発揮を明記すべきと意見書提出

 本計画のもとになる食料・農業・農村基本法は、食料の安定供給の確保と農業・農村が有する多面的機能の発揮が、農業・農村が果たす役割であり、農業の持続的な発展と農村の振興を農業政策の基本理念として位置づけています。多面的機能は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観、文化の伝承など、農業・農村が、国民生活及び国民経済の安定に果たす、食料供給以外の重要な役割とされています。農業と生物多様性は密接な関わりがあり、農業の営みによって形成された二次的自然を好む多くの動植物が生息生育することを可能にし、「里地里山」として自然環境保全上も重要視されています。

 しかし、不適切な農薬・化学肥料の使用や、経済性や効率性を優先した農地・水路・ため池などの整備・管理などによって、生物多様性は顕著に劣化してきています。かつて農業地域に当たり前に生息していたホタルや、メダカ、タナゴ、アキアカネなどの赤トンボ、トノサマガエルなどの多くの生物が環境省レッドリストに掲載されるなど、絶滅の危機が懸念されています。

 このような状況に対して、現状の「食料・農業・農村基本計画」には生物多様性保全に向けた十分な記述がなく、これまでの食料・農業・農村政策審議会企画部会での議論や、各方面での議論の中でも、多面的機能とりわけ自然環境、生物多様性保全の議論はほとんどありません。

 そこで、環境NGO5団体が中心となる「生物多様性と農業政策研究会」では、12月5日、今年度改訂予定の「食料・農業・農村基本計画」に対し、農業・農村における生物多様性の保全と回復に向けた考え方と施策を盛り込み、自然環境保全機能の発揮を明記すべきとの意見書を提出しました。


●意見書の主な主張:

意見書の主な主張は以下のとおりです。

  1. 自然環境保全を含む多面的機能は、農業が行われれば自動的に生じるものではなく、食料・農業・農村基本計画に、自然環境保全を含む多面的機能発揮の施策を明記する。
  2. 食料・農業・農村基本計画に農林水産省生物多様性戦略を反映する。
  3. 生物多様性保全のための関係省庁の連携を推進する。
  4. 持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)の、特に、経済、社会、環境の3側面の調和を図るという考え方を基本計画に導入する。
  5. 環境に配慮しない農地維持活動や施設の寿命化など、自然環境保全機能の劣化の拡大が懸念される項目の改善、生態系保全活動の促進など多面的機能支払制度を見直す。
  6. 環境保全型農業直接支払制度の予算規模や、適応範囲を拡大する。
  7. 全国で行われている土地改良事業において環境配慮を進めるために、大幅な改善を図る。

●生物多様性と農業政策研究会とは:

2018年11月より、欧米の農業政策と生物多様性や、国内の農業環境政策などの事例研究を行う目的で、公益財団法人日本自然保護協会、公益財団法人日本野鳥の会、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン、NPO法人ラムサール・ネットワーク日本、NPO法人オリザネットの5団体が中心に開催されている研究会。

本件に関するお問い合わせ先

【NPO法人オリザネット】
担当:斉藤・古谷  Tel:048-973-6360 / メール:oryzanet@ybb.ne.jp
その他、意見書に掲載の各団体担当者