プレスリリース 2016.03.31
≪情報掲載のお願い≫ 日本野鳥の会
「おさんぽ鳥図鑑」 無料プレゼントについて
日本野鳥の会は、身近で見られる野鳥、24種類を紹介した、初めての方向けの無料冊子『おさんぽ鳥図鑑』を2016年4月1日(金)に発行し、ご希望の方に無料でプレゼントいたします。
野鳥観察を通して、身近な自然に目をむけていただきたい、守りたいという気持ちが芽生えればという思いを込めてつくりました。
趣味としてバードウオッチングをはじめてみたい方、バードウオッチングはしたいけどやり方がわからない方等にぜひご応募をいただきたく、本件の告知にご協力くださいますようお願い致します。
■冊子の概要

「おさんぽ鳥図鑑」
- 【内容】
- 身近な野鳥24種類をからだの大きさによって「スズメの大きさ」、「ムクドリの大きさ」、「ハトの大きさ」、「カラスの大きさ」の4つに分けて紹介。かわいい野鳥のイラストとともに野鳥の種類をみわけるポイントを解説しています。また、掲載されている全ての野鳥の鳴き声をYouTubeでも公開しており、どなたでもお聞きいただけます。
- 【サイズ】
- はがきサイズ 全22ページ
- 【応募方法】
- 1氏名 2性別 3郵便番号 4ご住所 5電話番号 6メールアドレスをご記入
の上、メールかFAX、郵便(宛先以下)でお申し込みください。
掲載いただけます場合には、お手数ですが、下記担当までご一報くださいますようお願い致します。
以上、ご検討の程、何卒よろしくお願い申しあげます。
この件に関するお問い合わせ先:
公益財団法人 日本野鳥の会 (会長:柳生博、会員・サポーター数:約5万人、事務所:東京都品川区)
普及室 [担当:植月] まで
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2622/FAX:03-5436-2635/e-mail:nature@wbsj.org
プレスリリース 2016.02.16
(仮称)羽田連絡道路に関する協議会設置の要望書を提出しました
当会は、世界自然保護基金ジャパンと日本自然保護協会の3者連名で、(仮称)羽田連絡道路に関して情報を公開し、議論を行う協議会設置を求める要望書を提出しました。
2016 年2月15日
内閣総理大臣 安倍晋三 様
国土交通大臣 石井啓一 様
神奈川県知事 黒岩祐治 様
東京都知事 桝添要一 様
川崎市長 福田紀彦 様
大田区長 松原忠義 様
羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会 座長 和泉洋人 様
公益財団法人 日本野鳥の会
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン
公益財団法人 日本自然保護協会
(公印省略)
(仮称)羽田連絡道路に関する協議会設置の要望書
多摩川河口干潟の(仮称)羽田連絡道路に関し、「多摩川河口干潟に影響を及ぼす羽田連絡道路の建設に対する意見書」を2014年11月17日付けで各機関に提出しました。しかし、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会や川崎市は、道路建設推進に関する一般住民に対する情報公開を行っておらず説明責任を果たしていません。多摩川河口干潟は、東京湾に残る貴重な干潟で、渡り鳥にとっても重要な生息地です。国家戦略特区として、事業を進めるには事業全体の必要性を含めた、多様な関係者との議論を行う事は最重要と考えますので以下の要望をします。
- (仮称)羽田連絡道路の事業全体に関する目的および将来構想、予算、各事業主体(責任の所在)、スケジュールに関する情報を公開し、議論出来る協議会を設置する事を提案します。
- 協議会において、道路建設に関する環境配慮と自然再生の責任の所在を明らかして下さい。
- 協議会は、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会において設置し、関係機関、各分野の専門家、NGO、市民など多様な主体が議論、情報公開を行える十分な期間と透明性をもった場にして下さい。
(理由)
東京湾に残る干潟は過去の10%程度しか残存していません。多摩川河口干潟は、東京湾に残存する河口干潟としては塩性植物群落が残る唯一の場所です。多くの渡り鳥や、底生生物が生息する場所は、日本の玄関口である羽田空港の直近という立地では奇跡的です。
その干潟の中央部に建設される予定の(仮称)羽田連絡道路は、京浜臨海部基盤施設検討会など数回にわたる行政内組織で検討された経緯があります。しかし、事業全体の目的や環境配慮、代替案検討、ゼロミッション検討、予算、都市計画、道路ネットワークなどの問題点は、十分な情報公開が無く、議論の内容も不明であります。また市民意見の聴取も行われた形跡もありません。
上記協議会において十分な議論と情報公開、意見聴取を行う事が必要と考えます。
将来の東京湾の生物多様性維持のためにも十分な議論の期間を取り、市民やNGOなどの合意形成を図る事が重要と考えます。
以上
<本件に関する連絡先>
(公財)日本野鳥の会 自然保護室 TEL.03-5436-2633(担当:葉山・山本)
(公財)世界自然保護基金ジャパン 自然保護室 TEL.03-3769-1713 (担当:前川)
(公財)日本自然保護協会 保護・研究部 TEL.03-3553-4103(担当:志村)
プレスリリース 2016.01.14
行徳野鳥観察舎存続の要望書を千葉県知事及び県行政改革審議会会長
宛に提出しました
公益財団法人 日本野鳥の会
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数4万6千人)は、1月14日に行徳野鳥観察舎施設の存続と機能の維持を求める要望書を千葉県知事及び県行政改革審議会会長宛に提出しました。
本会は、都立東京港野鳥公園、市立横浜自然観察の森など全国の自治体から7つの自然系施設を指定管理や委託で受け、管理運営を行っています。特に東京港野鳥公園では、東京湾の自然系施設のネットワークとして行徳野鳥観察舎との交流も深く、今回の休館及び廃止の検討に関しては大変驚いている次第です。
行徳での保全活動は、日本の自然保護運動の先駆的なものであり、その拠点施設の観察舎は、千葉県のみならずアジアの生物多様性保全に欠くことのできない施設であると考えています。
<要望書提出先>
千葉県知事、千葉県行政改革審議会会長
【問い合わせ先】
(公財)日本野鳥の会
施設運営支援室推進室 TEL:03-5436-2625 /FAX:03-5436-2635
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル http://www.wbsj.org/
担当:大畑
日野鳥発第100号
平成28年1月14日
千葉県知事
森田 健作 様
公益財団法人日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
行徳野鳥観察舎存続に関する要望について
日頃より、自然環境保全行政に関し、ご尽力いただき感謝申し上げます。
さて、貴県は昨年12月10日に行徳野鳥観察舎(以下「観察舎」という。)を、12月28日から休館にするとともに、観察舎を廃止する方針を発表されました。このことに関し、私たち自然保護関係者は大きなショックを受けました。また、多くの県民のみなさまも驚かれたことと思います。
行徳鳥獣保護区には、淡水の池から汽水域・干潟・ヨシ原など、多様な環境が存在しており、高い生物多様性を有する希少な自然環境がみられます。とりわけ、都市近郊においては、貴重な存在と言えます。このことは、昭和50年の造成以来ここで記録された野鳥が約250種に及び、毎年約120種が観察されていることからも明らかです。
保護区の一画には、関東有数のカワウの.コロニーを抱え、冬には多くのカモ類やカモメ類、タカ類が出現します。海面部は水門で東京湾とつながっており、ボラやスズキ・ハゼ類・ウナギなどが回遊し、泥質干潟にはトビハゼやヤマトオサガニなど絶滅の恐れのある貴重な生物も生息しています。
また、当会が国際的な基準により選定した重要野鳥生息地(Important Bird Areas)の一つである東京湾奥部の中核をなす重要な場所であり、シギ・チドリ類を中心とした渡り鳥にとって、大変貴重な場所となっています。
行徳野鳥観察舎は、以上のべたような優れた自然を守り活用していくために欠かすことのできない施設であることから、当会は、当該施設の存続と機能の維持を強く要望いたします。
(補足説明)
【観察舎は自然保護運動のシンボル】
行徳鳥獣保護区は東京湾の奥、市川市の市街地にある56haの人工湿地帯である。かつてこの地域は浅瀬や干潟が広がり、日本でも有数の水鳥飛来地であった。しかし、高度経済成長期に東京湾岸の埋め立てが進み、ほとんどの干潟環境が消失した。そうした中「野鳥の生息環境を守ろう」と自然保護運動が起き、結果として埋立地に造成されたのがこの保護区であり観察舎である。この経緯は、日本の自然保護運動の中では先駆的なものであり、自治体の事業としても特筆に値するものである。
【観察舎の維持管理は重要な公共事業】
廃止の理由の一つに「公の施設として管理する必要性が低い」とあるが、自然環境の保全や市民が自然と触れ合う場所の確保などの公共の福祉に資する事業は、公共が担うべき重要な公共事業である。
また、環境の保全は、公共が率先して取り組むべき課題であり、観察舎が行なっている調査・普及啓発・環境管理などの活動は、市民が自然と触れ合う場の提供というサービスを裏から支える部分であり、採算の取れる事業ではなくとも、公的な支持が不可欠な事業である。
【観察舎は市民ボランティアの活動拠点】
当初は草もまばらな荒地だった保護区には池や棚田が造成され、生活排水を水源とする淡水湿地が形成されている。富栄養な生活排水は、湿地を流れる間に多くの植物・生物を育て、やがてそれらが水鳥の餌となる。池を通った水は最終的に保護区の海面に注ぎ、淡水から汽水、海水へとつながる環境を作り出し、水辺環境の創出・水の浄化・水鳥誘致を目指している。
こうした環境復元事業は調査、普及、環境管理のバランスがとれており、市民ボランティアの主体的な参加があり、千葉県民や周辺住民にとって自然環境について学ぶ貴重な機会を提供しており、生物多様性条約COP10で定めた愛知ターゲットの目標1「人々が生物多様性の価値と行動を認識する」ことを広めるためにも重要であり、それらの拠点施設が野鳥観察舎である。
観察舎には望遠鏡など観察機材が備えられ、野鳥に関する図書室や剥製などの展示室、環境学習講座を開催する視聴覚室などがある。個人での来訪者はじめ、学校教育など団体の利用では、観察舎は不可欠の施設となっており、暑い季節や寒い季節、悪天候の場合など、室内学習にも利用できる利便性がある。
【観察舎は東京湾自然系施設ネットワークの重要メンバー】
当会が指定管理者として関わる東京都立東京港野鳥公園では、東京湾に関わる自然系の施設間で様々な交流や情報交換を行ってきている。観察舎もその自然系施設の一つであり、ネットワークの重要なメンバーである。今後、ますます交流を活発にし、東京湾の保全に資していきたいと考えており、観察舎の活動に大いに期待している。
以上
プレスリリース 2015.11.13
2015年11月13日
四国地方に飛来した絶滅の恐れのあるナベヅル、マナヅルの緊急保護のため、
四国4県に要望書を提出しました
本年10月下旬より四国地方に絶滅の恐れのあるナベヅルが150羽以上(11/11 約240)飛来しています。このような規模の集団渡来は稀であり、越冬地保全が叫ばれている昨今、その保護対策が急務であることから、四国4県に対して、
- 飛来地での銃猟、河川への夜間の立入り、カメラマンや見物客の過度の接近防止対策などについての協力
- 地元猟友会、内水面漁業組合連合等関係者への周知
を要請しました。
(理 由)
ナベヅルは、かつては全国に飛来していましたが、乱獲や圃場整備等による湿田の減少等によって、現在は国内外でも非常に限られた地域にしか飛来していません。鹿児島県出水地方では保護施策により1万羽以上が越冬するようになりましたが、世界のナベヅルの約9割が集中していることにより、重篤な感染症が発生した場合に絶滅の危険があることが問題となっています。環境省や自治体、自然保護団体等によって、国内で複数箇所の越冬地の形成が進められていますが、警戒心が強いため、飛来しても、銃猟による銃声や落ち鮎漁等での河川への夜間の立入り、カメラマンや見物客の過度の接近により定着が阻害され、ほとんど越冬に至っていないのが現状です。
ツルは寿命が長く、越冬できた場所は学習すると考えられています。今回の越冬が成功すれば、大規模な新しい越冬地が形成される可能性が高まります。
【要望書提出先】
徳島県、香川県、愛媛県、高知県
【要望団体】
- 公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万人)
- 公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、事務局:東京、会長:徳川恒孝、個人サポーター:約4万3千人、法人サポーター:約420社)
- 公益財団法人日本自然保護協会(事務局:東京、理事長:亀山章、会員数2万4千人)
- 日本ツル・コウノトリネットワーク(会長:金井裕)
- 四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク(代表:中村滝男)
【要望書】
別紙参照
【本件問い合わせ】
(公財)日本野鳥の会自然保護室 担当:伊藤加奈、葉山政治
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
TEL/FAX:03-5436-2633/2635 Eメール:[email protected](伊藤) http://www.wbsj.org
平成27年11月6日
徳島県知事 飯泉嘉門様
香川県知事 浜田恵造様
愛媛県知事 中村時広様
高知県知事 尾﨑正直様
公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
公益財団法人日本自然保護協会 理事長 亀山 章
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン 会長 徳川 恒孝
日本ツル・コウノトリネットワーク 会長 金井 裕
四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク 代表 中村 滝男
四国に飛来するツル類の緊急保護対策について
平素から、ツル類など野鳥の保護につきましては、ご理解とご協力を賜り深謝しております。
すでにご承知のこととは思いますが、本年10月下旬より四国各地でナベヅルの飛来が多数確認されており、高知県四万十川下流域では現在150羽以上の大規模な群れがみられます。このような規模の集団渡来は稀であり、越冬地保全が叫ばれている昨今、下記の理由によりその保護対策が急務と考えます。
そこで、飛来地での銃猟や河川への夜間の立入り、カメラマンや見物客の過度の接近防止対策などについて、ご理解とご協力をいただきますよう緊急に要請いたします。
つきましては、狩猟期の直前に唐突なお願いで大変恐縮ですが、別紙に示す配慮事項について、貴県下の猟友会、内水面漁業協同組合、関係機関等に周知していただきたく、お願い申し上げます。なお、落ち鮎漁などのため、現に使用されているツルのねぐらを保全することが困難な場合、代替地の保全整備等について、地域の実情に詳しい自然保護団体等と協議して取り組んでいただきますよう、併せてお願いいたします。
記
ナベヅルは、冬季に日本の水田地帯に飛来する絶滅の恐れのある鳥類で、かつては全国に飛来していましたが、乱獲や圃場整備等による湿田の減少等によって、現在は国内外でも非常に限られた地域にしか飛来していません。鹿児島県出水地方では長年継続した保護施策により、1万羽以上が越冬するようになりましたが、世界のナベヅルの約9割が当地に集中していることにより、重篤な感染症が発生した場合に絶滅の恐れが高いことなどから、一極集中は大きな問題となっています。
そこで、出水地方以外に複数箇所の越冬地を確保することが重要との観点から、環境省や関係自治体、自然保護団体等が協力して新たな越冬地形成にむけて努力しているところです。しかしながら、非常に警戒心が強いため、飛来があっても銃猟による銃声や、落ち鮎漁等での河川への夜間の立入り、カメラマンや見物客の過度の接近等により定着が阻害され、ほとんど越冬には至っていないのが現状です。特に、飛来して間もない期間は警戒心が強くなります。
ツル類は寿命が長く、一度越冬できた場所は学習すると考えられています。これほどの大規模な群れの飛来は過去にほとんど例がないため、今回の越冬が成功すれば、国内最大の自然な越冬地が形成されることになります。
(添付資料)
・別紙 ツル類保護に必要な配慮事項と対象地域
【問合せ】
公益財団法人日本野鳥の会自然保護室 葉山政治、伊藤加奈
東京都品川区西五反田3-9-23
電話/Fax:03-5436-2633/2635 Eメール:[email protected]
【四国のツル情報についての問合せ】四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク 代表 中村滝男
〒781-0270 高知市長浜4964-11 公益社団法人生態系トラスト協会内
電話/Fax:088-841-5400 Eメール:[email protected]
ツル類保護に必要な配慮事項と対象地域
1.配慮事項
(1)銃猟の自粛
銃声に驚いて飛去してしまうので、ツルの飛来地域周辺での銃猟はご遠慮ください。
(2)ねぐらとなる河川、ため池等への立入りの自粛
夜間(日の入~日の出1時間後)はツルがねぐらとして利用していますので、河川敷や中州に立ち入らないでください。
(3)その他
ツルは非常に警戒心が強いので、ツルを見かけたら200~300mの距離を保つようにしてください。200~300m以内でツルと出会ってしまったら、車の場合は、そのまま通りすぎてください。ツルを見ようとして止まったり、車内から出ると、ツルが警戒して飛び去ることがあります。徒歩の場合は、可能であれば迂回を、無理であれば走ったり、急な動きはせずに、通行してください。
2.対象地域
(1)徳島県
・海陽町海部川下流域及び周辺水田
・阿南市那須川下流域及び周辺水田
・阿波市吉野川流域及び周辺水田
(2)香川県
・丸亀市南部ため池群及び周辺水田
・三豊市高瀬川河口域及び周辺水田(三豊海岸)
・高松市南部ため池群及び周辺水田
(3)愛媛県
・四国中央市関川河口域及び周辺の水田地帯
・西条市加茂川・中山川河口域及び周辺の水田地帯
・愛南町広見
・西予市宇和町宇和盆地
(4)高知県
・四万十市四万十川下流域、中筋川下流域及び周辺の水田地帯
・宿毛市小筑紫町福良川下流域及び周辺の水田地帯
・南国市及び香南市物部川下流域及び周辺の水田地帯
※上記地域以外にツル類が飛来した場合はこの限りではありません。
※飛来地の詳細につきましては、下記までお問い合わせください。
【各地のツル情報の問合せ】
・日本野鳥の会徳島県支部(徳島県)
電話:0886-33-0180 Fax:0886-32-0170
・日本野鳥の会香川県支部(香川県)
電話:090-9458-4414(矢本)
・日本野鳥の会愛媛(愛媛県)
電話/Fax: 089-923-3081
・四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク(高知県)
電話/Fax:088-841-5400 Eメール:[email protected]
3.期間
2015年11月~2016年3月末
4.ナベヅル、マナヅルについて
(1)ナベヅル(Grus monacha)
ロシア南東部、中国東北部の高原の湿地帯で繁殖する。つがいごとになわばりをもち、最大2個の卵を産む。秋になると、その年に生まれた幼鳥と共に西日本、韓国南部の水田地帯に渡り、越冬する。日本には、10月~3月に渡来する。
越冬地では、主に穀類の落ち穂や植物の種子、昆虫、小型の水生生物を食べる。開けた空間を好むので、干拓地のように広い水田地帯が多いが、周南市八代のような盆地の水田も利用する。
基本的に冬も家族単位でなわばりをもって行動する。環境条件によって数十羽の群れを形成する場合もある。夜間は、水深10~20センチ程度の河川の中州や干潟の干出部、湿地、ため池等でねぐらをとる。

図1 ナベヅル 成鳥
図2 ナベヅルの家族(左から幼鳥、成、成、幼)
・全長 約100㎝
・世界の推定個体数 約12,000羽
・日本における主な生息地
鹿児島県出水市(約10,000羽)
長崎県諫早市 (約40羽)
山口県周南市八代(約10羽)
・IUCNレッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
・環境省レッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
・日ロ渡り鳥条約
・日中渡り鳥協定
・ワシントン条約附属書Ⅰ
・種の保存法 国際希少野生動植物種
・文化財保護法 特別天然記念物
「鹿児島県のツルおよびその渡来地」
「八代のツルおよびその渡来地」
(2)マナヅル (Grus vipio)
ロシア、中国、モンゴルの国境を流れるアムール川やウスリー川流域の湿原で繁殖する。越冬地は、西日本、朝鮮半島の非武装地帯、中国南部の湖沼。日本には、11月~2月に渡来する。開けた環境を好むため、干拓地のように広い水田地帯に飛来する。冬の生態はナベヅルと同様。両種がゆるやかな群れを作り、一緒に行動することがある。ナベヅルより湿潤な環境を好むとされている。

図3 マナヅル 成鳥
図4 マナヅルの家族(左から成鳥、幼、成、幼)
(環境省資料より抜粋)
・全長 約127㎝
・世界の推定個体数 約6,000羽
・日本における主な生息地
鹿児島県出水市(約3,000~3,500)
長崎県諫早市(約20羽)
熊本県玉名市(約30羽)
佐賀県伊万里市(10羽以下)
・IUCNレッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
・環境省レッドリスト 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
・日ロ渡り鳥条約
・日中渡り鳥協定
・ワシントン条約附属書Ⅰ
・種の保存法 国際希少野生動植物種
・文化財保護法 特別天然記念物
「鹿児島県のツルおよびその渡来地」
プレスリリース 2015.11.13
2015年11月13日
鉛弾の使用規制強化を求める要望書を提出
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数約5万人)は、環境大臣宛に、猛禽類保護の観点から狩猟及び鳥獣害被害対策での銃猟における鉛弾の使用の規制強化を求める要望書を提出しました。
要望事項
- 狩猟及び鳥獣害対策における鉛弾の使用の禁止をすすめること。
- 当面、行政が行う指定管理鳥獣捕獲等事業においては、鳥獣の放置の場合に限定せず鉛弾の使用を禁止すること。
- 当面、業として捕獲を行う認定鳥獣捕獲等事業者による捕獲において鉛弾の使用を禁止すること。
- 保護収容または死体回収された猛禽類の鉛中毒検査の実施を行うこと。
理由
今年の5月から施行されている「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(以下、鳥獣保護管理法という。)では、第2種特定鳥獣管理計画の策定やシカ、イノシシを指定管理鳥獣に指定するなど全国的に捕獲の圧力を高める改定が行われています。また、環境省みずから「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を開催するなど、狩猟による捕獲を推し進める施策を行ってきています。これらによって、今後全国的に銃猟の増加が想定され、このことは野外に残される鉛弾の全国的な増加を引き起こす可能性があります。 北海道では、鉛中毒により死亡するオジロワシ・オオワシが多いことから、平成16年の狩猟期より原則として鉛弾の使用規制を行っており、さらに平成26年よりエゾシカを捕獲する目的での鉛弾の所持を禁止する措置をとっています。一方、環境省では平成12年より一部地域を鉛散弾使用禁止区域に設定しているに過ぎません。
北海道では、2003年に初めてクマタカでも鉛中毒が確認されています。また、本州でも2012年に諏訪市で感電死したクマタカの胃内容物から、大量のシカの毛が確認されています。オジロワシ・オオワシは北海道を中心に生息していますが、クマタカは全国的に生息しており、これらのことは今後銃猟に伴う鉛中毒が全国に拡大する可能性を示唆しています。
鳥獣保護管理法では、捕獲した死体の放置は禁止されていますが、重いシカの死体の場合、利用されない部分が放置されるケースが多いと考えられます。またその場から逃げて、離れた場所で死亡する個体もあり、それらを食べたクマタカなどの猛禽類やクマなどの獣類が、鉛中毒になることが懸念されることから要望するものです。
シカの個体数管理に先進的に取り組んでいる北海道が、鉛弾対策にも先進的に取り組んでいる事例は、生物多様性保全と獣害対策の両立が可能な好事例考えます。国においても積極的な取り組みを求めるものです。
本件に関するお問い合わせは
公益財団法人 日本野鳥の会
担当:自然保護室 葉山政治 [email protected]
伊藤加奈 [email protected]
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2633 FAX:03-5436-2635 http://www.wbsj.org
日野鳥発 第72号
平成27年11月13日
環境大臣 丸川珠代 殿
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
東京都品川区西五反田3-9-23
鉛弾の使用規制の強化を求める要望書
狩猟及び鳥獣害対策等における鉛弾の規制に関して以下の要望をいたします。
- 狩猟及び鳥獣害対策における鉛弾の使用の禁止をすすめること。
- 当面、行政が行う指定管理鳥獣捕獲等事業においては、鳥獣の放置の場合に限定せず鉛弾の使用を禁止すること。
- 当面、業として捕獲を行う認定鳥獣捕獲等事業者による捕獲において鉛弾の使用を禁止すること。
- 保護収容または死体回収された猛禽類の鉛中毒検査の実施を行うこと。
理由
今年の5月から施行されている「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(以下、鳥獣保護管理法という。)では、第2種特定鳥獣管理計画の策定やシカ、イノシシを指定管理鳥獣に指定するなど全国的に捕獲の圧力を高める改定が行われています。また、環境省みずから「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を開催するなど、狩猟による捕獲を推し進める施策を行ってきています。これらによって、今後全国的に銃猟の増加が想定され、このことは野外に残される鉛弾の全国的な増加を引き起こす可能性があります。 北海道では、鉛中毒により死亡するオジロワシ・オオワシが多いことから、平成16年の狩猟期より原則として鉛弾の使用規制を行っており、さらに平成26年よりエゾシカを捕獲する目的での鉛弾の所持を禁止する措置をとっています。一方、環境省では平成12年より一部地域を鉛散弾使用禁止区域に設定しているに過ぎません。
北海道では、2003年に初めてクマタカでも鉛中毒が確認されています。また、2012年に諏訪市で感電死したクマタカの胃内容物から、大量のシカの毛が確認されています。オジロワシ・オオワシは北海道を中心に生息していますが、クマタカは全国的に生息しており、これらのことは今後銃猟に伴う鉛中毒が全国に拡大する可能性を示唆しています。
鳥獣保護管理法では、捕獲した死体の放置は禁止されていますが、重いシカの死体の場合、利用されない部分が放置されるケースが多いと考えられます。またその場から逃げて、離れた場所で死亡する個体もあり、それらを食べたクマタカなどの猛禽類やクマなどの獣類が、鉛中毒になることが懸念されることから要望するものです。
以上
参考資料
北海道における鉛中毒発生状況
平成12~26年度オジロワシ傷病個体収容結果
平成12~26年度オオワシ傷病個体収容結果
プレスリリース 2015.05.13
2015年5月13日
シマフクロウの育つ森を守る
日本製紙株式会社と釧路地域の社有林について
シマフクロウ生息地保全のための覚書を締結
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数4万6千人)と日本製紙株式会社(本社:東京、社長:馬城文雄)は、同社が北海道釧路地域に所有する森林約1,986haについて、シマフクロウ(絶滅危惧ⅠA類)の生息地保全と森林施業の両立を目的とした「シマフクロウの生息地保全と日本製紙株式会社の事業の両立に関する覚書」を取り交わしました。覚書の取り交わしに際し、まずシマフクロウの生息状況調査を共同で行って、その結果を元に重要な範囲132haを抽出し、その範囲における施業の規模や時期を限定することで、シマフクロウの繁殖に与える影響を回避します。
森林施業を継続しながら絶滅の危惧に瀕する野鳥を保全するという共同活動は、当会として初めての試みです。釧路地域に広がる同社の社有林にはシマフクロウが繁殖しているので、生息地を保全しつつ持続可能な林業を行うこの取り組みは、今後のシマフクロウ保護の新たな仕組みとなるものです。
1.覚書の取り交わしに至った経緯
覚書の対象地を含む日本製紙社有林(1,986ha)では、2011年に林内の間伐跡地でシマフクロウの繁殖が初めて確認されました。この森林は施業林を含んでおり、伐採の時期や規模によってはシマフクロウの生息に影響を及ぼすことが懸念されました。当会では同年から同社と情報交換を行い、警戒心が特に強くなる繁殖期に営巣木付近の伐採を避けるなど、森林施業がシマフクロウの繁殖に影響を与えないよう、生息地保全に向けた調整を進めて参りました。また、根室地域においてシマフクロウ保護活動を協働で実施していたことからも、施業林における絶滅危惧種保護の重要性と双方の立場について相互理解と信頼関係の醸成が進みました。2014年には、同社の協力により繁殖期のシマフクロウの行動圏を把握する調査を実施し、シマフクロウの生息に特に重要と推定された区域を同社に報告しています。その結果、今回の覚書を取り交わす運びとなりました。
なお、具体的な場所や地名は、シマフクロウの生息地保護のため伏せさせていただきます。
2.覚書の内容について
この覚書では、当該森林においてシマフクロウの生息地保全のために協力をすること、特に、シマフクロウが繁殖に利用する可能性のある、樹洞木については、双方合意の上で保全すること、日本製紙株式会社は当該森林以外の北海道東部地域の社有林においても、シマフクロウの生息が確認された場合には、当会に報告することなどを取り交わしました。シマフクロウは広葉樹主体の河畔林に生息し、巨木の樹洞で繁殖することから、樹洞木の伐採は甚大な影響がありますが、今回の覚書の取り交わしにより、当該地では森林施業とシマフクロウ保全が両立されることになります。
3.シマフクロウについて

シマフクロウは、極東地域の狭い範囲に分布し、日本では北海道の中部から東部にかけて局所的に生息する、翼を広げると約180cmに達する世界最大級のフクロウの仲間です。主に河川の魚を食べ、巨木にできる樹洞で繁殖します。かつては北海道全域に分布していましたが、森林の伐採や河川環境の変化により減少し、現在では知床半島を中心に約50つがい140羽程が生息しているのみとなっています。環境省をはじめ、保護団体、地域の方々の活動により徐々に個体数は増加していますが、未だ絶滅の危機に瀕しており、環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類に指定されています。また、1971年には国の天然記念物に、1993年には国内希少野生動植物種に指定されています。
4.日本製紙株式会社の社有林について
日本製紙株式会社は国内に約9万haの社有林を保有しています。木材生産を行う「経営林分」と、自然保護に配慮し木材生産を目指した施業を行わない「環境林分」に区分した上で地域特性や周辺環境、生物多様性に配慮した適切な森林経営を実施しており、国内全ての社有林についてSGEC森林認証(※)を取得しています。2010年には、3つがいのシマフクロウが生息する北海道根室地域の126haの環境林分について、当会と保全協定を締結し、「日本製紙野鳥保護区シマフクロウ根室第3」を設置しました。なお、今回の覚書の対象地は、その大部分が通常の施業を行う経営林分となっています。
5.日本野鳥の会のシマフクロウ保全活動について
シマフクロウ生息地保全のため、土地の購入や地権者との協定により、独自の「野鳥保護区」を設置する活動を2004年から展開しています。2010年に日本製紙株式会社と設置した野鳥保護区では、シマフクロウをはじめ生息するさまざまな生物の調査をしています。2011年からは日高地域の生息地において、不足する餌を補い繁殖を補助する給餌活動を始めました。さらに2012年からは、富士通株式会社および富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社の技術協力により、各地で集音したデータからシマフクロウの鳴き声を抽出し、シマフクロウの生息状況調査を実施しています。今回の覚書においても、音声解析により森林内のシマフクロウの利用範囲の推定を行い、対象地の設定に活かしています。
- <配布先>
- 環境省記者クラブ(霞が関)、道政記者クラブ(札幌)、釧路総合振興局記者クラブ、
根室市役所記者クラブ
- 【問い合わせ先】
- (公財)日本野鳥の会 野鳥保護区事業所
TEL・FAX:0153-25-8911/080-1179-2786
〒086-0074 北海道根室市東梅115-1
担当:松本
■覚書の対象地のイメージと、森林施業の際の配慮事項

日本製紙社有林(黒線内)は通常の施業をする経営林分だが、営巣木を中心とした半径250mの範囲(赤線内)、高頻度に利用している地点を中心とした半径250mの範囲(青線内)については、営巣木を保存した上で繁殖期の施業を避け、大規模皆伐は行わない。また、河川から片側20mの岸辺も、皆伐を行わない。
■覚書対象地の風景

覚書の対象森林

対象森林内を流れる河川

シマフクロウの生息状況調査のため、録音機材を設置(2014年)
※SGEC森林認証について
適正に管理された認証森林から生産される木材等を、生産・流通・加工工程でロゴ・マークを付すなどして管理し、市民・消費者に届ける制度で、世界的に推奨されている持続可能な森林管理の考え方をもとに、日本の現状に合わせて(一社)緑の循環認証会議が認証しています。認証対象森林の明示や管理手法の確定に加え、生物多様性の保全、森林生態系の維持、モニタリングと情報公開などの基準にもとづいて認証されます。
(一社)緑の循環認証会議(SGEC)URL: http://www.sgec-eco.org/
プレスリリース 2014.11.27
2014年 11月 27日
野鳥の聖域、ひろがる。
日本野鳥の会が独自に設置している「野鳥保護区」が
総面積3,000ヘクタールに
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数4万6千人)が絶滅危惧種の保護と生物多様性の保全を目的として設置と管理を続けている独自の「野鳥保護区」の面積が、2014年10月に3,000ha(ヘクタール)を超えました。これを機に、多くのみなさまに野鳥の生息地を守ることの重要性と、当会の野鳥保護区の活動を知っていただきたく、発表いたします。
1.野鳥保護区設置の歴史――今年3か所の野鳥保護区設置で総面積3,000ha を超える!
1970~80年代は企業・行政共に環境への配慮よりも産業や経済が優先される時代であり、開発によって自然環境が荒廃していました。国は環境庁を設置したばかりでまだ十分な体制を持っておらず、生きものたちの絶滅も心配されていました。
北海道でも、タンチョウやシマフクロウなど絶滅危惧種の生息地が開発の危機に晒されていました。彼らを守り、絶滅の淵から救うためには、繁殖できる生息地を守ることが必須です。進行する開発に迅速に対応するためには、買い取りによる生息地の確保がもっとも有効な方法です。そこでNGOである当会が、先駆的に生息地を買い取って独自の「野鳥保護区」とする運動を開始し、この活動に共感いただいた方々からのご寄附を基に、今日までの28年間に合計33か所を設置してきました。そして今年、8月6日に新たにシマフクロウの生息地163ha を、また10 月16 日にはタンチョウの生息地51ha を購入し、3か所の野鳥保護区を設置しました。
これにより、当会の野鳥保護区は合計36か所、総面積は3,000ha を超えて3,167ha となりました(タンチョウ2,635ha、シマフクロウ515ha、その他17ha)。これは山手線の内側面積の半分に相当し、絶滅危惧種の保全を目的とした民間の自然保護区としては国内最大の面積です(国内のナショナルトラストとしては、前田一歩園財団の3,892ヘクタールに次ぐ2番目の広さ)。
2.絶滅危惧種と同時に生物多様性を守る――国指定の保護区と同等の保護を実現
主な対象は絶滅危惧種である北海道のタンチョウとシマフクロウで、タンチョウは国内に生息する400つがいのうちの24つがい(6%に相当)、シマフクロウは国内50つがいのうちの9つがい(18%に相当)を守っており、保護上の重要な役割を担っています。タンチョウとシマフクロウはそれぞれ湿地、森林の生態系の頂点に位置しているので、彼らの生息地を守ることで地域の生物多様性も保全しています。たとえばタンチョウひとつがいを守っている北海道根室市の渡邊野鳥保護区フレシマには、野鳥118種、植物355種が生息しています。
また、野鳥保護区は自然環境の改変や人の立ち入りを状況に応じて厳しく制限しており、法的に守られていない希少な野鳥の生息地を、国立公園や鳥獣保護区の特別保護地区と同等に守っています。
3.野鳥をはじめ生きものたちの生息地を守ってゆくために――未来への課題
当会の野鳥保護区面積を先進地域である海外の事例と比較すると、まだまだ少ないのが現状です。例えば、イギリスの王立鳥類保護協会(RSPB)では211か所14万1,833ha(イギリス国土の0.58%)の野鳥の生息地を確保しています。私たちは、野鳥をはじめ生きものの生息地を守るためには、国による法的な保護に頼るだけでなく、多くの方に関心を持っていただき、これからも民間による保全を進めてゆくことが重要だと考えています。また、設置した野鳥保護区を良好かつ永続的に維持するには、巡回監視やモニタリング調査、管理など地道ですが継続的な活動が必要であり、そのための資金確保も欠かせません。当会は今後も状況に合わせて最適な手法で、野鳥とその生息地を守る活動に取り組んでまいります。ご支援をよろしくお願いいたします。
<発 表> 環境省記者クラブ(霞が関)
<資料配布先> 釧路総合振興局記者クラブ、根室市役所記者クラブ
【問い合わせ先】 (公財)日本野鳥の会 保全プロジェクト推進室 TEL:03-5436-2634 /FAX:03-5436-2635
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル http://www.wbsj.org/
担当:田尻・竹前・松本(携帯:080-1179-2786)
<補足資料>
■公益財団法人日本野鳥の会について(詳しくはホームページ http://www.wbsj.org)
自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体である。全国4 万8 千人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えている。
・創設:1934 年 ・創設者:中西悟堂 ・連携団体:全国90 団体
<野鳥や自然を大切に思う心を伝えます>
- 全国8 か所のサンクチュアリやバードプラザを訪れる、年間約30 万人に野鳥や自然のすばらしさを伝えている。
- 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えている。
- バードウォッチングの指導・案内のできる人材の育成を進めている。
<野鳥や自然を守ります>
- 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として保全している。現在、保護区の面積は36 か所、3167ha で、自然保護団体としては国内最大である。
- 鳥類の生息地として保全が急がれる場所を明確にするため、国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(IBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行ない、保全の推進、ネットワーク化を行なっている。
<公益財団法人です>
- 日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し「特定公益増進法人」として所得控除や損金算入等の税制上の優遇措置が設定されている。
■2014 年度に新たに設置した野鳥保護区について
(1)杉本野鳥保護区シマフクロウ釧路第2(北海道釧路地域・8/6設置)
シマフクロウ1つがいが利用する135ha の森林と河畔林。近年の当会の調査により生息が確認され、繁殖も確認された森林である。
(2)野鳥保護区シマフクロウ釧路第3(北海道釧路地域・8/6設置)
杉本野鳥保護区と同じシマフクロウ1つがいが利用する28ha の森林と原野。広大な生息地を一帯として保全するため、同時に取得した。
(3)野鳥保護区ヤウシュベツ(北海道野付郡別海町・10/16設置)
タンチョウが繁殖する渡邊野鳥保護区ヤウシュベツに隣接する51ha の湿原と河畔林。埋め立て等開発の恐れがあったことから、土地を取得し保全している。
■タンチョウについて
北海道東部に生息する約1500 羽の渡りをしない個体群と、中国東北部からアムール川にかけて繁殖し渡りを行う個体群がある。道内の個体群は約400 つがいが道東の湿地で繁殖し、冬はほとんどが釧路周辺の給餌場に集まる。冬期は人為的な給餌に強く依存している。
明治以降の乱獲と湿原の開発により、1924 年に十数羽が再発見されるまで一時は絶滅したと考えられていた。給餌などの効果で個体数が回復しつつあるが、国内に生息する個体群の遺伝的多様性は非常に低いことが知られている。
日本野鳥の会では、全国からの募金をもとに、タンチョウの越冬地である阿寒郡鶴居村の給餌人、伊藤良孝氏(故人)のご理解とご協力を得て1987 年に鶴居村に鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリを設置し、給餌や繁殖地の保護区としての買取りなど積極的に保護活動を開始した。現在、当会の野鳥保護区では24 つがいのタンチョウを保護している。
国指定特別天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧II 類。

■シマフクロウについて
魚食性の大型のフクロウで、魚類の豊富な河川や湖沼周辺の森林に生息する。海外では、国後島やサハリンの島しょ部にも生息する。明治期までは北海道内に広く生息していたとされるが、森林伐採等による営巣に必要なうろのある直径100cm ほどの大木の喪失、河川改修などによる魚類の減少により、現在は北海道中部から東部にかけてのみ生息する。国内に生息する個体数は約140 羽、繁殖つがい数は50 つがい程度。多くのつがいが巣箱や給餌など、人為的な支援を受けて繁殖している。生息できる環境が限られているため、巣立ち後の分散が困難で、近親つがいの形成などの問題がある。
日本野鳥の会では、2004 年より買取りによる生息地の保護区化、植樹や除間伐など森林環境の整備、生簀による給餌などの保護活動を行っている。
国指定天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧IA 類。
■一般財団法人前田一歩園財団について
北海道阿寒湖畔に広がる市街地を含む森林の景観保全をするため1983 年に財団法人化。森林の管理や自然保護思想の普及啓発事業などを行なっている。ホームページURL http://www.ippoen.or.jp
■公益社団法人ナショナルトラスト協会
全国のナショナルトラスト団体のネットワーク化とナショナルトラスト活動の推進を目的に1983 年に設立。団体への支援や、寄付や寄贈の受け入れによるトラスト活動を行なっている。ホームページURL http://www.ntrust.or.jp/index.html
■王立鳥類保護協会(RSPB,Royal Society for the Protection of Birds)について
1889 年に設立され、100 万人以上の会員を持つ自然保護団体(本部サンディー)。野鳥保護や自然環境保全を目的とし、イギリス国内に自然保護区(Nature Reserve)を211か所14万1,833ha 保有しており、その面積はイギリス国土の0.58%に相当する。自然環境保全のために企業や行政、農家などとも協力しながら活動しているほか、環境教育にも力を入れている。
以上
<参考資料>
日本野鳥の会・野鳥保護区事業の経緯(2014 年11 月末現在)
■野鳥保護の手法としての野鳥保護区
法的な担保が得られていない民有地などであれば、野鳥にとって重要な生息地であっても、所有者の意向によっては開発、改変される可能性があります。このような事態を避けるため、当会ではタンチョウとシマフクロウをおもな対象とし、法的に保護されていない重要な生息地について、会員、支援者の皆さまからのご寄付を元とした買い取りによる所有、企業や個人など地権者との協定締結による確保の二つの方法を通じて当会独自の野鳥保護区とし、開発から守っています。
■日本野鳥の会のタンチョウ保護事業の始まりと北海道における野鳥保護区の歴史
タンチョウ保護事業は、1985 年に当会に事務局が設置された「ツル保護特別委員会」の議論を通して具体的な保護事業が開始され、1987 年には鶴居村に鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリを開設しました(中村2007)。
北海道の野鳥保護区は、1987 年7 月、根室市東梅に第1 号となる持田野鳥保護区東梅を設置したことから始まりました。当時は、当会が設置したツル保護特別委員会が1986 年に発表した「タンチョウ保護の全体構想(以下、全体構想)」に基づくタンチョウ保護事業が端緒についたところで、全体構想の中で述べられていたサンクチュアリの設置など、いくつかの保護事業計画が動き始めていました。野鳥保護区に関する構想では、タンチョウが営巣する湿地のうち、広大なものは国指定の保護区化など法的な担保を求めて働きかけを行いつつ、法制度上の理由で国による保護区化が難しい100 ヘクタール程度の小規模な民有地については、当会独自に野鳥保護化するとされていました。
そのころ、タンチョウの個体数は400 羽弱、繁殖つがい数はわずか100 つがい程度(松尾1990a,b)。そして、その約半数が法的な保護の担保のない湿原で繁殖していたのです(松尾1990b)。保護されていない湿原に営巣する1 つがいの重要性が分かります。そんな折、根室支部からの情報で風蓮湖に近いその湿原が競売にかけられたことが明らかとなりました。1980 年代、湿原とタンチョウの生息を脅かす農地開発や道路敷設などが北海道東部でもさかんに進められていたため、買い手によってはすぐにも開発されるかもしれない、と危機感が高まりました。この急を要する状況において、行政に働きかけたり、地域で保護を求める動きを作り出す時間はありませんでした。一刻の猶予もない中で、繁殖環境を維持するために会員の持田勝郎氏(故人)の支援を受け、買い取りにより野鳥保護区化を実現しました。
■シマフクロウ保護事業の始まり
シマフクロウ保護事業は、タンチョウの保護のために継続してきた野鳥保護区の設置による生息地確保がシマフクロウの保護に有効であること、絶滅危惧種で保護の優先度が高いことなどから(高井2003)、2004 年に開始され、その年に初めてのシマフクロウの保護区となる持田野鳥保護区シマフクロウ根室第1 を設置することができました。
■現在の野鳥保護区
その後も、多くの方々からのご寄付をいただいて法的担保の得られない湿原に対する活動を続け、1997 年には保護区数が10 か所となり、2002 年の渡邊野鳥保護区ソウサンベツの設置で1000 ヘクタールを突破しました。2006 年の渡邊野鳥保護区尾幌川で保護区数20か所目を数え、2007 年、初めての企業との協定保護区となった明治野鳥保護区槍昔、牧の内の設置で2000 ヘクタールを超えました。
そして現在、当会は3000 ヘクタール超の野鳥保護区で、国内で繁殖するタンチョウおよそ400 つがい(北海道地方環境事務所・釧路自然環境事務所2013)のうちの24 つがい、シマフクロウ約50 つがい(環境省北海道地方環境事務所・林野庁北海道森林管理局2013)のうちの9 つがいを守っています。
なお、当会の野鳥保護区は管理計画に基づくもの以外、木竹の伐採や人工構造物の設置を行わないなど、その保護上の厳密さは国指定鳥獣保護区特別保護地区に勝るとも劣りま
せん。そして、その総面積は、国指定釧路湿原鳥獣保護区特別保護地区(6962 ヘクタール)の面積の45.5%に相当し、自然保護上重要な役割を果たしています。
■野鳥保護区事業のこれから
現在、北海道内に生息するタンチョウの個体数は約1500 羽、シマフクロウは約140 羽。関係者の努力の結果、どちらももっとも少なかった時と比べれば多くなっています。しかし、現時点でも依然として絶滅危惧種であることに変わりはなく、引き続き保護が必要な状態にあります。
シマフクロウでは、多くの個体が巣箱と人工給餌に依存しており、天然の樹洞と採餌可能な河川は依然として不足しています。さらに、つがいの10%以上が近親間でのつがい形成であることから、遺伝的多様性の劣化が危惧されており(環境省北海道地方環境事務所・林野庁北海道森林管理局2013)、若鳥の分散と新たな場所でのつがい形成が必要不可欠です。タンチョウでは、国内の生息個体数の約59%が人工給餌場に集中していること、全体のおよそ94%もが釧路地域で越冬していることから、伝染病の発生や農作物への被害拡大などが危惧されており、越冬地、繁殖地の分散が必要であるとされています(北海道地方環境事務所・釧路自然環境事務所2013)。
そこで、当会は将来的な目標として、シマフクロウについては天然の樹洞で営巣し、海から遡上するサケマス類など天然の餌で子育てできるようになることを、タンチョウについては道内一円の湿原で繁殖し、人工給餌に頼らずに越冬できるようになることを目指して活動を続けていきます。
以上
プレスリリース 2014.11.13
2014年11月13日
報道関係各位
苫小牧東部開発地域(苫東地域)で、
シマクイナやタンチョウをはじめ、7種の希少鳥類を今年も確認
日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリは、今年の繁殖期(4~8月)に実施した苫東地域での調査で、国内レッドリストの絶滅危惧ⅠB類を3種、同Ⅱ類を2種、準絶滅危惧を2種、計7種もの絶滅のおそれのある鳥類の生息を確認しました。
このことから、同地域がウトナイ湖や釧路湿原などのラムサール条約湿地に勝るとも劣らない、重要な野鳥生息地であることが改めてわかりました。
一方、シマアオジ(同ⅠA類)は昨年に続き確認されず、アカモズ(同ⅠB類)は繁殖つがい数が減少するなど、これら希少鳥類が危機的な状況にあることも明らかになりました。
当会では今回の調査結果をもとに、同地域の貴重な自然環境の保全について、今後も関係者へより一層の働きかけを行なって参ります。(これまでの保全活動については、別紙資料2をご参照ください。)
なお、情報公表によって希少鳥類の繁殖へ悪影響が及ばないよう、発表をこの時期といたしました。また、詳しい確認位置等の公表は控えさせていただきますのでご了承ください。
確認された希少鳥類について
絶滅危惧ⅠB類のうち、シマクイナは繁殖期に確認されているのが日本国内では釧路湿原や仏沼(青森県)など限られた地域のみ、という非常に希少な鳥類です。苫東地域では今回、3年連続での確認となりました。さらに今年は、2地点において最大12羽(昨年は4羽以上)の声を確認したことから、複数のシマクイナが同地域で繁殖している可能性は非常に高いと考えられます。一方、同じくⅠB類のアカモズは、同地域で確認されたつがい数が2つがいと、昨年に比べ3つがい少ない結果となりました。また、2012年末に道道259号(上厚真苫小牧線)が全面開通した後、それまで沿線にあった営巣地はすべて失われており、今年も繁殖を確認できませんでした。これらの結果から、苫東地域でのアカモズの繁殖環境は減少傾向にあると考えられます。絶滅危惧Ⅱ類のタンチョウは、昨年の成鳥2羽に続き、弁天沼で若鳥1羽を確認しました。今回は別の単独個体ですが、2年連続で生息が確認されたことで、今後、弁天沼周辺が同種の繁殖地となる可能性は十分考えられます。
確認した鳥類についての詳細は、別紙資料1をご参照ください。

タンチョウ(2014年6月5日撮影)
問い合わせ先
日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ
担当:中村 聡(なかむら さとし)
松岡佑昌(まつおか ゆうすけ)
電話:0144-58-2505または080-2872-2709
別紙資料1
今回の調査で確認された希少鳥類
絶滅危惧ⅠB 類

シマクイナ(ツル目クイナ科 全長12 .5cm)
- シベリア南東部やモンゴルなどで繁殖し、日本には主に冬鳥として、水田や湿地に渡来するとされる。アジア周辺には1万羽未満しか生息していないと考えられているが、生息状況はよくわかっていない。

アカモズ(スズメ目モズ科 全長20cm)
- もともと生息が局所的で個体数が少ないうえに近年減少し、2006 年の環境省第3次レッドリストで、準絶滅危惧からランクが上がった。
- 夏鳥として九州~北海道の原野、灌木のある草原、河川敷等で繁殖し、東南アジア等で越冬する。
- 近縁種のモズより自然度の高い場所に生息するため、生息地や個体数が少ない。

チュウヒ(タカ目タカ科 全長:オス48cm、メス58cm)
- 繁殖地のヨシ原が開発等で減少し、現在全国での推定生息
つがい数は約30~40。 - 主に夏鳥として、北日本の平地の草原、湖沼や河川敷周辺の湿原で繁殖し、本州中部以南で越冬する。
- 苫東地域では2000 年代以降6つがい前後が繁殖していると推定され、まとまった繁殖つがい数および生息数を維持していることから、日本の重要な繁殖地のひとつと考えられる。
絶滅危惧Ⅱ類

タンチョウ(ツル目ツル科 全長:140cm)
- 主に北海道東部の湿原で繁殖し、冬は鶴居村などの給餌場に集まる。
- 一時は絶滅したと考えられ、1924 年の再発見以来、地元の方々の保護活動が奏功し、現在は約1500 羽まで回復している。
- 個体数の回復に伴い、近年は十勝川流域やサロベツ原野でも繁殖するなど、分布域も拡大しつつある.近い将来、苫東地域で繁殖する可能性が高く、同地域は北海道西部における個体数や分布域回復の基盤となる可能性がある。

オジロワシ(タカ目タカ科 全長:オス80cm、メス90cm)
- 北海道の北部や東部などで少数が繁殖するが、多くは冬鳥としてユーラシア大陸東部より渡来し、海岸、河口、湖沼に生息する。
- 近年、苫小牧地方でも周年観察されるようになり、繁殖しているものと推測される。
準絶滅危惧

マキノセンニュウ(スズメ目センニュウ科 全長12cm)
- 2012 年の環境省第4次レッドリストで新たに掲載された。
- 繁殖環境である低茎湿生草原が減少する中、苫東地域は道内でも特筆すべき生息密度であると推察される。
- 夏鳥として北海道の海岸草原、湿原、牧草地で繁殖する。
越冬地は東南アジア。

オオジシギ(チドリ目シギ科 全長30cm)
- 弁天沼では2001 年8 月に400 羽以上が確認されており、秋の渡り前に集結し、栄養補給をする場所として知られている。
- 北海道の草原では夏鳥として普通に繁殖するが、国内でも世界的にも分布が局所的で個体数が少ない。越冬地はオーストラリア。
写真提供)
シマクイナ:宮 彰男氏、アカモズ・チュウヒ:新谷幸嗣氏、タンチョウ:玉田克巳氏、マキノセンニュウ:渡邉智子氏 、オジロワシ・オオジシギ:ウトナイ湖サンクチュアリ
注)写真の無断転載は固くお断りします。使用については、必ずご相談ください。なお、画像はデジタルデータで提供が可能です。
参考
環境省レッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)における
カテゴリー(ランク)の概要 *環境省HP より
- 絶滅危惧ⅠB 類(EN):近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
- 絶滅危惧Ⅱ類(VU):絶滅の危険が増大している種
- 準絶滅危惧(NT):現時点での絶滅の危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
別紙資料2
日本野鳥の会の、苫東地域での自然環境保全活動
勇払原野は北海道三大原野のひとつとして、釧路湿原、サロベツ原野と並び数えられています。原野を構成する湿原の面積は、過去90 年で約8分の1に著しく減少しているものの、残された自然環境は、ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、水鳥、草原性鳥類、絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。一方、同所では1960 年代の高度成長期に、第三次全国総合開発計画の一環として苫小牧東部開発計画がスタートしました。しかし、その後の社会情勢の変化により、当初計画の約1万700ha の土地の多くが未利用地域として残され、また農地として開拓された場所が放置され原野化し、結果として鳥類の良好な生息地となっています。
当会はこの優れた鳥類の生息環境を将来にわたって維持していくために、2000 年度から当該地域において鳥類調査を実施し、その生息状況から生息環境としての特徴を把握し、社会環境を考察して保全構想をまとめ、2006 年に「ウトナイ湖・勇払原野保全構想報告書」を発行しました。以来、希少種の調査や弁天沼周辺での自然観察会を通じ、同所一帯の保全活動を行っています。近年の主な活動は以下の通りです。
- 2006年 苫東地域におけるアカモズ生息状況調査を実施し、同地域がアカモズの国内有数の繁殖地である可能性が明らかになった。
- 2006年 弁天沼周辺のブロッコリー畑等の土地利用の変化が鳥類相に与える影響調査を実施し、同所における耕作地化は、草原性鳥類の繁殖を阻害し個体数を減少させるだけでなく、一帯の鳥類相をも変化させてしまう可能性があることが明らかになった。
- 2006年~ 弁天沼周辺での自然観察会を毎年実施。
- 2007年~ 苫東地域におけるシマアオジの生息状況調査を毎年実施し、道内各地の生息記録が途絶える中、同地域は継続して渡来していることが明らかになった。
- 2008年 北海道知事宛てに「弁天沼周辺の土地利用に関する要望書」を提出。
- 2009年 勇払原野で衛星電波発信機によるチュウヒの行動圏追跡調査を実施し、チュウヒの繁殖期の行動範囲や、チュウヒにとって重要な環境が明らかになった。
- 2012年 北海道知事宛てに「苫小牧東部工業開発地域内の鳥獣保護区指定に関する要望書」を提出。
この他、「安平川下流域の土地利用に関する連絡協議会」(北海道主催。2008 年5月設置)委員として、安平川下流域の治水対策としての河道内調整地(遊水地)計画に対し、希少鳥類の生息環境保全の観点から意見を述べています。
以上
プレスリリース 2014.11.17
マスコミ各位
2014年 11月 17日
首都圏に残る貴重な自然「多摩川河口干潟」に悪影響を及ぼす「羽田連絡道路」建設計画の見直しを求め、内閣府・国交省・神奈川県等に申し入れ
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数4万8千人)、(公財)世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、事務局:東京、会長:徳川恒孝 個人サポーター:約4万3千人、 法人サポーター:約420社)、(公財)日本自然保護協会(事務局:東京、理事長:亀山章 会員数2万6千人)は、羽田空港と対岸の川崎市を結ぶ羽田連絡道路建設計画に対し、予定地の東京湾に残る貴重な自然干潟の一つである「多摩川河口干潟」の重要性を考慮し、干潟に直接的な影響を及ぼすと考えられる当計画の見直しと、自然環境の保全を目的とした公開の議論の場の開催、そして、後世に引き継ぐべき、地域の自然資源として「生物多様性保全エリア」として位置づけ整備することを盛り込んだ意見書を、内閣府、国土交通省、神奈川県、川崎市、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会に提出しました。
多摩川河口干潟は、埋め立て等により干潟の大部分が失われた東京湾奥部にあって、今なお良好で、かつ地域を特徴づける干潟生態系をとどめている場所です。プランクトンからゴカイ類、貝類、藻類、魚類、渡り鳥に至るまで、生き物同士のつながりが保たれています。また、この生態系があることにより、水質の浄化がされ、私たち人間にとっても有用な魚介類の稚仔魚が育っています。首都圏にありながらも、多くの人が本来の自然に触れられる場所であり、自然観察や散策等に利用し、さまざまな自然からの恵み(生態系サービス)を受けている場所です。
この多摩川河口干潟は、科学的側面からも重要で、確認されたレッドデータブック掲載種(鳥類)は、環境省基準で16種、神奈川県基準で37種に及び、(公財)山階鳥類研究所の資料による標識調査によれば、米国アラスカ州、豪州各地などから定期的にシギ・チドリ類が利用していることが確認されています。
多摩川河口干潟は、環境省の「日本の重要湿地500」及び「モニタリングサイト1000事業」におけるシギ・チドリ類調査地に、また国土交通省により策定された多摩川水系整備計画でも「生態系保持空間」に位置づけられ、国際的な鳥類保護組織であるバードライフ・インターナショナル(BirdLife International )が選定した重要野鳥生息地(IBA:Important Bird Area;「東京湾奥部」)にも指定されています。
多摩川河口干潟は、そこで暮らす多くの生きもの、そして、私たち人間にとっても高い価値を持った場所と位置づけられます。この羽田連絡道路の計画見直し(中止)、及び、自然環境の保全を目的とした公開の議論の場の開催、そして、後世に引き継ぐべき貴重な自然として、生物多様性保全エリアとして位置づけ、人々が永続的に利用し、心潤う空間とすることを求めています。



<要望書提出先>
内閣総理大臣、国土交通大臣、神奈川県知事、川崎市長、羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会
<要望書本文>
「多摩 川河口干潟」の保全に関する意見書2014.11.17
http://www.wbsj.org/press/img/20141117_01.pdf(PDF 151KB)
「多摩 川河口干潟」で観察されたレッドデータブック掲載種(鳥類)
http://www.wbsj.org/press/img/20141117_02.pdf(PDF 114KB)
<資料写真:提供 日本野鳥の会 神奈川支部>
<本件に関する連絡先>
- (公財)日本野鳥の会 自然保護室 TEL.03-5436-2633(担当:葉山・山本)
- (公財)世界自然保護基金ジャパン 自然保護室 TEL.03-3769-1713 (担当:前川)
- (公財)日本自然保護協会 保護・研究部 TEL.03-3553-4103(担当:志村)

1.多摩川河口干潟の環境写真_①

2.多摩川河口干潟の環境写真_②

3.多摩川河口を代表する鳥類オオソリハシシギ
プレスリリース 2014.07.06
2014年7月6日
三宅島のサンゴ、今年も健全な状態を確認
~三宅島で11回目のリーフチェックを実施~
主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター
2014年7月5日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館、コーラル・ネットワークとスナッパー・ダイビングセンターが共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷のカタン崎のサンゴ群集である。
調査を実施した結果、富賀浜では、調査範囲の57%程度がサンゴに覆われていた。昨年よりサンゴが微増し、例年と変わらず健全な状態であった。カタン崎においては昨年より微減したものの、36%程がサンゴに覆われ、健全な状態であった。
また、富賀浜では、原因が分からないが最近、死んだサンゴが見られ、今後の推移を見守っていく必要がある。
※リーフチェックとは
サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。
1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法

写真1. 調査風景(富賀浜)
三宅島では1998年より調査を開始し、05年の帰島以後は、07年以外毎年実施し、今回の調査は11回目となる。
今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、日本生態系協会の職員1名、スナッパー・ダイビングセンターのインストラクター1名、アンバージャックダイビングスクールのインストラクター1名、ボランティアダイバー7名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ1名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜と伊ヶ谷のカタン崎を調査した。
世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100mのラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。
2.調査結果

写真2. 富賀浜のテーブルサンゴ状サンゴ群集
(1)富賀浜
テーブル状のサンゴを中心に、57%程度が造礁サンゴに覆われていた。昨年と比べると微増し、海藻類が減少したものの、大きく環境が変化したものではなく、健全な状態を保っていた。
昨年の台風の影響と思われるテーブル状サンゴの破損が見られた。被覆状のサンゴが多い区域では、サンゴの増加が見られた。
サンゴ食の巻き貝による食害がみられ、ごく一部、原因が分からないが最近、死んだサンゴが見られた。
サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られ、ナガウニが例年と比べ、多く確認された。ほか、調査区域付近でイセエビおよびホラガイも見られた。

写真3. 調査風景(カタン崎)
(2)カタン崎
テーブル状のサンゴを中心に、36%程が造礁サンゴに覆われ、良好な状態にあった。ほか、海藻類が増加しており、季節による影響が大きいと思われるが、今後注視していきたい。オニヒトデは全く見られず、オニヒトデと疑われる食害も確認されなかった。
サンゴ食の巻き貝も見られず、食害も確認されなかった。サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物は特に目立った変化がなかったが、バテイラ類が若干減少していた。また、イセエビが確認できた。
3.総評(鈴木倫太郎博士 【日本生態系協会】 コメント)
富賀浜の調査範囲の造礁サンゴ群集は健全な状態であり、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。一年前の台風の影響による損壊が見られた箇所においても回復が見られた。一方、昨年調査できなかったカタン崎においては2年前と比べて海藻が増えていた。ただしこれは季節的な影響が大きいと思われる。また、2年前と比べ、海底の状況が変化していると思われた。これは昨年の台風の影響と地震によるがけ崩れの影響も考えられる。
オニヒトデは、どちらも調査の範囲でも認められなかったほか、数年前に増加していた、サンゴ食の巻き貝は減少していた。両地点とも例年通り、良好な状態を保たれていると考えられる。今後の推移を見守っていきたい。
4.参考リンク
「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「スナッパー・ダイビングセンター」 http://www.snapper-d.com/







