プレスリリース 2014.05.19
北海道根室市・フレシマの風力発電施設建設計画に対して
希少な鳥類等に重大な影響を与えると判断し、北海道知事及び
北海道教育長に要望書を提出しました
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数4万6千人)と(公財)日本自然保護協会(事務局:東京、理事長:亀山章 会員数2万7千人)、日本野鳥の会根室支部は、北海道根室市に計画されている風力発電施設「根室フレシマ風力発電所」の建設計画に対して、日本野鳥の会が独自に行った調査結果等に基づき、オオワシやオジロワシなど希少な鳥類等に及ぼされる重大な影響を懸念し、これら希少種を含む生態系保全の観点から、北海道知事および北海道教育長に対して、予定地の変更の検討など、事業計画者に対して適切な指導を行うよう書面をもって要望しました。
建設予定地は、太平洋に面する北海道根室市フレシマの海岸付近。当該地は、国指定天然記念物で絶滅危惧種でもあるオオワシやオジロワシ、タンチョウやシマフクロウが利用する重要な地域です。越冬期には多数のオオワシ、オジロワシが採食地や休息地として利用し、繁殖期にはオジロワシが最大2つがい営巣していると考えられています。
(公財)日本野鳥の会独自の調査結果を元に、ワシ類がブレードの回転する高度を飛翔する頻度の予測を行ったところ、計画地内で最も高頻度に飛翔するメッシュは年間約363回、平均でも約79回通過すると予測されました。また、衝突数の予測を行ったところ、平均して年間0.39羽(最大1.01羽)がブレードに衝突すると推定されました。年0.39羽の衝突は、過去にワシ類の衝突事例が知られている北海道内の発電所の衝突数と比較して第3位に匹敵します。
これらの調査結果から、私共はフレシマにおける風力発電所の建設は周辺の生態系およびオオワシ、オジロワシなどの希少鳥類に影響を与えると判断し、要望書の提出に踏み切りました。
なお、本計画に対して、国際的な自然保護団体であるバードライフ・インターナショナル(BirdLife International, 本部・ケンブリッジ)も、オオワシ、オジロワシに影響があると予測されることから、フレシマは風力発電所の建設に適さないという意見を道知事、道教育長に提出しています。また、これまでに当会以外に北海道自然保護協会が根室市長に要望書を提出しています。
<要望書提出先>
北海道知事、北海道教育長
<同時発表>
環境省記者クラブ、根室市役所記者クラブ
【問い合わせ先】
(公財)日本野鳥の会
保全プロジェクト推進室・自然保護室 TEL:03-5436-2634 /FAX:03-5436-2635
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル http://www.wbsj.org/
担当:田尻・松本 (21日までのご連絡は携帯080-1179-2786まで)
平成26年5月19日
北海道知事
高橋はるみ 殿
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
日本野鳥の会 根室支部
支部長 阿部 嗣
「根室フレシマ風力発電所」建設に対する要望書
東日本大震災以降、自然エネルギーへの転換が指向されています。化石燃料や原子力から再生可能エネルギーへの転換が推進され、その一環として、各地で風力発電施設の設置計画が進められています。再生可能エネルギーへの転換の必要性については、私共も十分に理解し賛同するところです。しかしながら、このたび電源開発株式会社が計画している「根室フレシマ風力発電所の建設計画」については、私共が独自に取り組んだ環境影響予測調査の結果から、根室の自然環境と生物多様性の保全に重大な支障を及ぼすと考えております。
ついては、行政当局として、「生物の多様性の保全等に関する条例」の趣旨にもあるように、人と自然とが共生する豊かな環境の実現を図り、また地域の優れた自然環境と生物多様性を保全し、後世に豊かな郷土を残すため、「根室フレシマ風力発電所」の当該計画区域における建設計画の見直しを、下記の通り事業者に求めることを要望いたします。
記
【要望事項】
電源開発株式会社が計画している「根室フレシマ風力発電所」について、計画地の再検討を行うよう求めること。
【理由】
電源開発株式会社が、根室市別当賀と初田牛を結ぶ太平洋岸の海岸段丘上に計画している「根室フレシマ風力発電所(最大34,500kW、2,300kW×15基)」について、当該計画が発表された後、事業者とは別に、当会らが中心となり鳥類を中心とした独自の影響予測調査や文献調査を実施した。その結果、以下のような実態が明らかとなった(詳細は添付資料参照)。
- 風力発電所計画区域(以下「計画区域」という。)で2012年5月から2013年3月に実施したワシ類の飛翔状況調査の結果を、統計学的手法を用いて分析・評価したところ、計画区域周辺は、ワシ類がバードストライクを起こしやすい高度を飛翔する頻度が高い場所が多くを占めており、計画区域全体(235メッシュ)の合計では年間約18,500メッシュ通過すると予測されたこと。特に、最も高い頻度のメッシュ(250m四方)では、年間約363回通過すると予測されたこと。
- 球体モデル(由井・島田2013)を用いてワシ類の風車への衝突数を予測したところ、年間の衝突予測数が平均で0.39羽、最大で1.01羽と推定されたこと。なお、年間衝突数0.39羽という数値は、ワシ類の衝突事例のある北海道内8か所の風力発電所の1年あたりの衝突数と比較すると第3位に匹敵する数値であり、また、年間衝突数予測1.01羽は、最も衝突数の多い発電所をも上回る数値であること。
- 計画区域周辺では、オジロワシが最低1つがい繁殖し、2つがいのタンチョウが繁殖している。その他、オオジシギなど国内希少野生動植物種や、国の天然記念物、絶滅危惧種に指定されている希少な野鳥等の貴重な繁殖地であること。
- 計画区域は、根室半島で唯一、大径木が生育するまとまった面積の森林が残されている場所であり、環境省が絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に選定しているシマフクロウが周年生息していること。
- 計画区域は、多くの渡り鳥が飛来又は通過する、渡りの貴重な重要中継地となっていること。
- 計画区域一帯は、国際的に重要な湿地を保全するための国際条約「ラムサール条約」の登録候補地である「日本の重要湿地500選」に選定されている地域であること。
- 計画区域の北側には、国際的に重要性が認められたラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」が位置しており、オオワシ・オジロワシの一大越冬地になっていること。越冬のため飛来したオオワシは、風蓮湖が結氷する前後は、広く風蓮湖周辺の地域を利用していると考えられており、計画区域を含む風蓮湖周辺地域は、オオワシをはじめ、希少な鳥類にとって非常に貴重な生息場所となっていること。なお、半島を縦断する形で連続した自然環境が残っている場所は、根室半島でもほとんど残されていないこと。
- 計画区域一帯には、周辺地域と合わせて、海・浅海・干潟・砂浜・塩湿地・河川・汽水湖・池沼・湿原・草原・牧草地・森林(広葉樹、針葉樹林)など、多様な生態系を有する自然環境が残されており、面的な広がりも有している。根室地域を代表する自然環境や、多様な植物、鳥類、哺乳類、両生類、爬虫類、昆虫類、魚類等の生育・生息地となっており、優れた自然環境が残されていること。
これらの事から、計画区域での風力発電施設建設は、希少野生動植物や渡り鳥等に重大な影響を与えると予測される。また、野生動植物への悪影響だけでなく、根室の原生的な景観の破壊、騒音や低周波による人体や家畜への被害、自然探勝を楽しむ自然愛好家、市民、観光客などへの影響など、様々な悪影響を与えることが懸念される。
以上
平成26年5月19日
北海道教育委員会教育長
立川 宏 殿
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
日本野鳥の会 根室支部
支部長 阿部 嗣
「根室フレシマ風力発電所」建設に対する要望書
東日本大震災以降、自然エネルギーへの転換が指向されています。化石燃料や原子力から再生可能エネルギーへの転換が推進され、その一環として、各地で風力発電施設の設置計画が進められています。再生可能エネルギーへの転換の必要性については、私共も十分に理解し、賛同するところです。しかしながら、このたび電源開発株式会社が計画している「根室フレシマ風力発電所の建設計画」については、私共が独自に取り組んだ環境影響予測調査の結果から、国指定天然記念物であるオオワシやオジロワシなど希少な鳥類を含む生態系に重大な支障を及ぼすと考えております。
ついては、行政当局として、「生物の多様性の保全等に関する条例」の趣旨にもあるように、人と自然とが共生する豊かな環境の実現を図り、また天然記念物に指定された希少種の保全を通じて、地域の優れた自然環境と生物多様性を維持し、後世に豊かな郷土を残すため、「根室フレシマ風力発電所」の当該計画区域における建設計画の見直しを、下記の通り事業者に強く指導いただくことを要望いたします。
記
【要望事項】
電源開発株式会社が計画している「根室フレシマ風力発電所」について、天然記念物保護の観点から、計画地の再検討を行うよう強く指導を行うこと。
【理由】
電源開発株式会社が、根室市別当賀と初田牛を結ぶ太平洋岸の海岸段丘上に計画している「根室フレシマ風力発電所(最大34,500kW、2,300kW×15基)」について、当該計画が発表された後、事業者とは別に、当会らが中心となり、鳥類を中心とした独自の影響予測調査や文献調査を実施しました。その結果、以下のような実態が明らかとなった(詳細は添付資料参照)。
- 風力発電所計画区域(以下「計画区域」という。)で2012年5月から2013年3月に実施したワシ類の飛翔状況調査の結果を、統計学的手法を用いて分析・評価したところ、計画区域周辺は、ワシ類がバードストライクを起こしやすい高度を飛翔する頻度が高い場所が多くを占めており、計画区域全体(235メッシュ)の合計では年間約18,500メッシュ通過すると予測されたこと。特に、最も高い頻度のメッシュ(250m四方)では、年間約363回通過すると予測されたこと。
- 球体モデル(由井・島田2013)を用いてワシ類の風車への衝突数を予測したところ、年間の衝突予測数が平均で0.39羽、最大で1.01羽と推定されたこと。
なお、年間衝突数0.39羽という数値は、ワシ類の衝突事例のある北海道内8か所の風力発電所の1年あたりの衝突数と比較すると第3位に匹敵する数値であり、また、年間衝突数1.01羽は、最も衝突数の多い発電所をも上回る数値であること。 - 計画区域周辺では、オジロワシが最低1つがい繁殖し、2つがいのタンチョウが繁殖している。その他、オオジシギなど国内希少野生動植物種や、国の天然記念物、絶滅危惧種に指定されている希少な野鳥等の貴重な繁殖地であること。
- 計画区域は、根室半島で唯一、大径木が生育するまとまった面積の森林が残されている場所であり、環境省が絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に選定しているシマフクロウが周年生息していること。
- 計画区域は、多くの渡り鳥が飛来又は通過する、渡りの貴重な重要中継地となっていること。
- 計画区域一帯は、国際的に重要な湿地を保全するための国際条約「ラムサール条約」の登録候補地である「日本の重要湿地500選」に選定されている地域であること。
- 計画区域の北側には、国際的に重要性が認められたラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」が位置しており、オオワシ・オジロワシの一大越冬地になっていること。越冬のため飛来したオオワシは、風蓮湖が結氷する前後は、広く風蓮湖周辺の地域を利用していると考えられており、計画区域を含む風蓮湖周辺地域は、オオワシをはじめ、希少な鳥類にとって非常に貴重な生息場所となっていること。なお、半島を縦断する形で連続した自然環境が残っている場所は、根室半島でもほとんど残されていないこと。
- 計画区域一帯には、周辺地域と合わせて、海・浅海・干潟・砂浜・塩湿地・河川・汽水湖・池沼・湿原・草原・牧草地・森林(広葉樹、針葉樹林)など、多様な生態系を有する自然環境が残されており、面的な広がりも有している。根室地域を代表する自然環境や、多様な植物、鳥類、哺乳類、両生類、爬虫類、昆虫類、魚類等の生育・生息地となっており、優れた自然環境が残されていること。
これらの事から、計画区域での風力発電施設建設は、天然記念物を含む希少野生動植物や渡り鳥等に重大な影響を与えると予測される。また、野生動植物への悪影響だけでなく、根室の原生的な景観の破壊、騒音や低周波による人体や家畜への被害、自然探勝を楽しむ自然愛好家、市民、観光客などへの影響など、様々な悪影響を与えることが懸念される。
以上
<添付資料>
- 根室市フレシマにおけるワシ類の飛翔状況調査と飛翔ポテンシャルマップの作成および衝突数の予測について(報告)
- 補足資料(フレシマ周辺の希少鳥類とバードライフ・インターナショナルについて)
渡邊野鳥保護区フレシマに隣接する風力発電施設建設計画への対応について
プレスリリース 2014.05.13
ツバメを守ろう!国際交流ボランティアプログラム “グリーン・ホリデー in 台湾”を開催します
(公財)日本野鳥の会(東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約 5 万人)は、台湾の子どもたちとともに、ツバメを観察しながら湿地環境を守るボランティアツアー“グリーン・ホリデーin 台湾”の参加者募集を開始します。
9 月 13(土)~16 日(火)に開催する第 1 回は、ツバメが暮らす湿地の保全活動と、現地でツバメ調査を始めた小学校との交流、ツバメのねぐら観察などを行います。第 2 回(2015 年春予定)は、子どもたちとツバメの子育て調査に取り組みます。
日本と東南アジアを行き来するツバメは、台湾でも幸福の象徴として人々に親しまれています。本企画を機に、日本と台湾の国際協力でツバメが暮らしやすい環境を考え、アジアに広めていきます。
《実施概要》
●名称:ツバメを守ろう!国際交流ボランティアプログラム グリーン・ホリデーin 台湾
●日程:第一回 ツバメがくる湿地を守ろう 2014 年 9 月 13 日(土)~16 日(火)(3 泊 4 日)
●対象:18 歳以上の一般(定員 20 名)申し込み先着順に受付。定員に達し次第締め切ります。
●参加費:35,000 円(航空券代、プログラム中の移動交通費、食費(フリータイムを除く)、宿泊費、教材費を含みます)
●プログラム(予定)


- 1 日目:
- 日本から台湾へ移動、オリエンテーション
- 2 日目:
- 午前:関渡自然公園の訪問・フィールドワーク
午後:レンジャーとの交流
夕方:ツバメのねぐら観察会 - 3 日目:
- 午前:湿地を守る活動
水面を覆う植物を取り除き、ツバメの食べ物になるトンボなどの虫がすみやすい環境を整えます。
午後:子どもたちとの交流
ツバメの観察や学校ビオトープに取り組む、基隆市立深美小学校を訪問し、児童や先生と交流します。 - 4 日目:
- フリータイム、台湾から日本へ移動
≪プログラム詳細・お申込み、お問い合わせ≫
◆ホームページからオンラインで、または FAX,メール、電話でお申込みください。
申込み先:(株)日本エコプランニングサービス:http://www.jeps.co.jp
電話 03-5807-1691 FAX:03-5807-1692 e-mail: [email protected]
◆プログラムの詳細は、ホームページをご覧ください。http://www.wbsj.org/
その他プログラムに関する問い合わせ:(公財)日本野鳥の会 TEL03-5436-2625
【プログラム企画】(公財)日本野鳥の会 【旅行企画・実施】(株)日本エコプランニングサービス
【協力】Ecotourism Taiwan、石川県健民運動推進本部
この活動はトヨタ自動車株式会社のトヨタ環境活動助成プログラムの助成を受けて実施しています。
【本件のプレス関係者様からのお問合せ先】
〒141-0031 東京都品川区西五反田 3-9-23 丸和ビル
公益財団法人日本野鳥の会 施設運営支援室 電話:03-5436-2625(月~金) FAX:03-5436-2635
担当:岡本裕子 E-mail:[email protected] http://www.wbsj.org/
■国際交流で、ツバメの暮らしやすい環境を考える

世界に広く分布するツバメは、私たちにとって最も身近な野鳥の代表です。しかし近年日本では、身近な環境の変化により減少傾向にあるといわれています。原因として、食べ物となる虫が多くすむ田んぼや農地の消失や、住宅構造が変わり巣をつくる場所が減ったこと等が考えられます。
日本のツバメは、秋の訪れとともに約 4000 ㎞を旅し、東南アジアで越冬します。台湾は、アジア圏のツバメの繁殖地と越冬地、渡りの中継地が重なる「交差点」です。しかし、台湾でのツバメの生息状況は、あまり調べられておりません。台湾の郊外には、かつての日本でどこでも見られたような、緑豊かな田園風景が広がります。町並みは張り出したアーケードが連なり、ツバメが巣をつくりやすい空間を提供しています。しかしここでも、宅地開発等による環境変化が急速に進みつつあります。
そこでこのたび日本野鳥の会では、ツバメをテーマに環境保全ボランティアツアーを実施し、台湾と日本で協力してツバメが暮らしやすい環境を考えていくこととしました。ツバメは、空中を飛びながらユスリカやアブ、トンボなどの飛ぶ虫を捕まえて食べています。彼らが生きていくには、こうした虫がたくさん暮らせる湿地が必要です。第一回の活動では基隆市の湿地を覆う植物を取り除き、トンボや虫がすみやすい環境を整えます。また、ツバメ調査に取り組む小学校の子どもたちとの交流や、野鳥の貴重な生息地「関渡自然公園」の訪問交流などを行います。
■台湾の小学校によるツバメ調査

基隆市立深美小学校では、グリーン・ホリデーin 台湾に向けて、子どもたちによるツバメ調査が始まりました。2 月から試験的に学校周辺の通りにある巣を数え、周辺環境などを調べました。その結果、軒先がある建物で、タイル地よりもコンクリートの壁面にツバメの巣が多いこと、人や車の通りの多い通りに多いこと、軒先の無いニュータウンにはほとんど無いことなどがわかりました。観察時に住民の気持ちを聞いたところ皆友好的で、巣を除去したいという人はほとんどいなかったそうです。
深美小学校は、1998 年に設立されたニュータウンの学校で、周辺には新しい住宅が増えています。ツバメ調査を通じて、こうした環境変化も身近に感じられました。担当教員は「半都市型の子どもたちにもっと自然を身近に感じてもらいたいと考えていました。グリーン・ホリデーをきっかけにツバメの調査を始め、ツバメだけでなく、まわりの虫や植物、空を飛ぶタカなど、いろいろな生きものに子どもの目が向くようになり、思った以上に大きな効果がありました。」と期待を寄せています。
この調査は、石川県で 40 年以上続いている「ふるさとのツバメ総調査」をモデルに、現地NGOの協力を得て行われており、今後は同校の 4・5 年生 330名が継続的に活動します。
■石川県の小学生による「ふるさとのツバメ総調査」
石川県では、自然に親しむ心を育み、野鳥を愛する気持ちを高め、地域の人々と交流することを目的に、小学生による「ふるさとのツバメ総調査」が昭和 47 年から 40 年以上にわたり毎年行われています。県内の全公立小学校の 6 年生(221 校、約 13,000 人)が参加し、愛鳥週間(5 月 10 日~16 日)に、ツバメの親鳥の数、巣の場所と数などを記録します。国外では、2013 年に韓国の小学校がこの調査方法を取り入れました。台湾での展開は、今回が初めてとなります。
プレスリリース 2014.05.09
~バードウィークには身近な野鳥に関心を寄せて~
日本野鳥の会が減少傾向のヒバリを紹介した
小冊子『ひばりは どこに』を発行、無料でプレゼント
(公財)日本野鳥の会(会長:柳生博、会員・サポーター数:約5 万人)は、5 月10 日からはじまるバードウィークを機に、ぜひ多くの方々に人知れず減少している身近な野鳥に関心を寄せていただき、その生息環境である身近な自然の現状を知っていただきたいと考えています。その一環として、近年減少傾向にあるヒバリについて生態や現状をわかりやすく紹介した小冊子「ひばりは どこに」を1 万部発行し、無料プレゼントを実施します。
ヒバリは、かつては春の風物詩として身近な野鳥であり、その名前を知っている方は多いでしょう。しかし、丈の低い草地を好み開けた原っぱや畑などをすみかにしているヒバリは、高度経済成長に伴う開発や農業の衰退などによる草地環境の減少が原因で、現在では東京都のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定されるほど数を減らしています。ヒバリがいなくなることは、身近な草地をはじめとした自然と、そこにくらす多くの生きものを失ってしまうということなのです。
この小冊子『ひばりは どこに』は、ヒバリの姿や鳴き声、食べ物や生息環境などの生態のほか、減少の理由や保護していくために必要なことなどについて、イラストや写真を使って、わかりやすく説明したものです。また、巻末にはアンケートハガキを綴じ込み、ヒバリについての情報や感想を広く集め、今後の保護活動に役立てる予定です。
身近だったヒバリが、いつの間にかいなくなってしまった――そうならないためには、まずはヒバリをはじめ、身近な自然環境に関心を持つことが大切です。報道各位におかれましては、ぜひヒバリにまつわる状況や冊子についてご紹介いただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。
【小冊子の申し込み方法】
※下記のいずれかの方法でお申し込みください。
- 電 話:03-5436-2630
- FAX:03-5436-2636
- ハガキ:〒141-0031 品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
日本野鳥の会『ヒバリ小冊子』プレゼント係 - ホームページ:当会ホームページ(http://www.wbsj.org)より
<ご記入いただく項目>
1.ヒバリ小冊子希望、2.氏名(フリガナ)、3.生年月日(西暦)、4.性別、5.ご住所(郵便番号必須)、
6.電話番号、7.「ヒバリ小冊子」をどこで知ったか?
公益財団法人日本野鳥の会
担当:会員室 景山 誠 [email protected]
担当:会員室 篠木秀紀 [email protected]
〒141 -0031 東京都品川区西五反田 3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2630(会員室)
FAX:03-5436-2636
URL:http://www.wbsj.org/
補足説明資料
- ヒバリについて
- ヒバリの減少要因について
- バードメイトについて
- バードウィーク(愛鳥週間)とは
- 公益財団法人 日本野鳥の会について
1. ヒバリについて

写真1.ヒバリ (写真/中野泰敬)
体長17cm。淡黄褐色で頭・体の上面・翼・胸には黒い縦斑があり、耳羽は赤褐色。雌雄同色だが、メスは後頭の短い冠羽をあまり立てない。留鳥または漂鳥。
ユーラシア大陸、アフリカ大陸の北部、イギリスなど広範囲にわたって生息し、世界各地の古い詩や物語などにも数多く登場しています。世界的にも減少傾向にあるが、近年、EUではヒバリなどの農耕地に生息する生きものに配慮をした農業に方向転換しつつあります。
地表に巣をつくり、子育てするため、イタチやネコなどの肉食の哺乳類、ヘビやカラスなどが主な天敵。春になると繁殖期を迎えたオスは、メスを呼ぶために切り株にとまったり、舞い上がりホバリング(停空飛翔)したりしながら「フィチフィチフィチ / ピージョルピー チョフチョフチョフ/ピー ジュルジュル…」とさえずります。長いときには、20分間もさえずり続けるといいます。
2. ヒバリの減少要因について
昭和の前半までは、東京都などの都市圏でも大きな原っぱや小さな丘などの緑地があちこちに残っていましたが、高度経済成長期(昭和29年~)になると開発ラッシュにより、そういったヒバリの生息に適した場所に、大規模な集合住宅や商業施設が次々と建設されました。
草地面積は、1960年(昭和35年)代からの20年間で3分の1にまで減少(図1)。農業の衰退とともに草地環境は荒れ(図2)、1990年代になると東京でも武蔵野を中心とした地域でしかヒバリの繁殖が見られなくなり(図3)、現在ではヒバリは東京都版レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。



3. バードメイトについて

写真2.ヒバリのバードメイト画像
サイズ:約2×3cm
バードメイトは、自然保護に楽しく参加していただく寄付のしくみとして1996年から始まりました。毎年野鳥のキャラクターを決めて、一口1,000円のご寄付につき1個オリジナルピンバッジをお届けしています。2014年度は小冊子と合わせてヒバリについて広く普及してくために、バードメイトも「ヒバリ」をモチーフにしました。デザインは、ほのぼのとした世界観で人気のフリーイラストレーター・白石佳子さんです。
バードメイトによる寄付金は、野鳥たちが安心してくらせる環境を守る活動に使われます。
4.バードウィーク(愛鳥週間)とは
野鳥と親しみ、野鳥を通じて自然を大切にする心をはぐくむために設けられた一週間で、1894 年アメリカのペンシルバニア州で 4 月 10 日を「バードデー」としたことが始まり。日本では戦後間もない 1947年 4 月 10 日に第一回「バードデー」が実施され、各地で野鳥と親しむイベントなどが開催されるようになりました。その後、北海道など北国では 4 月上旬にまだ雪が残っていること、より多くの方に親しんでもらうことを考慮し、期間を 5 月 10 日から 16 日までとし「バードウィーク」と改めました。
5. 公益財団法人 日本野鳥の会について (※詳しくは当会ホームページをご参照ください)
自然と人が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国約 5 万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。日本野鳥の会は今年で創設 80 周年を迎えました。
会長:柳生博/会員、サポーター:約 5 万人/連携団体:全国 90 団体/創設:1934 年/
創始者:中西悟堂/1970 年 財団法人に改組。2011 年4月 「公益財団法人日本野鳥の会」として登記
<野鳥や自然を大切に思う心を伝える普及活動>
自然観察の森など、全国8ヵ所の自然系施設に訪れる、年間約 30 万人のビジターに対して野鳥や自然の素晴らしさを普及。イベントの開催や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。また、野鳥や自然のすばらしさを伝える雑誌や小冊子を発行しています。
<野鳥や自然を守る保護活動>
タンチョウ、シマフクロウ、カンムリウミスズメなど絶滅の恐れのある野鳥の保護と生息地の保全を行っています。北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として生息地の保全を進めています。現在、野鳥保護区の面積は 33 か所、2953.3ha で、自然保護団体としては国内最大級です。
国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(ⅠBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っています。
<公益財団法人に登記>
日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し、「特定公益増進法人」として税制上の優遇措置が設定されています。
公益財団法人日本野鳥の会
担当:会員室 景山 誠 [email protected]
担当:会員室 篠木秀紀 [email protected]
〒141 -0031 東京都品川区西五反田 3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2630(会員室)
FAX:03-5436-2636
URL:http://www.wbsj.org/
プレスリリース 2014.04.25
2014年4月25日
2014年4月25日の午後2時に、「公益財団法人日本自然保護協会」、「公益財団法人日本野鳥の会」、「公益財団法人世界自然保護基金ジャパン」の3団体は、環境大臣あてに、持続可能な自然エネルギーの導入促進に対する共同声明を発表し、提出いたしました。
<共同声明要旨>
- 原子力発電所の早期廃止、再生可能な自然エネルギーの導入促進は喫緊の課題である
- 自然エネルギーの推進は、生物多様性及び地域社会と共存する形で行われること
- 自然エネルギーへの理解と継続的な普及のため、当初からの地域社会の参加による透明性のある、合意形成プロセスや環境アセスメントが例外なく実施されること。

以下、共同声明本文
2014年4月25日
持続可能な自然エネルギーの導入促進に対する共同声明
公益財団法人日本自然保護協会
公益財団法人日本野鳥の会
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン
私たちはこれまで、自然環境の持つ許容量を超えて消費を拡大し続けてきた。その結果として、生物の大量絶滅※1)や大量の温室効果ガス排出による地球温暖化の加速※2)など、地球環境に甚大な影響を引き起こしてきた。これまでのような社会形態を維持し続ければ、今の豊かな自然を残すことが困難となることは自明である。
次世代に自然豊かな社会を引き継ぐためにも、自然の恩恵を適切かつ持続的に享受できる社会への転換が必要である。そのためには、地球の温度上昇を産業革命前に比べて2 度未満に抑えるような極めて早期の温室効果ガスの排出削減対策が必要であり、同時に、2050 年には日本の人口が1 億人を下回ることが予測される中では、人口減少社会を基本とした国土デザインが重要※3 )となる。こうした観点から私たち自然保護団体は、持続可能な自然エネルギー推進にあたり以下の点について共同の声明を発表するものである。
-
原子力発電所の早期廃止、再生可能な自然エネルギーの導入促進は喫緊の課題である
原子力発電は一度事故が発生すると、自然環境はもちろん社会環境に対しても不可逆的かつ深刻な影響を及ぼす。このことは、2011年3月11日に発生した東日本大震災に端を発する福島第一原子力発電所の事故により証明された。また、わが国は複数のプレート境界に位置することから、数多くの原子力発電所立地地域には活断層が存在しており、原子力発電所や使用済み核燃料の最終処分場の立地において安全といえる場所は国内には存在しない。将来世代に禍根を残す原子力発電はなるべく早期に廃止していき、エネルギー消費の少ないライフスタイルへの転換と、適切な環境への配慮を伴った再生可能な自然エネルギーの導入に、積極的に取り組んでいく必要がある。 -
自然エネルギーの推進は、生物多様性及び地域社会と共存する形で行われること
生物多様性国家戦略2012-2020によれば、日本の生物多様性は4つの危機にさらされている※ 4 )。その中でも第4 の危機である地球温暖化は、我々の暮らしを支える生物多様性の基盤を根幹から破壊する可能性があり、現代における最大の危機と言える。この解決のために、持続可能な自然エネルギーの導入促進が急務であることは自明である。一方で現代世代を生きる我々の責務は、持続可能な自然エネルギーを中心としたエネルギー供給体制へと早急に社会構造を改善し、豊かな自然環境を後世に引き継ぐことである。ただし、この観点で自然エネルギーの導入のための開発行為が国家戦略でいう生物多様性への第1の危機になってはならない。 -
自然エネルギーへの理解と継続的な普及のため、当初からの地域社会の参加による透明 性のある、合意形成プロセスや環境アセスメントが例外なく実施されること。
自然エネルギーの導入は喫緊の課題であり、より一層の推進が必要である。しかしながら、これまでも各地で自然保護側、事業推進側、また地域側との間でも軋轢や紛争が生じていることは事実であり、自然エネルギーの導入を長期的に見た場合、決して望ましい状況ではない。
その解決のためには、これまでよりもさらに透明性が高い合意形成プロセスを事業計画の当初から組み込み、環境影響評価の手続きの中に導入していくことが重要である※5 ) 。つまり、事業の立案および計画の段階から公開の場で、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など広く利害関係者を交え、その地域の環境維持と地域経済維持にふさわしい規模や場所を議論し事業計画を決定していくという合意形成プロセスを踏まえることが必要であり、このことこそが本来的な環境アセスメントの手続きである。こうしたプロセスを例外なく実施すべきである。ただし、その際には、エネルギー全体の中で自然エネルギーの導入にとって極端に不利になることを避けるようなプロセスの合理化が必要であり、真に持続可能な自然エネルギー体制を作り上げるような強力かつ透明性のあるプロセスの設立が急務である。
以上
<参考>
1) 生物の大量絶滅に関しては、Eco-Economy-Update 2004-1
(http://www.worldwatch-japan.org/NEWS/ecoeconomyupdate2004-1.htm) で過去五回に匹敵するほどの大量絶滅を迎えようとしているという生物学者たちの共通した見解が示されている。
2) 地球の温暖化に関しては、その実態を客観的・科学的に分析・提言する国際機関であるIPCC ( 気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書により評価されている。最新の第5 次評価報告書では、20 世紀半ば以降の地球の温暖化傾向については、人為的な影響による可能性が極めて高いと評価(95%以上の発生確率) 。2100 年までには、1986~2005 年の世界平均地上気温と比較して最大で4.8℃ の上昇が指摘されている。
3) 地球環境の指標の一つ「エコロジカルフットプリント」によれば、現在、地球1.5 個分の消費をしており、「自然環境の持つ許容量を超えた」現状が明らかになっている。
4) 生物多様性の4つの危機は、最新の「生物多様性国家戦略2012-2020 」により指摘されている。また、生物多様性基本法、(基本原則) 第3 条5 項「生物の多様性の保全及び持続可能な利用は地球温暖化の防止等に資するとの認識の下に行われなければならない。」と記述されている。なお、第1 の危機は、開発や乱獲による種の減少や絶滅および生息・生育地の減少。第2 の危機は、里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下。第3 の危機は、外来種による生態系のかく乱。そして第4 の危機が、温暖化による地球環境の変化による危機である。
5) 環境アセスメントの実施は、「生物多様性基本法、第25 条( 事業計画の立案の段階等での生物の多様性に係る環境影響評価の推進)」で記述されている。
<本件に関する連絡先>
- (公財)日本自然保護協会(保護・研究部: 辻村033553-4103)
- (公財)日本野鳥の会(自然保護室: 浦・葉山03-5436-2633)
- (公財)世界自然保護基金ジャパン(自然保護室: 市川03-3769-3509 ・草刈03-3769-1711)
プレスリリース 2014.04.28
2014年4月28日
日本野鳥の会のツバメ全国調査
2013年の調査結果―大都市では、多くのヒナを育てられない!今年も全国調査を実施、とくに地方からのツバメ子育て情報求む
(公財)日本野鳥の会(会長:柳生博、会員・サポーター数:約 5万人)は、近年減少傾向にあるツバメの現状を明らかにするため、2012年より広く全国に呼びかけてツバメの調査を行なっています。2012年の調査では、約 4 割の方が「ツバメが減っている」と感じており、減少の一因として不衛生を理由に人が巣を落としてしまう例が数多く報告されました(*2)。
この結果を受け、2013 年には「ツバメの巣を落とさず、子育てを見守って」と全国に広く呼びかけるとともに、特設ホームページにツバメの子育ての様子を観察し記録していただく「ツバメの子育て状況調査」を実施しました。その結果、全国から 1,437 巣の情報が寄せられ、くわしく分析した結果、ツバメの子育ての現状について次のことがわかりました。
- 大都市では多くのヒナを育てられない
巣立ちヒナ数と都市化との関係を分析したところ、都市では巣立ちビナが少ないことがわかりました。特に首都圏では、都心と郊外を比較すると1巣あたり約 1 羽分も少なくなっていました。都心で巣立つヒナの数が郊外に比べて少ないのは、都市化がツバメの子育てにとって厳しい環境であることを示唆しています(*3)。 - 都市のツバメにとって、緑地は「子育ての命綱」
都心でヒナの数が少ない理由として、エサの量が不足していることが考えられます。都心部の巣立ちヒナ数と巣の周辺環境との関係を分析したところ、点在する緑地がプラスに働いていました。エサを捕るのに適した田畑が少ない都心部では、小さくても公園などの緑地がツバメの子育ての支えになっていると考えられます(*3)。
◆今年も「ツバメ子育て状況調査」を実施、とくに地方からの情報提供にご協力を!
これまで集まったデータは、東京都や神奈川県などの大都市圏から多く寄せられており、大都市でのツバメの子育ての状況は見えてきました。しかし、地方都市や農村部などの里地里山が多く残る地域からの情報が少なく、ツバメ本来の生息環境での繁殖状況までは分析できていません。
そこで、3 年目となる今年も広く全国に呼びかけて「ツバメの子育て状況調査 2014」(*5)を実施し、都市部に加えとくに地方から情報をお寄せいただき、地方を含めた全国の子育て状況を明らかにできればと考えています。
また、ツバメのフン対策やカラスから守る方法など、ツバメの子育てを見守るノウハウを満載した小冊子「あなたもツバメ子育て応援団」(*6)の希望者への無料配布や、ツバメの目撃情報を集める「あなたの町のツバメ情報」も、引き続き実施します。
日本野鳥の会では、これらの取り組みを通じて、ツバメを見守ってくれる人々を増やし、人と自然の共存の象徴であるツバメが、いつまでも日本で子育てできる社会を目指します。
*は補足説明資料の各番号を参照
公益財団法人日本野鳥の会
担当: 自然保護室
葉山政治 [email protected]
荒 哲平 [email protected]
〒141 -0031 東京都品川区西五反田 3-9-23 丸和ビル
TEL:03-54362622
URL:http://www.wbsj.org/
補足説明資料
- ツバメについて
- 日本野鳥の会のツバメ全国調査 2012 結果報告
- ツバメの子育て状況調査 2013 結果報告
- ツバメの子育て状況調査 2014 ~2014 年は特に地方からの情報収集に力を入れます~
- 「ツバメの子育て状況調査」での調査方法
- 子育て見守りハンドブック「あなたもツバメ子育て応援団」について
- 公益財団法人日本野鳥の会について
1.ツバメについて
ツバメは、全長17㎝程度、長く切れ込みの入った尾羽が特徴。ユーラシア大陸と北米の広い範囲で繁殖して、冬には熱帯に渡って過ごします。日本では種子島以北の日本全土に夏鳥として渡来します。北海道では南部をのぞき、数は少ない傾向があります。
ツバメはめったに地上に降りることはなく、(ハチ、ハエ、アブ、トンボなど)の昆虫を空中で飛びながら捕食します。また、飛びながら水面をひっかくように口を開けて水を飲みます。
繁殖期は 4 月から 8 月で、一夫一妻で年に1回から2回繁殖をします。ひなは巣立ち後、数日間は巣の近くにいて、親鳥から餌をもらいます。2週間ほどたつと、親鳥から離れて、水辺のヨシ原などで、集団で夜を過ごすようになります。この集団ねぐらは数千~数万羽になることもあります。東京近郊では6月中旬ごろから集団ねぐらに集まるようになり、7月下旬~8月上旬が最大になります。8月頃から10月頃に東南アジアに渡っていきます。

写真1.水田を飛翔しているツバメ(写真/佐藤信敏)
2.日本野鳥の会のツバメ全国調査2012結果報告~消えつつあるのは人とツバメのつながりでした~
◇はじめに
近年減少傾向にあるといわれているツバメの現状を明らかにし、その背景にどのような原因があるのか把握することを目的に、広く全国にツバメの目撃情報の協力を呼びかけました。
その結果、全国から合計8,402件のツバメ情報が寄せられ、ツバメの現状について次のことが分かりました。

◇ツバメ全国調査 2012 調査結果
(1)ツバメの全国分布は大きな変化なし― 回答者の 99%がツバメを確認
全国すべての都道府県から 8,402 件 (一般目撃調査:6,867 件、詳細調査: 1,535 件)の情報が寄せられ、そのうち一般目撃調査の回答者の 99%がツバメを確認し、86%が営巣を確認していました(図1)。この結果を鳥類繁殖分布調査(環境省2004)と比較したところ、現時点では特に分布が縮小している傾向は認められませんでした。

(2)都市でもたくましく生きるツバメ、しかし数は減少?―回答者の 39%が減少と感じる
ツバメ生息の情報は首都圏、京阪神などから多く寄せられ、都市部でもたくましく生きているようです。しかし、回答者のうち39%は、ここ10年間でツバメが減少したと回答しており、分布は変わらないものの、多くの地域で個体数が減少している可能性が示唆されました(図2)。
(3)ツバメ減少の要因は、カラスによる影響、人による巣の撤去が上位に
ツバメ減少の要因として、自由表記で回答のあった 933 件の情報のうち、カラスによる影響が296件、また糞で汚れるなどの理由から巣が人の手で落とされる事例が216件寄せられ、上位を占めました。地図でみると、2つの要因は都市近郊で多く見られました。


◇ツバメ全国調査2012 考察・まとめ
2012年の調査の結果、ツバメは全国でたくましく生きているものの、多くの地域で減少している可能性があることがわかりました。減少要因としてカラスの影響や人が巣を撤去する報告が多く寄せられたことから、これらによってツバメの繁殖が阻害され、減少の一因になっている可能性が考えられます。
人による巣の撤去はもちろん、カラスも人が出すゴミで増加していると言われており、いずれも私たちの生活様式の変化や、受け入れる人の心の変化によって、ツバメの子育てが難しくなっていると思われます。「人と自然の共存を象徴する野鳥」であるツバメが、いつまでも日本で子育てを続けられるように、私たちはライフスタイルや身近な自然について考える必要があるのではないでしょうか。
3.ツバメの子育て状況調査 2013 結果報告
2012 年の調査の結果を受けて、2013 年にはツバメの繁殖がうまくいっているのかどうかを調べました。調査は「ツバメの子育て全国調査」という特設ホームページを作成し、全国に広く参加を呼びかけて実施しました。参加者は、地図上に自分の観察する巣を登録し、繁殖ステージの記録をしてもらうとともに、何羽の雛が無事に巣立ったのか、失敗した場合どのような原因かを報告してもらう方法で行いました。その結果、全国で合計 1,437 個の巣で、ツバメ繁殖の状況を確認することができ、以下のことが分かりました。
(1)大都市では多くのヒナを育てられない
全国から寄せられた 1,437 巣の中から、一番仔の巣立ちに成功した 678 巣について解析を行いました。ツバメの巣のある場所が、どの程度都市化しているかをみるために、巣のある三次メッシュ(約 1km 四方)で建物用地がどの程度の割合を占めているかと、巣立ちに成功した巣の一番仔の巣立ちヒナ数の関係を見てみました。建物用地が20%未満の地域では平均巣立ちヒナ数4.28羽、建物用地が 80%以上の地域では平均巣立ちヒナ数 3.87 羽となり有意な差が認められました。全体的な傾向としても都市化が進んだ地域で巣立ちヒナ数が少なく傾向にあることがわかりました。ある程度以上都市化の進んだ場所は、ツバメにとって多くのヒナを育てることが難しくなる状況が見えてきました。

(2)首都圏でツバメの子育てを支える環境
子育てに失敗した割合は、建物用地率の大小にあまり関係が見られませんでした。逆に建物用地率が 40%以下の場合、それ以上の地域よりも子育てに失敗する割合が高くなっています。このことから都市では、巣作りに向いた建物や巣材が得にくいということは理由として考えにくいといえます。育て上げることのできるヒナに数が少ない理由としては、ヒナに与えることのできる食べ物の量が不足している事が考えられます。そこで、データが多く集まった首都圏の巣について、首都圏整備法に基づくエリア区分(図7)を利用して、巣立ちヒナ数を比較してみると、やはり都心では有意に巣立ちひな数が少ないことがわかりました。
どのような環境がツバメの子育てを支えているかを知るために、巣の周辺 500mの範囲にある環境要素(農地や緑地、水辺など)のどれが、プラスに働いているかをモデル選択で検討してみました(表2)。その結果、林や緑地の外周の長さが効いていることがわかりました。都心では、公園などの緑地の林縁で風にのって昆虫を捉えている姿をよく見かけます。エサ条件の厳しい都市では、小さくても緑地の存在がツバメの子育てを助けていることが見えてきました。



4.ツバメの子育て状況調査 2014 ~2014 年は特に地方からの情報収集に力を入れます~
2013 年に集まったデータは、東京都、神奈川県など首都圏をはじめとした大都市圏から多く寄せられており、大都市でのツバメの子育て状況は見えてきました。しかし、地方都市や農村部など里地里山が多く残る地域からの情報が少なく、ツバメ本来の生息環境での子育て状況は分析できていません。キャンペーン最後の年となる今年は、ぜひ地方からも多くの情報をお寄せいただき、地方を含めた全国の子育て状況を明らかにできればと考えています。

5.「ツバメの子育て状況調査」での調査方法
(1)調査方法
ツバメの子育ての状況を記録する専用ウェブサイトを設置し、全国から情報を集めました。

インターネットにアクセスすることができればどなたでも参加できる調査です。より多くの方に参加いただけるようスマートフォンにも対応しています。参加者は継続して同じ巣を観察し、子育ての状況を観察日記のように記録していただくことで、その巣からの巣立ちヒナ数や、繁殖に失敗した場合はどの繁殖ステージで失敗したのか、失敗の原因は何かの情報を収集し、それを元にツバメの子育ての現状や減少傾向にあるのかを調べます。
参加者はツバメの子育ての情報を記録して共有することができ、ツバメの子育てを見守りつつ、保護のための情報を蓄積することができます。2013 年度には、全国で 1,437 巣を観察していただき、678 巣で巣立ちまでの追跡が出来ました。
(2)「ツバメの子育て状況調査」の特徴
- 観察する巣が地図上に登録されるため、正確な位置がわかり、周辺環境との関係を見ることができます。
- 1巣あたりの巣立ちヒナ数を全国的に把握することができます。
- 繁殖に失敗した場合の原因やそのステージを知ることができます。
- パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットでも気軽に参加でき、全国からの情報を得やすくしています。
- 楽しんで参加いただけるように、全国から寄せられたツバメの巣の情報をリアルタイムで共有することができます。
URL:http://tsubame.torimikke.net/
検索:「日本野鳥の会 ツバメをまもろう」または「ツバメの子育て状況調査」
6.子育て見守りハンドブック「あなたもツバメ子育て応援団」について

ツバメの子育てを見守ってくれる方を増やしてくため、子育て見守りハンドブック「あなたもツバメ子育て応援団」を無償で配布しています。
このハンドブックは、ツバメの生態や、ツバメが現在直面している問題、また「カラスから守る方法は?」、「巣を落とそうとしている人には、どうしたらいい?」などツバメの子育を応援するために役立つ情報について、かわいいイラストや写真を使用して、分かりやすく解説しています。このハンドブックを手に、ぜひあなたのまわりの方々にも声をかけ、たくさんの方に巣を落とさずに子育てを見守っていただければと思います。
報道関係各位におかれましては、告知・報道へのご協力をお願いいたします。
◇申し込み先
①住所 ②氏名 ③電話番号
*可能であれば、④どこでこのプレゼント企画をご覧になったかを明記して、次のいずれかの方法で「ツバメ子育て見守りハンドブックプレゼント」係にお申し込みください。
- 電話:03-5436-2630
- FAX :03-5436-2636
- ハガキ:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル公益財団法人日本野鳥の会 ツバメ子育て見守りハンドブックプレゼント 係
- ホームページ:当会ホームページ(http://www.wbsj.org/)のツバメ特設ページより
7.公益財団法人 日本野鳥の会について
※詳しくは当会ホームページをご参照ください
自然と人が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国約 5万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。
- 会長:柳生博 会員、サポーター約5万人
- 創設:1934年 ・創始者:中西悟堂 ・連携団体:全国90団体
- 1970年 財団法人に改組。 ・2011年4月 「公益財団法人日本野鳥の会」として登記
<野鳥や自然を大切に思う心を伝える普及活動>
- 自然観察の森など、全国8ヵ所の自然系施設に訪れる、年間約30万人のビジター対して野鳥や自然の素晴らしさを伝えています。
- 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。
- 野鳥や自然のすばらしさを伝える雑誌や小冊子を発行しています。
<野鳥や自然を守る保護活動>
- タンチョウ、シマフクロウ、カンムリウミスズメなど絶滅の恐れのある野鳥の保護と生息地の保全を行っています。
- 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として生息地の保全を進めています。現在、野鳥保護区の面積は33か所、2953.3haで、自然保護団体としては国内最大級です。
- 国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(ⅠBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っています。
<公益財団法人に登記>
- 日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し、「特定公益増進法人」として税制上の優遇措置が設定されています。
公益財団法人日本野鳥の会
担当: 自然保護室
葉山政治 [email protected]
荒 哲平 [email protected]
〒141 -0031 東京都品川区西五反田 3-9-23 丸和ビル
TEL:03-54362622
URL:http://www.wbsj.org/
プレスリリース 2014.02.12
2014年2月12日
日本野鳥の会もりおか(代表 中村茂)と公益財団法人日本野鳥の会(理事長 佐藤仁志)は、2月12日、盛岡市北部で計画されている「姫神ウィンドパーク事業」(エコ・パワー株式会社)について、イヌワシなどの希少猛禽類の繁殖や採餌行動に影響を与え、渡り鳥の経路についても影響を及ぼす恐れが大きいことから、事業区域や実施位置の見直し、風車の基数、設置位置の見直しを求めるエコ・パワー株式会社に要望書を提出しました。また、環境大臣に対して適切な指導を求める要望書を提出しました。
平成26年2月12日
日本野鳥の会もりおか
支部長 中村茂
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
環境大臣 石原伸晃殿
「姫神ウインドパーク」事業予定地となる盛岡市玉山地区に生息する猛禽類と各種渡り鳥の保全に関する要望書
平素より日本野鳥の会の環境保全活動に関してご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げております。盛岡市玉山区から岩手町川口地区にまたがる地域に計画されている「姫神ウインドパーク」事業について、稀少鳥類の生息する本地域の自然環境の保全のため、対象事業実施区域および事業内容の抜本的見直しを事業当事者のエコ・パワー株式会社に対して行政指導して頂くよう強く要望いたします。
1. 要望内容
- 平成24年9月21日付けで出された環境大臣意見書に沿って事業実施計画の確定に先立ち改めて十分な環境影響評価を実施し、特に動物及び植物に対する環境影響を可能な限り回避するよう、現在の姫神ウインドパーク事業計画を見直すように、エコ・パワー株式会社に対して行政指導をいただくこと。
- エコ・パワー株式会社の事業計画の見直し内容を検討いただくにあたり、本地域において絶滅危惧種イヌワシをはじめとする多様な猛禽類が高い頻度で観察されていることに配慮し、それらの採餌活動や生殖活動に影響を及ぼさず、衝突死を起こす恐れの少ない事業案であることをご確認いただくこと。
特に風力発電装置の設置区域を猛禽類の生息地域や渡り鳥の渡りの経路からできるだけ遠ざける施設配置となっているか、かつ野鳥の衝突死の起こりにくい形状や大きさの風力発電装置を設置することになっているか、などの検討がなされていることを是非ご確認いただきたいこと。 - もし、エコ・パワー株式会社における改訂後の事業実施計画においても、上記の第2項目の問題点に改善が見られない場合には、さらなる改善案の検討をエコ・パワー株式会社に強くご指導いただくこと。
2.要望の背景
岩手県盛岡市北部の玉山地区から岩手町川口地区にかけては山林・牧野・農耕地・河川・湖水等の混在した豊かな自然環境があり、特に本事業の対象実施区域は姫神山南麓の標高900m前後の尾根に位置し、外山早坂高原県立自然公園にも隣接しております。従って、この地域では一年を通して多様な野鳥が観察されます。春から夏にかけてはキビタキ、ノビタキ、ノジコ、オオジシギなどの数多くの夏鳥が繁殖し、春や秋にはこの地区の上空でオオハクチョウ、マガンなどの渡りが見られますし、小型の様々な渡り鳥が春や秋にこの地区を通って渡りを行っていることも知られています。また、この地域はベニマシコ、ツグミなどの冬鳥の重要な越冬地でもあります。さらにこの地域には、モズ、ヤマドリなどの留鳥も数多く生息しており、日本野鳥の会もりおかのこれまでの調査では、合計150種以上の野鳥が確認されております。
なかでもこの地域で特筆すべきは、数多くの猛禽類が観測されている点です。生態系の頂点に位置する猛禽類の多様性は、その自然環境の豊かさの指標ともいえるものでありますが、この地域ではノスリ、ハイタカ、ハチクマ、クマタカ、ハヤブサ等の様々な猛禽類が観察されております。
特に私どものこれまでの調査結果によれば、この地域の広範囲な山林牧野は、我が国の天然記念物であるイヌワシの生息地であり、複数のイヌワシが定期的に採餌等の活動を行う重要な場所であることが明らかになっています。イヌワシは、環境省が第4次レッドデータリストの中で「絶滅危惧IB類」と指定している野鳥であり、日本全国でおよそ400羽が生息すると推定されています。しかも自然環境の豊かな岩手県にはそのうちの約20%が確認されて、岩手県内のイヌワシ生息地の保全は日本国内のイヌワシの種の維持のためにも重要かつ不可欠です。岩手県の県庁所在地にイヌワシが生息することは盛岡市民にとっての誇りであり、多くの盛岡市民がイヌワシ保護を強く望んでおり、盛岡市ではこれを受けて、平成7年から3カ年でイヌワシ生息地を保全するために、近隣の営巣地一帯を市有地として取得しています。
しかるに、エコ・パワー株式会社が平成24年5月に公表した「姫神ウインドパーク」事業計画によれば、この地域に20基もの風力発電用風車が建設されることになっています。すでに、全国各地の風力発電事業が野鳥の生息環境を損なっていることは広く指摘されていることですが、特に問題となるのは、自然の風を利用して生息している野生鳥類、特にイヌワシ等の猛禽類が高速で回転する風車に衝突して死亡するケース(いわゆるバードストライク)です。既に岩手県では、釜石広域ウインドファームにおいて、2008年9月にイヌワシ成鳥1羽が風車に衝突死しており、日本野鳥の会岩手県連絡協議会はこの事態を憂慮し、2008年12月8日付で事業主、岩手県知事及び環境省東北地方環境事務所長に対し、イヌワシ衝突の再発防止に関する要望書を提出しています。
以上のことからも、この地域に大規模風力発電施設の建設を行えば、イヌワシに代表される稀少鳥類の生息において、採餌活動や繁殖活動の阻害、衝突死、渡りの阻害や渡り経路の遮断要因となるなどの悪影響は避けられません。私ども日本野鳥の会は、これからの日本のエネルギー資源として風力や太陽光等の自然エネルギーの積極的利用に基本的に賛成しています。しかし、それらの設置や運用が自然環境に負荷を与える恐れがある場合には、その負荷をできるだけ小さくするように設置計画を見直すべきであると考えます。そのため、日本野鳥の会もりおかは本事業の事業者であるエコ・パワー株式会社に対して、本計画の全面的見直しを強く求めています。環境省におかれても、稀少鳥獣保護の立場からエコ・パワー株式会社に対して、本計画の全面的見直しを行政指導していただくよう強く要望するものであります。
本件に関する問い合わせ先
日本野鳥の会もりおか
支部長 中村茂(TEL: 019-662-7151)
事務局 柴田俊夫(TEL: 019-622-9976)
日本野鳥の会自然保護室(TEL: 03-5436-2633、担当:浦達也)
以上
日野鳥発第 74 号
平成26年2月12日
日本野鳥の会もりおか
代表 中村 茂
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
エコ・パワー株式会社
代表取締役社長 周布兼定 殿
「姫神ウインドパーク事業」の対象事業実施区域である
盛岡市玉山地区に生息する希少猛禽類と渡り鳥の保全に関する要望書
貴社が計画されている「姫神ウインドパーク事業」について、対象事業実施区域の位置および風力発電機の設置基数や設置位置など事業内容を見直されることを強く要望いたします。
記
1.要望内容
(1) 環境影響評価書の確定に先立ち、平成24年9月21日付けで提出された環境省意見に沿うようにあらためて十分な環境影響評価を実施し、特に動物および植物に対する環境影響を可能な限り回避するよう、「姫神ウインドパーク事業」の対象事業実施区域の位置そのものを見直す、または地元の自然保護団体を含めた専門家の意見を聞きながら対象事業実施区域内における風車の設置基数や設置位置を見直し、希少猛禽類の生息に影響のない計画にすること。
(2) イヌワシなどの希少猛禽類が高い頻度で観察される場所において、その生息に影響のないよう対象事業実施区域の位置および設置基数や設置位置を見直すにあたっては、それらの採餌活動や繁殖活動に影響を及ぼさず衝突死を起こす恐れの少ない事業計画案を検討すること。特に風車の設置位置を猛禽類の生息地域や渡り鳥の経路からできる限り遠ざけ、かつ野鳥の衝突死の起こりにくい形状および大きさの風車を設置するなどの検討を行なうこと。
2.要望の背景
(1)整備予定地域の豊かな自然
1)整備予定地域の豊かな自然
岩手県盛岡市北部の玉山地区から岩手町川口地区にかけては、山林・牧野・農耕地・河川・湖水等が組み合わさった豊かな自然環境が存在しています。
特に本事業の対象実施区域は姫神山南麓にある標高900m前後の尾根に位置し、外山早坂高原県立自然公園に隣接しています。
この地域では、一年を通して多種多様な野鳥が観察され、例えば、春から夏にかけてはキビタキ、ノビタキ、ノジコ、オオジシギなど数多くの夏鳥が繁殖し、春と秋はオオハクチョウやマガンのほか、様々な小型の渡り鳥がこの地域を通過することが知られています。さらに、この地域にはモズ、ヤマドリなどの留鳥も数多く生息しており、また、ベニマシコ、ツグミなどの冬鳥にとって重要な越冬地となっています。
これまでの「日本野鳥の会もりおか」による鳥類調査によると、合計150種以上の野鳥が確認されており、中でもこの地域において特筆すべきことは、数多くの猛禽類が観測されている点で、これまでにクマタカ、ハヤブサ、ハチクマ、ハイタカ、ノスリなど様々な猛禽類が観察されており、このような生態系の頂点に位置する猛禽類の多様性は、その自然環境の豊かさの指標となっております。
2)天然記念物 イヌワシの生息地であること。
特に私どものこれまでの調査結果では、対象事業実施区域を含む広範な山林牧野は我が国の天然記念物であるイヌワシの生息地となっており、複数のイヌワシが定期的に採餌等の活動を行う重要な場所であることが明らかになっています。
環境省はレッドデータリストでイヌワシを「絶滅危惧IB類」に指定しており、日本全国でおよそ400羽しか生息していないと推定され、自然環境の豊かな岩手県ではそのうちの約20%の生息が確認されていることから、岩手県内のイヌワシ生息地の保全は日本国内のイヌワシの種の維持のために不可欠なものになっています。
とりわけ、岩手県の県庁所在地である盛岡市内にイヌワシが生息することは市民にとっての誇りでもあり、多くの盛岡市民がイヌワシの保護を強く望んでおり、盛岡市ではこれを受けて平成7年から3カ年で、イヌワシ生息地を保全するため、近隣の営巣地一帯を市有地として取得しています。
(2)「姫神ウインドパーク事業」計画案では、イヌワシをはじめ、特に希少猛禽類に及ぼす影響が甚大であると懸念されること。
一方、貴社が平成24年5月に公表した「姫神ウインドパーク事業」の計画案では、このイヌワシの生息地に20基もの風力発電用風車を建設することになっています。
すでに全国各地の風力発電事業が野鳥の生命そのものを脅かし、また、生息環境を損なっていることが広く指摘されていますが、特に問題となるのは、自然の風を利用して生息している鳥類、特にイヌワシ等の希少猛禽類が風車に衝突死するバードストライクです。
既に岩手県では、釜石広域ウインドファームにおいて2008年9月にイヌワシの成鳥1羽が風車に衝突死しており、日本野鳥の会岩手県連絡協議会はこの事態を憂慮し、2008年12月8日付で事業者、岩手県知事、環境省東北地方環境事務所長宛てに、イヌワシの衝突死事故の再発防止に関する要望書を提出しています。
(3) 日本野鳥の会もりおか及び日本野鳥の会の立場と見解
私ども日本野鳥の会もりおか及び日本野鳥の会は、これからの日本のエネルギー資源として風力や太陽光等の自然エネルギーの積極的利用には基本的に賛同しています。
しかし、それらの設置や運用が自然環境に負荷を与える恐れがある場合には、その負荷をできるだけ小さくするよう、設置計画に対して中止を含めた必要な見直しを求めていきます。
とりわけ、これまでに述べたとおり、現行の計画案のままこの地域に大規模風力発電施設の建設を行えば、イヌワシに代表される稀少鳥類の生息に対して、採餌活動や繁殖活動の阻害、衝突死、渡りルートの阻害や遮断の要因となるなどの影響は避けられません。
このため、日本野鳥の会もりおか及び日本野鳥の会は、本事業の事業者である貴社に対し、まず、対象事業実施区域の位置そのものを全面的に見直していただくよう強く要望するものです。
おって、この要望書提出に際しては、環境省・岩手県・盛岡市など、関係行政機関等にも、提出した要望書の内容等を送付していますので、念のため申し添えます。
以上
要望書提出先
エコ・パワー株式会社 代表取締役社長 周布兼定殿
東京都品川区大崎1-6-1 TOC大崎ビルディング1号棟
本件に関する問い合わせ先
日本野鳥の会もりおか
代表 中村茂(TEL: 019-662-7151)
事務局 柴田俊夫(TEL: 019-622-9976)
日本野鳥の会自然保護室(TEL: 03-5436-2633/担当:浦達也)
プレスリリース 2014.01.31
2014年1月31日
報道機関各位
日本野鳥の会東京
公益財団法人日本野鳥の会
東京都知事選立候補者に対する2020年東京オリンピック・パラリンピック大会、カヌースラローム会場予定地に関する公開質問状回答結果
私達は、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会のカヌースラローム競技施設が、葛西臨海公園に計画されていることに対して、豊かな自然環境を損ない、都民が自然と触れ合う場所を奪うものとして、計画の変更を求めてまいりました。
この度の東京都知事選挙に際し、各立候補者に公開質問状を送付し、この問題に対する候補者の見解を求めてまいりました。29日を回答期限としておりましたので、回答を取りまとめ報告いたします。
回答を頂いた各候補者からは、慎重な意見も含めて一定の前向きの回答を頂いたので、都知事が決定後、東京都やオリンピック組織委員会と協議を継続し、計画を実現し環境と調和した開催の実現を目指します。
2014年1月31日 日本野鳥の会東京・(公財)日本野鳥の会
葛西臨海公園2020 年オリンピックカヌー競技場整備計画
に関する公開質問状の回答報告
日本野鳥の会東京と公益財団法人日本野鳥の会は、葛西臨海公園における2020 年オリンピックカヌー競技場整備計画に関して、東京都知事選立候補者に対して公開質問状を提出しました。
その結果を報告いたします。(立候補者名は全て届け出順)
| 回答あり | 回答なし |
| 宇都宮けんじ | 田母神としお |
| ドクター・中松 | |
| ますぞえ要一 | |
| 細川護熙 |
※下記の立候補者は、連絡先不明により未送付
ひめじけんじ、鈴木たつお、中川智晴、マック赤坂、家入かずま、ないとうひさお、金子博、
五十嵐政一、酒向英一、松山親憲、根上隆
【質問事項】
(1)あなたは葛西臨海公園に2020 年オリンピックカヌーカヌー競技場整備計画されていることについて、どのような見解をお持ちですか。
| 宇都宮けんじ | 再検討が必要 | 私は前回の都知事選の際と今回と、2度にわたって葛西臨海公園を視察し、再生された緑地と豊かな生態系、そしてそれを心から楽しむ市民の方々の姿を目の当たりにした。環境に調和したオリンピックという理念からいっても、現行計画は抜本的に再検討することが必要であろうと思う。 |
| ドクター・中松 | 再検討が必要 | 現状の計画が、IOCの精神「環境と調和した開催」に反しているため、再検討が必要。 |
| ますぞえ要一 | その他 | 競技会場の計画は、オリンピックのルール・基準に基づき、競技団体の承認等を経てまとめられ、IOCへ提出されたものと聞いている。知事に就任した暁には、まずは、都の関係部局から良く説明を聞きたい。 |
| 細川護熙 | – | 「派手な施設を誇示するオリンピックではなく、水と緑に囲まれ、日本らしい簡素で優美なオリンピックを目指す」との政策を公表している。 |
(2)当会は、現状の整備計画では同公園内の貴重な自然の多くが失われるとして、中央防波堤や東京湾内への計画地移転を求めております。
なかでも現計画地の隣の葛西水再生センター用地は、これまで検討されていた新火力発電所整備が今回断念されたことにより、新たな「適地の一つ」と考えられますが、あなたはどう思われますか。貴職が知事に当選された際には、関係部局等に対して柔軟な検討・対応をご指示いただけますか。
(2)の回答
| 宇都宮けんじ | 最大限、柔軟に対応するよう、各都局に指示する | これからのオリンピックのあり方として、私はコンパクトで環境と調和していることを提唱している。私が都知事となった時には、この理念に基づき、ご提案の葛西水再生センター用地を含め、既存施設や都有地の活用など、柔軟な検討と調整を関係各部局に指示する。 |
| ドクター・中松 | 最大限、柔軟に対応するよう、各都局に指示する | 火力発電所という環境と調和しない最たるものが整備断念した地に、環境と調和したカヌー競技場を整備することは大変意義がある。 |
| ますぞえ要一 | その他 | まずは、都の関係部局から良く説明を聞きたい。 |
| 細川護熙 | – | 知事就任後に、当会の意見を参考にしながら、さらによく検討し、判断していく。 |
(3)カヌー競技場の現計画地では現在、実施段階の環境影響評価が進行しておりますが、並行して代替地での影響評価を進め、影響がより少ないと判断される場所を選定する手法が、より多くの方の理解を得られると思います。あなたは代替地の環境影響評価を並行して進めることについて、どう思われますか。
| 宇都宮けんじ | 大きな影響があるとの懸念がある計画地については、代わりの候補地についても並行して調査すべき | オリンピック立候補ファイルには、「都市の緑化を促進させる契機」にすると、招致委員会は記載している。ならば、自然公園を壊すことは避け、代替用地を用いることが検討されてしかるべき。特に、招致ファイルには、当競技会場の工事開始予定日は2017年12月と、新規工事の中ではかなり遅く、時期的に余裕があることからも、代替地の検討に現実味があると考えている。 |
| ドクター・中松 | 大きな影響があるとの懸念がある計画地については、代わりの候補地についても並行して調査すべき | – |
| ますぞえ要一 | その他 | 現計画について、自然環境の調査を行い、環境影響評価を行うべき。具体的内容等については、まずは都の関係部局から良く話を聞いてから検討したい。 |
| 細川護熙 | – | – |
(4)首都東京での葛西臨海公園の自然の価値や、葛西臨海公園でのカヌー競技場整備計画について、どのような内容でも結構ですのでご意見をお聞かせください。
| 宇都宮けんじ | 「江戸前」の豊かな海洋環境を取り戻し、葛西臨海公園を一つのモデルとして、臨海部を都民の憩いの場として再生させて将来の世代に手渡していきたいと考えている。オリンピックはそのための契機とすべきであり、大型開発のチャンスと捉えるべきではない。オリンピック終了後の施設のあり方を含め、環境面でも、維持費用の面でも、市民が納得できる計画が必要である。当公園のように、長年市民の手が加わることで育まれ、守られてきた生態系が都心の近くにあることは、これからの時代の自然と人間の調和においてシンボリックな意味を持つと思っている。 |
| ドクター・中松 | 東京都の貴重な緑と動植物を守り、環境と調和したカヌー競技場を整備することが必要。 |
| ますぞえ要一 | 各競技場の整備については、今後、しっかりと準備を進め、史上最高の五輪を実現したい。 |
| 細川護熙 | 日本野鳥の会が計画について懸念していることは、よく承知している。 |
【参考資料】
プレスリリース 2013.12.17
日本野鳥の会 日本野鳥の会 創立 80 周年記念写真展 写真募集
日本野鳥の会(会長:柳生博、会員・サポーター数:約5万人、事務所:東京都品川区)は、2014年に創立80周年を迎えます。それを記念し、2014年10月に写真展を開催することとなりました。この写真展は、未来に残していきたい野鳥と野鳥のいる風景を全国の野鳥写真愛好家の方々からご応募いただき、写真展として多くの方々に見ていただこうというものです。これまでの80年を振り返りながら、今後の野鳥保護への決意を新たにしていく機会にしたいと考えております。あわせてこの写真募集を通して、野鳥写真撮影の際に配慮すべきマナーについて、写真愛好家の方々に知っていただけましたら幸いです。
ぜひ、たくさんのご応募をいただきたく、本件の告知にご協力くださいますようお願い致します。
■写真募集の概要


- 【テーマ】
- 「未来に残したい鳥風景」
当会が80周年を迎える今、この時代に生きる野鳥とその生育環境をとらえた作品をご応募ください。 - 【お願い】
- 「フィールドマナー」を守っての撮影を
お願いします。 - 【規 格】
- (1)日本国内で2009年1月~2014年4月までに撮影した、未発表の写真。
(2)撮影のため、野鳥や生息環境にダメージを与えずに撮った写真。
(3)背景の自然に手を加えず、合成などの加工をしていない写真。
(4)1,000万画素以上のデジタルカメラで撮影した写真、
もしくはポジフィルムの写真。 - 【賞・審査】
- 優秀賞5点(賞金4万円)/入選25点(賞金1万円)
- 【募集期間】
- 2014年4月4日(金)~4月30日(水)
- 【応募方法】
- 当会ホームページで応募要項を公開しています。応募要項の郵送をご希望の方は、下記までお問い合わせください。
- 【問い合わせ】
- 公益財団法人日本野鳥の会 普及室 普及教育グループ
電話 03-5436-2622/メール [email protected]
ホームページ http://www.wbsj.org/inform/80th-photo-con/
掲載いただけます場合には、お手数ですが、下記担当までご一報くださいますようお願い致します。
以上、ご検討の程、何卒よろしくお願い申しあげます。
公益財団法人日本野鳥の会 普及室 [担当: 尾崎、 江面(えづら)] まで
〒141 -0031 東京都品川区西五反田 3-9-23 丸和ビル
TEL:03-54362622/FAX:03-5436-2635/e-mail:nature@wbsj.org
URL:http://www.wbsj.org/
プレスリリース 2013.11.10
2013 年11 月10 日
三宅島のサンゴ、台風による影響をうけるも
今年も健全な状態を確認
~三宅島で10 回目のリーフチェックを実施~
主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター
※リーフチェックとは
サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997 年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。
1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法

写真1. 調査風景
三宅島では1998 年より調査を開始し、以後99 年、05 年、06年、08 年、09 年、10 年、11 年、12 年と9 回調査が行われ、今回の調査は10 回目となる。
今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1 名、日本生態系協会の職員1 名、スナッパー・ダイビングセンターのインストラクター1 名、アンバージャックダイビングスクールのインストラクター1 名、島内のボランティアダイバー3 名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ1 名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜を調査した。
世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100m のラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。
2.調査結果

写真2.台風の波浪による影響を受け破損したサンゴ
テーブル状のサンゴを中心に、50%程度が造礁サンゴに覆われ、昨年とほぼ同様の結果となった。
9月の低気圧、10月の台風の波浪による物理的営力によってテーブル状サンゴが減少し、被覆状のサンゴが増えていた。
オニヒトデなどのサンゴ食動物による影響は見られなかった。サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られたほか、2000 年噴火後のリーフチェックでは初記録となるオトヒメエビも確認できた。
3.総評(鈴木倫太郎博士 【日本生態系協会】 コメント)
調査範囲の北側にあるテーブル状サンゴ群集は例年通り良好な状態で保たれており、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。しかし、夏季の高水温での白化原因で一部の造礁サンゴが減少したと思われる。しかし、それによって全体のサンゴの被度が大きく減少したとは認められない。ただし、種の構成については変化が認められた。また、台風・低気圧の波浪の影響により、テーブル状のサンゴの減少が認められた。一方、被覆状サンゴは台風の影響を受けずに、生息域を拡大している。ただし、去年と比較して大きな環境の変化は認められなかった。昨年まで見られていたサンゴ食の巻貝が今年は確認されず、オニヒトデも昨年に引き続き見られなかった。今後、白化や台風によって受けた影響がどのように変化していくか推移を見守っていきたい。
4.参考リンク
「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「スナッパー・ダイビングセンター」 http://www.snapper-d.com/
プレスリリース 2013.11.13
2013年11月13日
有明海再生のために
諫早湾干拓・潮受け堤防水門の常時開門を求める共同声明
NPO法人ラムサール・ネットワーク日本
WWFジャパン
(公財)日本野鳥の会
(公財)日本自然保護協会
私たちは、有明海の自然環境の再生および漁業資源の回復のため、内閣総理大臣と農水大臣に対し、福岡高裁の確定判決に従い、12月20日までに諫早湾干拓・潮受け堤防水門を開放し、その後も常時開門を継続すること、また、開門に向けて、漁業者、農業者、市民、長崎県と有明海沿岸自治体および国の関係者が協議する場を設定することを強く要請します。
諫早湾には、かつて日本最大の干潟があり、シギ・チドリ類をはじめとする多数の渡り鳥や莫大な量の底生生物の生息地、ムツゴロウやカキなどの魚介類の一大生産地となっていました。しかし、1989年に着工された国営諫早湾干拓事業により、1997年に3,550ヘクタールの干潟と浅海域が7,050メートルの潮受け堤防で閉め切られ、その後、672ヘクタールの干拓農地が造成されたことにより、干潟と浅海域は消滅し野生生物は姿を消し、干潟の漁業も不可能になりました。
一方、干拓工事が進むに従い、有明海全体の漁業生産は急激に減少し、魚類、貝類、エビ類などの漁獲量の低迷に続いて、2000年にはノリの大凶作となり「有明海異変」とまで呼ばれました。現在も、漁船および潜水器漁業の不振は続き、ノリ養殖は品質や収量が不安定な状況です。
潮受け堤防による諫早湾奥部の閉め切りの結果、有明海全体の潮流・潮汐が減少し、海水の撹拌が弱まって赤潮と貧酸素水の発生頻度が高まり、魚介類の生育に悪影響をおよぼしていることが、専門家の研究によって明らかにされています。これらの研究結果をもとに、佐賀地裁、福岡高裁が諫早湾干拓事業と漁業被害の因果関係を認め、3年間の準備期間の後に5年間の排水門の常時開門を命じる判決が確定したのです。
干拓事業は2007年に完了しましたが、現在でも、調整池の水は本明川河口部以外では塩分濃度が高く、CODやT-N(全窒素濃度)なども基準から外れているため、農業用水には使えない状態です。さらに、調整池では富栄養化が進み、夏から秋の高温期には猛毒のアオコが広範囲に発生しています。調整池には、本明川や有明川が流入し、周辺干拓地の水路からも排水が流れ込むため、毎日水量が増加します。そのため、1997年の潮受け堤防閉め切り直後から、調整池の水位をマイナス1メートルに保つために干潮時に水門を開放し、数十万立方メートルから数百立方メートルにおよぶ富栄養化した水を諫早湾・有明海に排出しています。言わば、調整池に膨大な量の水を滞留させて富栄養化を促進し、その有機物汚染水を諫早湾・有明海に大量に排出し続けているわけです。これが有明海の水質と環境を悪化させ、漁業被害を引き起こす原因のひとつです。
確定判決に従い水門を開放することが、諫早湾・有明海の水質改善、干潟・浅海域の再生、漁業資源の復活にとって重要な鍵になります。開門して調整池に海水を導入すれば、富栄養化は緩和されます。開門による潮通しにより、潮流・潮汐が改善され海況がよくなることは、2002年の短期開門調査後の漁民の証言や研究者の調査によって確かめられています。潮汐の回復は、調整池のアシ原を後退させ干潟の再生にも役立ちます。水質の改善、潮流・潮汐、自然環境の再生が進めば、漁業資源が回復し漁獲量が上がることが期待できます。
これまで、農業用水と洪水防止の面から長崎県は開門に反対し、それを理由に農水省は開門準備を進めて来ませんでした。しかし、農業用水については、現在でも調整池の水は使用できないため、溜め池の設置や高度下水処理水の農業用水利用など代替水源によって解決することが必要です。また、調整池内の既存堤防の修理、排水樋門の整備、台風や高潮時の水門操作によって調整池の防災対策は可能です。一方、海面より低い位置にある干拓農地では、潮受け堤防閉め切り後も豪雨による湛水被害が発生しています。このような湛水被害は、低平地における排水ポンプの設置と排水路の整備をきちんと行わなければ、防止することはできません。
水門の常時開門による自然再生および漁場回復と干拓地農業および防災は、決して対立するものではなく、共存が可能なものです。「農林水産省生物多様性戦略」においても、農業・漁業が営まれる地域の生物多様性の相互関連性や干潟・藻場の保全・再生を重要課題の一つにあげています。
以上のことから、私たちは、諫早湾・有明海の自然環境の再生と漁業資源の回復を実現するために、内閣総理大臣と農水大臣が、
- 法治国家の根幹を違えず確定判決を確実に履行すること
- 当面は、潮受け堤防の水門を海況に応じて順応的に開放し、その後は、防災上やむを得ない場合を除き、小規模な制限開門ではなく全面的な常時開門を継続すること
- 自然環境・漁業資源の再生・回復状況を詳細にモニタリングすること
- 5年後以降も常時開門を継続し、必要に応じて水門の拡張、新設を検討すること
- 地域住民、利害関係者、専門家、行政機関などによる協議の場を設けること
を強く要請します。
この声明に関する問い合わせ先
- 花輪伸一(ラムサール・ネットワーク日本)
- 090-2452-8555 [email protected]
- 東梅貞義(WWFジャパン)
- 03-3769-1713 [email protected]
- 葉山政治(日本野鳥の会)
- 03-5436-2633 [email protected]
- 志村智子(日本自然保護協会)
- 03-3553-4103 [email protected]







