プレスリリース 2007.05.10-04
タンチョウのサンクチュアリが開設20周年を迎えます
今年はタンチョウ保護の拠点施設「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」(当会直営)が開設20周年を迎えます。(財)日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数5万2千人)では、日本人の心の象徴のツル、とりわけ北海道の豊かな自然で繁殖するタンチョウの保護活動を通じて、自然の大切さや人間とのかかわりを見つめ直す機会とします。
計画の概要-鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ開設20周年事業
(1)子どもワークキャンプを開催します(JTB関東との共催事業)
(別紙プレスリリース、募集チラシをご参照ください)
(2)シンポジウムを開催します
- 主な内容
- 基調講演、ツル保護関係者と柳生博会長との対談、次期10年間の活動計画の発表など。
- 開催場所と時期
- シンポジウムを11月に北海道鶴居村で行います。
- プレシンポジウムとして9月に札幌で、10月に東京都内で行う予定です。
(3)オリジナル記念切手を発行します
タンチョウや会の活動風景の写真を使いオリジナルデザインの記念切手シート(80円切手10枚綴り)を製作し、2000円以上のご寄付をいただいた方に1シートを進呈します。
- 発行時期 9月取り扱い開始(予定)
- 発行部数 1500部程度
(4)その他の20周年記念特別プロジェクト
- 開設20周年記念誌の発行
- オリジナル・タンチョウ写真集の出版(協賛:コニカミノルタホールディングス)
- 「タンチョウと道東の自然」写真展の巡回開催
(期間:5月21日~31日、会場:Nature Info Plaza丸の内さえずり館 を皮切りに順次各地で開催予定。別添資料をご参照ください) - オリジナル・タンチョウアニメーションDVDの普及
上記事業の総予算は1000万円程度とし、ご賛同をいただける企業等からの協賛金でまかなうものとします。
本件のプレス関係者様からのお問合せ先
〒085-1205 北海道阿寒郡鶴居村中雪裡南
財団法人日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
電話:0154-64-2620 FAX:0154-64-2239
担当:音成邦仁(おとなりくにひと)・渡辺美沙
E-mail:[email protected]
※本件は環境省記者クラブでの会見と同時に、日本銀行金融記者クラブ・国土交通省記者クラブ・釧路支庁記者クラブでも資料配布を行う予定です。
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PDF サンクチュアリ開設20周年に関するプレスリリース
プレスリリース 2007.05.10-03
バードウィークに探鳥会に参加しよう!
どなたでも参加できるバードウォッチングを全国で開催
(財)日本野鳥の会(東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万2千人)は、バードウィークを中心に全国の支部やサンクチュアリで様々な催しを企画しています。
ご案内はホームページ http://www.wbsj.org/ 「探鳥会情報」をクリック
5月10日~31日までに行われるおすすめのイベントを合計70件掲載しています。
探鳥会(バードウォッチング)とは
「探鳥会(たんちょうかい)」は、バードウォッチングを中心に野鳥と自然に親しむ催しです。 日本では、日本野鳥の会が1934年に初めて開催しました。現在は、全国89の支部を中心に、
年間約3100回の探鳥会が開催され、約86,000人が参加されています。
(1)初めてでも、特に道具が無くても、気軽に楽しめます

探鳥会は、自然の中でゆったりと野鳥を探しながら歩きます。野鳥に詳しいリーダーが、初心者にもわかりやすく親切に手ほどきをしますので、どなたでも安心して参加できます。
時間は、コースや場所、テーマにもよりますが、2~3時間程度で終了することが多いです。特別な道具は必要ありませんが、もし双眼鏡をお持ちなら是非持っていきましょう。双眼鏡を使った鳥の見つけ方も、リーダーに尋ねればきっとコツを教えてくれます。
(2)仲間の輪が広がります
探鳥会は、老若男女、職業を問わず、さまざまな人が集まります。長年バードウォッチングを楽しんでいる人もいれば初めての方もいますので、情報交換や仲間づくりにはぴったりです。
財団法人 日本野鳥の会について
1934年に中西悟堂により創設され、1970年に財団化。「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然に親しみながら、自然を守る活動を続けているNGOです。会の多岐にわたる活動は全国89の支部と約50,000人の会員・サポーターに支えられています。会長:柳生博
バードウィーク(愛鳥週間 5月10日~16日)について
野鳥と親しみ、野鳥を通じて自然を大切にする心をはぐくむために設けられた一週間で、1894年アメリカのペンシルバニア州で4月10日を「バードデー」としたことが始まりです。日本では戦後間もない1947年4月10日に第一回「バードデー」が実施され、各地で野鳥と親しむイベントなどが開催されるようになりました。その後、北海道など北国では4月上旬にまだ雪が残っていること、より多くの方に親しんでもらうことを考慮し、期間を5月10日から16日までの「バードウィーク」と改めました。
本件のプレス関係者様からのお問合せ先
〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1 小田急西新宿ビル1F
財団法人日本野鳥の会 普及室
電話:03-5358-3516(月~金) FAX:03-5358-3608
担当:岡本裕子・横田さとる
E-mail:[email protected]
※本件は環境省記者クラブでの会見と同時に、日銀記者クラブ・国交省記者クラブ・釧路支庁記者クラブでも資料配布を行う予定です。
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PDF バードウォッチングに関するプレスリリース
プレスリリース 2007.05.10-02
日本野鳥の会とJTB関東が初の共同主催。第一弾は夏休みの小学4~6年生対象。
タンチョウから環境を学ぶ子どもワークキャンプ「タンチョウ・レンジャーにチャレンジ!」
2007.5.10
(財)日本野鳥の会(東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万2千人)と(株)JTB関東(本社:埼玉県さいたま市、社長:松井政明)は、北海道釧路湿原の「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」が今年開設20周年を迎えるのを記念し、夏休みの3日間、子どもだけの体験キャンプを開催します。タンチョウに代表される釧路湿原の大自然とふれあい、その保全活動へ参画することをとおして、全国のこどもたちに生きもの同士のつながりと、それらをはぐくむ湿原の価値に気づき、環境の大切さを学んでいただきます。
企画概要

写真(2)土砂流入をくい止める保全活動

北海道の自然にふれ、そのシンボルであるタンチョウを守るレンジャーの活動を体験することを通し、全国のこどもたちに自然の大切さを感じてもらいます。
●日程: 2007年8月3日(金)~5日(日)
2泊3日の宿泊型(6食付)
●会場: 鶴居村
(鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ、釧路湿原とその周辺)
●講師・スタッフ: (財)日本野鳥の会レンジャー 他
●募集人員・対象: 小学校4・5・6年生 20名
(応募多数の場合は抽選となります)
●参加費用: お一人様 1万円
(釧路空港集合・解散、 航空券代別)
●申込み受付期間: 5月10日(木)~6月15日(金) まで
●プログラム内容: 釧路湿原の観察会、湿原の保全活動への参加、記念展示物の制作 など
※詳細は日本野鳥の会HP:http://www.wbsj.org
●申し込みに関する問い合わせ:
(株)JTB関東 TEL 048-650-0205
【企画】(財)日本野鳥の会
【旅行主催】(株)JTB関東
【後援】環境省(申請予定)
【協賛】すかいらーくグループ・トヨタ自動車・東亜建設工業・JTB関東 ほか
【本件のプレス関係者様からのお問合せ先】
〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1 小田急西新宿ビル1F
財団法人日本野鳥の会 普及室
担当:岡本裕子・大谷多鶴
E-mail:[email protected]
TEL:03-5358-3516(月~金)
FAX:03-5358-3608
※本件は環境省記者クラブでの会見と同時に日銀記者クラブ・国交省記者クラブ・釧路支庁記者クラブでも資料配布を行う予定です。
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PDF 子どもワークキャンプに関するプレスリリース
プレスリリース 2007.05.10-01
日本野鳥の会と三菱UFJ信託銀行との自然環境保護を目的とした提携について
平成19年5月10日
各位
財団法人日本野鳥の会
三菱UFJ信託銀行株式会社
日本野鳥の会と三菱UFJ信託銀行との自然環境保護を目的とした提携について
財団法人日本野鳥の会(会長 柳生博 以下「日本野鳥の会」という)と三菱UFJ信託銀行株式会社(取締役社長 上原治也 以下「三菱UFJ信託銀行」という)は、本日、野鳥の保護を通じた自然環境の保護およびその普及・啓蒙を目的に、三菱UFJ信託銀行が平成19年5月10日より取り扱いを開始する「野鳥と緑の信託」商品を中心とした各種のプロモーション施策を実施することで合意いたしました。
社会貢献型の信託商品である「野鳥と緑の信託」は、幅広いお客さまに野鳥の保護のみならず自然環境の保護もあわせてイメージしていただけるよう「バード信託」(平成2年5月10日販売開始)の商品名を変更いたしました。また、三菱UFJ信託銀行は、「野鳥と緑の信託」の決算時に決算収益金と同額を日本野鳥の会に寄附するマッチング寄附を開始いたします。本商品を通じて三菱UFJ信託銀行は、お客さまとともに自然環境保護に取り組んでまいります。
なお、「野鳥と緑の信託」商品につきましては、日本野鳥の会の会誌「野鳥」、ビジュアルフリーマガジン「Toriino」や三菱UFJ信託銀行の店頭ロビー、エクセレント倶楽部ニュース、ホームページ等、様々な媒体、チャネルを通じ、プロモーションを行います。
今後、日本野鳥の会と三菱UFJ信託銀行では、三菱UFJ信託銀行の寄附金に基づき、北海道東部に野鳥保護区設置を進めるなど、自然環境保護を目的とした各種提携施策の実施を検討してまいります。
以 上
【「野鳥と緑の信託」商品について】
○商品スキーム

○商品概要
個人のお客さまを対象とした、信託ならではの仕組みを利用した商品です。金銭信託5年ものにお預入れいただき、その収益金を日本野鳥の会に寄附致します。
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1. 商品名 |
・野鳥と緑の信託 |
|
2. 販売対象 |
・個人 |
|
3. 取扱店 |
・お取扱店は本店のみとなります。 |
|
4.信託期間 |
・5年(満期時にお申出のない場合は5年間の自動延長) |
|
5.運用対象 |
・長期貸出金等 |
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6.申込金額 |
・10万円以上1万円単位 |
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7.信託報酬 |
・当社所定の信託報酬をいただきます。 |
○マッチング寄附
お客さまの「野鳥と緑の信託」の収益金の寄附とは別に、平成19年9月および平成20年3月の「野鳥と緑の信託」の決算時に、夫々、決算収益金と同額(但し50万円を下限とし、250万円を上限とします)を三菱UFJ信託銀行が日本野鳥の会に寄附します。(平成20年9月以降の決算時の寄附額については今後検討してまいります)
【主なプロモーション活動について】
三菱UFJ信託銀行の「野鳥と緑の信託」商品を中心としたプロモーション活動を実施いたします。
|
雑誌名 |
提供主体 |
発行部数 |
内容 |
|---|---|---|---|
|
Toriino |
日本野鳥の会 |
約50万部 |
ビジュアルフリーマガジン。全国の道の駅等で配布している季刊誌。 |
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エクセレント倶楽部 |
三菱UFJ信託銀行 |
約35万部 |
三菱UFJ信託銀行のお客さまの会員組織であるエクセレント倶楽部会員向けの会報誌。年4回発行。 |
|
野鳥 |
日本野鳥の会 |
約5万部 |
日本野鳥の会の会員向けの月刊誌。 |
<照会先>
財団法人日本野鳥の会 会員室 (03-5358-3510)
三菱UFJ信託銀行株式会社 経営企画部広報室 (03-6214-6044)
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PDF 三菱UFJ信託銀行との提携に関するプレスリリース
プレスリリース 2007.04.13
カワウの狩猟鳥獣化に反対する意見を環境省に送りました
3月22日に環境省から公表された狩猟鳥獣の種類や規制に関する鳥獣保護法の施行規則の改正案への意見(パブリックコメント)募集に対し、(財)日本野鳥の会は下記のような意見書を送りました。
今回、環境省から公表されている施行規則改正案は
(1)カワウを狩猟鳥獣に追加する
(2)ウズラを、狩猟鳥獣の指定を解除せずに、全国で5年間、禁猟にする
(3)ニホンジカのメスの捕獲禁止を解除する(狩猟できるようにする)
(4)ヤマドリ・キジのメスや島嶼のヒヨドリ等、今まで行ってきた部分的な捕獲禁止措置を継続する
の4点からなっています。(詳しくはhttp://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8179)
(財)日本野鳥の会はこのうち、
(1)カワウの狩猟鳥獣化には反対
(2)ウズラの捕獲禁止措置については賛成
の意見を表明しました。
狩猟鳥獣の種類については、1994年以来、実質的な変更がありませんでしたが(2002年に表記方法を変更)、昨年の中央環境審議会の答申(平成18年2月「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」)や法改正時の国会での議論、第10次鳥獣保護事業計画のための基本指針(平成19年1月告示「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」)を受けて、基本指針改定に合わせて5年毎に狩猟鳥獣を科学的見地から見直す、ということが決まっています。このためにこの3月に発足した「狩猟鳥獣種の見直し等検討調査に係る検討会」の第1回(3月18日(日)に開催)で、上記の(1)~(3)に関する討議が1回だけ行われ、3月22日にこの施行規則改正案が公表されてパブリックコメント募集がはじまりました。
今回の改正案のうち、特に(1)のカワウの狩猟鳥獣化は非常に問題の多いものです。3月18日の検討会には7人の専門家が出席していましたが、カワウの狩猟鳥獣化については発言した5人の委員は全員が反対意見を述べています。そうした検討会での議論を踏まえずに、しかも検討会のわずか4日後に性急に改正案が出されている点で、環境省の検討姿勢は非常に疑問です。
またその理由立ても非常に疑問の多いものです。環境省はカワウを狩猟鳥獣に追加する理由を、次のとおりとしています。
「近年、著しくその数が増加したことにより、農林水産業や生態系等の被害の発生要因となっているカワウについて、鳥獣の保護を図るための事業を行うための基本的な指針(平成19年1月24日告示)で示している次の狩猟鳥獣の選定の考え方に合致していることから、狩猟鳥獣に追加する。
- 生息状況が拡大し、農林水産業に係る被害が相当程度認められること
- 狩猟での被害対策を目的とした捕獲等による個体数の抑制が期待できること
- 繁殖力があり捕獲等がその生息の状況に著しい影響を及ぼすおそれのないこと」
(「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案(概要)」より)
しかしこれらの理由は、カワウの河川・湖沼における漁業への被害対策という点から見ても、以下のような矛盾をはらんでいます。
カワウは1970年に全国で約3000羽という危機的な個体数に落ち込んでいますが、その後、個体数を回復してきており、現在では(2000年時点)、5~6万羽という推定値のレベルまで増えてきています(福田ら 2002)。これに伴って、全国の河川で漁業被害(主にアユへの食害)の声が高まってきているのも事実です。しかし、果たしてカワウを狩猟鳥獣に加えることでこうした漁業被害は収まるのでしょうか。同じようにカワウの個体数の回復と河川の魚類への被害が報告されているヨーロッパでも、捕殺により個体数を減少させて被害を減らそうとする試みが行われています。しかしそのほとんどが個体数をほどよく管理することに失敗しており、コンピューターによるシミュレーションでも、個体数管理が非常に困難であるという結果が出ています(「特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編)」118-119ページ)。「狩猟による個体数管理」が可能かどうかはまだ議論の最中なのです。
カワウは河川や湖沼の様々な場所で魚を捕食しますが、狩猟が可能な場(可猟区)というのは限られています。関東地方のように都市河川の多い地域では河川で狩猟ができる区域は半分強にすぎないというデータもあり(関東カワウ広域協議会の検討資料)、仮にハンターが熱心にカワウを撃ち殺したとして、それに追われたカワウが狩猟を禁じられた区間に逃げ込むだけのことで、とても河川全体の漁業資源の保護という目的を達することができるとは思えません。
またカワウの魚の捕食が「被害」として最も問題になるのは、アユが河川を遡上する3~5月ですが、この時期は狩猟期は終了しています(本州以南では2月15日まで)。有害鳥獣捕獲で銃を使った場合にカワウがその場所に一定期間よりつかなくなることはある程度経験的には知られています。しかしこの効果は確実なものではなく、当会の行った調査では、その効果ははっきりしませんでした。また、内水面漁連自身の行った効果検証調査でも、アユの産卵場所において銃器による捕獲を行ったが、直後から再度飛来したという記録もあります(平成18年度第1回神奈川県カワウ被害防除対策協議会報告資料)。銃器による捕獲が2~3ヶ月の効果が見込めるというのは、科学的に実証された事実かどうか非常に疑問です。
このような点を踏まえて、当会はカワウの狩猟鳥獣化について反対をしています。
なおこのパブリックコメント提出の〆切は、4月20日(金)となっています。
参考
- パブリックコメントの募集要項
http://www.env.go.jp/info/iken.html#486 - カワウの保護管理について(当会HP)
http://www.wbsj.org/nature/kyozon/kawau/index.html - 特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編) (当会編集)
http://www.env.go.jp/nature/report/h17-03/index.html - 水産庁(2003)内水面生態系管理手法開発事業報告書(カワウ等食害防止対策).
http://www.wbsj.org/nature/kyozon/kawau/bunken/index.html
[件名]鳥獣法施行規則改正案に関する意見
[宛先]環境省自然環境局野生生物課
[氏名](財)日本野鳥の会 (会長 柳生博)
[郵便番号・住所] 〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1
[電話番号] 03-5358-3513(代表) 042-593-6872(自然保護室)
[FAX番号] 03-5358-3608(代表)042-593-6873(自然保護室)
[意見]
意見1
1 省令案のどの部分への意見か
1ページ:「1.狩猟鳥獣の見直し(鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第3条)
(改正内容)
近年、著しくその数が増加したことにより、農林水産業や生態系等の被害の発生要因となっているカワウについて、鳥獣の保護を図るための事業を行うための基本的な指針(平成19年1月24日告示)で示している次の狩猟鳥獣の選定の考え方に合致していることから、狩猟鳥獣に追加する。
- 生息状況が拡大し、農林水産業に係る被害が相当程度認められること
- 狩猟での被害対策を目的とした捕獲等による個体数の抑制が期待できること
- 繁殖力があり捕獲等がその生息の状況に著しい影響を及ぼすおそれのないこと」
2 意見の要約
カワウの狩猟鳥獣化については、反対する。
3 意見及び理由
- 「狩猟での被害対策を目的とした捕獲等による個体数の抑制が期待できる」とした部分は以下に述べるように大いに疑問がある。
- 今回、理由に挙げられている「捕獲等による個体数の抑制」が可能かどうかは、カワウでは確認されていない。欧米の研究論文ではカワウの個体数管理について否定的な論文がほとんどであるし(例えば、日本野鳥の会(2004)118ページに引用されたMarison
2003, Keller & Lanz 2003, Frederiksen et al. 2003)、日本においてもその効果は科学的な検証の途上であって、確認されたものではない。 - 滋賀県では1990年以来、銃器による捕殺により個体数管理を行うことが試みられている。1994年以降、繁殖個体数の40~80%を3~8月に捕殺したが、翌春には個体数は1.5~2倍になったという記録があり(日本野鳥の会 2004;116-117ページ)、捕殺の効果については精査が必要である。
- ここで狩猟を導入してしまうと、狩猟者による捕獲分がコントロールできないため実験計画を遂行することが困難になり、捕殺の効果が検証できなくなるおそれがある。
- 銃猟による捕獲について、そもそもその効果の程度と持続期間ははっきりと検証されていない。当会が水産庁の委託により神奈川県で行った効果検証では、はっきりした効果は認められなかった(水産庁 2003;228-240ページ)。また神奈川県内水面漁業振興会が行った効果検証でも、銃器捕獲の直後にカワウが飛来している調査区がありその追い払いの効果は明確ではないという記録もある(神奈川県内水面漁業振興会 2006)。狩猟期の効果が4~5月のアユの放流期まで持続するかどうかは非常に疑わしい。
- また可猟区でのみ追い払われたカワウが非可猟区に逃げ込んで、被害が思わぬ場所に飛び火したり、被害管理がやりにくくなるおそれもある。
- 関東カワウ広域協議会の資料によれば、関東地方の河川における可猟区は河川延長距離の56%、カワウの被害が報告されている区間の52%に過ぎない。これでは偏った場所にのみ捕獲圧を高めることになってしまう。
- 関東カワウ広域協議会に参加している10都県における許可捕獲は、銃による捕獲方法はすでに限界で、銃を使わない方法として釣り針を使用している都県が6都県(群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)もある。しかもその捕獲数は徐々に増えている(関東カワウ広域協議会 2007)。しかし釣り針は禁止猟法なので、狩猟では使えない。狩猟鳥獣化することによって、捕獲を増大させることができるという見込みがそもそも間違っている。
- カワウは地域によっては狩猟期間の間に繁殖が始まってしまう場所も多い。カワウは集団繁殖をするので、繁殖場所のすぐそばで親鳥を捕殺するのが効率的であるが、仮に可猟区内に集団繁殖地があってここに狩猟者が集中し親鳥を捕殺した場合、こうした行為により集団繁殖地が移動、分散してしまうおそれがある。カワウの集団繁殖地が移動、分散すると、新たな場所に被害が生じたり、また新たな資源を得て繁殖率が増大していくことも知られているが、こうした事態が起きた場合に地域の総体としてはむしろ被害が拡大してしまう。この場合、誰が責任を取るのか。むしろ現状のように計画的に保護管理を行う中で必要があれば捕獲等を実施した方が計画性も高く、実施主体やその責任も明確にできるのではないか。
- カワウの被害管理を考えると、むしろ広域協議会やカワウによる被害発生のメカニズムの研究、被害防止のための技術開発について、必要な予算を確保していくことの方が重要である。環境省の関係予算はむしろ減少傾向と聞いているので、そちらの方が問題ではないか。
- 本件は、2007年3月18日に開催された「狩猟鳥獣種の見直し等検討調査に係る検討会」でも専門家委員により討議されているが、出席した7名の委員のうち5名から反対の意見が述べられ、賛成意見を表明した委員はいなかった。「科学的な知見等のもとに狩猟鳥獣及びその取扱いを見直すに当たっての手法に関する指針を示す」という同検討会の趣旨を踏まえれば、科学的知見によりカワウの狩猟鳥獣化は否定されていると見るべきである。少なくとも継続的な検討が必要であろう。しかしそのわずか4日後にこの改正案が出されるという今回の手続きは、科学性を否定しており、拙速のそしりをまぬがれない。環境省は、科学的な知見の下に検討するとした平成18年2月の中央審議会答申「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき構ずべき措置について」に立ち返り、この改正案を撤回し、「狩猟鳥獣種の見直し等検討調査に係る検討会」における検討結果に従うべきである。
引用文献
- 福田道雄・成末雅恵・加藤七枝(2002)日本におけるカワウの生息状況の変遷.日本鳥学会誌51:4-11.
- 日本野鳥の会(2004)特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編).日本野鳥の会(環境省請負業務).
- 水産庁(2003)内水面生態系管理手法開発事業報告書(カワウ等食害防止対策).
神奈川県内水面漁業振興会(2006)平成18年度第1回神奈川県カワウ被害防除対策協議会報告資料. - 関東カワウ広域協議会(2007)関東カワウ広域協議会平成18年度資料.
意見2
1 省令案のどの部分への意見か
「2.対象狩猟鳥獣の禁止・制限の見直し(規則第10条第1項)
(1)ウズラの捕獲等の禁止
環境省が実施した自然環境保全基礎調査等により全国的に生息分布の減少が指摘されているウズラについて、生息分布の減少の主な要因と考えられる生息環境の悪化に加え、狩猟の継続がウズラの生息状況に与える影響も否定できないことから、全国の区域において、5年間の捕獲等の禁止とする。」
2 意見の要約
ウズラの捕獲禁止措置については賛成する。
3 意見及び理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記。)
- ウズラの減少については、自然環境保全基礎調査に加えて各都道府県のレッドリストの指定状況を見ても明らかである。早急に捕獲を禁止することに賛成する。
- 加えて、全国的な生息状況の継続的な調査を行い、個体数の回復策について検討すべきである。
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PDF カワウの狩猟鳥獣化に反対する意見に関するプレスリリース
プレスリリース 2007.02.26
戦略的環境アセスメントの法制化に向けたNGO共同声明
環境省、国土交通省、経済産業省、
農林水産省、防衛省、厚生労働省 御中
戦略的環境アセスメントの法制化に向けたNGO共同声明
2007年2月26日
世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会、FoE Japan、
オーフス・ネット、里地ネットワーク、気候ネットワーク、日本生態系協会
現在、環境省に設置された「戦略的環境アセスメント(SEA)総合研究会」における「戦略的環境アセスメントガイドライン」の検討・策定に、大きな注目と期待を寄せている。
昨今、様々な環境条件を正しく認識し、人間活動を管理する考え方が時代の趨勢である。大規模な公共事業が環境面や社会面に与える影響に回避・低減する手法として、個別事業の計画・実施段階よりも上位の政策段階、計画・プログラム段階の意思決定の際に、複数案の比較のもと環境影響評価が行なわれることが必要不可欠である。
既に環境先進諸国は、持続可能な発展のためにSEAを導入・実施している。欧州連合(EU)は2001年にSEA指令を定め、2004年7月に施行している。また、アメリカの国家環境政策法に基づくアセスメントは、1969年制定当初からこれを含んでいる。韓国では、既に運用していた事前環境評価システム(PERS)を2005年5月に改正し、2006年から本格的なSEAを導入している。また、国内でも既に、複数の自治体が戦略的環境アセスメントの条例・要綱を制定している。
我が国では、環境影響評価法制定の際、附帯決議でSEAの法制度化の検討を求められており、第3次環境基本計画(2006年4月7日閣議決定)に戦略的環境アセスメントの法制化への取組みが盛り込まれたことを契機に、今年度から前述の研究会によって、具体的な検討がなされてきた。
2008年にはG8を開催し、2010年には生物多様性条約締約国会議の開催地の候補に名乗りをあげた我が国においては、世界に誇れる持続可能な社会の構築のためにも、法制度化にむけた戦略的環境アセスメントの取組みを、各省庁連携のもと積極的に進めるべきであると考え、下記の事項を要請する。
1.環境省は、現行のアセス法の対象事業は元より、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなる恐れのある全ての事業の上位にある計画等を対象とし、国民の意見反映、国や地方自治体の環境部局の関与、第三者機関の審査等を明確に盛り込んだ「戦略的環境アセスメントガイドライン」をまとめ、法制度化を早急にすすめるべきである。
2.国土交通省、経済産業省、農林水産省、防衛省、厚生労働省は、第3次環境基本計画に基づき、自らの事業を特例として対象からはずすべきではない。既存のパブリックインボルブメントのガイドライン等の環境に関する事項は、「戦略的環境アセスメント」に統合すべきである。
以上
本件に関する連絡先
世界自然保護基金ジャパン(自然保護室、草刈秀紀 03-3769-1772)/日本自然保護協会(保護・研究部、大野正人 03-3553-4103)/日本野鳥の会(自然保護室、古南幸弘・高井健慈 042-593-6871)/FoE
Japan(岡崎時春、03-6907-7217)/オーフス・ネット(事務局長 中下裕子、03-3432-1475)/里地ネットワーク(竹田純一 03-5404-4846)/気候ネットワーク「東京事務所」(畑直之 03-3263-9210)/日本生態系協会(環境政策室
03-5951-0244)
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PDF 戦略的環境アセスメントの法制化に向けたNGO共同声明に関するプレスリリース
プレスリリース 2007.01.12
カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言
2007.1.12
共同署名団体
爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会、日本野生動物医学会
日本生態学会・外来種専門委員会、日本爬虫両棲類学会、野生動物救護獣医師協会
日本動物園水族館協会、野生生物保全繁殖専門家グループ日本委員会(CBSG Japan)
世界自然保護基金ジャパン、日本自然保護協会、日本野鳥の会、生物多様性JAPAN
日本鳥類保護連盟、山階鳥類研究所、日本両生類研究会、オオサンショウウオの会
NPO法人どうぶつたちの病院
世界の両生類(カエル、サンショウウオ、イモリなど) 5,743種のうち、120種が 1980年以降に絶滅したと推測され、さらに1,856種(32%)は絶滅のおそれがあるとされています。このような急激な絶滅を加速させている原因の一つとして、1998年に発見された「ツボカビ症(chytridiomycosis)」があげられています。現在、ツボカビはIUCN(国際自然保護連合)による外来生物ワースト100にもリストされ、世界的な監視が必要とされている感染症です。
ツボカビ症は、真菌の一種であるBatracochytrium dendrobatidisによって引き起こされ、致死率が高く(90%以上)伝播力が強いために世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的な打撃を受けています。また、野外における防除方法は、確立されていません。野外のカエルに流行した場合、根絶は不可能です。このため、オーストラリアでは輸出入検疫を強化するなど、国をあげて対策に取り組んでいるところです。
この感染症が原因でカエルの個体数が減少したり、絶滅に至る可能性があります。多くのカエル類が減少すると捕食していた昆虫などの増加、カエル類を主な餌としていた上位の捕食者(鳥類やヘビなど)への影響からわが国固有の生態系全体が破壊されてしまう恐れがあります。
ツボカビ症が確認されていないのは、これまでアジア地域のみとされてきました。残念ながら、国内の飼育中のカエルから2006年12月25日にツボカビが検出され、初めてわが国への侵入が確認されてしまいました。
私たち共同署名団体は、この事実を重く受け止め、緊急事態を宣言いたします。わが国に生息する両生類と生物多様性を保全するため、私たち専門家は速やかに行動計画を策定し、可能な限りの努力を尽くす所存です。同時に、それぞれの主体に対し、責任ある行動と以下の提案の実施を期待します。
◆国民の皆様へ
地球規模で両生類が絶滅の危機にあることを理解し、むやみに野生の両生類をペットとして飼育することは慎んでください。なお、ツボカビは、両生類以外には、人を含めた哺乳類、鳥類、爬虫類および魚類には感染したという報告はありませんので安心してください。
すでに飼育している場合、飼育中の個体に異変があれば、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。ツボカビは、水中を浮遊するため、水の管理が最も重要です。死亡したカエルを飼育していた水槽や水は感染源となります。これらの汚水などを排水口や野外に排水することは、禁物です。当然のことですが、飼育している個体を野外に放つことや死亡した個体を野外に投棄することは絶対にやめてください。飼育中の個体に異変があった場合には、野外の両生類との接触を避けてください。
◆動物輸入および販売業者の皆様へ
取り扱っている個体に異変が見られた場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。もし、輸入先の国がツボカビ症の汚染地域である場合には、輸入個体が病原体に汚染していないことを確認してください。また、販売を目的とする採集は、控えてください。
◆大学、研究機関、動物園、水族館の皆様へ
両生類を取り扱っている施設では、検疫体制を強化し、必要に応じて予防措置を講じてください。感染が疑われる場合には、すみやかに専門の研究機関に連絡してください。また、ツボカビ症についての正確な情報の周知に努めてください。
◆マスコミの皆様へ
地球規模で両生類が絶滅の危機に瀕していること、ツボカビ症による深刻な影響が世界各地で広がり国際的な共同行動が必要であること、すでにわが国にツボカビ症が侵入し、放置すれば取り返しがつかなくなるおそれがあることなど、メディアを通じて正しい知識を広く国民へ伝えてください。
◆関係省庁の皆様へ
ツボカビ症の侵入により、わが国の生物多様性に取り返しのつかない影響をおよぼすおそれがあることから、実態調査、検疫の強化、販売・流通の監視、検査体制の確立等、すみやかな対策の実施や法制度の見直しを行ってください。
◆自然観察や野外調査を行なっている皆様へ
同時に多数の両生類が死んでいた場合は、すみやかに動物病院や専門の研究機関へ連絡をしてください。不必要な生体の採集・持ち帰りは控えてください。また、ツボカビ症が流行している国でトレッキングに使った靴は、靴底に付いた土を良く洗ってから使って下さい。
■関連情報参照ホームページ
本件に関する詳細な情報(ツボカビ対策解説書、Q&A等)は、次のホームページに掲載されております。
- 日本獣医病理学会/日本獣医病理学専門家協会
http://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/byouri/JSVPJCVP/index.html - (社)日本獣医学会
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/index.html - 麻布大学
http://www.azabu-u.ac.jp/ - WWFジャパン
http://www.wwf.or.jp/chyt2007/
以上
- (本件に関する連絡先)
- 日本野生動物医学会 e-mail: [email protected]
爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会 e-mail: [email protected]
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PDF カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言に関するプレスリリース
- 1:ツボカビって何?
- A.真菌(カビ)の1種です。分解菌あるいは腐生菌としてキチン、セルロース、ケラチンといった分解しにくい物質を栄養としています。このため、カエルでは皮膚、オタマジャクシでは口に感染します。
- 2:ツボカビの何が問題なのですか? その1
- A.両生類、特にカエルにツボカビが感染すると、多くのカエルが死にます(致死率90%以上)。さらに、伝播力が強く、次々に広がっていきます(胞子100個程度の感染で、カエルが発症します)。このため、世界中で猛威をふるってイており、特にパナマでは、ツボカビが侵入してから僅か2ヶ月の間に生息していたカエル集団が全滅したという報告もあります。また、これまでに北中南米、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、欧州と世界中で確認されています。現在では、このツボカビ症が、地球規模で進行している両生類の劇的な生息数の減少や絶滅をもたらしている主な原因ではないかと考えられています。
- 3:ツボカビの何が問題なのですか? その2
- A.ツボカビは、動物に寄生していなくても、野外で長いときには7週間も生き続けます。そして、カエルなどの動物が近くに来ると再び感染します。一旦、野外にツボカビがはびこると、環境中からツボカビを取り除くことは不可能です。このため、世界中でいろいろな対策がとられている現在でも、相変わらず猛威を振るい続けています。
- 4:ツボカビで、何が重要なのか? その1
- A.絶対、野外にツボカビを出さないことです。一旦、野外にツボカビがはびこると、根絶することは不可能です。
- 5:ツボカビで、何が重要なのか? その2
- A.日本には、大変貴重な両生類が数多く生息しています。世界最大の両生類オオサンショウウオは代表的な例です。その他、日本にしかいない両生類をツボカビから守らないといけません。アメリカでは、固有種であるアメリカサンショウウオにも感染が広がったり、アリゾナ州のタラフマラ・カエルがツボカビによって死に絶えたとも報告されています。
- 6.カエルがいなくなると、何がおきますか?
- A. .自然生態系の食物連鎖構造に影響が出ます。つまり、
カエルの数が減ってしまうと、カエルを餌としている動物の数も減ります。カエルの絶滅が他の動物の絶滅を招く可能性があります。たとえば、カエルを食べる動物としてサギなどの鳥類やヘビなどの爬虫類が減ります。カエルやヘビを常食とする種類のタカも餌がなくなります。オタマジャクシやカエルを食べるタガメやトンボの幼虫などの水生昆虫も減ります。あまり知られていませんがイリオモテヤマネコもよくカエルを食べます。また、カエルはかなりの大食漢です。沢山の虫を食べる益獣で、カエルがいなくなると害虫が増え、農業被害が増える可能性があります。 - 7.どうしてこんなに世界中にツボカビがいるのですか?
- A.元々アフリカが起源で、アフリカツメガエルが世界中に輸出され、それとともにツボカビも拡散していったと考えられています。他に、ウシガエルや、ペット用あるいは展示用として取引されている両生類が伝播の役割を果たしている可能性もあります。また、養殖魚や観賞魚とともに輸送される水にツボカビが含まれていて、それによって拡散した可能性も考えられます。また、人の様々な行動が、遊走子を含む土壌や水を、無意識にいろいろな場所に運んでしまうこともあります。
- 8:ツボカビはどうやって感染するのですか?
- A.両生類の皮膚に感染したツボカビは、そこで増殖して、鞭毛の付いた遊走子を水中に放出します。それが水中を泳ぐことで、他の両生類に感染します。そのため、ツボカビ症の予防には、水の管理が重要です。
- 9:人には感染しないですか?
- A.ツボカビは両生類(無尾類、有尾類)と淡水性のエビに感染することが明らかになっていますが、人に感染することはありません。ただし、人は手や靴に付着した病原体を別の場所に運んでしまう危険性があるので、ツボカビに汚染されている可能性のあるカエルを取り扱ったり、生息地に行った場合は、手や靴、備品などを、徹底的に消毒する必要があります。
- 10:熱帯魚のような魚には感染しないですか?
- A.感染しません。人を含む哺乳類、鳥類、爬虫類にも感染しません。
- 11:ツボカビに感染したらカエルはすべて病気になりますか?
- A.カエルの種類によって違います。少なくとも、もともとの宿主であるアフリカツメガエルは無症状で、また、外来種であるアメリカウシガエルは抵抗性があるといわれています。しかし、多くの種類のカエルがツボカビに感染すると病気になると考えられています。
- 12.ツボカビ症になったカエルはどんな状態になるのですか?
- A.食欲不振、沈鬱などの他の病気と区別がつかない症状で始まり、症状が進行するにつれて縮瞳、筋協調不能、縮こまった独特な姿勢、立ち直り反射の消失、開口、広範な皮膚の脱落などが現れ、発症してから2~5週で死亡します。ただし、全てのカエルが同じような症状を示すわけではありません。実際、感染してから3~4日で死亡したり、カエルの種類によっては表面に大量の粘液が分泌されるものもありますし、全く見た目に異常に気がつかない場合もあります(突然死)。
- 13:みただけで、カエルがツボカビに感染しているとわかりますか?
- A.カエルの種類、水生か陸生かによって、症状が違うため、ほとんどわからないと思います。しかし、何か、いつもと様子が違うと感じたら、最寄りの獣医師にご相談ください。
- 14:ツボカビに感染しているかどうか、どのように診断しますか?
- A.診断は病理組織検査や遺伝子診断(PCR)法で行ないます。
- 15:家で飼っているカエルの検査をしてほしいのですが・・
- A.検査はできます。カエルの体の表面を綿棒でふき取って、検査機関に送ると検査してもらえます。しかし、一般の飼育者から直接の検査依頼はできませんので、最寄りの獣医師に相談してください。
- 16:検査はどこがしてくれるのですか?
- A.国立環境研究所が検査を担当します。しかし、一般の飼育者から直接の検査依頼はできませんし、専用の検査依頼書が必要です。必ず、最寄りの獣医師に相談して、依頼書を添えて、検査依頼をしてください。
- 17:検査は有料ですか?
- A.一般の飼育者や展示施設などからの検査は無料です。商業ベースで繁殖されている方は、関係機関にご相談ください。
- 18:検査にどのくらいの時間がかかりますか?
- A.検査機関が検体を受け取ってから、7日くらいかかります。
- 19.検査結果はどのように教えてもらえますか?
- A.検査依頼書を作成してくれた獣医師に連絡がいきます。獣医師から結果を聞いてください。
- 20:ツボカビに感染していることがわかったら、そのカエルはどうしたらよいですか?
- A.治療ができます。また、室内であれば、有効な消毒方法もありますので、カエルからカエルへの感染も防げます。そのためのマニュアルも用意してありますので、マニュアルに従えば、そのまま、カエルを飼い続けることができます。
そして、最も重要なことは、ツボカビを野外に出さないように、一人ひとりが細心の注意を払うことです。 - 21:ツボカビに感染したカエルや病気のカエルは、飼いたくありません。どうしたらよいですか?
- A.引き取ります。最寄りの獣医師に相談してください。どんなことがあっても、カエルを野外に放してはいけません。
- 22:カエルが死にました。どうしましょうか?
- A.可能であれば、焼却してください。また、清潔なビニール袋などに密封して生ゴミとして出すこともできます。間違っても庭に埋めるなどしないで下さい。わからないことがあれば、最寄りの獣医師に相談してください。
- 23:カエルを飼っています。何に注意すればいいですか?
- A.長い間、カエルを飼育していて何も問題がなければ、いつものとおり飼育を続けてください。しかし、今まで経験したことのない異常に気がついたら、ツボカビの検査を受け、検査の結果がでるまで、ツボカビがいるかも知れないと思って、取り扱いをしてください。
特に、新しいカエルを飼い始めたときには注意をしてください。 - 24:新しくカエルを買いたいけれど、注意することは?
- A.元気がない。皮膚に赤い斑点がある。体の表面に粘液が異常に付いている。表面がなんとなくすすけている。脱皮皮が斑点のように付いている。同じ水槽に具合の悪いカエルがいるあるいは死んだカエルがいるなどの以上が見られる場合は要注意です。しかしながら、みただけではわかりません。可能であれば、何らかのツボカビ検査を受けたカエルを購入しましょう。
- 25:新しくカエルを買ったけれど、注意することは?
- A.検疫が必要です。60日間は、他のカエルと一緒にしてはいけません。また、新しいカエルに触れた飼育者の手や飼育器具を消毒しないまま、他のカエルに接触させないでください。新しいカエルがツボカビが感染しているかもしれないというつもりで取り扱ってください。前から飼っているカエルを守るためにも
- 26:どこの国から輸入されたカエルがツボカビに感染していますか?
- A.すでに、世界中で流行しているので、どの国が危ない、どの国が安全ということはありません。また、たとえ、ツボカビの発生のない国であっても、流通している間に感染してしまうこともあります。
- 27:消毒はどうしたらいいですか? その1
- A.いくつかの消毒薬がツボカビに効果があるといわれています。
ここでは、安全で、一般の方でも簡単に購入できて、いろいろなものに使える消毒薬を紹介します。
製品名:アンテック ビルコンS 輸入販売元:バイエル株式会社 動物用薬品事業部
購入方法:インターネットでビルコンSを検索しネット販売先をみつけてアクセス。
手の消毒や飼育容器の消毒などに使えます。海外でのツボカビ対策では、車両のタイヤなどの消毒にも推奨されています。使用濃度などの使い方については、使用説明書をみてください。
他にも、一般の方々には少々、入手が難しいですが、
手指の消毒:5%ヒビテン液?(クロラミンあるいはクロルヘキシジン)
備品や水槽の消毒:オスバン?や塩素系消毒薬(たとえば、ハイター。次亜塩素酸ナトリウム200mg/Lで15分間浸漬)。
飼育水も流す前に次亜塩素酸Naで消毒します。また、施設内では踏み込み槽を常備してビルコン?等の消毒液を使用するのが良いでしょう。
これらの消毒薬には様々な製品があるので、それぞれの使用説明書に従って適切に使用することが重要です。
最後に、薬剤による消毒以外に、熱湯消毒も効果的です。ツボカビの遊走子(胞子)は、30℃の温度でも影響を受けます。そこで、使用時の温度が50℃以上のお湯に飼育容器を漬け込むだけでも有効です。 - 28:消毒はどうしたらいいですか? その2 飼育容器内の植物や水草は?
- A.ツボカビ症のカエルの飼育容器の中にあった植物、水草やコケなどは消毒できません。すべて焼却処分します。
- 29:治療法はありますか?
- A.あります。最寄りの獣医師に相談してください。
- 30:オタマジャクシもツボカビに感染しますか?
- A.感染します。しかし、ケラチンのある口の部分だけです。このため、稀に口の形が変形します。カエルのようにすぐ死ぬことはなく、無症状で、ツボカビを持ち続けて、他のカエルやオタマジャクシに感染させます(保菌者)。また、オタマジャクシがカエルまで成長すると、ツボカビは口から全身の皮膚に広がり、最終的に死に至ります。
- 31:オタマジャクシも感染すると死にますか?
- A.オタマジャクシでは、感染によって、まれに口器の変形がみられることがありますが、一般には無症状です。ただし、変態してカエルになるとケラチンが全身の皮膚に分布するとともにツボカビの分布も広がるため致死的となります。
- 32:ツボカビが感染するとなぜカエルは死ぬのですか?
- A.ツボカビは皮膚に感染します。そして、(1)皮膚呼吸や皮膚の浸透圧調整を阻害したり、
(2) ツボカビが毒素を産生したり、(3)これらの要因の複合的作用が死の要因となります。また、皮膚の生体防御機能が壊れて、2次的に細菌などに感染しやすくなります。 - 33.ツボカビのことを、もっとよく知りたいのですが・・?
- A.以下のいくつかの研究会、学会、大学のホームページにツボカビの特集が掲載されています。参考にしてください。世界自然保護基金ジャパン、麻布大学、日本野生動物医学会、日本動物園水族館協会、日本獣医病理学会、日本獣医学会
A.コア獣医師制度があります。一般の獣医師より、ツボカビに関する多くの知識を持っていて、最新あるいは詳細な情報をいつでも入手できる立場にある獣医師が各都道府県に配置されています。これらの獣医師は、すべてボランテイアで、カエルを、自然を守ろうと立ち上がった獣医師たちです。一般の方からの相談を受けることはもとより、一般の獣医師の方からの専門的な相談も受け付けます。現在登録されているメンバーを紹介します。今後も、多くの獣医師が参加してくれることになりましたので、随時、紹介します。
なお、最初の相談は、可能な限りメールでお願いします。
すずき動物病院 鈴木哲也先生(横浜市)、いのかしら公園動物病院 石橋徹先生(東京都)、田園調布動物病院 田向健一先生(東京都)、レプタイルクリニック 小家山仁先生(東京都)、中野バードクリニック 中野祐美子先生(東京都)、東京大学 三輪恭嗣先生([email protected]) 石田動物病院 石田浩三先生(川崎市)、ももの木ペットクリニック 林律子先生(神奈川県)、オリバー動物病院 西尾里志先生(埼玉県)、おぬま動物病院 小野貞治先生(埼玉県)、アンドレ動物病院 戸崎和成先生(栃木県)、よしむら動物病院 吉村友秀先生(愛知県)、山下獣医科 山下正弘先生(岐阜県)、クウ動物病院 田中治先生(大阪市)、ナカムラペットクリニック 中村金一先生(岡山県)、ラッキーエキゾチックベッツ 永安知子先生(高知県)、那覇獣医科病院 高良淳司先生(沖縄県)
A.日本動物園水族館協会に所属している動物園と水族館の中にも、ツボカビに関して多くの知識をもつ専門家がいます。最寄りの動物園に相談してください。紹介してくれます。あるいは、このアドレスに[email protected]
A.さらに専門的なことを知りたいときには、[email protected]のアドレスにツボカビに関する質問として、メールを送信してください。
爬虫類と両生類の臨床と病理のための研究会
ツボカビ症に関する解説書

January 2007

- ツボカビとは
- 両生類に対するツボカビの影響
- カエルのツボカビ症の発生状況と臨床症状
1)発生状況
2)臨床症状 - 病理学的所見(肉眼・組織)
- 伝播様式
- 診断・検査
- 消毒
- 治療法
- 対策(検疫プロトコール)
- 最後に
ツボカビ症解説書
この解説書は、国内のツボカビ症対策のために、爬虫類と両生類の病理と臨床のための研究会(SCAPARA)発行「両生類テキスト」の内容に、さらに諸外国の情報をとりいれて、作成したものです。国内におけるツボカビ症の拡散防止と根絶のために少しでも役立つことを望みます。
(文責:宇根有美、黒木俊郎)
ツボカビ症は両生類の新興感染症で、ツボカビ門に属する真菌の、Batrachochytrium dendrobatidisが原因である。ツボカビ類は土壌や淡水中に生息し、分解菌あるいは腐生菌としてキチン、セルロース、ケラチンといった分解しにくい物質を利用する。生活様式は腐生性と寄生性(条件的寄生性あるいは偏性寄生性)である。B.
dendrobatidisが利用するのはケラチンであり、両生類の皮膚に寄生する。
B. dendrobatidisの生活環は、遊走子と遊走子嚢からなっており、遊走子嚢は表面平滑な球形から長球形で、乳頭状の放出管があり、そこから遊走子を放出する。ツボカビは真菌の中で唯一その生活環に鞭毛を有する遊走子があり、それによって水中を遊走する。
2.両生類に対するツボカビの影響
世界の両生類 5,743種のうち、120種が 1980年以降に絶滅したと推測され、さらに1,856種(32%)は絶滅のおそれがあるとされている。このような急激な絶滅を加速させている原因の一つに、ツボカビ症があげられている。現在、ツボカビはIUCN(国際自然保護連合)による外来生物ワースト100にもリストされ、世界的な監視が必要とされている。
両生類のツボカビ症は、致死率が高く(90%以上)、伝播力が強いために世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的な打撃を受けている。パナマでは、ツボカビが侵入してから2ヶ月の間に生息群が全滅したという報告もある。毎年28kmの拡散がみられ、ファウナの71%にあたる48種の感染が確認されている。
野外における防除方法は確立されていないため、野外遺棄が起こると、根絶は不可能である。オーストラリアでは輸出入検疫を強化し、国をあげて対策に取り組んでいる。
3.カエルのツボカビ症の発生状況と臨床症状
1)発生状況
B. dendrobatidisはこれまでのところ、北中南米、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、欧州に分布しており、確認されていないのはこれまでアジア地域のみとされてきたが、2006年12月、日本で初めて飼育中のカエルで確認された。ツボカビ症が初めて確認されたのは、1998年のオーストラリアとパナマにおける感染事例の報告であったが、その後世界各地でさかのぼり調査が実施された。ツボカビ症の最初の記録は、the
South African Museumの標本から検出されたアフリカツメガエル(Xenopus laevis)(1938年)から得られている。
世界中への拡散の役割を果たした動物として、いずれも種々の目的で世界中に移入されているアフリカツメガエルおよび近縁種(Xenopus
spp.)やウシガエル(Rana catesbeiana)が疑われている。これらの種は感染しても殆ど症状が顕れないか無症状で、体表から病原体が検出される状態で経過する。
上記以外にペットとして、あるいは展示動物として国際的に取引されている種々の両生類が伝播の役割を果たしている可能性も否定できない。また、観賞魚や養殖魚は必ず水とともに輸送されるが、水中に遊走子が存在していれば、数週間以上生存することができることから、水とともに世界中に輸送されていることも推測することができる。当然、ヒトの活動によって、遊走子を含む土壌や水を運ぶ可能性もある。カエルの観察者の靴などに付着した土壌や、車両を介して伝播される可能性があることも指摘されている。
2)臨床症状
食欲不振、沈鬱などの非特異的症状で始まり、発症から2~5週で死亡する。オタマジャクシでは口器が感染によって変形することもあるが、通常は無症状である。皮膚の浸透圧調節と皮膚の生物学的機能の崩壊が、主たる臨床症状として現れるようである。二次感染が生じる可能性もある。何らかの異常を発現している、いかなるカエルでも、最初にB.
dendrobatidis感染の可能性を考えるべきである。なお、日本初の事例では、暴露から3~4日で死亡する急性ツボカビ症であった。
外観(1つまたはそれ以上の症状)
- 背部表面が暗色、または発疹が多発。
- ピンク~赤色調の腹部表面または水かき、指端。
- 後肢の腫脹。
- 高度の削痩と衰弱。
- 皮膚病変(潰瘍、しこり(lumps))。
- 感染を示唆する眼。縮瞳。
- 明らかに非対称的な外観。※全く肉眼的変化に気がつかない場合もある
行動(1つまたはそれ以上の症状)
- 無気力に足を動かす、特に後肢。筋協調不能。
- 異常行動 (国内事例では、日頃佇んでいるカエルが不安げに歩きまわり、暴れた。これは皮膚呼吸の阻害による苦悶と考えられる)。
- 触ってもわずかに動く程度か、動かない。沈鬱。
- 縮こまった独特な姿勢。 急死。
| 試験 | 健康 | 病気 |
|---|---|---|
| 優しく指で触る | 目をぱちぱちさせる | 目をぱちぱちしない |
| ひっくり返す | もとに反転する | ひっくり返ったまま |
| 口を優しく握る | 前足を使って、握られた状態から逃げようとする | 反応なし |
肉眼所見
集団発生および急性感染では、下記の所見が得られないこともある。
- 広範に異常な脱皮(皮膚の脱落)。
- 背部が暗色、腹部および大腿部内側が赤色調を示す。
- 重度の削痩。
- 二次感染に起因する皮膚病変。
- 内臓諸臓器に鬱血がみられることもある。
組織所見
B. dendrobatidisはケラチンを栄養素として利用するため、主に表皮の有棘層、顆粒層で感染・増殖する。カエルでは表皮にケラチンが存在するが、オタマジャクシでは表皮にケラチンがないため、ケラチンを含む口器部分に限局して遊走子嚢が観察される。病原体は、光学顕微鏡で3つのステージがある。
(1)中心部に好塩基性で球形から楕円形の大きな構造物を有する。ツボカビの未熟なタイプで、遊走子嚢(直径10~40μm)を形成する。
(2)やがて分裂を始め、4~10個の好塩基性で細長いか、円形の遊走子(直径0.7~6μm)が見られる(実際には最大で300個もの遊走子が形成される)。
(3)遊走子嚢に放出管が形成。遊走子が放出された後の遊走子嚢は空胞となり、いくつかは隔壁が形成され、有隔葉状体として観察される。最終的に遊走子嚢は潰れていくが、稀に嚢内に細菌が増殖することもある。
病原体は過ヨウ素酸シッフ反応及びゴモリ染色陽性であるが、抗酸菌染色では染まらない。透過型電子顕微鏡で観察すると胞子に鞭毛が観察される。最近ではB.
dendrobatidisに対するポリクローナル抗体を用いた免疫染色も報告されている。
感染に引き続いて生じる組織学的変化として、ほとんどのカエルに、病原体に隣接する表皮角化層部分に限局性の表皮過形成、角化亢進や糜爛がみられる。表皮の不規則な肥厚および表皮細胞の軽度の限局性壊死も認められることがある。角質層の標準の厚さは2~5μmであるが、B.
dendrobatidisによる重度の感染では、厚さが最大60μm にまでなる。病巣部下層に炎症細胞浸潤がみられるが概して軽く、取るに足りない。
感染ステージは遊走子嚢から離れた遊走子で、感染は100個程度の遊走子により成立し、致死的となる。遊走子は遊泳して宿主に到達することから、発育や感染には水が必須である。遊走子は水道水で3週間、精製水では4週間、湖水ではさらに長い期間生存することができる。発育至適温度は17~25℃で、23℃が最も適しているとされている。高温に弱く、28℃で発育が止まり、30℃以上になると死滅する。
B. dendrobatidisの診断は組織学的に行われ、経験を積めば容易である。組織学的診断には、感染皮膚の組織標本が必要で、カエルの皮膚の正常構造と病原体に関する知識と経験が必要である。迅速診断法としては皮膚掻爬材料を無染色で鏡検し、遊走子を確認する。生きているカエルでは、皮膚掻爬あるいは肢端を摘み、組織学的に診断する。オタマジャクシのツボカビ症の診断には、鑑定殺が必須である。B.
dendrobatidisは口器にのみ感染するため、小型のオタマジャクシは切断せずに口器を温存したまま、大型のオタマジャクシでは、口器を含む頭部を縦断して組織標本を作製する。その際に、ケラチン質の歯が含まれていることが診断に欠かせない。
その他、新鮮材料からの培養法もあるが、操作が煩雑で培養に時間を要し、検出感度が低いため一般的ではない。研究レベルでは遺伝学的手法(PCR、リアルタイムPCR)が用いられている。
病気または死亡したカエルの準備と移動のための手順を以下に示す。
- 病気または死亡したカエルを扱う際は、ディスポーサブルの手袋を着用。
- 常に新しい手袋、きれいなポリ袋を、各々のカエルに使用する。
- カエルが死亡していたら、速やかに冷蔵保存する(死後すぐに腐敗して検査が難しくなる)。標本は10%中性緩衝ホルマリンで固定、保存する。
死亡したカエルは腹部を切開し、腸管に注入固定をして約10倍量の固定液に入れる。解剖できない場合は標本を冷凍する(組織検査には適さなくなる)。指端および腹部皮膚の一部を遺伝学的検査にまわす。
- 容器には少なくとも種、日付、場所が分かるようにラベルする。
- 生きているが移動しても生存できそうにない場合は、安楽死させ、標本を冷凍庫に入れる。冷凍すれば標本はいつでも送付することができる。
- カエルが生きていて輸送に耐えられそうな場合、湿った葉を散らした布袋かポリ袋に入れ、部分的に膨らませて密閉する。輸送の間、全てのカエルは別々にしておく。
- 保存した標本は瓶に入れ、袋に入れて密閉し、箱の中に入れて送る。
- 冷凍材料はドライアイスまたは氷と一緒にアイスボックスに入れて送る。
手や備品の消毒薬は細菌、発育中および胞子の状態の両方の真菌類に効果的でなくてはならない。以下の薬剤が推奨される。
- クロラミンとクロルヘキシジンをベースとした製品。これらの製品は手、靴、その他の備品に使用するのに適している。
- 適切な濃度に希釈された漂白剤やアルコールは細菌や真菌に対して有効である。これらの消毒薬には腐食性や危険性があるため、消毒の対象によっては実用的ではない。
メタノールを使うときはどちらかを行う
- 70%メタノールに30分漬ける。
- 100%メタノールにさっと浸けた後、10秒間炎に当てるか、水中で10分間沸騰させる。
漂白剤(濃度5%)はRanaウイルスのような他の病原体に対しても有効である。
これらの方法で容易に消毒できない備品は、医療用標準70%イソプロピルアルコールを染み込ませた布巾またはウェットティッシュ(イソプロピルアルコール)によって効果的に清掃することができる。
自動車の車輪やタイヤを消毒するのには、塩化ベンザルコニウムを有効成分とする消毒薬の噴霧が推奨される。
確立された治療法はない。中途半端な治療は保菌動物の増加、対策の遅れを招くので、避けた方が良い。
現状で使用可能な治療方法を挙げる。
- 感染の可能性があるカエルの治療法としては、塩化ベンザルコニウム溶液1mg/Lを1日1時間ごとに1,3,5,9,11,13日目の治療期間に1匹ずつ浸漬する。カエルは2ヶ月間隔離。これと、その他、効果がある程度期待される治療法は、BergerとSpeare(1998)が報告。
- Betadine○c(10%ポピドンヨード液)とBactonex○c(塩酸アミナクリンとメチレンブルーを含む)による治療も成体のカエルで数例成功している(M
Mahony, Newcastle University 私信)。 - Itraconazole○cは有効である(Lee Berger CSIRO Australian Animal Health
Laboratory 私信)。 - :0.01% itraconazole液で薬浴、1日1回5分、10日間。itraconazoleを1% methyl cellulose液に溶かし、0.6%生理食塩水で0.01%液にする。
下記に検疫プロトコールの要約を示す。このプロトコールを順守することで、ツボカビによる施設内外の汚染を最小限に留めることができる。
- 導入する全ての両生類は獣医師が検査を行なう。
- 検疫期間は60日以上。
- 適切な温度範囲は17~23℃。
- ツボカビ感染のリスクのある数頭のオタマジャクシは安楽死させ、検査する。
- ツボカビ感染のリスクのあるカエルは、イトラコナゾールで浸漬する。
- 検疫はオールインオールアウトが原則である。
- まず、放野する可能性のある動物から世話をする。
- 検疫動物は、他の飼育動物の後に世話をする。
- 手袋着用が原則。
- 検疫エリアの踏み込み消毒槽は、ビルコン(Antec社)が最も適している。
- 備品とケージは次亜塩素酸ナトリウム200mg/Lで最低15分間消毒する。
- 検疫エリアと通常の飼育エリアの移動は一方通行が原則である。
- オタマジャクシまたはカエルが死亡したら、病理検査を必ず実施する。
- 放野予定の個体は全く別の部屋か建物で飼育する。
- 水は、流す前に必ず次亜塩素酸ナトリウム200mg/Lで最低15分間消毒する。
上記の項目に加えて、カエルを野外で移動する必要があるとき、以下の事項が適用されるべきである。
- 何らかの病気や感染の可能性がある場合は、カエルを野外に放すべきではないし、他の場所(野外)に移動させてもいけない。
- 病気の可能性が疑われる場合、できる限り早期に指定されたカエルの受け入れ先および研究機関からアドバイスを得る。
- 治療を受けているカエルは個別に飼育し、非感染個体とは隔離する。
(個人の飼育者は、上記の方法に準じて行う)
より詳細な解説は、WWFジャパンのホームページにツボカビに関する情報サイトがありますので、そちらを参考にして下さい。
- http://www.asahi-net.or.jp/~zb4h-kskr/alien-s.htm のリンク集
- http://www.asahi-net.or.jp/~zb4h-kskr/alien-s/link.htm の「ツボカビに関するリンク集」
- http://www.asahi-net.or.jp/~zb4h-kskr/alien-s/tsubokabi.htm および
- http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol10no12/03-0804.htm
プレスリリース 2006.12.21
日本野鳥の会が「タンチョウ」の生息地を協定と購入により別海町と厚岸町に新たに4ヶ所野鳥保護区を設置
協定締結による野鳥保護区設置は13年ぶり、3ヶ所にこれまでに設置した野鳥保護区は合計22ヶ所約1700.3ヘクタール。
2006.12.21
(財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数約5万2千人)は、2006年12月20日までに北海道野付郡別海町在住の永野孝浩氏と厚岸郡厚岸町在住の石澤元勝氏と協定を結び、タンチョウの生息する湿原を野鳥保護区とした。協定者のお名前を冠した「永野野鳥保護区飛雁川(とびかりがわ)」、「石澤野鳥保護区尾幌川(おぼろがわ)」とし、保全に努める。また、同時に当会会員の渡邊玲子氏(わたなべれいこ・兵庫県)からの寄付金をもとに、タンチョウの生息する北海道野付郡別海町と厚岸郡厚岸町の湿原を購入した。現地は、寄付者のお名前を冠した「渡邊野鳥保護区飛雁川」、「渡邊野鳥保護区尾幌川」とし、恒久的に保全する。今回の保護区を含め、当会が野鳥保護のために設置した保護区は合計22ヶ所、面積は1700.3ha。このうちタンチョウを対象としたものは、16ヶ所、1662.1haとなった。
■野鳥保護区を設置した別海町の土地について

別海町内を流れ、野付湾に流れ込む飛雁川河口に広がる湿原。協定による保護区面積15.6ha(155,919m2)、買い取りによる保護区面積15.3ha(152,652m2)。この土地は、1970年代よりタンチョウの生息が確認されており、この周辺で1つがいが繁殖している。
なお、今回の購入した土地は、国指定鳥獣保護区特別保護地区およびラムサール条約登録地に近接しているが、法的な指定はなされていない場所である。
■野鳥保護区を設置した厚岸町の土地について

厚岸町を流れる別寒辺牛川の支流である尾幌川河口に広がる湿原。協定による保護区面積5.0ha(50,137m2)、買い取りによる保護区面積6.1ha(60,607m2)。この土地は、タンチョウの生息が確認されており、この周辺で1つがいが繁殖している。
なお、今回の購入した土地は、国指定鳥獣保護区特別保護地区およびラムサール条約登録地、条約登録地に含まれる「早瀬野鳥保護区別寒辺牛湿原」に近接し、国指定鳥獣保護区に隣接しているが、法的な指定はなされていない場所である。
この湿原は、1960年代後半まで、厚岸町太田の酪農家たちが、秋にヨシやスゲを刈り、におにして積んで置き、尾幌川が凍る1月頃に馬そりなどで運び出し、牛馬の餌や敷き藁として利用していた。人が湿原をうまく利用し、農業を行っていた場所である。
■協定について
当会では、1993年に鶴居村の「古山野鳥保護区温根内」12.9haを古山正勝氏と協定を結んだ。今回はそれ以来13年ぶりの協定締結である。現在、合計3ヶ所 33.5haを協定による野鳥保護区として保全している。
■「永野野鳥保護区飛雁川」協定者のプロフィール
永野孝浩氏は、北海道野付郡別海町在住。酪農経営。46歳。
■永野孝浩氏のコメント
「この土地は、先代の父が受継いだ地で乳牛や農耕馬の飼料の供給地として利用していました。その当時は、湿地のため牛馬の事故などがともない大変苦労をしたそうです。酪農の規模拡大とともに20年ほど前から私の父の趣味であった馬の放牧地となり、観光客の人たちが車を止め、馬やツルの写真を撮る姿がよく見られました。今は、馬もいなくなり、今後の利用を考えていたところ、日本野鳥の会との話を進めることができ喜んでいるところです。」
■「石澤野鳥保護区尾幌川」協定者のプロフィール
石澤元勝氏は、北海道厚岸郡厚岸町在住。酪農経営。57歳。
「厚岸自然を守る会」会長(会員20名、1992年3月設立)。今までに別寒辺牛川のカヌー乗降場設置問題、釧路ラムサール会議への参加、大黒島ヘリポート問題などに取り組んできた。
■石澤元勝氏のコメント
「この湿原は思い出深い土地で、1960年代後半まで、祖父たちが牛馬の餌のために草を取っていた場所、その後使われなくなっていたが、自然を大切にする時代になってもう一度この湿原に光が当たり、うれしく思います。」
■寄付者のプロフィール
渡邊玲子さん(75歳)は兵庫県在住。当会の会員歴27年。また、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリの活動を支援する賛助会第I期「タンチョウ383人の会」および同第II期「タンチョウふぁんクラブ」のメンバーとして、1987年よりタンチョウ保護のために資金面での協力をしていただいていた。これまで同氏からのご寄付をもとに、6ヶ所の野鳥保護区を設置している。
※なお、直接の取材はご本人の希望により固くお断りいたします。
■渡邊玲子さんのコメント
「大型の動物を守りたい、大型の動物がすむ環境を守れば、そこに関わる他の動植物も守ることができるとの想いから、これまでもタンチョウの保護に力を入れてきました。今回は、既存保護区周辺の拡大と新たな地域のタンチョウ生息地保護にかかわることができ、とてもうれしく思います。これからももっと野鳥保護区が増えることを願うとともに、応援して行きたいと考えています。」
■購入費について
渡邊玲子氏より、ご寄付をいただき購入した。
なお、金額は今後の購入にも関わるので、伏せさせていただきます。
■日本野鳥の会保護区事業
野鳥の生息地の保全を目的として、当会では、1986年から「野鳥保護区」を拡大しています。これまでに北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に22ヶ所、1700.3haを買い取り等により確保してきました。また、タンチョウ営巣地の買い取りで一定の成果が得られたため、2004年からタンチョウに続き、シマフクロウの生息地の買い取りもはじめました。現在、野鳥保護区の総面積は、東京ディズニーランドが33個入る大きさで、国内の自然保護団体が設置した保護区としては最大の面積です。
買い取り後は、当会職員が、調査や管理、巡回監視に当たっていきます。
なお、土地の買い取りについては会員の方をはじめとする方々からの寄付を財源としています。
(財)日本野鳥の会のタンチョウ保護活動
■概要
タンチョウは、かつて江戸時代までは道内全域に生息していたと言われているが、明治時代の乱獲と生息地である湿原の開発により激減し、一時は絶滅したと考えられていた。大正時代末期に釧路湿原で再発見されて以来、地元農家の冬期給餌などの保護活動が実り、個体数は1000羽を超えるまでになった。国の特別天然記念物にも指定されているが、分布は北海道東部に偏在し、冬期の人為的な給餌に依存している。また生息地である湿原の面積は減少する一方で、残されている湿原も営巣地の約半分は法律による保護指定がなされておらず、いつ開発されてもおかしくないのが現状である。
(財)日本野鳥の会は1987年に全国からの募金をもとに、タンチョウの越冬地である阿寒郡鶴居村の給餌人、伊藤良孝氏(故人)のご理解とご協力を得て「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」を開設した。そこでは日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、タンチョウ保護のために生態調査や自然解説などを行う現地拠点となっている。また繁殖地の保護状況調査をもとに、タンチョウの営巣地でありながら法律で保護指定されていない湿原を購入、あるいは地主と協定を結ぶ等で、野鳥保護区を設置する活動を行っている。土地の購入費用は会員をはじめ、趣旨に賛同する個人、団体からのご寄付が充てられている。
■財団法人日本野鳥の会について(詳しくはホームページ http://www.wbsj.org)
自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国5万2千人の会員・サポーターの方が、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。
・創設:1934年 ・創設者:中西悟堂 ・支部:全国89支部
<野鳥や自然を大切に思う心を伝える>
全国12ヶ所のサンクチュアリやバードプラザを訪れる年間約30万人の方に、野鳥や自然のすばらしさを伝えています。
東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。
バードウォッチングの指導・案内のできる人材の育成を進めています。
<野鳥や自然を守る>
北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として保全しています。現在、保護区の面積は、22ヶ所、1700.3haで、自然保護団体としては国内最大級です。
鳥類の生息地として、保全が急がれる場所を明確にするため、国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(IBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っています。
<特定公益増進法人です>
日本野鳥の会は、特定公益増進法人に認定されておりますので、個人や法人が支出した寄付金に対して所得控除や損金算入が設定されています
同時発表先
環境省記者クラブ、根室記者クラブ
- <本件についての問合せ先>
-
財団法人日本野鳥の会 野鳥保護区事業所
Tel 0153-25-8911
担当:富岡辰先、山口桂賜、有田茂生
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PDF 新たな保護区に関するプレスリリース
プレスリリース 2006.12.08
根室半島における風力発電開発に関して、北海道電力、北海道庁他に要望書を提出しました
2006.12.8
日本野鳥の会根室支部(事務局:根室市、支部長:細川憲了、支部会員:約80名)と(財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数:約5万2千人)は2006年12月11日までに、北海道電力株式会社、環境省、文化庁、北海道、根室市に対し連名で、根室半島における風力発電開発に関する要望書を提出しました。北海道電力株式会社への要望書では、風力発電施設により発電された電力の購入に先立ち、根室半島における風力発電施設の建設が、半島基部に存在するラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」の生態系やオオワシ、オジロワシ、タンチョウの繁殖をはじめとする希少鳥類の生息に影響を与えないことを確認するよう求めています。
■根室半島における風力発電施設の現状
- 現在、根室半島では9基の風力発電用風車が稼動しています。
- 根室半島の歯舞地区(半島東部)では、ユーラスエナジージャパン社による15基程度の風力発電施設(仮称根室ウインドファーム)の建設計画があり自主アセスメントが行われています。
- 半島南西部の昆布盛ウインドファーム(1500kW×5基)敷地内では、2004年12月10日(同ウインドファームの竣工式の当日)に、体を切断されたオジロワシ1羽が地上に落ちているところを発見されています(発見後、死亡)。
文書の要旨
■根室半島の自然環境について
- 根室半島には、その基部に道立自然公園に指定されラムサール条約湿地に登録されている「風蓮湖・春国岱」があり、また環境省(2002)において「日本の重要湿地500」に選定されている「根室半島湿原群」がある。
- 風蓮湖周辺を含む根室半島は、オオワシ、オジロワシの重要な越冬地になっている。オジロワシ・オオワシ合同調査グループ(未発表)の2004年2月の一斉調査結果では、全国で確認されたオオワシの34.09%、オジロワシの20.36%が、根室半島と風蓮湖周辺で確認されている。
- 白木(未発表)によると、オジロワシの営巣が、根室半島、風蓮湖周辺でこれまでに17箇所確認されている。
- 正富ほか(未発表)によると、タンチョウの営巣が、2006年に根室半島、風蓮湖周辺で36箇所確認されている。
- 種の保存法、文化財保護法、環境省レッドデータブック、北海道レッドデータブックに指定されている鳥類がそれぞれ、13種、10種、39種、31種確認されている。
■野鳥への影響について
- 根室半島は、多くの希少鳥類が生息しており、風力発電施設が建設された場合、これらの希少鳥類の飛行経路、繁殖行動、越冬の阻害、衝突事故の発生を引き起こすことが懸念される。希少鳥類の保護のため、その生息地の保全が必要である。風力発電施設の建設にあたっては、これら希少鳥類の生息に影響を与えないかどうかを正確に把握するために必要な調査を十分行い、万一影響が生じると考えられた場合、計画を取りやめるなどの措置が必要である。
- 2006年7月に行った納沙布岬近隣の歯舞地区で行われたオジロワシの生息状況を把握する予備的な調査では、同地区の半島部を縦断するように飛行している個体が確認されている。
■提出文書
- 北海道電力株式会社への要望書
- 北海道庁への要望書
- 根室市への要望書
※別紙、参考資料については、共通です。
環境省、文化庁については、同様の内容です。
日野鳥発第71号
平成18年12月8日
北海道電力株式会社 取締役社長
近藤 龍夫 様
東京都渋谷区初台1-47-1
小田急西新宿ビル1F
財団法人 日本野鳥の会
会 長 柳生 博
日本野鳥の会 根室支部
支部長 細川憲了
希少鳥類の生息する根室半島の保全に関する要望書
(風力発電の計画に際して)
平素より当会の環境保全活動に関するご理解、ご協力に対し、深く感謝申し上げます。さて、根室半島はラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」があり、野生動植物の重要な生息地となっています。特に鳥類では、オジロワシ、オオワシ、タンチョウなど、種の保存法 国内希少野生動植物種13種、文化財保護法 特別天然記念物2種、天然記念物8種などの希少鳥類の生息が確認されています。同半島に、風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の飛行経路が変更される、繁殖が阻害される、衝突事故が発生するなどの影響が危惧されます。そこで、希少鳥類の生息する根室半島の野生生物の保全のため、下記の通り要望いたします。
記
風力発電施設によって発電された電力の購入に先立ち、根室半島内での施設の設置が、希少鳥類、及び日本の重要湿地500「根室半島湿原群」、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」、に影響を与えないことをご確認ください。
理由は以下の通りです。
(1) 根室半島は、オオワシ・オジロワシ(種の保存法 国内希少野生動植物種、文化財保護法 天然記念物)の重要な越冬地になっています。
根室半島では、10月から4月にかけてオオワシが越冬に訪れます。また、オジロワシは、1年中確認され、10月から4月にかけて越冬のため飛来数が増加し、根室半島全域で見られます。
2004年2月22日には、根室半島でオオワシ54.6羽、オジロワシ41.4羽、風蓮湖周辺でオオワシ738.4羽、オジロワシ184.6羽が確認され、根室半島と風蓮湖周辺で確認された総数は、全国で確認されたオオワシの34.09%、オジロワシの20.36%になります(オジロワシ・オオワシ合同調査グループ 未発表)。また、2006年2月13日には、風蓮湖周辺においてオオワシ919羽、オジロワシ239羽が確認されています(日本野鳥の会 未発表)。
オオワシ、オジロワシは、ご承知のとおり、ともに種の保存法で国内希少野生動植物種に、文化財保護法で天然記念物に、北海道レッドデータブック(以下、RDB)で絶滅危惧種とされ、環境省RDBでは、オオワシは絶滅危惧II類に、オジロワシは絶滅危惧IB類に指定される希少鳥類であり、根室半島を生息地としております。
特にオジロワシは、風力発電施設との衝突事故が根室半島で1回、他地域で4回確認されており、事故が発生する可能性が高い種であると考えられます。
両種の越冬地である根室半島で、風力発電施設の建設が計画された際は、計画予定地付近で越冬期に両種の生息が確認される可能性が非常に高いと考えられます。
しかし、根室半島全域において、越冬期に両種の移動経路・飛行高度・行動(採食、休息など)が正確に調査されたことはなく、その利用状況は明確になっておりません。両種の保護のためには、こうした基礎的な生態の把握を行って、風力発電施設による影響を予測しておく必要があります。
(2) オジロワシの営巣が、根室半島、風蓮湖周辺でこれまでに17箇所確認されています。
天然記念物、国内希少野生動植物種に指定されているオジロワシの営巣が、1992年以降の観察により、これまで根室半島で7箇所、風蓮湖周辺で10箇所確認されております(白木 未発表)。
特に、歯舞湿原周辺では2箇所の営巣が確認されており、トーサンポロ沼から太平洋側へ移動するなど、半島中央部を縦断するように利用している個体がいるとわかっています(山口・長岡 2006)。この調査は2006年7月7、9日の2日間のみ実施されたものであり、繁殖期を通しての調査ではないにもかかわらず、この地域における危険性が明瞭に示されています。
同種の繁殖地である根室半島に、風力発電施設が建設された場合、エサ運び、造巣などの活動が頻繁に行われ、営巣地周辺を高頻度で移動するため、施設周辺の同種の繁殖が阻害されることが考えられます。
(3) タンチョウ(種の保存法 国内希少野生動植物種、環境省RDB 絶滅危惧II類)の営巣が、根室半島、風蓮湖周辺で36箇所確認されています。
タンチョウの営巣が、2006年に根室半島で11箇所、風蓮湖周辺で25箇所確認されております(正富ほか 未発表)。同種は、種の保存法で国内希少野生動植物種に、文化財保護法で特別天然記念物に、北海道RDBで絶滅危惧種とされ、環境省RDBでは絶滅危惧II類に指定される希少鳥類です。
同種の繁殖地である根室半島、風蓮湖周辺に、風力発電施設が建設された場合、エサ運び、造巣などの活動が頻繁に行われ、営巣地周辺を高頻度で移動するため、施設周辺の同種の繁殖が阻害されることが考えられます。
(4) 根室半島では、以下39種の希少鳥類が確認されています。
根室半島では、上記以外にも別紙のように非常に多種の希少鳥類が確認されております。種の保存法、文化財保護法、環境省RDB、北海道RDBに指定されている種は、各々13種、10種、39種、31種、総数39種になります。
これらの生息を阻害しないためには、上記(1)、(2)、(3)のことも考え合わせ、そもそも根室半島が風力発電施設の計画地として適当かどうかをあらかじめよく検討して行く必要があります。
(5) 根室半島には、環境省(2002)において「日本の重要湿地500」に指定される「根室半島湿原群」に含まれる湿原が点在しています。
根室半島には、「日本の重要湿地500」に指定される「根室半島湿原群」があります。この湿原群は、根室半島に点在する複数の湿原を指しております。構成湿原としては、根室半島湿原、ホロニタイ・フレシマ湿原、タンネ沼・オンネ沼、南部沼、長節湖、落石岬湿原、落石西湿原、ヒキウス沼、沖根辺沼があげられております。それぞれ、希少動植物種が生息している、あるいは、多様な生物相が確認されているなど、「日本の重要湿地500」の基準を満たしております。
これらの重要な湿地、及び周辺に風力発電施設が建設された場合、風車の設置、送電線の埋設工事、取り付け道路の設置などにより、水の循環を分断し、希少動植物種の生息及び、「根室半島湿原群」の生態系に悪影響を与えることが考えられます。
参考資料:・環境省.2002.日本の重要湿地500.東京
(6) 根室半島基部には、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」があり、野鳥の重要な生息地となっています。同地に飛来する、生態系の上位に位置する鳥類が根室半島で影響を受ければ、「風蓮湖・春国岱」の生態系にも影響を及ぼします。
根室半島の基部に位置する「風蓮湖・春国岱」は、2005年11月にラムサール条約湿地に登録されました。同地は、ラムサール条約湿地の登録基準を5つ満たしています。
そのうち、基準5「定期的に2万羽以上の水鳥を支えている」については、渡りの時期のガンカモ類の最大渡来数が54,839羽確認されており、定期的に2万羽以上の水鳥を支えていることから基準を満たしています。
また、基準6「地域個体群の個体数1%を定期的に支えている。」については、オオハクチョウは10,331羽、ヒシクイは 1,800羽、コクガンは2,000羽、ヒドリガモは8,673羽、オナガガモは11,442羽、スズガモは19,076羽、ホオジロガモは1,517羽、タンチョウは20~40羽、キアシシギは約400~1,900羽の渡来が確認されており、各々、東アジア地域個体群の個体数1%(各600羽、550羽、50羽、7,500羽、7,500羽、3,000羽、750羽、8羽、400羽)を定期的に支えていることから基準を満たしています。
以上の種類に加えて、「風蓮湖・春国岱」ではこれまで約280種の鳥類が確認されています。これらの鳥類は「風蓮湖・春国岱」ばかりではなく、移動により隣接地である根室半島を併せて利用していることが考えられます。根室半島で、これら鳥類の生息に影響があれば、「風蓮湖・春国岱」の生態系にも影響を及ぼします。ラムサール条約湿地の保全管理のため、これらの鳥類の移動、生息状況を十分に検討する必要があります。
参考資料:環境省.2004. 第2回ラムサール条約湿地検討会議 資料2-1 選定基準見直し後の基準別湿地一覧.東京
以上のように、根室半島には、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」があり、また、根室半島全域で多くの希少鳥類が確認されるなど、希少鳥類の重要な生息地になっています。同地域での風力発電施設の建設は、これら希少鳥類の飛行経路、繁殖行動、越冬の阻害、衝突事故の発生を引き起こすことが懸念されます。希少鳥類保護のため、その生息地の保全が必要です。これら希少鳥類の生息地である同地域では、その生息に影響を与える風力発電施設の建設は実施されるべきではありません。風力発電施設の建設にあたっては、これら希少鳥類の生息に影響を与えないかどうかを正確に把握するために必要な調査を十分行い、万一影響が生じると考えられた場合は、計画を取りやめるなどの措置が必要です。
根室半島において、風力発電施設の建設計画があった場合、北海道電力として、その計画が希少鳥類の生息、及び「風蓮湖・春国岱」、「根室半島湿原群」に影響を与えないかどうかを十分にご確認ください。
以上
別紙 根室半島に生息する希少鳥類
■コアホウドリ
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
■クロコシジロウミツバメ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
■チシマウガラス
・種の保存法 国内希少野生動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危機種
■チュウサギ
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 希少種
■コウノトリ
・種の保存法 国内希少動植物種
・文化財保護法 特別天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危惧種
■コクガン
・文化財保護法 天然記念物指定種
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 希少種
■マガン
・文化財保護法 天然記念物
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 希少種
■オオタカ
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■ハイタカ
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 絶滅危急種
■クマタカ
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
・北海道 RDB 絶滅危惧種
■イヌワシ
・種の保存法 国内希少動植物種
・文化財保護法 天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
・北海道 RDB 絶滅危惧種
■チュウヒ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■ハヤブサ
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■タンチョウ
・種の保存法 国内希少野生動植物種
・文化財保護法 特別天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危惧種
■コアジサシ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
■ウミガラス
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危機種
■ケイマフリ
・環境省 RDB 絶滅危惧;類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■ウミスズメ
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危機種
■エトピリカ
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危機種
■ヒシクイ
・文化財保護法 天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 希少種
■ツクシガモ
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
■トモエガモ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 希少種
■ミサゴ
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 絶滅危急種
■ハチクマ
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 希少種
■オジロワシ
・種の保存法 国内希少野生動植物種
・文化財保護法 天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
・北海道 RDB 絶滅危惧種
■オオワシ
・種の保存法 国内希少野生動植物種
・文化財保護法 天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危惧種
■シマクイナ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
■ヘラシギ
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■アカアシシギ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■カラフトアオアシシギ
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■ホウロクシギ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 希少種
■コシャクシギ
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
■オオジシギ
・環境省 RDB 準絶滅危惧
・北海道 RDB 希少種
■セイタカシギ
・環境省 RDB 絶滅危惧IB類
・北海道 RDB 希少種
■シマフクロウ
・文化財保護法 天然記念物指定種
・種の保存法 国内希少動植物種
・環境省 RDB 絶滅危惧IA類
・北海道 RDB 絶滅危機種
■クマゲラ
・文化財保護法 天然記念物
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
・北海道 RDB 絶滅危急種
■サンショウクイ
・環境省 RDB 絶滅危惧II類
■アカモズ
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 希少種
■シマアオジ
・環境省 RDB 準絶滅危惧種
・北海道 RDB 希少種
<参考資料>
・ 文化財保護法(法律 第214号)
・ 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(法律第 75号)
・ 環境省.2002.改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブック(環境省 RDB)-鳥類.東京
・ 北海道.2001.北海道の希少野生生物 北海道レッドデータブック2001(北海道 RDB).北海道
・ 根室市教育委員会.2005.根室市鳥類生息調査報告書.北海道
参考資料1
根室市温根元~珸瑶瑁地区におけるオジロワシの生息状況調査
山口 桂賜※1 ・ 長岡 滋雄※2
(※1.)
(財)日本野鳥の会 サンクチュアリ室 〒151-0061 東京都渋谷区初台1-47-1 小田急西新宿ビル1階
(※2.)
霧多布湿原自然学校 〒088-1365 北海道厚岸郡浜中町茶内橋北東53
はじめに
北海道東部に位置する根室半島先端部の根室市温根元~珸瑶瑁地区では、オジロワシ Haliaeetus albicilla の生息や繁殖が確認されているが、同地域でのオジロワシの生息エリアを明らかにする調査は、これまで行なわれていない。この報告では、これを明らかにするために行なった基礎的な調査結果について述べる。
調査地と調査方法
調査地は、根室半島先端部に位置する、根室市温根元~珸瑶瑁周辺である。同地域は、北部のオホーツク海(根室海峡)と、南部の太平洋に挟まれた半島部に位置し、オホーツク海側に2つの漁港、太平洋側に 1つの漁港があり、北部にトーサンポロ沼があり、内陸部は牧草地である。
調査定点は、トーサンポロ沼東側と南側に各 1ケ所設置した。調査は、8~10倍の双眼鏡、20~40倍の望遠鏡をもちいて、7時から17時までの間に、調査エリア内を休止・飛行するオジロワシの休止位置・飛行ルートを地図上に記録した。
また、5時から6時まで、調査エリアを一周する約 21kmの周回コースを自動車で走行し、車中から確認されたオジロワシの休止位置・飛行ルートを地図上に記録し、6時から7時までの間に、定点周辺の道路沿いに2コース(2.25km、2.43km)を設定し、徒歩または自動車で確認されたオジロワシの休止位置・飛行ルートを周り、周辺のオジロワシの生息状況の確認を行った。
定点調査は、 2006年7月7日、7月9日の2日間、合計20時間実施した。調査員の延べ人数は4名であった。
調査結果
2006年7月7日、9日の調査結果を図1にまとめた。
トーサンポロ沼の南東部に位置するポンオンネモト川周辺と、太平洋側を行き来するオジロワシや、トーサンポロ川の南部に位置する牧草地を東進するオジロワシが確認された。ポンオンネモト川の南部牧草地にある牧柵で休止することがよく確認された。また、当該地域には、今シーズンの繁殖は失敗しているものの、オジロワシ 1つがいの営巣が確認されており、その営巣地を休止場所の一つとして移動するオジロワシも確認された。
調査地周辺を一周する約 21kmのコースでは、7月7日にオジロワシ1羽1ヶ所での休止が確認され、定点周辺の道路沿いの2コースでは確認できなかった。

図1.2006年7月7・9日 オジロワシの休止位置・飛行ルート
日野鳥発第73号
平成18年12月7日
北海道知事
高橋 はるみ 様
東京都渋谷区初台1-47-1
小田急西新宿ビル1F
財団法人 日本野鳥の会
会 長 柳生 博
日本野鳥の会 根室支部
支部長 細川憲了
希少鳥類の生息する根室半島の保全に関する要望書
(風力発電の計画に際して)
平素より当会の環境保全活動に関するご理解、ご協力に対し、深く感謝申し上げます。さて、根室半島は道立自然公園でありラムサール条約湿地の「風蓮湖・春国岱」があり、野生動植物の重要な生息地となっています。特に鳥類では、北海道レッドデータブック(以下、RDB)に指定される31種などの生息が確認されています。同半島に、風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の飛行経路が変更される、繁殖が阻害される、衝突事故が発生するなどの影響が危惧されます。そこで、希少鳥類の生息する根室半島の野生生物の保全のため、下記の通り要望いたします。
記
根室半島内での風力発電施設の建設により、地域の財産である、道立自然公園でありラムサール条約湿地の「風蓮湖・春国岱」、日本の重要湿地500「根室半島湿原群」、及び北海道RDBに指定される31種の希少鳥類が影響を受けないよう、北海道として適切な対応をとっていただけるよう要望いたします。
理由は以下の通りです。
(1) 根室半島は、オオワシ・オジロワシ(種の保存法 国内希少野生動植物種、文化財保護法 天然記念物、北海道レッドデータブック(以下、RDB) 絶滅危惧種)の重要な越冬地になっています。
根室半島では、10月から4月にかけてオオワシが越冬に訪れます。また、オジロワシは、1年中確認され、10月から4月にかけて越冬のため飛来数が増加し、根室半島全域で見られます。
2004年2月22日には、根室半島においてオオワシ54.6羽、オジロワシ41.4羽、風蓮湖周辺でオオワシ738.4羽、オジロワシ184.6羽が確認され、根室半島と風蓮湖周辺で確認された総数は、全国で確認されたオオワシの34.09%、オジロワシの20.36%になります(オジロワシ・オオワシ合同調査グループ 未発表)。また、2006年2月13日には、風蓮湖周辺においてオオワシ919羽、オジロワシ239羽が確認されています(日本野鳥の会 未発表)。
オオワシ、オジロワシは、ご承知のとおり、ともに種の保存法で国内希少野生動植物種に、文化財保護法で天然記念物に、北海道RDBで絶滅危惧種とされ、環境省RDBでは、オオワシは絶滅危惧II類に、オジロワシは絶滅危惧IB類に指定される希少鳥類であり、根室半島を生息地としております。
特にオジロワシは、風力発電施設との衝突事故が根室半島で1回、他地域で4回確認されており、事故が発生する可能性が高い種であると考えられます。
両種の越冬地である根室半島で、風力発電施設の建設が計画された際は、計画予定地付近で越冬期に両種の生息が確認される可能性が非常に高いと考えられます。
しかし、根室半島全域において、越冬期に両種の移動経路・飛行高度・行動(採食、休息など)が正確に調査されたことはなく、その利用状況は明確になっておりません。両種の保護のためには、こうした基礎的な生態の把握を行って、風力発電施設による影響を予測しておく必要があります。
(2) オジロワシの営巣が、根室半島、風蓮湖周辺でこれまでに17箇所確認されています。
国内希少野生動植物種、天然記念物に指定されているオジロワシの営巣が、1992年以降の観察により、これまで根室半島で7箇所、風蓮湖周辺で10箇所確認されております(白木 未発表)。
特に、歯舞湿原周辺では2箇所の営巣が確認されており、トーサンポロ沼から太平洋側へ移動するなど、半島中央部を縦断するように利用している個体がいるとわかっています(山口・長岡 2006)。この調査は2006年7月7、9日の2日間のみ実施されたものであり、繁殖期を通しての調査ではないにもかかわらず、この地域における危険性が明瞭に示されています。
同種の繁殖地である根室半島に、風力発電施設が建設された場合、エサ運び、造巣などの活動が頻繁に行われ、営巣地周辺を高頻度で移動するため、施設周辺の同種の繁殖が阻害されることが考えられます。
(3) タンチョウ(種の保存法 国内希少野生動植物種、文化財保護法 特別天然記念物、北海道 RDB 絶滅危惧種)の営巣が、根室半島、風蓮湖周辺で36箇所確認されています。
タンチョウの営巣が、2006年に根室半島で11箇所、風蓮湖周辺で25箇所確認されております(正富ほか 未発表)。同種は、種の保存法で国内希少野生動植物種に、文化財保護法で特別天然記念物に、北海道RDBで絶滅危惧種とされ、環境省RDBでは絶滅危惧II類に指定される希少鳥類です。
同種の繁殖地である根室半島、風蓮湖周辺に、風力発電施設が建設された場合、エサ運び、造巣などの活動が頻繁に行われ、営巣地周辺を高頻度で移動するため、施設周辺の同種の繁殖が阻害されることが考えられます。
(4) 根室半島では、以下39種の希少鳥類が確認されています。
根室半島では、上記以外にも別紙のように非常に多種の希少鳥類が確認されております。種の保存法、文化財保護法、環境省RDB、北海道RDBに指定されている種は、各々13種、10種、39種、31種、総数39種になります。
これらの生息を阻害しないためには、上記(1)、(2)、(3)のことも考え合わせ、そもそも根室半島が風力発電施設の計画地として適当かどうかをあらかじめよく検討して行く必要があります。
(5) 根室半島には、環境省(2002)において「日本の重要湿地500」に指定される「根室半島湿原群」に含まれる湿原が点在しています。
根室半島には、「日本の重要湿地500」に指定される「根室半島湿原群」があります。この湿原群は、根室半島に点在する複数の湿原を指しております。構成湿原としては、根室半島湿原、ホロニタイ・フレシマ湿原、タンネ沼・オンネ沼、南部沼、長節湖、落石岬湿原、落石西湿原、ヒキウス沼、沖根辺沼があげられております。それぞれ、希少動植物種が生息している、あるいは、多様な生物相が確認されているなど、「日本の重要湿地500」の基準を満たしております。
これらの重要な湿地、及び周辺に風力発電施設が建設された場合、風車の設置、送電線の埋設工事、取り付け道路の設置などにより、水の循環を分断し、希少動植物種の生息及び、「根室半島湿原群」の生態系に悪影響を与えることが考えられます。
参考資料:・環境省.2002.日本の重要湿地500.東京
(6) 根室半島基部には、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」があり、野鳥の重要な生息地となっています。同地に飛来する、生態系の上位に位置する鳥類が根室半島で影響を受ければ、「風蓮湖・春国岱」の生態系にも影響を及ぼします。
根室半島の基部に位置する「風蓮湖・春国岱」は、2005年11月にラムサール条約湿地に登録されました。同地は、ラムサール条約湿地の登録基準を5つ満たしています。
そのうち、基準5「定期的に2万羽以上の水鳥を支えている」については、渡りの時期のガンカモ類の最大渡来数が54,839羽確認されており、定期的に2万羽以上の水鳥を支えていることから基準を満たしています。
また、基準6「地域個体群の個体数1%を定期的に支えている。」については、オオハクチョウは10,331羽、ヒシクイは1,800羽、コクガンは2,000羽、ヒドリガモは8,673羽、オナガガモは11,442羽、スズガモは19,076羽、ホオジロガモは1,517羽、タンチョウは20~40羽、キアシシギは約400~1,900羽の渡来が確認されており、各々、東アジア地域個体群の個体数1%(各600羽、550羽、50羽、7,500羽、7,500羽、3,000羽、750羽、8羽、400羽)を定期的に支えていることから基準を満たしています。
以上の種類に加えて、「風蓮湖・春国岱」ではこれまで約280種の鳥類が確認されています。これらの鳥類は「風蓮湖・春国岱」ばかりではなく、移動により隣接地である根室半島を併せて利用していることが考えられます。根室半島で、これら鳥類の生息に影響があれば、「風蓮湖・春国岱」の生態系にも影響を及ぼします。ラムサール条約湿地の保全管理のため、これらの鳥類の移動、生息状況を十分に検討する必要があります。
参考資料:環境省.2004. 第2回ラムサール条約湿地検討会議 資料2-1 選定基準見直し後の基準別湿地一覧.東京
以上のように、根室半島には、道立自然公園でありラムサール条約湿地の「風蓮湖・春国岱」、日本の重要湿地500「根室半島湿原群」があり、また根室半島全域では、北海道RDBに指定される31種の希少鳥類が確認されております。特に、希少鳥類については重要な生息地になっており、同地域での風力発電施設の建設は、これら希少鳥類の飛行経路、繁殖行動、越冬の阻害、衝突事故の発生を引き起こすことが懸念されます。希少鳥類保護のため、その生息地の保全が必要です。これら希少鳥類の生息地である同地域では、その生息に影響を与える風力発電施設の建設は実施されるべきではありません。風力発電施設の建設にあたっては、これら希少鳥類の生息に影響を与えないかどうかを正確に把握するために必要な調査を十分行い、万一影響が生じると考えられた場合は、計画を取りやめるなどの措置が必要です。
根室半島において、風力発電施設の建設計画があった場合、地域の財産である道立自然公園・ラムサール条約湿地の「風蓮湖・春国岱」、日本の重要湿地500「根室半島湿原群」を守るべき立場にある北海道として、その計画が希少鳥類の生息、及び「風蓮湖・春国岱」「根室半島湿原群」に影響を与えないかどうかを十分にご確認いただき、適切な対応をくださるよう要望します。
以上
(以下別紙、参考資料は省略)
日野鳥発第72号
平成18年12月7日
根室市長
長谷川 俊輔 様
東京都渋谷区初台1-47-1
小田急西新宿ビル1F
財団法人 日本野鳥の会
会 長 柳生 博
日本野鳥の会 根室支部
支部長 細川憲了
希少鳥類の生息する根室半島の保全に関する要望書
(風力発電の計画に際して)
平素より当会の環境保全活動に関するご理解、ご協力に対し、深く感謝申し上げます。さて、既にご承知かと存じますが、根室半島には、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」をはじめ、多様な野鳥や野草などの野生生物が暮す、豊かな自然環境があります。特に鳥類では、種の保存法 国内希少野生動植物種13種、文化財保護法 特別天然記念物2種、天然記念物8種の生息が確認されています。同半島に、風力発電施設が建設された場合、豊かな自然環境が損なわれる、あるいは、これらの鳥類の飛行経路が変更される、繁殖が阻害される、衝突事故が発生するなどの影響が危惧されます。根室半島の貴重な自然環境は、根室市の財産であり、また貴重な観光資源でもあります。そこで、根室半島の豊かな自然環境の保全のため、下記の通り要望いたします。
記
根室市の財産であり、貴重な観光資源でもある、根室半島の豊かな自然環境、多様な野生生物の生息が、風力発電施設の建設により損なわれないよう、地域住民や地元自然保護団体などと協働しながら、根室市として、適切な計画のみを認められるなどの対応をいただけますことを要望いたします。
理由は以下の通りです。
(1) 根室半島は、オオワシ・オジロワシ(種の保存法 国内希少野生動植物種、文化財保護法 天然記念物)の重要な越冬地になっています。
根室半島では、10月から4月にかけてオオワシが越冬に訪れます。また、オジロワシは、1年中確認され、10月から4月にかけて越冬のため飛来数が増加し、根室半島全域で見られます。
2004年2月22日には、根室半島においてオオワシ54.6羽、オジロワシ41.4羽、風蓮湖周辺でオオワシ738.4羽、オジロワシ184.6羽が確認され、根室半島と風蓮湖周辺で確認された総数は、全国で確認されたオオワシの34.09%、オジロワシの20.36%になります(オジロワシ・オオワシ合同調査グループ 未発表)。また、2006年2月13日には、風蓮湖周辺においてオオワシ919羽、オジロワシ239羽が確認されています(日本野鳥の会 未発表)。
オオワシ、オジロワシは、ご承知のとおり、ともに種の保存法で国内希少野生動植物種に、文化財保護法で天然記念物に、北海道RDBで絶滅危惧種とされ、環境省RDBでは、オオワシは絶滅危惧II類に、オジロワシは絶滅危惧IB類に指定される希少鳥類であり、根室半島を生息地としております。
特にオジロワシは、風力発電施設との衝突事故が根室半島で1回、他地域で4回確認されており、事故が発生する可能性が高い種であると考えられます。
両種の越冬地である根室半島で、風力発電施設の建設が計画された際は、計画予定地付近で越冬期に両種の生息が確認される可能性が非常に高いと考えられます。
しかし、根室半島全域において、越冬期に両種の移動経路・飛行高度・行動(採食、休息など)が正確に調査されたことはなく、その利用状況は明確になっておりません。両種の保護のためには、こうした基礎的な生態の把握を行って、風力発電施設による影響を予測しておく必要があります。
(2) オジロワシの営巣が、根室半島、風蓮湖周辺でこれまでに17箇所確認されています。
天然記念物、国内希少野生動植物種に指定されているオジロワシの営巣が、1992年以降の観察により、これまで根室半島で7箇所、風蓮湖周辺で10箇所確認されております(白木 未発表)。
特に、歯舞湿原周辺では2箇所の営巣が確認されており、トーサンポロ沼から太平洋側へ移動するなど、半島中央部を縦断するように利用している個体がいるとわかっています(山口・長岡 2006)。この調査は2006年7月7、9日の2日間のみ実施されたものであり、繁殖期を通しての調査ではないにもかかわらず、この地域における危険性が明瞭に示されています。
同種の繁殖地である根室半島に、風力発電施設が建設された場合、エサ運び、造巣などの活動が頻繁に行われるため、営巣地周辺を高頻度で移動するため、施設周辺の同種の繁殖が阻害されることが考えられます。
(3) タンチョウ(種の保存法 国内希少野生動植物種、文化財保護法 特別天然記念物)の営巣が、根室半島、風蓮湖周辺で36箇所確認されています。
タンチョウの営巣が、2006年に根室半島で11箇所、風蓮湖周辺で25箇所確認されております(正富ほか 未発表)。同種は、種の保存法で国内希少野生動植物種に、文化財保護法で特別天然記念物に、北海道RDBで絶滅危惧種とされ、環境省RDBでは絶滅危惧II類に指定される希少鳥類です。
同種の繁殖地である根室半島、風蓮湖周辺に、風力発電施設が建設された場合、エサ運び、造巣などの活動が頻繁に行われ、営巣地周辺を高頻度で移動するため、施設周辺の同種の繁殖が阻害されることが考えられます。
(4) 根室半島では、以下39種の希少鳥類が確認されています。
根室半島では、上記以外にも別紙のように非常に多種の希少鳥類が確認されております。種の保存法、文化財保護法、環境省RDB、北海道RDBに指定されている種は、各々13種、10種、39種、31種、総数39種になります。
これらの生息を阻害しないためには、上記(1)、(2)、(3)のことも考え合わせ、そもそも根室半島が風力発電施設の計画地として適当かどうかをあらかじめよく検討して行く必要があります。
(5) 根室半島には、環境省(2002)において「日本の重要湿地500」に指定される「根室半島湿原群」に含まれる湿原が点在しています。
根室半島には、「日本の重要湿地500」に指定される「根室半島湿原群」があります。この湿原群は、根室半島に点在する複数の湿原を指しております。構成湿原としては、根室半島湿原、ホロニタイ・フレシマ湿原、タンネ沼・オンネ沼、南部沼、長節湖、落石岬湿原、落石西湿原、ヒキウス沼、沖根辺沼があげられております。それぞれ、希少動植物種が生息している、あるいは、多様な生物相が確認されているなど、「日本の重要湿地500」の基準を満たしております。
これらの重要な湿地、及び周辺に風力発電施設が建設された場合、風車の設置、送電線の埋設工事、取り付け道路の設置などにより、水の循環を分断し、希少動植物種の生息及び、「根室半島湿原群」の生態系に悪影響を与えることが考えられます。
参考資料:・環境省.2002.日本の重要湿地500.東京
(6) 根室半島基部には、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」があり、野鳥の重要な生息地となっています。同地に飛来する、生態系の上位に位置する鳥類が根室半島で影響を受ければ、「風蓮湖・春国岱」の生態系にも影響を及ぼします。
根室半島の基部に位置する「風蓮湖・春国岱」は、2005年11月にラムサール条約湿地に登録されました。同地は、ラムサール条約湿地の登録基準を5つ満たしています。
そのうち、基準5「定期的に2万羽以上の水鳥を支えている」については、渡りの時期のガンカモ類の最大渡来数が54,839羽確認されており、定期的に2万羽以上の水鳥を支えていることから基準を満たしています。
また、基準6「地域個体群の個体数1%を定期的に支えている。」については、オオハクチョウは10,331羽、ヒシクイは1,800羽、コクガンは2,000羽、ヒドリガモは8,673羽、オナガガモは11,442羽、スズガモは19,076羽、ホオジロガモは1,517羽、タンチョウは20~40羽、キアシシギは約400~1,900羽の渡来が確認されており、各々、東アジア地域個体群の個体数1%(各600羽、550羽、50羽、7,500羽、7,500羽、3,000羽、750羽、8羽、400羽)を定期的に支えていることから基準を満たしています。
以上の種類に加えて、「風蓮湖・春国岱」ではこれまで約280種の鳥類が確認されています。これらの鳥類は「風蓮湖・春国岱」ばかりではなく、移動により隣接地である根室半島を併せて利用していることが考えられます。根室半島で、これら鳥類の生息に影響があれば、「風蓮湖・春国岱」の生態系にも影響を及ぼします。ラムサール条約湿地の保全管理のため、これらの鳥類の移動、生息状況を十分に検討する必要があります。
参考資料:環境省.2004. 第2回ラムサール条約湿地検討会議 資料2-1 選定基準見直し後の基準別湿地一覧.東京
以上のように、根室半島には、ラムサール条約湿地「風蓮湖・春国岱」、日本の重要湿地500「根室半島湿原群」があり、また、根室半島全域で多くの希少鳥類が確認されております。特に、希少鳥類については重要な生息地になっており、同地域での風力発電施設の建設は、これら希少鳥類の飛行経路、繁殖行動、越冬の阻害、衝突事故の発生を引き起こすことが懸念されます。希少鳥類保護のため、その生息地の保全が必要です。これら希少鳥類の生息地である同地域では、その生息に影響を与える風力発電施設の建設は実施されるべきではないと考えられます。風力発電施設の建設にあたっては、これら希少鳥類の生息に影響を与えないかどうかを正確に把握するために必要な調査を十分行い、万一影響が生じると考えられた場合は、計画を取りやめるなどの措置が必要です。
根室半島において、風力発電施設の建設計画があった場合、根室の財産を守るべき立場にある根室市として、その計画が希少鳥類の生息や、多様な生物相、及び「風蓮湖・春国岱」、「根室半島湿原群」などの豊かな自然環境に影響を与えないかどうかを検討し、必要に応じて地域住民や、地元自然保護団体と協力しながら、適切な対応をとっていただけることを期待いたします。また、私どもとしましても調査等に協力する用意があります。
以上
(以下別紙、参考資料は省略)
プレスリリース 2006.12.04
日本野鳥の会が、団塊の世代に、次世代へ自然を繋げて欲しいとの思いから、
自然をテーマにしたビジュアルフリーマガジン『Toriino』を創刊。
発行部数50万部の全国展開は、国内の自然保護NGOとしては、最大規模。
2006.12.4
(財)日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数5万1千人)は、1934年の創立より野鳥や自然のすばらしさを伝えながら守る活動を展開しているが、この度、自然のすばらしさを伝える活動の一環として、ビジュアルフリーマガジン『Toriino』(トリーノ)(発行部数:50万部、季刊)を、本日 12月4日に創刊した。
現在、地球規模で野鳥や野鳥がくらす自然環境が失われつつあることを背景に、『Toriino』は、団塊の世代を中心にした50~60歳代を主な対象に、幼少期の自然が豊かであった時代を、この『Toriino』を通じて今一度想起していただき、自然のすばらしさや大切さを、次の世代の自然の守り手である子供たちや孫たちに伝えて欲しいとの思いから創刊した。
野鳥の会では、創立より会員向けの会誌『野鳥』(発行部数:5万部、月刊)を発行し続けているが、会員以外の一般を対象に雑誌を発行するのは初めての試み。また、国内の自然保護NG0としても、発行部数50万部の全国展開は初めて。
紙面は、自然をテーマに、「日本的自然美」「ノスタルジー」「旅」「アニマル」の4つの柱で構成し、著名な写真家の写真で紹介する。創刊号は、前田真三氏、小島一郎氏、藤原新也氏、岩合光昭氏の作品を紹介する。
主な配布先は、全国の主要な道の駅、全国の国民休暇村、野鳥の会のサンクチュアリ、同協定旅館、また日本ホリスティック医学協会関連医療機関などで、12月10日頃から受け取れる。
発行にかかる費用は、すべて企業などからの広告費により賄われるが、環境に対する企業の社会的責任が問われる情勢の中、『Toriino』の広告紙面を通じて企業のCSR活動を応援したい。
■入手などのお問い合わせ
以下にお問い合わせください。
財団法人 日本野鳥の会
会員室 TEL 03-5358-3510
■主な配布先
・当会サンクチュアリ
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
ウトナイ湖サンクチュアリ
東京都立東京港野鳥公園
横浜市立横浜自然観察の森 他10か所
・東京都内
日本野鳥の会バードプラザ
日本橋三越本店
農林中央金庫本店
三菱UFJ信託銀行(全店舗)
青山ブックセンター(全店舗)
第一生命ギャラリー
丸の内さえずり館 他
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(財)日本野鳥の会
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