石垣リゾート&コミュニティー計画に対する緊急記者発表を行いました

2025年8月13日

7月30日に石垣リゾート&コミュニティー計画に関する緊急記者会見を行いました。同計画は石垣市の支援を得て株式会社ユニマットプレシャスが進めているゴルフ場付きリゾート施設の建設計画です。

この計画に対しては、約127haという広大な開発用地内にカンムリワシなど絶滅危惧種の生息地やラムサール条約湿地である名蔵アンパルの水源地が含まれ、水系を通じて国立公園の名蔵湾や沿岸のサンゴ礁・マングローブ林にも深刻な影響が懸念されます。そのことから、アンパルの自然を守る会、カンムリワシの里と森を守る会をはじめとする地元団体と日本魚類学会、WWFジャパン、日本野鳥の会などが、事業着手に必要な許可を審査している沖縄県に対して周辺環境に十分な配慮がされることを要請していましたが、5月7日に沖縄県は計画を進めるのに必要な農地転用許可と開発許可を出しました。

今回の緊急記者会見は、沖縄県に対して開示請求を行ってきたこれらの審査資料の一部(一部は、8月に開示決定)が開示されたことを受けて、審査の過程で明らかになった問題点やこれまで我々が指摘してきた問題点への対応が不十分であることを広く知ってもらうために行ったものです。また、JELF(日本環境法律家連盟)のカンムリワシ弁護団が予定している法的措置についても報告が行われました。

記者発表のおもな内容

1. 準備中の農地転用許可についての行政不服審判請求について

2. カンムリワシの生息地保全

  • 2019年に公開された環境影響調査方法書で示された配慮を要する場所と、今回開示された資料に書かれている配慮場所がまったく同じ。環境影響調査方法書作成以降に行なった繁殖調査等の調査結果の反映やそれにもとづく保全策が検討されていない。

3. 大量の地下水汲み上げの影響

  • 地下水の汲み上げによる地下水系への海水の侵入による塩水化について、モニタリングを行い影響が検出された場合、揚水を中止するとあるが、指標の電気伝導度の数値が高すぎるなど、その他科学的な誤りがあり初期段階での検出ができない。
  • 渇水等で上水を利用する場合、水不足等の市民生活への影響の懸念。
  • 周辺で地下水を利用している農業者がいるにも関わらず、石垣市はヒアリングを行わず地下水の利用はないと県に報告。

4. 農薬等を含む排水による汚染

  • 排水計画が明らかになり、農薬を含む排水が名蔵アンパルに流入することが明らかになる。農薬にはネオニコチノイド系の殺虫剤も入っており甲殻類などへの影響が懸念される。
  • 有機農業を行っている農地へも排水が流入する。
  • イシガキパイヌキバラヨシノボリ※の生息が唯一確認されている繁殖地での流量の減少が予測されている。

5. ゴルフリゾート施設の経済的効果

  • 市民の森の土地や農道、里道の廃止、排水先の河川利用と施設新設など市の公共財を開発事業に提供。

6. 新たな文化財(風葬)の発掘と調査・保存

  • 5月に発見された風葬墓のうち1地点を文化財として指定する方針が示されたが、開発で毀損が懸念される。

※イシガキパイヌキバラヨシノボリ:2022年に新種として記載されたパイヌキバラヨシノボリの石垣島の固有亜種

参考:これまでの経緯

2015年 10月 石垣市長・事業者が計画公表(ゴルフリゾート建設は市長の選挙公約)
アンパルの自然を守る会が計画の見直しを求める要請を行う
2019年 2月 県条例にもとづく環境影響評価方法書に対して意見書
2021年 2月 環境影響評価準備書に対しての知事意見。17項目70件の問題点を指摘
9月 アンパルの自然を守る会、我がーやいまの自然を守る会が共同署名活動開始2022年5月12日時点で計26655名の署名
11月 環境影響評価書最終版が縦覧終了。重要項目について知事指摘に対し未対応
12月 地元のアンパルの自然を守る会、我がーやいまの自然を守る会、当会やWWFジャパンなど11団体が連名で沖縄県に対して審査を通して計画の見直しを求める要請 1
2022年 1月 日本魚類学会が計画の見直しを求める要請
2月 世界湿地の日に計画の問題点と提言を動画配信 2
3月 地域未来促進法の「地域経済牽引事業計画」を沖縄県が同意
6月 石垣市長の農業振興地域の指定解除案に対して農業従事者10名が異議申立(その後却下)
当会を含む12団体が連名で沖縄県、石垣市、事業者に対して要請 3
10月 石垣島でカンムリワシの里と森を守る会結成
2023年 4月 県知事宛て知事許可事項(農地転用・開発許可等)に対する合同要請(16団体)4
2025年 3月 沖縄県が林地開発許可
5月 沖縄県が土地計画法に基づく開発許可、農地法に基づく農地転用許可
7月 沖縄県による公文書開示
  1. (仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画に関して、沖縄県および石垣市に要請書を提出(2021年11月30日)
  2. 「世界湿地の日 記念セミナー」動画を公開(2022年2月1日)
  3. 「(仮称)石垣リゾート&コミュニティ計画」に対する緊急要請書(2022年6月20日)
  4. 「石垣リゾート&コミュニティ計画」に係る知事許可事項に対する要請を行ないました(2023年4月17日)

(仮称)志賀風吹岳風力発電事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書

別紙
令和3年3月24日

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
代表取締役 中川 隆久 様

日本野鳥の会石川
代表 中村 正男
〒929-1125 石川県かほく市宇野気1-71

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一 (公印省略)
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)山形尾花沢風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

現在、貴社が意見募集をしている(仮称)志賀風吹岳風力発電事業(以下、当該事業という)に係る環境影響評価方法書(以下、方法書という)に対して、環境影響評価法第8条に基づき、鳥類の保全の見地から下記のとおり意見を述べます。

1.累積的影響評価の実施の必要性について
(1)(仮称)七尾志賀風力発電事業との間の累積的影響について

当該事業は方法書より対象事業実施区域(以下、計画地という)の範囲が変更されましたが、(仮称)七尾志賀風力発電事業(以下、重複他事業という)の方法書に示されている計画地と当該事業の計画地は、まだ大きく重複しています。なお、 令和2年7月27日より公告縦覧されていた他社による(仮称)能登里山風力発電事業の計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)にある事業実施想定区域とは、本方法書により当該事業の計画地とは重複ではなく、隣接している状態となりました。

ほぼ同じ場所に違う事業者の風力発電施設(以下、風車という)が建設されることは一般的には想定し難いですが、現段階で計画地が重複している以上、貴社は重複他事業の事業者と協力、または情報の共有を図りながら累積的環境影響評価を実施したうえで影響の回避・低減策を講じなければ、輻輳する風車の存在やその設置工事により、生態系の破壊や鳥類のバードストライクおよび障壁影響を含む生息地放棄などの重大な影響が生じる可能性があります。

貴社が作成した配慮書に対し、私ども2団体が令和2年6月11日付で提出した意見書では、重複他事業と能登半島に多くの風力発電所や計画中の風力発電事業があり、累積的環境影響評価の実施が必要と述べました。しかし、方法書には累積的環境影響評価に関する具体的な方針や評価手法が記載されておらず、不十分な内容となっています。計画地が重複することにより生じる鳥類をはじめとする自然環境への重大な影響を回避するための方法等が示されない限り、本事業は実施すべきではありません。

(2)計画地周辺に多く存在する他事業との間の累積的影響について

計画地の周辺には(仮称)七尾志賀風力発電事業以外にも、方法書から隣接する計画となった(仮称)能登里山風力発電事業を含めて、下記のように既設、建設中、計画中の事業(以下、他事業という)が多く存在します。貴社は他事業の事業者と協力または情報の共有を図りながら累積的環境影響評価を実施し、能登半島中部全体における鳥類や自然環境への影響の回避・低減策を講じなければ、輻輳する風車の存在やその設置工事により、生態系の破壊や鳥類のバードストライク、および障壁影響を含む生息地放棄などの重大な影響が能登半島中部全体で生じる可能性があります。

しかし、方法書には累積的影響評価に関する具体的な方針や考え方、評価手法等が記載されておらず、不十分な内容となっています。貴社は海外事例を参考にするなどして累積的影響の予測および評価を行い、計画地の周辺に他事業が複数存在することにより生じる鳥類をはじめとした自然環境への重大な影響を回避するための方針や方法を示すべきです。さらに、風車の運転開始後は事後調査を行い、その結果を公表すべきです。事後調査を実施すること、また、その具体的な手法等を記載できない限り、本事業の規模を縮小するか、計画を撤回すべきです。

【計画地周辺の他事業】

  • 既設:福浦風力発電所(9基)、虫ヶ峰風力発電所(10基)、酒見風力発電所(1基)、あいの風酒見風力発電所(5基)、富来風力発電所(4基)、JRE志賀西海風力発電所(3基)
  • 建設中:百浦赤住風力発電所、矢駄風力発電所
  • 計画中:(仮称)能登中風力発電事業(最大16基)、(仮称)中能登ウインドファーム事業(最大15基)、(仮称)志賀風力発電事業(最大7基)、(仮称)虫ヶ峰風力発電事業(最大13基、現10基は撤去)、(仮称)能登里山風力発電事業(最大17基)、(仮称)西能登ウィンドファーム事業(最大30基)、(仮称)志賀風吹岳風力発電事業(最大9基)
2.鳥類調査の方法等について

【表 6.2-13(1)〜(5) 調査、予測及び評価の手法】、【表 6.2-14(1)〜(2) 動物の調査方法及び内容】、表 6.2-14 (3) 動物の調査時期の設定根拠】に記載されている内容について、下記のように意見を述べます。

  • 計画地全体はKBA(Key Biodiversity Area)に含まれています。そのため、貴社は風車の建設により発生する土砂の扱いには十分留意し、土砂流出等により、KBAの指定根拠となっているホクリクサンショウウオの生息地をはじめ、地域の生態系や、鳥類を含めた地域の生物多様性に影響を与えることのないよう、事業を計画、実施すべきです。
  • 鳥類の繁殖状況や渡り鳥の渡来・通過・渡去の状況は年変動が大きいことは既知のことです。貴社はこの年変動も考慮して、鳥類調査全般の実施期間は少なくとも2年間実施する必要があります。
  • 鳥類調査(一般鳥類)の各調査において調査時期と頻度がそれぞれ記載されていますが、それが適切であるかどうか専門家等の意見を聞くべきです。私ども2団体としては、現地の鳥類の状況を詳しく把握するために、繁殖期(5~6月)は調査地において出現種数が飽和するまで実施し、それ以外の時期は各月1~2回程度の調査が必要と考えます。
  • 鳥類(渡り鳥)調査において、調査時間は「日の出の2時間前からと日没の2時間後まで」とありますが、春季には夜間(22時から翌朝4時頃)に渡り鳥が多く見られるとの報告*もあるため、それ以外の時間帯でも夜間調査の実施を検討すべきです。ただし、録音調査では、録音機材で確認できる鳥類の飛翔状況の距離が短いことがあるため、レーダー調査を実施するなどして、計画地における渡り鳥の利用状況等を詳細に把握したうえで影響を評価すべきです。
  • 鳥類(希少猛禽類)調査では、オオタカの繁殖状況を詳細に把握するために、2月調査を「繁殖期」の調査とすべきです(2月も2季実施すること)。また、計画地とその周辺における希少猛禽類のペアの生息および繁殖状況をより適切かつ十分に把握するために、定点観察法だけではなく、適宜、移動観察(早朝の声聞きなど)を交えるなど、対象種や環境に合わせて柔軟に調査を実施すべきです。
  • 貴社は、希少猛禽類調査および渡り鳥調査のための観察地点からの視野を示す視野図を作成し、観察地点の設置位置の妥当性を検討すべきです。希少猛禽類調査および渡り鳥調査においては、各観察地点からの視野が重なり計画地全体を網羅する調査を実施し、影響を評価すべきです。
  • 希少猛禽類調査および渡り鳥調査では、鳥類の飛翔位置を正確に把握するため、レーザーレンジファインダー等の機器を使用すべきです。
3.アセス図書の縦覧方法について

貴社が作成した方法書は、配慮書を含め貴社が作成したアセス図書がダウンロードや印刷できないのは、著作権者である貴社の意向によるものです。しかし、パソコン上にダウンロード、および印刷して閲覧できないことは非常に不便であることから、貴社は利用者から申請があれば、ダウンロードおよび印刷を可能にすべきです。
今回、貴社のアセス図書の縦覧期間が意見書の提出期限前に終了していますが、利用者の利便性のために、また、環境省からの依頼に応じて、意見書の募集期間中はインターネットで閲覧できるようにしていただくことを要望いたします。

*鳥類調査結果を用いた影響予測手法等について(参考)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/tyouruityousa2.pdf

以上

(仮称)山形尾花沢風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

(仮称)山形尾花沢風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

令和3年3月17日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
  2. 公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略)
住 所
  1. 〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された「(仮称)山形尾花沢風力発電事業 環境影響評価方法書」について、下記の通り意見を提出します。

  1. 貴社が環境影響評価方法書(以下、方法書という)を縦覧している(仮称)山形尾花沢風力発電事業について、対象事業実施区域(以下、計画地という)に風力発電施設(以下、風車という)を建設した場合、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類および山形県の絶滅のおそれのある野生動植物に指定されているクマタカが計画地とその周辺に生息しているため、バードストライクまたは生息地放棄が発生する危険性が高い。
    方法書では、希少猛禽類の生息状況調査はクマタカを対象にして定点観察法で行うとし、1~12月(1営巣期目の調査結果をもとに、必要に応じて2営巣期目の調査も行う)に調査を行うとしている。しかし、方法書では具体的な調査スケジュールが明確になっていないので、記載することを求める。なお、クマタカは毎年繁殖を開始、または成功するわけではないことから、生息が認められた場合は繁殖や営巣の有無にかかわらず最低でも2営巣期、必要に応じて3営巣期に渡って繁殖状況調査をする必要があるので、そのように調査計画を組むべきである。
  2. 6-34(274ページ)の希少猛禽類の定点観察法について、「調査期間を1営巣期とし、調査結果を踏まえ必要に応じて2営巣期の調査を追加する」と記載している。しかし、希少猛禽類は毎年繁殖が成功するわけではないため、クマタカが生息している計画地においては、最初から2営巣期の調査を設定しておく必要がある。また、調査については、毎月3日間ずつは実施すべきであるが、希少猛禽類の調査について、方法書に具体的な調査スケジュール等を記載していただきたい。ただし、調査においては繁殖そのものを阻害することのないよう、繁殖・営巣活動に負荷をかけるような調査や観察を行わないよう十分な配慮を求める。
  3. 6-34(274ページ)の渡り鳥の調査については、定点観察調査を「春の渡り期4回(3月~5月)、秋の渡り期4回(9月~11月)実施」としている。しかし、各回の調査日数については記載されていないため、調査の詳細について明確に記載していただきたい。
    また、夜行性のカモ科鳥類は夜間に移動と採餌行動をすることが多く、日中の観察調査ではその行動を十分に把握できないことが懸念される。日中の定点観察調査と並行してレーダー調査を行うなど、夜間調査も充実させることを求める。また、夜行性の鳥類は日の出前や日没後2時間くらいまでの時間帯に活発に行動するので、ボイスレコーダーの台数を適切に配置し、調査期間を長くとるなど、調査対象種の行動を理解したうえで調査計画を立てて、調査内容を充実させることを求める。
  4. 秋の渡り期の調査については、7月下旬に始まる夏鳥の南下時期と12月まで続く冬鳥の南下時期が異なるため、調査回数と調査日の設定についてはよく検討すべきである。夏鳥であるサシバやハチクマなどの希少猛禽類の渡りの調査にあたっては、適切な移動時期に必要十分な回数の調査を行い、計画地周辺を通過する希少猛禽類の飛翔状況を明らかにしていただきたい。また、計画地は冬鳥の移動ルートにもなっている可能性が高いため、バードストライクの発生が予想される小鳥類についても、同様の調査を実施することを求める。
  5. 計画地の周辺には他の事業者による風力発電事業の計画が複数存在するため、貴社は他事業の事業者と協力、または情報の共有を図りながら累積的環境影響評価を実施し、鳥類や自然環境への影響の回避・低減策を講じなければ、輻輳する風車の存在やその設置工事により、生態系の破壊や鳥類のバードストライク、および障壁影響を含む生息地放棄などの重大な影響が村山エリア北部から最上エリア南部にかけて広く生じる可能性がある。
    しかし、方法書には累積的影響評価に関する具体的な方針や考え方、評価手法等が記載されておらず、不十分な内容となっている。貴社は海外事例を参考にするなどして累積的影響の予測および評価を行い、計画地の周辺に他事業が複数存在することにより生じる鳥類をはじめとした自然環境への重大な影響を回避するための方針や方法を示すべきである。さらに、風車の運転開始後は事後調査を行い、その結果を示すべきである。

以上

(仮称)京ヶ森風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

(仮称)京ヶ森風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

令和 3年 3月15日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会宮城県支部  支部長  竹丸 勝朗
  2. 公益財団法人日本野鳥の会 理事長  遠藤 孝一 (公印省略)
住 所
  1. 〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された「(仮称)京ヶ森発電事業 環境影響評価方法書」について、環境影響評価法第8条に基づき、環境の保全の見地から、下記のとおり意見を提出します。

現在、環境影響評価方法書(以下、方法書と言う)を縦覧している(仮称)京ヶ森風力発電事業について、対象事業実施区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、イヌワシやクマタカの生息地と重なることが予想され、衝突死(以下、バードストライクと言う)が発生する危険性が高い。また、計画地にはサシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路が存在するが、それに対しては障壁影響等が発生することが懸念される。

方法書には鳥類に対する調査方法等を記載しているが、希少猛禽類や渡り鳥等への影響を適切に評価し得る調査データを取得するという観点から、下記のことを実施するよう求める。

  1. 私どもの観察により計画地およびその周辺ではイヌワシやクマタカが生息していることを確認しており、また、繁殖の可能性が高いと考えられる。計画地周辺に生息するイヌワシは数年に1度しか繁殖しないことが知られている。また、クマタカは、場所によっては3年に1回程度しか繁殖が成功しないことが知られているため、現地調査においては、2営巣期内で繁殖成功が確認できなかった場合には、3営巣期にわたり調査をすべきである。国内ではイヌワシやクマタカでバードストライクが起きた事例があることから、計画地に風車を建設した場合には、バードストライクが起こる可能性が高いと考える。そのため、イヌワシやクマタカの飛翔行動等の調査は、方法書に記載されている希少猛禽類調査よりも質、量とも十分なものを求める。また、強風時にはクマタカは飛翔行動を行わないことが知られているので、悪天候の日は調査を実施すべきではない。
  2. 方法書には鳥類調査における任意観察、希少猛禽類、渡り鳥の調査地点(定点)が記載されている。ただし、計画地およびその周辺は地形や樹木の繁茂により見通しが悪く、また、広大であるため、この定点では調査に十分な視野、視界を確保することは困難であると考える。また、希少猛禽類と渡り鳥の定点が計画地内に少ない。前述のように計画地は見通しが悪く、現状の定点の配置では、計画地内における鳥類の飛翔行動などを十分に観察できないと考える。そのため、希少猛禽類と渡り鳥の定点、特に山肌の見える定点を観察地内にもっと増やすべきである。
  3. 方法書には、希少猛禽類調査は各月1回3日間程度を基本とすると記載されているが、希少猛禽類の繁殖期においては造巣期から巣立ち期および巣外育雛期までの生態や行動を詳細に把握したうえで影響を評価する必要があることから、各月1回3日間程度にこだわらず、繁殖ステージごとに適切な調査時期を選定し、できるだけ多くの日数で調査を実施すべきである。また、留鳥となっている希少猛禽類の生息が認められれば、通年で詳しい生態や行動のデータを取得できる調査計画に変更すべきである。イヌワシやクマタカなど大型の希少猛禽類の飛翔状況の把握には、レーザーレンジファインダー等の鳥類の飛翔位置を正確に計測できる機器の使用を検討すべきである。
  4. 計画地の工事用道路周辺ではミゾゴイが生息する可能性がある。また、当会会員の観察結果から、ヨタカが生息している可能性もある。これらのような日の出や日没の前後などの薄明薄暮時や夜間に活動する鳥類の生態や行動を把握できるよう、適切な時期と時間に、ICレコーダーなどの機材を利用して調査を実施することを求める。
  5. 秋の渡り鳥調査にあたっては、夏鳥と冬鳥で南下時期が異なるため、9~11月の各月複数回(上旬・中旬・下旬)の調査回数では不十分である。夏鳥は早いもので7月下旬に渡りを開始し、冬鳥は12月でも渡ってくるため、その程度の期間は渡り鳥の調査を実施する必要がある。夏鳥であるサシバやハチクマなどの希少猛禽類、および冬鳥の小鳥類やカモ・ハクチョウ類の渡りについては、現地の鳥類の状況に詳しい者から情報を得るなどして、適切な時期に適切な回数の調査を実施し、計画地およびその周辺を通過する渡り鳥全般の飛翔状況を明らかにすべきである。なお、サシバおよびハチクマの移動時期は、宮城県では9月上旬から始まり、約一ヶ月間も続くことが観察、公表されている。しかし、ピークの時期は短く、その年の気象条件等に左右される。そのため、このピークの時期を外さない調査方法での実施が必要となる。また、計画地は広範囲であるため、その日の風向きや日射量等により上昇気流等の発生位置が峰の東になるか、西になるかが変わる。上昇気流の発生位置や風力によって鳥類の飛翔コースや高度が変わることも考慮して、適切な調査方法を取る必要がある。なお、ハクチョウ類等の大型鳥類の渡りの状況を把握するのに、上述したように、レーザーレンジファインダー等の使用を検討すべきである。夜間に計画地およびその周辺の上空を移動、通過する小鳥類やカモ・ハクチョウ類を対象にレーダーを用いての調査も計画すべきである。この間の調査は1か所だけでなく複数個所、複数回で実施すべきである。

以上

(仮称)女川石巻風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

(仮称)女川石巻風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

令和 3年 3月15日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会宮城県支部  支部長  竹丸 勝朗
  2. 公益財団法人日本野鳥の会 理事長  遠藤 孝一 (公印省略)
住 所
  1. 〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された「(仮称)女川石巻風力発電事業 環境影響評価方法書」について、環境影響評価法第8条に基づき、環境の保全の見地から下記のとおり意見を提出します。

現在、貴社が環境影響評価方法書(以下、方法書と言う)を縦覧している(仮称)女川石巻風力発電事業について、対象事業実施区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、イヌワシやクマタカの生息地と重なることが予想され、衝突死(以下、バードストライクと言う)が発生する危険性が高い。また、計画地にはサシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路が存在するが、それに対しては障壁影響等が発生することが懸念される。

貴社は方法書に鳥類に対する調査方法等を記載しているが、希少猛禽類や渡り鳥等への影響を適切に評価し得る調査データを取得するという観点から、下記のことを実施するよう求める。

  1. 私どもの観察により計画地およびその周辺ではイヌワシやクマタカが生息していることを確認しており、また、繁殖の可能性が高いと考えられる。計画地周辺に生息するイヌワシは数年に1度しか繁殖しない。また、クマタカは、場所によっては3年に1度程度しか繁殖が成功しないことが知られているため、現地調査においては、2営巣期内で繁殖成功が確認できなかった場合には、3営巣期にわたり調査をすべきである。国内ではイヌワシやクマタカでバードストライクや生息地放棄が起きた事例があることから、計画地に風車を建設した場合、それらの影響が生じる可能性が高いと考える。そのため、イヌワシやクマタカの飛翔行動等の調査は、方法書に記載されている希少猛禽類調査よりも質、量とも十分なものを求める。また、強風時にはクマタカは飛翔行動を行わないことが知られているので、悪天候の日は調査を実施すべきではない。
  2. 方法書には鳥類調査における任意観察、希少猛禽類、渡り鳥の調査地点(定点)が記載されている。ただし、計画地およびその周辺は地形や樹木の繁茂により見通しが悪く、また、計画地が広大であるため、それらの定点では調査に十分な視野、視界を確保することは困難であると考える。また、希少猛禽類と渡り鳥調査の定点が計画地内に少ない。前述のように計画地は見通しが悪く、現状の定点の配置では、計画地内における鳥類の飛翔行動などを十分に観察できないと考える。そのため、希少猛禽類と渡り鳥調査の定点、特に山肌の見える定点を観察地内にもっと増やすべきである。
  3. 方法書には、希少猛禽類調査は各月1回3日間程度を基本とすると記載されているが、希少猛禽類の繁殖期においては造巣期から巣立ち期および巣外育雛期までの生態や行動を詳細に把握したうえで影響を評価する必要があることから、各月1回3日間程度にこだわらず、繁殖ステージごとに適切な調査時期を選定し、できるだけ多くの日数で調査を実施すべきである。また、留鳥となっている希少猛禽類の生息が認められれば、通年で詳しい生態や行動のデータを取得できる調査計画に変更すべきである。イヌワシやクマタカ、オオワシ、オジロワシなど大型の希少猛禽類の飛翔状況の把握には、レーザーレンジファインダー等の鳥類の飛翔位置を正確に計測できる機器の使用を検討すべきである。
  4. 計画地の工事用道路周辺ではミゾゴイが生息する可能性がある。また、当会会員の観察結果から、ヨタカが生息している可能性もある。これらのような日の出や日没の前後などの薄明薄暮時や夜間に活動する鳥類の生態や行動を把握できるよう、適切な時期と時間に、ICレコーダーなどの機材を利用して複数地点において複数回数の調査を実施することを求める。
  5. 秋の渡り鳥調査にあたっては、夏鳥と冬鳥で南下時期が異なるため、9~11月の各月複数回(上旬・中旬・下旬)の調査回数では不十分である。夏鳥は早いもので7月下旬に渡りを開始し、冬鳥は12月でも渡ってくるため、その程度の期間は渡り鳥の調査を実施する必要がある。夏鳥であるサシバやハチクマなどの希少猛禽類、および冬鳥の小鳥類やカモ・ハクチョウ類の渡りについては、現地の鳥類の状況に詳しい者から情報を得るなどして、適切な時期に適切な回数の調査を実施し、計画地およびその周辺を通過する渡り鳥全般の飛翔状況を明らかにすべきである。なお、サシバおよびハチクマの移動時期は、宮城県では9月上旬から始まり、約一ヶ月間も続くことが観察、公表されている。しかし、ピークの時期は短く、その年の気象条件等に左右される。そのため、このピークの時期を外さない調査方法での実施が必要となる。また、計画地は広範囲であるため、その日の風向きや日射量等により上昇気流等の発生位置が峰の東になるか、西になるかが変わる。上昇気流の発生位置や風力によって鳥類の飛翔コースや高度が変わることも考慮して、適切な調査方法を取る必要がある。なお、ハクチョウ類等の大型鳥類の渡りの状況を把握するのに、上述したように、レーザーレンジファインダー等の使用を検討すべきである。夜間に計画地およびその周辺の上空を移動、通過する小鳥類やカモ・ハクチョウ類を対象にレーダーを用いての調査も計画すべきである。この夜間の調査は1か所だけでなく複数個所、複数回で実施すべきである。
  6. 生態系評価調査において、上位種としてハヤブサが選定されている。計画地にはオオタカやノスリなど上位種となる猛禽類も生息しているため、これらの種を比較した表を示し、ハヤブサを選定した妥当性を示してほしい。

以上

(仮称)宮城西部風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

(仮称)宮城西部風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

令和 3年 3月15日  提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会宮城県支部  支部長  竹丸 勝朗
  2. 公益財団法人日本野鳥の会 理事長  遠藤 孝一 (公印省略)
住 所
  1. 〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された「(仮称)宮城西部風力発電事業 環境影響評価方法書」について、環境影響評価法第8条に基づき、環境の保全の見地から下記のとおり意見を提出します。

現在、貴社が環境影響評価方法書(以下、方法書と言う)を縦覧している(仮称)宮城西部風力発電事業について、対象事業実施区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、クマタカの生息地と重なることが予想され、衝突死(以下、バードストライクと言う)が発生する危険性が高い。また、計画地にはサシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路が存在するが、それに対しては障壁影響等が発生することが懸念される。

貴社は方法書に鳥類に対する調査方法等を記載しているが、希少猛禽類や渡り鳥等への影響を適切に評価し得る調査データを取得するという観点から、下記のことを実施するよう求める。

  1. 私どもの観察により計画地およびその周辺ではクマタカが生息していることを確認しており、また、繁殖の可能性が高いと考えられる。クマタカは、場所によっては3年に1度しか繁殖が成功しないことが知られているため、現地調査においては、2営巣期内で繁殖成功が確認できなかった場合には、3営巣期にわたり調査をすべきである。国内ではクマタカでバードストライクや生息地放棄が起きた事例があることから、計画地に風車を建設した場合、それらの影響が生じる可能性が高いと考える。そのため、繁殖期におけるクマタカの飛翔行動等の調査は、方法書に記載されている希少猛禽類調査よりも質、量とも十分なものを求める。また、強風時にはクマタカは飛翔行動を行わないことが知られているので、悪天候の日は調査を実施すべきではない。
  2. 方法書には鳥類調査における任意観察、希少猛禽類、渡り鳥の調査地点(定点)が記載されている。ただし、計画地およびその周辺は地形や樹木の繁茂により見通しが悪く、また、計画地が広大であるため、それらの定点では調査に十分な視野、視界を確保することは困難であると考える。事前に定点からの見通しや視野を確認し、予備の定点候補地を準備し、もし見通しが悪い定点があれば、その位置を適切な場所に変更すべきである。また、希少猛禽類と渡り鳥調査の定点が計画地内に少ない。前述のように計画地は見通しが悪く、現状の定点の配置では、計画地内における鳥類の飛翔行動などを十分に観察できないと考える。そのため、希少猛禽類と渡り鳥調査の定点、特に山肌の見える定点を観察地内にもっと増やすべきである。
  3. 方法書には、希少猛禽類調査は各月1回3日間程度を基本とすると記載されているが、希少猛禽類の繁殖期においては造巣期から巣立ち期および巣外育雛期までの生態や行動を詳細に把握したうえで影響を評価する必要があることから、各月1回3日間程度にこだわらず、繁殖ステージごとに適切な調査時期を選定し、できるだけ多くの日数で調査を実施すべきである。また、留鳥となっている希少猛禽類の生息が認められれば、通年で詳しい生態や行動のデータを取得できる調査計画に変更すべきである。希少猛禽類の飛翔状況の把握には、レーザーレンジファインダー等の鳥類の飛翔位置を正確に計測できる機器の使用を検討すべきである。
  4. 夜間調査においてICレコーダーの使用を計画しているが、それを実施する調査地点が少ない。地点数を増やし、計画地全体の評価ができるデータを取得することを求める。
  5. 秋の渡り鳥調査にあたっては、夏鳥と冬鳥で南下時期が異なるため、9~11月の各月複数回(上旬・中旬・下旬)の調査回数では不十分である。夏鳥は早いもので7月下旬に渡りを開始し、冬鳥は12月でも渡ってくるため、その程度の期間は渡り鳥の調査を実施する必要がある。夏鳥であるサシバやハチクマなどの希少猛禽類、および冬鳥の小鳥類やガン・カモ・ハクチョウ類の渡りについては、現地の鳥類の状況に詳しい者から情報を得るなどして、適切な時期に適切な回数の調査を実施し、計画地およびその周辺を通過する渡り鳥全般の飛翔状況を明らかにすべきである。なお、サシバおよびハチクマの移動時期は、宮城県では9月上旬から始まり、約一ヶ月間も続くことが観察、公表されている。しかし、ピークの時期は短く、その年の気象条件等に左右される。そのため、このピークの時期を外さない調査方法での実施が必要となる。また、計画地は広範囲であるため、その日の風向きや日射量等により上昇気流の発生位置が峰の東になるか、西になるかが変わる。上昇気流等の発生位置や風力によって鳥類の飛翔コースや高度が変わることも考慮して、全ての定点で同時に実施するなど適切な調査方法を取る必要がある。
    なお、ガンやハクチョウ類等の大型鳥類の渡りの状況を把握するのに、上述したように、レーザーレンジファインダー等の使用を検討すべきである。
    夜間に計画地およびその周辺の上空を移動、通過する小鳥類やガン・カモ・ハクチョウ類を対象にレーダーを用いての調査を計画し、複数個所、複数回で実施すべきである。

以上

(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書

令和3年3月15日

大和エネルギー株式会社
代表取締役社長 濱 隆 様

和歌山県御坊市名田町上野1465
日本野鳥の会和歌山県支部
支部長 中川 守

東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一

(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書

現在、貴社が意見募集をしている(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る環境影響評価方法書(以下、方法書という)に対して、環境影響評価法第8条に基づき、環境の保全の見地から下記のとおり意見を述べる。

(1)鳥類保全の観点からの意見

貴社が作成した方法書に示されている対象事業実施区域(以下、計画地という)とその周辺は、環境省が絶滅危惧ⅠB類および国内希少野生動植物種に指定しているクマタカの複数ペアが繁殖し、それらの行動圏がすき間なく並んでいるような場所である。クマタカではすでに国内でもバードストライク(浦 2015)、および繁殖等が阻害される生息地放棄(三宅 2020)の発生が確認されている。そのため、貴社が計画通り風車を建設すると、計画地とその周辺においてクマタカのバードストライク、または生息地の放棄が生じる可能性がある。

これらを踏まえて希少鳥類等の保全の観点から考えると、貴社が計画する風車の建設がこれらの希少鳥類に与える影響は甚大であると予測され、当該地域は風車建設には不適切であり、計画地として除外されるべき地域である。そのため、本事業は現地調査の実施および環境影響評価準備書の作成に進まずに、現段階をもって事業を中止すべきである。

以下に、調査方法についての意見を述べるが、前述の立場に立ったうえで方法書の記載内容に対して意見を述べるものであり、現地調査の実施および準備書の作成に進むことを容認するものではない。

(2)調査方法等に対する意見
  • 計画地とその周辺にクマタカが繁殖しているが、クマタカは場所によっては3~4年に1度しか繁殖が成功しないことが知られている。そのため、現地調査においては、2営巣期内で繁殖成功が確認できなかった場合には、3から4営巣期にわたり調査をすべきである。
  • クマタカに対する影響評価は、植生の改変面積や改変率だけで評価せず、必ず空間飛翔調査を実施し、また、営巣適地の環境の推定や飛翔および採餌環境のポテンシャルマップを作成して影響の予測を行うなどして、計画地がクマタカの生息地としてどのようなポテンシャルがあるかという観点で、生息地放棄の発生の可能性も含めて風車の建設による影響を予測、評価すべきである。
  • 方法書6.2-26(297)および6.2-32(303)ページには、渡り鳥調査を春季(3~5月)及び秋季(9~11月)の2季に各月3日間程実施するとあるが、計画地周辺で希少猛禽類の渡りのピークになると考えられる3月中旬~4月中旬および9月中旬~10月下旬は毎日調査を実施し、渡りの状況を詳細に把握したうえで、風車建設による影響を評価すべきである。また、それ以外の時期においても、特にサシバやハチクマなど猛禽類の渡りの時期はその年や季節の気象条件によっても大きく変化するため、その変化に対応できるよう、1週間以上の継続した調査が必要である。これら、希少猛禽類等の渡り鳥の飛翔状況の把握には、レーダーやレーザーレンジファインダー等の鳥類の飛翔位置を正確に計測できる機器の使用を検討すべきである。
  • 方法書6.2-1(272)ページで貴社は中紀第二ウィンドファームとの間での累積的影響評価の実施を検討するとあるが、計画地周辺にはそれ以外にも、(仮称)紀中ウインドファーム事業、(仮称)白馬ウインドファーム更新事業、(仮称)中紀ウインドファーム事業の計画地や広川・日高川ウィンドファームなどの既設の風車が近くに存在する。貴社は、それらの事業を計画または実施する事業者と協力、および情報の共有を図りながら、海外事例を参考にするなどして累積的環境影響評価を実施したうえで影響の回避・低減策を講じなければ、輻輳する風車の存在やその設置工事により、生態系の破壊や鳥類のバードストライクおよび障壁影響を含む生息地放棄などの重大な影響が有田・日高エリア全体に生じる可能性がある。そのため貴社は、方法書に累積的環境影響評価に関する具体的な方針や評価手法を記載したうえで、それを確実に実施すべきである。もし、広川・日高川ウィンドファームで鳥類の死骸探索や飛翔状況に関する事後調査を実施していない、もしくは他事業者と情報を共有できなければ、貴社が独自にそれらの事後調査を実施し、その結果も影響評価に組み込むべきである。

以上

【引用文献】

  • 三宅 武.2020.風力発電開発で営巣地を放棄したクマタカ.野鳥841(2020年1月号):26-27.(公財)日本野鳥の会,東京.
  • 浦 達也.2015.風力発電が鳥類に与える影響の国内事例.Strix 31:3-3

(仮称)福井藤倉山風力発電事業に係る環境影響評価方法書への意見書

2021年3月11日

JR東日本エネルギー開発株式会社
代表取締役社長 中村 等 様

日本野鳥の会福井県
代表  酒井 敬治  (公印省略)
〒911-0804福井県勝山市元町3-6-48松村方

公益財団法人日本野鳥の会
理事長  遠藤 孝一 (公印省略)
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)福井藤倉山風力発電事業に係る環境影響評価方法書への意見書

貴社が作成した環境影響評価方法書(以下、方法書という)に記載されている対象事業実施区域(以下、計画地という)は、生態系の頂点に位置するクマタカが複数ペア生息し、イヌワシについては近隣生息地からの飛来が観察されている。また、ハチクマやサシバなどの猛禽類の渡りの重要な経路となっており、ミゾゴイ、ブッポウソウ、ヤイロチョウ、ヨタカ、オオコノハズクなどの希少鳥類が生息している場所でもある。また、丹生山地中央部に「環境省織田山鳥類観測1級ステーション」が設置されていることや、計画地内にかつての「鳥屋場」跡が多数あることからも分かるように、多くの小鳥類の渡りの重要な渡り経路となっている。さらに、コウノトリの移動が頻繁に観察されるほか、海に近い当該地においては、ガン・カモ・ハクチョウ類などの水鳥の渡り経路にもなっている。

そのため、風力発電施設の稼働後には、バードストライクや障壁影響を含む生息地放棄等が発生することが強く危惧される。さらに、風力発電施設(以下、風車という)の建設工事段階においては、人や工事車両の出入りやそれに伴う騒音や振動の発生により、希少猛禽類の生息や繁殖の放棄、渡りや移動経路の阻害などの影響の発生が危惧される。

以上の理由から、方法書に対し下記のように意見を述べるので、適切な対応を願いたい。

1.計画地の見直しについて

計画地は地域生態系の頂点に位置し、環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類、福井県版レッドリストで絶滅危惧Ⅰ類に指定されているイヌワシとクマタカ、およびその他の希少鳥類等の飛翔が確認されている。また、ハチクマやサシバといった希少猛禽類や小鳥類の県内有数の渡り経路でもある。さらに、福井県が定着を試みているコウノトリがよく飛翔する移動経路でもある。

貴社による風車の建設はそれらの鳥類の生息に重大な影響を及ぼすと考えられるため、計画地は風車の建設場所としては不適切であり、計画地の選定位置の見直しを求める。

2.鳥類(希少猛禽類)調査の調査地点(以下、定点という)について

計画地とその周辺で20箇所の観察定点を設定し、1回の調査でそのうちの6箇所を使用するとしている。しかし、計画地はいくつもの稜線で細かく区切られているため、6箇所の定点配置では、希少猛禽類の飛翔を把握するのは困難である。

また、降雪期は稜線部に設定している観察定点は調査員の配置が困難であり、除雪が行われる国道や県道付近に設定した定点のみ機能することになる。降雪期でも十分な調査ができるよう、スノーモービル等での移動やヘリコプター等による調査員の搬送などを実施することを求める。ただし、エンジン音等が希少猛禽類に影響を与えないよう十分な配慮が必要である。

3.「鳥類(希少猛禽類)」の調査日数について

方法書では希少猛禽類調査の日数を「1回あたり連続3日間とし、各月1回」としているが、特に春と秋は、3日間の調査日程に雨天が重なってしまい「ほとんどデータが取れない月」が生じることがあると想定される。そのため、雨天が重なってもその前後の好天時に調査を実施するなどの調査計画を立てるべきである。

また、貴社は、計画地およびその周辺で繁殖していると推察される希少猛禽類の営巣地や高度利用域等を必ず特定し、事業の実施によるそれらへの影響を適切に評価しなければならない。そのため、繁殖期間中は各月1回にこだわることなく、繁殖ステージごとの行動を把握できるように調査日程を組むべきである。

4.「鳥類(渡り鳥)」の調査期間等について

方法書では鳥類の渡り時の移動経路調査として「鳥類(渡り鳥)定点観察法」に「春の渡り期6回、秋の渡り期6回」を「2日間連続」で行うとなっているが、当地の渡り鳥の状況から考えると、春は2月から6月、秋は9月から11月に調査時期を「3日間連続」で設定すべきである。なお、調査実施中に悪天候となりデータが取得できない日が生じる可能性があることを考慮した調査日程を組むべきである。

5.ICレコーダーによる調査等の実施について

計画地で夜間に渡る多くの小鳥類を把握するためにICレコーダーで鳴き声を録音し、種の同定とその頻度を調べる調査を行うことを求める。冒頭に述べたように丹生山地は小鳥類の有数な渡り経路であるため、渡り鳥の多い10月上旬から11月上旬に、目視観察のできない日没後から翌日の日の出前までの時間帯で実施することを求める。

また、方法書の「鳥類(一般鳥類)の任意観察法(夜間)」では、「3回(春季、夏季、秋季)」、「任意に踏査し、出現した鳥類を鳴き声により識別」とあるが、冒頭に記述した希少種の確認には5月から6月にICレコーダーを設置して調査することを付け加えるべきである。

6.累積的影響評価の実施について

計画地周辺では貴社が計画する事業以外にも、他の事業者による風力発電計画が複数ある。ある一定の地域に複数の施設がある場合、鳥類、特に渡り鳥に対し、障壁影響やバードストライクなどの重大な影響を及ぼすことが海外の知見により知られている。そのため貴社は、互いに計画段階であったとしても、他の事業者と事前の調査結果の共有等をしながら、海外文献等を参考にして適切に累積的影響評価を実施し、周辺地域全体における鳥類等の自然環境に配慮すべきである。

以上

(仮称)串間南部風力発電事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書

令和3年3月8日

〒805-0025 福岡県北九州市八幡東区中尾1-13-21
有限会社ウィンディ
代表取締役 南 優奈 様

〒880-0943 宮崎市生目台西1-2-6
日本野鳥の会宮崎県支部 支部長 岩切 久

〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一
(公印省略)

「(仮称)串間南部風力発電事業に係る環境影響評価方法書」に対する意見書

貴社が作成された(仮称)串間南部風力発電事業に係る環境影響評価方法書(以下、方法書という)に対し、環境保全の立場から下記のとおり意見を提出いたします。

①事業計画全体について

宮崎県再生可能エネルギー等導入推進計画における2022年度までの風力発電導入見込量は112,800kWであるが、貴社の計画によりこれを大幅に超過することになる。宮崎県内では諸塚村、日之影町、日南市、串間市等で風力発電事業の、また、県内各地の山地や里山で大規模太陽光発電事業の計画、工事、稼働運転が開始されており、これらにより宮崎県の自然環境はまるで虫食い状態のように、地域の自然環境や生態系が破壊されている。

地球温暖化対策や持続可能な社会を構築するために自然エネルギーの導入を拡大する必要性は、多くが認めるところである。そして、宮崎県は再生可能エネルギーによる持続的な社会の構築を目指している。しかし、それは単に再生可能エネルギーの導入量を増やすということではなく、地域との共生を図りながら、景観や自然環境に配慮した発電設備の導入を推進したいということである。貴社のこの事業計画も、県のビジョンに沿って自然環境に配慮したものとなるよう、最善を尽くして今後の環境影響評価に臨んでいただきたい。

②地域住民の意見聴取のあり方について

地球温暖化対策や持続可能な社会を構築するために自然エネルギーを利用することは必要であるが、しかし、それは開発行為を含む人の営みと自然環境との共生の上に成り立たねばならず、地球温暖化対策として行う開発行為が、我々の暮らしを支える生物多様性の基盤を破壊してはならない。しかし、そのようなことに気づかない人間の行為によって、後世になって地域の住民が大きな代償を払わされてきたことは、過去の多くの歴史が物語っている。宮崎県高千穂町岩戸地区では長きに渡り我慢を強いられてきた住民が健康被害などの大きな犠牲を払い、今も尚その傷は癒えていないのである。企業も行政も当初は経済発展のみを見据え、将来その地区に起こりうる環境影響に対する配慮ができなかったのである。貴社のように大きな力を持つ企業は本来、地域の声なき声を尊重し、配慮しなければならない。そのような観点で貴社は、この事業計画に対する地域住民の意見を住民説明会や意見募集に留まらず、各戸を訪問するぐらいのつもりで丁寧に聴取すべきである。

③累積的影響評価について

計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)に対する宮崎県知事の意見にもあるように、「対象事業実施区域の周辺では、『串間風力発電所設置計画』、『(仮称)串間市いちき風力発電事業』及び『(仮称)日南風力発電事業』が手続き中であり、将来的には内陸から海岸近くまで数多くの風車が、おおよそ南北方向に連続して配置されることになる。渡り鳥等の飛翔ルートへの影響について、これら他の事業も含めた累積的な影響を十分に考慮した上で、調査、予測及び評価をすること。環境影響を回避又は十分に低減できない場合は、事業実施区域の変更や事業中止も含めて計画の見直しを検討すること」とある。このことについて貴社は、事業者見解として「他事業との累積的影響を考慮して実施する。」「環境影響を回避又は十分に低減できない場合は、事業実施区域の変更や事業中止も含めて計画の見直しを検討します。」と回答している。

しかし、方法書には累積的影響評価に関する具体的な方針や考え方、評価手法等が記載されておらず、不十分な内容となっている。貴社は他事業者と協力し、情報の共有を図りながら、また、海外事例を参考にするなどして累積的環境影響評価を実施したうえで、影響の回避・低減策を講じ、計画地の周辺に他事業が存在することにより生じる鳥類をはじめとした自然環境への重大な影響を回避するための方針や方法を示すべきである。また、回避できない重大な環境影響が生じると予測される場合には、事業計画そのものを見直すべきである。

④クマタカの生息への配慮について

配慮書に対する環境大臣意見に、「事業実施想定区域とその周辺に種の保存法に基づく国内希少種に指定されているクマタカが確認されており、複数のペアの営巣及び繁殖行動が確認されている」とある。また、環境省による猛禽類保護の進め方(改訂版)によれば、クマタカの高度利用域(採食場所、主な飛行ルート、主要な旋回場所、主要なとまり場所等を含む利用頻度の高い区域)においては、「この区域内での行為は特に営巣期のクマタカ親鳥の行動に影響を与える可能性があり、それが原因で繁殖に失敗することが考えられる。」、「営巣木から好適採食地までの飛行移動ルートの確保も大切であり、途中にクマタカが避けるような構造物等は作るべきでない。」とある。つまり、営巣場所と採餌場所が風車の存在により分断されれば、クマタカが現生息地を放棄することにつながるのである。

さらに同書には、「クマタカは、主要な生息地では繁殖ペアの行動圏が隣接し、連続して分布している場合が多い。このような地域では事業の影響を完全に回避することは困難なため、事業計画の段階でクマタカの分布及び生息状況の情報収集を行い、事業の影響を最小限にとどめられるような計画を立てることが望ましい。」、「クマタカの行動を明らかにし、保全措置を検討するには、営巣場所の発見及び少なくとも繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。」とある。

これらのこと、および環境大臣意見に「本事業の実施による重大な影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業区域の見直し及び基数の削減を含む事業の見直しを行うこと」とあることから貴社は、質、量ともに十分かつ適切な事前調査を行ったうえで、クマタカの生息域が計画地と重複する部分があるなど、クマタカの生息に影響が出る可能性があると認められた場合は、事後の保全措置を検討するまでもなく、現段階で計画地の位置の見直しや事業規模縮小などの検討が必要である。

以上

(仮称)鉢伏山風力発電事業に係る環境影響評価方法書

令和3年3月5日

株式会社OSCF
代表取締役 梅田 明利 様

日本野鳥の会福井県
代表  酒井 敬治
〒911-0804 福井県勝山市元町3-6-48松村方

公益財団法人日本野鳥の会
理事長  遠藤 孝一 (公印省略)
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)鉢伏山風力発電事業に係る環境影響評価方法書への意見書

貴社が作成した環境影響評価方法書(以下、方法書という)に記載されている対象事業実施区域(以下、計画地という)では、生態系の頂点に位置するクマタカが複数ペア生息し、イヌワシについては近隣生息地からの飛来が観察されている。また、ハチクマやサシバなどの猛禽類の渡りの重要な経路となっており、丹生山地中央部に「環境省鳥類観測1級ステーション」が設置されていることからも分かるように、多くの小鳥類の重要な渡り経路でもある。さらにはコウノトリの移動が頻繁に観察されるほか、計画地でも海に近い場所においては、ガン・カモ・ハクチョウ類などの水鳥の渡り経路にもなっている。そのため、風力発電施設(以下、風車という)の建設工事段階においては人や工事車両の出入りや、それに伴う騒音や振動の発生により希少猛禽類をはじめとした多様な鳥類の生息や繁殖に及ぼす影響が、また、風力発電施設の稼働後には、バードストライクや障壁影響を含む生息地放棄等が発生することが大きく危惧される。

以上の理由から、方法書に対し下記のように意見を述べるので、対応を検討願いたい。

1.計画地の位置の見直しについて

冒頭に記述したように、計画地は、生態系の頂点に位置し、環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類および国内希少野生動植物種、福井県版レッドリスト絶滅危惧Ⅰ類に指定されるクマタカの生息地である。また、ハチクマやサシバといった希少猛禽類や小鳥類の県内有数の渡り経路でもある。さらに、福井県が定着を試みているコウノトリがよく飛翔する移動経路でもある。風車の建設はその生息に重大な影響を及ぼすと考えられるため、計画地は風車の建設場所としては不適切であり、計画地の位置の選定の見直しを求める。

2.希少猛禽類の調査定点と「視野図」について

計画地とその周辺に10箇所の観察定点を設定しているが、降雪期にはSt1、St2、St4、St8の4定点は除雪されることから定点の配置が可能と思われるが、St10は国道365号が冬季間通行止めの箇所であり、残りの定点は除雪が行われないと思われる。つまり、現状の定点配置予定では、繁殖期と重なる降雪期は十分な調査が出来るとは言えない。スノーモービルで定点に入るとしても、途中の雪崩の危険も考慮すると、ヘリコプターによる調査員の搬送を明記する事を求める。ただし、そのエンジン音等が希少猛禽類に影響を与えないよう十分な配慮が必要である。

貴社が作成した「視野図」を見ると、計画地の上空はすべて視野に覆われているが、「山肌の見える範囲」は限定的なので、巣材や餌の搬送などが確認された場合には繁殖行動に影響を与えないよう配慮をしつつ、移動観察することを明記し、十分な調査ができるようにすべきである。

3.希少猛禽類の調査日数について

「調査は昼間に3日間連続で行う」となっているが、3日間の調査日と雨天が重なってしまい「ほとんどデータが取れない月」が生まれる場合があると想定される。そこで、調査の日程について、繁殖期間中は各月1回に拘ることなく、繁殖ステージ毎の行動を把握できるように調査日程を組むべきである。

4.レーダー調査およびICレコーダーによる調査の追加について

計画地とその周辺を渡っていく鳥類の移動経路の状況を把握し、事業実施による鳥類に対する影響を検討する基礎データを得るためには、目視観察調査だけでは不十分である。

船舶レーダーを垂直と水平方向へ回すことで得られた画像を分析することで、鳥類の飛翔高度や位置を3次元で把握でき、夜間を含む飛翔の時間帯等の詳細が明らかになる。本区域は平坦地が少ないが、鉢伏山頂上付近には平坦地があるので、そういった場所を利用してレーダー調査を実施することを求める。

また、夜間に渡る多くの小鳥類を把握するためにICレコーダー等で鳴き声を録音し、種の同定を行うことを求める。冒頭述べたように丹生山地は小鳥類の有数の渡り経路であるため、渡り鳥の多い10月上旬から11月上旬に、目視観察のできない日没後から翌日の日の出前までの時間帯で録音調査を実施することを求める。

5.調査、予測及び評価の手法中、「5.調査期間等【現地調査】e)渡り鳥・定点観察法」について

「春の渡り期6回(3月~5月に7~10日間隔)、秋の渡り期6回(9月~10月に7~10日間隔)」とあるが、猛禽類(ハチクマ・サシバ・ノスリ)やガン・ハクチョウ類、小鳥類の渡りの全体像を把握しようとすると、それでは不十分である。つまり、本年(2021年)のような大型寒波の襲来によって、ガン・ハクチョウ類で1月の移動が見られたように、水鳥だけでなく小鳥類においても積雪期の南下が見られることから、海岸線に近い当該地における渡り鳥の移動の実態把握には、1月~2月(冬季)、3月~6月(春気)、9月~11月(秋季)など、調査期間を長く設定し、その分だけ調査回数も以下の案ように増やすことが必要である。

案)「2月(下旬)と11月(上旬)は各月3日間を1回ずつ、3月~5月および9月~10月は各月3日間を2回ずつ」計36日間(3日間×12回)

6.累積的影響評価の実施について

計画地周辺では貴社が計画する事業以外にも、他の事業者による風力発電計画が複数ある。ある一定の地域に複数の施設がある場合、鳥類、特に渡り鳥に対し、障壁影響やバードストライクなどの重大な影響を及ぼすことが海外の知見により知られている。そのため貴社は、互いに計画段階であったとしても、他の事業者と事前の調査結果の共有等をしながら、海外文献等を参考にして適切に累積的影響評価を実施し、周辺地域全体における鳥類等の自然環境に配慮すべきである。

以上