四国3県及び熊本県の狩猟者に対し、「ツル渡来地での狩猟に関するお願い」を配布しました

チラシイメージ

ナベヅル、マナヅルの新越冬地形成の課題の一つに銃声による定着阻害があります。これらのツル類は非常に警戒心が強いため、近くで銃猟が行われると、越冬をやめてしまうのです。
そこで、今秋、チラシやポスターを製作し、四国3県(徳島、愛媛、高知)及び熊本県内の狩猟登録者や関係行政機関へ配布しました。配布に関しては、各県にご協力いただきました。

徳島県、愛媛県内配布用チラシ

高知県内配布用チラシ

熊本県配布用チラシ

ナベヅル、マナヅルの新越冬地形成のため、四国4県等に要望書を提出しました

鹿児島県出水地方での越冬の集中化が課題となっているナベヅル、マナヅルは、かつてのように日本各地で分散して越冬することが必要とされています。
昨年度、四国各地で合計約300羽のナベヅルが渡来し、現地保護関係者や住民、行政機関等様々な関係者の配慮や取組により、100羽以上が長期滞在(越冬)しました。今年度も渡来する可能性が高いため、四国4県、四国地方整備局及び中国四国農政局に要望書を提出しました。


ナベヅル(左:幼鳥 右:成鳥)


マナヅル(左:成鳥 右:幼鳥)


・四国4県宛て要望書

平成28年10月25日


徳島県知事 飯泉嘉門様
香川県知事 浜田恵造様
愛媛県知事 中村時広様
高知県知事 尾﨑正直様

公益財団法人日本野鳥の会      理事長 佐藤 仁志
公益財団法人日本自然保護協会    理事長 亀山 章
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン 会長 徳川 恒孝
日本ツル・コウノトリネットワーク   会長 金井 裕
四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク 代表 中村 滝男

四国に飛来するツル類の保護対策について

 平素から、ツル類など野鳥の保護につきましては、ご理解とご協力を賜り深謝しております。
 昨年度、四国各地で合計約300羽のナベヅルが渡来し、100羽以上が長期滞在(越冬)しました。ひとえに貴県をはじめ様々な関係者のご協力によるもので、長年の課題である新越冬地の形成の大きな一歩となりました。
 ツルは越冬地で定住性をもつため、今シーズンも渡来が予想されます。すでに狩猟登録者へチラシを配布していただいている県もございますが、別紙に示す配慮事項についてご配慮及び関係者へ周知していただきたく、お願い申し上げます。

(添付資料)
・別紙1 ナベヅル、マナヅル保護に必要な配慮事項と対象地域(PDF 256KB)
・別紙2 ナベヅル、マナヅルについて(PDF 343KB)

【問合せ】公益財団法人日本野鳥の会自然保護室 伊藤、野口、葉山
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23
電話/Fax:03-5436-2633/2635 Eメール:[email protected]

【四国のツル情報についての問合せ】四国ツル・コウノトリ保護ネットワーク 代表 中村滝男
〒781-0270 高知市長浜4964-11 公益社団法人生態系トラスト協会内
電話/Fax:088-841-5400 Eメール:[email protected]
※各地の詳細につきましては、別紙1の【各地のツル情報の問合せ】をご参照ください。


四国地方整備局宛て要望書(PDF 354KB)
中国四国農政局宛て要望書(PDF 355KB)

※要望内容は同一です。

シンポジウム・風力発電が渡り鳥に与える影響を考える‐障壁影響、バードストライク等への対応‐

風車

発電効率の良い有力な自然エネルギー源として世界各国で導入が進められる一方、希少な野鳥の衝突事故といった問題をはらむ風力発電。今後、自然エネルギーへの転換と、渡り鳥をはじめとする生物多様性保全をどのように両立させていくか、海外の先進的な取り組みから学びます。

日時:
2016年12月11日(日)13:00~17:30
(開場12:30)
会場:
慶應義塾大学三田北館ホール
アクセス・キャンパスマップ https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html
定員:
100名
申込み:
日本野鳥の会自然保護室 まで、メール・電話で申込み
Eメール:
[email protected]
※シンポジウムタイトル、お名前、ご所属をご記入下さい。
電話:
03-5436-2633

プログラム

  • はじめに 風力発電が野鳥に与える影響と環境影響評価の課題
  • 基調講演① Aonghais Cook氏(アオンガズ・クック、 British Trust for Ornithology)
    風力発電が渡り鳥に与える影響-障壁影響とその対策を考える‐
  • 基調講演② Tristram Allinson氏 (トリストラム・アリンソン、BirdLife International)
    渡り鳥に影響が出やすい場所での風車建設を避けるためのマップ作り
  • パネルディスカッション「渡り鳥に影響を与えない風力発電の実現」

パネリスト

Aonghais Cook氏(アオンガズ・クック、British Trust for Ornithology)
Tristram Allinson氏(トリストラム・アリンソン、BirdLife International)
増田正悟 氏(環境省)
浦 達也(日本野鳥の会)

モデレーター

樋口 広芳氏
(東京大学名誉教授、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授)

講師プロフィール

Dr Aonghais Cook (アオンガズ・クック)

風車

BTO(British Trust for Ornithology)の湿地・海洋調査チームの生態研究学者。
北海での4つの洋上風力発電計画の影響評価や、セヴァーン(Severn)潮力発電の戦略的影響評価など、この8年以上にわたり再生可能エネルギーの野鳥への影響評価に取り組んでいる。こうした調査研究や個々のプロジェクトを通じて、個体群レベルへの影響や累積的影響をふまえて衝突リスクを評価するという方法論のもと、再生可能エネルギーが野鳥に与える影響を最小限にするために、行政や産業界への指導や助言を行う中心的な役割を果たしている。

<講演概要>

風力発電は、野鳥に対して「タービンとの衝突」「生息地の移動」「障壁影響」等の影響を与えるが、中でも「障壁影響」は最も知られていない。障壁影響は鳥類が風車との衝突を避けるための回避行動に起因し、渡りの期間や、営巣地と採餌場所との移動の際に起きやすい。本講演では、洋上・陸上両方の風力発電施設に関する、現在の立証に基づいた障壁影響についてお話したい。これまで使われてきた手法の強みと弱点を考慮し、また、障壁影響が異なる種間でどのように変化するか注視し、特に障壁影響に脆弱であると思われる種やグループに焦点をあてて、その影響を緩和するために考えられる手段について話し合いたい。

Tristram Allinson (トリストラム・アリンソン)

風車

バードライフ・インターナショナルのグローバル・サイエンスオフィサー。多岐にわたる科学的な監視技術や専門技術の提供に携わっており、特に渡り鳥やその経路の保護に注力している。風力発電が鳥類に与える影響においては、バードライフの科学的な取り組みをリードする役割を担い、中でも、帆翔性の鳥類の脆弱性マッピング手法の開発など、野鳥の衝突リスクを評価するための空間的マッピング手法の開発に重点を置いている。

<講演概要>

風力発電の野鳥への影響を避ける最善の方法は、潜在的に脆弱なエリアに風力発電施設を建てないことである。そのためには、正確な鳥類学データに基づいた空間的なマッピングの手法が必要であり、バードライフ・インターナショナルでは、こうした手法の開発を担っている。バードライフでは、GEF(Global Environment Facility), UNDP(United Nations Development Programme 国連開発計画)、MAVAの支援を受けて、中東や北アフリカ、地中海沿岸部をカバーする、地域レベルでは初となる脆弱性マップを開発した。本講演では、飛翔性の鳥類に悪影響を与えるような場所に風力発電施設を建設しないために、これらの手法がどのように使われるかをお話したい。

お問い合わせ:
(公財)日本野鳥の会 自然保護室 電話:03‐5436‐2633
住所:
〒141‐0031 東京都品川区西五反田3‐9‐23 丸和ビル
主催:
(公財)日本野鳥の会
共催:
慶應義塾大学生物多様性研究ラボ
バードライフ・インターナショナル東京
後援:
慶應義塾大学SFC研究所、環境省

野鳥保護資料集 第30集「これからの風力発電と環境影響評価 ~再生可能エネルギーの導入と、生物多様性保全の両立を目指して~」

野鳥保護資料集 第30集「これからの風力発電と環境影響評価 ~再生可能エネルギーの導入と、生物多様性保全の両立を目指して~」

 気候変動対策のためには、二酸化炭素(CO2)の排出源となる化石燃料由来のエネルギーの使用をおさえ、風力や太陽光などによって生み出される「再生可能エネルギー」の利用を拡大する必要があります。中でも風力発電は、発電効率の良い有力な自然エネルギー源として世界各国で導入が進められていますが、立地条件によっては希少な野鳥の衝突事故といった環境影響を引き起こしており、生物多様性の保全との両立が課題となっています。
 当会では、早急に地球温暖化対策を施さなければ、将来的には広範に生物多様性が失われてしまうことになると考えています。また、2011年の東京電力福島第一原子力発電所による放射性物質の漏出事故以降、それまでは化石燃料に代わるエネルギーとして注目されてきた原子力発電が、長い将来にわたって自然界に甚大な影響を与えることが明らかになり、これらをふまえて、代替エネルギーとして実用的な技術レベルに達している風力発電を積極的に導入していくことに賛成しています。しかし、風力発電の導入にあたり、野鳥をはじめ野生生物の生息に影響を及ぼすといった、既存の生物多様性に大きな損失を与えることは避けなければなりません。
 スペイン、英国、デンマーク、ドイツなどの風力発電の先進国では、建設の前後に環境影響評価を行い、風車が野鳥に対してどのような影響を与えるか、情報収集を行っています。
 そこで、このたび、海外での風力発電による鳥類への影響評価手法の先進事例を紹介し、今後の日本での風力発電導入に関わる影響調査・評価手法の確立に役立てていきたいと、本書を作成しました。本書では、スペインでの風力発電の影響評価方法や実例に加え、最近業界内で話題に上る「累積的影響評価」の概念について解説しております。
 本書で紹介する調査・評価方法が普及され、科学的知見が蓄積されること、その知見をもとに風力発電と野鳥との共存がはかられ、風力発電が真にクリーンなエネルギー源となることを期待しております。

本書の構成
第一章:風力発電が野鳥やコウモリに与える影響を評価する
Guidelines for Assessing the Impact of Wind Farms on Birds and Bats (Version 4)
 SEO/BirdLife(スペイン野鳥の会)による、風力発電が鳥類およびコウモリ類に与える影響の評価手法に関するガイドライン。スペインにおける風力発電導入時の、不十分な環境影響評価が、いかに希少な鳥類やコウモリ類に影響を与えているか、従来の調査方法にどのような問題点があるか、そして今後、これらの課題を解決していくための望ましい影響評価のあり方が、SEO/BirdLife自らによる野外調査の結果に基づいて示されている。スペイン国内での様々な事例が盛り込まれ、スペイン国内の環境影響評価文書、また、国内外の既存文献等、風力発電が鳥類等に与える影響の評価手法や結果の集大成としてまとめられている。

第二章:累積的影響評価のガイドライン
洋上風力発電施設における、累積的影響評価のための指針となる諸原則

Cumulative Impact Assessment Guidelines -Guiding Principles For Cumulative Impacts Assessment In Offshore Wind Farms
 近年、英国を中心に導入されるようになっている洋上風力発電施設建設に係る環境影響評価のうち、特に複数の風力発電施設が同一地域に建設されることにより起きる累積的影響の評価について、リニュアブルUKなどがその概念を整理し、実際的な指針として考え方をまとめたものである。日本でも、北海道北部や北上高地などに風力発電施設の建設が集中しており、環境省が累積的影響評価の実施を事業者に求めるようになるなど、注目されているが、日本ではその手法以前に概念や指針がまだ整理されていない状況にある。本書で示される概念や指針は、陸上の風力発電施設建設に係る影響評価にも適用でき、今後の風力発電施設の導入と環境影響評価に、広く役
?つガイドラインとなることが期待される。

風力発電のページもご覧ください

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Q&A

衛星追跡について

Q.何のために送信機を付けたのですか
A.渡りのルート上にある繁殖地、越冬地、中継地の位置など、渡りを行う種が一年を過ごす上で重要な場所が明らかにできます。今回は、中継地である勇払原野から越冬地であるオーストラリアまでの秋の渡りルート、翌年のオーストラリアから繁殖地までの春の渡りルートと、途中で休息する場所を把握し、保全するための基礎資料を得ることを最終的な目的としています。
Q.なぜオオジシギの位置がわかるのですか
A.アルゴスというシステムを利用しています。オオジシギに付けられた送信機から発する電波を気象衛星など複数の衛星に積まれた受信装置が受信します。受け取られたデータは再度地上に送られ、データ処理センターでの位置の計算を行った後、利用者の元に送信機の緯度経度などのデータとして送られます。高速で移動する衛星が受け取る電波のドップラー効果を利用してその位置を計算するシステムで、多くの環境に関するデータを収集するのに使われています。
Q.追跡結果を見たいのですが
A.追跡結果はブログhttp://blog.livedoor.jp/wbsj_oojishigi/で報告しています。アルゴスシステムによる推定位置はデータ処理センターから毎日送られてきますが、位置の推定は衛星の位置や送信機からの電波の発信状況により不定期に得られ、またその情報はリアルタイムではありません。
Q.地図の位置にいけばそのオオジシギが見られますか
A.地図に示したポイントは、同じ1日(日本時間)に得られた複数の位置情報を合わせ、その重心を取ったもので、必ずしもその場所にいたことを示しているものではありません。同じエリアに数日間滞在した場合、複数のポイントからそのオオジシギが利用しているおおよその範囲がわかります。ただし、一番精度のよいデータでも150mの誤差がありますので、実際に送信機を付けた個体を探すのは大変難しいと思われます。
Q.いつまで追跡するのですか
A.電波を発信し続ける限り追跡を継続します。通常、送信機の寿命は3~4年程度といわれますが、1年未満で送信できなくなる場合も少なくありません。また、オオジシギの負担を減らすため、装着に使用するヒモやひもの固定に使うアルミチューブの劣化で2~3年以内には脱落するようにしているため、機器に支障がなく、個体が元気でも追跡できなくなることもあります。
Q.送信機はオオジシギにとって負担にならないのですか
A.軽いとはいえ、物を背負わせる以上負担がないとはいえません。私たちは以下の基準で送信機を付けています。
 野鳥に調査用の機器を装着する場合、体重の4%までは問題ないとされています。今回装着する送信機は1台約5gで、装着のためのヒモ等を含めた総重量は約6gになります。さらに少し余裕をみた体重155g以上の個体に限り装着しています。また、往復1回は渡りを経験したことのある成鳥のみを選んでいます。
Q.送信機はどういう方法で装着するのですか
A.摩擦の少ないテフロン加工されたヒモを使ってランドセルのように背面に背負わせるバックパックハーネス法を用います。この方法はジシギ類を含む様々な種で実績のある方法です。
Q.送信機のせいで渡れなくなったり死んでしまったりしないのですか
A.可能性は0ではありませんが、前述のような配慮をしています。さらに、偶然アンテナが何かに絡まる、嘴や脚がヒモに引っかかる、うまく飛べない、というような想定されるトラブルの発生をできる限り未然に防ぐため、リボンの緩みのチェックや装着後しばらく行動のようすを見るなど放鳥前の確認を厳重に行っています。
Q.電波が途絶えることはありますか。それはどういう理由ですか
A.ひとつは送信機やアンテナの故障が考えられます。また、太陽光電池に羽毛が被さったり、天候が悪く充電がされず電波が出ないことが考えられます。また送信機を付けた個体が水中に沈んだり、ヤブの中で倒れていたりなどオオジシギのトラブルによる可能性もあります。
Q.いつまでも同じ場所で動かなくなるのはどういう理由ですか
A.送信機が外れた、また、オオジシギが死亡して送信機を付けたまま動かなくなったなどが考えられます。ただし、種によっては中継地に数ヶ月滞在した後、突然渡りを再開することもあります。オオジシギは渡りルートや渡りのスケジュールが分かっていないため、しばらく移動しなくなってもそれがトラブルかどうかの判断はすぐにはわかりません。

フラッグ調査について

Q.カラーフラッグを装着して何を調べているのですか
A.オオジシギの移動(渡り)を調べ、彼らの周年の生活に必要な環境や湿地を明らかにします。情報が蓄積されれば、保全すべき生息地を把握することができます。
Q.なぜカラーフラッグを選んだのですか
A.鳥の移動(渡り)を調べる方法には、個別の番号が刻まれた金属製リングを装着する方法、カラーリングやカラーフラッグ、首環や鼻サドル、ウィングタグなどを装着する方法、衛星追跡用送信機のような電波発信機を装着する方法、ジオロケーターやGPSタグを装着する方法など複数があり、それぞれに一長一短があります。どの方法を使うかは、調査の目的、鳥の体サイズや生態、調査の予算、その他を総合的に検討して選択します。
 カラーフラッグは標識地ごとに色や装着する位置が各国で調整されており、観察された情報からいつ、どこで放鳥された鳥かを知ることができます。装着する標識が比較的小さく軽いので鳥に与える影響が小さいこと、望遠鏡などで読み取れるので再捕獲が不要なこと、安価なので多数の個体に装着し広く目撃情報を収集できること、などの利点があり、オオジシギを含むシギチドリ類の渡りを調べる際によく使われている方法です。
 一方、衛星追跡調査のように1個体の移動経路を連続して把握することはできないこと、放鳥地と観察地の間の移動経路や移動にかかる時間等は知ることができないことなどの欠点があります。
Q.カラーフラッグの色や位置はどうやって決めたのですか
A.カラーフラッグの色や付ける位置については、山階鳥類研究所を通じて他の地域での装着パターンと重複しないように調整を行っています。
Q.カラーフラッグはオオジシギにとって負担になりませんか
A.可能な限り小さく軽いものとすることで影響を最小限に抑えるよう配慮しています。カラーフラッグ2枚で0.2gです。
また、過去に今回の調査地である勇払原野で標識したオオジシギが、別の繁殖地で確認されている例があることから、繁殖に支障をきたすほどの影響ではないと考えられます。
Q.標識個体の観察報告は山階鳥類研究所にするのではないですか、両方に報告しなければならないのですか?
A.迅速な情報収集や、観察者の方に直接連絡をさせていただけるように、勇払原野放鳥のオオジシギについては、山階鳥類研究所への報告とともに、ぜひ日本野鳥の会にもご連絡ください。
(参考)山階鳥類研究所の標識調査・連絡先
http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/ashiwa_index.html#10

その他

Q.どういう方法でオオジシギを捕まえるのですか
A.かすみ網を用います。かすみ網は、一般には使用することはもちろん、販売することも所持することも、法律で固く禁止されています。一方、鳥を傷つけずに捕獲できるため、許可を得た上で生態調査に用いられています。
Q.どういう許可を取っておこなっているのですか
A.鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の手続きに従い、環境省の許可を得ています。捕獲を行う調査地への立ち入りに関しては、地権者の了解を得ています。

渡りルートの調査はこちら

オオジシギ保護調査プロジェクトはこちら

オオジシギ渡りルートの調査

オオジシギの主な繁殖地は北海道、南千島、本州北部、サハリン南部、越冬地はオーストラリア南東部ということが知られています。しかし、どのようなルートで移動していくかはわかっておらず、また、勇払原野が繁殖地や渡りの中継地としてどのように利用されているのかについても詳細はわかっていません。今後、勇払原野の保全の指標とすること、また、オオジシギにとって必要な環境や重要な生息地・中継地を明らかにし、適切な保全を行なうことを目的に、2つの方法でその解明を試みています。

1.衛星追跡

衛星追跡装置をつけたオオジシギ
衛星追跡装置をつけたオオジシギ

追跡結果はこちら

アルゴスシステムを用いて、オオジシギの位置を推定し、渡りを追跡します。アルゴスは観測対象にデータ送信機を付け、衛星を利用して環境に関するデータを収集するシステムで、渡り鳥の追跡の他にも、ウミガメやツキノワグマといった動物の行動調査や、気象や火山活動のデータ収集にも用いられています。
今回用いた送信機は約5gと、現在手に入る中で最も軽いものです。装着に必要なヒモなども含め、体重の4%以下になるように、体重155g以上の個体のみに装着しました。また、渡りの経験がある成鳥に限って2016年7月、勇払原野で5羽のオオジシギに送信機を付けました。

衛星追跡に関するQ&Aはこちら

2.カラーフラッグ・標識

装着後放された直後
装着後放された直後
フラッグを付けたオオジシギ
フラッグを付けたオオジシギ

カラーフラッグは、鳥の足に目印として付けるプラスティック製の小さな旗です。その色と位置によって、そのフラッグがどこで付けられたかがわかるようになっています。渡り鳥であるシギやチドリで行なわれる方法で、フラッグの付いた鳥の目撃情報を集めることで渡りルートの研究に役立てられています。
また、標識とは、金属性の足環で、日本では環境省が発行する記号と番号が刻まれており、いつどこで誰がその足環を付けたかがわかります。その鳥が再捕獲されるか死体などで回収されないと、刻印がわからないのがフラッグと異なる点ですが、最近は光学機器の進化により、撮られた画像から刻印が判読できることも増えてきました。
今回の調査では17日間で合計108羽のオオジシギを捕獲し、そのうち102羽にこのフラッグと標識を付けました。勇払原野で捕獲したものは、右足のふしょ(後ろに曲がった関節の下の部分)に青フラッグ2枚、左足のふしょに環境省標識(金属足環)が付いています。

勇払オオジシギカラーフラッグ標識方法2016年

<オオジシギの目撃情報収集にご協力ください>

フラッグ付きのオオジシギを観察したら、わかる範囲で下記の情報をお知らせください。

  • 観察者のお名前:
  • 観察者のご連絡先(住所・電話番号・FAX番号・メールアドレスなど):
  • 観察日時:
  • 観察場所(都道府県・市町村・地名):
  • 観察場所の緯度・経度(分かれば):
  • フラッグ・金属足環の情報:
    右足:関節の上(なし)、関節の下(フラッグの番号___、または無地)
    左足:関節の上(なし)、関節の下(金属足環 有・無)
    (フラッグの刻印:0M~9M、0N~9N、0L~9L、0P~9P、無地)
  • 写真:ある→写真の提供(可・否)、写真なし
  • 特記事項(その場所で見られたシギ・チドリ類各種の個体数など)

連絡先
日本野鳥の会保全PJ推進室(電話:03-5436-2634、メールアドレス:[email protected]

フラッグ調査に関するQ&Aはこちら

オオジシギ保護調査プロジェクトはこちら

持田野鳥保護区シマフクロウ十勝第1(もちだやちょうほごくシマフクロウとかちだい1)

シマフクロウ保護のための野鳥保護区
北海道十勝地域 365.2ha

十勝地域では初となるシマフクロウを対象とする野鳥保護区。
十勝地域から日高地域へと続くシマフクロウの生息域の一部で、1つがいの生息が確認されている。対象の森林は法的な保護がなく開発計画によってシマフクロウの生息が危ぶまれていたため、持田勝郎氏(もちだかつろう・故人)からの寄付金をもとに、当会が土地を購入し野鳥保護区を設置した。

写真

市民フォーラム 「大型風車の建設ラッシュを考える」

 再生可能エネルギーへの期待の高まりから、国内でも数多くの大型風力発電施設の建設計画が進んでおり、なかでも北海道は建設計画ラッシュといえる状況です。
 大規模なウインドファームは広い面積を必要とし、地域の住民や生態系への影響が懸念されることもありますが、非常に急速な計画推進のなか、問題点や課題が十分に議論され、導入への合意が図られているとはいえません。本フォーラムでは、大型風車の建設計画が進む現状を多くの市民と共有し、広く議論を喚起することを目的としています。

日時:
2016年8月20日(土)14:00-17:30(開場13:30)
会場:
北海道大学大学院地球環境科学研究院D棟201号
参加費:
無料
先着順150名:
当日参加も可能ですが事前にお申込みください
申込み先:
<メール> [email protected] <電話> 090-7052-5496(担当:長谷川)
主催:
公益財団法人日本野鳥の会
共催:
北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク
協力:
北海道大学大学院地球環境科学研究院藤井賢彦研究室
エコ・ネットワーク
助成:
地球環境基金

14:00-14:15
主催者挨拶 葉山政治((公財)日本野鳥の会)
共催者挨拶 宮本尚(エネルギーチェンジ100)
趣旨説明 長谷川理(エコ・ネットワーク)

14:15-14:40
「風力発電の社会的受容性~ステークホルダの多様性を踏まえて~」
丸山康司(名古屋大学大学院環境学研究科)

14:40-15:05
「北海道北部の大型風車建設による生態系と景観への影響の懸念」
小杉和樹(日本野鳥の会道北支部)

15:05-15:30
「宗谷地域におけるメガウインドファームの環境影響評価:現状と課題」
遠井朗子(酪農学園大学環境共生学類/エネルギーチェンジ100)

15:40-16:05
「地域の議論を踏まえた土地利用規制の必要性~石狩市を例に」
菅澤紀生(すがさわ法律事務所)

16:05-16:30
「北海道の土地利用の変遷と再生可能エネルギー導入」
金子正美(酪農学園大学環境共生学類/エネルギーチェンジ100)

16:30-16:55
「野鳥との共存をはかるセンシティビティマップの重要性」
浦達也((公財)日本野鳥の会)

17:00-17:25
パネルディスカッション
進行:長谷川理 (エコ・ネットワーク)
パネリスト:丸山康司、遠井朗子、菅澤紀生、小杉和樹、金子正美、浦達也

17:30 閉会

第2回 風力発電に対する鳥類のセンシティビティマップ作りに関する検討会を開催します

当会は、2016年3月に「風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会」を立ち上げました。風力発電の導入が進む北海道北部を舞台に、風力発電の導入推進側 と野鳥保護側とで協議を重ねながら、双方が活用できるようなセンシティビティ(風力発電と野鳥の脆弱性)マップを作成すべく、議論の過程を記録し、その中で現れた諸課題への対応策を見出しながら、広く国内にマップ作りの必要性を訴えていきます。その第2回目の検討会を開催いたします。

【第2回検討会】

  • 8月21日(日)10~12時30分
  • 北海道大学大学院地球環境科学研究院D棟101号室(北海道札幌市・JR札幌駅から徒歩8分)

〈10名まで一般傍聴者を募集〉
 傍聴希望者は、タイトルを「第2回マップ作り検討会傍聴希望」として、氏名、住所、連絡先(eメール)、所属先、当会員の有無を必ず記載し、8月18日(木)までに[email protected]までメールで申し込んでください(応募者多数の場合は抽選とし、当選者は8月19日(金)までに通知をもって代えさせていただきます)

Strix Vol.32

※特集と原著論文は、摘要をご覧になれます。

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特集:カンムリウミスズメ

Strix編集部:カンムリウミスズメ特集にあたって
綿貫豊:ウミスズメ科の多様性(摘要)
中村豊:宮崎県枇榔島で得られたカンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeの知見について(摘要)
大槻都子:カンムリウミスズメ保全における国際協力および行政(宮崎県東臼杵郡門川町)の取り組み例(摘要)
佐藤仁志・森茂晃・八幡浩二・深谷治・星野由美子:島根県におけるカンムリウミスズメの生息状況(摘要)
田尻浩伸・手嶋洋子・佐藤智寿・山本裕:カンムリウミスズメの巣への出入り時刻と個体数調査方法の検討(摘要)
山本裕・土田修一・小林豊:卵殻膜のDNA分析による神子元島でのカンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeの繁殖再確認

原著論文

鬼頭健介・関口伸一:スズメの営巣における電柱機器の利用(摘要)
岡八智子・西浦征克・今井光昌・安藤宣朗・下村孝嘉・久住勝司・田中洋子・横山真一・前田聡・石原宏・林益夫・中村洋子・西村泉・橋本裕子・世古口有司・平井正志:伊勢湾西岸海岸におけるミヤコドリの棲息(摘要)
藤巻裕蔵:北海道中部・南東部におけるモズの繁殖期の生息状況(摘要)
小川次郎・渡辺奈央・松井宏光・大森浩二:瀬戸内海忽那諸島およびその周辺島嶼部における絶滅危惧種ウチヤマセンニュウLocustella pleskeiの生息状況(摘要)
上出貴士:和歌山県日高町の西川における非繁殖期の鳥類群集-3シーズン(2010年10月~2013年4月)の調査結果から(摘要)
藤田薫・大久保香苗・藤田剛:噴火後15年目の三宅島におけるオーストンヤマガラの推定個体数(摘要)

短報

葉山雅広・児嶋翼・野中純:小笠原諸島母島におけるマガンの観察
奴賀俊光・Christopher Paul Norman・森川由隆:千葉県鴨川市におけるイソヒヨドリMonticola solitariusの繁殖生態
出口翔大・小川龍司・伊藤泰夫・組頭五十夫・中村勇輝・石原通裕:北陸地方沿岸部におけるガビチョウGarrulax canorusの記録
山口孝・御手洗望:近距離で営巣したサシバとツミの営巣記録
川上和人・堀野眞一・辻本恒徳:ハシブトガラスによるニホンジカに対する吸血行動の初記録
北野雅人・近藤崇・前嶋美紀・時田賢一・宮田弘樹:巣内カメラで観察されたヤマガラ同種内の巣の乗っ取りと思われる事例
志内利明・兼本正・中田政司・王仲朗・魯元学・李景秀・馮寶鈞・管開雲:中国雲南省で観察されたトウツバキの送粉者と考えられる3種の鳥類
安藤一次・一戸一晃:青森県におけるツノメドリFratercula corniculataの初記録
大久保香苗:三宅島の鳥類目録の整理 日本鳥類目録改訂第7版以降の知見
滝沢和彦:長野県北部の営巣地におけるノスリButeo buteoのペレット分析

特集:カンムリウミスズメ

綿貫豊:ウミスズメ科の多様性(摘要)

 ウミスズメ科は北半球だけに分布し,23種からなる.ウミスズメ科には,羽ばたいて飛行し潜水する,沿岸から外洋まで多様なハビタットを利用する,動物プランクトンからイワシ類,イカナゴ類までさまざまな餌生物を食べる,雛の巣立ち様式は離巣性から就巣性まで幅広い,といった特徴がある.このグループに関して,1)トウゾクカモメ科と分岐した後に,いかにして,そしてなぜ,翼は小さくなり,大型種も進化したのか,2)気候変化がもたらしたであろう生態系の変化がウミスズメ科の多様化とどう関係しているのか,3)ウミスズメ科の雛の巣立ち様式の多様性がどのようにして進化したのか,4)ウミスズメ科の特異的な渡り様式は,南北両半球にわたる長距離渡りをするミズナギドリ科とどう違うのか,といった魅力的な研究課題があるだ
ろう.こうしたウミスズメ科の進化に関する課題を解くために,分子・形態両面から明らかになりつつある系統関係と分岐年代の情報は役に立つだろう.

中村豊:宮崎県枇榔島で得られたカンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeの知見について(摘要)

 宮崎県の枇榔島でカンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeについて27年間調査研究して得られた主な成果を紹介する.自然界での最大寿命は21年以上である.体重は雌雄でほとんど差がないが,繁殖期の後期に雌雄とも大きく減少する.外部形態の測定値も雌雄でほとんど差がなく,雌雄の判定は難しい.産座に巣材を用いず抱卵するが詳細は不明.ヒナは約30日で孵化し,孵化後早いうちに巣立ちし,一晩のうちに約14km(2.47km/h)も移動した.その後海流を利用して北上した.繁殖のために枇榔島へ帰ってくる際には,南からの海流を利用した.枇榔島でカンムリウミスズメの死骸・卵殻が大量に見つかるため,ネズミ類による食害を想定した調査を実施したが,その証拠は得られず,ハシブトカラスCorvus macrorhynchosが捕食している可能性が濃厚となった
?カラスへの対策が必要である.

大槻都子:カンムリウミスズメ保全における国際協力および行政(宮崎県東臼杵郡門川町)の取り組み例(摘要)

 カンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeは,日本の海鳥の中でも注目度の高い海鳥である.本種が近年注目されるようになった背景には,中村豊氏,小野宏冶氏,公益財団法人日本野鳥の会等の成果に加え,海外からの本種の調査への関与もあげられる.アメリカ・カナダチームの調査への参加は,調査技術や情報の交換という点から有効であった以外に,本種の希少価値を一般に知らしめるのには十分であった.本種の最大の繁殖地である 枇榔島が健全な状態で保たれてきた背景には,宮崎県東臼杵郡門川町の取り組みが重要な役割を果たしている.今回は,カンムリウミスズメの保全における国際協力の紹介と,行政側の取り組み例として門川町の取り組みを紹介したい.

佐藤仁志・森茂晃・八幡浩二・深谷治・星野由美子:島根県におけるカンムリウミスズメの生息状況(摘要)

 カンムリウミスズメの日本海側における繁殖地としては,福岡県筑前沖の島,京都府沓島,石川県七ツ島などが知られているが,筑前沖の島から沓島の間の島根県沖を含めた日本海には明確な繁殖地情報がなく,最近まで空白地帯となっていた.2011年から4か年かけて行った調査により,生息状況や繁殖実態がある程度分かってきた.星神島を中心とする島根県隠岐郡島前地区一帯の洋上には,繁殖期に200羽を超えるカンムリウミスズメが集結することが明らかになると共に,星神島では繁殖個体が確認され,洋上で巣立ち間もない綿羽に覆われた雛を連れた家族群も確認された.また,夜間の鳴き声調査やスポットライト調査等により,繁殖の可能性が考えられる島をある程度絞り込むことができた.さらに,隠岐諸島以外の島根県の本土側の島嶼にお
??ても,繁殖の可能性があることも分かった.

田尻浩伸・手嶋洋子・佐藤智寿・山本裕:カンムリウミスズメの巣への出入り時刻と個体数調査方法の検討(摘要)

 繁殖期のカンムリウミスズメは,日中は繁殖地周辺の海上に広く分散し,日没後に抱卵交代のため繁殖地に上陸する.したがって,多くの個体が繁殖地から海上に出て行く時間に合わせて調査を行なうと,より正確に個体数を把握できると考えられる.そこで,東京都神津島村の祇苗島にセンサーカメラを設置し,カンムリウミスズメが巣に出入りする時刻を調べて個体数調査に適した時間帯を選定した.その後,神津島村の恩馳島,新島村の地内島で実際に個体数調査を行ない,過去に同海域で行なわれた調査結果と比較して有効性を検討した.伊豆諸島では,日の出の1時間前を含むように調査を行なうと,より正確に個体数を把握できると考えられた.

山本裕・土田修一・小林豊:卵殻膜のDNA分析による神子元島でのカンムリウミスズメSynthliboramphus wumizusumeの繁殖再確認

原著論文

鬼頭健介・関口伸一:スズメの営巣における電柱機器の利用(摘要)

 近年スズメの個体数減少の一因として営巣場所の減少が挙げられている.また,一般的には家屋に営巣するスズメが,近年都市部では電柱機器に営巣している.そこで電柱機器への営巣状況を知るために都市部でのスズメの営巣場所の調査をした.その結果,スズメは電柱機器である変圧器受台,低圧引き込み箱,D字型腕金,弓支線を支える腕金に営巣していた.そして,家屋よりも電柱機器に有意に多く営巣しており,それは営巣可能な家屋が少ないからだと考えられた.また,4種の電柱機器で比較すると,営巣数と使用率について有意な差が見られ,営巣数は営巣可能な機器数に,使用率は機器構造による出入りのしやすさに影響を受けると考えられた.

岡八智子・西浦征克・今井光昌・安藤宣朗・下村孝嘉・久住勝司・田中洋子・横山真一・前田聡・石原宏・林益夫・中村洋子・西村泉・橋本裕子・世古口有司・平井正志:伊勢湾西岸海岸におけるミヤコドリの棲息(摘要)

 三重県伊勢湾岸のミヤコドリ個体数を1)環境省モニタリングサイト1000シギ・チドリ調査,2)同一日,同一時間に複数個所で行った一斉調査,及び3)随時調査の3方法で調査した.安濃川河口でのミヤコドリ越冬数は2000年以降増加した.この海岸での最大数は2011年1月の104羽であった.越冬期最大数は2011-2012年冬期には62羽,2012-2013年には77羽,2013-2014 年には84羽であった.これらは日本での越冬個体数の12-20%,東アジア―オーストラリア地域飛行経路の推定個体数の0.6-1%に達した.この調査で三重県伊勢湾岸がミヤコドリの棲息に重要であることが明らかになった.

藤巻裕蔵:北海道中部・南東部におけるモズの繁殖期の生息状況(摘要)

 1976-2015年の4月下旬-7月下旬に北海道中部・南東部の917区画(4.5 km×5 km)内の調査路1,029か所でモズLanius bucephalusの生息状況を調べた.モズが出現した区画数は381(42%),調査路数は430(42%)であった.生息環境別の出現率は,森林で22%,農耕地・林で58%,農耕地で60%,住宅地で26%であった.標高帯別の出現率は,200m以下で50%,201-400mで36%,401m以上で14%であった.2km当たりの平均観察個体数は森林で0.2±0.7羽,農耕地・林で0.6±1.1羽,農耕地で0.4±0.8羽,住宅地で0.2±0.5羽であった.モズが出現した区画の割合,出現率,観察個体数は東経144°0′以東ではそれ以西に比べて有意に小さかった.

小川次郎・渡辺奈央・松井宏光・大森浩二:瀬戸内海忽那諸島およびその周辺島嶼部における絶滅危惧種ウチヤマセンニュウLocustella pleskeiの生息状況(摘要)

 絶滅危惧種ウチヤマセンニュウの生息確認調査を,2012年から2014年にかけて,瀬戸内海に位置する忽那諸島を中心とした22の島嶼で行った.2011年に生息が確認されていた小安居島以外に芋子島,殿島,流児島,下二子島,臍島,怪島において新たに生息が確認され,県内では計7つの無人島に生息していることが明らかとなった.小安居島における雄の繁殖個体数は,毎年20羽から30羽ほどであった.小安居島以外の島嶼では個体数が少なく,最大3個体しか確認できなかった.縄張りはほとんどが林縁部にあり,特に谷状の地形となっている場所であった.瀬戸内海にはまだ知られていない繁殖地がある可能性は高いと考えられ,今後保全をする上では網羅的調査が必要である.

上出貴士:和歌山県日高町の西川における非繁殖期の鳥類群集-3シーズン(2010年10月~2013年4月)の調査結果から(摘要)

 和歌山県日高郡日高町の西川において,2010年10月から2013年4月の3シーズンの非繁殖期の鳥類群集を明らかにした.各シーズンの出現種数は23-26科,38-46種で,全調査期を通じて29科59種が確認された.各シーズンの累積出現個体数は,それぞれ2,528,1,892,2,581羽であった.優占した上位10種は,各シーズン間で6-8種が共通したが,種別個体数組成はシーズンによって大きく変化した.また,隣接した水田域と異なり,特定の種が著しく優占することはなく,水田域に比べて種の多様性は高く,単位面積あたりの個体数も多い傾向が見られた.

藤田薫・大久保香苗・藤田剛:噴火後15年目の三宅島におけるオーストンヤマガラの推定個体数(摘要)

 絶滅危惧IB類の固有亜種オーストンヤマガラの最大の繁殖地である三宅島で,ヤマガラの植生の選好性と,噴火前および噴火後15年目の個体数と生息地面積を推定した.ヤマガラはスダジイ林を選好し,タブノキ林,オオバヤシャブシ林,針葉樹植林をランダムに利用していた.推定個体数は,噴火前は約3,100-4,100羽で,2015年には約2,000-2,400羽(噴火前の約50-75%)に減少していた.生息地面積は,噴火前に約40 km2,2002年と2015年には約25 km2(噴火前の約60%)で,減少は止まっているようであった.しかし,個体数,生息地面積とも,未だに噴火前の水準には回復していなかった.

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