原発問題に関する当会の見解
東京電力福島第一原子力発電所が引き起こした放射性物質の漏出事故は、長い将来にわたって自然界に甚大な影響を与える恐れがあります。このことから、日本野鳥の会は、原子力発電を国内外で推進する国の政策等に憂慮し、原子力発電を段階的に廃止し、世界的な脱原発社会の実現を求めるものとします。脱原発のためのエネルギー対応と当会の役割は、以下の通りです。
- 従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」を見直し、省エネ型のライフスタイルを提案、指向していきます。
- 原発に替わり自然再生エネルギーを併用するエネルギーシフトの実現を通じ、原発への依存度を低減するよう、求めていきます。その際、野鳥や自然環境への十分な配慮を求め、その内容を提案、検証していきます。
- 生態系の上位に位置する野鳥に注目し、調査や監視を継続していきます。
関連情報
- 野鳥も人も放射能に脅かされない社会を
- 放射性物質の影響調査(ツバメをまもろうキャンペーン)
- 宮城のツバメと被災地・福島――2012年夏
- ツバメが直面する危機
- 必要性のない事業計画になっている
アセス準備書に寄せられた意見は、「事業の必然性に関すること(14件)」、「干潟の復元に関すること(25件)」に集中している。
日本野鳥の会は、湿性の草原の生物多様性を維持し、環境教育に活用することを提唱している。 - 代償処置になっていない
北側の開発の代償措置として、3つがいのチュウヒの繁殖地の代償措置として約50ヘクタールのチュウヒ保全区の設置工事が進行しているが、2009年以降、繁殖の成功は確認されていない。 - 現在の「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」に掲載されている鳥獣の捕獲等の事由から、「鳥獣の愛がん飼養目的の許可」を削除されたい。
- この機会に、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の施行規則第五条の四を削除し、鳥獣の愛がん飼養制度について撤廃されたい。
- 基本的指針における理念との矛盾
現行の基本的指針では、「鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項」の「(4)その他特別な事由を目的とする場合」の一つとして、「鳥獣の愛がん飼養目的の許可」が挙げられています。しかし同指針には同時に「鳥獣の愛がん飼養は、鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長するおそれもある」との基本的見解が明記されており、これは愛がん飼養目的の捕獲を許可することと矛盾しています。(添付資料3) - 公益性の欠如
そもそも、愛がん飼養を、他の公益的な捕獲事由と同列に並べて扱う理由は基本的指針及びには何ら示されていません。愛がん飼養は「個人の慰楽」であって、一方的に日本の自然環境からメジロを捕獲し消費するだけであり、自然環境保全・生物多様性維持や、次世代を担う国民の情操向上に資す等々の効用は得られず、もはや役目を終えていると考えます。個人的な楽しみのために愛玩飼養を続けることは、今日的に認められない行為と言わざるをえません。 - 生物多様性国家戦略2010における制度そのものに対する疑念
今年度策定された生物多様性国家戦略2010においても、愛がん飼養は「制度そのものの必要性について検討が必要」との疑念が呈示されています。(添付資料5) - 野鳥の乱獲等の違法行為を助長
この制度は現在に至っても、各地において野鳥の乱獲等の違法行為を助長しております(添付資料6)。飼養許可が更新された飼養登録票を所持しながら、足環の装着されていない複数のメジロを違法に飼養していた事例が各地から報告されており、愛がん飼養制度の運用そのものにも問題があると考えられます。
また飼養登録されているメジロ全てを実際に確認し、メジロに足環を装着する実務を担う市町村職員の負担は大きく、一定の知識と技能が必要であり、愛玩飼養制度を適正に運用することは極めて困難であり、取り締まりに支障を来たすという声も聞いております。 - 既に半数の自治体が許可を停止
現在、既に半数以上、24都道府県が愛がん飼養を制度として廃止するか、実態として許可を出していない(添付資料7)。現在の飼養登録数は、ただちに許可を打ち切ったとしても差し支えのない数である(添付資料8)。 - 愛がん飼養制度の経緯:野生鳥獣保護管理検討会報告書(平成16年12月公表)から
イ 愛がん飼養
愛がん飼養を目的とした鳥獣の捕獲許可については、昭和32年の鳥獣審議会の答申において、本来は捕獲を禁止すべきものであるが、旧来より飼養の慣行もあるので、制度の運用に当たっては、学術研究、教育参考資料、愛がん飼養のため必要な場合に限り、最小限度においてこれを許可するようにすべきであるとされ、飼養に関する慣行を認めてきたところである。
また、昭和53年の自然環境保全審議会の答申においては、日本に生息する種類の鳥獣の愛がん飼養を広範囲に認めることは、鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長することとなるおそれがあるので、廃止することが望ましいが、過渡的措置として、次のような規制の強化を図る必要があるとして、飼養のための捕獲の許可基準の厳格化や輸出国の適法捕獲証明書の制度等により、国内産鳥獣の保護に好ましくない影響を与えることのないよう適切な指導を行う必要があるとされている。
愛がん飼養目的の捕獲許可は、かつては7種について認められていたが、捕獲については最小限度許可するとの考え方を踏まえ、これまで許可対象種を減らしてきており、平成11年からは、「第8次鳥獣保護事業計画の基準(」現在の基本指針)において、メジロ、ホオジロの2種のうちいずれか1種について、1世帯1羽のみ飼養を認める扱いとしている。
一方、都道府県の許可の状況を見ると、愛がん目的の許可を行っていない都道府県や高齢者や身体障害者など野外や山野で自然を楽しむことが難しい者に限定して許可をしている都道府県もある。
このような中、昭和32年の答申等を踏まえ、野鳥の愛がん飼養は順次禁止すべきであるという指摘がある。
愛がん飼養については、上記のような鳥獣審議会の考え方を基本としつつ、近年の対象鳥獣の生息状況、許可の状況、捕獲状況、飼養の実態等を勘案し、さらなる規制について検討することが考えられる。 - 愛がん飼養対象種の変遷
- 現行の「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」(平成十九年一月二十九日環境大臣告示第3号)における改正必要箇所
Ⅱ 鳥獣保護事業計画の作成に関する事項
第四 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可に関する事項
1 鳥獣の捕獲等又は鳥類の卵の採取等に係る許可基準の設定
(2) 許可する場合の基本的考え方
(4) その他特別な事由を目的とする場合
4) 愛がんのための飼養の目的
個人が自らの慰楽のために飼養する目的で捕獲する場合。
【小会改定意見】 上記下線部を削除すべき。 - 鳥獣保護法施行規則における改正必要箇所
第五条 法第九条第一項の環境省令で定める目的は、次に掲げる目的とする。
一 鳥獣の保護に係る行政事務の遂行
二 傷病により保護を要する鳥獣の保護
三 博物館、動物園その他これに類する施設における展示
四 愛がんのための飼養
五 養殖している鳥類の過度の近親交配の防止
六 鵜飼漁業への利用
七 伝統的な祭礼行事等への利用
八 前各号に掲げるもののほか鳥獣の保護その他公益上の必要があると認められる目的
【小会改正意見】 上記下線部を削除すべき。 - 生物多様性国家戦略2010の該当箇所
第2部第2章第1節 野生生物の保護と管理
2.5 違法捕獲の防止など
(現状と課題)
愛がん飼養のための捕獲及び飼養については、その対象種を順次減らしており、現在はメジロ1種のみ、一世帯1羽に限り捕獲及び飼養できることとなっています。しかし、違法に捕獲される事例も数多く発生していることから、愛がん飼養制度そのものの必要性について検討が必要です。(中略)
(具体的施策)- 愛がん飼養のための捕獲許可を平成19 年に策定した「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」に基づき、捕獲の方法、区域などについて適正に推進します。(環境省)
- 鳥獣保護員を活用し警察や地方公共団体、自然保護団体とも連携して、違法捕獲及び違法飼養の取締りの強化を推進します。(環境省)
愛がん飼養制度の現状を踏まえたその必要性について検討を行います。(環境省)
- 愛がん飼養制度が密猟を助長し密猟者に悪用されている近年の事例(全国野鳥密猟対策連絡会調べ)
- メジロ等野鳥10羽の違法飼養により摘発された鳴き合せ会(NPO法人日本鳴合文化保存協会)会員が、愛がん飼養登録を受けたメジロ1羽を所有していた。このメジロは装着登録票(足環)を着けておらず、2~3才という鑑定だったが、捕獲時期から6歳以上であることと矛盾していた。しかしこの個体は押収されなかった。NGOからの抗議にも関わらず県はこの飼養登録を抹消しなかった(平成17年7月 奈良県上牧町)
- メジロ4羽を違法飼養していた男が、飼養登録をしており、期限の切れた飼養登録票で警察官を欺こうとした。登録個体は装着登録票(足環)を着けていなかった。(平成22年4月広島県府中市)
- 死亡した父親名義で愛がん登録申請をしようとした男性の自宅から密猟されたメジロ、オオルリ等85羽が発見された(平成21年9月 徳島県牟岐町)。この他、徳島県内で平成17年度から平成21年度に検挙された密猟者41名のほとんどが、飼養登録票を所持していたとの情報がある。
- メジロ13羽を違法飼養していた男性が、警察の調べに対し許可を得ているといって飼養登録票を見せた。しかし、押収した13羽中に足環装着個体はいなかった。(平成22年12月 三重県熊野市)
- 愛がん飼養に関する都道府県における対応状況
- 第10次鳥獣保護事業計画においてメジロの捕獲許可を認めていない都道府県:16
- ここ数年許可を下ろしていない都道府県:8
- メジロの飼養数から見た捕獲許可打ち切りの妥当性
メジロの現在における飼養登録数 6,013羽(平成20年度暫定値)
過去に愛がん飼養目的の捕獲許可対象からはずれた鳥類と比較すると、捕獲許可を打ち切る前年の時点の飼養数は、
・ヤマガラ 6,048羽(昭和53年度)
・ウグイス 14,565羽(昭和54年度)
であり、現在のメジロよりも飼養数が多い時点で捕獲許可を打ち切っている。このことから、ただちにメジロの捕獲許可を打ち切っても、何ら問題はないと考えられる。 - 最も北からの情報である旭川では例年と変わりない。
- 東北、関東ではシーズン当初、ほとんど見かけなかったが1月中旬以降小規模な群れが見かけられるようになった。
- その他の地方では、極端に少ない。
- 近畿以西で少ない。
- 初認日は例年通りだが、数が少ない。もしくはその後見なくなった。
- 全国から飛来情報を集めていた「見つけて渡り鳥」の報告件数の推移を見ても、初認日は例年通りだが、例年であれば10月中旬から増える初認の記録がなかなか増えないという状況で、12月までの報告件数も昨年の約37%、一昨年の55%と少なくなっている。
- 近畿以西で少ない。
- 鹿児島では秋の渡りの群れも見られなかった。
- 生物多様性条約締約国会議開催を記念した生物多様性の復元モデル地域として保全すること。
木曽岬干拓地は、現在、生物多様性の保全上果たしている大きな役割を考慮し、また現在の計画における代償措置が機能していないことを踏まえて、生物多様性条約締約国会議開催を記念した生物多様性の復元モデル地域として保全すること。湿地環境からの転換や無秩序に不特定多数の人の入り込む公園などとする計画は改め、チュウヒ等の野鳥観察や沿海部湿性草原の観察などを行える環境教育の場として、積極的に活用すること。 - チュウヒの基幹的な繁殖地として保全を図ること。
絶滅危惧種チュウヒの基幹的な繁殖地として保全を図るため、特に湾岸道路以南の地区については全域をチュウヒの繁殖保全地区として、埋め立てを行なわず、沿海部の湿性草原の環境を維持・保全すること。 - 木曽岬干拓地の今後の保全・活用について、以下の事項に留意し、計画を再検討すること。
(1)環境教育の場としての有効活用
木曽岬干拓地全体を県民の環境教育の場として活用するため、適切な湿地環境の観察設備と生物多様性に関する展示等を行なえる施設を設置する。三重県にはこのような鳥類を主とする自然観察施設が他にはないので、設置の意義は高い。地理的に愛知・三重両県民の利用が考えられるので、両県による共同の設置・管理運営を検討する。設置場所は一例として、チュウヒの生態や繁殖活動を観察できる施設を湾岸道路のすぐ南に設けることが考えられる。
(2)適切な人材の配置
木曽岬干拓地を環境教育の場として活用し、適切に保全・管理を行なうために、上記の施設に環境教育、湿地環境の保全・管理に関する専門の知識と経験をもつ人材を配置する。
(3)埋め立ての中止
湾岸道路以北の区域については、来訪者の利便施設の設置以外はこれ以上の埋め立てや造成を行なわず、適切な観察路を設けるなどして来訪者が直接、湿地や草原の環境を体験できるフィールドとして活用する。
(4)チュウヒ繁殖地への立ち入り禁止
湾岸道路以南のチュウヒの繁殖保全地区の区域については、チュウヒの営巣を保護するため、基本的に利用者の立ち入りを制限する。現在複数の入りこみが確認されている野犬については、チュウヒの捕食者として脅威になっていると思われるので、緊急に捕獲するとともに、新たに野犬やタヌキなどの地上性の捕食者が干拓地内に進入しないよう、湾岸道路のすぐ南に2m程度の防護柵(地下50cm程度まで)と水路を設けるなどの対策を施す。堤防自体については法的に進入を規制できないので、西側堤防中央部分からの進入路については柵と施錠により管理する。また干拓地東側堤防沿いにおいて模型飛行機を干拓地内に侵入させて遊ぶ行為がチュウヒの繁殖にとって重大な脅威となっているので、これを適切な方法で制限する。 - 生物多様性条約締約国会議開催を記念した生物多様性の復元モデル地域として保全すること。
木曽岬干拓地は、現在、生物多様性の保全上果たしている大きな役割を考慮し、また現在の計画における代償措置が機能していないことを踏まえて、生物多様性条約締約国会議開催を記念した生物多様性の復元モデル地域として保全すること。湿地環境からの転換や無秩序に不特定多数の人の入り込む公園などとする計画は改め、チュウヒ等の野鳥観察や沿海部湿性草原の観察などを行える環境教育の場として、積極的に活用すること。 - チュウヒの基幹的な繁殖地として保全を図ること。
絶滅危惧種チュウヒの基幹的な繁殖地として保全を図るため、特に湾岸道路以南の地区については全域をチュウヒの繁殖保全地区として、埋め立てを行なわず、沿海部の湿性草原の環境を維持・保全すること。 - 木曽岬干拓地の今後の保全・活用について、以下の事項に留意し、計画を再検討すること。
(1)環境教育の場としての有効活用
木曽岬干拓地全体を県民の環境教育の場として活用するため、適切な湿地環境の観察設備と生物多様性に関する展示等を行なえる施設を設置する。三重県にはこのような鳥類を主とする自然観察施設が他にはないので、設置の意義は高い。地理的に愛知・三重両県民の利用が考えられるので、両県による共同の設置・管理運営を検討する。設置場所は一例として、チュウヒの生態や繁殖活動を観察できる施設を湾岸道路のすぐ南に設けることが考えられる。
(2)適切な人材の配置
木曽岬干拓地を環境教育の場として活用し、適切に保全・管理を行なうために、上記の施設に環境教育、湿地環境の保全・管理に関する専門の知識と経験をもつ人材を配置する。
(3)埋め立ての中止
湾岸道路以北の区域については、来訪者の利便施設の設置以外はこれ以上の埋め立てや造成を行なわず、適切な観察路を設けるなどして来訪者が直接、湿地や草原の環境を体験できるフィールドとして活用する。
(4)チュウヒ繁殖地への立ち入り禁止
湾岸道路以南のチュウヒの繁殖保全地区の区域については、チュウヒの営巣を保護するため、基本的に利用者の立ち入りを制限する。現在複数の入りこみが確認されている野犬については、チュウヒの捕食者として脅威になっていると思われるので、緊急に捕獲するとともに、新たに野犬やタヌキなどの地上性の捕食者が干拓地内に進入しないよう、湾岸道路のすぐ南に2m程度の防護柵(地下50cm程度まで)と水路を設けるなどの対策を施す。堤防自体については法的に進入を規制できないので、西側堤防中央部分からの進入路については柵と施錠により管理する。また干拓地東側堤防沿いにおいて模型飛行機を干拓地内に侵入させて遊ぶ行為がチュウヒの繁殖にとって重大な脅威となっているので、これを適切な方法で制限する。 - 施設について
- 浜中観光ホテル跡地の有効利用を目的とし、浜中町とCEFクリーンエナジーファクトリー社の中間法人により設置。2006年2月に営業運転開始。General Electric社製1.5MW風車。
- 施設の場所
- 〒088-1401 北海道厚岸郡浜中町榊原高台
- 視察時間
- 平成21年1月16日13:00~13:50
- 視察参加者
- 浦達也(自然保護室)・有田茂生(サンクチュアリ室)・高田令子(根室支部)・CEF社員2名・浜中町職員2名
- 視察実施の背景
- 北海道で風力発電が建設されるようになってから、絶滅危惧種で天然記念物のオジロワシが風車に衝突死する事故が起き続けている。当会としては、オジロワシの風車への事故死を少しでも減らせればと考えており、そのためにはまず、事故の状況をしっかり把握することが大切である。そんな中、残念ながら平成20年10月19日に国内12例目となるオジロワシの衝突死が、浜中町風力発電所で起きた。
今回は、タンチョウとチュウヒに関連する仕事で北海道へ出張した足で、事故のあった浜中町の風車を視察した。野鳥の会関係者だけで風車を自由にみせていただく旨で1月8日頃に浜中町に連絡したが、CEFに問い合わせるように指示された。CEFからは前日となる15日に回答があり、CEF社員の立会いの下で視察することとなった。そしてその連絡の直後、浜中町職員からも立ち会う旨の連絡があった。 - 視察結果
-
- 発見者は、以前に浜中町の隣の厚岸町に住んでいたヨン・アルバート氏。久々に来日したヨン氏を根室支部の金澤裕司氏が観光案内しており、平成20年10月19日11時40分頃に風車に面した道路を通った時にヨン氏がオジロワシの死体を発見した。この日は日曜日であり役所は休みだったため、取り急ぎ根室支部の高田令子氏に連絡し、すぐに高田氏が駆けつけた。死体はすぐに、ヨン氏らで回収した。
- 死体は風車から約30m離れた所に、3ヶ所(頭+片翼+片足+胴・片足・片翼)に散らばっていた。
- CEFは毎週水曜日に、施設の保守点検の際に死体捜索のための巡回をしている。巡回は施設の外縁を一周するのみ。敷地はホテル跡地のため裸地であり、ほんの少し草の株があるものの見通しは良い。なお、この草は夏には50cm程度となるが、8月には草刈を行う。外縁だけでなく、敷地を十字に歩き、草株のところは注意して捜索するなど、もっと丁寧に捜索することを浦が提案した。
- 浜中町としては、風車敷地への不法投棄の監視を不定期で週1回行なっており、その際に敷地の外縁を1週して、鳥の死体捜索もしているとのこと。
- CEFは10月15日の午後早くに死体捜索をしている。浜中町は15日以降には死体捜索していない。そのため、オジロワシは15日夕方~19日午前に衝突死したと思われる。高田氏の話では、血もまだ新しかったため、19日の朝ではないか推定していた。
- 浜中町風力発電所の建設前の環境調査について、施設規模の面からNEDOの風力発電導入マニュアルでは対象とならないため、文献からその場所にオジロワシの存在が記載されているかの調査しか行っていない。そして、文献調査ではオジロワシのことは出てこなかったとのこと。また、浜中町としては今までに鳥類調査を行ったことはなく、この地域の鳥の状況をよく把握していなかった。なお、この視察時、オジロワシ2羽、オオワシ4羽が風車の真上空を飛行していることを浦、有田、高田氏で確認している。
- 浜中町風力発電所でのオジロワシの衝突死の後も、行動や個体数などの調査、オジロワシを風車から忌避させるような物を設置するなどの対策は特に行っていなく、引き続き週1回の巡回のみ行なっている。
- 「今後の環境影響評価制度の在り方について」に関するヒアリングにおける意見発表要旨
- ヒアリングでの意見発表内容
- 国内におけるバードコリジョンの事例(2009年3月末日現在)
- 県別風力発電導入量(2009年3月末日現在)
- 東北地方の干潟・湿地・砂浜を保全するためにも、利用計画に疑問の
残る泡瀬干潟の埋立事業を中止し、泡瀬干潟の生物多様性を良好な状態で保全してください。 - 東日本大震災を踏まえて、必要性、緊急性が低い本事業の平成23年度予算27億3000万円は震災対応費に振り替えてください。
- 沖縄市の東部海浜開発事業は、東日本大震災を踏まえてあり方を根本から見直し、泡瀬干潟の豊かな生物多様性・生態系と共存する自然を活かし、安全性を確保した持続可能なまちづくり計画に改変するよう、沖縄市に提案してください。
概説:木曽岬干拓地のチュウヒの危機
国内でチュウヒは現在、12か所・計60ペア程度しか繁殖が確認されていない(絶滅危惧ⅠB類)。干拓や河川改修などによってアシ原が減少しているため。

日本の猛禽類(絶滅危惧種)の繁殖個体数
チュウヒ 数十羽(繁殖個体数)
イヌワシ 300羽(繁殖個体数)
クマタカ 900~1000羽(個体数)
オオタカ 1000羽以上(個体数)
木曽岬干拓地で冬季に観察できる猛禽類
全国有数の種類:チュウヒ・ハイイロチュウヒ・ノスリ・ケアシノスリ・ハヤブサ・チョウゲンボウ・コチョウゲンボウ・コミミズク・ミサゴなど (ねぐらとして利用)

木曽岬干拓地全体を「チュウヒの繁殖地として保全し、野生生物とヒトの共存を目指す自然教育の場」
として観察会などを通して活用することを提案

これまでの経緯
| 1950年 | 農林省(当時)の事業として干拓事業が開始される |
| 1973年 | 干陸化する(総工費150億円)440ha 20年以上放置 |
| 1990年代 | 愛知・三重の両県の県境が問題に |
| 1993年 | 8月、農水省と両県が「木曽岬干拓土地利用検討会議」を設置、土地利用の在り方について検討開始 |
| 1994年 | 会計検査院の検査報告(改善意見)が出される。 6月、農水省の立会いのもと、両県知事が「木曽岬干拓地に関する確認書」を取り交わし合意 |
| 1999年6月 | 木曽岬干拓地土地利用検討委員会「木曽岬干拓地土地利用に関する報告書」公表。「現状地盤高を前提として将来、高度な形での利用に至るまでの間、干拓地を大きく産業エリアと交流エリアとして位置づけ検討していく」とした |
| 2000年 | 両県が国(農水省)より土地を買い取る。契約書で、野外公園広場等、公の施設として5年間の供用を義務付け |
| 2001年 | 「木曽岬干拓地整備事業環境影響評価方法書」を発表 日本野鳥の会三重県支部・愛知県支部と名古屋鳥類調査会で調査開始 |
| 2004年 | 環境影響評価準備書 日本野鳥の会など意見書。三重県聴取会にて日本野鳥の会など意見陳述 |
| 2005年 | 2005年1月、環境影響評価書伊勢湾岸道路の北側にわんぱく原っぱを建設、チュウヒのための保全区域を整備する計画。着工後もチュウヒ等の事後調査が継続されている。 |
| 2011年 | 埋立て用残土の不足により、平成22年度末完成予定だったわんぱく原っぱの完成予定が平成26年末まで延期される。6月の県議会でメガソーラー基地の設置が提案される |
| 2012年 | 1月、日本野鳥の会、名古屋鳥類調査会がチュウヒ保全のための土地利用計画の変更の要望書を提出 |
問題点
中央環境審議会の小委員会のヒアリングで鳥獣保護事業計画の「基本指針」に対する意見を申し述べました
2010年12月22日に開かれた中央環境審議会鳥獣保護管理小委員会の関係団体からのヒアリングにおいて、環境省が改定作業を行っている鳥獣保護事業計画の「基本指針」に対して、下記のような意見を申し述べました。「基本指針」(鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針)は、都道府県が策定、実施する鳥獣保護事業計画(5ヵ年)に対するガイドラインとして環境大臣が告示するもので、現在、平成23年度に行われる第11次鳥獣保護事業計画の策定に向けて、改定作業が行われています。
当会が述べた意見は次の3点です。(資料9~13ページ)
愛がん飼養制度の廃止
鳥インフルエンザ等の感染症対策
鳥獣害防止策の適切な指導
愛がん飼養制度の廃止について環境大臣に要望書を提出しました
2011年3月22日、当会は、野鳥をペットとして飼うことを法的に認める「愛がん飼養制度」について、鳥獣保護事業計画の基本的指針を改定する機会に、廃止すべきとの要望書を松本龍環境大臣に提出しました。
要望書の内容は以下のとおりです。
日野鳥発第89号
平成23年3月22日
環境大臣
松本 龍 様様
野鳥の愛がん飼養目的の捕獲許可の廃止についての要望
財団法人日本野鳥の会
会 長 柳生 博
日ごろ、環境行政の執行にあたり、私どもNGOの自然保護活動にご理解をいただき、まことにありがとうございます。
さて、昨年10月から、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(以下「鳥獣保護法」という)に基づき、貴職の諮問により「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」(以下「基本的指針」という)の改定が、中央環境審議会において検討されています。この指針は、来年度第十一次鳥獣保護事業計画を改定する中で参考とするため、都道府県に対し告示として公布される予定と承知しております。
現在の基本的指針には、鳥獣の捕獲等の事由のひとつに「愛がん飼養目的の許可」が掲げられ、これを基にして、メジロの捕獲が許可されています。この愛がん飼養を目的とした鳥獣の捕獲については、審議会において本来禁止すべきとの方向性が出されて既に54年、また明確に廃止の方向性が打ち出されてから33年もの歳月が経過しています。
しかし、この「愛がん飼養制度」は、別紙のように理念上も実態上も様々な矛盾を引き起こしており、鳥獣保護法の適正な執行の障害になっています。前述のように、禁止の方向性が出されて長年が経過しているにも関わらず、この制度を今回温存させてしまえば、野生生物の不適切な消費の助長をし続けていると、国際的にもそしりも免れ得ないとも考えます。
これらのことから、鳥獣の愛がん飼養制度の廃止を貴職におかれて実現され、生物多様性条約締約国会議議長国の名に恥じないご英断をいただきますよう、下記のとおり要望します。
記
以上
野鳥の愛がん飼養目的の捕獲許可の廃止についての要望書 別紙
鳥獣の愛がん飼養制度の経緯と、廃止すべき理由
経緯:
愛がん飼養を目的とした鳥獣の捕獲許可については、昭和32年の鳥獣審議会の答申において「本来は捕獲を禁止すべきものであるが、旧来より飼養の慣行もあるので、制度の運用に当たっては、学術研究、教育参考資料、愛がん飼養のため必要な場合に限り、最小限度においてこれを許可するようにすべきである」とされました。
また、昭和53年の自然環境保全審議会の答申においては、「日本に生息する種類の鳥獣の愛がん飼養を広範囲に認めることは、鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長することとなるおそれがあるので、廃止することが望ましいが、過渡的措置として、次のような規制の強化を図る必要があるとして、飼養のための捕獲の許可基準の厳格化や輸出国の適法捕獲証明書の制度等により、国内産鳥獣の保護に好ましくない影響を与えることのないよう適切な指導を行う必要がある」とされています。(添付資料1)
こうした方針に基づき、愛がん飼養目的の捕獲許可対象種は、昭和25年当時の7種からこれまで漸次削減されてきており、平成19年からは、メジロ1種のみについて、1世帯1羽のみ飼養を認める扱いとされて来ました。(添付資料2)
廃止が必要な理由:
添付資料
| 年度 | 種数 | 種名 |
| 1950(昭和25)年~1979(昭和54)年 | 7 | ヒバリ、ヤマガラ、メジロ、ウグイス、ホオジロ、ウソ、マヒワ |
| 1979(昭和54)年~1980(昭和55)年 | 5 | メジロ、ウグイス、ホオジロ、ウソ、マヒワ |
| 1980(昭和55)年~1999(平成11)年 | 4 | メジロ、ホオジロ、ウソ、マヒワ |
| 1999(平成11)年~2007(平成19)年 | 2 | メジロ、ホオジロ |
| 2007(平成19)年~ | 1 | メジロ |
以上、合計24都道府県が実態としてすでにメジロの捕獲許可を出していない。すなわち、50%を超える都道府県が愛がん飼養をすでに認めていない。しかし、基本的指針に掲載されているという理由で、捕獲許可の対象としている都道府県も存在する。
2011年~2012年 小鳥類の越冬状況について
昨年の12月ぐらいから、「ツグミやシロハラといった冬鳥をほとんど見かけない。」、「エサ台に例年来ていたヒヨドリやメジロも少ない。」といった声を各地から聞きます。また、最近になってマスコミからの問い合わせも受けるようになって来ました。そこで、当会の各地の支部に問い合わせをして情報を整理して見ました。
1.各地の状況
特に例年より少ないという情報の多かった種類は以下のとおりです
ツグミについて
シロハラ
ジョウビタキ
ヒヨドリ、メジロ
また、日頃から観察されている会員の方の印象だけではなく、探鳥会の記録を見てもこの冬小鳥類が少ない様子が見て取れます。定期探鳥会で個体数を記録されている大阪支部の記録を図にまとめて見ました。冬鳥ではシロハラが、留鳥ではメジロが特に少ない状況が見て取れます。一方ヒヨドリは例年の変動の範囲内とも考えられます。

各地で鳥が少ないという中で、情報を寄せていただいた中で最も北の旭川では、例年通りというのが特筆されます。
2.理由等について
冬鳥の越冬数については、通常も年毎の変動が通常も見られ、その際には幾つかの理由がよく言われています。
理由1 繁殖地の気象条件が悪く、繁殖がうまく行かなかった。
ツグミやシロハラ、ジョウビタキの繁殖である極東ロシアや中国東北部で繁殖に悪影響のあるような異常気象は無かったようで、この可能性は低そうです。(気象庁ホームページ、世界の季節の気候より)
理由2 北方や山での秋の実りがよく、まだ食べ物があり、平地や南の地方に来ていない。
ツグミが旭川では例年通りであり、1月中旬以降東北、関東で徐々に見られ出していることから、ツグミについてはこの理由の可能性も考えられます。また、2月になって九州でもシロハラを見かけるようになったというたよりも頂いております。
また、ヒヨドリやメジロも全国で繁殖しますが、冬は暖かい地方へ移動するものも多くやはり、どこか食べ物の条件の良いところにとどまっている可能性があります。大阪市自然史博物館の和田岳氏によるとヒヨドリの移動と液果を食べつくす時期によってその場から移動する場合やその場に留まる場合があるとされています。(和田岳 1999,2000)
3.その他
1)水鳥について
1月に行われた全国一斉のガンカモ類の生息状況調査の各県の速報を見ると、ガンカモ類に関しては、ほぼ平年通りと思われます。また、宮城県ではカモ類の数が少なく、地震による地盤沈下で湿地が増え、分散したためとされています。また、ただ、同じく震災の影響からかクロガモが少ないという情報がいわき支部から届いています。
2)今後
分布の偏りや過去の年との客観的な比較は、全国的な調査結果を待たなければ、はっきりとしたことは言えません。各地の定点で皆様が行われているカウントの結果や定期探鳥会の情報をお送りいただければ、併せて検討したいと思います。また、現在全国の会員の協力を得て、モニタリングサイト1000の森林・草原の越冬期の調査を行なって。結果の集計が出るのはまだ先ですが、冬鳥の状況をその際にはまたお伝えいたします。
参考 連携団体等からの情報
木曽岬干拓地に繁殖するチュウヒの保護に関する要望書を提出
当会は2012年1月30日、国内で約60つがいしか繁殖していない絶滅危惧種のチュウヒが繁殖する木曽岬干拓地における公園化のための埋立て工事を中止し、自然環境の保全に配慮した対応をしていただくよう、三重県知事と愛知県知事に要望書を提出しました。文書は日本野鳥の会三重、日本野鳥の会愛知県支部、名古屋鳥類調査会との連名によるものです。木曽岬干拓地を生物多様性の復元モデル地域およびチュウヒの基幹的な繁殖地として保全し、今後の保全・活用策を再検討していただくという観点から、要望書を提出しました。
日野鳥発第77号
平成24年1月30日
三重県知事 鈴木英敬 様
日本野鳥の会三重 代表 平井正志
日本野鳥の会愛知県支部 支部長 新實 豊
名古屋鳥類調査会 代表 森井豊久
公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 佐藤仁志
木曽岬干拓地の保全ならびに活用について(要望)
東海地方におけるチュウヒの重要な繁殖地である木曽岬干拓地における生物多様性の保全に逆行する工事を中止し、自然環境の保全に配慮した対応をされたく、下記のとおり要望する。
記
〔要望の背景及び理由〕
近年、トキやコウノトリなどの絶滅のおそれのある鳥類の保護への関心が国民的規模で高まっています。2010年は愛知県において生物多様性条約第10回締約国会議が開催され、絶滅危惧種の絶滅と減少の防止についての目標を含む、2020年までの新たな戦略計画である「愛知目標」が国際的に合意されたところです。
同年7月18日に私どもは、絶滅の危機に瀕している猛禽類であるチュウヒの保護について話し合う「チュウヒサミット2010」を開催しました。この催しにおいても、全国から200名以上の参加者があり、チュウヒの置かれている危機的な状況とその保護策に多くの人々の関心が寄せられていることを示しました。
このサミットでは、日本におけるチュウヒは、繁殖数が60つがい程度と非常に少なく、また本州以南の繁殖地はそのほとんどが人からの脅威等により不安定な状態に置かれているという危機的な状況が確認されました。これに対する保護の取り組みとして、イギリスからはミンズミア保護区における近縁種ヨーロッパチュウヒの生息数の画期的復活を実現した事例が、また日本においては秋田県大潟村から、村を挙げてチュウヒの繁殖を保護する「チュウヒの村」実現に向けた取り組みを始めることが発表され、チュウヒの保護のためには積極的な生息地の保全策が有効であることが示されました。
しかしながら、チュウヒの東海地方における重要な繁殖地である木曽岬干拓地では現在、世界や日本で高まっている生物多様性の保全に逆行する工事が進められています。
木曽岬干拓地は、木曽川河口左岸の干潟約443haを農地として利用するため、1966年から干拓工事が始められ、1973年には干陸化されたものの、農業情勢の変化と県境問題により、そのまま放置されてきました。このため木曽岬干拓地には、東海地方では極めて稀な沿海部の湿性草原が復元してきました。日本野鳥の会三重(旧称:日本野鳥の会三重県支部)と愛知県野鳥保護連絡協議会は1993年から鳥類調査を継続し、これまでに隣接する鍋田干拓地を含めて150種以上の鳥類を観察しております。また人がほとんど入らないため、営巣地やねぐらへの人の接近を嫌うチュウヒにとって好適な生息地として継続した繁殖が2001年以来確認され、また冬季にはこの他にも数多くの猛禽類が越冬し、ねぐらを取っていることを確認しています。このように、木曽岬干拓地はチュウヒを始めとする鳥類の生息のために特に貴重な場所であることがわかっています。
これらの事実に基づき、1993年以来、私どもは、貴県に対し数回にわたり、この干拓地をチュウヒの繁殖を軸とした自然復元のモデルとするよう申し入れを行なってきました。しかし、これらの申し入れを貴県当局は真剣に考慮することなく、現在、公園化のための盛り土等の工事を進めています。湾岸道路以南は、工事開始以降も依然チュウヒの複数つがいが継続的に繁殖行動をする状況が辛うじて続いていますが、2009年以降、繁殖の成功は確認されていません。これまでの調査結果から、本来3つがいのチュウヒの繁殖地の環境影響評価の中で代償措置として計画された干拓地南部の約50haの保全区だけでは、一つがいのチュウヒすら繁殖できないことが明らかです。
また、東日本大震災の災禍を受けて、「木曽岬干拓地にメガソーラー基地建設を」といった提案が出されています。自然エネルギー導入促進の必要性を私どもはよく理解していますが、太陽光発電は都市近郊の貴重な平地の自然を犠牲にしなくても行えるはずです。生物多様性の保全上、重要な自然環境を破壊しない立地で行うべきと考えます。
以上
日野鳥発第78号
平成24年1月30日
愛知県知事 大村秀章 様
日本野鳥の会愛知県支部 支部長 新實 豊
名古屋鳥類調査会 代表 森井豊久
日本野鳥の会三重 代表 平井正志
公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 佐藤仁志
木曽岬干拓地の保全ならびに活用について(要望)
東海地方におけるチュウヒの重要な繁殖地である木曽岬干拓地における生物多様性の保全に逆行する工事を中止し、自然環境の保全に配慮した対応をされたく、下記のとおり要望する。
記
〔要望の背景及び理由〕
近年、トキやコウノトリなどの絶滅のおそれのある鳥類の保護への関心が国民的規模で高まっています。2010年は愛知県において生物多様性条約第10回締約国会議が開催され、絶滅危惧種の絶滅と減少の防止についての目標を含む、2020年までの新たな戦略計画である「愛知目標」が国際的に合意されたところです。
同年7月18日に私どもは、絶滅の危機に瀕している猛禽類であるチュウヒの保護について話し合う「チュウヒサミット2010」を開催しました。この催しにおいても、全国から200名以上の参加者があり、チュウヒの置かれている危機的な状況とその保護策に多くの人々の関心が寄せられていることを示しました。
このサミットでは、日本におけるチュウヒは、繁殖数が60つがい程度と非常に少なく、また本州以南の繁殖地はそのほとんどが人からの脅威等により不安定な状態に置かれているという危機的な状況が確認されました。これに対する保護の取り組みとして、イギリスからはミンズミア保護区における近縁種ヨーロッパチュウヒの生息数の画期的復活を実現した事例が、また日本においては秋田県大潟村から、村を挙げてチュウヒの繁殖を保護する「チュウヒの村」実現に向けた取り組みを始めることが発表され、チュウヒの保護のためには積極的な生息地の保全策が有効であることが示されました。
しかしながら、チュウヒの東海地方における重要な繁殖地である木曽岬干拓地では現在、世界や日本で高まっている生物多様性の保全に逆行する工事が進められています。
木曽岬干拓地は、木曽川河口左岸の干潟約443haを農地として利用するため、1966年から干拓工事が始められ、1973年には干陸化されたものの、農業情勢の変化と県境問題により、そのまま放置されてきました。このため木曽岬干拓地には、東海地方では極めて稀な沿海部の湿性草原が復元してきました。日本野鳥の会三重(旧称:日本野鳥の会三重県支部)と愛知県野鳥保護連絡協議会は1993年から鳥類調査を継続し、これまでに隣接する鍋田干拓地を含めて150種以上の鳥類を観察しております。また人がほとんど入らないため、営巣地やねぐらへの人の接近を嫌うチュウヒにとって好適な生息地として継続した繁殖が2001年以来確認され、また冬季にはこの他にも数多くの猛禽類が越冬し、ねぐらを取っていることを確認しています。このように、木曽岬干拓地はチュウヒを始めとする鳥類の生息のために特に貴重な場所であることがわかっています。
これらの事実に基づき、1993年以来、私どもは、貴県に対し数回にわたり、この干拓地をチュウヒの繁殖を軸とした自然復元のモデルとするよう申し入れを行なってきました。しかし、これらの申し入れを貴県当局は真剣に考慮することなく、現在、公園化のための盛り土等の工事を進めています。湾岸道路以南は、工事開始以降も依然チュウヒの複数つがいが継続的に繁殖行動をする状況が辛うじて続いていますが、2009年以降、繁殖の成功は確認されていません。これまでの調査結果から、本来3つがいのチュウヒの繁殖地の環境影響評価の中で代償措置として計画された干拓地南部の約50haの保全区だけでは、一つがいのチュウヒすら繁殖できないことが明らかです。
また、東日本大震災の災禍を受けて、「木曽岬干拓地にメガソーラー基地建設を」といった提案が出されています。自然エネルギー導入促進の必要性を私どもはよく理解していますが、太陽光発電は都市近郊の貴重な平地の自然を犠牲にしなくても行えるはずです。生物多様性の保全上、重要な自然環境を破壊しない立地で行うべきと考えます。
以上
浜中町風力発電所の視察結果
平成21年1月22日
(財)日本野鳥の会 自然保護室
浦 達也
浜中町風力発電所の視察結果について

「今後の環境影響評価制度の在り方について」に関するヒアリングについて、 意見発表を行いました
当会は12月11日に、環境省により東京の三田共用会議所で開催された“「今後の環境影響評価制度の在り方について」に関するヒアリング”において、風力発電事業を環境影響評価法の対象事業とするよう、意見を述べました。
近年、オジロワシをはじめとして国内でも、野鳥が風力発電用風車に衝突死するバードコリジョンの事例が報告されるようになってきました。また、環境影響評価法は平成21年6月で施行後10年が経過し、同法の附則に定められた施行状況の検討の時期を迎えました。当会は以前より、風力発電事業を環境影響評価法の対象事業とすべきであると行政やマスコミ等へ伝えてきましたが、今回、同法の内容の見直し検討のために中央環境審議会総合政策部会に設置された環境影響評価制度専門委員会において、風力発電事業を同法の対象事業とするよう正式にコメントしたものです。
泡瀬干潟・浅海域埋立工事の中止を要請しました
要請文
泡瀬干潟・浅海域埋立工事の中止を要請しました
2011年11月10日、当会は内閣府・沖縄担当大臣と沖縄総合事務局に対し、沖縄総合事務局が10月14日に泡瀬干潟・浅海域埋立工事を再開したことに抗議し、工事を中止するよう要請しました。
要請文は以下のとおりです。
日野鳥発48号
平成23年11月10日
内閣府・沖縄担当大臣 川端達夫 様
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
泡瀬干潟・浅海域埋立工事の中止を求める要請
沖縄総合事務局が、10月14日に中城湾港泡瀬地区沖合い埋め立て(東部海浜開発)事業を再開し、10月28日に干潟・浅海域への土砂投入を開始したことに抗議するとともに、下記の理由により、直ちに工事を中止することを求める。
~ 記 ~
当事業の実施地となっている泡瀬干潟と浅海域は、生物多様性に富む海域であり、干潟は世界基準で選定された重要野鳥生息地(IBA)にもリストアップされている。このため、当会は、他の多くの自然保護と共に、再三にわたって埋め立て事業の中止とこの海域の保全を求めてきた。
本事業は平成21年10月の福岡高裁那覇支部の判決において「経済的合理性がなく、公金支出は認められない」とされており、計画の見直しに当たって相当程度に手堅い検証を求められている。
また本年3月30日の交通政策審議会第40回港湾分科会において環境省は「本港湾計画の対象となる区域は干潟、藻場、サンゴ礁などの貴重な自然環境を有し、トカゲハゼ、クビレミドロ、コアジサシをはじめとして様々な希少動植物が生息・生育している。今回の一部変更により埋立面積が減少するなど、既存の港湾計画より直接的な環境影響が低減しているが、自然環境保全の観点から、埋立ては可能な限り回避する」との意見を述べている。
さらに、来年開催されるラムサール条約締約国会議に対する日本政府の国別報告書案においては、「沖縄県の泡瀬干潟において、人工島を作る大規模な埋立計画が進んでいる等、一部において生態学的特徴の部分的な喪失が懸念されている。」と記述されている。
民主党は、政策集Index2009において、泡瀬干潟埋立事業を例に挙げて、環境負荷の大きい公共事業の見直しや中止、干潟やサンゴ礁の保全を公約として掲げられた。この判断に立ち返り、海域の保全のための根本的な見直しを着手すべきである。
日野鳥発49号
平成23年11月10日
沖縄総合事務局長 槌谷裕司 様
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
泡瀬干潟・浅海域埋立工事の中止を求める要請
沖縄総合事務局が、10月14日に中城湾港泡瀬地区沖合い埋め立て(東部海浜開発)事業を再開し、10月28日に干潟・浅海域への土砂投入を開始したことに抗議するとともに、下記の理由により、直ちに工事を中止することを求める。
~ 記 ~
当事業の実施地となっている泡瀬干潟と浅海域は、生物多様性に富む海域であり、干潟は世界基準で選定された重要野鳥生息地(IBA)にもリストアップされている。このため、当会は、他の多くの自然保護と共に、再三にわたって埋め立て事業の中止とこの海域の保全を求めてきた。
本事業は平成21年10月の福岡高裁那覇支部の判決において「経済的合理性がなく、公金支出は認められない」とされており、計画の見直しに当たって相当程度に手堅い検証を求められている。
また本年3月30日の交通政策審議会第40回港湾分科会において環境省は「本港湾計画の対象となる区域は干潟、藻場、サンゴ礁などの貴重な自然環境を有し、トカゲハゼ、クビレミドロ、コアジサシをはじめとして様々な希少動植物が生息・生育している。今回の一部変更により埋立面積が減少するなど、既存の港湾計画より直接的な環境影響が低減しているが、自然環境保全の観点から、埋立ては可能な限り回避する」との意見を述べている。
さらに、来年開催されるラムサール条約締約国会議に対する日本政府の国別報告書案においては、「沖縄県の泡瀬干潟において、人工島を作る大規模な埋立計画が進んでいる等、一部において生態学的特徴の部分的な喪失が懸念されている。」と記述されている。
民主党は、政策集Index2009において、泡瀬干潟埋立事業を例に挙げて、環境負荷の大きい公共事業の見直しや中止、干潟やサンゴ礁の保全を公約として掲げられた。この判断に立ち返り、海域の保全のための根本的な見直しを着手すべきである。
東北の海辺の保全と泡瀬干潟埋立事業に対する要望
要望書
「東北の海辺の保全と泡瀬干潟埋立事業に対する要望」を
菅総理、枝野内閣府特命担当相、大畠国交相宛に提出しました
2011年4月25日、当会と日本自然保護協会、世界自然保護基金ジャパン、泡瀬干潟を守る連絡会、泡瀬干潟を守る東京連絡会、日本科学者会議沖縄支部、ジュゴンネットワーク沖縄、ラムサール・ネットワーク日本の8団体は連名で、東北地方太平洋沖地震による大震災発生の事態を受けて、「東北の海辺の保全と泡瀬干潟埋立事業に対する要望」を菅直人内閣総理大臣、枝野内閣府特命担当大臣、大畠章宏国土交通大臣宛に提出しました。当会らはこの中で、震災による東北地方の干潟・湿地・砂浜の消失という事態を受け、利用計画に疑問の残る泡瀬干潟の埋立事業を中止し、本年度予算27億3000万円を震災対応費にあてること、沖縄市の東部海浜開発事業を豊かな生物多様性・生態系と共存する自然を活かし、安全性を確保した持続可能なまちづくり計画に改変することを要望しました。
要望書は以下のとおりです。
2011年4月25日
内閣総理大臣 菅 直人 殿
内閣府特命担当大臣 枝野幸男 殿
(沖縄及び北方対策)
国土交通大臣 大畠章宏 殿
公益財団法人日本自然保護協会
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン
公益財団法人日本野鳥の会
泡瀬干潟を守る連絡会
泡瀬干潟を守る東京連絡会
日本科学者会議沖縄支部
ジュゴンネットワーク沖縄
ラムサール・ネットワーク日本
東北の海辺の保全と泡瀬干潟埋立事業に対する要望
[ 東北の干潟・湿地・砂浜の消失と日本の海辺の自然の保全 ]
3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生し、私たちの想像をはるかに超えた東日本大震災を引き起こしました。海岸部では、高さ十数メートルにも達する津波が押し寄せ、町を呑みこみ多くの命が失われました。造成された港や埋立地は地震による液状化現象で大きく破壊され、防護のために築いていた堅牢な堤防や護岸の多くは破壊されました。
津波は、人々の命と生活だけでなく、地域で大切に保全してきた海辺の自然環境にも大きな影響をもたらしました。
例えば、福島県相馬市の松川浦は貴重な潟湖で、干潮時に広がる干潟はシギ・チドリ類など多くの渡り鳥を育んできました。宮城県名取市の閖上海岸は砂浜が広がり、砂浜特有の海岸植物群落が見られ、地元の市民グループがハマボウフウを守り育ててきました。岩手県陸前高田市の高田松原は地域の人々に親しまれてきた2kmに及ぶ松林と砂浜が続く景勝地でした。しかし、これらの干潟、砂浜は津波でほとんど全てが消失してしまいました。
これらの干潟、砂浜は、渡り鳥や海岸植物をはじめ、貝やカニなど多様な生物の生息地であるとともに、地域の人々が海辺の自然とふれあう憩いの場所でもありました。
これからの復興にあたっては、これまでよしとして進められてきた沿岸部の開発や構造物の建設、まちづくりのあり方等、公共事業の概念を根本から見直し、被災地のふるさとの海辺の自然・風景を取り戻すことが、大きな課題です。同時に、日本の干潟や砂浜を中継地として旅をする渡り鳥の生息地の確保も忘れてはなりません。残された東北の海辺の自然を支え、また、今後再生を進めるときのために、東北以外の地域の干潟・砂浜などの海辺の自然を今確実に保全することが、日本の生物多様性保全上重要です。
しかし、沖縄市の泡瀬干潟では、必要性に大きな疑問が投げかけられている埋立事業が進められようとしています。
[ 泡瀬干潟の埋立事業 ]
泡瀬干潟の埋立事業は、2009年10月15日の控訴審で、経済的合理性がないとして公金支出差し止めの判決を受けました。その中で、今後沖縄県や沖縄市が事業を続行するために計画を作り直す場合も、新たな土地利用計画に経済的合理性があるか否かについては、従前の土地利用計画に対して加えられた批判を踏まえて、相当程度に手堅い検証を必要とすると指摘されました。
その後、沖縄市は独自に新たな利用計画案を作成し、内閣府沖縄担当大臣に提出、国は即座に沖縄市案を認め、事業の推進を認めました。
しかし、新たな沖縄市案は、控訴審判決で命じられた経済的合理性についての検証が十分なされていません。なぜなら、沖縄市案は市民への情報公開と説明責任がなされず、また、市民意見を聞くことも全くなされなかったからです。さらに、国土交通省の交通政策審議会港湾分科会で、環境省から「埋立ては可能な限り回避するとともに、当該区域を埋め立てる場合には、自然環境への影響を最小限に抑える必要がある」と厳しい意見がつけられました(2011年3月3日)。その意見に対しての対応も何も示されていません。
一方沖縄島では、島を取り囲むように形成されたサンゴ礁や、礁池に発達した干潟や藻場、海岸部の海岸林が、台風時などは強大なエネルギーで押し寄せる風雨や波浪の緩衝地帯として機能し、後背の人々の暮らしを、自然の猛威の直撃から守ってきました。泡瀬干潟の埋立事業は、これら自然の防波堤を壊すものであることから、私たちは本事業のあり方に異議を唱えてきました。
昨年わが国で開催された生物多様性条約COP10でも、生物多様性、自然がもたらす生態系サービスの重要性が強く認識され、生物多様性と共存した持続可能な社会を構築することが、人類の責務であることが確認されました。
被災地と被災された人たちの生活の復興とその支援が、何よりも優先されねばならない国家事業であり、私たちの願いでもあります。復興のための財源は、既に策定された平成23年度の公共事業予算を大幅に改編して確保されなければなりません。
以上を踏まえ、私たちは、次の3点を要望します。ぜひ早急に対応くださるようお願い申し上げます。
以上
[ 泡瀬干潟の埋立事業 ]
泡瀬干潟は、陸から沖に続く干潟、海草藻場、砂洲、サンゴ群集、水深5m前後の潮下帯といった一連の多様な環境から成り立ち、それらがバランスを保ちつつ極めて高い生物多様性を育んでいるのが特徴である。そのため、第Ⅰ区域を埋め立てる沖縄市の見直し案は、泡瀬干潟の生態系を分断し、豊かな生物多様性を破壊するものである。
埋め立て事業の進む第Ⅰ区域には多種のサンゴが生息し、この海域で新たに確認された海草・藻類が生育している。埋め立てにより、それらの貴重な命が失われるだけでなく、種の存続にも大きな影響を与える可能性がある。
事業を中止した第Ⅱ区域は、干潟の活用・保全を図るとしているが、既に建設された第Ⅰ区域の護岸だけでも、環境影響評価では予測されていなかった地形変化(砂洲の変形)や海草藻場の大規模な消失、サンゴ群集の劣化が起こるなど、大きな影響が出ている。







