プレスリリース 2012.09.07

2012年9月7日

世界で初めて、トモエガモの渡りルートを解明

 加賀市と(公財)日本野鳥の会は、2012年1月より、トモエガモの渡りルート調査に着手し、世界で初めて、そのルートを解明した。絶滅危惧種トモエガモは、分布が極東アジアのごく狭い範囲に限られ、日本国内の分布域も狭いことから、これまで渡りのルートや繁殖地はわかっていなかった。(公財)日本野鳥の会は、トモエガモの国内最大の越冬地・片野鴨池で捕獲した個体に衛星用発信機を装着し追跡することで、同種が中国とロシアの国境、アムール川流域を経由し、北極圏に到達するまでのルートを解明した。今後、渡りの中継国(ロシア・中国・韓国)と連携し、国際協力による保護活動の実現が期待できる。

トモエガモについて Baikal Teal (Anas formosa) 

絶滅危惧Ⅱ類(VU)
 全長40cmほどの小型のカモで、ロシア極東部で繁殖し、日本、韓国、中国で越冬する。過度の狩猟圧などのため激減し、一時期は推定総個体数75000羽まで減少したが、その後韓国での越冬個体が増加し、現在の推定個体数は50万羽とされる。しかし、日本で越冬する個体数は回復しておらず、依然として絶滅が心配される。日本で越冬するトモエガモの約半数が石川県加賀市の片野鴨池に飛来する。ここには、日本野鳥の会のレンジャーが管理運営を担う、加賀市鴨池観察館があり、トモエガモの保護を進めている。


解明された渡りルート

 2012年7月初めまでに4個体中2個体の渡りルートを追跡した。個体(ID113087)は4月8日に渡りを開始し、10日にはアムール川に近い中露国境付近で確認され、5月16日まで約1か月間同地点に滞在した。その後は移動を繰り返し、6月10日に東シベリア海から内陸に100㎞ほど入ったフロムスカヤ湾のフロマ川河口部の湿地帯に到達した。個体(ID113085)も類似しており、6月18日にインディギルガ川河口部の湿地帯に到達した。両個体とも、7月12日時点でも、それぞれの最終到達地に滞在しており、その周辺が繁殖地である可能性が高い。



調査方法

 加賀市の伝統猟法である投げ網猟「坂網猟」をもちいて4個体を捕獲し、重量9.5gの太陽電池式送信機solar PTT-100(Microwave 社製)を装着、放鳥した。送信器は10 時間送信/48 時間休止と10 時間送信/24 時間休止の2通りの送信間隔を各2台ずつ、計4台に設定した。


今後の保護活動の展望

 トモエガモの渡りの中継地・繁殖地を明らかにすることで、中国やロシアの重要な湿地が特定でき、現地の関係者を通じた国際協力による保全の実現と、同種の渡り・繁殖に関する生態など新たな知見が得られることが期待できる。

【本件のお問合せ先】
〒922-0564 石川県加賀市片野町子2-1
加賀市鴨池観察館 電話:0761-72-2200 FAX:0761-72-2935
[email protected]

プレスリリース 2012.09.02

2012年9月2日

三宅島のサンゴ、今年も健全な状態を確認
~三宅島で9回目のリーフチェックを実施~

主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:スナッパー・ダイビングセンター

 2012年9月1日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館、コーラル・ネットワークとスナッパー・ダイビングセンターが共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷のカタン崎のサンゴ群集である。
 調査を実施した結果、富賀浜では、調査範囲の50%程度がサンゴに覆われていた。昨年よりサンゴが微減していたが、例年と変わらず健全な状態であった。カタン崎においても昨年より微減したものの40%以上がサンゴに覆われ、健全な状態であった。
 また、富賀浜とカタン崎の両方でサンゴ食の巻き貝を確認し、食害も認められ、今後の推移を見守っていく必要があるが、早急に駆除すべき状況ではなかった。

※リーフチェックとは
 サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。

1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法


調査風景(富賀浜)

 三宅島では1998年より調査を開始し、以後99年、05年、06年、08年、09年、10年、11年と8回調査が行われ、今回の調査は9回目となる。
 今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、日本生態系協会の職員1名、スナッパー・ダイビングセンターのインストラクター1名、明治学院大学ダイビングサークルの大学生1名、島内のボランティアダイバー1名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ3名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜と伊ヶ谷のカタン崎を調査した。
 世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで100mのラインを設置し、ライン上のサンゴの状態を観察した。あわせて、周辺の魚やエビ、ウニなどの決められた生き物の数を記録した。

 

2.調査結果


富賀浜のテーブルサンゴ状サンゴ群集

(1)富賀浜
 テーブル状のサンゴを中心に、50%程度が造礁サンゴに覆われていた。昨年と比べると微減し、海藻類が減少したものの、大きく環境が変化したものではなく、健全な状態を保っていた。
 台風の影響と思われるテーブル状サンゴの破損が見られ、被覆状のサンゴが増えていた。
 オニヒトデの食害は見つからず、オニヒトデも確認されなかったものの、サンゴ食の巻き貝による食害がみられ、
そこにまとまった数の巻き貝も確認された。ただし、早急に駆除すべき状況ではないと考えられる。
 サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られたほか、イセエビも確認できた。また、ナガウニが例年と比べ、多く確認された。



カタン崎の造礁サンゴ群集と調査ライン

(2)カタン崎
 テーブル状のサンゴを中心に、40%以上が造礁サンゴに覆われ、良好な状態にあった。富賀浜同様に、昨年と比べると微減し、海藻類が減少したものの、健全な状態を保っていた。オニヒトデは全く見られず、オニヒトデと疑われる食害も確認されなかった。
 サンゴ食の巻き貝が見られ、食害も少し確認された。
 サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物も例年どおり見られたほか、オトヒメエビが確認できた。

3.総評(鈴木倫太郎博士 【日本生態系協会】 コメント)

 富賀浜の調査範囲の北側にあるテーブル状サンゴ群集は例年通り良好な状態で保たれており、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。しかし、台風の影響によるものと思われるテーブル状サンゴの破損が見られ、代わりに被覆状のサンゴが増えるなど、種の構成が若干変わった印象があった。今後もその推移を見守っていく必要がある。カタン崎の造礁サンゴ群集の状態は昨年より良くなっている。これは数年前に見られた泥状の沈殿物が見られなくなっており、サンゴの良好な生息環境として安定してきているためと考えられる。
 オニヒトデは、どちらも調査の範囲でも確認されず一安心であった。ただし、サンゴ食の巻き貝は富賀浜とカタン崎でそれぞれ確認され、食害も確認された。早急な駆除は必要ないものの、今後の推移を見守っていきたい。

4.参考リンク

「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「スナッパー・ダイビングセンター」http://www.snapper-d.com/

プレスリリース 2012.08.23

2012年8月23日

都立葛西臨海公園での2020年東京オリンピックカヌー競技場建設の
変更要望書提出を招致委員会と都知事に提出しました

日本野鳥の会東京
公益財団法人日本野鳥の会

 日本野鳥の会東京(代表:中村一也と公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万人)は8月23日、2020年に開催されるオリンピックの東京招致計画に関し、葛西臨海公園カヌースラローム競技場建設計画の変更を求める要望書を8月23日付けで東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会と都知事宛に提出しました。

<要望内容の概要>

  1. 開園から23年を経過した都立葛西臨海公園は多様な生態系が形成されているが、競技施設の建設によりこれが失われることとなる。
  2. 葛西臨海公園の豊な生物多様性からもたらされる都区民のかけがえのない憩いの場・自然との触れ合いの場を奪うことになってしまう。
  3. 短期間のオリンピック開催と利用者が限定される恒久施設のために、四季を通じて楽しめる住民の憩いの場が消滅してしまうという事態は、都民にとって大きな損失である。
  4. 東京湾岸には、未利用な土地があり、葛西臨海公園以外にも建設用地として利用可能な場所が存在することから計画の変更を求める。

参考

計画の概要 
2016年立候補ファイルより
2020年招致ファイルより

平成24年8月23日

東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会
理事長  竹田 恆和  殿

日本野鳥の会東京 代表 中村 一也
〒160-0022東京都新宿区新宿5-18-16新宿伊藤ビル3F
 Tel: 03-5273-5141 Fax: 03-5273-5142
公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
 Tel: 03-5436-2620 Fax: 03-5436-2635

都立葛西臨海公園での2020年東京オリンピックカヌー競技場建設
の変更についての要望書

 東京都は2016年に引き続き、2020年のオリンピック開催を表明し立候補されました。
貴委員会が先にIOCに提出された資料によりますと、前回の立候補時と同様、江戸川区の葛西臨海公園西側一帯にカヌー(スラローム)競技場を建設されることになっています。
 カヌー競技場はオリンピック終了後もカヌーやラフティングの施設として残す計画となっておりますが、その結果、同公園の鳥類園・水族園・大観覧車・ホテルシーサイド江戸川などを除く地域の約半分が競技場施設になってしまいます。
 私たちはオリンピックの東京招致に反対するものではありません。
 しかし、この件に関して、多くの都民が当建設計画の内容や問題点を知らないこと、また、葛西臨海公園建設の経過、新しい自然生態系の形成や保全を目指して整備されている経緯などからも、臨海公園の環境改変については十分に配慮して頂く必要があります。
 当会は、以下の理由により葛西臨海公園へのカヌー競技場建設には反対し、都または区の遊休地など別の適した場所への計画変更を求めます。

建設予定地の変更を求める理由

  1. 競技場建設予定地の豊かな自然環境を破壊する
     葛西臨海公園は開園から23年を経過し、土壌も植生も豊かになり、海・池・湿地・草原・林など変化ある環境に恵まれ、多様な生態系が形成されています。建設予定地(公園西側)だけに限っても、地元「葛西東渚・鳥類園友の会」の今迄の観察によると、鳥類(山野の鳥)76種、昆虫140種、クモ80種、樹木91種、野草132種を記録しています。また、トラツグミ、チョウトンボ、コガネグモ、ウラギクなど東京23区では絶滅危惧種に指定されている生物26種も確認しています(資料1)。競技施設の建設によりこのように、都内屈指の豊かな自然環境が破壊される(生物多様性が失われる)のを看過ごすことはできません。
  2. 都区民のかけがえのない憩いの場・自然との触れ合いの場が消滅する
     葛西臨海公園には昨年(平成23年)は320万人の行楽客が訪れています。
     建設予定地(公園西側)は海を見下ろしながらくつろげる地域で、家族で食事が楽しめるバーベキュー広場、歌手のコンサートや江戸川よさこいmyフェスタなどのイベントが行われる汐風の広場、松林や池・谷筋の散歩道、桜並木の中を通るサイクリングロードなどが在り野鳥の会探鳥コースにもなっており、競技施設の建設は都区民のかけがえのない憩いの場や1.で述べた豊かな自然と触れ合う場を奪うことになってしまいます(資料2)。
     今回の計画通り、競技場が建設されると、これらの場所の全域または一部が利用できなくなり、高さ9m長さ400mのコンクリートのコースや12,000席のスタンドは海風をさえぎり、公園からは海が見えず、なぎさ側からは公園が見えなくなるなど、臨海・海浜公園としての景観が壊れてしまいます。
     短期間のオリンピック開催と利用者が限定される恒久施設のために、四季を通じて楽しめる住民の憩いの場が消滅してしまうという事態は、都民としては納得できません。
  3. 他に適した候補地が存在する
     葛西臨海公園は、上記1、2に示したように、豊かな自然環境が育ち、区民を始め住民にとってかけがえのない場所となっています。
     一方、カヌー競技場は、たとえば中央防波堤埋立地内の未利用もしくは未建設地のなどに建設されても、機能的な面、交通の便などから、葛西臨海公園と同等と考えらます。このことは、前回とは異なる状況で、計画変更の対象となる案件だと思います。

添付資料(1)・(2)

プレスリリース 2012.06.21

2012年6月21日
公益財団法人日本野鳥の会
ウトナイ湖サンクチュアリ

「(株)もりもと」より、商品売上の一部を
ウトナイ湖サンクチュアリへ寄付いただく ことになりました。

このたび、「株式会社もりもと」(北海道千歳市/和洋菓子・パン製造小売業)より、 同社の主力商品である「ハスカップジュエリー」の売上の一部を当会ウトナイ湖サンクチュアリへ寄付いただくことになりました。商品に使われているハスカップ(クロミノウグイスカグラ)が勇払原野の自生種を移植したものであることから、同地域の保全活動を進める当サンクチュアリへのご支援につながったものです。


詳細は、こちらの共同プレスリリース資料(pdf)をご参照ください。

プレスリリース 2012.06.08

2012年6月8日

日本野鳥の会が知床地域で広葉樹2,000本の植樹を実施
~シマフクロウがすめる森を目指し、知床地域で3年間に広葉樹6,000本の植樹を完了~

 公益財団法人 日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数:約5万人)は、知床地域のシマフクロウ生息地を保全するため、本年6月5日から6月7日の期間に、当会が設置した「持田野鳥保護区シマフクロウ知床(2009年設置)」内の森林伐採跡の裸地約1haに、ミズナラ・ハルニレ・イタヤカエデ・カツラの4種類の広葉樹2,000本を植樹しました。
 この植樹活動は、当会が進める「シマフクロウの森を育てよう!プロジェクト(以下、同プロジェクト)」の一環として、全国の企業や個人から1区画25万円の協賛金を募集して実施している植樹プログラムです。同プロジェクトは、2009年に根室地域の野鳥保護区で始動し、2010年からは知床地域で進めてきました。今回、残る裸地に広葉樹2,000本の植樹を実施したことで、知床地区で広葉樹6,000本の植樹が完了しました。今後、植樹した苗木はシマフクロウがすめる未来の「森」に育つよう、継続して管理を行っていきます。
 当会では、シマフクロウをはじめとする希少な野鳥の生息地の保全を進めるとともに、植樹などの森づくりを通して、森林内の生物多様性を向上させる活動を推進しています。百年先にシマフクロウがすめる森を目指して、継続して適正な管理を行なうことにより、豊かな森林環境を復元していきます。

シマフクロウの森を育てよう!プロジェクトについて

 百年先、シマフクロウが住める森を目指して伐採跡地や放牧跡地へ植樹を行ない、生物多様性に富んだ森をつくります。また、同時に森林を育てることで二酸化炭素を吸収させるという、当会独自のプロジェクトです。
当プロジェクトは、
①森林内の生物多様性の向上
②森林の育成による二酸化炭素吸収の促進
③希少種のシマフクロウの保護
の3つの効果を同時に進めることを目標に、2009年からスタートしたものです。
(詳しくはホームページ http://www.wbsj.org/nature/hogoku/fishowl/index.html
日本野鳥の会TOP→当会の活動→自然保護→野鳥保護区→シマフクロウの森を育てよう!プロジェクト

Tシャツを買ってシマフクロウの森を育てよう!2012 ~キャンペーン「千人の森」2012~

 「シマフクロウの森を育てよう!」プロジェクトでは、Tシャツ1枚(2,980円)の 売上のうち250円が、同プロジェクトに寄付されるという”キャンペーン「千人の森」2012″を実施しています。千人の方がこのTシャツを購入されることで、知床地域のシマフクロウ保護区にある植樹地(20区画)のうちの1区画で、植樹とその後の管理を行うことができるというものです。「プロジェクトには共感しているけれど、一人で1区画分を寄付するのは難しい」という方々の想いを1,000人分集めて1区画分にしよう!という企画で、昨年に実施した同キャンペーンでは、1,000人の方から暖かいご支援をいただきました。今年も、5月31日時点で、すでに428名の方がTシャツを購入されており、引き続き1,000人を目指して賛同をお願いしたいと考えています。Tシャツを通じて集まった「千人」の想いが、シマフクロウが生息する未来の知床の「森」を育てていきます。
 Tシャツには村上康成氏デザインのプロジェクトロゴマークがプリントされています。また、右裾のタグには、シマフクロウの森づくりに協力した1,000人のうちの1人である証として、0001~1000までのひとりひとり異なるシリアルナンバーがついています。

●「千人の森キャンペーンTシャツ」
寄付つきTシャツ「千人の森」 販売価格:2,980円(税込)
左)男女兼用(パープル)、右)婦人用ブラウン
Tシャツのイラストは、日本野鳥の会のシマフクロウ保護事業のシンボルマーク。子どもから大人まで人気の絵本作家の村上康成氏の作品です。

●Tシャツに付いている
シリアルナンバータグ


●「千人の森キャンペーン」と「Tシャツ」についてのお問い合わせは
公益財団法人 日本野鳥の会 普及室 販売出版グループ
TEL:03-5436-2626  FAX:03-5436-2636  メール:[email protected]

オフセット・クレジット(J-VER)制度を活用した復興支援に係る事業者支援に採択されました

 「シマフクロウの森を育てよう!プロジェクト」では、将来のシマフクロウの生息地作りや生物多様性の向上、CO2の削減(吸収)のために、北海道東部で苗木を植え、森を育てています。しかしその際にも、植樹地の整備、苗木の運搬、下草刈りなどさまざまな場面で機械や車両を使用し、CO2が発生します。
 そこで、このプロジェクトで発生するCO2をオフセットするために、環境省が公募する「被災地産J-VER 等を活用したカーボン・オフセット認証取得に係る事業者支援事業」に応募しました。これは、自分たちが出したCO2を東日本大震災の被災地から生まれた排出権(オフセット・クレジット)で相殺するというしくみで、シマフクロウ生息地の失われた自然を回復するためのプロジェクトが、被災地の復興支援にもつながります。この”人と、環境にやさしい植樹”というユニークな取り組みが評価され、今回、支援事業の一つとして採択されました。

第三者評価のある協賛型植樹プログラム

 当プロジェクトでは、植え付けや植樹後5年間の管理経費を「協賛金」の形で企業や個人から募集し、森づくりを実施しています。この協賛は、区画単位(広葉樹100本/1区画)でお願いし、ご協賛いただいた企業や個人には、植樹証明書を発行しています。現在、現地に駐在するレンジャーが、定期的な巡回による細やかな観察のもと、適切な管理を継続して行っています。
 これら一連のプロジェクト活動は、(社)環境プランニング学会(会長:山本良一、東京大学名誉教授)から第三者評価を受けています。苗木は、生物多様性を乱さないものが選択されているか、植樹作業に伴う廃棄物の処理などは適切か等を、同学会から現地調査を含む監査を受けています。2011年に実施した根室地域、及び、知床地域での本プロジェクトは、監査の結果、同学会からの「優良」との評価を得ています。
国内でもさまざまな植樹プログラムが行なわれていますが、このような第三者評価を受けているものは多くありません。

2012年の植樹について

 知床地域のプロジェクト実施地において、2012年6月5日から6月7日に植樹を実施しました。植樹を行ったのは、当会が2009年に設置した「持田野鳥保護区シマフクロウ知床」(面積15ha)の一部に残された森林伐採跡の裸地です。今回の植樹では、この保護区内の裸地1haに、地域内で採種・育苗されたミズナラ・ハルニレ・イタヤカエデ・カツラの4種類の広葉樹を各500本ずつ植樹しています。なお、シマフクロウの保護上、保護区の位置や植樹場所については公表していません。

野鳥保護区事業について

 野鳥の生息地の保全を目的として、当会では「野鳥保護区」を設置しています。これまでに北海道東部を中心に33か所、2938.9haを買い取りや協定により確保してきました。これは東京ディズニーランドが59個入る大きさで、国内の自然保護団体が設置した保護区としては最大級の面積になります。この土地の買い取りの財源は、会員をはじめとする方々からの寄付で成り立っています。当会の最初の野鳥保護区は、1987年に根室に設置したタンチョウ営巣地の営巣地7.6haでした。それ以降、タンチョウ営巣地を中心に順次拡大を続け、タンチョウ保護では一定の成果が得られたため、2004年からシマフクロウの生息地の買い取りも開始しました。野鳥保護区が集中する北海道東部では釧路地区と根室地区に事務所を置き、当会の専従職員を常駐させ、保護区の巡回監視にあたっています。

持田野鳥保護区シマフクロウ知床について

 2009年2月に購入した知床地域の山林、面積15ha(151,476㎡)で、この周辺ではシマフクロウ1つがいの繁殖が確認されています。知床半島は、国内で最も多くのシマフクロウが生息する重要な地域です。半島の先端側の約半分が国立公園や世界自然遺産として保護されているものの、それ以外のほとんどは法的な保護がされていません。当野鳥保護区も、半島内ではありますが法的保護がされてない地域であり、今後もこの地域を対象に野鳥保護区設置を進める計画です。

シマフクロウ Ketupa blakistoni blakistoni について

シマフクロウの生息分布
この他、大陸に亜種マンシュウシマフクロウが生息している

 シマフクロウは極東地域に狭い分布域をもち、我が国では、北海道および北方領土に生息しています。全長70㎝、翼を広げると約180cmの世界最大級のフクロウです。河川および湖沼で魚類やカエルなどを捕食し、広葉樹の大木の樹洞に営巣します。20世紀初頭までは、北海道全域に分布していましたが、森林伐採による営巣木の減少と河川改修によるエサの魚類の減少等により、現在、北海道東部を中心に約140羽50つがいほどが生息しているに過ぎません。
 また、現生息数の約半数が知床に生息し、残りが日高地域、根室、十勝地域に散在して生息しています。知床地域以外では人による、なんらかの手助けにより生息が維持されている状態がほとんどです。釣り人や心ない撮影者などにより、採食や営巣が妨害されている生息地もあります。人間の生活圏に近い場所では交通事故や感電事故に遭って死んだり、生息地が分断・孤立化していることにより、繁殖地から巣立った若い個体がうまく分散できず、近親交配が起こりやすい状態にあります。

<シマフクロウの保護指定状況>
・絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法) 「国内希少野生動植物種」
・文化財保護法 「天然記念物」
・改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物‐レッドデータブック‐ 2 鳥類 「絶滅危惧IA類(CR)」
・IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト 「EN C2a(i)」


公益財団法人 日本野鳥の会について (詳しくはホームページ http://www.wbsj.org

 自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国5万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。

・創設:1934年  ・創設者:中西悟堂  ・連携団体:全国90団体
・2011年4月、「財団法人日本野鳥の会」は「公益財団法人日本野鳥の会」へ改称しました。

<野鳥や自然を大切に思う心を伝えます>

  • 全国10か所のサンクチュアリやバードプラザを訪れる、年間約30万人に野鳥や自然のすばらしさを伝えています。
  • 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。
  • バードウォッチングの指導・案内のできる人材の育成を進めています。
  • <野鳥や自然を守ります>

  • 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として保全しています。現在、保護区の面積は33か所、2938.9haで、自然保護団体としては国内最大級です。
  • 鳥類の生息地として保全が急がれる場所を明確にするため、国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(IBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行ない、保全の推進、ネットワーク化を行なっています。
  • <公益財団法人です>

  • 日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し「特定公益増進法人」として所得控除や損金算入等の税制上の優遇措置が設定されています。

  • 本リリースの配布先

    ・環境省記者クラブ
    ・環境記者会
    ・根室市役所記者クラブ

    公益財団法人日本野鳥の会
    (本件に関するお問い合わせ)
    野鳥保護区事業所
    担当:松本 潤慶(まつもと じゅんけい) 小畑 拓也(おばた たくや)
    〒086-0074 北海道根室市東梅115-1 TEL/FAX:0153-25-8911  携帯電話:080-1179-2786
    メール:[email protected]
    (協賛申し込み先)
    保全プロジェクト推進室
    担当:田尻 浩伸(たじり ひろのぶ) 竹前 朝子(たけまえ あさこ)
    〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル TEL:03-5436-2634 FAX:03-5436-2635
    メール:[email protected]


    図.森林内における生物多様性向上のイメージ


    図. 千人の森キャンペーン区画に設置したTシャツ型看板
    ※プレス用に以下のサイトに掲載されている写真をお使いいただけます。
    >>画像ダウンロード先 URL: http://yacho-hogoku.seesaa.net/


    図.森林伐採跡の裸地(植樹実施地)


    図.持田野鳥保護区シマフクロウ知床

    プレスリリース 2012.05.09

    2012年5月9日

    バードウィークに因み、日本野鳥の会は
    近年減少傾向にあるツバメの目撃情報を広く呼びかけます。
    併せて原発事故による放射性物質の影響も調べます。

     ツバメは、誰もが知る身近な夏鳥です。しかし近年、ツバメは全国的に減少傾向にあり、その数は40年前の半分になったというデータもあります(※1)。
    その背景には、農業の衰退により採餌場である水田や畑の減少及び宅地化の進行、河川の護岸化、巣作りができる軒のある日本家屋の減少などがあります。

     昨年3月に起きた福島第一原子力発電所での放射性物質の漏出事故により、警戒区域内で高濃度の放射性物質に汚染されたツバメの巣が発見され(※2)、チェルノブイリ原発事故の例(※3)のように泥を巣材とするツバメへの放射性物質の影響も心配されます。また、現在議論が進むTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加により、外国産の農作物の需要が増し、国内においてさらに耕作放棄地が増える可能性も懸念されます。
     古来よりツバメは、日本人の農山村の営みの中で共存してきた「人と自然との共存を象徴する野鳥」です。ツバメの減少は、私たち日本人の暮らしが大きく変わってきていることを物語っています。

     そこで、ツバメのおかれた現状を明らかにし、その背景にどのような減少原因があるのか把握することを目的に、(公財)日本野鳥の会(会長:柳生博,会員・サポーター数:約5万人)は、バードウィークを機に広く国民にツバメの目撃情報について協力を呼びかけます。お住まいの周辺にツバメはいるのかいないのか、昔に比べてその数はどう変化しているのかを是非お知らせください(※4)。また、当会会員及び支部を通じて、放射性物質による影響についても情報を収集していきます。
     寄せられた情報は、日本野鳥の会のホームページを通じて、広く公開していきます。
     なお、この調査に併せて、ツバメの生活史を紹介した小冊子『消えゆくツバメ』を無料でプレゼントいたします。ぜひお問い合わせください(※5)。

     私たちの暮らしと共にあったツバメを、私たちの力で守っていきましょう。

    本件に関するお問い合わせは
    公益財団法人 日本野鳥の会
    担当:自然保護室 山本 裕  [email protected]
       会員室   篠木秀紀  [email protected]
    〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
    TEL:03-5436-2632  FAX:03-5436-2635  http://www.wbsj.org

    補足説明資料

    ■ツバメについて
    ※1:ツバメの減少傾向について
    ※2、※3:ツバメへの放射性物質の影響について
    ※4:広く一般に呼びかけたツバメの調査について
    ※5:ツバメの小冊子『消えゆくツバメ』について
    ■バードウィークについて
    ■公益財団法人日本野鳥の会について

    ツバメについて

     ツバメは、全長17㎝程度、長く切れ込みの入った尾が特徴。ユーラシア大陸と北米の広い範囲で繁殖して、冬季は熱帯に渡って過ごします。日本では種子島以北の日本全土に夏鳥として渡来します。北海道では南部をのぞき、その数は少ないです。
     ツバメはめったに地上に降りることはなく、餌とする昆虫(ハチ、ハエ、アブ、トンボなど)といった昆虫を空中で飛翔しながら捕食します。また、飛翔しながら水面をひっかくように口を開けて水を飲みます。
     繁殖期は4月から8月で、一夫一妻で年に1回から2回繁殖をします。巣立ち後、数日間は巣の近くにいて、親から餌をもらいます。2週間ほどたつと、親から離れて、水辺のヨシ原などで、集団で夜を過ごすようになります。集団ねぐらは数千~数万羽になることもあります。東京近郊では6月中旬ごろから集団ねぐらに集まるようになり、7月下旬~8月上旬が最大になります。
     8月頃から10月頃に東南アジアに渡っていきます。


    水田を飛翔しているツバメ(写真/佐藤信敏)

    ※1:ツバメの減少傾向について

    ●図A.環境省データ

    環境省が行ったツバメの繁殖分布調査によると、1974年-1978年と1997年-2002年の調査結果を比較すると全国的に減少傾向にあることがわかります(図A)。
    出典:環境省HP


    http://www.biodic.go.jp/reports2/6th/6_bird_species/pdf/tsubame.pdf

    図B.石川県データ

    石川県健民運動推進本部が昭和47年から行っている『ふるさとのツバメ総調査』によると、1972年(昭和47年)の調査開始時と比較して、2007年(平成19年)には成鳥の確認数が約半数まで減少しています。また、比例するように石川県の耕地面積も約3割減少しています(図B)。


    出典:石川県HP「第39回ふるさとのツバメ総調査結果」と農林水産省HP「耕地及び作付面積統計・石川県」より作成

    図C.大阪府吹田市データ

    NPO法人すいた市民環境会議が1998年と2010年に営巣数を調べた結果を比較すると、2010年には3分の1にまで減少しています(図C)。


    出典:環境省HP 出典:NPO法人 すいた市民環境会議 調べ

    ※2、※3:ツバメへの放射性物質の影響について

     2012年3月23日には、環境省自然環境計画課により、福島第一原子力発電所から約3キロ離れた福島県大熊町にある建物の壁で採取したツバメの巣から、1キログラム当たり約140万ベクレルの放射性セシウム(セシウム134と137の合計)を検出したことが発表されました。
     1986年に発生したチェルノブイリ原発事故では、放射性物質の影響により、ツバメに部分白化や尾羽の不均一な個体が生じたことや、放射線量の多い地域では雛の数が少ないなどの現象が報告されています。
     その調査では「部分白化」と呼ばれる、色彩異常を起こしたツバメの割合が、汚染地域周辺ほど高いことがわかっています。調査結果によると、羽色を鮮やかに保つのに使われる「カロテノイド」という色素をもつ鳥が、地味な羽色の鳥に比べて大きく減少していることが分かりました。また、オレンジ色と茶色の羽色に使われる「フェオメラミン」という色素に対し、放射線物質量が強い影響を与えることがわかりました。

    (写真/Timothy Mousseau)

     非汚染地域に比べツバメの親鳥の生存率が下がり、繁殖していない個体の割害が増えました。また、1巣あたりの産卵数や孵化率が低下したことで、ヒナの数も減りました。同時に、ツバメの血しょうや肝臓、卵の中の抗酸化物質が低くなっていることもわかりました。放射線量が高い地域の個体ほど、精子の奇形率が高いこともわかっています。
     今後、福島の原発事故でも同様の異常が生じる可能性があり、全国的な規模でこれらの状況を把握しておく必要があります。
     2の出典:環境省自然環境計画課の調査結果/3月23日発表による
     3の出典:(公財)日本野鳥の会 会誌『野鳥』2011年7月号 特集記事

    ※4:広く一般に呼びかけたツバメの調査について

    <ツバメの目撃調査について>
     この調査は、ツバメの置かれている状況を、インターネットや配布するツバメ小冊子等を通じて情報を集め、得られた情報を分析し、公表するものです。
     広く一般のみなさんに参加を呼びかける「わたしの町のツバメ情報(一般目撃調査)」と、主に当会会員から情報提供をいただく「ツバメの営巣環境調査(詳細調査)」に分かれています。「わたしの町のツバメ情報」はどなたでも参加できるかんたんな調査で、ツバメの目撃や営巣、周辺の環境について情報を募るものです。当会会員や関心の高い方に呼びかけて行う「ツバメの営巣環境調査」は、ツバメの営巣状況の把握と併せて、放射性物質がツバメに影響を与えているかどうかを調べます。

    <調査参加方法について>
     調査については、5月10日から当会ホームページに開設する「ツバメ特設サイト」にアクセスいただき、入力後送信していただくか、「ツバメ特設サイト」にある調査用紙のPDFファイルをダウンロードいただき、ファックスや郵送で当会まで送付していただきます。
     また、小冊子『消えゆくツバメ』巻末のハガキにある「わたしの町のツバメ情報」の調査事項を記入して返送すると、誰でもツバメ調査に参加が出来る構成となっています。
     ※調査項目については別添資料をご参照ください。

    ※5:ツバメ小冊子『消えゆくツバメ』について


    写真.ツバメ小冊子

     ツバメについて多くの方に知っていただくため、小冊子『消えゆくツバメ』1万部を無償で配布します。
     この小冊子は、ツバメが現在直面している問題や、ツバメの生態的特徴などを、美しい写真、図表を使用して、分かりやすく解説しています。巻末のハガキを使って誰でもツバメ調査に参加が出来る構成となっています。
     報道関係各位におかれましては、告知・報道へのご協力をお願いいたします。

    ≪申し込み先≫
    ①住所 ②氏名 ③電話番号
    *可能であれば、④どこでこのプレゼント企画をご覧になったか
    を明記して、次のいずれかの方法で「ツバメ小冊子プレゼント」係
    にお申し込みください。

    • 電話:03-5436-2630
    • FAX:03-5436-2636
    • ハガキ:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
    • 公益財団法人日本野鳥の会 ツバメ小冊子プレゼント 係
    • ホームページ:当会ホームページ(http://www.wbsj.org/)のツバメ特設ページより


    バードウィークについて

     野鳥と親しみ、野鳥を通じて自然を大切にする心をはぐくむために設けられた一週間で、1894年アメリカのペンシルバニア州で4月10日を「バードデー」としたことが始まりです。日本では戦後間もない1947年4月10日に第一回「バードデー」が実施され、各地で野鳥と親しむイベントなどが開催されました。その後、北海道など北国では4月上旬にまだ雪が残っていること、より多くの方に親しんでもらうことを考慮し、1950年から期間を5月10日から16日までとし、「バードウィーク」と改められました。

    公益財団法人 日本野鳥の会について

     ※詳しくは当会ホームページをご参照ください
     自然と人が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国約5万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。

    • 会長:柳生博 会員、サポーター約5万人
    • 創設:1934年 ・創始者:中西悟堂 ・連携団体:全国90団体
    • 1970年 財団法人に改組。 ・2011年4月 「公益財団法人日本野鳥の会」として登記

    <野鳥や自然を大切に思う心を伝える普及活動>

    • 自然観察の森など、全国9ヵ所の自然系施設に訪れる、年間約30万人のビジター対して野鳥や自然の素晴らしさを伝えています。
    • 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。
    • 野鳥や自然のすばらしさを伝える雑誌や小冊子を発行しています。

    <野鳥や自然を守る保護活動>

    • タンチョウ、シマフクロウ、カンムリウミスズメなど絶滅の恐れのある野鳥の保護と生息地の保全を行っています。
    • 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として生息地の保全を進めています。現在、野鳥保護区の面積は33か所、2938.9haで、自然保護団体としては国内最大級です。
    • 国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(ⅠBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っています。

    <公益財団法人に登記>

    • 日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し、「特定公益増進法人」として税制上の優遇措置が設定されています。

    本件に関するお問い合わせは
    公益財団法人 日本野鳥の会
    担当:自然保護室 山本 裕  [email protected]
       会員室   篠木秀紀  [email protected]
    〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
    TEL:03-5436-2632  FAX:03-5436-2635  http://www.wbsj.org

    プレスリリース 2012.02.29

    2012年2月29日

    豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業環境影響評価書への見解書の公表について

    愛知県野鳥保護連絡協議会
    公益財団法人日本野鳥の会

    愛知県野鳥保護連絡協議会及び日本野鳥の会は、当事業について愛知県企業庁に対し、事業計画地がサシバ、ミゾゴイ等の絶滅危惧種の生息地となっており、良好な里山環境が現時点では保たれていることから、代替地への回避を求めてきました。
    しかし、地権者の了解を始め種々の社会状況から、事業の回避は困難な状況と判断し、事業による環境影響の最大限の低減と十分な環境保全措置の実施を実現させるため、改変面積の縮小やアクセス道路計画の中止、サシバの繁殖等への影響に関する代償措置を求めてきました。
    2012年1月27日に公告、縦覧された環境影響評価書に対しても、上記の観点から次の見解書を送りました。

    今後は、愛知県企業庁及びトヨタ自動車株式会社が設置を予定している環境監視委員会に、見解書における要請事項を実現させるために参加し、野鳥保護、自然保護の立場からの意見・提言を行っていく予定です。

    日野鳥発第91号
    平成24年2月29日

    豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業環境影響評価書への見解書

    愛知県野鳥保護連絡協議会
    議長 高橋伸夫
    公益財団法人 日本野鳥の会
    理事長 佐藤 仁志

    1. 現在まで愛知県企業庁(事業者)及びトヨタ自動車株式会社と、当方ら自然保護団体との協議の中で再三指摘してきた、この立地でなければ実施できない事業であるかどうかについて、評価書の中で説明が尽くされていない。別途、説明が必要である。
    2. 事業による改変面積を、約410haから約270haに縮小したことは評価するが、より一層の縮小に努めることを要望する。
    3. 環境影響評価準備書に対して、当方が述べた意見のうち次の意見への対応について、対応姿勢は評価するが、より具体的な行動をもって対応することを要望する。
      ①意見1及びア~カ 「絶滅危惧種の鳥類の生息環境の保全・復元」に関して、事業者見解の中で「生息環境の変化がない又は小さいと予測されたヨタカ等についても、必要に応じ、専門家の指導及び助言を聞き、これらの生息環境をより適切に維持するよう努める」としたことは評価する。ただし、文言が具体的ではないので、環境監視委員会等において、当方の意見を尊重し、定量的な評価に基いて具体策を講じ、誠意を持って実行していただくことを要望する。
      ②意見2 「事後調査」に関しては、協議の席で当方に示された、14年間の調査を継続的に行い、かつ環境監視委員会として必要があると判断した場合にはその結果を検討するとの見解を、確実に実行することを要望する。
      ③意見3 「里山資源の循環的な活用」に関して、間伐材によるチップボイラーやペレットを燃料とした空調システムなどバイオマスエネルギーの導入や間伐材の建設資材の活用など現在の検討範囲より、一層の検討を行い、全国のモデルとなるようなものを提示することを要望する。
      ④意見4及びケ 「新規のアクセス道路中止」に対し、新東名高速道路からのアクセス道路建設の構想を中止したことを評価する。
      ⑤意見1及びウ 「サシバに対する環境保全措置」に関し、サシバ等における生息地減少分の代償措置の実行が保証されていないので、保証することを要望する。評価書では約270haの改変工事に対して、約660haの土地を確保しているので、緩衝及び保全緑地として390haを用意し、この中での休耕田管理などの環境復元で生息が可能としている。しかし、これが実現する保証はない。事業予定地以外で行う環境保全措置も含め、代償措置を事前に明確にすべきである。また、サシバをはじめ生物多様性保全と持続的農業を行うために、事業予定地以外の周辺の類似の生息環境において、有機米による水田耕作の取り組みをはじめていることは評価する。これを代償措置の中に明確に位置づけるべきである。
      ⑥意見5及びキ 「愛知県野鳥保護連絡協議会等のメンバーが参加した委員会を設置すること」に対し、環境監視委員会を設置し、愛知県野鳥保護連絡協議会及び日本野鳥の会のメンバーを入れる構想を樹立したことを評価する。
    4. 今後は、周辺地域を含めた環境保全措置の具体策について環境監視委員会などを通して当会が述べる意見、提言を真摯に受け止め、実行することを期待する。特に事業予定地は、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている日本固有種のミゾゴイの繁殖地である。個体数をはじめ未解明な生態も多くあり、この地がミゾゴイの調査、研究、保全の全国のモデルとなるような活動を期待する。
         また、建設予定の環境学習センターにおいては、調査研究、普及教育、環境保全の拠点となり、専門スタッフも配置し質の高い運営をするとともに市民に開放された施設となることを希望する。

    参考1 環境影響評価準備書に対する愛知県野鳥保護連絡協議会の意見書の要旨

    1. 開発予定地の内および周辺地域において、鳥類では国県の絶滅危惧指定種であるミゾゴイ、ハチクマ、サシバ、ヨタカ、オオタカ、サンショウクイ及び県の絶滅危惧指定種であるヤマセミ、アカショウビン、ヤマシギ、アオシギ、ツツドリ、フクロウ、クロツグミ、コサメビタキ、サンコウチョウをはじめ、ここに生息する野鳥、その他全ての野生生物の生息環境の維持、復元を計っていただきたい。
    2. 事後調査・環境監視計画では全て施設完了後1年で終了することになっているが、それ以降の調査継続を約束していただきたい。
    3. 里山環境の循環的利用を促進すること。
    4. 新規のアクセス道路は作らないこと。
    5. 自然保護関係者の声を十分に取り入れる保証をし、自然環境の保全に万全を尽くすこと。

    参考2 環境影響評価準備書に対する(公財)日本野鳥の会・日本野鳥の会愛知県支部からの意見書の要旨

    ア.絶滅危惧種種を含む里山生態系の保全・復元を、定量的な評価に基づいて行うべきである。
    イ.ミゾゴイの保全のため、林縁部の水田環境を含む行動圏調査及び広範囲における調査を行うべきである。
    ウ.サシバに対する予測と環境保全措置を、定量的なデータに基づいて評価すべきである。
    エ.オオタカ、アオシギ、ヤマセミ、アカショウビンの生息状況の評価を修正し、環境保全措置について再検討すべきである。
    オ.ヨタカの予測結果の誤りを修正すべきである。
    カ.コサメビタキの行動圏調査をするとともに環境保全措置について定量的に評価すべきである。
    キ.事後調査・環境監視計画は透明で公正な委員会による評価を継続的に行うべきである。
    ク.「新たな取り組み」における里山環境の保全管理活動について環境影響評価上の位置づけを明確にすべきである。
    ケ.新規のアクセス道路は作るべきでない。

    本見解書に関する連絡先

    愛知県野鳥保護連絡協議会 議長 高橋伸夫
    公益財団法人日本野鳥の会 自然保護室 葉山政治・古南(こみなみ)幸弘
    同         サンクチュアリ室 大畑孝二

    プレスリリース 2012.02.13

    2012年2月13日

    日本野鳥の会と同会苫小牧支部及び札幌支部、室蘭支部は北海道に対し、
    苫小牧東部工業開発地域内の鳥獣保護区指定に関する要望書を提出しました

    (公財)日本野鳥の会(事務局:東京、理事長:佐藤仁志、会員・サポーター数約5万人。以下「当会」)と日本野鳥の会苫小牧支部(事務局:苫小牧市、支部長:盛田徹)、日本野鳥の会札幌支部(事務局:札幌市、支部長:山田三夫)日本野鳥の会室蘭支部(事務局:登別市、支部長:篠原盛雄)は、2012年2月13日付で北海道知事宛に苫小牧東部工業開発地域(以下「苫東地域」)内の弁天地区を絶滅のおそれのある鳥類の生息地として保全を求める要望書を提出しました。同地区は工業開発地域にありながら未利用地として残され、かつての勇払原野の面影を残す北海道独特の景観として、また絶滅のおそれのある鳥類26種類の生息地として、生態系保全の観点からも大変重要な地域です。現在、道で策定中の第11次鳥獣保護事業計画および安平川水系河川整備計画のなかで、保全の取り組みの具体化を求めるものです。

    要望書の概要

    以下の2点です。

    1. 弁天沼周辺と安平川(下流右岸)湿原の低湿地について、鳥獣保護区特別保護地区に指定し、絶滅のおそれのある鳥類の保護と生息環境の保全に努めること。
    2. 安平川河川整備計画における河道内調整地(遊水地)の設定および管理について、治水と湿地環境の保全の両立を図ること。

    背景

     勇払原野は北海道三大原野のひとつとして、釧路湿原、サロベツ原野と並び数えられています。原野を構成する湿原の面積は、過去90年で約8分の1に著しく減少しているものの、残された自然環境は、ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、水鳥、草原性鳥類、絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。一方同所では1960年代の高度成長期に、第三次全国総合開発計画の一環として苫小牧東部開発計画がスタートしました。しかしその後の社会情勢の変化により、当初計画の約1万700haの土地の多くが未利用地域として残され、また農地として開拓された場所が放置され原野化し、結果として鳥類の良好な生息地となっています。
    当会はこの優れた鳥類の生息環境を将来にわたって維持していくために、2000年度から当該地域において鳥類調査を実施し、その生息状況から生息環境としての特徴を把握し、社会環境を考察して保全構想をまとめ、2005年に「ウトナイ湖・勇払原野保全構想報告書」を発行しました。以来、希少種の調査や弁天沼周辺での自然観察会を通じ、同所一帯の保全活動を行っています。

    弁天沼周辺の鳥類について

    当会の調査結果より、同所(弁天地区)がウトナイ湖に匹敵する希少な野生鳥獣の生息域であり、かつての勇払原野の面影を残す景観的にも優れた、豊かな自然環境であることを確認しました。具体的には、絶滅のおそれのある希少鳥類が26種類確認されました(参考資料1参照)。このうちシマアオジ、チュウヒ、アカモズ、オオジシギにとって重要な繁殖地であること、サンカノゴイについては周年生息し繁殖の可能性もあること、オオワシやオジロワシは合わせて50羽以上が冬期に利用すること、シマクイナについては繁殖期では国内2ヶ所めの記録であること等が明らかになっています。

    今後について

    北海道が現在作成中の安平川水系河川整備計画の基本方針では、遊水地を活用した湿地環境の保全の視点が述べられています。また平成22年に北海道が策定した生物多様性保全計画では、「北海道の特徴的な自然景観である湿原」と「希少生物の生息環境」が保全対象として謳われています。弁天地区は、これらの政策の具現化に必要かつ不可欠な地域であると考えています。
    今後はこの要望書や当会の勇払原野保全構想に基づき、安平川の治水計画においても、苫東地域全体の土地利用計画においても、北海道独特の自然景観とその生物多様性の保全を目指し、現在ある貴重な財産を失うことのないよう、また新たな価値を付け加えて、産業と自然環境の保全が両立していけるよう、関係者への働きかけを行っていきます。

    <本件に関するお問い合わせ>

    公益財団法人 日本野鳥の会 サンクチュアリ室
    ウトナイ湖サンクチュアリ担当 原田修
    〒059-1365 北海道苫小牧市植苗150-3  TEL 0144-58-2505

    【資料】苫小牧東部開発地域 弁天地区で記録のある希少鳥類

    No 種 名 種の保存法 文化財保護法 環境省レッドリスト 北海道レッドリスト
    1 サンカノゴイ     EN EN
    2 オオヨシゴイ     EN R
    3 コウノトリ 国内希少種 特別天然記念物 CR EN
    4 マガン   天然記念物 NT R
    5 ヒシクイ   天然記念物   R
      (亜種ヒシクイ)※       VU  
    6 (亜種オオヒシクイ) ※     NT  
    7 ミコアイサ       VU
    8 ミサゴ     NT VU
    9 ハチクマ     NT R
    10 オジロワシ 国内希少種 天然記念物 EN EN
    11 オオワシ 国内希少種 天然記念物 VU EN
    12 オオタカ 国内希少種   NT VU
    13 ハイタカ     NT VU
    14 ケアシノスリ       R
    15 ハイイロチュウヒ       R
    16 チュウヒ     EN VU
    17 ハヤブサ 国内希少種   VU VU
    18 エゾライチョウ     DD R
    19 ウズラ     NT R
    20 タンチョウ 国内希少種 特別天然記念物 VU EN
    21 クイナ       R
    22 ヒメクイナ       R
    23 シマクイナ     EN R
    24 オオジシギ     NT R
    25 アカモズ     EN R
    26 シマアオジ     CR R

    CR:絶滅危惧IA類,EN:絶滅危惧IB類,VU:絶滅危惧II類,NT:準絶滅危惧,DD:情報不足, R:希少種
    (※環境省レッドリストは亜種によってランクが分かれているため亜種別に記述)

    以上

    プレスリリース 2011.12.15

    2011年12月15日

    釧路湿原周辺部でICTを活用したタンチョウ生息地の保全調査を実施
    富士通株式会社のICT技術(マルチセンシング・ネットワーク)を
    日本野鳥の会が進めるタンチョウ保護活動に活用

    公益財団法人日本野鳥の会(東京都品川区 会長:柳生博 以下、日本野鳥の会)は、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本 正已、以下、富士通)と連携し、北海道鶴居村の日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリにおいて、富士通が開発したマルチセンシング・ネットワーク(注1)を活用した越冬期のタンチョウ生息地の保全調査のための実証実験を開始します。日本野鳥の会が整備したタンチョウの自然採食地にマルチセンシング・ユニットを設置し、撮影した画像を無線を用いたデータ転送で鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリに送信することにより、越冬期におけるタンチョウの自然採食地の有効性の確認に役立てることが期待できます。

    背 景

    タンチョウは国の特別天然記念物および国内希少野生動植物種に指定されており、環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類になっています。現在日本では、北海道東部を中心に約1,300羽が生息し、餌の少ない冬期は釧路湿原周辺の給餌場に集中しています。今後タンチョウが安定的に生息し、個体数を増やしていくには、人からの給餌に頼らずに過ごせる自然採食地を保全していく必要があります。
    日本野鳥の会では、冬でも凍結しない湧水地や水路にタンチョウのための自然採食地を2008年よりこれまで8ケ所整備し、整備した自然採食地をタンチョウが実際に利用するか調査してきました。方法としては、調査期間中二週間に1日程度の頻度でビデオカメラに録画し、その内容を確認するものでした。しかし、積雪の多い現地への立ち入りやタンチョウの利用時間を避けての調査機材の設置など、これまで頻度の高い利用状況確認調査が困難でした。

    マルチセンシングネットワークシステムの概要

     今回、富士通が開発したマルチセンシング・ネットワークを用いて、自然採食地に監視カメラを搭載したマルチセンシング・ユニットを設置し、1.9㎞離れたネイチャーセンターに撮影画像などのデータを定期的に送信します。測定に使用するマルチセンシング・ユニットはソーラーパネル、バッテリーを搭載しているため、電池交換が不要で人手に頼らずより精度高く効率的な調査を行います。また、自然採食地の状況をリアルタイムに把握し、温度情報などと合わせて分析することで、自然採食地の有効性評価、設備計画などに活用することも可能です。

    なお、今回の調査に活用するマルチセンシング・ネットワーク及び本プロジェクトの概要を、環境展示会「エコプロダクツ2011」(会期:12月15日(木)~17日(土)、場所:東京ビッグサイト)の富士通ブースで紹介します。

    商標について

    記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

    注釈

    (注1)マルチセンシング・ネットワーク :気象情報の計測や画像撮影が可能なマルチセンシング・ユニットを使用し、計測したデータをリモートで収集するネットワーク。特定小電力無線を用いているため、通信コストをかけずにデータ収集が可能。

    タンチョウ Grus japonensis について

     タンチョウは、かつて江戸時代までは道内全域に生息していたと言われていますが、明治時代の乱獲と生息地である湿原の開発により激減し、一時は絶滅したと考えられていました。大正時代末期に釧路湿原で再発見されて以来、地元農家の冬期給餌などの保護活動が実り、個体数は1,300 羽を超えるまでになりました。国の特別天然記念物にも指定されていますが、分布は北海道東部に偏在し、冬期の人為的な給餌に依存しています。また生息地である湿原の面積は減少する一方で、残されている湿原も営巣地の約半分は法律による保護指定がなされておらず、いつ開発されてもおかしくないのが現状です。
    1987年日本野鳥の会は全国からの募金をもとに、タンチョウの越冬地である阿寒郡鶴居村の給餌人、伊藤良孝氏(故人)のご理解とご協力を得て「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」を開設しました。そこでは日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、タンチョウ保護のために生態調査や自然解説などを行う現地拠点となっています。また繁殖地の保護状況調査をもとに、タンチョウの営巣地でありながら法律で保護指定されていない湿原を購入、あるいは地主と協定を結ぶ等で、野鳥保護区の設置や、冬期自然採食地の保全の取り組みを行っています。

    <タンチョウの保護指定状況>

    • 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法) 「国内希少野生動植物種」
    • 文化財保護法 「天然記念物」
    • 改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物‐レッドデータブック‐ 2 鳥類 「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」
    • IUCN(国際自然保護連合)レッドリスト 「EN C1」

    公益財団法人日本野鳥の会  http://www.wbsj.org

    自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国5万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。

    • 創設:1934 年 ・創設者:中西悟堂 ・会長:柳生 博 ・連携団体:全国90団体
    • 2011年4月、「財団法人日本野鳥の会」は「公益財団法人日本野鳥の会」へ移行しました。
    • 財団事務局: 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

    関連リンク

    <本件に関するお問い合わせ>

    公益財団法人日本野鳥の会 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
    担当:有田 茂生(ありた しげお)
    〒085-1205 北海道阿寒郡鶴居村中雪裡南
    TEL:0154-64-2620  E-mail:[email protected]


    図1 中雪裡1号採食地に設置した富士通マルチセンシング・ユニット


    図2 富士通マルチセンシング・ユニットで撮影したタンチョウの自然採食地


    印刷される方はこちらをご利用ください
    [PDF] 「釧路湿原周辺部でICTを活用したタンチョウ生息地の保全調査を実施」に関するプレスリリース

    プレスリリース 2011.12.14

    2011年12月14日

    絶滅危惧の海鳥・カンムリウミスズメ
    伊豆諸島海域の3年にわたる調査の結果、
    世界的に重要な生息地(国内第2位)であると判明!

    (公財)日本野鳥の会(本部:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万人)は、国の天然記念物で絶滅の恐れのある海鳥・カンムリウミスズメの保護に取り組んでいます。2009年より3年にわたり、伊豆諸島海域で本種の生息状況を調査しました。その結果、次のことがわかりました。

    1. 伊豆諸島は世界でも重要な生息地(国内第2位)、推定生息数は1千羽以上
      伊豆諸島海域での3年間にわたる計26回の洋上調査の結果、2011年5月に547羽(過去最大)をはじめ、毎年500羽前後を確認しました。この結果から、推定生息数は1千羽以上と考えられ、生息数国内2位と世界的に重要な生息地であることがわかりました。
    2. 同一海域における繁殖地の数は国内最大
      伊豆諸島海域の無人島への上陸調査を行い、6島でカンムリウミスズメの繁殖を確認しました。1つの海域において6島もの繁殖地がある例は他になく、国内最大です。
    3. 繁殖地を中心とした10km圏内の海域に集中して生息
      洋上における分布状況を調査した結果、繁殖をしている島を中心に半径10km圏内の海域に分布が集中しており、この範囲が特にカンムリウミスズメの生息に重要な海域であることがわかりました。
      また、三宅島、神津島、新島を結ぶ海域に多数が生息していることも明らかになりました。

    本種の生息地としての伊豆諸島海域の重要性は国にも認知され、2010年には繁殖地の無人島2島が国指定鳥獣保護区に指定されました。当会では、今後も本種を絶滅の危機から救うために、調査の結果を活かして未指定の繁殖地および生息海域の鳥獣保護区への指定や、人工巣の設置など生息数の増加にむけた保護活動、また、地元自治体や住民の理解と協力に向けた普及活動を進めてまいります。

    本件に関するお問い合わせは
    公益財団法人 日本野鳥の会
    担当:会員室 会員室長          安藤 康弘 [email protected]
    サンクチュアリ室 三宅島グループ 江崎 逸郎 [email protected]
    〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
    TEL:03-5436-2634, 080-2003-7632(江崎携帯)
    FAX:03-5436-2635  http://www.wbsj.org

    補足資料

    1.調査の内容と結果
    2.カンムリウミスズメについて
    3.日本野鳥の会のカンムリウミスズメにかかるこれまでの取り組み
    4.海洋における生物多様性の危機
    5.調査の資金、協力者など

    1.調査の内容と結果

    推定生息数1千羽以上と推定、国内第2位、世界的に重要な生息域
    本種の繁殖最盛期である4月~5月の間に、伊豆諸島北部の4島(新島、神津島、三宅島、御蔵島)周辺及び伊豆半島の神子元島(みこもとじま)周辺海域で、複数の調査船を用いた洋上調査を、2009年から2011年の3年間に26回実施しました。このうち2010年と2011年には、本種の洋上調査では世界初、同一海域で同時に複数の調査船を出す、洋上での一斉カウント調査を計6回行ないました(写真3)。その結果、毎年500羽前後が確認され、2011年5月の調査では過去最高の547羽を記録しました。
    抱卵中や未調査域の個体がいることを考慮すると、この海域には1千羽を超える本種が生息していると考えられます。その規模は、国内最大の繁殖地である枇榔島(びろうじま、宮崎県門川町)に次ぐ大きさであり、国内第2位となります。本種は世界的にも日本近海にしか生息しておらず、伊豆諸島海域は世界的に見ても重要な海域であるといえます。

    繁殖を6か所で確認、同一海域としては国内最大
    2009-2011年の3年間で、伊豆諸島の既知の繁殖地10か所と未踏査の島2か所のうち、7か所の島で上陸調査を行いました。その結果、新島の根浮岬(ねぶさき)、神津島の祗苗島(ただなえじま)、恩馳島(おんばせじま)、三宅島の大野原島(おおのはらじま)、八丈島の小池根(こじね)、伊豆半島の神子元島の6島で確実に繁殖していることが確認できました。同一海域に6島もの繁殖地がある例は他になく、国内最大です(図1)。
    繁殖地には実際に上陸し、巣穴と考えられる岩の隙間や草の根元等を可能な限り探索し繁殖の有無を確認しました(写真2)。抱卵中の親鳥を観察したり、放棄された卵や及び巣立ち後の卵殻などを確認することで、繁殖しているかどうかを判断しました(写真4)。

    生息海域として重要な繁殖地10km圏内の海域
    本種のような海鳥にとって、洋上は餌を採ったり休息したりするために不可欠な環境です。洋上調査での分布密度の結果と、繁殖地とされる無人島への上陸調査の結果を合わせてみると、本種は繁殖地を中心とした周囲約10km圏内に多く生息していることがわかりました。数多く出現する洋上は、本種の生息上重要な海域といえます。
    また、三宅島、神津島、新島を結ぶ海域には5か所の繁殖地が点在しており、ここには多数が集中して生息していることも明らかになりました(図2)。

    2.カンムリウミスズメについて

    生息数と危機状況
    カンムリウミスズメは、世界でも日本近海のみに分布が限定されている海鳥で、推定生息数は5千羽、多くとも1万羽と推定されており、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)にあげられ、国の天然記念物に指定されています(写真1)。日本近海にしか生息していないため、我が国が保護活動を行わなければ絶滅するおそれがあり、具体的な保護対策が急務とされています。減少要因としては、繁殖地に入り込んだネズミ類や釣り人が放置するゴミやまき餌に誘引されたカラス類による捕食、漁網による混獲、油汚染による死亡などがあります。

    分布
    日本で繁殖するウミスズメ科の鳥は7種類です。このうち6種類は北日本の亜寒帯を主な分布域としており、カンムリウミスズメだけが黒潮や対馬海流がある暖帯海域に生息しています。知られている繁殖地の北限は、石川県の七ツ島、南限は東京都の鳥島。最大の繁殖地は宮崎県の枇椰島で、約3千羽と推定されています。今回調査を行った伊豆諸島以外の繁殖地としては、福岡県の筑前沖ノ島の小屋島(こやしま)、三重県の耳穴島(みみあなじま)などが知られており、国外では韓国南部の島において繁殖が確認されていますが、枇榔島と伊豆諸島以外での生息数は、これまでのところはっきりとわかっていません。

    繁殖
    本種の繁殖地は、無人島の崖や岩の隙間、草木の根元などです。繁殖地となる島の周辺海域に12月~1月には戻り、3月中旬から下旬にかけて、ニワトリよりもやや小さな卵を1ないし2個産み、雌雄交代で約1か月間抱卵します。ヒナは孵化後すぐに親鳥とともに海へ向かい、そのまま海上で暮らします。親鳥からヒナへの給餌も海上で行われ、次に陸へ上がるのは繁殖地に戻る時と考えられています。枇榔島や伊豆諸島では5月下旬になると姿を消し、非繁殖期をどの海域で過ごしているのかは、情報が限られていました。

    3.日本野鳥の会のカンムリウミスズメにかかるこれまでの取り組み

    1995年~2008年
    1995年から東京都三宅村の施設で当会が業務を受託している「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」を拠点に、大野原島を含む三宅島南西部の海域において、漁船を用いての集中的な洋上調査を継続して実施しており、1995年から2000年までの6年間に27回の調査を行いました。また1994年と1995年には三宅島の属島である大野原島に上陸し、繁殖の確認調査も行っています。
    2000年夏の噴火で三宅島は全島避難となり、三宅島から出船しての調査は実施できなくなりました。このため翌2001年から2004年の期間には約40km離れた神津島や式根島から年に1回、漁船を出して調査を継続しました。この間、2003年5月6日に式根島~三宅島往復の洋上調査で、当時、過去最大の237羽を記録しました。三宅島海域では1995年5月11日に205羽を記録したのが最大でした。

    2009年
    創立75周年を迎えた2009年には、カンムリウミスズメの保護に重点的に取り組むことになりました。洋上調査は三宅島海域で9回、神津島海域で2回、八丈島海域で1回、伊豆半島海域で2回と4海域計14回行ないました。その結果、三宅島海域で5月12日に383羽の生息数を記録しました。上陸調査も三宅島の属島である大野原島、神津島の属島である祗苗島(ただなえじま)、八丈小島の属島である小池根の3島に上陸し、大野原島では15年ぶり、祗苗島では9年ぶりに繁殖確認をすることができました。

    2010年
    伊豆諸島海域にどのくらい生息しているかを調べるため、三宅島をはじめとした伊豆諸島北部の4島(新島、神津島、三宅島、御蔵島)周辺及び伊豆半島の神子元島周辺海域で、複数の調査船を同時に使い、洋上における一斉調査を3回行いました。この結果、洋上で441羽の生息数を記録しました。また、神津島の恩馳島と八丈島の小池根と伊豆半島の神子元島に上陸し、恩馳島では16年ぶり、小池根では18年ぶり、神子元島では27年ぶりに繁殖を確認することができました。
    さらに11月には当会の働きかけなどにより、繁殖地である祗苗島及び大野原島が国指定鳥獣保護区に指定されました。保護区に指定されることで、その範囲での鳥獣の捕獲や開発行為は規制され、本種の保護が一歩前進することになりました。

    2011年
    2010年に引き続き、伊豆諸島北部海域で洋上一斉調査を3回行いました。この結果、5月9日に547羽の生息数を確認しました。また、新島の根浮岬に上陸し、1980年代の記録以来の繁殖を確認することができました。

    4.海洋における生物多様性の危機

    現在、世界的にも海洋における生物多様性の危機が深刻な状況です。昨年、名古屋で開催された「生物多様性条約第10回締結国会議」でも、海洋における生物多様性の危機が議論され、議長国である我が国は加盟国とともに2020年までの目標の一つとして、陸域の17%、沿岸及び海域の10%を保護地域とすることを定めました。生態系の中でも上位を占める野鳥は、環境の豊かさを計るバロメーターです。野鳥を指標に生息地を守ることは、生態系全体を守ることにつながります。当会はカンムリウミスズメの保護を通じて海洋の生物多様性を守っていきます。

    5.調査の資金・協力者など

    調査への資金協力
    この調査の資金は、日本財団助成金、学生バードソン寄付金、日本野鳥の会の会員・サポーターからの会費、ご寄付及び一般からのご寄付によって賄われています。

    調査の協力者
    伊豆諸島の調査では、以下の団体と船にご協力いただきました。

    ○フィールド・アシスタント・ネットワーク
    ○三宅島:北洋丸、大和丸、金丸、三野丸、「ディープ イン」
    ○神津島:萬作丸
    ○新島:浜庄丸、小澤丸、三郷丸、利丸
    ○八丈島:優宝丸
    ○下田市:第2七島丸、みこもと丸、重郎平丸、喜久丸、かねよ丸(以上、「株式会社 伊豆下田フィッシング」)
    ○伊東市:光海丸

    6.公益財団法人 日本野鳥の会について

    (詳しくは当会ホームページをご参照ください)
    自然と人が共存する豊かな社会の実現を目指し、野鳥や自然のすばらしさを伝えながら、自然保護を進めている民間団体です。全国約5万人の会員・サポーターが、自然を楽しみつつ、自然を守る活動を支えています。

    • 創設:1934年 ・創始者:中西悟堂 ・連携団体:全国90団体
    • 1970年 財団法人に改組。 ・2011年4月 「公益財団法人日本野鳥の会」として登記

    <野鳥や自然を大切に思う心を伝える普及活動>

    • 全国10か所のサンクチュアリやバードプラザを訪れる、年間約30万人に野鳥や自然のすばらしさを伝えています。
    • 東京バードフェスティバルなどの大規模イベントへの参加や野鳥図鑑などの発行を通して、バードウォッチングの楽しさを伝えています。
    • バードウォッチングの指導・案内のできる人材の育成を進めています。

    <野鳥や自然を守る保護活動>

    • 北海道東部のタンチョウの営巣地を中心に、土地の買い取りや協定により野鳥保護区として生息地の保全を進めています。現在、野鳥保護区の面積は33か所、2938.9haで、自然保護団体としては国内最大級です。
    • 国際的に重要な鳥類等を指標にした重要度の基準(ⅠBA基準)を満たした野鳥の重要な生息地の選定、リストの公表を行い、保全の推進、ネットワーク化を行っています。

    <公益財団法人に登記>

    • 日本野鳥の会は、内閣総理大臣より「公益財団法人」に認定されており、個人や法人が支出した寄付金に対し、「特定公益増進法人」として税制上の優遇措置が設定されています。


    図1 当会の調査で確認した繁殖地


    図2 三宅島、神津島、新島を結ぶ本種の重要生息海域


    写真 1 カンムリウミスズメ(成鳥、繁殖羽)


    写真 2 営巣地の環境(神津島・恩馳島)


    写真 3 洋上調査の様子(神子元島周辺)


    写真 4 孵化後の卵殻(新島・根浮岬)
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