プレスリリース:北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生個人からのご遺贈により「シマフクロウ」の生息地57.1ヘクタールを購入

2021年1月7日

公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京、会長:上田恵介、会員・サポーター数約5万人)は、現在約160羽ほどしか生息していないシマフクロウ(絶滅危惧ⅠA類)の生息地保全のため、北海道・日高管内の2か所の民有林、合計57.1haを購入しました。

当会では、この保護区を購入するための資金をご遺贈いただきました寄付者のお名前を冠して、「小林野鳥保護区シマフクロウ日高第1」(1.7ha)「小林野鳥保護区シマフクロウ日高第2」(55.4ha)と名づけ、絶滅危惧種の生息地の自然環境を恒久的に保全します。

日高地域

注:野鳥保護区の具体的な場所や地名は、シマフクロウの生息かく乱の可能性があることから、公表していません。

1.シシマフクロウ1つがいが繁殖する森林を新たに保全
<小林野鳥保護区シマフクロウ日高第2>
日高管内のこの森林には、2017年に1つがいのシマフクロウの生息が確認されました。この生息地は、日高地域におけるシマフクロウの新たな分散地にあたり、今後の繁殖が期待される重要な森林です。今回購入した民有林は法的な保護がされておらず、近隣の開発計画にも晒され、シマフクロウの生息が危ぶまれていました。そこで当会では、当会会員であった故・小林弘明(こばやしひろあき)氏からのご遺贈をもとに、立木を含む土地55.4ha(553,829㎡)を購入し、野鳥保護区を設置して保全することにしました。これにより、当森林で繁殖するシマフクロウの生息地保全が一歩前進します。
2.シマフクロウ1つがいが繁殖する森林の保全を強化
<小林野鳥保護区シマフクロウ日高第1>
日高管内に広がるこの森林には、1998年から1つがいのシマフクロウの生息が確認されています。カツラやミズナラ等の巨木が林立する豊かな河畔林が残されていますが、その大部分が民有林のため、森林伐採をはじめとする開発の恐れがある地域でもありました。
そこで当会では、2007年から民有林を購入し、野鳥保護区の設置を開始しましたが、依然として周辺森林には開発の恐れがありました。そのため、故・小林弘明氏からのご遺贈をもとに、隣接する土地1.7ha(17,111㎡)を追加購入しました。これにより、当森林で繁殖するシマフクロウの生息中心域の140.6haを一体として保全することができます。

小林野鳥保護区シマフクロウ日高第1
小林野鳥保護区シマフクロウ日高第1

小林野鳥保護区シマフクロウ日高第2
小林野鳥保護区シマフクロウ日高第2
野鳥保護区にすることにより、シマフクロウの生息する針広混交林(上)と河畔林(下)を、恒久的に保全することができる。

■シマフクロウについて

シマフクロウ

河川や湖沼周辺の森林に生息する魚食性の世界最大級のフクロウです。明治期までは北海道内に広く生息していたとされますが、繁殖に必要な直径100cm以上の洞のある大木が森林伐採等により喪失し、餌の魚類が河川改修などにより減少したことで数を減らし、絶滅の危機に瀕しています。現在は北海道中部から東部にかけて約160羽程度が生息するのみです。そして、多くのつがいが巣箱や給餌など、人為的な支援を受けて繁殖しています。生息環境が限られているため、巣立ち後の分散が困難で、近親つがいの形成などの問題も起きています。

日本野鳥の会では、2004年より生息地の民有林を買い取って独自の野鳥保護区としているほか、植樹や間伐など森林環境の整備のような長期的な活動と、生簀による給餌や巣箱設置などの当面の絶滅を回避するための保護活動を行なっています。

  • 国指定天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧ⅠA 類

■日本野鳥の会の野鳥保護区について

<絶滅危惧種の生息地の危機>
1970~80年代は企業・行政共に環境への配慮よりも産業や経済が優先される時代であり、開発によって自然環境が荒廃していました。国は環境庁を設置したばかりでまだ十分な体制を持っておらず、生き物たちの絶滅も心配されていました。北海道でも、タンチョウやシマフクロウなど絶滅危惧種の生息地が開発の危機に晒されていました。


タンチョウの住む湿原を貫く道路工事

伐採されたシマフクロウの森


<生息地を丸ごと守ります>
彼らを守り、絶滅の淵から救うためには、繁殖できる生息地を丸ごと守ることが有効です。また、進行する開発に迅速に対応するためには、買い取りによる生息地の確保がもっとも有効な方法です。そこでNGOである当会が、先駆的に生息地を買い取って独自の「野鳥保護区」とする運動を1986年より開始しました(タンチョウ:1987年~、シマフクロウ:2004年~)。

タンチョウやシマフクロウの生息地を丸ごと保全することで、そこに住むすべての動植物を守ることができる。

<国内最大の民間自然保護区に>
最初の保護区設置から今日まで34年が経過し、今回の土地購入により、当会所有および協定による野鳥保護区は合計43か所、総面積は3,599ha となりました(タンチョウ2,463ha、シマフクロウ1,104ha、その他32ha)。また、土地所有者との覚書により保全しているシマフクロウの重要な生息地の132haも合わせると、保全面積は3,731haとなります。これは山手線の内側面積の約6割に相当し、絶滅危惧種の保全を目的とした民間の自然保護区としては国内最大の面積です。(景観保護のための民間自然保護区を含めると、前田一歩園財団の3,892haに次ぐ2番目の広さ)。


村田野鳥保護区風蓮川の湿原

持田野鳥保護区シマフクロウ釧路第2の河畔林


<ご寄付によって支えられています>
本件の土地は、野鳥保護区の設置をご希望された故人から生前にご遺贈の申し出をいただき、購入できたものです。当会の野鳥保護区の運動は、ご共感いただいた方々からのご寄付に支えられています。土地の購入だけでなく、野鳥保護区の設置後には、自然環境を良好かつ永続的に維持するため、巡回監視やモニタリング調査、適正な管理など継続的な活動を行なっています。

(詳しくはホームページ https://www.wbsj.org/activity/conservation/bird-reserve/

■「日本野鳥の会」について

「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。

独自の野鳥保護区を設置し、シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。

<組織概要>
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立: 1934(昭和9)年3月11日 *創立86年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL : https://www.wbsj.org/

■報道関係者様 問い合わせ先:(画像の提供も下記にお問い合わせください)

■公益財団法人日本野鳥の会 保全プロジェクト推進室 保護区グループ
担当:松本 潤慶(まつもと じゅんけい)
〒059-1365 北海道苫小牧市植苗150-3 野鳥保護区事業所
TEL: 0144-82-8803
E-mail:[email protected]


本プレスリリースのPDF版はこちら/1.7MB

プレスリリース:自然保護団体が風力発電に関する環境影響評価の拙速な手続き緩和に懸念 意見書を政府に提出

2020年12月15日

  • 日本を代表する自然保護団体である日本自然保護協会と日本野鳥の会が連名で意見書を河野内閣府規制改革担当大臣はじめ関係大臣に提出
  • 内閣府設置のタスクフォースが、風力発電施設推進のために環境影響評価手続きの要件緩和を環境省に要請したことについて、生物多様性の保全の視点から懸念を表明
  • 環境影響評価法は気候変動対策と生物多様性保全の両立を図る制度として、ゾーニング制度の充実、規模要件や手続きの在り方検討が必要と提案


公益財団法人日本自然保護協会(会員約2万4千人、理事長 亀山 章、以下NACS-J)と公益財団法人日本野鳥の会(会員約3万4千人、理事長 遠藤孝一、以下WBSJ)は、内閣府に設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(以下、タスクフォース)による第1回会議(12月1日)で検討された「風力発電に関する環境影響評価」について、河野大臣が風力発電施設への国の環境影響評価の基準緩和を環境省に要請したことに対して、生物多様性保全の観点から以下のように意見書をまとめ、内閣府特命担当大臣(規制改革)、環境大臣、経済産業大臣に提出しました。

<主な内容>
環境影響評価法の機能を無視したタスクフォースでの要件緩和の検討は情報や検証が十分ではない。住民や自然環境との軋轢をさらに深め風力発電の導入促進に逆効果となるため、境影響評価の規模要件の見直しや期間の短縮といった要件緩和はすべきではない。

  1. 環境影響評価法は再生可能エネルギーの導入と生物多様性の保全の両立を図るうえで重要な役割を担っている制度であり、その機能を損ねてはならない。
  2. 風力発電による環境影響の問題は規模ではなく立地選定によることから、1万kW以上とする現行の規模要件の見直しをすべきではない。
  3. 環境影響評価の実施期間の短縮は、自然環境の十分な調査と評価ができなくなり、手続きの質の低下を招くことになる。
  4. 拙速な要件緩和や期間短縮を進めるのではなく、環境省は早急に検討会を設けてゾーニング制度の充実と規模要件や手続きのあり方を検討すべきである。

「風力発電に関する環境影響評価」の要件緩和に対する意見書の本文はこちらからご覧いただけます。

■本リリースに関するお問合せ

日本自然保護協会 保護部 大野正人・若松伸彦
Tel: 03-3553-4101
Email: [email protected]
〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F

日本野鳥の会 自然保護室 浦 達也・田尻浩伸
Tel: 03-5436-2633
Email: [email protected]


<参考>

公益財団法人 日本自然保護協会について
自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。会員2万4千人。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。
http://www.nacsj.or.jp/
公益財団法人 日本野鳥の会について
自然にあるがままの野鳥に接して楽しむ機会を設け、また野鳥に関する科学的な知識及びその適正な保護思想を普及すると共に自然環境を保全し、国民の間に自然尊重の精神を培い、もって人間性豊かな社会の発展に資することを目的とし、1934年3月に設立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。会員・サポーター数5万人。
・代表者:理事長 遠藤孝一
・所在地:〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
・URL:https://www.wbsj.org/

本プレスリリースのPDF版はこちら/828KB

プレスリリース:絶滅危惧鳥類「チュウヒ」の全国繁殖つがい数が明らかに ~全136つがいで、国内最少のタカ科鳥類であることが判明~

2020年12月10日

■2018~2020年の繁殖期(4~8月)に北海道全域で繁殖状況確認調査等を実施

(公財)日本野鳥の会(事務局:東京)は、日本では唯一湿地で繁殖するタカ科鳥類で、個体数の減少が懸念される「チュウヒ(絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種)」の保護調査活動を行なっています。

チュウヒは春から夏に、主に北海道および本州以南の一部の湿地や草原で繁殖し、11~3月の越冬期を本州以南で過ごす留鳥(北海道は夏鳥)です。

当会は、近年になり個体数が減少していると考えられるチュウヒについて、主な繁殖地となっている北海道で繁殖状況を把握するため、2018年から2020年の繁殖期(5~8月)に、北海道全域を対象に繁殖分布調査を実施しました。同時に、本州等での現在の繁殖状況を把握するため、当会会員や地元の鳥類専門家に直接ヒアリングを実施しました。

チュウヒ
チュウヒ (Circus spilonotus
全長約48~58cm 翼開長113~137cm/タカ科/環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種(種の保存法)
写真:岡田宇司

■繁殖個体数136つがいを確認

その結果、北海道で117つがい、本州以南(青森4、秋田4、石川7、茨城1、愛知1、三重1、福岡1)で19つがい、計136つがいのチュウヒが繁殖していることを確認しました。

特に北海道ではチュウヒが多く繁殖しており(下図)、サロベツ原野周辺では58つがい、次いで勇払原野周辺で20つがい、石狩川流域で15つがい、釧路~根室地方で11つがい、オホーツク海沿岸北部で9つがい、十勝川河口域周辺で4つがいが繁殖していることが分かりました。また、本州以南には石川県の河北潟以外に大きな繁殖地はなく、19つがいにとどまりました。


今回確認した北海道でのチュウヒのつがい数

■チュウヒは日本最少のタカ科鳥類

現在、日本で繁殖個体数が少ないタカ科鳥類の生息数は、以下と確認されています。

  • チュウヒ       =136つがい (日本野鳥の会 未発表)
  • オジロワシ      =150つがい (白木ほか 2013)
  • イヌワシ       =241つがい (日本イヌワシ研究会 2015)
  • クマタカ       =900つがい (環境省 2004)
  • 亜種オガサワラノスリ =77つがい  (Suzuki & Kato 2000)
  • 亜種カンムリワシ   =100つがい (環境省 2012)

チュウヒは日本で繁殖するタカ科鳥類の中で、種としては1番目、亜種も含めると3番目に少ないことが判明。

■個体数の減少は、本州以南で顕著

環境省は、既存文献や当会等へのヒアリング調査により、2015年時点でチュウヒの繁殖個体数を80~90つがいと推定しましたが(環境省 2015)、その時点では北海道、特に道北部における繁殖状況が詳しく分かっていなかったため、その数値が含まれていませんでした。

今回の北海道の調査結果から推察できる2015年当時の生息数を加味すると、2015年の生息数は全国で160~170つがいがいたと推定できます。そのため、今回判明したチュウヒの個体数は2015年の推定結果と比べて増えたのではなく、むしろ減少していると言えます。

特に本州以南では個体数の減少が激しく、2010年頃までは40~50つがいほどが繁殖していたことを確認していますが、現在は19つがいと、半数以下となってしまいました。その主な原因は、繁殖地となっている埋立地や造成地の植生遷移(ヨシ原→灌木・樹林化)のほか、太陽光発電施設の建設などの開発行為やカメラマンの過度な接近など、人為的要因も大きく関わっています。

■北海道での減少要因―環境の変化や開発行為

北海道でも個体数の減少がみられており、10つがい程度が繁殖していた十勝川の中・下流域は営巣地があった河川敷の樹林化により、1989年に消失してしまいました(EFP 2011)。

オホーツク海沿岸の湿地や湖沼岸(EFP 2011)でも、2010年頃までは13つがい程度と少数ながら繁殖していましたが、現在はオホーツク海沿岸北部の9つがいとなりました。

釧路~根室地方も2010年頃まで18つがい程度が繁殖していたと確認できますが(EFP 2011、日本野鳥の会 未発表)、現在は半数に近い11つがいしか確認できていません。

このようにオホーツク海沿岸から北海道東部の太平洋岸にかけては、近年になって大きく個体数が減少していますが、湿地の乾燥化による営巣環境の減少に加え、道路の新設や太陽光発電所の建設などの開発行為が大きな要因となっています。また、近年になってオジロワシによるチュウヒの捕食事例がみられるようになってきたことから、オジロワシによる捕食圧が高まったことも一因としてあるのではないかと考えられます。

また、石狩川流域では最大で25つがい程度のチュウヒが繁殖していたと確認できますが(EFP 2011)、現在は15つがいと大きく減少しています。それは、十勝川のように繁殖環境の樹林化が進んだためと考えます。

サロベツ原野や勇払原野周辺は繁殖個体数が安定しているように見えますが、これらの地域では排水路の設置や農地整備(サロベツ原野)、土砂や資材置き場の設置(サロベツ原野)、太陽光発電や風力発電施設の建設(サロベツ原野、勇払原野)などの開発行為がみられ、また、繁殖成功率も低下しているため(先崎 未発表)、近いうちに繁殖個体数が大きく減少する可能性があります。さらに、アライグマやオジロワシの繁殖分布の拡大と捕食圧の上昇が、それを加速させるかもしれません。

■今後のチュウヒの保護―繁殖情報の把握と、その環境管理

チュウヒの繁殖を保全する場合、まずは繁殖に影響を与える可能性がある人為的要因(開発行為や人の接近)を取り除くことが必要です。そのためには、どこでチュウヒが繁殖しているかの情報を地域で把握し、地域住民や行政機関、開発事業者がそれに配慮していかなければなりません。

次に、繁殖環境を適切に維持、管理をしていかなければなりません。それには、チュウヒにとって好適な繁殖条件や環境を知る必要があります。また、比較的規模が大きく繁殖成績が良好な繁殖地の環境を維持していくことも必要となります。さらに、個体数を増やすのであれば、既存の繁殖地の周辺で条件の良い繁殖環境を創出、管理しながら、繁殖可能な環境を増やす必要があります。

当会では現在、サロベツ原野のチュウヒを保護するために、2018年から北海道の稚内市、豊富町、幌延町、天塩町にまたがるサロベツ原野を対象として、チュウヒの繁殖状況をモニタリングしながら、地域や関係者に繁殖情報を提供したうえで配慮を促し、また、好適な繁殖条件や環境がどのようなものかを調べています。さらに、チュウヒのための野鳥保護区を設置できる場所がないかも探しています。

また、サロベツ原野や勇払原野のチュウヒは農地や造成地などの民有地にあるササ原やヨシ原で繁殖することが多いため、地域住民や行政機関、開発事業者による高い保護意識の醸成が必要です。当会はこれらの方々と連携しながら、サロベツ原野および勇払原野のチュウヒの保護を進めていきたいと考えています。

当会はこのような活動を通して、チュウヒの日本一の繁殖地となっているサロベツ原野および勇払原野にあるチュウヒの繁殖環境を保護しています。

■引用文献

  • Eduence Field Production.2011.チュウヒ Eastern Marsh Harrier in Hokkaido. DVD 付属冊子. Eduence Field Production,札幌市.
  • 環境省. 2004. 希少猛禽類調査(イヌワシ,クマタカ)の結果について. 平成 16 年 8 月 31 日報道発 表資料
  • 環境省.2015.平成 26 年度 チュウヒ保護方策検討委託業務報告書.環境省,東京.
  • 日本イヌワシ研究会.2015.イヌワシの生息数…つがい数の減少と繁殖成功率の低下の33年間の推移(つがい総数が3割も減少)(2015年3月3日プレスリリース資料).
  • 白木彩子.2013.北海道におけるオジロワシの繁殖の現状と保全上の課題.オホーツクの生態系とその保全(桜井泰憲ほか 編著). pp 319-324, 北海道大学出版会,札幌.
  • Suzuki T. & Y. Kato.2000.Abundance of the Ogasawara Buzzard on Chichijima, the Pacific ocean. Journal of Raptor Research 34: 241-243.

*本リリース資料に掲載している写真を提供いたします。下記担当にお問合せください。

報道関係者様 問い合わせ先

■公益財団法人 日本野鳥の会 自然保護室 / 浦(うら) ・田尻(たじり)
TEL: 03-5436-2633
E-mail: [email protected](浦) / [email protected](田尻)

日本野鳥の会 URL: https://www.wbsj.org/

別紙資料

チュウヒとはどんな鳥

【種 名】
チュウヒ/Eastern Marsh Harrier/Circus spilonotus
【分 布】
ロシア極東域や中国東北部、サハリンなどで繁殖し、東南アジアで越冬する。日本では北海道、本州や九州で局所的に少数が繁殖し、一部は留鳥である。国内では多くのものは冬鳥であり、主に本州以南に渡来する。
【生息地】
湿地や干拓地、湖沼岸、河川の岸辺などの広いヨシ原で繁殖している。渡りの時期には河原や比較的狭い湿地にも現れる。冬期は全国各地のヨシ原などでみられるが、北日本では少ない。
【特 徴】
  • 全長:雄48cm~雌58cm
  • 翼開長:雄 113cm~雌 137cm
  • 雄:国内型は個体による色彩の変異が大きい。胸は灰白色で、茶褐色の縦斑がある場合とほとんど無い場合がある。体上面も茶褐色で、淡色の羽縁がある。足は黄色。嘴は黒く、ろう膜は黄色い。虹彩は黄色いが淡褐色のものもいる。尾羽の横帯は雌に比べると明瞭。腰は白く幅広い。大陸型と呼ばれるものは頭、首、肩羽、外側初列風切、小雨覆が黒いほかは灰色で、腰が白い。
  • 雌:色合いは雄と大きく違わないが、やや褐色味が強いようである。腰が白くなく、尾羽の横帯が見えづらい。
  • 幼鳥:齢の識別は非常に難しいが、成鳥に比べると全体が黒褐色である。頭部に関しては変異が多いため、当てにならない。
【行 動】
(繁殖期):4~8月
(採餌):両翼を浅いV字型に保つ滑翔と羽ばたきを繰り返しながら、風上に向かい低く飛んで地上の獲物を探す。風の強い日には停翔飛行も行なう。チュウヒの顔は平面的であり両眼視できる。また、顔盤は集音しやすくなっており、耳は大きいため、獲物を探すときには視覚だけでなく、聴覚も利用している。餌はネズミ類がもっとも多く、その他には小鳥、カエル、魚などを捕らえる。
(つがい関係):基本的に一夫一妻、まれに一夫多妻。
(巣・卵): 造巣は雌雄で行なう。地上に枯れたヨシやススキを粗雑に積み重ねて基礎部分をつくり、その上部にクズなどを皿型に浅く敷き詰めて産座にする。必ず巣は新規につくる。卵数は5~7個であり、産卵後も頻繁に巣材を運ぶ。
(抱卵・育雛):抱卵期間は約35日間である。抱卵中の雌は巣を離れることは少ないが、時折は抱卵交代が見られる。雄が餌を運んでくると雌は巣を離れて空中で受け取る(餌渡し)。育雛期間は約35日間である。ヒナは巣を離れてから何か所かを移動し、移動するたびに草を倒して擬似巣をつくる。巣立ってもしばらくは親に依存する生活を続ける。
【その他】
  • 絶滅危惧ⅠB類 ※2006年に指定(環境省)
  • 国内希少野生動植物種 ※2017年に指定(環境省)

本プレスリリースのPDF版はこちら/392KB

プレスリリース:政府のプラごみ問題施策方針へのNGO共同提言 ― 代替品や熱回収より「総量削減・リユース」を ―

2020年10月13日

減プラスチック社会を実現するNGOネットワークのメンバー及び賛同20 団体は、9月1日に政府より示された「今後のプラスチック資源循環施策の 基本的方向性(「基本的方向性」)について、本日、笹川環境副大臣に対し、 深刻なプラスチック汚染を確実に解決できるような指針としていくよう求める、小泉環境大臣、及び、笹川環境副大臣宛ての共同提言書を提出 しました。今後速やかに、経済産業省等の関係省庁や各主要政党にも提出する予定です。

日本で発生する廃プラスチックの47%が、ほぼ使い捨て用途の容器包装である中、容器包装を中心にプラスチック製品の生産総量を大幅に削減(リデュース)することと、そのための社会システムの構築が、喫緊の課題です。しかし、基本的方向性では、「リデュースの徹底」といった言葉は使われているものの、実質的には、代替品利用とリサイクルの推進、そして熱回収が解決案の中心となっています。

プラスチックの大量生産と熱回収を含む焼却処理では、地球温暖化を加速させるCO2を発生させます。また、紙製やバイオマス素材の代替品の使用を廃プラスチックのリデュース施策と位置付けてしまうと、代替品が過剰生産され、原材料栽培地への転換による原生林の伐採など、新たな環境問題を発生させる可能性があります。さらに、リサイクルは素材の品質や機能の 低下を伴うものがほとんどであり、現状では資源として循環していません*。今後世界で4倍にまで増えると予想されるプラスチック生産の増加を放置したまま、熱回収や代替品の使用を 推進していくのでは、深刻化するプラスチック汚染の解決策とはなり得ません。加えて漁業 活動等、海域で使用するプラスチックの問題への更なる対応や、拘束力のある国際的な解決の枠組みを早急に発足させることも重要です。

そこで、減プラスチック社会を実現するNGOネットワークのメンバー及び 賛同20団体は、以下の内容を「基本的方向性」に取り入れることを求めます。

  1. 総量を削減するための実効性のある政策の早期導入
  2. 容器包装分野における、リユースを基本とした仕組みの導入
  3. 拡大生産者責任制度の確立
  4. 代替品の位置づけ見直しと、持続可能性の確保
  5. 漁具等、海域で使用するプラスチックの管理施策の促進
  6. 法的拘束力のある国際協定締結の推進

以上

* 品質を落とさずにリサイクルされているのはプラスチック容器包装のうち世界でわずか2%と言われている(世界経済フォーラム、2016)

■お問い合せ先:
WWFジャパン プラスチック政策マネージャー 三沢 行弘
Tel: 03-3769-1718/ Fax: 03-3769-1717 / Email: [email protected]
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大舘弘昌
Tel: 070-1315-9008/ Email: [email protected]


環境大臣
内閣府特命担当大臣(原子力防災)
小泉 進次郎 殿

環境副大臣
笹川 博義 殿

2020年10月13日

「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」への共同提言
― 代替品や熱回収より「総量削減・リユース」を ―

減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク

メンバー団体 (五十音順)
特定非営利活動法人 OWS
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
さがみはら環境問題研究会
一般社団法人 JEAN
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
全国川ごみネットワーク
特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
公益財団法人 日本自然保護協会
公益財団法人 日本野鳥の会
特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
賛同団体 (五十音順)
特定非営利活動法人 アーキペラゴ
小山の環境を考える市民の会
環境問題を考える会
とくしま自然観察の会
Hamaumi-浜松の海を守る会
ふるさと清掃運動会
特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト

令和2年9月1日、産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ、及び、中央環境審議会 循環型社会部会 プラスチック資源循環小委員会の合同会議により、「今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性」(以下、「基本的方向性」という)が示された。深刻なプラスチック汚染の問題が顕在化する中で、それを確実に解決できるような指針としていく必要がある。

日本で発生する廃プラスチックの量は、年間891万トンと世界で3番目に多いが、その内735万トン(82%)を、熱回収を含む温室効果ガスを発生させる焼却処理や、海外輸出、及び埋め立てに依存している*1。また、廃プラスチックの47%は、ほとんどが使い捨て用途の容器包装・コンテナ類(以下、「容器包装」)であるが*1、コロナ禍の状況下で、発生が増加傾向にある。容器包装を中心に、バージン材によるプラスチック製品の生産総量を大幅にリデュースすること、及び、それを可能とする社会システムを構築することが、喫緊の課題である。しかし基本的方向性では、「リデュースの徹底」といった言葉は使われているものの、実質的には、代替品利用とリサイクルの推進による、結果的な削減を見込んでいる。

上記を踏まえ、以下の通り循環型社会形成推進基本法で示された、
1.削減(リデュース)
2.再使用(リユース)
3.再生利用(リサイクル)
という廃棄物管理の基本的な優先順位に立ち返る必要がある。また、代替品の使用を廃プラスチックのリデュースと位置付けてしまうと、代替品が過剰生産され、原材料栽培地への転換による原生林の伐採、土壌の流出、貯蔵炭素の放出など、新たな環境問題を発生させる可能性がある。よって、代替品の使用は、リデュース、リユースが出来ない場合に、補完的な位置づけとして検討されるべきである。

また世界で最も広い範囲に海洋ごみが集中して漂う、日本の国土の4倍以上の広さの「太平洋ごみベルト」と言われる海域においては、ごみの総量の46%をプラスチック素材の漁網が占めており、また、文字が認識できるごみの1/3に日本語が記載されていた*2。漁網等の漁具など海域より発生するものが、海洋プラスチックごみ全体の1から2割を占めており、漁具の流出抑制や回収、適正処理の促進も、優先度の高いプラスチック資源施策として含めるべきである。そして、国際的なプラスチック汚染問題を解決するための国際的な枠組みが存在しない状況下において、法的拘束力のある国際協定の締結に向けて、日本がリーダーシップを発揮していくことが強く期待されている。

ついては、減プラスチック社会を実現するNGOネットワークのメンバー及び賛同20団体は、以下の通り提言する。

  1. 総量を削減するための実効性のある政策の早期導入
    代替品への切替えを除いた、プラスチック製品の生産・流通総量のリデュース目標を設定した上で、レジ袋有料化に続けて、使い捨て用途のより幅広いプラスチック製品に対し、有料義務化や取り扱い禁止も含めた実効性のある具体的な政策を、早急に導入すること。
  2. 容器包装分野における、リユースを基本とした仕組みの導入
    使い捨てプラスチック容器包装モデルの代替として、BtoCの容器包装分野における リユースの仕組みの大規模導入を推進すること。なお、ここで述べる「リユース」には、詰め替え用パウチ製品のように、新たに使い捨てプラスチックを発生させるものは含まない。
  3. 拡大生産者責任制度の確立
    拡大生産者責任制度を全面的に導入し、事業者がライフサイクル全般(回収・リユース・リサイクル)にわたり責任を持ち、回収からリユース・リサイクルまでの全工程を確実に実施するよう義務付けること。
  4. 代替品の位置づけ見直しと、持続可能性の確保
    安易に代替品の使用を推進するのでなく、リデュースやリユース、リサイクルができないものについて、原料の持続可能性やリユースやリサイクルの可能性に十分配慮して導入すること。
  5. 漁具等、海域で使用するプラスチックの管理施策の促進
    漁具等の不適切な管理による海洋への流出を抑えるとともに、流出漁具の回収と適正な処理を推進するために、更なる政策を導入すること。
  6. 法的拘束力のある国際協定締結の推進
    海洋プラスチック問題の解決に向け、包括的で法的拘束力のある国際協定の枠組みを早期に発足させることを日本の政府が支持し、国連環境総会等の場で締結に向けた議論においてリーダーシップを発揮すること。

上記の提言を基本的方向性に取り入れることにより、プラスチックを使い捨てにする社会から早期に脱却し、リデュース・リユースを基本とした社会に移行することが、プラスチック 汚染を防ぎ、脱炭素社会を目指すためにも必要不可欠である。これは、ウィズコロナ、ポストコロナの社会で求められる「グリーンリカバリー」を実現することにつながり、地球の再生能力の範囲内で投入資源を最大限循環させることで新たな資源投入をゼロに近づけるという 「サーキュラーエコノミー」の考え方にも沿っている。世界で使い捨てプラスチック容器包装の2割をリユース可能なものに切り替えるだけで1兆円以上のビジネスチャンスが見込まれるなど*3、この移行は新たな経済価値を生み出すと見られており、国際潮流となりつつあるこの 分野で日本が国際的競争力を発揮していくためにも、以上6項目を提言する。

*1 プラスチック循環利用協会(2019)による2018年の実績。熱回収503万トン、単純焼却73万トン、輸出91万トン、埋立68万トン
*2 Lebreton et al. (2018)
*3 エレンマッカーサー財団 (2019)


本プレスリリースのPDF版はこちら/371KB

プレスリリース:勇払原野一帯では130年ぶり ウトナイ湖サンクチュアリでタンチョウのヒナを確認

2020年10月1日

公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京、会長:上田恵介 会員・サポーター数約5万人。以下、当会)は、2020年5月26日にウトナイ湖サンクチュアリ(北海道苫小牧市)で初めてタンチョウの親子を確認しました。ウトナイ湖を含む勇払原野一帯でのタンチョウの確実な繁殖記録は明治時代前半のものが最後であり、およそ130年ぶりの繁殖確認となります。

■5月26日にヒナ1羽を含む親子を確認

これまで道東に限られていたタンチョウの繁殖地が近年、徐々に道内各地へ拡大を見せるなか、苫小牧市内の弁天沼周辺では2013年以降、継続してタンチョウが観察されていました。また、2018年、2019年とウトナイ湖周辺で飛べるようになった幼鳥を連れた家族が観察されるなど、ウトナイ湖を含む勇払原野でのタンチョウ繁殖への期待が高まってきていました。

そして、2020年5月26日、当会レンジャーがウトナイ湖サンクチュアリ(国指定ウトナイ湖鳥獣保護区特別保護地区、およびラムサール条約湿地)内でヒナ1羽を連れた家族群を確認しました。

なお、タンチョウの親子確認につきましては、繁殖活動への影響を考慮し、これまで情報の公開を控えていましたが、幼鳥の飛翔が可能となり、2020年9月5日にウトナイ湖周辺の農地で同じ親子と思われるタンチョウが確認されたことを受けて、公表することにいたしました。


9月5日ウトナイ湖周辺の農地で確認したタンチョウ親子。サンクチュアリ内で確認した親子と同一と思われる

■確認の経緯

  • 4月15日 市内の農地の堆肥で採食していた成鳥1羽が、ウトナイ湖方面に飛び去る様子を確認
  • 5月26日 17時30分ごろ当会レンジャーがウトナイ湖岸の自然観察路から望遠鏡を用いて観察していたところ、成鳥1羽を確認。繁殖の可能性があったため周辺を捜索した結果、ヒナ1羽を連れた家族を確認。タンチョウへの影響を考慮し、証拠画像の取得後、観察を終了。
  • 6月24日 改めて状況確認のための調査を実施したところ、ウトナイ湖の湿地帯でヒナを連れた家族を確認。合わせて巣の捜索を試みたが、ヨシの生長が早く、発見できず。
  • 7月31日 再びウトナイ湖サンクチュアリ内で状況確認の調査を実施。家族の発見には至らなかったことから、他所に移動したものと考えられる。
  • 9月5日 ウトナイ湖周辺の農場で幼鳥1羽を連れた家族が確認される。


6月24日に状況調査を行ない、ウトナイ湖の湿地帯で親子を再度確認
撮影/日本野鳥の会

※ウトナイ湖全域を見渡せる場所がないことから、一連の調査は、タンチョウへの影響に十分配慮した飛行高度を取ったうえで、環境省の了解のもと、ドローンを用いることとしました。
※詳細な確認位置は、今後のタンチョウへの影響を考慮して非公開とさせていただきます。

■今後について

今後、当会では、タンチョウ繁殖地の保全のため、営巣を含む生息状況について把握する調査を進めることにしています。また、関係する行政機関などとも協議しながら、立入の制限について検討し、さらに、タンチョウの移動経路になっている可能性があるものの、現在保全に関する法的指定のない、美々川流域の保全活動も進めたいと考えています。

■ウトナイ湖サンクチュアリと勇払原野保全について

(公財)日本野鳥の会は、渡り鳥の中継地であるウトナイ湖および美々川をはじめとする勇払原野の自然環境を保全することなどを目的に、1981年に日本最初のサンクチュアリとしてウトナイ湖サンクチュアリを開設しました。以来およそ40年に渡って、勇払原野の保全を進めてきました。2000年から2006年にかけては「ウトナイ湖・勇払原野保全構想報告書」を取りまとめ、2007年以降は弁天沼周辺で希少種の生息状況調査を行って状況把握を進めています。

さらに、2016年からはオオジシギ保護調査プロジェクトを開始し、オオジシギにとっての勇払原野の重要性を明らかにし、その保全に努めています。


ウトナイ湖サンクチュアリの遠景。丸枠内は、今回確認されたタンチョウ親子
撮影/日本野鳥の会

■「日本野鳥の会」について

「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。

独自の野鳥保護区を設置し、シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するイベントや冊子の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。

<組織概要>
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立:1934(昭和9)年3月11日 *創立86年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL:https://www.wbsj.org/

報道関係者様 問い合わせ先:(画像の提供も下記にお問い合わせください)

■(公財)日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ
北海道苫小牧市植苗150-3
TEL:0144-58-2505 / FAX:0144-58-2521
担当:中村聡(なかむら さとし)

■(公財)日本野鳥の会 保全プロジェクト推進室
東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
TEL:03-5436-2634 / FAX:03-5436-2635 / E-mail:[email protected]
担当:田尻浩伸(たじり ひろのぶ)

※掲載いただけます場合には、お手数ですが上記担当までご連絡くださいますようお願い致します
※画像を提供いたします。お問い合わせ下さい。

別紙詳細資料

■タンチョウ繁殖地の道央圏への広がり

釧路湿原での再発見以降1960年代まで、タンチョウの繁殖地は根室・釧路地域に限られていましたが、個体数が増えるにしたがって繁殖地が徐々に拡大し、1970年代に十勝地方でも繁殖するようになりました。そして1980年代には網走地方、2000年代に道北地方(サロベツ原野やクッチャロ湖)でも繁殖が確認され、2012年にはむかわ町周辺で道央圏初の繁殖が確認されました。道央圏では、2020年に長沼町の舞鶴遊水地でも繁殖が確認されており、むかわ町のつがいも継続して繁殖していることから、2020年は今回のウトナイ湖での確認を含めて少なくとも3つがいが繁殖したと言えます。

■勇払原野での確認状況

弁天沼を中心とする勇払原野では、タンチョウは2013年以降、毎年観察されています。近年は同時に複数か所で確認されることもあり、2020年には弁天沼でつがいと思われる2羽が観察されています。

■ウトナイ湖における1982年以降のタンチョウの確認記録

ウトナイ湖では1981年の開設以来、数年に1度観察される程度でしたが、2016年以降は毎年確認されています。

<1982年以降、以下の10件の確認記録があります>

  • 1983年 5月、12月
  • 1992年 12月
  • 1993年 1月
  • 1999年 1月
  • 2001年 3月、12月
  • 2002年 4月
  • 2016年 5月
  • 2017年 4月
  • 2018年 3月
  • 2019年 11月

■タンチョウについて

ツル目ツル科に分類される全長140㎝の大型の種で、国内では北海道東部の湿原を中心に繁殖しています。乱獲や生息環境の破壊により一時は絶滅したと考えられていましたが、1924年に再発見され、以降多くの関係者の努力によっておよそ1800羽にまで回復してきました。近年、徐々に繁殖地が広がってきています。

絶滅危惧II類、国内希少野生動植物種(種の保存法)に指定され、環境省による保護増殖事業が進められています。また、日本を代表する動物のひとつとして国指定特別天然記念物(記念物法)にも指定されています。

本プレスリリースのPDF版はこちら/157KB

プレスリリース:日本野鳥の会が管理する豊田市自然観察の森で環境管理活動により16年ぶりにサシバが営巣

2020年10月9日

公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京)は、指定管理者等として愛知県豊田市にある豊田市自然観察の森(以下、観察の森)の管理運営を2003年度より行っています。

里山生態系の頂点に位置するタカの仲間サシバは、生き物が豊富な里山環境の指標となります。そこで観察の森では、2003年度に周辺の里山124.5haが管理地に含まれたのを機に、サシバを保全目標種とした里山保全事業「サシバのすめる森づくり」を2005年にスタートさせました。具体的にはサシバの餌となるカエルやヘビを増やすため、計12,931haの休耕田を整備し水を張ることでカエルの産卵場所を確保しています。また餌資源の変化を知る指標としてニホンアカガエルの卵塊カウント調査も併せて行っています。

今年6月に管理地内で巣を発見し、ペアが2羽の雛を育てているのを確認しました。これは16年ぶりの営巣で、長く続けてきたこの保全事業の成果と言えます。

また、一旦繁殖が途絶えて後に環境保全活動により復活したのは、全国的にも非常に珍しい例です。


サシバ(学名:Butastur indicus
タカ目タカ科サシバ属
全長約41cm


豊田市自然観察の森・営巣環境

サシバについて

サシバは、東北地方以南に夏鳥として渡来する中型の猛禽類です。南西諸島からフィリピンなどで越冬し、おもにトノサマガエルやニホンアカガエルなどの両生類、シマヘビやニホンカナヘビなどの爬虫類、ヤママユガの幼虫やトノサマバッタなどの昆虫類、小型哺乳類などを食物としています。

東日本におけるサシバの生息地の多くは谷津田や谷戸と呼ばれる里山環境です。サシバの行動圏は約100~200haで、水田と森林の接する長さが長い環境を好むことが知られています。

3月末から4月に飛来し、巣作り、産卵、育雛をへて7月上旬に巣立ちます。9月下旬から10月にかけて、南下し愛知県の伊良湖岬などを経て渡っていきます。

保護活動について

環境省の繁殖分布調査の結果によると、生息分布が急激に縮小していることが示されており、特に関東以西でその傾向が顕著です。そのため、2006年12月に改訂された環境省レッドリストでは、絶滅危惧Ⅱ類としてとりあげられるまでになってしまいました。サシバは、ダム建設事業や道路建設事業、住宅地や工業団地等の面的な開発事業等のほか、水田の圃場整備や耕作放棄等による採食環境の悪化により、その生息に影響を受ける事例が見られます。

日本野鳥の会では、日本自然保護協会、アジア猛禽類ネットワークとともに繁殖地、中継地、越冬地で連携し保全活動を進めています。2019年5月には繁殖地の栃木県市貝町で国際サシバサミットを開催し、今後、中継地の沖縄県宮古島、越冬地のフィリピンなどでも開催予定です。また、調査・保護活動用に本会会員等から集めた中古の双眼鏡や望遠鏡をフィリピンに寄贈する活動も行っています。

豊田市自然観察の森について

観察の森は、身近な自然を都市近郊に確保し、市民が気軽に自然に親しみながら自然のしくみや機能を学び、自然保護について考える場とする目的で、環境省の指導と補助により全国に10か所設置された施設です。観察の森もその1つで1990年6月に開設されました。豊田市の中心市街地の東方約4kmに位置し、標高70~140m、面積28.8ha(周辺地域は124.5ha)。鞍ケ池公園から続く緑地帯の中にあります。中心施設であるネイチャーセンターの他、自然散策道や休憩舎、探鳥用ブラインド等の施設が整えられています。ネイチャーセンターでは自然に関する展示や自然観察のアドバイスや観察コースの案内などを行っています。またガイドウォークや動物・昆虫・植物などの観察会、団体対応なども行っています。観察の森開設から20年目となる2010年には、新しいネイチャーセンターが完成しました。周辺地域124.5haを中心として、「サシバのすめる森づくり」を環境保全の目標としています。

「日本野鳥の会」について

「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。

独自の野鳥保護区を設置し、シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。

<組織概要>
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立:1934(昭和9)年3月11日 *創立86年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL: https://www.wbsj.org/

報道関係者様 問い合わせ先:(画像の提供も下記にお問い合わせください)

■公益財団法人日本野鳥の会 施設運営支援室
担当:大畑 孝二(おおはた こうじ)
〒141-0031 品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03(5436)2625
E-mail:[email protected]
■豊田市自然観察の森
担当:川島 賢治(かわしま けんじ)・斉藤 充(さいとう みつる)
〒471-0014 愛知県豊田市東山町4-1206-1
TEL: 0565(88)1310
FAX: 0565(88)1311
E-mail:[email protected]


本プレスリリースのPDF版はこちら/497KB

プレスリリース:教材『海洋プラスチックごみについて考えよう』を「海の日」にむけ公開

2020年7月10日

海洋プラスチックごみの問題を多くの方に伝え、プラスチックに過度に頼らず、適切な管理をすることで、より持続可能な社会を実現するために、この問題に取り組むNGO4団体[(公財)世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)、全国川ごみネットワーク、(公財)日本野鳥の会、容器包装の3Rを進める全国ネットワーク)]が協働で、教材『海洋プラスチックごみについて考えよう』を作成し、7月23日の海の日にむけ、本日、一般公開いたしました。

日常生活のあらゆる場面で使われるプラスチックが、プラスチックごみとして海洋環境を汚染し、海鳥やウミガメ、魚などの様々な生きものに甚大な影響を与えています。こうした海ごみの約8割は陸由来といわれています。自動販売機の脇に置かれた回収ボックスや町なかのごみ箱は、ペットボトルや弁当の容器であふれています。新型コロナウイルスの影響で使い捨てマスクの消費が増し、ポイ捨てされるマスクも目立つようになりました。このような町なかのプラスチックごみが、海洋汚染の一因になっています。

本教材(PDF)は、各制作団体のホームページから無料でダウンロードできます。全9枚構成で、表面は写真や図版、裏面は解説となっており、野外活動や市民セミナー、学校教育の場などで、印刷して紙芝居のように使うことができます。また、裏面にはプラスチック問題に関する様々な参考資料を掲載しており、子どもたちの在宅学習や、夏休みの自由研究の教材としても利用いただけます。

海洋プラスチックごみの問題は、どこか遠くで起きているものではなく、私たちの日常生活と密接につながっています。この問題を解決するには、一人ひとりが行動することが大切です。教材の中では、プラスチック削減に向けて、個人が取り組めることを紹介しています。一人ひとりでできることは小さくても、多くの人が取り組むことで、社会が変わっていきます。この教材を通じて、海洋プラスチックごみについて多くの方々に知っていただき、共に行動する仲間が増えることを願っています。

■教材『海洋プラスチックごみについて考えよう』

教材『海洋プラスチックごみについて考えよう』

制作:WWFジャパン、全国川ごみネットワーク、日本野鳥の会、容器包装の3Rを進める全国ネットワーク(五十音順)

協力(写真提供): 特定非営利活動法人 OWS

■構成

  1. 海洋プラスチックごみについて考えよう
  2. 今、世界中の海で起きていること
  3. 流出するプラスチックごみ
  4. ごみは、川から海へ
  5. マイクロプラスチックとその問題点
  6. プラスチックごみのほとんどが使い捨て
  7. プラスチックごみの6割以上が燃やされている
  8. 持続可能な循環型の社会をめざして
  9. 私たちにできること

■本教材の公開URL

WWFジャパン:https://www.wwf.or.jp/activities/activity/4356.html
全国川ごみネットワーク:https://kawagomi.jp/2020/07/kaiyou-pla_tool
日本野鳥の会:https://www.wbsj.org/activity/conservation/law/plastic-pollution/kyouzai/
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク:http://www.citizens-i.org/gomi0/activities/umigomi.html
(上記の協働制作4団体のいずれのサイトよりダウンロード可能です)

問い合わせ先:

■WWFジャパン プレス担当:新井
E-MAIL:[email protected]

■日本野鳥の会 自然保護室 担当:山本・岡本
TEL:03-5436-2633 E-mail:[email protected]

プレスリリース:勇払原野での風力発電計画タンチョウやチュウヒなど希少鳥類への影響を懸念

2020年7月9日

日本野鳥の会らが、事業者に計画中止を要請
北海道や環境省へ計画見直しを指導するよう要望

勇払原野の風力発電計画 日本野鳥の会は反対

(公財)日本野鳥の会(事務局:東京。以下、当会)は、希少鳥類の重要な生息地である勇払原野の東部(苫小牧市字弁天~むかわ町字鹿沼)で、「Daigasガスアンドパワーソリューション株式会社」(本社:大阪)が計画する「(仮称)苫東厚真風力発電事業」に対し、事業の中止を求めています。

6月に縦覧された計画段階環境配慮書に示された事業実施想定区域(以下、計画地)周辺では、国内希少種や天然記念物に指定されているタンチョウやオジロワシ、チュウヒやマガンなどの生息が明らかになっており、当会は、これら希少鳥類の保護の観点から、計画に反対するものです。

勇払原野の写真
勇払原野

事業実施想定区域
赤で示したエリアが、事業実施想定区域

計画地は希少鳥類の宝庫

4,000kw級の風車を最大10基建設するこの事業は、1960年代から進められた苫小牧東部開発地域内に計画地があり、面積は564.7ha(うち風車設置対象面積は332.1ha)と、他の一般的な風力発電計画と比べて特に規模が大きいという訳ではありません。しかし、開発地域指定後に放置されたことで生まれた湿地や草原に、今ではマガン、タンチョウ、オジロワシ、オオワシ、チュウヒ、ハヤブサ、オオジシギ、アカモズなど絶滅危惧種等に指定される鳥類が多く生息し、計画地にある湿地や草原は、さながら希少種の「ゆりかご」のようになっています。

計画地に生息する希少鳥類には、風車建設によるバードストライクや生息地放棄などの影響を受けやすい種が多く、この計画が希少鳥類に大きな影響を及ぼすことは確実です。特に国内希少種に指定されるチュウヒは、国内推定数90つがいのうち7つがいが計画地内で繁殖しており、風車建設で全つがいが生息地放棄等を起こした場合、国内繁殖数の約8%が消失することになります。

オジロワシ、タンチョウ、チュウヒの写真
左:オジロワシ 中央:タンチョウ 右:チュウヒ
写真:(公財)日本野鳥の会

事業者に計画中止を要請、道や環境省へは事業者が計画を見直すよう指導することを要望

当会は、風車建設が上記の希少鳥類の生息に影響を及ぼすことは回避不可能と判断し、希少鳥類保護の観点から、令和2年6月30日付で事業者に対し「(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書」を提出し、事業計画の中止を要請しました。

また、令和2年7月9日付で北海道知事宛および環境大臣宛に「(仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する北海道知事(環境大臣)意見に関する要望書」を提出し、計画段階環境配慮書に対して事業の見直しを含む厳しい意見を事業者に提出、行政指導をするよう要望しました。

添付資料

  1. (仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書
  2. (仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する北海道知事意見に関する要望書
  3. (仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見に関する要望書

報道関係者様 問い合わせ先:
■公益財団法人 日本野鳥の会  自然保護室/浦(うら)、保全プロジェクト推進室/田尻(たじり)
TEL:   03-5436-2633(浦) / 03-5436-2634(田尻)
E-mail: [email protected](浦) / [email protected](田尻)

※希望者には、事業者に令和2年6月25日付で提出した、各鳥類への影響等を記した「計画段階環境配慮書に対する意見書」を提供いたします。上記担当にお問合せください。
※掲載いただけます場合には、お手数ですが上記担当までご連絡くださいますようお願いいたします。
※写真はデジタルデータの提供が可能です。使用については必ずご相談ください。禁:無断転載。

別紙詳細資料

■日本野鳥の会 組織概要

組織名 :公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者 :理事長 遠藤孝一
所在地 :〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL   : https://www.wbsj.org/

■これまでに勇払原野の計画地周辺で確認されている希少鳥類

希少鳥類のリスト

■勇払 (ゆうふつ) 原野について

勇払原野とは?

地図

道央圏にある石狩低地帯の一角で、苫小牧から太平洋に至る一帯を「勇払原野」と呼んでいます。 勇払原野はかつて釧路湿原、サロベツ原野とともに北海道の三大原野と言われていました。 約3万6千haの原野を構成する湿原の面積は、過去50年間で著しく減少しているものの、 残された自然環境は、ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、水鳥や草原性鳥類、 絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。

勇払原野の歴史と現状

勇払原野は台地、砂丘、湿原、湖沼と複雑な環境を持ち、先住のアイヌ民族が暮らしていた時代から、川を利用した太平洋側と日本海側を結ぶ交通の要衝として、またサケやシカ等の資源に恵まれた土地として、自然と共存した文化がありました。勇払原野の開拓は江戸時代後期からで、農業開拓は湿地と霧、火山灰土に阻まれ、あまり進展しませんでした。

地図

その後1960年代からの高度成長期に、空港に近く、海にも面した広大な平地として目をつけられ、 第三次全国総合開発計画の一環として、国内有数規模の重化学工業地帯をめざした「苫小牧東部開発計画」がスタートしました。しかしその後オイルショック等の社会情勢の変化により、当初計画の1万700haの 土地の多くが未利用地域として残され、また農地として開拓された場所が放置されて原野化し、結果として鳥類の良好な生息地となっています。

プレスリリース:オーストラリアで大規模森林火災を引き起こした異常気象により北海道内のオオジシギの繁殖数が推定で42%減少したことを確認(3.5万羽→2.0万羽に!?)

2020年7月3日

2020年5月に道内5地域で調査実施

オオジシギ(Gallinago hardwickii)
オオジシギ(Gallinago hardwickii)全長約30cm/シギ科/環境省のレッドリストで準絶滅危惧種 NT

(公財)日本野鳥の会(事務局:東京)は、個体数の減少が懸念されている「オオジシギ(準絶滅危惧種NT)」の保護調査活動を行なっています。オオジシギは春から夏に主に北海道で繁殖し、秋から冬の越冬期をオーストラリア東部で過ごす渡り鳥です。

当会では、2019年秋から2020年春にかけての、オーストラリアで大規模森林火災を引き起こした異常気象(乾燥、高温)が、オオジシギの個体数を減少させたかどうかを把握するため、2018年5月の調査で観測個体数が多かった北海道の5地域(サロベツ原野、宗谷東部、勇払原野、釧路湿原、根室)において、2020年5月に2018年と同じ方法で個体数調査を実施しました。

■2018年との比較で個体数が42%減

その結果、5地域すべてで個体数が減少しており、2018年と比較した場合、個体数は平均で42%減少していました。また、5地域にある全調査地36か所のうち24か所(66%)で、個体数の減少がみられました。

2019年から2020年にかけて、北海道全域または各調査地域でオオジシギの個体数が急に減少するような要因はみられなかったことから、オーストラリアでの高温や乾燥などの異常気象が越冬環境に影響を与えたことで、繁殖地である北海道でこのような個体数の急激な減少をもたらしたと結論づけました。

■来年以降の個体数の動向を注視

当会は北海道内におけるオオジシギの個体数について、2018年に3万5千羽であると推定しましたが、今回のことで2万羽程度に減少したのではないかと推測しています。

オオジシギの生態は未解明な部分が多く、今年減少した個体数が来年以降にすぐに回復するものかどうか予想できませんが、今後モニタリングを続けてもしばらく個体数の回復がみられない場合は、それ以上の個体数を減らさないように、北海道での繁殖環境やオーストラリアでの越冬環境の保護、またそれに伴う国際的な連携など、これまで以上の保全策を講じていかなければならないと考えています。

*調査の詳しいレポートを提供いたします。下記担当にお問合せください。

■オオジシギの生息地

オオジシギ(Gallinago hardwickii)
シドニーの南西、首都キャンベラにある越冬地「ジェラボンベラ湿地」でのオオジシギ。2017年撮影。


●ジェラボンベラ湿地の変化

(1)2017年1月、(2)2020年1月。2020年では湿地の水が干上がり、地面がひび割れている。


報道関係者様 問い合わせ先:

■公益財団法人 日本野鳥の会
自然保護室 浦(うら)
保全プロジェクト推進室 田尻(たじり)
TEL:03-5436-2633(浦)/ 03-5436-2634(田尻)
E-mail:[email protected](浦)/ [email protected](田尻)


※掲載いただけます場合には、お手数ですが上記担当までご連絡くださいますようお願い致します。

※オオジシギの画像、調査の詳細レポートを提供いたします。お問い合わせ下さい。


〈別紙詳細資料〉 公益財団法人日本野鳥の会プレスリリース(2020年7月3日)

■道民には身近? オオジシギとはどんな鳥

オオジシギ

オオジシギは、北海道を主な繁殖地とし、本州や九州、サハリンやロシア極東域の一部でも繁殖するシギの仲間です。夏の終わりころ南半球のオーストラリアまで7,000km近くを移動して越冬し、春になるとまた北海道へ戻ってきます。全長は約30cmとハトより一回り小さい程度の大きさで、体重は170gほどです。

北海道には4月中旬頃にやって来て、主に畑や牧草地、草原などの身近な環境に生息しています。4~6月頃、求愛のために草原や湿原の上空で「ザザザザザーッ」と大きな音を鳴らしながら急降下を繰り返すディスプレイ飛行が特徴的で、別名「カミナリシギ」とも呼ばれています。オオジシギという名前を知らなくても、そのディスプレイを見たことのある人は多いかもしれません。アイヌ語では「チピヤクカムイ」と呼ばれ、古くから親しまれてきました。しかし、身近な鳥であった彼らも、いつの間にか数が減っています。

環境省版レッドリストでは、本州中部で生息地が減少しているという理由から準絶滅危惧種(NT)となっています。当会の2017年の調査では、苫小牧市の勇払原野で17年前(2000年)と比較して個体数が3割も減少したことがわかっています。オーストラリアでも最近の調査により、湿地など生息環境の減少で越冬する個体数が減っているとされています。

■日本野鳥の会のオオジシギ保護調査プロジェクト

日本野鳥の会は、事業のひとつとして、野鳥とその生息地の保護を通じた生物多様性の保全を進めています。そのなかで「ウトナイ湖と北海道の自然保護に役立ててほしい」という意志のご遺贈があったことをきっかけに、オオジシギを保護するプロジェクトを2016年度より開始しました。

オオジシギを対象とした理由は、①世界的に見ても繁殖期の分布域がほぼ北海道のみと非常に狭い、②近年個体数の減少が著しいと言われており、絶滅危惧種となる可能性が高い、③草原・原野環境に生息する他の鳥類の保護につながる指標種にもなりうる、④生息地が開発行為等によって失われやすい、⑤ウトナイ湖周辺が非常に重要な生息地である、ためです。

このプロジェクトでは、明らかになっていないことの多いオオジシギの生態について、オーストラリアの研究者との連携もはかりつつ、各種調査を行ない、その結果をもちいて、普及活動や生息地の保全を進めています。

■日本野鳥の会 組織概要

組織名:公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター約5万人)
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL: https://www.wbsj.org/

プレスリリース:日本野鳥の会 オリジナル小冊子『バードウォッチング健康法~鳥を見て体と心を癒す~』無料プレゼント!

2020年7月1日

公益財団法人日本野鳥の会は、2020年7月1日(水)より、小冊子『バードウォッチング健康法~鳥を見て体と心を癒す~』を、ご希望の方全員に無料でプレゼントします。

バードウォッチングには、適度な運動効果に加え、鳥の声や姿を通して癒しやリフレッシュの効果が期待できます。毎日の生活にちょっぴりお疲れのみなさんに、野鳥観察を生活に取り入れることで、心身の健康維持に役立ててほしいと、この冊子を制作しました。多くの方にご活用いただければ幸いです。

冊子の概要

『バードウォッチング健康法 ~鳥を見て体と心を癒す~』
『バードウォッチング健康法 ~鳥を見て体と心を癒す~』
ハガキサイズ(15×10cm)
中綴じ製本/オールカラー
全22ページ


【内容】
医師監修による、バードウォッチングが心身に及ぼす効果や、気軽に始める方法などを紹介します。見るだけで心癒される美しい野鳥写真も掲載。監修:降矢英成(赤坂溜池クリニック)
【構成】
バードウォッチングが体と心に良い理由/健康バードウォッチングQ&A/心に効いた!バードウォッチング体験/美しい鳥、かわいい鳥でリフレッシュ ほか
【協賛】
味の素株式会社/株木建設株式会社/株式会社キングジム/東亜建設工業株式会社/丸和油脂株式会社/三菱製紙株式会社/山崎製パン株式会社/横浜ゴム株式会社(50音順)

申込方法

1.インターネット
専用ページよりお申し込みいただけます。
小冊子『バードウォッチング健康法~鳥を見て体と心を癒す~』プレゼント! )をご覧ください。
2.郵便・FAX
  1. 氏名
  2. 氏名のフリガナ
  3. 性別
  4. 郵便番号
  5. 住所
  6. 電話番号
  7. メールアドレス
  8. ご覧になった媒体名(新聞・雑誌・番組等の名称)

をご記入の上、「日本野鳥の会 BW健康法係」までご送付ください。

【郵便】 〒141-0031 品川区西五反田3-9-23 丸和ビル 日本野鳥の会 BW健康法係
【FAX】  03-5436-2635

※小冊子の発送は、お申込み受付後に順次行っていく予定ですが、新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては遅れることがございます。あらかじめご了承ください。

■「日本野鳥の会」について

「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。

シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。

<組織概要>
組織名 :公益財団法人 日本野鳥の会
代表者 :理事長 遠藤孝一
所在地 :〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立  : 1934(昭和9)年3月11日 *創立86年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL   : https://www.wbsj.org/

報道関係者様 問い合わせ先

■公益財団法人 日本野鳥の会 普及室 普及教育グループ
担当:江面(えづら)・堀本
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル 
TEL: 03-5436-2622 / 090-5332-5363  (平日10~17時)
FAX :03-5436-2635 / E-mail:[email protected]
URL:https://www.wbsj.org/


※掲載いただけます場合には、お手数ですが上記担当までご連絡くださいますようお願いいたします。

※冊子の画像、イラストをお貸しできます。上記担当までお問い合わせ下さい。

自然保護活動のご支援を お願いします!
  • 入会
  • 寄付