「(仮称)米原風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第2017-081号

「(仮称)米原風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書

平成29年12月15日 提出

項目 記入欄
氏名 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一
住所 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
配慮書についての環境の保全の見地からの意見

 この度、貴社が作成された「(仮称)米原風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。

 貴社が作成された「(仮称)米原風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)に示されている事業実施想定区域(以下、想定区域と言う)は、「滋賀県イヌワシ・クマタカ保護指針」による「イヌワシ・クマタカの分布想定図」および「イヌワシ・クマタカの保護および生息環境保全ゾーン」と重なっている。クマタカは実際に想定区域を含む周辺地域で繁殖しており、また、想定区域に近い霊仙では過去にイヌワシの繁殖が確認されており、現在もイヌワシの生息が確認されている。イヌワシが営巣していると考えられる場所から想定区域までの距離は、イヌワシの平均的な行動圏距離に満たない2km程度しかないため、想定区域はイヌワシが利用する可能性が高い場所であり、繁殖活動域と想定区域は重複すると考えられる。
 国内では繁殖数が少なく、国の天然記念物および国内希少野生動植物種等に指定されているイヌワシと国内希少野生動植物種等に指定されているクマタカは、その保護が必要な種であるが、特に現存する生息地の保全が優先される。過去にイヌワシの生息地周辺で風力発電施設を建設した後に、改変された事業用地が採餌場所となったことでバードストライクが生じた例があることから、特にイヌワシについては風車設置による影響は避けられないと考えられる。また、「滋賀県イヌワシ・クマタカ保護指針」には保護方策の基本的な考え方として、「事業の計画等の段階でも影響の回避・低減等の保全措置を検討・実施し、その生息に対する影響を可能な限り少なくなるように努めるものとする」とある。この指針に照らせば、当該案件は事業の計画、つまり配慮書の段階で影響を回避すべきであり、事業の中止が必要と考える。さらに、想定区域にはサシバ、ハチクマ、ノスリにとって国内で重要な渡り経路が存在するが、風車建設によりこれら渡り経路にどのような影響が出るかは、これまでの国内の知見からでは適切に評価できない。
 以上のことから、貴社が作成された配慮書における風力発電施設の建設計画は、想定区域の選定段階から見直すべきである。

以上

(仮称)上勇知ウィンドファーム事業に係る環境影響評価準備書に対する意見書を提出しました

平成29年11月16日

エコパワー株式会社  御中

「(仮称)上勇知ウィンドファーム事業に係る環境影響評価準備書」について以下のとおり意見書を提出いたします。

特定非営利活動法人サロベツ・エコ・ネットワーク
代表理事 吉村 穣滋
(北海道天塩郡豊富町字豊富東2条5丁目)

日本野鳥の会 道北支部
支部長 小杉 和樹
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142 佐藤里恵方)

北海道ラムサールネットワーク
代 表 小西 敢
(北海道苫小牧市植苗150-3 日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ内)

ゆうち自然学校
代 表 伊藤 輝之
北海道稚内市大字抜海村字上ユーチ原野1099番地4

道北の自然と再生エネルギーを考える会
代 表 富樫 とも子
北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1

■基本的な考え方
 利尻礼文サロベツ国立公園とその周辺には、国内最大の高層湿原があり、どこまでも何もない平原やそこから眺める雄大な利尻富士の景観を求めて多くの人が訪れる。また鳥類をはじめとする国内を代表する貴重な野生生物の生息地であり、渡り鳥にとっては国内有数で国際的にも重要な渡り経路となっている。特に水鳥にとって国際的に重要な中継地であるラムサール条約湿地や重要野鳥生息地(IBA)がある。
 私たちは風力発電の重要性は理解しているが、他の事業を含めると全体としてサロベツを取り囲み、宗谷地方を覆うような風車建設計画には様々な問題点があると考える。加えて、現状ではこれらの地域において、水鳥をはじめとした渡り鳥の生態について明らかになっていない点が多い。
 このような中で、急激な風車建設の集中により、今後永きにわたって利用可能な利尻礼文サロベツ国立公園とラムサール条約登録湿地や、その周辺の自然環境の観光資源を含めた資質を損なう恐れが大きいと懸念する。
 風車建設は、地域にとって大きな影響があるため、協議会などの開かれた場で地域の団体と議論が行われ、地域住民やサロベツとその周辺の利用者が内容を充分に理解したうえで、時間をかけて建設による影響を検証すべきと考える。

以下、準備書の個別内容についての意見を述べる。

■縦覧方法と住民説明会
 縦覧や住民説明会の周知が不十分であるため、事業に対する理解が不十分であり、事業実施後に混乱が起こることが懸念される。

1.周知
 縦覧と意見書募集の周知は、こちらで把握する限り、新聞広告とホームページでの紹介のみだった。エコパワーのホームページ内には説明会開催の案内が見当たらず、新聞の広告を見落とした場合、事業車に問い合わせる以外に説明会の存在を知る術がない状況だった。実際に、こちらで把握している限り、周辺自治体の一般住民で、事業そのものや縦覧・説明会について把握している人は、当方で把握している限り一人もいなかった。稚内市で開催された説明会には関係者以外の一般参加者はいなかった。このため、新聞広告に限らず、回覧やポスター掲示、チラシ配布、関係機関のHP上掲載などで協力を得ることで、より多くの人に知ってもらうよう努力するべきである。

2.縦覧場所
 縦覧場所が、土日祝夜間に閉鎖されている役場等に限られているため、平日の日中に仕事をしている住民などが閲覧する機会がない。土日祝夜間に開館している公共施設を縦覧場所として選択するべきでる

3.オンラインの閲覧方法
 縦覧期間のみインターネット上で閲覧可能であるが、ダウンロードや印刷ができない。数百ページもある図書を、PC上のみで閲覧することは現実的な方法と言えない。実際には、事業に特別興味がある人しか閲覧していない状況と考えられる。縦覧期間終了後に、事後に図書の内容が実際と齟齬がないか精査することができないことは、影響を評価するうえで問題であるため、閲覧期間に限らずいつでも公共施設やインターネットで閲覧可能にすべきである。

4.説明会
 説明会の日程は平日の夜間だったが、より多くの参加を期待するならば、休日の日中又は休日の夜間を選択すべきである。また、説明会に図書が用意されていなかったため、図書の内容を確認しながら、説明を聞き質問することができなかった。このため、説明会では閲覧用の図書を用意するべきである。

■関係者への説明
 地元の環境保全団体であるサロベツ・エコ・ネットワークと日本野鳥の会道北支部に対して、準備書の提供と事業の説明がなされたことを評価する。

■稚内市のガイドライン
 事業地の大半は稚内市の風車に関するガイドラインで法規制により建設が困難な場所、自然保護から建設が望ましくない場所に含まれており、環境保全、景観形成の観点から事業車が自主的に遵守することが求められてる。我々はこのガイドラインの先見性を高く評価している。ガイドラインは社会情勢の変化によって変更される記載されていたが、その景観の重要性は普遍的なもので、社会情勢の変化によって影響されないものである。従って、事業者は現在風力発電事業を推進している稚内市の方針に惑わさせることなく、その重要性を理解したうえで、自主的にガイドラインの重要性を理解したうえで遵守し、風車の建設を避けるべきである。

■改変
 道北7事業では、新たな林道を造成して建設する部分の風車が取りやめになった事例がある。このため、新たに林道を新設して建設するT17-T20は事業区域から除外するべきである。

■騒音
 風車による低周波騒音による人や家畜への健康被害が懸念される。海外では、これらの被害が認められている事例もある。また、その影響は人によって個人差があることが知られており、敏感な人がいないか把握しておく必要がある。今後、風車による人畜への健康被害が発生した場合、事業者による補償内容について、事前に取り決めておく必要がある。

■景観
 大沼バードハウスとメグマ沼からの沼や湿原と利尻富士からなる風景は、稚内市の代表的な景観であり、巨大な人工物がない湿原・丘陵そのものが重要な景観である。しかし、大沼バードハウス、メグマ沼木道や利尻富士とその周辺の眺望が売りのアトリエ華(喫茶店)、自然の景観の中で保育を行っている勇知自然学校からの景観調査は行われていない。このため、これらの場所を景観調査地点として追加し、その結果を評価するべきである。特に、メグマ沼からの景観には利尻富士の景観に風車が重なる恐れがある。これらの場所からの利尻富士とその周辺の眺望範囲を事業地から除外するべきである。
 大沼バードハウスやふれあい公園から見た大沼の周りを囲う丘陵は大沼と一体の景観として重要なものである。このため、この丘陵のスカイラインから突き出た風車の建設は避けるべきである。景観の評価は垂直見込み角のみによって評価されているが、この地方では広々とした景観に価値があるため、圧迫感の有無の評価基準はそぐわない。風車は水平に複数が並んでいるように一体のものとして見られるため、1本1本ではなく、全体的な水平見込み角によって評価するべきである。水平見込み角によって評価すれば、各眺望点からは風車の存在は広々とした景観に対して重大な影響を及ぼしていることが明らかになるはずである。
 サロベツ湿原センターの木道から事業地は視認できない場所があるが、旧サロベツ原生花園はビジターセンターが取り壊され木道が撤去された後も、バス停や駐車帯があるため、多くの人が道路沿いから高層湿原と人工物がない景観を見に来る。サロベツ湿原センターから道路沿いを歩いて散策する人もいる。ここからはサラキトマナイの風車が視認できるが、事業地はここより近く、風車も大きいのでより大きく見えることが予測される。このなにもない湿原の景観は、サロベツを代表するものである。実際にそれを目的に毎年多くの来訪者が訪れ、リピーターも多い。この景観にスカイラインから飛び出る形で風車が建設されると、小さくしか見えないとしてもその景観の価値が損なわれ、観光資源とし損なわれることが懸念される。このため、旧サロベツ原生花園から視認できる場所は事業地から除外するべきである。

■鳥類
1.オジロワシ・オオワシ
 オジロワシは年間衝突予測確率が高いため、少ない調査日数に基づいた調査結果による予測評価の不確実性を補うために、安全面をとって、衝突可能性が高い風車は事業から除外するべきである。事業地周辺にオジロワシが繁殖している場合、風車の衝突や移動阻害を避けるために、安全面から巣から少なくとも半径2kmを事業地から除外するべきであり、少なくともその圏内にあるT14-T16は事業から除外するべきである。秋から春にかけて、オジロワシ・オオワシが越冬場所として高頻度に利用する場所も事業地から除外するべきである。

2.ハイタカ
 海外の事例ではハイタカの巣から1km以上を事業地から避けることが求められているため、ハイタカの巣に近いT14-T16は少なくとも事業から除外するべきである。

3.ガン・ハクチョウ類
 事業地内はガン・ハクチョウ類がロシアから日本に渡る上での主要なフライウェイである。図書の飛翔経路には飛翔軌跡に個体数が表示されていないので、適切に評価ができない。空間的な利用頻度をメッシュ地図(目視による飛翔軌跡の位置不確実性からメッシュの大きさは大きめにするべきである)により示したしたうえで、影響を評価するべきである。
 事業で行われた調査日数と我々が独自に行った結果と比較すると、調査日数の割に確認数が少ないので、影響を評価するのに十分な調査結果が得られていないと考えられる。その原因として、春の調査では1回目の調査時期が早すぎ、4回目と補足2回目の調査時期が遅すぎたこと、秋の調査では4回目の調査時期が遅すぎたことが挙げられる。加えて、調査日数が少ない状況で、調査日が連続しており、風、視界、気温などの渡り調査に適した気象条件の日を選んだ調査を行わなかったことが挙げられる。調査結果では種ごとに評価しているが、同様な渡りの動きをするため、合わせてガン・ハクチョウ類としてひとまとめにして累積的な衝突率として評価するべきである。大沼・サロベツ間は、条件によっては一日中渡り続けることがあるが、現状の調査日数と方法による結果ではそれ見逃した可能性が高い。また、風車の視認が難しい夜間にも渡ることが知られているため、日中の調査のみの評価は不十分である。以上から、実態が過小評価されていると考えられ、マガンやコハクチョウの年間衝突予測確率より実態はかなり高いことが予測される。これらの評価の不確実性を考慮するために、安全面をとって評価し、少しでも影響あると判断された場所に位置する風車は事業区域から除外するべきである。また、仮に風車を避けたとしても、高頻度に利用される場所では障壁影響が大きくなるため、事業地から除外するべきである。

4.小鳥の渡り
 宗谷地方は、日本とロシアとの間を渡る小鳥類の主要な国際的渡り経路となっている。近隣の地域の事例を見ると、多くの小鳥が特に秋に海岸沿いを渡っていることが予測される。普通種であっても、個体数が多ければ衝突や移動阻害などの大きな影響が懸念されるため、その影響をレーダー調査等によって評価し、影響が大きい地域は事業地から除外するべきである。

■哺乳類
 現状の調査方法ではコウモリの生息の実態を把握するには不十分である。事業地内の森林でコウモリ類が多く生息する場合は衝突の恐れがある場所は、事業地から除外するべきである。

■事後調査
 事業地はガン・ハクチョウ類の主要なフライフェイに位置するため、事後調査にガン・ハクチョウの渡り調査を加え、渡り経路の変化やバードストライクを把握する必要がある。また、タンチョウも今後生息範囲を拡大する可能性があるため、事後調査に加える必要がある。
 現状の評価では他事業者の風車が建設されないことを前提としているため、他事業の風車が建設された時点で調査をやり直し、累積的影響を評価し直すことが必要である。これらの調査方法は鳥類の専門家や地域の環境保全団体などの有識者と協議の上、決定するべきである。
 希少猛禽類の繁殖成績は年により変動があるため、1年間では影響を把握するのは不十分であるため、事後調査は2年以上行うべきである。
 死骸調査の調査範囲は、死骸が風で飛ばされる恐れがあるため地上からブレード先端までの高さより広めに設定するべきである。死骸調査の調査員は発見精度と識別精度を高いことが必要であるため、鳥類や哺乳類調査の経験がある者が行い、調査の透明性を高めるために、環境保全団体などを始めとした第3者の立ち会いを認め、独自に調査を行うことを了承するべきである。
 景観はフォトモンタージュ結果と実際に齟齬がないか検証するために、事後調査を行うことにより検証するべきである。

■累積的評価
 道北エナジーによる風車建設予定地(勇知と川西)事業地と三浦電機による建設予定地(勇知)が近隣にある。その位置は一度公開されたものであり、エコパワーはその位置を把握しているはずである。これらの場所で風車が建設される可能性がある以上、これらの事業を累積的影響の評価に加えるべきである。事業地は春秋の日本の主要渡り経路である大沼サロベツ間のガン・ハクチョウ類のフライフェイの中心に位置し、そこに風車が建設されることによる移動阻害は大きいと考えられる。実際には気象条件により渡りの経路は変動するため、2.5kmの幅に渡りの経路を押し込めることは鳥類の渡り行動を変えることを意味し、逆に道北エナジーの道北7事業や三浦電機等よる多くの風車の建設により、風車を避けた鳥類が移動経路として当事業地域に集中し、影響が増大する恐れがある。従って、提案されている配慮措置は不十分であるため、累積的影響の評価を、道北7事業などの他事業者の事業や地域の団体を含めた協議会の場で行うべきである。
 景観による影響も他の事業の風車が集中することによって累積的影響が増大することが懸念されるため、累積的評価を行うべきである。

■協議会の設置
 これまで、地元の団体などと十分な協議が行わなかったため、合意形成が不十分である。今後の調査や影響の評価と環境保全措置などの検討は、各専門の有識者や地元の環境保全団体・観光関係者などが参加する公開された協議会を設置し、十分に話し合った上で行うべきである。

北九州響灘洋上ウインドファーム(仮称)に係わる計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

「北九州響灘洋上ウインドファーム(仮称)に係わる計画段階環境配慮書」に対する意見書

日本野鳥の会北九州支部 支部長代行 前田伸一(公印省略)
(公財)日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一(公印省略)

1.藻場の喪失による鳥類への影響について
 本事業における計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)に示されている事業実施想定区域には多くの藻場が存在するが、それは、魚類の産卵及び稚魚の成育の場として重要である。風力発電施設建設に係わる工事による藻場の消失は、魚類の生息地が破壊され、個体数の減少を招くなどの影響を引き起こし、鳥類のヒメウ、ウミウ、ミサゴ等の採餌環境が悪化することが予想されることから、そのような影響を予測し、評価できるような計画をすること。

2.建設工事による鳥類への影響について
 工事の着工から運転開始まで数年かかると思われる。工事期間中は、大型クレーン船や作業船の頻繁な稼働や往来による海鳥の生息地放棄と移動の阻害の発生が予測される。特に、海上を採餌、休息、移動で利用する種への影響を予測し、影響の発生が予測される場合には必要な影響回避策を検討すること。

3.海域の生態系について
 経済産業省が作成した発電所に係わる環境影響評価の手引を参考として、海域の生態系については配慮事項に選定しないとあるが、海鳥への影響(衝突死、生息地放棄、移動の阻害)は海域の生態系に少なからず影響を及ぼすと思われることから、事業実施想定区域とその周辺の海域の海鳥および生態系に及ぼす影響を予測し、必要な影響回避策を検討すること。

4.鳥類への影響低減策について
 鳥類に風車の存在を認知させ、風車を回避させる効果的な方策が見当たらないといわれる状況ではあるが、以下の方策を検討すること。
・紫外線が出る塗料(コアジサシにはよく見えるといわれる)の使用。
・鳥類への忌避効果があるといわれる、脊髄反射で反応してしまう音響の発生(海域では騒音問題になりにくい)。

5.配慮すべき主な鳥類の種について

1)オオミズナギドリ(日豪・日ソ渡り鳥条約掲載種)
 白島で集団繁殖する本種については、NEDOによる洋上風力発電等技術研究開発での実証研究によれば、ブレードの回転範囲(高度M)の飛翔は確認されておらず、そもそも事業実施想定区域内での 飛翔は少ないとされているが、響灘地区の陸域では2件の風車への衝突死が発生している。海上においても、気象条件によっては高度Mを飛翔し、事業実施想定区域内を飛翔する可能性があると推測されることから、可能な限り、霧・強風等の荒天時にも調査を実施し、影響を評価すること。

2)ミサゴ(環境省RDB(以下、国と言う):準絶滅危惧種)
 響灘地区の陸上と洋上の風車では、すでに3羽のミサゴが風車に衝突死しているが、何の対策も実施されていない。洋上における大規模な風力発電施設の建設は、さらにミサゴの衝突死が発生する恐れがあり、そのことは本事業の配慮書内でもその可能性を認めているところから、本事業において実効性のある衝突防止策を実施すべきである。

3)ハチクマ(国および福岡県:準絶滅危惧種)
配慮書では、従来の関門海峡→風師山→足立山ルートを主要なルートとし、かつ高空を飛翔するため風車への衝突死等の影響を受ける可能性は低いとしているが、
近年の若松区高塔山における個体数調査により、総数の多くが高塔山・響灘ルートを渡っていることが分かっている。
●事業実施想定区域に近い白島の上空を飛翔するハチクマは、90羽以上が確認されている(2016年9月福岡県委託調査日本野鳥の会北九州支部の調査より)。
●飛翔高度において、当支部会員が、高空ばかりでなく比較的低空(高度M)を飛翔する個体を複数目撃している。
●ハチクマの渡りルートおよび飛翔高度は、毎年の観察結果から、気象条件等によって大きく変わることが分かっている。従来のデータよりも、近年の観察データを参考にすること。

【参考1】若松区高塔山における秋期渡りハチクマ個体数

2014年秋期 2015年秋期 2016年秋期
若松区高塔山 3002 8218 6135

(出典:日本野鳥の会北九州支部 荒井)

(※高塔山での調査個体数は、ハチクマが集結する長崎県五島市福江島の同年秋期調査個体数の約40%~60%である。)
 よって、事業実施想定区域を飛翔するハチクマに留意して調査し、洋上風力発電事業がハチクマに与える影響を予測し、配慮すべき種として明記すること。
 なお、第4.3-9図にあるハチクマの渡り飛翔ルート(H23.秋)では、藍島上空を通過後に、事業実施想定区域を迂回しているが、この飛翔ルートは、地元で普段から観察している者として、不自然さを感じる。

4)カラスバト(国:準絶滅危惧種、福岡県:絶滅危惧Ⅱ類、国指定天然記念物)
 本種は島嶼に生息する留鳥だが、白島(男島)での調査において、約30羽のカラスバトを確認した(2015年9月福岡県委託調査日本野鳥の会北九州支部調査より)。約30羽すべてが白島に留鳥として生息する個体とは考えにくく、島嶼間を移動していると推測できる。
 白島は事業実施想定区域外ではあるが、カラスバトが周辺海域上を移動していると考えられるため、洋上風力発電事業がカラスバトに与える影響を予測し、配慮すべき種として明記すること。

5)カンムリウミスズメ(国:絶滅危惧Ⅱ類、福岡県:絶滅危惧ⅠA類、国指定天然記念物)
 「ジオロケータにより明らかになったカンムリウミスズメの移動経路」(山口典之 他、2014年)では、カンムリウミスズメが唐津湾沖合の烏帽子島から響灘→豊後水道→青森県を通ってほぼ日本一周していることが分かった。また、2014年5月には、事業実施想定区域付近での洋上センサスにおいて、カンムリウミスズメ5羽が確認されている(環境省委託調査 三洋テクノマリン)。
 洋上風車がカンムリウミスズメに与える影響としては、特に建設工事中における生息地放棄が懸念されるため、その影響を予測し、配慮すべき種として明記すること。

6)コアジサシ(国・福岡県:絶滅危惧Ⅱ類、国際希少野生動植物種)
 本種は毎年のように繁殖地を移動するなど繁殖場所が安定せず、保護が進まないといわれるが、近年は響灘地区に多数飛来しており、2016年には響灘ビオトープ内で一つがいが繁殖に成功した。本種の採餌範囲を把握するためにも、事業実施想定区域およびその周辺で飛翔行動調査を実施し、洋上風力発電事業が本種に与える影響を予測し、配慮すべき種として明記すること。


7)チュウヒ(国:絶滅危惧ⅠB類、福岡県:絶滅危惧ⅠA類)
 響灘埋立地の5区画は本事業の風車組み立て・積み出しゾーン計画地であるが、この5区画で本年(2017年)もチュウヒが営巣し(参考2)、採餌場所として利用している区画である。特に冬期は採餌のため頻繁に5区画を飛翔していることが分かっている(響灘ウインドエナジーリサーチパーク建設事業環境影響評価準備書 平成26年11月より)。
 5区画は本事業の実施想定区域外ではあるが、関連事業としての風車組立・積み出しゾーンがチュウヒの生息に重大な影響を与えることは明らかであると推測されるため、響灘地区における最重要種であるチュウヒに与える影響を予測し、配慮すべき種として明記すること。

【参考2】5区画におけるチュウヒの繁殖状況

2010年 ヒナ3羽の確認
2011年 3羽の巣立ち確認
2013年 2羽の巣立ち確認
2014年 巣材運び確認
2017年 2羽の巣立ち確認

(日本野鳥の会北九州支部の調査より)

8)カモメ類、カモ類、ウ類、カイツブリ類、サギ類
 海域と陸域を往来するこれらの種は、特に冬期において響灘地区の海上、沿岸、陸上で観察される。中でもカモメ類は、国内外において風力発電施設への衝突事例が多く、普通種と呼ばれる種に対しても洋上風力発電事業が与える影響を予測し、適切な配慮をすること。また、響灘埋立地及び白島とその周辺海域、沿岸部で記録されている種の中で、ヒシクイ、ツクシガモ、オシドリ、カンムリカイツブリ、シロエリオオハム、ヒメウ、クロサギ等の重要種が存在することに留意すること。

6.白島(福岡県特別鳥獣保護区)の鳥類について
 白島は島嶼としての生態系を保ちながら、石油備蓄基地と共存する貴重な場所である。この白島ではオオミズナギドリが集団繁殖し、2014年の繁殖期には周辺海域において337羽、夏季には364羽のオオミズナギドリが確認されている(環境省委託調査 三洋テクノマリン)。さらに秋季は2倍以上に増えている(本州からの個体が加わるためと推測)。
 白島は事業実施想定区域外ではあるが、ハヤブサやミサゴの重要種も繁殖する島嶼であり、その貴重性を考慮し、この機会に調査を行い、洋上風力発電事業が白島の鳥類および生態系に与える影響を予測するべきである。なお、白島に飛来するオオミズナギドリは毎年その数に変動があると思われるので、飛来数が少ないときに調査を行うと、過小評価のおそれがあることに留意すること。
 さらに、建設工事中においては、作業船等からのネズミ類が白島へ侵入しないよう留意すること。

7.その他
1)響灘地区の陸域で発生した7種16羽の衝突死においては、これまで何の対策も実施されず、今後も衝突事故が繰り返される恐れがある。また、生息地放棄や移動の阻害が起きれば、響灘地区の生物多様性に重大な影響を及ぼすと思われる。
 この度の洋上風力発電計画では、この反省を生かすために、影響が発生した際の保全対応策を策定しておくなど、抜本的対策の実施が望まれる。

2)この度の事業計画において、鳥類への配慮がなされず、影響の低減策が不十分な場合は、建設基数の削減を含む、事業の見直しを行うこと。

以上

(仮称)能代山本広域風力発電事業計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第 2017-004号

「(仮称)能代山本広域風力発電事業計画段階環境配慮書」に対する意見書

平成29年4月21日 提出

項目 記入欄
氏名 ①日本野鳥の会秋田県支部  支部長 佐藤 公生
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
住所 ①〒010-0101 秋田県潟上市天王追分86-15
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
配慮書についての環境の保全の見地からの意見

 この度、貴社が作成された「(仮称)能代山本広域風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。

 貴社が作成された「(仮称)能代山本広域風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)に示されている3つの事業実施想定区域(以下、想定区域と言う)のうち、浅内鵜川エリアと能代北エリアは八郎潟と小友沼および小友沼と津軽半島とを結ぶガン・ハクチョウ類の主要な渡り経路を大きく含むものである。想定区域の浅内鵜川エリア北東部にある小友沼では、春に1万羽、秋に3万羽のガン類が中継地として利用し、渡り経路となっている。
 貴社の配慮書にある影響評価では、「ガン類の飛来地となっている小友沼については、浅内鵜川エリアが主要な移動ルートになっているとみられるが、今後、事業区域を絞り込んだ上で、現地調査、予測を行い、その結果を踏まえて重要な生息地や鳥類の飛翔を考慮した配置、生息状況に応じた環境保全措置を検討することにより、重要な影響を回避又は低減することが可能と評価する。」とある。
 風力発電施設の建設によるガン・ハクチョウ類への影響については、バードストライクと言われる衝突死よりも、渡りや移動経路としての利用を避ける障壁影響が大きいと言われている(日本野鳥の会2009、浦2015、日本野鳥の会2016)。障壁影響は風力発電施設の2~3km手前から生じ、施設を大きく迂回して飛翔を行うものである。なお、障壁影響が渡り鳥にもたらす影響については、飛行エネルギーの大幅な損失とそのことによる繁殖および越冬状況への負の効果が生じることが考えられる。
 このことから、3つの想定区域のすべてに風車を設置した場合、3つの想定区域が含まれる地域全体において、ガン・ハクチョウ類が渡り経路として利用することを避ける可能性がある。
 そのため、少なくともガン・ハクチョウ類の渡り経路が多い浅内鵜川エリアのすべてと能代北エリアの西半分については想定区域として選定しないことで、当該地域のガン・ハクチョウルイの渡りと風力発電施設の建設の両立を図るべきである。
 以上のことから、貴社が作成された配慮書における風力発電施設の建設計画は、想定区域の選定段階から見直すべきである。

以上

(仮称)大滝風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書を提出しました

日野鳥発第2016-140号
2017年 2月24日

インベナジー・ジャパン合資会社
職務執行者 天野 明 様

 公益財団法人日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志

「(仮称)大滝風力発電事業 環境影響評価方法書」に対する意見書

 日頃より、当会の活動に関しまして、ご理解をいただきありがとうございます。
 貴社が平成29年1月20日より縦覧を開始された「(仮称)大滝風力発電事業方法書 」に対し、野鳥保護のための対象事業実施区域抜本的見直しの必要性の観点から、下記の通り意見を述べます。

●対象事業実施区域の移動及び事業計画の抜本的見直しについて
 貴社が作成した環境影響配慮書に対する経済産業大臣意見のうち、[1]総論(1)対象事業実施区域の設定の項目で、「事業実施想定区域内には、自然環境保全基礎調査において植生自然度が高いとされた植生、重要野鳥生息地(IBA)及び水資源保全地域等が重複して存在し、重要な自然環境のまとまりの場となっていることから、現地調査の結果、改変により水環境、動物、植物及び生態系への重大な影響が避けられない区域については、原則として対象事業実施区域から除外すること。」とある。
 また、(2)事業計画の抜本的見直しの項目に、「2.(3)~(6)により、水環境、鳥類、植物、生態系及び景観に対する影響を回避又は十分に低減できない場合は、風力発電設備等の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の大幅削減を含む事業計画の抜本的な見直しを行うこと。」とある。
 方法書に記載されている、これら経済産業大臣意見に対する貴社の見解は、「経済産業大臣の意見に従い、重大な影響が避けられないと判断された場合は、対象事業実施区域から除外し、事業計画の抜本的見直しの指摘に対しても、影響を回避又は十分な低減ができない場合は、事業計画の抜本的な見直しを行います。」と回答している。
 しかし、貴社が配慮書作成のために先行して実施している事前の現地調査の結果等から、環境に対し著しい影響を及ぼす恐れが予測されることが明らかであるにもかかわらず、竹山周辺に24基もの大型風車を集中して建設する計画としている。このことが、重要な自然地域を分断し、野鳥をはじめとする生態系に重大な影響を与えることは明らかである。従って、経済産業大臣及び北海道知事の配慮書に対する意見に対し、貴社が方法書において回答した見解と大きく矛盾している。経済産業大臣等の意見に従い、事業計画位置の抜本的な見直しを行うべきである。

以上

連絡先:
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
公益財団法人 日本野鳥の会
浦 達也
TEL:03-5336-2633
Eメール:[email protected]


(仮称)宗谷丘陵風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書を提出しました

平成29年2月17日

株式会社道北エナジー  御中

「(仮称)宗谷丘陵風力発電事業 環境影響評価方法書」について以下のとおり意見書を提出いたします。

特定非営利活動法人サロベツ・エコ・ネットワーク
代表理事 高瀬 清
(北海道天塩郡豊富町字豊富東2条5丁目)

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志 (公印省略)
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)

日本野鳥の会 道北支部
支部長 小杉 和樹 (公印省略)
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142 佐藤里恵方)

北海道ラムサールネットワーク
代 表 小西 敢 (公印省略)
(北海道苫小牧市植苗150-3 日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ内)

■基本的な考え方
 利尻礼文サロベツ国立公園とその周辺には、国内最大の高層湿原があり、どこまでも何もない平原やそこから眺める雄大な利尻富士の景観を求めて多くの人が訪れる。また鳥類をはじめとする国内を代表する貴重な野生生物の生息地であり、渡り鳥にとっては国内有数で国際的にも重要な渡り経路となっている。特に水鳥にとって国際的に重要な中継地であるラムサール条約湿地や重要野鳥生息地(IBA)があり、また、宗谷丘陵はサハリンから北海道に渡る際の渡りの隘路(ボトルネック)にあたり、非常に重要な場所である。
 私たちは、地球温暖化対策としての風力発電の導入の重要性は理解しているが、一方、他の事業を含めてサロベツ原野全体を取り囲み、また、宗谷地方全域を覆うような風力発電施設の建設計画は問題が多いと考える。加えて、現状ではこれらの地域において、水鳥をはじめとした渡り鳥の生態について明らかになっていない点が多い。
 このような中で、急激な風力発電施設の建設により、今後永きにわたり、宗谷地方の自然環境および観光資源としての資質が高い自然を損なう恐れが大きいと懸念する。
 風力発電施設の建設は地域社会にも大きな影響を与えるため、協議会などの開かれた場で議論を行い、地域住民やサロベツとその周辺の利害関係者が内容を充分に理解したうえで、時間をかけて建設による影響を検証すべきと考える。以下、方法書の個別内容についての意見を述べる。

■縦覧方法と住民説明会
 本事業を含め、貴社による他の事業でも再三に渡り指摘してきたことであるが、準備書の縦覧や住民説明会の実施方法に問題のあることが、事業の内容の理解や影響の評価が十分になされない大きな原因となっている。現状では地域住民の意見が十分に反映されないため、事業実施後に大きな問題が起こることが予想される。

1.周知
 アセス図書の縦覧や説明会の周知は、こちらで把握する限り、新聞広告とHPでのみ行われている。この周知をHP上や新聞広告に限らず、回覧やポスター掲示、チラシ配布、関係機関のHP上掲載などにより、より多くの人に知ってもらうよう努力するべきである。

2.縦覧場所
 縦覧場所が、土日祝夜間に閉鎖されている役場等に限られているため、平日の日中に仕事をしている住民などが閲覧する機会がない。土日祝夜間に開館している公共施設が存在するにもかかわらず、あえてそのような選択をしなかった理由を明らかにするべきである。

3.オンラインの閲覧方法
 縦覧期間のみインターネット上で閲覧可能であるが、ダウンロードや印刷ができない。数百ページもある図書をパソコン上のみで閲覧することは現実的な方法と言えない。実際には、事業に対して特別に関心を抱いているごく一部の人しか閲覧していない状況と考えられる。また、利用可能ブラウザの制限や図書の拡大縮小などのソフトフェアの機能が大きく制限されており、非常に使いにくい。縦覧期間終了後に、準備書の内容が実際と齟齬がないか精査することができないことは、影響を評価するうえで大きな問題である。閲覧期間に限らずいつでも公共施設やインターネットで閲覧可能にすべきである。

4.住民説明会
 住民説明会の日程は、平日の日中と夜間であった。日中に時間がある酪農地帯であることを加味しても、より多くの参加を期待するならば、休日の日中または休日の夜間を選択すべきである。事業者の都合に合わせた日程であると考えざるを得ない。

■利害関係者への説明
 環境影響評価の専門員や現場担当者が、サロベツ・エコ・ネットワークに事業内容について説明しに来たことは評価する。一方で、これまで対応した他の事業者は、我々を信頼し、図書のすべてが提供されてきた。私たちは環境保護団体であることから、環境保護にとって不利なことを行うことは有りえない。環境影響評価を行う目的の一つは、地元への説明責任を果たし、事業に対し理解を得ることである。理解を得たうえで建設的な協議をするためには、情報の共有を行うことが不可欠である。実際に、道北7事業の第1回協議会では、一部を除いて図書の提供がなかったことが理解不足につながり、すぐに建設的な議論を始められなかった大きな原因になったと考えられる。この教訓を生かして、私たちに図書のすべてを提供すべきである。

■景観
 景観調査地点として、事業地が視認可能な稚内公園、大沼バードハウスを加えるべきである。メグマ沼自然公園の重要な景観は最北の高層湿原なので、調査地点はゴルフ場の駐車場ではなく、木道の西端にするべきである。

■鳥類
1.オジロワシ・オオワシ
 渡り個体の正確な飛翔位置を把握するために、定点調査と合わせてレーダー調査を行うべきである。また、事業計画地内にある既存の風車周辺でのワシの利用や回避の状況を詳細に調査するべきである。ワシの渡りは気象状況に大きく左右されるが、方法書にある調査日数は少ないことを鑑みると、調査は連続した日程で行うのではなく、渡り鳥にとって条件(天気・風向き・風の強さ)が良い日を選んで実施するべきである。

2.ガン・ハクチョウ類
 渡り個体の正確な飛翔位置を把握するために、定点調査と合わせてレーダー調査を行うべきである。ガン・ハクチョウ類は夜間に渡るため、夜間もレーダー調査するべきである。また、既存の風力発電施設の周辺でのガン・ハクチョウ類の利用状況や回避状況を詳細に調査するべきである。調査は連続した日程で行うのではなく、渡りの条件(天気・風向き・風の強さ)が最適な日を選んで実施するべきである。ガン類とハクチョウ類では好む渡りの条件と時期が異なるため、種に合わせて対応するべきである。

3.小鳥の渡り
 宗谷地方は、日本とロシアとの間を渡る小鳥類の主要かつ国際的な渡り経路となっている。多くの小鳥が渡ることが予測されるため、レーダー調査を行うべきである。ある条件が整った日に一斉に渡るため、調査日は連続した日程で行うのではなく、渡りの条件(天気・風向き・風の強さ)が最適な日を選んで実施するべきである。

4. 死骸探索調査
 事業予定地周辺に既存の風力発電施設があることから、風車の周りを最低でも月2回ずつ、渡り時期など鳥類の飛来が多い時期は月3回以上、風車のタワーから半径100m程度を5-10m間隔程度(植生による)で歩き、死骸の鳥等の種や個体数を明らかにするべきである。死体が消失する時間を加味した上で、風力発電施設への脆弱性が強い鳥類や衝突率を明らかにするべきである。また、既存施設の過去の鳥類の衝突状況を調べるべきである。これらの調査の結果を、風車による影響を評価する上での参考資料とするべきである。

■哺乳類
 コウモリ類は飛行するため、計画地(付帯施設、工事用・搬入道路を含む)の周囲1 km以内を音声調査範囲、周囲5 km以内を捕獲調査範囲として定めるべきである。また、ねぐら位置を把握するための調査を行うべきである。そして、鳥類と同様に死体調査を行うべきである。

■累積的評価
 既存の風力発電施設を避けた鳥類が移動経路として当事業地域に集中し、影響が増大する恐れがある。景観による影響も風車が集中することによって増大することが懸念される。さらに、本事業は既存の「宗谷ウインドファーム」に近接、また一部重複する計画となっており、「宗谷ウインドファーム」は、現時点でさえ大規模なウインドファームであることから、本事業が加わることで一層大規模なものになることが予想され、慎重な累積的評価が必要となる。このため、累積的影響の評価を、道北7事業などの他事業者の事業を含めて行うべきであるとともに、既に実施している道北協議会に含めて協議すべきである。

■協議会
 これらの調査結果の評価は野鳥保護団体や地元の団体・観光関係者・地元自治体などを含めた開かれた協議会の場で行うべきである。

 以上の意見について、個別に回答を求める。

(仮称)浜里風力発電事業環境影響評価準備書に対する意見書を提出しました

平成29年2月8日

株式会社 道北エナジー 御中

「(仮称)浜里風力発電事業環境影響評価準備書」について以下のとおり意見書を提出いたします。

特定非営利活動法人サロベツ・エコ・ネットワーク
代表理事 高瀬 清
北海道天塩郡豊富町字豊富東2条5丁目

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志(公印省略)
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹(公印省略)

北海道ラムサールネットワーク
代表 小西 敢(公印省略)
北海道苫小牧市植苗150-3
(公財)日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ内(事務局)

■基本的な考え方
・利尻礼文サロベツ国立公園とその周辺には、国内最大の高層湿原があり、どこまでも何もない平原やそこから眺める雄大な利尻富士の景観を求めて多くの人が訪れる。また鳥類をはじめとする国内を代表する貴重な野生生物の生息地であり、渡り鳥にとっては国内有数で国際的にも重要な渡り経路となっている。特に水鳥にとって国際的に重要な中継地であるラムサール条約湿地や重要野鳥生息地(IBA)となっている。私たちは風力発電の重要性は理解しているが、全体としてサロベツを取り囲み、宗谷地方を覆うような風車建設計画には様々な問題点があると考える。加えて、現状ではこれらの地域において、水鳥をはじめとした渡り鳥の生態について明らかになっていない点が多い。私たちは急激な風車建設により、今後永きにわたって利用可能な利尻礼文サロベツ国立公園とラムサール条約登録湿地やその周辺の自然環境の観光資源を含めた資質を損なう恐れが大きいと懸念する。風車建設は地域にとって大きな影響があるため、渡り鳥の不明な生態を明らかにした上で、全体像を把握し、協議会などの開かれた場で、地域住民やサロベツとその周辺の利用者が内容を充分に理解したうえで、時間をかけて建設による影響を検証すべきと考える。
以下に準備書の個別内容についての意見を述べる。

■縦覧方法と住民説明会
・再三に渡り指摘してきたことであるが、準備書の縦覧や住民説明会のやり方に問題があるため、事業の内容の理解不足や影響の評価が十分にできない大きな原因となっている。現状では地元や関係者の理解を得られていないため、事業実施後に大きな問題が起こることが懸念される。

1.周知
縦覧や説明会の周知が新聞広告とHPでの紹介のみで不十分だった。実際に豊富町や幌延町の一般住民で縦覧や説明会について知っている人はこちらで把握している限り一人もいなかった。周知をHP上や新聞広告に限らず、回覧やポスター掲示、チラシ配布、関係機関のHP上に掲載などで行うことで、より多くの人に知ってもらうべきである。

2.縦覧場所
縦覧場所が土日祝夜間に閉鎖されている役場等に限られているため、平日の日中に仕事などしている住民が閲覧する機会がない。土日祝夜間に開館している公共施設は存在するにもかかわらず、あえて選択しない理由を示すべきである。

3.オンラインの閲覧方法
縦覧期間のみインターネット上で閲覧可能であるが、ダウンロードや印刷ができない。数百ページもある図書をPC上のみで閲覧することは現実的な方法と言えない。実際には事業に対して特別に関心を抱いている一部の人しか閲覧していない状況と考えられる。また、ブラウザの制限や図書の拡大縮小などの機能が大きく制限されており、非常に使いにくい。縦覧期間終了後に準備書の内容が実際と齟齬がないか精査することができないことは影響を評価するうえで大きな問題であるため、閲覧期間に限らずにいつでも公共施設やインターネットで閲覧可能にするべきである。

4.説明会
説明会の日程は2か所が平日の日中であり、1か所が平日の夜間だった。日中に時間がある酪農地帯であることを加味しても、より多くの参加を期待するならば、休日の日中または休日の夜間を選択するべきである。事業者の都合に合わせた日程であると考えざるを得ない。説明会場には、背広を着用した関係者が会場内に待機しており、一般参加者が中に入りにくい雰囲気だった。実際に参加しようとしたが、雰囲気を場違いに感じ、会場に入らないまま帰った住民がいた。一般参加者が入りやすい会場の雰囲気にするよう工夫することも重要と考える。実際に豊富・幌延・天塩の3つの説明会の参加者は同業者を除いてすべてサロベツ・エコ・ネットワークが個別に呼びかけた参加者(すべての参加者は事業自体を知らなかった)で、住民説明会であったにもかかわらず一般の参加者は一人もいなかった。これでは、住民説明会としての機能を果たしていないことになる。事業者の周知の方法に問題があったと言わざるを得ず、改善するべきである。

5.説明会で私たちが質問したことに対し、図面が提示されず、口頭のみ、または図書のページを示したうえでの回答だった。しかし、質問者に対してしか説明がなかった。これでは図書の内容を熟知したものでなければ、内容を理解できない。住民説明会である以上、どんな質問に対しても速やかに回答できよう、人数分の図書を用意できないのであれば、該当する箇所をスライドなどですぐ示せるように準備し、質問内容を共有し、質問者以外にも内容が理解できるように努めるべきである。

■関係者への説明
・道北7事業の時と比較して、非公開部分を含む図書を持参した上での環境影響評価の専門員や現場担当者がサロベツ・エコ・ネットワークに説明したことや、非公開情報を含む図書の一部が提供されたことを評価する。一方で、他の事業者は我々を信頼し、これまで図書のすべてが提供されてきた。私たちは環境保全団体であることから、希少種の保全にとって不利なことを行うことは有りえないことである。環境影響評価を行う目的の一つは地元への説明責任を果たし、理解を得ることである。理解を得たうえで建設的な協議をするためには情報の共有することが不可欠であることから私たちに図書のすべてを提供するべきである。

■事業地の選定
・事業地は国民の共有財産であるサロベツの国立公園に4方を囲まれた飛び地にある。すぐ東側は国立公園の中核となる特別保護地区に含まれる海岸砂丘が広がり、西側には海岸草原と隣接している。国立公園の重要な部分に隣接する場合、緩衝帯を設けるべきと考えるが、幅が狭いため設けることができない。事業地は本来国立公園に含まれるべき特質を備えているが、幌延町などが編入しなかった場所である。今でもその地域の国立公園になるべき重要性に変わりはない。さらに、事業地の東側半分は重要野鳥生息地に設定されており、砂が採取され、砂丘林が消失した後も、引き続き多くの野鳥が生息し、渡り経路として利用されている。以上から、事業地は選定場所としてとして不適切である。

■改変
・道北7事業で新たな林道を造成して建設する部分の風車が取りやめになった例がある。工事用道路、取り付け道路は既存のものを利用し、自然林や草地が残存している箇所に新たな道路を設置することは避けるべきである。

■騒音
・風車建設予定地から2-10km以内の近い場所に人家等があるため、風車による低周波騒音による人や家畜への健康被害が懸念される。海外ではこの被害が認められている事例もある。その影響は人によって個人差がある。地元では非常に敏感な人がおり、それが原因で引っ越した人もいる。今後風車による人畜への健康被害が発生した場合の事業者による補償内容について事前に取り決める必要がある。

■景観

1.サロベツを代表する重要な景観
国立公園である下サロベツ湿原の中核となる幌延ビジターセンターやそこから伸びる下沼、小沼、パンケ沼までの3kmの木道やパンケ沼から西側を眺めると人工物が何もない湿原と砂丘林、利尻富士が見える景観が広がっている。このなにもない景観はサロベツ湿原を代表するものであり、実際にそれを目的に毎年多くの来館者が訪れ、リピーターも多い。特にパンケ沼は写真コンテストで受賞作品が出るほど夕日が有名な場所であり、毎年カメラマンによる夕日撮影ツアーが開催されている。この景観の中に一つでも人工物が建設されると、その良さが大きく損なわれ、国立公園としての資質を大きく損なわれるだけでなく、関連するエコツアーを行うための観光資源にも大きく影響を及ぼすことが懸念されるため、風車の建設をさけるべきである。

2.国立公園の利用者が求めるもの
風車の景観は観光資源になると準備書に記載されていたが、すでに音類風力発電所があるため新たな観光資源としては十分機能しており、新たなもの必要性を感じない。これまでは風車が珍しかったため、観光資源となったが、多くの風車の建設計画がある中で、今後も観光資源と成り得るか疑問であり、幌延ビジターセンター方面からのサロベツの景観や海岸から海岸砂丘林を眺める場合にむしろ大きな支障となることが懸念されるため、建設を避けるべきである。幌延町の観光資源についての地元や周辺向けの祭りのアンケート結果では、風車が観光資源と成り得る根拠が引用されていたが、全国から訪れる観光客にとって何が魅力か知るためには有効な結果ではないと考える。サロベツは豊富町と幌延町でつながっており、サロベツ湿原センターの木道からも音類の風車が視認できる。風車が大きく、豊富に近い浜里で風車が建設されれば、なにもない湿原が魅力である景観が損なわれ、同様に観光資源として大きく損なわれることが懸念されるので、建設を避けるべきである。

3. 事業者の景観配慮案
景観の配慮案として幌延VCから利尻富士と風車が重なる部分の風車建設をとりやめにした案が提示されたが、裾野に風車がかかっているため、写真に写る。景観の配慮としては不十分である。その周りの砂丘林上もスカイラインより上に風車が飛び出る形になっている。この景観は利尻富士と砂丘林、サロベツ湿原が一体となって初めて価値があるものであり、風車の存在は景観に対する悪影響が著しい。このため建設を避けるべきである。

4.海岸から砂丘林を見た場合
海岸から見た景観は利尻富士だけでなく、砂丘林側の人工物が見えない風景も重要である。景観調査では利尻富士だけが景観の評価対象になっているが、内陸側を眺めた場合に風車の存在は国立公園である海岸砂丘林の景観を著しく損なうものであり、その大きさから圧迫感もある。その風景は調査地点に限らず車窓から豊富町との境界までずっと続くものである。このため、風車の建設を避けるべきである。

■鳥類
風車による鳥類への影響は衝突だけ考慮すればよい訳ではない。衝突による影響を避ければよいとした場合、風車を避けて飛翔する傾向のある鳥類がどれだけ高頻度で利用していても、風車の建設が可能という評価になる。しかし、道北7事業における経済産業大臣意見では風車を避けるとされているガン・ハクチョウ類が高頻度に利用する地域の風車の建設は「とりやめ」の評価だった。浜里においても高頻度地域での風車の建設は避けるという考え方が必要である。

1.オジロワシ・オオワシ
 当地域周辺にはオジロワシの巣が存在する。繁殖個体は数か月間、巣の周辺を利用する。渡り個体が一時的に滞在するよりも確実に高頻度に利用されており、調査回数が少ないことから安全面をとって行動圏すべての範囲内の風車建設を避けるべきである。
 オジロワシ・オオワシが渡り鳥として、春と秋の利用頻度が評価されているが、両種は冬鳥で当地域に越冬するので、海岸漂着物が重要な餌となる冬季の利用状況も含めて評価することが不可欠である。このため、秋から春までの期間のデータを用いて再評価するべきである。漂着があった場合に多くの海ワシが集まり周辺の利用頻度が高くなることが明らかになった。事業地は全域に海岸に餌が漂着する可能性があり、利用頻度が高くなる可能性があることから、事業地内の風車の建設は避けるべきである。
 環境影響評価では海ワシ類は風車を避けるとしているが、その根拠を示すべきである。たとえ避けたとしても、高頻度に利用される場所では移動阻害による影響が大きくなるため、風車の建設を避けるべきである。

2.チュウヒ
 チュウヒは事業地内を主要な餌場として高頻度に利用している。風車の衝突の危険度に留まらず、高頻度に利用している場合、障壁影響が大きくなるために、風車の建設を避けるべきである。

3.ガン・ハクチョウ類
 ガン類の渡り調査結果のうちペンケ沼に入る個体とペンケ沼から東側に向かいすぐに着陸した個体は渡りではなく、中継地と採餌場所との往復の行動である可能性が高いため、これらの記録を外したうえで、利用頻度を再計算してから影響を評価するべきである。
 ハクチョウ類は事業地を高頻度に利用しているため、建設を避けるべきである。環境影響評価ではガン・ハクチョウ類は風車を避けるとしているが、その根拠を示すべきである。たとえ避けたとしても、高頻度に利用される場所では移動阻害による影響が大きくなるため、風車の建設を避けるべきである。

4.小鳥の渡り
 宗谷地方は日本とロシアとの間の主要な国際的な渡り経路に位置する。浜里は海岸沿いに位置するため、特に多くの小鳥が特に秋に渡っていることが予測される。普通種であっても、個体数が多ければ、衝突や移動阻害などの大きな影響が懸念されるため、その影響をレーダー調査によって評価するべきである。

5.累積的評価
 道北7事業による多くの風車の建設により、風車を避けることによりこれまで内陸を通っていたガン・ハクチョウ類の渡り個体が海岸に集中して渡り、影響が増大する恐れがある。その場合の累積的評価の対象を勇知に限らずに、道北7事業全体と宗谷丘陵の事業を含めて行うべきである。

■哺乳類
・東側の列の風車は国立公園の海岸砂丘林の際に当たるため、森林性のコウモリの出入りが予想され、衝突が懸念されるが、バットディデクター調査位置は際から遠く、生息状況を充分に把握できなかった可能性があるので、影響を充分に評価できない。このため、際の部分の影響を適切に評価するために再調査を行うべきである。

以上の意見について個別の回答を求める。

(仮称)宮古岩泉風力発電事業についての要請書

日野鳥発第2016-014号
平成28年5月12日

岩手県知事
 達増 拓也 殿

日本野鳥の会岩手県連絡協議会
会長 似内 功孝

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
141-0031東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)宮古岩泉風力発電事業についての要請書

 平素より日本野鳥の会が進める自然保護活動についてご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、宮古市から岩泉町にまたがる地域に計画されている「(仮称)宮古岩泉風力発電事業」について、すでに2016年2月3日付で当協議会から岩手県知事宛に事業計画に反対の要望書を提出しています。その後、対象事業実施区域(以下、計画地と言う。)の近傍に新たに、イヌワシの営巣地を発見しました。そして、過去の釜石広域ウインドファームでのイヌワシのバードストライクの事例から考えても、今回の風力発電施設の建設がイヌワシの生息可能性に影響を与えると考えられるので、事業者である株式会社グリーンパワーインベストメントに、計画中止を求めているところです。これについて、事業者に対し、計画を見直すことを県行政として適切に指導してくださいますこと、強く要請いたします。

1. 計画地について
 計画地は、北上高地の主峰、早池峰山の北に位置する兜明神岳から堺の神岳に至る稜線上にあり、風車は一杯森、サクドガ森から害鷹森、上松森に至る尾根上に設置される予定です。そこに大型風車(定格出力2850kw、全高136.5m、ブレード長51.5m)を70基も建設するという、岩手県内ではかつてない大規模なもので、森林の伐採、取付け・作業道路の拡張と新設、風車の設置場所の造成、送電線の敷設など広範囲に環境改変(環境改変面積62.14ha)をもたらすものです。

2. 計画地から1500mにイヌワシの営巣を確認
 計画地はイヌワシ、クマタカの主要な狩場で、探餌飛翔もしばしば記録されています。平成28年3月に日本野鳥の会宮古支部は、和井内放牧場の北部、堺ノ神沢の崖にイヌワシの巣を発見しました。その時点ではヒナはいませんでしたが、新しい松の枝があったことから、最近になって営巣に失敗したものと考えられます。また、平成27年夏季には巣立ったばかりのイヌワシ幼鳥1羽の飛翔が同所で見られていることから、ここは繁殖の可能性が非常に高いと判断されます。

3. バードストライクの恐れ
 現在の風車には有効なバードストライク対策が存在せず、すでに釜石広域ウインドファームでは設置開始からわずか4年弱で、イヌワシの国内初のバードストライクが発生しました。その後、釜石広域ウインドファームでは、有効なバードストライク防止策がとられないまま、稼働を継続しています。本来であれば、有効な対策、保全措置が講じられた後に、稼働を再開すべきです。

 以上のことから宮古岩泉風力発電事業の計画見直しについて、適切に行政指導をしてくださいますようお願いいたします。 

以上

(仮称)日南風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第2016-004 号

(仮称)日南風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

平成28年4月25日 提出

項目 記入欄
氏名 ①日本野鳥の会宮崎県支部 支部長 前田 幹雄
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
住所 ①〒889-1605 宮崎県宮崎市清武町加納乙62‐90
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された(仮称)日南風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。

 現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)を縦覧している日南風力発電事業について、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮崎県レッドリストにも掲載されているクマタカ、サシバの生息が予想される事業実施想定区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、衝突死(以下、バードストライクと言う)が発生する危険性が高い。また、サシバやハイタカなど希少猛禽類の渡り経路に対しても障壁効果等の影響を与えることが懸念される。
 特に、国内ではクマタカが過去に風車によるバードストライクに遭った事例があることから、計画地に風車を建設した場合、クマタカでバードストライクの起こる可能性が高いと考える。そのため、クマタカの生息状況の確認および猛禽類の渡りに係る調査について、質、量とも十分なものを求める。

理由

(1)配慮書によると、クマタカについては、専門家の意見聴取で平坦部や市街地以外の広い場所にいるとしている。つまり、計画地周辺でも生息している可能性が高いことを示唆している。
 会員の情報によると建設予定地の舞之山から西側3㌔の黒山(標高691㍍)や同西側5.6㌔の小松山(標高989㍍)でもクマタカを確認していることから、舞之山周辺でも多く生息している可能性が高く、行動圏内に建設された風車によるバードストライクの危険性が高い。

(2)配慮書によると、第4、3-2表(2)鳥類の重要な種への影響の予測結果があるが、これにはサシバより後に南下するハイタカ、ツミ、チョウゲンボウ、チゴハヤブサ、ハチクマが入っていない。こうした猛禽類もサシバと同じコースを南下しており、実際に日本野鳥の会宮崎県支部が別の調査中に、計画地の東側にある北郷町で秋の渡り時期にサシバやハチクマ等を記録している。風車の建設は南下する猛禽類にとってバードストライクまたは障壁効果による渡り経路の変更といった影響をこれらの鳥類に及ぼす可能性が高い。

(3)鳥類の重要種としてミゾゴイ(宮崎県レッドリスト絶滅危惧ⅠB種)など24種の鳥類をあげている。配慮書では、計画地内でアオバズク(宮崎県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類)、ツツドリ(同準絶滅危惧種)、オオルリ(同準絶滅危惧種)など14種が生息する可能性をあげている。一方、これら以外であっても県鳥であるコシジロヤマドリ(同準絶滅危惧種)や秋の渡りに記録されているハイタカ、ツミなどの希少猛禽類、夏鳥のコノハズク(同絶滅危惧Ⅱ類)、ヤイロチョウ(同絶滅危惧ⅠB類)などは重要種としてあげられていない。
 計画地での風車の建設は、配慮書で重要種として挙げられている以外の希少な鳥類の生息に対しても少なからず影響を及ぼすと考える。

(4)評価結果について「調査、予測及び評価の結果、バードストライク及びバットストライクの重大な環境が避けられないとの結論に至った場合には、風力発電機の配置等の検討を行うことにより、実現可能な範囲で対策に努めることにする」と述べているが、バードストライクだけでなく、「渡り経路の変更」および「生息地の放棄(事実上の生息地からの追い出し)」といった影響についても、影響の回避または低減策を検討すべきである。

 以上の理由から、計画地およびその周辺において、一般的な環境影響評価よりもさらに詳しい調査を求めるところである。
 貴社においても、風車の建設にあたっては、野鳥の生息状況等を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

(仮称)第二中九州大仁田山風力発電事業 環境影響評価方法書に係る意見書に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第 121 号

(仮称)第二中九州大仁田山風力発電事業 環境影響評価方法書に係る意見書

平成28年3月11日 提出

項目 記入欄
氏名 ①日本野鳥の会宮崎県支部 支部長 前田 幹雄
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
住所 ①〒889-1605 宮崎県宮崎市清武町加納乙62‐90
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
評価書についての環境の保全の見地からの意見

 この度、貴社が作成された(仮称)第二中九州大仁田山風力発電事業に係る環境影響評価方法書について、次のとおり意見を提出します。

 現在、貴社が環境影響評価方法書(以下「方法書」と言う。)を縦覧している第二中九州大仁田山風力発電事業について、対象事業実施区域(以下「計画地」と言う。)に風力発電施設を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で、かつ宮崎県レッドリストに掲載されている、国内希少野生動植物種のクマタカにおいて衝突死(以下、バードストライクと言う)等の影響が発生する危険性が高く、また、サシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路に対しても障壁効果等の影響を与えることが懸念される。
 そのため、計画地およびその周辺において、一般的な環境影響評価より質、量とも十分で詳しい調査を行い、クマタカの生息および猛禽類の渡りの状況を把握したうえで、適切な保全措置を講じることを求める。

理由

(1)方法書によると、現在、建設工事中の中九州大仁田山風力発電事業予定地周辺(以下「建設地」と言う。)において、クマタカ(平成24年および25年の調査)が3つのエリア(北東ペア、南東ペア、西ペア)に生息していることが分かっている。この他、さらに3番いがの計画地周辺に生息していることが分かった。計画地周辺に営巣地が2カ所あることも分かっている。クマタカは過去に風車によるバードストライクに遭った事例があることから、計画地周辺での風車の建設はバードストライク等の影響が発生する可能性が高いと考える。

(2)方法書によると、建設地で実施された希少猛禽類調査で、サシバが平成24年秋に27回、25年秋に17回、ハチクマが24年秋に5回、ハイタカが24年秋に14回、ツミが24年秋に8回確認されている。また、平成27年4月にはサシバの渡りと考えられる飛翔を23回記録している。
 さらに、方法書にある専門家の意見でも「本州または朝鮮半島から渡ってくるルートは中央山地を利用している可能性があると言われており、当該地域もその一部に該当すると思われることからサシバの秋の渡りのルートにも留意していただきたい」と述べられている。また、「サシバと同じルートをハチクマが利用している可能性がある。サシバより約1カ月早い時期に渡りを開始するので、こちらも留意してもらいたい」と指摘されている。
 これらのことから、計画地一帯にはサシバを中心とする希少猛禽類の渡り経路が存在しており、風車の建設がバードストライクまたは障壁効果による渡り経路の変更といった影響をこれらの鳥類に与えると考える。

(3)日本野鳥の会宮崎県支部が2014年9月14日に計画地周辺で鳥類調査を行った結果、大仁田山南側でクマタカの飛翔を3回(4羽)記録した。また、2羽のサシバが計画地の稜線上すれすれを北から南へ飛翔したことを確認した。1日だけの調査でも大仁田山周辺や南側でクマタカ等の猛禽類が頻繁に活動していることが確認された。
 また、この調査ではアカヤマドリ(宮崎県レッドリスト準絶滅危惧種)など21種の鳥類を記録している。貴社が作成した配慮書では、計画地内でルリビタキ(宮崎県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類)、カッコウ(同準絶滅危惧種)、オオルリ(同準絶滅危惧種)など10種、計画地周辺でもハチクマやコノハズク(同)、ヤイロチョウ(同絶滅危惧ⅠB類)、サシバ(同準絶滅危惧種)など、希少種を含む24種の鳥類の生息およびその可能性を指摘し、重要種として指定している。
 これらのことから、計画地での風車の建設は、猛禽類を含む多くの希少鳥類の生息に対し、少なからず影響を及ぼすものと考える。

(4)専門家も指摘しているようにフクロウ類の調査が不足している。フクロウ、オオコノハズク、夏鳥のコノハズク、アオバズク、数の少ないヨタカを主な対象とした夜間調査も実施すべきである。

(5)方法書の第7.1-2表(4)にある「重大な環境影響が考えられる事項についての評価の結果」の動物の部分において、「渡り鳥や猛禽類等の鳥類について、バードストライクの重大な影響が避けられないとの結論に至った場合は、風力発電機の配置等の検討を行う」と保全措置を述べているが、バードストライクだけでなく、障壁影響による「渡り経路の変更」および「生息地の放棄(事実上の生息地からの追い出し)」といった影響についても、影響の回避または低減策を検討すべきである。

 以上の理由から、計画地およびその周辺において、一般的な環境影響評価よりもさらに詳しい調査を求めるところである。
 貴社においても、風車の建設にあたっては、野鳥の生息状況等を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう、適切な対応をとることを強く求める。

以上