「幌延町・天塩町における風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に対する意見書を提出しました
「幌延町・天塩町における風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に対する意見書
| 氏 名: | ①日本野鳥の会道北支部 支部長 小杉 和樹 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤仁志 |
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| 住 所: | ①〒097-0401 利尻郡利尻町沓形字富士見町 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
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| 連絡先: | ① 0163-84-3145 ② 03-5436-2633 |
この度、貴社が作成された「幌延町・天塩町における風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」について、次のとおり意見を提出します。
(1)事業全体について
事業実施想定区域(以下、想定区域という。)の設定に関して見直しを行うべきである。特に現配慮書時点で大きな影響が予想される地区については、想定区域から現時点で除外すべきである。
また、今回、貴社が事業実施区域を想定した幌延町・天塩町に近接する豊富町においては、既に他の事業者が風力発電事業に係る方法書を提出し、一方、貴社においても今後、稚内市及び豊富町に事業実施区域を想定した配慮書を提出する予定と聞き及んでいることから、それぞれの事業案件毎の環境影響配慮だけではなく、宗谷・留萌地方全体(稚内市・豊富町・幌延町・天塩町)での風力発電事業計画を公表し、その上で、各事業間の複合的かつ累積的な内容も配慮書に含め、宗谷・留萌地方全体の広域的な視点にも重きを置いて、想定区域の見直し、除外の検討をするべきである。
理由
想定区域は、「利尻礼文サロベツ国立公園」の特別保護地区、特別地域に隣接している。サロベツ原野は泥炭上に形成された湿原であり、低平地における国内最大の高層湿原を有する他、国内最大級の浮島のある瞳沼や大規模な湿地溝の発達が見られるなど、国内では他に類を見ない規模の大きい湿原景観を有しているが、風力発電施設の存在は、湿原景観上に大きな影響を及ぼすことが強く懸念される。
また、想定区域は、国指定サロベツ鳥獣保護区や幌延鳥獣保護区に近接若しくは一部重複している。さらに、国際的にもラムサール条約湿地「サロベツ原野」やバードライフインターナショナルの重要野鳥生息地IBA(Important Bird and Biodiversity Areas)にもなっていること。またこれらの地域は、オオワシやオジロワシなどの希少猛禽類、ハクチョウ類やガン・カモ類など、多数の渡り鳥のルートとなっていることは明らかである。
さらに、想定区域周辺で鳥類観察を行なっている専門家によれば、絶滅危惧Ⅱ類のチュウヒ、タンチョウ、準絶滅危惧種のミサゴ、オオタカ、ハイタカの生息が確認されている。特にサロベツ鳥獣保護区やIBAは、野鳥の集団渡来地として選定されていることからもわかるとおり、採餌地、ねぐらとして頻繁に利用されており、風力発電施設の建設及び施設の稼働はこれらに大きな影響を及ぼす。
更に、鳥類に関する保護並びに自然景観の保全に関して述べれば、宗谷・留萌地方に夥しい風車が乱立された場合、鳥類の移動に対して風車が著しい障害壁となることに加え、当地域の良好な自然景観を著しく破壊することになる。
(2)各想定区域について
当配慮書の時点で、想定区域C,D,E,Fを想定区域から除外した配慮書とすべきであり、また、想定区域A,Bに関しては準備書の段階で、より慎重な評価と影響の軽減策についての検討をすべきである。
理由
- 想定区域A
想定区域Aの稜線周辺は、秋にノスリを中心としたタカ類の渡りのルートとして利用されていることが知られているが、今回の配慮書段階での評価がなされていない。また、繁殖期にはミサゴやハチクマ、チゴハヤブサの生息が確認されていることから、風力発電施設を建設すれば、それらの鳥類に衝突死等の多大な影響を与える可能性が高い。 - 想定区域B
想定区域Bでは、クマゲラ(絶滅危惧Ⅱ類)、ミサゴ、オオタカ、ノスリの営巣地が確認されており、風力発電施設の建設及び稼働は、これら営巣地の喪失を引き起こす可能性がある。
また、この区域に風力発電施設が建設された場合、ペンケ沼、パンケ沼を中心とした国立公園区域の景観に大きな影響を及ぼす。 - 想定区域C
同区域は、天塩町振老地区の旧天塩川跡の三日月湖を春の塒、産士地区を春と秋の塒として利用しているガン類が、採餌場となっているE地区や天塩町更岸地区への飛行するコースになっている。また、ハクチョウの群れは、渡りの際に同区域の上空を飛ぶものも多い。この場所に、風力発電施設を建設すれば、それらの鳥類に衝突死等の多大な影響を与える可能性がある。
また、同区域内にはミサゴ、オオタカの営巣地もあり、これらの営巣地の喪失を引き起こす可能性がある。
このように、想定区域Cそのものが重要な鳥類の利用空間であり、風力発電施設が建設された場合、衝突による死亡の恐れが高いのみならず、採餌場所等の重要な資源が失われ、生息地の喪失が引き起こされる可能性も高く、この地区を想定区域とすることは不適当である。 - 想定区域D
想定区域D北側の牧草地は、ペンケ沼を塒にしているガン類(秋にはオオヒシクイが、春にはマガン)のほとんどの個体が採餌場として利用している場所であり、想定区域とすること自体不適当である。
また、ガン類以外にも、ここを採餌場にしているものは多く、タンチョウ、チュウヒの他、今までに毎年記録されているものとしては、シジュウカラガン、サカツラガン、ハクガン、チゴハヤブサ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、シロハヤブサ、ノスリ、ケアシノスリなどが挙げられ、特にカリガネ、オジロワシ、ハヤブサ、ハイイロチュウヒ、ハイタカ、オオタカ、ミサゴは毎年記録され、さらに、想定区域北側に隣接する原野では、タンチョウとチュウヒが繁殖している。
一方、想定区域D南側の地区は、採餌場所として一部のガン類が利用しているほか、タンチョウも時期によって頻繁に利用し、前述の猛禽類もよく記録されている。 また、ガン・ハクチョウ類の飛行コースにもなっていることから、この区域も想定区域とすること自体不適当である。
このように、想定区域Dそのものが重要な鳥類の利用空間であり、風力発電施設が建設された場合、衝突による死亡の恐れが高いのみならず、採餌場所等の重要な資源が失われ、生息地の喪失が引き起こされる可能性も高く、この地区を想定区域とすることは不適当である。
また、建設工事の際、不透水層の下にある支持基盤まで杭を打つこととされているが、工事に伴って被圧地下水層を貫通して支持基盤まで孔を開けることから、湿原の水位に与える影響に関して影響を防ぐことができるか不確実である。もし、万一、地表水の水位に変動を与えた場合、湿原の植生のみならず、湿原の生態系そのものに取り返しのつかない変化を及ぼすおそれがある。
さらに、国立公園の区域に隣接し、サロベツ原野特有の湖沼・湿原の景観への影響も大きい。 - 想定区域E
天塩川対岸の天塩町振老地区の旧天塩川(三日月湖)は、春季におけるガン類・ハクチョウ類の塒になっており、この区域は塒から採餌に向かう飛行コースにあたっている。また、天塩川下流の汽水域には冬期、凍結しない場所があることから、カモ類やオジロワシ、オオワシが餌場として利用している。さらに、春秋の渡りの時期には更に多くのオジロワシ、オオワシが記録されており、隣接している原野では、チュウヒが営巣しているなど、年間をとおしてこれらの希少な野鳥との衝突の危険性が高いため、この地区を想定区域とすることは不適当である。 - 想定区域F
想定区域F南側の既設風車では、既にわかっているだけでも今までに6羽のオジロワシが衝突死している。
一方、F区域ではシロフクロウ、シロハヤブサといった希少な野鳥の観察記録があるほか、隣接する砂丘林ではオジロワシが営巣し、さらに春秋の渡りの時期には、多くのワシタカ類が同区域や隣接する区域を通過・滞在するため、バードストライクの発生する可能性が高い。
また、秋に渡来するハクチョウの一部には、想定区域F北側の稚咲内地区の海上から渡来して、砂丘林を越えてペンケ沼、パンケ沼に向かうグループがあるため、バードストライクや既設風車との累積効果など、これら野鳥の渡り経路を阻害する可能性が高い。このような理由から同区域を想定区域とすることは不適当である。
「(仮称)石巻風力発電事業に係る環境影響評価準備書」に関する意見書を提出しました
(株)ユーラスエナジ―ホールディングス 御中
「(仮称)石巻風力発電事業に係る環境影響評価準備書」に関する
意見書
平成27年3月11日
| 項 目 | ご 記 入 欄 |
| お 名 前 法人その他の団体にあっては 法人名・団体名・代表者の氏名 |
①日本野鳥の会宮城県支部 支部長 竹丸 勝朗 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| ご 住 所 法人その他の団体にあっては、 主たる事務所の所在地 |
①〒982-0811 仙台市太白区ひより台20-7 ②〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル |
| 連 絡 先 | ①022-244-0038 ② 03-5436-2633 |
| 準備書についての環境の保全の見地からのご意見 日本語により意見の理由を含めて記載してください。 |
(仮称)石巻風力発電事業 環境影響評価準備書」について、次の通り意見を提出します。
以上 |
「(仮称)勇知風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書を提出しました
日 野 鳥 発 第 90 号
「(仮称)勇知風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書
平成27年1月8日提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会道北支部 支部長 小杉 和樹 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| 住 所 | ①〒097-0401 利尻郡利尻町沓形字富士見町 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
| 方法書についての環境の保全の見地からの意見 |
(1)6-41(251)~6-53(263)頁の鳥類調査方法について ①ルートセンサス法について 1.計画地における鳥類の繁殖状況を把握するためには、現存する環境要素をできるだけセンサスルートに含める必要があるが、方法書に記されている13ルートで対象事業実施区域(以下、計画地と言う)にあるすべての環境要素を網羅できているか示すこと。 2.1つのコースにつき、出現種数が飽和する4~6回のセンサスを行うことで1回の調査とし、2年間実施すること。 ②ポイントセンサス法について 1.調査は毎月実施し、特に繁殖期など計画地で鳥類の種数または個体数が増える時期には、月に2回以上の調査を実施すること。なぜなら、Douglasら(2012)によると、調査回数を重ねる方が重ねないのに比べて、風車に対する鳥類の衝突確率の計算結果において低い数字が算出される、つまり真の値に近づくためである。 ③鳥類(渡り鳥)の調査について 1.調査対象はコハクチョウ等のガン・カモ類だけでなく、猛禽類や小鳥類など対象を広く観察すること。 2.調査は11月も行うこと。なぜなら、計画地では11月も一般鳥類が渡っている可能性があるためである。 3.1週間連続した観察を1回の調査として月2回、または3日間連続した観察を1回の調査として月4回、2年間実施すること。なぜなら、渡り鳥の種類、個体数、時期等は年による変動があり、記載されている調査頻度ではこの年による変動および計画地における渡り鳥のピーク状況を把握することが難しいためである。 4.調査地点数は2地点にこだわらず、無駄のない範囲でできるだけ多くの地点数を設けること。 5.垂直回しを含めたレーダー調査を活用し、計画地における夜間の小鳥の渡り状況を把握すること。鳥の種類は分からなくても、おおよその個体数と飛行高度を把握することで、計画地が小鳥の渡り経路になっていないか、飛行高度等からみてバードストライクが発生する危険性がないか確認すること。 ④鳥類(希少猛禽類)の調査について 1.繁殖が確認された場合には、繁殖期から幼鳥の分散開始までにおいて月に2回以上の調査を実施すること。なぜなら、Douglasら(2012)によると、調査回数を重ねる方が重ねないのに比べて、風車に対する鳥類の衝突確率の計算結果において低い数字が算出される、つまり真の値に近づくためである。 2.調査地点数は6地点にこだわらず、無駄のない範囲でできるだけ多くの地点数を設けること。 3.計画地を含む道北地域は絶滅危惧IBの鳥類チュウヒが複数繁殖している可能性があるため、オジロワシやオオワシのみならず、チュウヒの繁殖の有無の確認にも最大限努めること。 ⑤鳥類(希少猛禽類・渡り)の調査について 1.渡り等で希少猛禽類が計画地を利用する頻度が高い時期には、月に2回以上の調査を実施すること。なぜなら、Douglasら2012)によると、調査回数を重ねる方が重ねないのに比べて、風車に対する鳥類の衝突確率の計算結果において低い数字が算出される、つまり真の値に近づくためである。 2.調査地点数は2地点にこだわらず、無駄のない範囲でできるだけ多くの地点数を設けること。 3.調査は12月も行うこと。なぜなら、計画地では12月もまだ希少猛禽類が渡っている可能性があるためである。 (2)その他 |
「(仮称)増幌風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書を提出しました
日 野 鳥 発 第 88 号
「(仮称)増幌風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書
平成27年1月8日提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会道北支部 支部長 小杉 和樹 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| 住 所 | ①〒097-0401 利尻郡利尻町沓形字富士見町 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
| 方法書についての環境の保全の見地からの意見 |
(1)3-21(33)頁の重要な地形について 地球最後の氷河期であるウルム氷河期末期に形成されたといわれる周氷河地形を持つ稚内丘陵は現在、稚内内陸部を特徴づける地形であるが、かつては北海道の至るところで形成されていた地形である。しかし、その多くは開発などで破壊され、現在この美しい地形がもっとも顕著にみられるのは宗谷丘陵だけであり、北海道遺産に登録される貴重な地形である。 本方法書にある対象事業実施区域(以下、計画地と言う)はこの貴重な周氷河地形を持つ宗谷丘陵と重なっているが、その保護・保全の観点から、宗谷丘陵にかかる場所は計画地に含めるべきではない。 (2)6-44(272)~6-58(286)頁の鳥類調査方法について ③鳥類(渡り鳥)の調査について (3)その他 |
「(仮称)川西・川南風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書を提出しました
日 野 鳥 発 第 89 号
「(仮称)川西・川南風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書
平成27年1月8日提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会道北支部 支部長 小杉 和樹 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| 住 所 | ①〒097-0401 利尻郡利尻町沓形字富士見町 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
| 方法書についての環境の保全の見地からの意見 | 1)3-123(137)頁の風車立地規制区域について 対象事業実施区域(以下、計画地と言う)の北西端が3-123(137)頁の図3.2-10 稚内市風力発電施設建設ガイドラインによる地域区分うち、自然保護等から建設が好ましくない場所に架かっている。 このガイドラインの趣旨および自然保護上から考えても、架かる計画地については外すべきである。 (2)6-46(294)~6-64(312)頁の鳥類調査方法について(川西・川南共通) (3)その他 |
「(仮称)芦川・豊富山風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書を提出しました
日 野 鳥 発 第 91 号
「(仮称)芦川・豊富山風力発電事業 環境影響評価方法書」に係る意見書
平成27年1月8日提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会道北支部 支部長 小杉 和樹 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| 住 所 | ①〒097-0401 利尻郡利尻町沓形字富士見町 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
| 方法書についての環境の保全の見地からの意見 | (1)6-46(294)~6-65(313)頁の鳥類調査方法について(芦川・豊富山共通) ①ルートセンサス法について 1.計画地における鳥類の繁殖状況を把握するためには、現存する環境要素をできるだけセンサスルートに含める必要があるが、方法書に記されているルートで対象事業実施区域(以下、計画地と言う)にあるすべての環境要素を網羅できているか示すこと。 2. 1つのコースにつき、種数が飽和する4~6回のセンサスを行うことで1回の調査とし、2年間実施すること。 ②ポイントセンサス法について 1.調査は毎月実施し、特に繁殖期など計画地で鳥類の種数または個体数が増える時期には、月に2回以上の調査を実施すること。なぜなら、Douglasら(2012)によると、調査回数を重ねる方が重ねないのに比べて、風車に対する鳥類の衝突確率の計算結果において低い数字が算出される、つまり真の値に近づくためである。 ③鳥類(渡り鳥)の調査について 1.調査対象はコハクチョウ等のガン・カモ類だけでなく、猛禽類や小鳥類など対象を広く調査、観察すること。 2.調査は9・11月も行うこと。なぜなら、計画地では9・11月も一般鳥類が渡っている可能性があるためである。 3.1週間連続した観察を1回の調査として月2回、または3日間連続した観察を1回の調査として月4回、2年間実施すること。なぜなら、渡り鳥の種類、個体数、時期等は年による変動があり、記載されている調査頻度ではこの年による変動および計画地における渡り鳥のピーク状況を把握することが難しいためである。 4.調査地点数は、無駄のない範囲でできるだけ多くの地点数を設けること。 5.垂直回しを含めたレーダー調査を活用し、計画地における夜間の小鳥の渡り状況を把握すること。鳥の種類は分からなくても、おおよその個体数と飛行高度を把握することで、計画地が小鳥の渡り経路になっていないか、飛行高度等からみてバードストライクが発生する危険性がないか確認すること。 ④鳥類(希少猛禽類)の調査について 1.繁殖が確認された場合には、繁殖期から幼鳥の分散開始までにおいて月に2回以上の調査を実施すること。なぜなら、Douglasら(2012)によると、調査回数を重ねる方が重ねないのに比べて、風車に対する鳥類の衝突確率の計算結果において低い数字が算出される、つまり真の値に近づくためである。 2.調査地点数は、無駄のない範囲でできるだけ多くの地点数を設けること。 3.計画地を含む道北地域は絶滅危惧IBの鳥類チュウヒが繁殖している可能性があるため、オジロワシやオオワシのみならず、チュウヒの繁殖の有無の確認にも最大限努めること。 ⑤鳥類(希少猛禽類・渡り)の調査について 1.渡り等で希少猛禽類が計画地を利用する頻度が高い時期には、月に2回以上の調査を実施すること。なぜなら、Douglasら(2012)によると、調査回数を重ねる方が重ねないのに比べて、風車に対する鳥類の衝突確率の計算結果において低い数字が算出される、つまり真の値に近づくためである。 2.調査地点数は、無駄のない範囲でできるだけ多くの地点数を設けること。 3.調査は12月も行うこと。なぜなら、計画地では12月もまだ希少猛禽類が渡っている可能性があるためである。 (3)その他 |
(株)斐太工務店に対し、「(仮称)八の沢風力発電事業 」について、環境影響評価方法書へ意見書を提出しました
日 野 鳥 発 第 66 号
平成26年11月18日
株式会社斐太工務店
代表取締役 岩佐昭彦 様
日本野鳥の会札幌支部
支部長 山田 三夫
北海道札幌市中央区南1条西17丁目
1-14シェール松岡203
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反3-9-23 丸和ビル
「(仮称)八の沢風力発電事業に係る環境影響評価方法書」に係る意見書
本方法書に記載されている対象事業実施区域は、春と秋におけるマガンとコハクチョウの重要な渡りコース上にあります。対象事業実施区域から南東に250メートルほど離れた五の沢地区の田んぼには毎春、必ずコハクチョウの群れが飛来し、採餌する姿を確認しています。
コハクチョウは昼夜を問わずに飛行するものが多いですが、特に夜間は飛行中に風車のブレードが見にくくなり、事前に風車を回避する行動が取りにくいことから、バードストライクが生じる危険性が高いと考えます。
また、対象事業実施区域から東北東に20キロほどの宮島沼を中継地とするマガン(2011年4月29日記録時最大羽数73,085羽)が同様に毎春、対象事業実施区域の周辺田畑で採餌する姿を確認しています。一方、マガンは採餌場所の周辺に風車が建つと、その利用を避けるようになる生息地放棄が生じやすい鳥種です。
さらに、対象事業実施区域の周辺ではオジロワシの生息が確認されています。オジロワシは日本だけでなく世界的にも希少な鳥類でありながら、行動生態的にバードストライクが生じてしまうことが多い鳥で、実際に日本でもこれまでに約40羽のオジロワシが犠牲になっています。
以上のことから、上記のような希少鳥類が本計画によって設置される発電用風車による影響を受けないよう対象事業実施区域の位置の見直しを求めつつ、当該環境影響評価方法書に対して下記のように意見を述べるものです。
記
(1)対象事業実施区域で確認されている希少鳥類について
対象事業実施区域(以下、計画区域という。)周辺で、下記の希少鳥類の生息が確認されており、それぞれ種の保存法および文化財保護法に指定され、また、レッドリスト(環境省 2012)およびレッドデータブック(北海道 2001)に掲載されている。そのことから、一般鳥類のみならず、下記の希少鳥類についても、風力発電施設の建設が与える影響を評価、予測するための調査計画が必要である。
- マガン
- 文化財保護法 天然記念物指定種
- 環境省 レッドリスト 準絶滅危惧種
- 北海道 RDB 希少種
- コハクチョウ
- 北海道 RDB 希少種
- オジロワシ
- 種の保存法 国内希少野生動植物種
- 文化財保護法 天然記念物指定種
- 環境省 レッドリスト 絶滅危惧IB類
- 北海道 RDB 絶滅危惧種
参考資料:
- 文化財保護法(法律 第214号)
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(法律第75号)
- 環境省.2006.改訂・日本の絶滅のおそれのある野生動物-レッドリスト-鳥類.東京
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=8929&hou_id=7849 - 北海道.2001.北海道の希少野生動物 北海道レッドデータブック2001.北海道
(2)7.2.7動物 表7.2-14(1)(2)動物に係る調査、予測及び評価の手法のうち、
調査2.調査の手法(1)動物の状況.現地調査[鳥類]について
- 全体的に大まかな鳥類調査の方法を示しているが、調査回数および観察幅を示していないので、それらを明確に記載すべきである。調査期間は「春季、初夏期、夏季、秋季、冬季及び希少猛禽類(繁殖期、越冬期)、渡り鳥(春季、秋季)」と示されているが、計画地における鳥の情報が少ないため、その他の時期も対象としてできるだけ毎月調査するものとし、それを最低でも2年間実施して、鳥類の情報を詳しく把握すべきである。
- ラインセンサス法について
計画区域周辺には森林、住宅地、農耕地、田圃、草地、農業用水池などの環境が存在する。鳥類の繁殖状況を把握するためには、現存する環境要素をできるだけセンサスコースに含める必要があるが、方法書に記されている4ルートには住宅地や田圃の一部分が含まれていない。そのため、すべての環境要素を網羅できるようにルートの設定を見直すべきである。なお、1年間を通じて、毎月調査を実施し、1つのコースにつき、6回のセンサスを行うことで1回の調査とし、2年間実施すること。 - 定点センサス法について
ルートの設定は上記と同様に見直しを行うこと。1ルートにつき200m間隔で地点を設定して、10分間ポイントセンサスを行う。(例えば、1ルートが2㎞の場合、10地点)。確認種数が飽和した時点で1回の調査とすることとし、観察幅を明記しておくこと。なお、調査は2年間実施すること。 - 任意調査について
調査回数、観察幅が示されていないので、明確に記載すべきである。調査期間は「春季、初夏期、夏季、秋季、冬季及び希少猛禽類(繁殖期、越冬期)、渡り鳥(春季、秋季)」と示しているが、計画地における鳥の情報が少ないため、その他の時期も対象としてできるだけ毎月調査するようにし、それを最低でも2年間実施して、鳥類の情報を詳しく把握すべきである。 - 希少猛禽類の調査について
繁殖の可能性があると判断した場合において調査すると記されている。一方、これまでにバードストライクの事例があるオジロワシやオオワシが計画地周辺で越冬することを確認している。特にオジロワシはバードストライクの影響を大きく受ける鳥種である。そのため、「猛禽類保護の進め方」(環境省自然保護局野生生物課編、2012年)や環境省の野生生物保護対策検討会オオワシ・オジロワシ保護増殖分科会資料を参考に、2営巣期を含めた2年間はそれぞれの種の生息状況を網羅できる調査を行うべきである。 - 渡り鳥調査について
渡り鳥調査については具体的な時期が示されていないが、春季は3~5月、秋季は8~11月とし、この期間は1週間連続した観察を1回の調査として月2回、または3日間連続した観察を1回の調査として月4回、2年間実施すること。なお、観察幅は対象種に応じて設定する。
また、空間飛翔調査を行い、出現種、個体数、高度、時刻、行動状況等を記録すべきである。詳しくは当会で出版している「野鳥保護資料集第26集」を参考に、調査の目的や対象種に応じた適切な調査時間、観察幅等を設定する。高度区分は風力発電機の規模に応じて具体的に明示する。飛翔高度については、正確に把握するためにレーザー距離計を使用する。
(3)7.2.7動物 表7.2-14(1)(2)動物に係る調査、予測及び評価の手法のうち、6.予測の手法について
分布または生息環境の改変の程度を予測する方法が、方法書には詳細に記載されていない。どのような手法を用いて予測を行うのか、具体的に記載すべきである。その際に引用した文献などについてもあわせて記載する。
また、重要な種及び地域個体群へ影響について、その種類、箇所、程度を具体的に記載する。さらに、環境保全対策についても具体的に明記する。なお、鳥類にとって回避が難しいと考えられる影響が予測される場合、建設を中止することが最善の保全対策であることを明言すべきである。
(4)7.2.7動物 表7.2-14(1)(2)動物に係る調査、予測及び評価の手法のうち、9.評価の手法について
鳥類にとって回避が難しいと考えられる影響が予測される場合、建設を中止することが最善の保全対策であることを明言すべきである。
以上
「(仮称)道北中央風力発電事業」並びに「(仮称)道北北西風力発電事業」に係る要望書を提出しました
日野鳥発第 56 号
平成26年8月29日
北海道知事 高橋はるみ 様
環境省北海道地方環境事務所長 徳丸久衞 様
日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹
利尻郡利尻町沓形字富士見町
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
北海道北部における「(仮称)道北中央風力発電事業」並びに
「(仮称)道北北西部風力発電事業」に係る要望書
平素より、日本野鳥の会道北支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
さて、北海道北部にて計画され、「計画段階配慮書」が縦覧された(株)道北エナジーによる「(仮称)道北中央風力発電事業」並びに「(仮称)道北北西部風力発電事業」に対し、日本野鳥の会道北支部および(公財)日本野鳥の会は、連名で、別紙(写)のとおり意見書を事業者に提出しました。
この2件の事業実施想定区域は、稚内市、豊富町、幌延町にわたる宗谷地方の日本海側から内陸の中央部へと非常に広い範囲を想定しており、既存の宗谷岬ウィンドファームをはじめ、浜頓別町および猿払村で予定されている事業を含めると、宗谷地方一帯の鳥類に大きな影響を与えかねない範囲が事業対象になると懸念しています。また、事業者が示す事業内容からすると、少なくとも600基程度の風車が設置される、極めて大規模な事業となります。
ところで、北海道北部には、利尻礼文サロベツ国立公園、北オホーツク道立自然公園、更にはラムサール条約登録湿地や国内的に稀有な周氷河地形等が存在するなど、その自然景観・環境は一地域だけではなく、北海道、国にとっても貴重な財産になっています。また、自然とふれあえる場として、この地域の自然景観は人工物の少なさが大きな魅力となっており、心の癒しを求め、道民はもとより、国内外から多くの人々がこの地域を訪れています。こうした地域で、今回の2件のような大規模事業が安易に進められることは、鳥類をはじめとする野生動物はもとより、自然景観・環境に対して多大な影響を与え、さらには、人々の心や行動にも多大な影響が及ぶことを懸念しています。
また、この2件とは別案件ですが、北海道北部の日本海側で同様に事業を計画中の某事業者は、配慮書作成の前段階で、「資料だけでは把握できない鳥類などに関する情報を得ることによって、候補地選定の一助とし、配慮書作成のための助言をもらう」というような位置づけとして、鳥類等の専門家や、関係市町村を含めての有識者検討会を設置しました。これにより、鳥類等の野生生物並びに景観に影響のある区域を想定区域から全て除外することは困難であっても、事業者に対し、ハザードマップ、もしくはアボイドマップのような区域を示唆することが可能になります。
同じ北海道北部で、同じ風力発電事業でありながら、今回の道北エナジー社は、野生生物や自然環境の保全保護に関わる関係者からの聞き取り等をほとんどすることもないまま計画段階配慮書を提出するなど、事業者が一方的に風力のポテンシャルだけで発電事業の計画を進めることは、極めて遺憾であり、道義的にも許されるべき手法ではありません。
つきましては、当方から道北エナジー社に送付した「意見書」の写しを添付しますので、内容等をご確認のうえ、北海道知事(環境大臣)としての適切かつ強い意見を述べていただくようつよく要望します。
さらに、事業者に対しても、事業の推進だけを優先することなく、自然景観・環境並びに鳥類をはじめとする野生生物に関する関係者に対して、丁寧かつ誠意ある説明と意見交換等をするよう、強く指導していただくようあわせて要望します。
本件に関する問い合わせ先
- 日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉和樹(TEL:01638-4-3145) - (公財)日本野鳥の会
自然保護室(TEL:03-5436-2633、担当:浦 達也)
(株)電源開発の「せたな大里風力発電事業(仮称)」について、環境影響評価準備書へ意見書を提出しました
日野鳥発第 51 号
平成26年7月31日
電源開発株式会社
取締役社長 北村 雅良 様
日本野鳥の会道南檜山
代表 奥田 孝一
北海道函館市湯川町2丁目11-17-406
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
せたな大里風力発電事業(仮称)に係る環境影響評価準備書に対する意見書
平素より、日本野鳥の会道南桧山ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、この度、公表されました「せたな大里風力発電事業(仮称) 環境影響評価準備書」について、次のとおり意見を述べます。
記
1.【巨大風力発電機と乱気流の発生】に関して
①計画によれば、発電機は単機出力が2,300~3,300kWという国内最大級の発電機を最大22基設置する計画とのことだが、計画どおり整備が進めば、今までとはかなり異なる気流の乱れが生じると考えられる。このため、想定される新たな気流の乱れ(後流渦・カルマン渦)について、シミュレーションを行い、結果を提示すること。
②巨大風車の設置、ならびに上記のような気流の乱れにより、対象事業実施区域や周辺の自然環境、野鳥の行動に対して、どのような影響が出ると予測しているのか、その予測結果を提示すること。
③牛山(2002)によると、風力発電機は相互に十分な距離を置いて設置しないと発電効率が悪く、その間隔については、左右にローター直径の3倍以上、風向きの風上・風下に関しては、ローター直径の7~10倍以上離すべきとされている。それらの知見からすれば、今回の風力発電機の配置計画図を見る限り、特に左右の間隔が狭く、効率的な発電は困難とみられるが、実際にこのような配置の適切性について説明すること。
2.【風力発電予定地の鳥類等環境調査】に関して
計画区域を含む道南地方は、脊梁山脈に沿って希少猛禽類が出現する自然豊かな地域である。実際、毎年行われている当会の「せたな町浮島公園探鳥会」でも、いくつかの希少鳥類が出現している。計画区域及び周辺の河川には秋から冬にかけてサケ・マスが遡上することから、越冬期には対象事業実施区域(以下、計画区域と言う。)周辺の海岸から川の上流にかけて、オオワシ、オジロワシが多く見られる。
また、計画区域及びその周辺の河川の周りを、ハイイロチュウヒやチュウヒが渡りの中継地として、ミサゴ、ハチクマが夏に採餌場として活用し、さらに通年ではハヤブサ、クマタカ、オオタカ、ハイタカ、ツミ、ノスリ等の多くの猛禽類が見られる。
また、小鳥類も春には津軽海峡を越え、白神岬を通過し北上して北海道各地に、またあるものはさらにユーラシア大陸へ移動する。一方、秋には同じようなルートを逆に南下することからも、「せたな」はそれらの渡り鳥の中継地や採餌場として利用されている重要な地域である。ついては、
①多くの野鳥が渡りの際に、休憩、採餌、繁殖地としてこの地域を利用していることから、春の渡り時期(3~5月)、秋の渡り時期(8~11月)について、特にしっかりした調査を行うべきである。
なお、近年、特に渡り鳥の種や個体数が年によって大きな差のあることが見受けられるため、単年のみの調査では実情を把握できない可能性が高い。このため、現時点で予定している1年間の調査期間を少なくとも2~3年以上は継続して実施するべきである。
また、重点調査対象についても、対象を希少猛禽類だけではなく、ガン・カモ類、シギ・チドリ類、サギ類、ハクチョウ類等の水鳥類にも広げるべきである。
②調査方法について
- ラインセンサス法によるルート設定数について
ラインセンサス法による調査ルートとして11ルートを設定しているが、ルート数を増やして、より緻密に調査を行うべきである。特に、上昇気流の起こりやすい沢筋から尾根にかけておよび海岸段丘面上に予定されている風車の設置予定場所付近に調査ルートを設け、重点的に見直すべきである。 - ラインセンサス法による調査回数について
ラインセンサス法による調査は、最低でも月2回を少なくとも2年間継続して実施し、毎月の調査では1つのコースについて6回程度のセンサスを行うべきである。 - 定点センサスの調査時間について
定点センサスについて、1回の調査につきどのくらいの時間を行ったのか示すこと。なお、同センサスにあたっても、月2回を少なくとも2年間継続して実施すべきである。 - 空間飛翔調査について
空間飛翔調査については、調査定点が発電機設定場所より高台に取られている(S1,S2,S4)。その結果、発電場所を見下ろす形で記録を取ることになり、飛翔高度が回転域より低いように観察されがちであるため、必ずしも正確な調査結果を生むとは言えない。ついては、実際の風車設置予定位置と同高度か、海岸段丘面より下から観測される場所に調査定点を変更して再度、調査をすべきである。
また調査時間も30分間では短すぎであり、最低のべで3時間は必要と考える。とりわけ、上昇気流および下降気流が現れる時間帯が適切であると考える。 - 空間飛翔調査でのレーザー距離計の活用について
空間飛翔調査にあっては、目視では背景によって錯覚を起こしてしまう可能性が大きいため、レーザー距離計を活用して実施すべきである。 - 風雪や濃霧時の調査の充実について
風雪時や濃霧時こそ野鳥における風車への衝突事故が起こる可能性が高い。このため、これらの悪天候のもとで、むしろ十分に調査を行うべきである。 - レーダーや暗視スコープの積極的活用について
中小の鳥類が渡る夜間や濃霧、大型猛禽類の衝突事故が多い降雪時の調査にあっては、レーダーや暗視スコープなどを積極的に用いて調査すべきである。なお、欧米各国ではすでに夜間や悪天候時の調査にこれらの機材が活用されている。
3.【風車への衝突事故防止対策】に関して
①2009年11月24日に瀬棚臨海風力発電所でオオワシの衝突事故(以下、バードストライクと言う。)が起こったが,その原因などを踏まえ、どのような保全対策を採ってきたのかを示し、また、今回の風力発電事業においてはどのような予防措置を講じるつもりか、具体的に示すべきである。
②バードストライク防止対策としての積極的防護策の提案
a)レーダーを用いた鳥類の行動監視の導入。
b)バードストライクが発生する可能性が高い時期での風車の運転停止。
c)一部の風車にでもバードストライクが発生した場合、直ちにすべての風車の運転を停止し、専門家を交えた検討会を開催し、その後の保全策について検討すること。なお、要請等があれば、当会としても積極的に対応する用意がある。
d)バードストライクが発生した場合、直ちにその内容を公表すること。
4.【生物多様性】に関して
①せたな地域は、植物相に関しては北海道の黒松内低地帯線にきわめて近く(ブナ林の北限等)、それ故、植物の緻密な環境調査が必要である。また、自然環境は、生物多様性の考えからみても、多くの生物相の相互関係を基にして成り立っているので、多くの学識者や自然環境団体等の幅広い意見を聞く必要がある。
ついては、どのような専門家の助言を受けてこれまで調査を進めてきたのか、調査項目や手法について具体的に提示すること。
②北海道では、北海道らしい自然共生社会の実現を図るため、自然環境を守る取り組み全般を「生物多様性の保全と持続可能な利用」という視点でまとめ直し、今後の北海道における目標と方針を示した「北海道生物多様性保全計画」を2010年7月に策定した。そのことを踏まえ、貴社における「生物多様性の保全」のあり方について、自然エネルギーの普及やバードストライク等の鳥類への影響が実際に発生している事実を関連づけて提示すること。
5.【送電線】に関して
せたな大里風力発電事業においては、付帯する送電線は既存のルートを利用せず、今金変電所まで送電線を新設し、そこから函館幹線へ連係する計画であり、また、送電線は埋設するとのことで、野鳥には優しい計画だと思われることから、賛意を表するものである。
しかし、植物等にとっては工事部分で重要種が消滅する危険が多くなることから、その点を十分考慮し、現行の電気事業法上の枠組み以上、自然環境に配慮した計画を立案実施するよう要望する。
6.【累積的影響を考慮した立地選定・規模の適正化】に関して
「せたな大里風力発電事業」の計画区域ではすでに「瀬棚臨海風力発電所」が大型風車を6基(12,000kW)、また「せたな海上風力発電所」が2基(1,200kW)を稼働中である。
さらに、「北檜山ウィンドファーム」が太櫓地区を中心に60基(120,000kWh)の風車新設を申請中であり、貴社の22基(50,000kW )を加えると、90基の風力発電機がせたな町の海岸沿いに立ち並ぶことになる。
これらのことから、計画区域の選定にあたっては、地域の全体像を俯瞰する中でそれらの風力発電所が環境に与える影響を十分考慮する必要がある。
また、野鳥の渡りや生態系に対してだけでなく、野生動植物、さらに騒音や低周波による人体や家畜への被害、景観の破壊など、様々な悪影響を与えることも懸念されることから、本事業がどのような影響をこの地域に与えるのか、その効果を累積的に見積もること。
以上
(株)ユーラスエナジーホールディングの「新苫前風力発電事業」について、計画段階配慮書へ意見書を提出しました
日野鳥発第 50 号
平成26年 7月31日
株式会社ユーラスエナジーホールディングス
取締役社長 清水 正己 様
日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
「(仮称)新苫前風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書
平素より、日本野鳥の会道北支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、この度、公表されました「(仮称)新苫前風力発電事業 計画段階環境配慮書」について、次のとおり意見を述べます。
記
(1)事業計画全体について
事業実施想定区域(以下、想定区域という。)内にある苫前グリーンヒルウィンドパークを含む、苫前町内にある3ヶ所の既存風力発電施設にでは、これまでにオジロワシを含め約60件のバードストライクの事例が報告(Kitano & Shiraki(2013)など)されている。
このため、今回の事業想定区域の設定のみならず、今後の対象事業実施区域や風車の配置計画を検討する際には、これまでのバードストライクの事例等を勘案して立地選定を行い、これ以上、鳥類へ影響が出ない事業とすべく、それらの位置を設定すること。
(2)事業実施想定区域から外すべき場所について
ⅰ)海岸線から海岸段丘の範囲にあたる区域
(理由)海岸線および海岸段丘の海に近い場所は、渡りの時期や越冬期のオジロワシ、ガン・カモ類やシギ・チドリ類、さらにはスズメ目の小鳥や猛禽類など、多くの渡り性鳥類が利用することから、バードストライクや渡り経路の阻害といった影響が多く発生する可能性があるため。
ⅱ)沢筋となる区域
(理由)オジロワシは繁殖期だけでなく、渡り時期や越冬期においても、海岸や沢状になっている小河川沿いで探餌や採餌をすることが知られており、これまでに国内で発生したオジロワシのバードストライクの事例をみても、そのような餌場のある場所やその近傍で発生する可能性が高い。
ⅲ)オジロワシおよびオオワシのねぐらとなっている場所とその周辺
(理由)国内で衝突死事例があるオオワシ、および世界的にも風車建設の影響を受けやすいオジロワシの周辺など、これらの行動が活発な場所での風車の建設は、その行動や生息に大きな影響を与える可能性が高いため。
(3)累積的影響評価について
想定区域を含む苫前町内では現在、3つの風力発電所が稼働しているが、これまでの新聞報道や知見(Kitano & Shiraki(2013))、環境省の海ワシ類における風力発電施設に係るバードストライク防止策検討委託業務報告書などから、これらの風力発電所では、オジロワシをはじめとした希少猛禽類および海鳥を含む多数の一般鳥類が風車に衝突死した事例が確認されている。
ついては、想定区域の選定にあたっては、既存の風力発電所の存在が、想定区域を利用する鳥類にどのような複合的累積的影響を与えるか検討すること。
(4)景観及び人と自然との触れ合いの活動の場について
道北地方の日本海側には、稚内市から増毛町まで連続するドライブルートとして、地元住民や観光客が利用する通称オロロンラインがあり、この地区の重要な連続する景観ポイントと人と自然との触れ合いの活動の場となっている。しかし、この地区を含む道北地方の道路脇には既に幌延町のオトンルイや対象事業実施区域が含まれる苫前町等には多くの風力発電施設が設置されており、道北地方特有の人工物の少ない景観を求めて訪れている観光客や自然景観を精神的な癒しとしている住民からは、風車群が圧迫感を与えるなど景観に著しく影響を与えているとの意見が出されている。こうした状況を踏まえ、日本野鳥の会道北支部でも昨年12月に「北海道北部における風力発電の設置及び計画に関しての一文」と題したアピール文を北海道内の支部と連名で、風力発電に関わる事業者等に送付したところであるが、一向に景観への配慮はされていない状況である。
こうしたことから、風力発電施設の設置により景観及び人と自然との触れ合いの活動の場に与える影響についてフォトモンタージュ等を用いたアンケート調査等を実施するなど丁寧に評価し、これ以上、影響が出ない事業とすべく、それらの位置・規模等を設定すること。
(5)今後の環境影響評価手続きについて
以上で述べたように、本計画における立地選定の結果によっては渡り鳥や希少猛禽類の衝突死や障壁効果など、深刻な影響をもたらすことを考慮して、対象事業実施区域を設定すること。
また、今後の環境影響評価方法書の作成にあたって、渡り鳥や希少猛禽類への影響の程度を十分に把握することを目的として、検討会を開催するなどして、研究機関や自然保護団体等の有識者から意見を聴取すること。 なお、要請等があればわれわれも積極的に対応する用意があること。
さらに、既存の風車を廃止して新規格の風車にスケールアップを図る際には、以前の風車とのブレード高が異なることに留意して、鳥類に関する空間飛翔調査の計画を立案すること。







