(株)道北エナジー社の「道北中央風力発電事業」について、計画段階配慮書へ意見書を提出しました
日野鳥発第 49 号
平成26年 7月31日
株式会社道北エナジー
代表取締役 坂本 元靖 様
日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
「(仮称)道北中央風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書
平素より、日本野鳥の会道北支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、この度、公表されました「(仮称)道北中央風力発電事業 計画段階環境配慮書」について、次のとおり意見を述べます。
記
(1)事業計画全体について
事業実施想定区域(以下、想定区域と言う。)の北部には「メグマ沼鳥獣保護区」と重要野鳥生息地(IBA)の「声問大沼」があり、南西部にはIBAおよびラムサール条約登録湿地の「サロベツ原野」もある。想定区域は上記の重要な野鳥生息地に挟まれるように位置しており、また、既存文献※からも、オオワシやオジロワシなどの希少猛禽類、ハクチョウ類やガン・カモ類など、多数の渡り鳥のルートとなっていることが明らかとなっている。さらに、想定区域周辺で鳥類観察を行なう専門家によれば、絶滅危惧Ⅱ類のチュウヒ、準絶滅危惧種のミサゴ、同オオタカ、同ハイタカの生息が確認されている。
このような、多数の希少猛禽類や渡り鳥が利用する区域で風力発電施設(以下、風車と言う。)を建設すれば、それらの鳥類に衝突死等の多大な影響を与える可能性が高いことから、メグマ沼や声問大沼およびサロベツ原野を含むそれら周辺地域、ハクチョウ類やガン・カモ類の渡りルートとなる声問川および増幌川周辺、大型ワシ類の渡りルートとなる丘陵地を除外したうえで、再度、想定区域の設定をすべきである。なお、想定区域の見直しにあたっては、任意の検討委員会を開催するなどし、多くの専門家の意見を収集すべきであり、もし、要請等があれば、われわれも積極的に協力する用意がある。
※参考文献
- 環境省(2008)平成19年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2009)平成20年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2010)平成21年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2011)平成22年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2012)平成23年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2013)平成24年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2014)平成25年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 植田睦之・楠木憲一(2013)極東地域におけるオオワシとオジロワシの渡り.
(樋口広芳,編:日本のタカ学-生態と保全)pp.204-219.東京大学出版会,東京.
(2)事業実施想定区域から外すべき場所について
ⅰ)海岸線から3kmの範囲にあたる区域
(理由)オジロワシを含む多くの渡り性鳥類が多く利用し、バードストライクや渡り経路の阻害等が発生する可能性が高いため。
ⅱ)河口部を含む河川沿いおよび湖沼のある区域
(理由)オジロワシは繁殖期のみならず、渡り時期や越冬期においても、海岸および河口部や河川沿い、湖沼周辺で探餌や採餌をすることが知られており、これまでに国内で発生したオジロワシのバードストライクの事例をみても、今回の事業実施場所では、衝突死が発生する可能性が高い。特に声問川と増幌川はサケ科魚類が遡上してから早春にかけての期間、オジロワシなど魚食性の鳥類にとって好適な餌場となり、それらの河川を利用する際に衝突の危険性が高まる。
ⅲ)オジロワシおよびオオワシのねぐらとなっている場所
(理由)国内で衝突死の事例があるオオワシや、世界的にも風車建設の影響を受けやすいオジロワシのねぐら周辺など、これらの行動が活発な場所での風車の建設は、その行動や生息に大きな影響を与える可能性が高い。
ⅳ)コハクチョウを含むガン・カモ類の餌場とねぐらとなっている場所を結ぶ区域
(理由)ハクチョウ類やガン・カモ類が、餌場やねぐら、渡りルートとして利用する場所に風車を建設すると、生息地放棄や忌避、障壁効果といった悪影響を受ける可能性が高い。
(3)累積的影響評価について
想定区域の近傍(稚内市内)には、貴社グループの宗谷岬ウィンドファーム(57基)や、さらきとまないウインドファーム(9基)など6つの風力発電所がすでに稼働している。また、他社のものも含めて2~3つの風力発電所の建設計画が存在している。ついては、想定区域の選定にあたっては、既存施設および計画区域の存在が想定区域を利用する鳥類にどのような複合的累積的影響を与えているか、既存施設、計画施設での実績や検討結果等を積極的に活用・検討すること。
(4)景観及び人と自然との触れ合いの活動の場について
想定区域では、なだらかな丘陵地帯に囲まれた牧歌的な酪農風景が地域資源となっており、道北地方の原風景が保全されている地域である。さらにその東側には「宗谷丘陵の周氷河地形」として北海道遺産にも選ばれている宗谷丘陵があり、西側は兜沼を中心とする道指定兜沼鳥獣保護区やサロベツ原野があるなど、想定区域一帯が人と自然との触れ合いの活動となっている。道北地方特有の人工物の少ない景観を求めて訪れている観光客や自然景観を精神的な癒しとしている住民からは、風車群が圧迫感を与えるなど景観に著しく影響を与えているとの意見が出されている。こうした状況を踏まえ、日本野鳥の会道北支部でも昨年12月に「北海道北部における風力発電の設置及び計画に関しての一文」と題したアピール文を北海道内の支部と連名で、風力発電に関わる事業者等に送付したところであるが、一向に景観への配慮はされていない状況である。
こうしたことから、風力発電施設の設置により景観及び人と自然との触れ合いの活動の場に与える影響についてフォトモンタージュ等を用いたアンケート調査等を実施するなど丁寧に評価し、これ以上、影響が出ない事業とすべく、それらの位置・規模等を設定すること。
(5)今後の環境影響評価手続きについて
今後の環境影響評価方法書の作成にあたって、特に鳥類調査計画の立案にあっては、渡り鳥や希少猛禽類への影響の程度を十分に把握することを目的に、任意の検討会を開催するなど、研究機関や自然保護団体等の有識者から意見を聴取する機会を設けること。
また、想定区域もしくは対象事業実施区域周辺の動物およびその重要な生息地に係る環境影響評価を行なう際には、貴社グループの㈱天北エナジーが(仮称)天北風力発電所に係る環境影響評価準備書の作成の際に実施した現地調査結果を参考にすること。
ちなみに、この調査結果では、希少な鳥類が複数種確認され、特にオジロワシおよびコハクチョウの風車への衝突確率の予測値は決して小さくない数値となっている。このような参考データからみても、本計画は、その立地選定の結果によっては渡り鳥や希少猛禽類の衝突死や障壁効果など、鳥類へ深刻な影響をもたらすことを考慮し、対象事業実施区域設定の検討を図ること。
(株)道北エナジーの「道北北西部風力発電事業」について、計画段階配慮書へ意見書を提出しました
日野鳥発第 48 号
平成26年 7月31日
株式会社道北エナジー
代表取締役 坂本 元靖 様
日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
「(仮称)道北北西部風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書
平素より、日本野鳥の会道北支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、この度、公表されました「(仮称)道北北西部風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書について、次のとおり意見を述べます。
記
(1)事業計画全体について
事業実施想定区域(以下、想定区域と言う。)の北部には「メグマ沼鳥獣保護区」と重要野鳥生息地(IBA)の「声問大沼」があり、南西部にはIBAおよびラムサール条約登録湿地の「サロベツ原野」もある。想定区域は上記の重要な野鳥生息地に挟まれるように位置しており、また、既存文献※からも、オオワシやオジロワシなどの希少猛禽類、ハクチョウ類やガン・カモ類など、多数の渡り鳥のルートとなっていることが明らかとなっている。さらに、想定区域周辺で鳥類観察を行なう専門家によれば、絶滅危惧Ⅱ類のチュウヒ、準絶滅危惧種のミサゴ、同オオタカ、同ハイタカの生息が確認されている。
このような、多数の希少猛禽類や渡り鳥が利用する区域で風力発電施設(以下、風車と言う。)を建設すれば、それらの鳥類に衝突死等の多大な影響を与える可能性が高いことから、メグマ沼や声問大沼およびサロベツ原野を含むそれら周辺地域、ハクチョウ類やガン・カモ類の渡りルートとなる声問川および増幌川周辺、大型ワシ類の渡りルートとなる丘陵地を除外したうえで、再度、想定区域の設定をすべきである。なお、想定区域の見直しにあたっては、任意の検討委員会を開催するなどし、多くの専門家の意見を収集すべきであり、もし、要請等があれば、われわれも積極的に協力する用意がある。
※参考文献
- 環境省(2008)平成19年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2009)平成20年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2010)平成21年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2011)平成22年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2012)平成23年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2013)平成24年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 環境省(2014)平成25年度渡り鳥飛来経路解明調査報告書.
- 植田睦之・楠木憲一(2013)極東地域におけるオオワシとオジロワシの渡り.
(樋口広芳,編:日本のタカ学-生態と保全)pp.204-219.東京大学出版会,東京.
(2)事業実施想定区域から外すべき場所について
ⅰ)海岸線から3kmの範囲にあたる区域
(理由)オジロワシを含む多くの渡り性鳥類が多く利用し、バードストライクや渡り経路の阻害等が発生する可能性が高いことや、さらには、想定区域の沿岸域は国立公園の第2種特別地域に隣接していることから、自然景観の保護上の観点からも含めて、風車の建設を避けるべきである。
ⅱ)河口部を含む河川沿いおよび湖沼のある区域
(理由)オジロワシは繁殖期のみならず、渡り時期や越冬期においても、海岸および河口部や河川沿い、湖沼周辺で探餌や採餌をすることが知られており、これまでに国内で発生したオジロワシのバードストライクの事例をみても、今回の事業実施場所では、衝突死が発生する可能性が高い。
ⅲ)オジロワシおよびオオワシのねぐらとなっている場所
(理由)国内で衝突死の事例があるオオワシや、世界的にも風車建設の影響を受けやすいオジロワシのねぐら周辺など、これらの行動が活発な場所での風車の建設は、その行動や生息に大きな影響を与える可能性が高い。
ⅳ)ヒシクイを含むガン・カモ類の餌場とねぐらとなっている場所を結ぶ区域
(理由)ガン・カモ類やハクチョウ類が、餌場やねぐら、渡りルートとして利用する場所に風車を建設すると、生息地放棄や忌避、障壁効果といった悪影響を受ける可能性が高い。また、兜沼とその周辺の低層湿原は、ヒシクイをはじめ多くの水鳥の渡り中継地となっていることからIBAに選定されており、それらの希少な水鳥にとっても影響は大きいとみられる。さらに、後述の鳥獣保護区の設定の精神からしても、鳥獣保護区及びその周辺地域は、事業想定区域から除外すべきである。
ⅴ)特定植物群落の指定区域
(理由)特定植物群落は、学術上重要または保護を要する植物群落である。一方、風車やその維持管理用道路の建設、作業用車両の往来により、外来種の侵入の可能性が高まることなどを踏まえれば、学術上重要もしくは保護を要する植物群落の適正な維持管理の面からも、特定植物群落指定区域及びその周辺地域は事業想定区域に含めるべきでない。
ⅵ)道指定兜沼鳥獣保護区とその周辺
(理由)鳥獣保護区は、鳥獣保護法に基づき、鳥類と哺乳類を対象に、その保護と管理を目的に、生息地を保護区として設定されるものであり、特に鳥類のバードストライクや生息放棄をもたらす可能性がある風車の建設は、それらの趣旨と相反するものであり、鳥獣保護法の精神に反する。また、鳥獣保護区のみならず、その周辺地域も保護されることで、さらに鳥獣保護区の存在の意義は高まり、より実効性の高い保護区となる事が期待されることから、鳥獣保護区周辺地域での施設の建設も避けるべきである。
ⅶ)エゾイタヤ等の自然林
(理由)鳥類を含む野生動物は、本来、自然林や天然林に強く依存しているが、その自然林が、風車建設に係る樹木の伐開等で面積を減らすこととなれば、鳥獣の個体数の減少や生息地破壊など周辺地域の生態系に影響を与えることが想定される。
(3)動物の重要な種の選定について
文献その他の資料調査において確認された動物種のうち、鳥類の重要な種に、タンチョウ(特別天然記念物、国内希少野生動物種、絶滅危惧Ⅱ類)を追加し、本事業による影響を予測・評価すること。
これは、同種が2006年にサロベツ原野で繁殖し、同年秋にはそこで育ったと考えられる当年生まれの若鳥が確認(以下の文献参照。)されたことや、その後、毎年のようにサロベツ原野とその周辺地域で、同種が目撃されていることによる。
- 藤巻裕蔵(2012)北海道鳥類目録改訂4版.極東鳥類研究会,美唄.
- 日本野鳥の会(2010)IBA白書2010-野鳥保護資料集第27集.
(4)累積的影響評価について
想定区域の近傍(稚内市内)には、貴社グループの宗谷岬ウィンドファーム(57基)や、さらきとまないウインドファーム(9基)など6つの風力発電所がすでに稼働している。また、他社のものも含めて2~3つの風力発電所の建設計画が存在している。ついては、想定区域の選定にあたっては、既存施設および計画区域の存在が想定区域を利用する鳥類にどのような複合的累積的影響を与えているか、既存施設、計画施設での実績や検討結果等を積極的に活用・検討すること。
(5)景観及び人と自然との触れ合いの活動の場について
想定区域は、稚内市から増毛町まで連続するドライブルートとして、地元住民や観光客が利用する通称オロロンラインがあり、この地区で重要な連続する景観ポイントと野鳥観察などの人と自然との触れ合いの活動の場となっている。また、なだらかな丘陵地帯と酪農景観は、地域の景観資源ともなっている。しかし、想定区域の南側の幌延町オトンルイには28基の風力発電施設が設置されており、道北地方特有の人工物の少ない景観を求めて訪れる観光客や自然景観を精神的な癒しとしている住民が、風車群からの圧迫感を覚えるなど、景観に著しく影響を与えているとの意見が出されている。こうした状況を踏まえ、日本野鳥の会道北支部でも昨年12月に「北海道北部における風力発電の設置及び計画に関しての一文」と題したアピール文を北海道内の連携団体と連名で、風力発電事業者等に送付したところであるが、一向に景観への配慮がなされない状況である。
こうしたことから、風力発電施設の設置により景観及び人と自然との触れ合いの活動の場に与える影響についてフォトモンタージュ等を用いたアンケート調査等を実施するなど丁寧に評価し、これ以上、影響が出ない事業とすべく、それらの位置・規模等を設定すること。
(6)今後の環境影響評価手続きについて
今後の環境影響評価方法書の作成にあたって、特に鳥類調査計画の立案にあっては、渡り鳥や希少猛禽類への影響の程度を十分に把握することを目的に、任意の検討会を開催するなど、研究機関や自然保護団体等の有識者から意見を聴取する機会を設けること。
また、想定区域もしくは対象事業実施区域周辺の動物およびその重要な生息地に係る環境影響評価を行なう際には、貴社グループの㈱天北エナジーが(仮称)天北風力発電所に係る環境影響評価準備書の作成の際に実施した現地調査結果を参考にすること。
ちなみに、この調査結果では、希少な鳥類が複数種確認され、特にオジロワシおよびコハクチョウの風車への衝突確率の予測値は決して小さくない数値となっている。このような参考データからみても、本計画は、その立地選定の結果によっては渡り鳥や希少猛禽類の衝突死や障壁効果など、鳥類へ深刻な影響をもたらすことを考慮し、対象事業実施区域設定の検討を図ること。
むつ小川原港洋上風力開発(株)の環境影響評価方法書に対し意見書を提出いたしました
日 野 鳥 発 第 38 号
「むつ小川原港洋上風力発電事業環境影響評価方法書」に対する意見書
平成26年7月11日 提出
| 項目 | 記入欄 |
| 氏名 | 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| 住所 | 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル (公財)日本野鳥の会 佐藤 仁志 |
| 方法書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社が作成された「むつ小川原港洋上風力発電事業」に係る環境影響評価方法書について、次のとおり意見を提出します。 1.鳥類への影響評価手法と結果について 2.鳥類の調査および評価の手法について |
「むつ小川原港洋上風力発電事業環境影響評価方法書」に対する意見書
平成26年7月11日 提出
| 項目 | 記入欄 |
| 氏名 | 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志 |
| 住所 | 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル (公財)日本野鳥の会 佐藤 仁志 |
| 方法書についての環境の保全の見地からの意見(つづき) |
2.鳥類の調査および評価の手法について(つづき) ③飛翔軌跡調査について ④渡り時の移動経路に関する調査時期について 以上 |
ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)の中九州風力発電所設置事業に対 し要望書を提出いたしました
日野鳥発第 34 号
平成26年7月3日
ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
代表取締役社長 安 茂 様
日本野鳥の会宮崎県支部
支部長 前田幹雄
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
中九州風力発電所設置事業に関する要望書
平素より、日本野鳥の会宮崎県支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動について、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、現在、貴社が計画されている中九州風力発電所設置事業に関して環境影響評価書が縦覧されていますが、対象事業実施区域(以下、「計画地」という。)に風力発電施設を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮崎県レッドリストにも掲載されているクマタカについて、バードストライクが発生する危険性が高くなり、また、サシバなど希少猛禽類の渡りルートに対しても影響を与えることが懸念されます。しかし、計画地とその周辺で貴社が行った環境影響調査は質、量ともに不十分であり、現地における鳥類の生息状況が適切に把握されていないと考えられることから、今後はさらに詳しい調査を実施すべきです。
そこで、貴社におかれましては、人と自然とが共生する豊かな環境の実現を図り、また地域の優れた自然環境と生物多様性を保全し、後世に豊かな郷土を残すため、計画地とその周辺の鳥類および自然環境を正確に把握できる調査をあらためて実施されることを強く要望します。
記
1.要望するに至った根拠
(1)貴社が縦覧している環境影響評価書(以下、「評価書」という。)によると、「建設現場付近にクマタカが3エリア(北東ペア、南東ペア、西ペア)で存在していることが示唆され、対象事業実施区域周辺が2ペア(南東ペア・諸塚村、西ペア・五ヶ瀬町)の行動圏境界となっている。また、対象事業実施区域内を通過した行動を16回確認、境界付近での飛翔も多いと考えられ、ブレードなどへの接近、接触の可能性がある」と記されており、事業者が行った調査結果からも、クマタカでバードストライクの起こる可能性が高いことが示唆されている。
また、評価書の第8.1.4-46図にあるクマタカの飛翔経路をみると、建設地の西側部分において、繁殖に伴うディスプレイ飛翔も観察されており、さらに、大仁田山の南西と桑の木谷付近で西ペアの飛翔記録が密集していることから、この付近でも繁殖している可能性が高いため、営巣木の特定など、さらに詳しい調査を行うべきである。
特に、計画地と飛翔記録が密集する場所は0.5kmから1.6kmしか離れておらず、クマタカの行動圏と重複するため、風力発電施設の建設はクマタカにとって大きな脅威となるものと考えられる。
(2)評価書によると、計画地そのものではクマタカ以外の猛禽類の観察例数が少ないが、評価書の第8.1.4-40図(平成24年秋季)(459ページ)によると、計画地周辺でハチクマ、ツミ、オオタカ、サシバ、ハイタカ、ノスリの飛翔行動が記録されていることから、計画地の周辺は猛禽類の渡りルートになっていることがそうていされる。
また、これまでも、五ヶ瀬町でサシバの南下が数多く記録されていることから、サシバは計画地付近を渡りルートとして利用していると考えられるが、評価書に係る秋の渡り鳥調査はH24年に2回(9・10月)にしか行っていないにも関わらず、それだけのデータをもって、計画地やその周辺が渡りコースではないと事業者が結論付けていることは、適切な評価とは到底言えない。
(3)日本野鳥の会宮崎県支部で2012年12月27日に計画地で調査を行った結果、クマタカをはじめアカヤマドリ(宮崎県レッドリスト準絶滅危惧種)など15種の鳥類を記録した。評価書でも計画地内でクマタカをはじめルリビタキ(宮崎県レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類)、カッコウ(同準絶滅危惧種)、オオルリ(同準絶滅危惧種)など10種、計画地周辺でもハチクマやコノハズク(同)、ヤイロチョウ(同絶滅危惧ⅠB類)、サシバ(同準絶滅危惧種)など、希少種を含む24種の鳥類を記録している。計画地の諸塚村側は県指定鳥獣保護区であり、計画地の一部がその保護区に含まれるため、ここでの風力発電施設建設はこれら希少な鳥類の生息に対しても少なからず影響を及ぼすものと考えられる。
以上の理由から、計画地及び周辺でのさらに詳しい調査を求めるところです。貴社におかれましても、風力発電施設の建設にあたっては、野鳥の生息状況などを的確に把握され、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとっていただけますよう、強く求めます。
(仮称)天北風力発電所に係る環境影響評価準備書に対する意見書
日野鳥発第 13 号
平成26年 6月13日
株式会社 天北エナジー
代表取締役 渡辺 義範 様
日本野鳥の会道北支部
支部長 小杉 和樹
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
(仮称)天北風力発電所に係る環境影響評価準備書に対する意見書
平素より、日本野鳥の会道北支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、この度、公表されました「(仮称)天北風力発電所 環境影響評価準備書」について、次のとおり意見を述べます。
記
1.全般的事項について
(1)「8.重要な種及び注目すべき生息地のうち(2)渡り時の移動経路」について
渡り確認状況において、「渡り」と「移動」を区別して表に記載しているが、そもそも渡りと移動を区別した理由および、区分する際の基準や方法等を明記すること。
(2)予測衝突数の算出について
①環境省の「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」に記載されている算出モデルだけでなく、現在考案されている最新で適切なモデルを用いて算出すること。
例;由井正敏・島田泰夫.球体モデルによる風車への鳥類衝突数の推定法.2013.総合政策15(1)1-17.
②各鳥種における予測衝突数を算出する際、計算の対象となる鳥類が「風車を避ける場合」と「避けない場合」で算出している。避ける場合、一律に回避率を95%として計算に用いられているが、実際には、対象の鳥種や種群によって、回避率が異なる可能性が多分にあり、海外文献を引用するなどして、できるだけ最新で適切と考えられる回避率を用いて算出すること。
例;Use of Avoidance Rates in the SNH Wind Farm Collision Risk Model.
J. Everaert. 2014. Collision risk and micro-avoidance rates of birds with wind turbines in Flanders. Bird Study 61(2):220-230.
③対象事業実施区域全体、もしくは地図上に示された風車設置予定位置の中心地点から、ある程度のバッファーを設けて、その範囲内で各鳥種における予測衝突数を算出するのではなく、導入予定の風力発電機のローター直径の3倍(風車工学的に必要とされる間隔)を目安とした格子状メッシュを地図上に配し、それぞれのメッシュごとに予測衝突数を算出すること。
(3)騒音による生息環境の悪化について
①同準備書を読むと、「鳥類は風車稼働後の騒音に対し、時間の経過に伴い馴致をみせる。」との記載が全体に見られるが、「時間の経過に伴い馴致をみせる。」とした根拠を明らかにすること。
一方、武田恵世(日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、「…三重県における風車建設後の森林と対照区の森林で野鳥の繁殖期の調査を行い、比較検討した結果、(風車建設後の森林では、対照区の森林に比べ、野鳥の)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では、年月とともに鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は、騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機に順応していない理由としては、稼働の日変動や年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと。また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。このように、風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べられていることは極めて重要な見識である。
これらの見識も踏まえ、各鳥種に対して、騒音による生息環境の悪化について再度評価すること。
②環境省による「ダム事業における希少猛禽類の保全技術に関する調査」を用いて、騒音による鳥類への影響を予測しているが、今回の内容では、ダム環境に生息していない鳥種についてもこの規定に基づいて予測、評価しているため、妥当な調査結果であるか、疑問が残る。ついては、そういった種に対して、別の方法で騒音による影響を予測すること。
③「国土技術政策総合研究所資料No.393-395道路環境影響評価の技術手法(別冊事例集動物、植物、生態系)」にある、トンネル工事中におけるクマタカに係るモニタリング調査の結果を用いて、今回、騒音等、工事による猛禽類への影響を予測しているが、その予測がクマタカ以外の鳥種に対しても有効であるとする根拠を示すこと。
(4)騒音による餌資源の逃避・減少について
「稼働後の時間経過に伴い、騒音への馴致が考えられることから、餌資源の逃避が起きたとしても一時的なものである。」としているが、その根拠が明確でないことから、「馴致と逃避の一時性」と記述した根拠を示すこと。
2.各鳥種について
(1)オオジシギについて
騒音による生息環境の悪化について、「飯田知彦.1991.オオジシギの繁殖行動と生息環境.Strix10:31-50」によれば、オオジシギは繁殖期間中に音や光による繁殖阻害を嫌うことが示唆されており、オオジシギに関しては、稼働後の時間経過に伴う騒音への馴致は考慮しにくいので、その観点から評価を再度行うこと。
(2)オジロワシについて
①改変による生息環境の減少・喪失について
営巣木周辺には風力発電機を設置しないこととしているとあるが、その範囲について図面上で明示すること。
②繁殖・採餌に係る移動経路の遮断・阻害について
本件においては、渡り経路の遮断・阻害についても、別途、詳細に検討すること。
③ブレード・タワーへの接近・接触について
・飛翔経路の変更による影響が予測されるため、繁殖・採餌環境の有無に限らず、渡り経路の存在からどのような影響が予測されるか具体的に検討すること。
・本種の衝突確率や衝突数に関する既存の文献はないとしているが、例えば下記のような文献がある。
由井正敏・島田泰夫.球体モデルによる風車への鳥類衝突数の推定法.2013.総合政策15(1)1-17.
Kitano M. & Shiraki S. 2013. Estimation of bird fatalities at wind farms with complex topography and vegetation in Hokkaido, Japan. Wildlife Society Bulletin 37(1):41-48.
May R. etc. 2010. Collision risk in white-tailed eagles. Modeling collision risk using vantage point observations in Smöla wind-power plant. Norwegian Institute for Nature Research, Trondheim, Norway.
May R. etc. 2011. Collision risk in white-tailed eagle. Modeling kernel-based collision risk using satellite telemetry data in Smöla wind-power plant. Norwegian Institute for Nature Research, Trondheim, Norway.
Nygard, T. etc. 2010. A study of white-tailed eagle movements and mortality at wind farm in Norway. Proceedings of the BOU conference climate change and birds. British Ornithologist Union, Peterborough, England, United Kingdom.
・オジロワシの予測衝突数を算出するにあたっては、由井(2013)に記載されている計算モデルを利用すること。
・声問川および増幌川の両河川でサケ科等魚類が遡上する期間は、オジロワシにとって好適な餌場となり、両河川間を往復する際に衝突の危険性が高まるので、その点についても評価を行うこと。
・オジロワシにとって、高度Lは羽ばたき飛行を行うなど非常に不安定な状況で飛翔している場合が多く、飛翔中に容易に高度Mになることも考えられるため、オジロワシの予測衝突数を算出するにあたっては、高度Lで飛翔した個体も含めた結果を算出すること。
(3)オオワシについて
①ブレード・タワーへの接近・接触について
・声問川および増幌川の両河川でサケ科等魚類が遡上する期間は、オオワシにとって好適な餌場となり、両河川間を往復する際に衝突の危険性が高まるので、その点についても評価を行うこと。
・オオワシの予測衝突数を算出するにあたっては、由井(2013)に記載されている計算モデルを利用すること。
・オオワシにとって、高度Lは羽ばたき飛行を行うなど非常に不安定な状況で飛翔している場合が多く、飛翔中に容易に高度Mになることも考えられるため、オオワシの予測衝突数を算出するにあたっては、高度Lで飛翔した個体も含めた結果も出しておくこと。
(4)チュウヒについて
①ブレード・タワーへの接近・接触について
・本種の衝突確率や衝突数に関する既存の文献はないとしているが、近縁種では例えば下記のような文献がある。
Whitfield, D. P. & Madders, M. (2006) Flight height in the Hen Harrier Circus cyaneus and its incorporation in wind turbine collision risk modelling. National Research Ltd., Banchory, UK.
Whitfield, D.P. & Madders, M. (2006) A Review of the Impacts of Wind Farms on Hen Harriers Circus Cyaneus and an Estimation of Collision Avoidance Rates. Natural Research Information Note 1 (revised). Natural Research Ltd., Banchory, UK.
(5)シロハヤブサについて
Hötker(2006)によれば、シロハヤブサの主な餌資源であるカモメ類は、世界的に風力発電機に衝突死する可能性が高く、海に近い本対象事業実施区域においても、カモメ類の衝突死が起きることが予想される。その場合、シロハヤブサがカモメ類の死体や風車周辺での飛翔個体に誘引され、そのことにより、シロハヤブサの風力発電機への衝突を誘導する可能性もあるため、餌資源であるカモメ類の利用状況の観点から、風力発電施設の建設がシロハヤブサに及ぼす影響を評価すること。
(6)コハクチョウについて
衝突数の算出にあたっては「渡り」と「移動」を区別せず、一つにまとめて計算すること。なお、算出にあたっては、現在考案されている最新で適切なモデルを用いること。
例;由井正敏・島田泰夫.球体モデルによる風車への鳥類衝突数の推定法.2013.総合政策15(1)1-17.
3.事業計画全体について
オジロワシおよびコハクチョウの衝突数を算出するのに最新の計算モデルを使用した場合、貴社で予測に用いた範囲における衝突数は「オジロワシで0.6羽/年」、「コハクチョウで0.5羽/年」程度になると考える。
この値は、オジロワシに限ってみれば、日本の風力発電所の中で2番目に高い衝突確率とみられる。また、特にオジロワシは、秋の渡りの時期から冬にかけて、若い個体が風車と衝突死する傾向が高いが、当該対象事業実施区域はオジロワシの渡りコースになっていると考えられ、衝突死が頻繁に起こる可能性の高い場所と懸念する。
さらに、北海道北部では冬季間に風力発電施設への衝突死が多いことから、冬季間における衝突数について補正が必要である。
なお、現在、日本国内でのオジロワシの死因で、理由が判明しているものでは風力発電施設への衝突死が最も多く、そのことがオジロワシの個体群の存続に少なからず影響していることも示唆されている。
コハクチョウについては、これまでに国内外での衝突死の事例は見られないものの、オジロワシなど他の鳥類の事例からみても、0.5羽/年という衝突確率は決して小さい数字ではないと考える。また、渡りや移動時の飛行コースは天候等で容易に変化するなど予測の不確実性も考慮すると、予測される衝突数は0.5羽/年より格段に大きくなる可能性が高い。
これらの状況から考えると、当該対象事業実施区域で風力発電施設を建設することは、オジロワシなどの希少猛禽類やコハクチョウなど多数の鳥の生息に多大な影響を及ぼす可能性が高いことから、風車の配置位置の変更を含めた、事業計画地の選定そのものを見直すなど、大幅な計画変更が必要であると考える。
また、当該対象事業実施区域の東西には大規模な宗谷岬ウィンドファーム(57基)、さらきとまない風力(9基)等の既存施設があることから、本事業との累積的な評価が必要である。
このほか、当該対象事業実施区域周辺には、人と自然との触れ合いの活動の場として野鳥観察等でも多くの方が利用している「大沼」「メグマ沼」があり、この眺望点からの影響について見込角「1.64」「2.05」として「認識されない」と評価しているが、本地域周辺はもともと人工物の少ない丘陵地形であることから「主対象となる」ほど、実態と乖離した評価となっており、既存施設も対象とし累積して景観への影響を評価する必要がある。同時に、当該対象事業実施区域の中心的な集落となる中増幌及び増幌地区からのフォトモンタージュによる景観予測からは「見込角」以上に景観への影響があると感じられることから、地域住民や自然とのふれあいの場としての利用者等にフォトモンタージュによる聞き取り調査を実施するなどして、再度影響を評価すること。
エコ・パワー社の「猿払村及び浜頓別町(クッチャロ湖)における風力発電事業」について、計画段階環境配慮書へ意見書を提出しました
公益財団法人日本野鳥の会は、4月2日、北海道の猿払村及び浜頓別町、つまりクッチャロ湖周辺で計画されている「猿払村及び浜頓別町(クッチャ ロ湖)における風力発電事業」(エコ・パワー株式会社)について、オジロワシなどの希少猛禽類の繁殖や渡り、コハクチョウの渡りや採餌行動に影響 を与える恐れが大きいことから、計画位置の見直し等を求める意見書をエコ・パワー株式会社に提出しました。クッチャロ湖は ラムサール条約登録湿地、EAAFP 登録地、IBA、国指定浜頓別クッ チャロ湖鳥獣保護区(特別保護地区)、北オホーツク道立自然公園 に指定され、 湖周辺を含めて約290種類の野鳥が確認され、渡りのピークにはコハクチョウが1万数千羽(日本の約8割)、ヒドリガモやスズガモ等が数万羽渡来する、 鳥類にとって非常に貴重な場所です。今後も本計画の動向を注意深く見守り、適切なタイミングで意見していきます。
日野鳥発第 88 号
「猿払村及び浜頓別町における風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に対する意見書
平成26年4月2日提出
氏名 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
住所 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
連絡先 03-5436-2633
意見とその理由
(1)対象事業実施区域の選定にあたっては以下の場所は選定の候補から外すべきである。
・海岸線から2kmの範囲にあたる区域
(理由)オジロワシ等の渡り性鳥類が多く利用し、バードストライクや渡り経路の阻害が発生する可能性があるため。
・河口部を含む河川沿いおよび湖沼のある区域
(理由)オジロワシは、繁殖期のみならず、渡り時期や越冬期においても、海岸だけでなく河口部や河川沿いおよび湖沼周辺で探餌することが多く、それらの場所はバードストライクの発生する可能性が高いため。
・オジロワシの営巣およびその可能性がある場所について、営巣地と考えられる場所を中心とする半径2kmの範囲
(理由)(公財)日本野鳥の会が根室地域で行っているオジロワシの営巣期における行動圏調査では、営巣地を中心とした半径2kmの範囲でオジロワシの行動を頻繁に観察されており、この調査結果を参考にすれば、少なくともオジロワシの営巣およびその可能性のある場所を中心に、半径2kmの範囲については、風車の建設による衝突死など、風車による影響を受ける確率が高いと考えるため。
・オジロワシおよびオオワシのねぐらとなっている場所
(理由)国内で衝突死事例があるオオワシおよび、世界的にも風車建設の影響を受けやすいとされるオジロワシの行動が活発な場所での風車の建設は、衝突死など風車による影響を受ける確率が高いと考えるため。
・ハクチョウを含むガンカモ類およびタンチョウの餌場となっていると考えられる場所および、クッチャロ湖内でガンカモ類がねぐらをとっている場所と餌場とを結ぶ区域。
(理由)タンチョウやガンカモ類の餌場となっている場所に風車を建設すると、これらの鳥種において、生息地放棄や忌避を起こす可能性が高いため。また、本計画地周辺には農耕地が少なく、代替地となる餌場が他の場所で確保しにくいと考えるため。
・特定植物群落の指定区域
(理由)特定植物群落は学術上重要または保護を要する植物群落であり、風車の建設や維持管理用の道路の建設、作業用車両の往来による外来種の侵入の可能性が高まることなど、学術上重要もしくは保護を要する植物群落の適正な維持管理を阻害すべきではないため。
(2)候補区域A~Eにおいて配慮すべき事項
| 区域 | 渡り経路阻害 | オジロワシ | 餌場利用の阻害 | 餌場とねぐらの間 | 特定植物群落 |
| A | ○ | ○(キモマ沼で繁殖) | ○ | ||
| B | ○(餌場の可能性) | ○ | ○ | ||
| C | ○ | ○(渡り経路) | ○ | ○ | ○ |
| D | |||||
| E | ○ | ○(渡り経路) | ○ | ○ |
(3)累積的影響を考慮して立地選定を行うべきである。
(理由)候補区域A~Eの近傍には、浜頓別市民風車発電所はまかぜちゃん(株式会社浜頓別市民風力発電所)、浜頓別ウインドファーム(株式会社ユーラスエナジー浜頓別)、井の三猿払風力発電所(井の三風力発電株式会社)の3つの風力発電所が存在するが、候補区域の選定にあたっては、それらの風力発電所が鳥類に影響を与えているかどうかを踏まえること。また、それらの存在が鳥類に影響を与えている可能性が示唆できる場合は、その影響が本事業の計画にもたらす効果を見積もること。
(4)方法書作成段階へ進むにあたっての注意
(理由)以上で述べたように、本事業の計画は立地選定の結果によっては渡り鳥や希少猛禽類へ衝突死や障壁効果などの影響をもたらすことが考えられるため、細心の注意を払って対象事業実施区域を選ぶこと。また、その後の環境影響評価方法書の作成にあたって、特に鳥類調査の手法においては、渡り鳥や希少猛禽類への影響の程度を十分に把握することを目的として、有識者や自然保護団体等からよく意見を聴取したうえで、調査計画を立案すること。
電源開発(株)の「今ノ山風力発電事業(仮称)」について、計画段階環境配慮書へ意見書を提出しました
日野鳥発第 89 号
平成26年4月2日
高知野鳥の会
会 長 有田修大
日本野鳥の会高知支部
支部長 西村公志
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
(公印省略)
電源開発株式会社 御中
「今ノ山風力発電事業(仮称)計画段階環境配慮書」に関する意見書
平素より、高知野鳥の会、日本野鳥の会高知支部ならびに(公財)日本野鳥の会の環境保全活動に関し、ご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
ところで、この度、公表されました高知県土佐清水市~三原村にまたがる地域に計画中の「今ノ山風力発電事業(仮称)」の計画段階環境配慮書について、当該地域の自然環境の保全と鳥類の渡りのルート保全のため、下記のとおり意見を述べます。
1. 意見内容
(1)小型鳥類の飛翔高度がブレードの高さに満たないと断定できないこと。
事業計画地域を含む四国西南部は、いわゆる夏鳥の渡りの主要ルートになっています。配慮書5.1-19(162)には「渡りの多くは小型の鳥類であり、それらの種の飛翔高度は天敵となる猛禽類を避けるために、ブレードの回転域より低い樹林上及び樹林内を飛翔することから、重大な影響はない」との記述がありますが、小型の鳥類は主に夜間に移動し、しかもかなりの高度を飛翔していることはよく知られており、「猛禽類を避けるためブレードより低い高度を飛翔する」という記載は、現実と相違した断定的表現と言わざるを得ず、記載内容の変更および評価結果の見直しなどの配慮が必要です。
(2)サシバの渡りに大きな影響が予想されること。
秋には、四国以北の国内で繁殖したサシバの大半(毎年約10,000羽前後)がこの地域を通過して南下します。サシバの四国から九州へ向かう主な出口は、一般的に愛媛県高茂岬周辺と言われていますが、天候や風向きの影響を受け、一旦、今ノ山から柏島周辺まで南下したサシバが、そこから北上、して高茂岬を目指したという調査記録もあります。また、最近、発行された「日本のタカ学」にあるサシバの渡りの衛星追跡調査の記述を見ると、彼らが今ノ山周辺を飛んでいる可能性は否定できません。このように、サシバの秋の渡りについては、判明している事象も多いのですが、特にサシバの春の渡りについては、実態がほとんど判っておらず、四国での春の渡りについては、次の2点のみが知られているに過ぎません。
①高知県中央部では、毎年4000羽程度の渡りが観察されていること。
②この春の渡りは、愛媛県内では確認されていないこと。
これらのことから、春のサシバは高知県西南部から四国に入っている可能性が高く、そのルート上に風力発電所が計画されることは、春秋のサシバの渡りに重大な影響がある可能性があると言わざるを得ません。
さらに、サシバは、特に近年、急激に生息分布が減少していることから、平成18年に改訂された環境省レッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されており、当該事業により、渡りのルートに何らかの支障が生じた場合、その影響はこの地域のみならず、全国に波及することが強く懸念されます。
以上のことから、事業計画の撤回も含めた大幅な見直しが必要であると考えます。
本件に関する問い合わせ先
・高知野鳥の会
会長 有田修大(TEL: 0880-64-0140)
・日本野鳥の会高知支部
支部長 西村公志(TEL: 088-871-2532)
・(公財)日本野鳥の会
自然保護室(TEL: 03-5436-2633、担当:浦 達也)
以上
プレスリリース 2014.02.12
2014年2月12日
日本野鳥の会もりおか(代表 中村茂)と公益財団法人日本野鳥の会(理事長 佐藤仁志)は、2月12日、盛岡市北部で計画されている「姫神ウィンドパーク事業」(エコ・パワー株式会社)について、イヌワシなどの希少猛禽類の繁殖や採餌行動に影響を与え、渡り鳥の経路についても影響を及ぼす恐れが大きいことから、事業区域や実施位置の見直し、風車の基数、設置位置の見直しを求めるエコ・パワー株式会社に要望書を提出しました。また、環境大臣に対して適切な指導を求める要望書を提出しました。
平成26年2月12日
日本野鳥の会もりおか
支部長 中村茂
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
環境大臣 石原伸晃殿
「姫神ウインドパーク」事業予定地となる盛岡市玉山地区に生息する猛禽類と各種渡り鳥の保全に関する要望書
平素より日本野鳥の会の環境保全活動に関してご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げております。盛岡市玉山区から岩手町川口地区にまたがる地域に計画されている「姫神ウインドパーク」事業について、稀少鳥類の生息する本地域の自然環境の保全のため、対象事業実施区域および事業内容の抜本的見直しを事業当事者のエコ・パワー株式会社に対して行政指導して頂くよう強く要望いたします。
1. 要望内容
- 平成24年9月21日付けで出された環境大臣意見書に沿って事業実施計画の確定に先立ち改めて十分な環境影響評価を実施し、特に動物及び植物に対する環境影響を可能な限り回避するよう、現在の姫神ウインドパーク事業計画を見直すように、エコ・パワー株式会社に対して行政指導をいただくこと。
- エコ・パワー株式会社の事業計画の見直し内容を検討いただくにあたり、本地域において絶滅危惧種イヌワシをはじめとする多様な猛禽類が高い頻度で観察されていることに配慮し、それらの採餌活動や生殖活動に影響を及ぼさず、衝突死を起こす恐れの少ない事業案であることをご確認いただくこと。
特に風力発電装置の設置区域を猛禽類の生息地域や渡り鳥の渡りの経路からできるだけ遠ざける施設配置となっているか、かつ野鳥の衝突死の起こりにくい形状や大きさの風力発電装置を設置することになっているか、などの検討がなされていることを是非ご確認いただきたいこと。 - もし、エコ・パワー株式会社における改訂後の事業実施計画においても、上記の第2項目の問題点に改善が見られない場合には、さらなる改善案の検討をエコ・パワー株式会社に強くご指導いただくこと。
2.要望の背景
岩手県盛岡市北部の玉山地区から岩手町川口地区にかけては山林・牧野・農耕地・河川・湖水等の混在した豊かな自然環境があり、特に本事業の対象実施区域は姫神山南麓の標高900m前後の尾根に位置し、外山早坂高原県立自然公園にも隣接しております。従って、この地域では一年を通して多様な野鳥が観察されます。春から夏にかけてはキビタキ、ノビタキ、ノジコ、オオジシギなどの数多くの夏鳥が繁殖し、春や秋にはこの地区の上空でオオハクチョウ、マガンなどの渡りが見られますし、小型の様々な渡り鳥が春や秋にこの地区を通って渡りを行っていることも知られています。また、この地域はベニマシコ、ツグミなどの冬鳥の重要な越冬地でもあります。さらにこの地域には、モズ、ヤマドリなどの留鳥も数多く生息しており、日本野鳥の会もりおかのこれまでの調査では、合計150種以上の野鳥が確認されております。
なかでもこの地域で特筆すべきは、数多くの猛禽類が観測されている点です。生態系の頂点に位置する猛禽類の多様性は、その自然環境の豊かさの指標ともいえるものでありますが、この地域ではノスリ、ハイタカ、ハチクマ、クマタカ、ハヤブサ等の様々な猛禽類が観察されております。
特に私どものこれまでの調査結果によれば、この地域の広範囲な山林牧野は、我が国の天然記念物であるイヌワシの生息地であり、複数のイヌワシが定期的に採餌等の活動を行う重要な場所であることが明らかになっています。イヌワシは、環境省が第4次レッドデータリストの中で「絶滅危惧IB類」と指定している野鳥であり、日本全国でおよそ400羽が生息すると推定されています。しかも自然環境の豊かな岩手県にはそのうちの約20%が確認されて、岩手県内のイヌワシ生息地の保全は日本国内のイヌワシの種の維持のためにも重要かつ不可欠です。岩手県の県庁所在地にイヌワシが生息することは盛岡市民にとっての誇りであり、多くの盛岡市民がイヌワシ保護を強く望んでおり、盛岡市ではこれを受けて、平成7年から3カ年でイヌワシ生息地を保全するために、近隣の営巣地一帯を市有地として取得しています。
しかるに、エコ・パワー株式会社が平成24年5月に公表した「姫神ウインドパーク」事業計画によれば、この地域に20基もの風力発電用風車が建設されることになっています。すでに、全国各地の風力発電事業が野鳥の生息環境を損なっていることは広く指摘されていることですが、特に問題となるのは、自然の風を利用して生息している野生鳥類、特にイヌワシ等の猛禽類が高速で回転する風車に衝突して死亡するケース(いわゆるバードストライク)です。既に岩手県では、釜石広域ウインドファームにおいて、2008年9月にイヌワシ成鳥1羽が風車に衝突死しており、日本野鳥の会岩手県連絡協議会はこの事態を憂慮し、2008年12月8日付で事業主、岩手県知事及び環境省東北地方環境事務所長に対し、イヌワシ衝突の再発防止に関する要望書を提出しています。
以上のことからも、この地域に大規模風力発電施設の建設を行えば、イヌワシに代表される稀少鳥類の生息において、採餌活動や繁殖活動の阻害、衝突死、渡りの阻害や渡り経路の遮断要因となるなどの悪影響は避けられません。私ども日本野鳥の会は、これからの日本のエネルギー資源として風力や太陽光等の自然エネルギーの積極的利用に基本的に賛成しています。しかし、それらの設置や運用が自然環境に負荷を与える恐れがある場合には、その負荷をできるだけ小さくするように設置計画を見直すべきであると考えます。そのため、日本野鳥の会もりおかは本事業の事業者であるエコ・パワー株式会社に対して、本計画の全面的見直しを強く求めています。環境省におかれても、稀少鳥獣保護の立場からエコ・パワー株式会社に対して、本計画の全面的見直しを行政指導していただくよう強く要望するものであります。
本件に関する問い合わせ先
日本野鳥の会もりおか
支部長 中村茂(TEL: 019-662-7151)
事務局 柴田俊夫(TEL: 019-622-9976)
日本野鳥の会自然保護室(TEL: 03-5436-2633、担当:浦達也)
以上
日野鳥発第 74 号
平成26年2月12日
日本野鳥の会もりおか
代表 中村 茂
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
エコ・パワー株式会社
代表取締役社長 周布兼定 殿
「姫神ウインドパーク事業」の対象事業実施区域である
盛岡市玉山地区に生息する希少猛禽類と渡り鳥の保全に関する要望書
貴社が計画されている「姫神ウインドパーク事業」について、対象事業実施区域の位置および風力発電機の設置基数や設置位置など事業内容を見直されることを強く要望いたします。
記
1.要望内容
(1) 環境影響評価書の確定に先立ち、平成24年9月21日付けで提出された環境省意見に沿うようにあらためて十分な環境影響評価を実施し、特に動物および植物に対する環境影響を可能な限り回避するよう、「姫神ウインドパーク事業」の対象事業実施区域の位置そのものを見直す、または地元の自然保護団体を含めた専門家の意見を聞きながら対象事業実施区域内における風車の設置基数や設置位置を見直し、希少猛禽類の生息に影響のない計画にすること。
(2) イヌワシなどの希少猛禽類が高い頻度で観察される場所において、その生息に影響のないよう対象事業実施区域の位置および設置基数や設置位置を見直すにあたっては、それらの採餌活動や繁殖活動に影響を及ぼさず衝突死を起こす恐れの少ない事業計画案を検討すること。特に風車の設置位置を猛禽類の生息地域や渡り鳥の経路からできる限り遠ざけ、かつ野鳥の衝突死の起こりにくい形状および大きさの風車を設置するなどの検討を行なうこと。
2.要望の背景
(1)整備予定地域の豊かな自然
1)整備予定地域の豊かな自然
岩手県盛岡市北部の玉山地区から岩手町川口地区にかけては、山林・牧野・農耕地・河川・湖水等が組み合わさった豊かな自然環境が存在しています。
特に本事業の対象実施区域は姫神山南麓にある標高900m前後の尾根に位置し、外山早坂高原県立自然公園に隣接しています。
この地域では、一年を通して多種多様な野鳥が観察され、例えば、春から夏にかけてはキビタキ、ノビタキ、ノジコ、オオジシギなど数多くの夏鳥が繁殖し、春と秋はオオハクチョウやマガンのほか、様々な小型の渡り鳥がこの地域を通過することが知られています。さらに、この地域にはモズ、ヤマドリなどの留鳥も数多く生息しており、また、ベニマシコ、ツグミなどの冬鳥にとって重要な越冬地となっています。
これまでの「日本野鳥の会もりおか」による鳥類調査によると、合計150種以上の野鳥が確認されており、中でもこの地域において特筆すべきことは、数多くの猛禽類が観測されている点で、これまでにクマタカ、ハヤブサ、ハチクマ、ハイタカ、ノスリなど様々な猛禽類が観察されており、このような生態系の頂点に位置する猛禽類の多様性は、その自然環境の豊かさの指標となっております。
2)天然記念物 イヌワシの生息地であること。
特に私どものこれまでの調査結果では、対象事業実施区域を含む広範な山林牧野は我が国の天然記念物であるイヌワシの生息地となっており、複数のイヌワシが定期的に採餌等の活動を行う重要な場所であることが明らかになっています。
環境省はレッドデータリストでイヌワシを「絶滅危惧IB類」に指定しており、日本全国でおよそ400羽しか生息していないと推定され、自然環境の豊かな岩手県ではそのうちの約20%の生息が確認されていることから、岩手県内のイヌワシ生息地の保全は日本国内のイヌワシの種の維持のために不可欠なものになっています。
とりわけ、岩手県の県庁所在地である盛岡市内にイヌワシが生息することは市民にとっての誇りでもあり、多くの盛岡市民がイヌワシの保護を強く望んでおり、盛岡市ではこれを受けて平成7年から3カ年で、イヌワシ生息地を保全するため、近隣の営巣地一帯を市有地として取得しています。
(2)「姫神ウインドパーク事業」計画案では、イヌワシをはじめ、特に希少猛禽類に及ぼす影響が甚大であると懸念されること。
一方、貴社が平成24年5月に公表した「姫神ウインドパーク事業」の計画案では、このイヌワシの生息地に20基もの風力発電用風車を建設することになっています。
すでに全国各地の風力発電事業が野鳥の生命そのものを脅かし、また、生息環境を損なっていることが広く指摘されていますが、特に問題となるのは、自然の風を利用して生息している鳥類、特にイヌワシ等の希少猛禽類が風車に衝突死するバードストライクです。
既に岩手県では、釜石広域ウインドファームにおいて2008年9月にイヌワシの成鳥1羽が風車に衝突死しており、日本野鳥の会岩手県連絡協議会はこの事態を憂慮し、2008年12月8日付で事業者、岩手県知事、環境省東北地方環境事務所長宛てに、イヌワシの衝突死事故の再発防止に関する要望書を提出しています。
(3) 日本野鳥の会もりおか及び日本野鳥の会の立場と見解
私ども日本野鳥の会もりおか及び日本野鳥の会は、これからの日本のエネルギー資源として風力や太陽光等の自然エネルギーの積極的利用には基本的に賛同しています。
しかし、それらの設置や運用が自然環境に負荷を与える恐れがある場合には、その負荷をできるだけ小さくするよう、設置計画に対して中止を含めた必要な見直しを求めていきます。
とりわけ、これまでに述べたとおり、現行の計画案のままこの地域に大規模風力発電施設の建設を行えば、イヌワシに代表される稀少鳥類の生息に対して、採餌活動や繁殖活動の阻害、衝突死、渡りルートの阻害や遮断の要因となるなどの影響は避けられません。
このため、日本野鳥の会もりおか及び日本野鳥の会は、本事業の事業者である貴社に対し、まず、対象事業実施区域の位置そのものを全面的に見直していただくよう強く要望するものです。
おって、この要望書提出に際しては、環境省・岩手県・盛岡市など、関係行政機関等にも、提出した要望書の内容等を送付していますので、念のため申し添えます。
以上
要望書提出先
エコ・パワー株式会社 代表取締役社長 周布兼定殿
東京都品川区大崎1-6-1 TOC大崎ビルディング1号棟
本件に関する問い合わせ先
日本野鳥の会もりおか
代表 中村茂(TEL: 019-662-7151)
事務局 柴田俊夫(TEL: 019-622-9976)
日本野鳥の会自然保護室(TEL: 03-5436-2633/担当:浦達也)
青森県むつ小川原港の洋上風力発電計画について、 計画段階環境配慮書へ意見書を提出いたしました
「(仮称)むつ小川原港洋上風力発電事業計画段階環境配慮書」に対する意見書
平成25年 12月 24日提出
- 氏名
- 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
- 住所
- 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
(公財)日本野鳥の会 佐藤 仁志 - 配慮書についての環境の保全の見地からの意見
-
この度、貴社が作成された「(仮称)むつ小川原港洋上風力発電事業」に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。
1.対象事業計画区域で確認されている鳥類について
「第3-30表(1)~(4)」では、オオハムなどのアビ類およびクロガモやコオリガモなど海ガモと言われる鳥類等、欧州における環境影響評価の結果から洋上風力発電施設の建設によって生息が妨害される可能性の高い種が掲載されている。そして、海岸部の土地改変の影響を大きく受けると想定されるシギ・チドリ類の多くの種が生息していることも示されている。また、「3-98~3-102」にあるように、当該地はオジロワシ、オオワシ、オオハクチョウなどガンカモ類の渡り経路・中継地となっていることが示されている。これらの種はいずれも海岸および比較的岸に近い海域に生息する鳥類であり、洋上風力発電施設の建設によって衝突、渡りの阻害、生息地放棄などを起こす可能性があるので、特に配慮書に記載されていないアビ類や海ガモ類については、洋上風力発電との関係で配慮すべき事項を配慮書に記載すべきである。2.鳥類への影響評価手法と結果について
「5.3-14~5.3-24」にある洋上風力発電およびその付帯施設の建設が鳥類へ及ぼす影響の評価手法とその結果について、風車建設による土地改変面積および空隙率を用いて生息地の損失や衝突事故の発生を評価している。しかし、実際に鳥類へ及ぼす影響を考えるには、改変面積ではない風車や付帯施設の存在そのものが及ぼす忌避効果も加味して、生息地放棄やその質などの低下による影響を考慮すべきである。また、世界的にみて風車間の距離が広いものや単独で建っている風車でも衝突事故が起きていることから、衝突事故については空隙率から計算するのではなく、対象となる鳥類の生態的特徴や環境利用の状況なども考慮して影響評価を行うべきである。
「高森高原風力発電事業(仮称)環境影響評価方法書」に対する意見書
平成25年 12月 24日提出
- 氏名
- 公益財団法人日本野鳥の会 理事長 佐藤 仁志
- 住所
- 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
(公財)日本野鳥の会 佐藤 仁志 - 配慮書についての環境の保全の見地からの意見
-
3.風車列の位置について
1.および2.で述べた意見から考えると、配慮書で示されているA案およびB案とも、一番海岸に近い洋上風力発電および桟橋など付帯施設の存在そのものが、移動阻害によりオオワシやオジロワシなど希少猛禽類およびハクチョウやマガンなどのガンカモ類の渡り経路および中継地利用に影響を及ぼす可能性がある。また、海岸に近い海域は特に移動期および冬季はアビ類や海ガモ類の利用が多い場所となっていることが予測され、そのような場所に洋上風力発電施設を建設すると大規模な生息地放棄が起きると考えられる。そのことから、風車の配置案についてはAおよびB案ではなく、桟橋を伴う発電機列・尾鮫地先・西側については、桟橋を伴わずもっと沖側へ移動、変更するC案を提案すべきである。以上
日本各地の風力発電計画について、環境影響評価方法書に対し意見書を提出しました
2013.5
当会では、3月下旬に一斉に公告された全国10か所の風力発電施設建設計画について、そのうち8件の計画に対しては各連携団体と連名で、2件は当会の単独により、環境影響評価方法書に対する意見書を5月14日(火)までに事業者へ提出しました。
意見書では、絶滅危惧種や渡り鳥への影響を把握するための具体的な調査手法を提案し、野鳥保護の観点から適切な環境影響評価を行うよう、各事業者に対し意見しました。
最近の環境影響評価法の改正により、この4月1日以降に発表する風力発電事業の計画においては、環境調査の手法を示す”方法書”の前に、事業の位置や規模を検討する段階でどのような環境配慮をすべきかを示す”配慮書”の作成が必要となりました。事業者はその手間を惜しみ、今回のように全国各地で一斉に、3月下旬に駆け込み的に計画を発表したと考えます。
| 事業名称 | 事業者 | 事業規模 | 連名先団体 | |
| 1 | 北海道・(仮称)浜中風力発電事業 | 新エネルギー技術研究所 | 2,300kW X10基 | なし |
| 2 | 北海道・北檜山ウィンドファーム事業 | エコ・パワー | 2,000~3,000kW級 X 60基 | 日本野鳥の会道南檜山 |
| 3 | 青森県・上北小川原風力発電事業 | 大林組 | 3,000kW X 12基 | 日本野鳥の会あおもり |
| 4 | 岩手県・高森高原風力発電事業(仮称) | 岩手県企業局 | 2,300kW X 11基 | 日本野鳥の会もりおか |
| 5 | 岩手県・(仮称)住田ウィンドファーム事業 | エコ・パワー | 2,000~3,000kW X 55基 | なし |
| 6 | 宮城県・(仮称)石巻風力発電事業 | ユーラスエナジーホールディングス | 2,000~2,500kW X 8基 | 日本野鳥の会宮城県支部 |
| 7 | 秋田県・(仮称)大潟村風力発電所新設事業 | サミットエナジー | 2,500kW X 40基 | 日本野鳥の会秋田県支部 |
| 8 | 秋田県・若美風力発電事業 | 日本風力開発 | 2,000~3,000kW級 X 7基 | 日本野鳥の会秋田県支部 |
| 9 | 福井県・(仮称)南越前・敦賀風力発電事業 | グリーンシェルター | 2,300kW級 X 9基 | 日本野鳥の会福井県支部 |
| 10 | 愛媛県・槇川正木ウィンドファーム | ガイアパワー | 2,500kW X 10基 | 日本野鳥の会愛媛 |







