島根県出雲市の平田風力発電事業(仮称)計画への補助金拠出に関する要望
日野鳥発第44号
平成18年8月25日
経済産業大臣
二階 俊博 様
東京都渋谷区初台1- 47 – 1
小田急西新宿ビル1F
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
島根県出雲市の平田風力発電事業(仮称)計画への
補助金拠出に関する要望
現在、ラムサール条約湿地であり、国指定鳥獣保護区特別保護地区にも指定されている宍道湖に隣接した島根県出雲市十六島・釜浦地区を中心とした島根半島に、ユーラスエナジージャパンときんでんによる風力発電施設の建設計画があり、貴省あてに補助金交付の申請が出されているとうかがっております。この計画地域は、当会島根県支部の調査によれば、以下のように多くの希少種を含む鳥類の生息地となっており、風力発電所の建設によって多大な影響を受けるおそれがあります。
- 計画地付近は、複数の絶滅のおそれのある種の繁殖地となっています。
計画地付近では、以下のような複数の希少種の繁殖期における生息が確認されており、これらの繁殖は保護されるべきです。- ハヤブサ
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(以下種の保存法と略記)国内希少野生動植物種、レッドデータブック(以下RDBと略記)絶滅危惧II類
- オオタカ
- 種の保存法国内希少野生動植物種、RDB絶滅危惧II類
- クマタカ
- 種の保存法国内希少野生動植物種、RDB絶滅危惧II類
- ハチクマ
- RDB準絶滅危惧
- ミサゴ
- RDB準絶滅危惧
- ミゾゴイ
- RDB準絶滅危惧
- カラスバト
- RDB準絶滅危惧、天然記念物
これらの種は風車への衝突死の危険性があり、また風車の設置や取り付け道路の建設により採食等の行動が制限される可能性があります。
- 計画地付近はラムサール条約湿地の宍道湖に生息するマガン、ヒシクイ、コハクチョウなどの水鳥類や、渡り性のワシタカ類の飛行ルートとなっています。
計画地付近は宍道湖に越冬する水鳥類の飛行ルートとなっており、この飛行ルートは気象条件によって変化すると思われます。気象条件によっては風車設置場所がこの飛行ルートと交差してしまう可能性が考えられ、風車への衝突死の危険性があります。これらの中には以下の希少種を含んでいます。- マガン
- RDB準絶滅危惧、天然記念物
- ヒシクイ
- RDB絶滅危惧II類、天然記念物
また、春季と秋季には1の猛禽類とは別に、多数の猛禽類の渡りによる通過が確認されており、渡り鳥の主要なルートになっていることが予想されます。
このように、多くの希少種を含む鳥類にとって重要な生息地においては、風力発電施設を設置すべきでないと考えられます。このような場所に目下の計画のように大型の風車を多数設置すれば、風車による衝突死や、風車を鳥類が避けるために付近の土地を使用できない、一定の飛行ルートを使用できない、あるいは取り付け道路により植生が破壊される、といった理由により、様々な悪影響を被る危険性があります。このことを踏まえ、以下のように要望いたします。
記
島根県出雲市の平田風力発電事業(仮称)計画については、希少種の猛禽類やラムサール条約湿地に生息する水鳥類等、多くの希少種を含む鳥類の保護上大きな支障があることが疑われますので、環境影響について上記の観点からの専門的な審査を行った上で、支障が認められた場合は補助金の交付を行わないといった、適切な判断をしてくださるよう要望いたします。
以上
白神岬(北海道)周辺における風力発電施設の設置を認めないよう要望書を提出
当会は3月4日までに、鳥獣保護区である白神岬(北海道)周辺において風力発電施設の設置を認めないよう、地元自治体の松前町と福島町の各町長に対し要望書を提出しました。文書は函館支部と道南桧山支部をはじめとした当会北海道ブロック協議会、及び南北海道自然保護協会との連名によるものです。松前町と福島町にまたがる白神岳とその後背地に風力発電施設を建設する計画が持ち上がっていることに対し、野鳥保護の観点から提出いたしました。
平成21年3月3日
松前町長 前田 一男 様
(財)日本野鳥の会 会長 柳生 博
〒141-0031 東京都品川区西五反田3丁目9番23号 丸和ビル
日本野鳥の会北海道ブロック協議会 会長 藤巻裕蔵
〒062-0031 北海道札幌市豊平区西岡一条6丁目3-7
( 日本野鳥の会札幌支部、日本野鳥の会十勝支部、
日本野鳥の会滝川支部、日本野鳥の会オホーツク支部、
日本野鳥の会根室支部、日本野鳥の会釧路支部、
日本野鳥の会旭川支部、日本野鳥の会道北支部、
日本野鳥の会江別支部、日本野鳥の会小樽支部、
日本野鳥の会苫小牧支部、日本野鳥の会室蘭支部、
日本野鳥の会小清水支部 )
日本野鳥の会函館支部 支部長 有馬 健二
〒041-0841北海道函館市日吉町2丁目20番3号
日本野鳥の会道南檜山支部 支部長 林 吉彦
〒 041-1111北海道亀田郡七飯町本町3丁目4番17号
南北海道自然保護協会 会長 宗像 和彦
〒042-0955 北海道函館市高丘町2丁目14番
白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地での風力発電風車建設に対する要望書
貴職におかれましては、日頃松前町の優れた自然環境と先人が連綿と繋いできた歴史と伝統を生かした地域産業の育成に努められ、活力あふれた町づくりに全力を傾注されておられることに心より敬意を表します。
さて、現在、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電用風車建設の動きがあります。道内各地の既存の風力発電施設では、オジロワシをはじめ希少な猛禽類が風車に衝突して命を落としています。また、風力発電施設の建設にあたり、野生動物の生息地と重なる場所に建設する、作業道路の設置、盛土や切土、森林の伐採を行うなどの土地改変が伴うものも多くあり、大小に関わらず貴重な自然環境を破壊しながらでも建設を行った施設があります。私たちは風力発電の導入をすべて否定するつもりはありません。しかし、自然環境に十分な配慮がなされた真にクリーンなエネルギーとしての風力発電でなければ、この地に受け入れることはできません。
こうしたことから、下記の通り要望いたします。
記
松前町として白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地に渡り鳥の移動に障害となる風力発電施設の設置許可を出すことなく、優れた自然を後世に引き継いでくださるよう十分にご考慮ください。
理由は以下の通りです。
松前町は松前城に象徴されるように歴史と伝統を受け継ぎ発展してきました。城主は、地域の特産物として幕府にタカを献上したと聞いています。また、城主自ら鷹狩りを楽しんだともいわれ、このように松前町とその周辺は古くから猛禽類をはじめとした野鳥の多い場所として知られていました。白神岬と天狗山、町界を接する白神岳、さらにそれに続く後背地は、北海道を通過して本州や東南アジアとを行き来する鳥たちの移動ルートとして、最も重要な位置にあることが知られています。その重要さに鑑みて北海道は同地域を鳥獣保護区に、環境省は、松前、福島両町を鳥類観測2級ステーションに指定しています。
環境省の事業委託を受けた山階鳥類研究所の指導のもとに行われてきた松前町天狗山や福島町千軒での20年にも及ぶ鳥類調査により、エゾムシクイやセンダイムシクイおよびノゴマといった小鳥類をはじめとして、国内希少野生動物種および絶滅危惧ⅠB類に指定されているクマタカ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧ⅠB類・北海道絶滅危惧種に指定されているオジロワシ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧Ⅱ類・北海道絶滅危惧種に指定されているオオワシ、絶滅危惧Ⅱ類および北海道の絶滅危急種に指定されているハヤブサとオオタカ、準絶滅危惧および北海道の絶滅危急種に指定されているハイタカ、また準絶滅危惧および北海道の希少種に指定されているハチクマの渡りルートおよび狩り場であることが分かりました。
スペイン北部のナバラ地方および南部のタリファ地方はピレネー山脈およびジブラルタル海峡に接する矮小な地形(ボトルネック)により、猛禽類をはじめとした多くの鳥類の渡りルートとして知られています。また、数百基規模とたくさんの風力発電施設が建設されていることでも知られています。この二つの地域で一定期間、風力発電施設の影響で死亡した鳥類について調査を行った結果、非常に多くの鳥類、特に猛禽類の死亡が多いことが分かりました。それにより欧州では、鳥類の保護地区や渡り鳥が集中する場所、保護の必要性の高い種が生息する場所では、風力発電施設の建設を避ける必要があることが示されました。また、鳥類の大規模越冬地として知られるアメリカのアルタモントパスでも、風力発電施設による猛禽類の死亡事故が多発しています。そこでは、猛禽類が好んで利用する尾根が並ぶ丘陵地帯であるという地形的な特徴に加え、狩りという行動自体が衝突事故を起しやすくしていることが確認されました。
白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺の建設計画地は渡りルートおよび鳥獣保護区であり、保護の必要性の高い猛禽類が多く利用する場所です。また、尾根の続く丘陵地であり、ハヤブサなどの狩り場も有する場所です。このように、計画地に風力発電施設を建設するに際し鳥類、特に猛禽類に対して衝突死などの危険を及ぼすような条件が揃っており、施設を建設すれば実際に事故が起きるものと私たちは考えています。このことから私たちは、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電施設が建設されることに対して反対の意見を示すものです。
行政機関および事業者がこのことを事前に認識しておきながら風力発電施設を建設し、実際に猛禽類に悪影響を与えた場合には、未必の故意よる鳥類の殺傷と言わざるを得ません。このようなことにならないよう、建設計画に対しましては、行政機関として十分に考慮をしていただけますようお願い申し上げます。
平成21年3月4日
福島町長 村田 駿 様
(財)日本野鳥の会 会長 柳生 博
〒141-0031 東京都品川区西五反田3丁目9番23号 丸和ビル
日本野鳥の会北海道ブロック協議会 会長 藤巻裕蔵
〒062-0031 北海道札幌市豊平区西岡一条6丁目3-7
( 日本野鳥の会札幌支部、日本野鳥の会十勝支部、
日本野鳥の会滝川支部、日本野鳥の会オホーツク支部、
日本野鳥の会根室支部、日本野鳥の会釧路支部、
日本野鳥の会旭川支部、日本野鳥の会道北支部、
日本野鳥の会江別支部、日本野鳥の会小樽支部、
日本野鳥の会苫小牧支部、日本野鳥の会室蘭支部、
日本野鳥の会小清水支部 )
日本野鳥の会函館支部 支部長 有馬 健二
〒041-0841北海道函館市日吉町2丁目20番3号
日本野鳥の会道南檜山支部 支部長 林 吉彦
〒 041-1111北海道亀田郡七飯町本町3丁目4番17号
南北海道自然保護協会 会長 宗像 和彦
〒042-0955 北海道函館市高丘町2丁目14番
白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地での風力発電風車建設不許可の要望書
貴職におかれましては、日頃福島町の優れた自然環境を生かした地域産業の育成に努められ、活力あふれた町づくりに全力を傾注されておられることに心より敬意を表します。
さて、現在、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電用風車建設の動きがあります。道内各地の既存の風力発電施設では、オジロワシをはじめ希少な猛禽類が風車に衝突して命を落としています。また、風力発電施設の建設にあたり、野生動物の生息地と重なる場所に建設する、作業道路の設置、盛土や切土、森林の伐採を行うなどの土地改変が伴うものも多くあり、大小に関わらず貴重な自然環境を破壊しながらでも建設を行った施設があります。私たちは風力発電の導入をすべて否定するつもりはありません。しかし、自然環境に十分な配慮がなされた真にクリーンなエネルギーとしての風力発電でなければ、この地に受け入れることはできません。
こうしたことから、下記の通り要望いたします。
記
福島町として白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地に渡り鳥の移動に障害となる風力発電施設の設置許可を出すことなく、優れた自然を後世に引き継いでくださるよう十分にご考慮ください。
理由は以下の通りです。
福島町には野鳥に関係する地名がいくつもあるように古くから野鳥の多い場所として知られていました。町界を接する白神岬と天狗山、町内の白神岳、さらにそれに続く後背地は、北海道を通過して本州や東南アジアとを行き来する鳥たちの移動ルートとして、最も重要な位置にあることが知られています。その重要さに鑑みて北海道は同地域を鳥獣保護区に、環境省は、松前、福島両町を鳥類観測2級ステーションに指定しています。
環境省の事業委託を受けた山階鳥類研究所の指導のもとに行われてきた松前町天狗山や福島町千軒での20年にも及ぶ鳥類調査により、エゾムシクイやセンダイムシクイおよびノゴマといった小鳥類をはじめとして、国内希少野生動物種および絶滅危惧ⅠB類に指定されているクマタカ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧ⅠB類・北海道絶滅危惧種に指定されているオジロワシ、国指定天然記念物・国内希少野生動植物種・絶滅危惧Ⅱ類・北海道絶滅危惧種に指定されているオオワシ、絶滅危惧Ⅱ類および北海道の絶滅危急種に指定されているハヤブサとオオタカ、準絶滅危惧および北海道の絶滅危急種に指定されているハイタカ、また準絶滅危惧および北海道の希少種に指定されているハチクマの渡りルートおよび狩り場であることが分かりました。
スペイン北部のナバラ地方および南部のタリファ地方はピレネー山脈およびジブラルタル海峡に接する矮小な地形(ボトルネック)により、猛禽類をはじめとした多くの鳥類の渡りルートとして知られています。また、数百基規模とたくさんの風力発電施設が建設されていることでも知られています。この二つの地域で一定期間、風力発電施設の影響で死亡した鳥類について調査を行った結果、非常に多くの鳥類、特に猛禽類の死亡が多いことが分かりました。それにより欧州では、鳥類の保護地区や渡り鳥が集中する場所、保護の必要性の高い種が生息する場所では、風力発電施設の建設を避ける必要があることが示されました。また、鳥類の大規模越冬地として知られるアメリカのアルタモントパスでも、風力発電施設による猛禽類の死亡事故が多発しています。そこでは、猛禽類が好んで利用する尾根が並ぶ丘陵地帯であるという地形的な特徴に加え、狩りという行動自体が衝突事故を起しやすくしていることが確認されました。
白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺の建設計画地は渡りルートおよび鳥獣保護区であり、保護の必要性の高い猛禽類が多く利用する場所です。また、尾根の続く丘陵地であり、ハヤブサなどの狩り場も有する場所です。このように、計画地に風力発電施設を建設するに際し鳥類、特に猛禽類に対して衝突死などの危険を及ぼすような条件が揃っており、施設を建設すれば実際に事故が起きるものと私たちは考えています。このことから私たちは、白神岬と天狗山、白神岳、それに続く後背地周辺に風力発電施設が建設されることに対して反対の意見を示すものです。
行政機関および事業者がこのことを事前に認識しておきながら風力発電施設を建設し、実際に猛禽類に悪影響を与えた場合には、未必の故意よる鳥類の殺傷と言わざるを得ません。このようなことにならないよう、建設計画に対しましては、行政機関として十分に考慮をしていただけますようお願い申し上げます。
ラムサール条約湿地片野鴨池および国指定天然記念物 マガン、ヒシクイの保護に関する再度の要望
日野鳥発第24 号
平成20 年6 月17 日
資源エネルギー庁 長官
望月 晴文様
東京都品川区西五反田3-9-23
丸和ビル
財団法人 日本野鳥の会
会 長 柳生 博
ラムサール条約湿地片野鴨池および国指定天然記念物
マガン、ヒシクイの保護に関する再度の要望
平素より本会の環境保全活動に対し、ご理解ご協力をいただいておりますことを深く感謝申し上げます。
さて、福井県あわら市における風力発電施設建設計画に対しまして、平成18 年5 月26日付けで要望書を提出させていただきましたが、それ以降も私どもは鳥類への影響について、ガン類にしぼって調査を行ってきました。そして、自然環境への影響について検討を加え、事業者や関係する自治体、学識経験者の方々とも議論してきました。
私どもは事業者より、本年3 月7 日に鳥類に対する環境影響の予測と保全措置に関する説明を受けましたが、事業者の説明は、2 ページの簡単な資料と口頭によるもので、最終的な環境影響評価書については未だに目にしていません。事業者は環境影響評価書案を公表して議論に付する必要があると考えております。このように現状では議論は決着しておりませんが、現時点で把握している環境影響予測については、マガンやヒシクイの生息環境を悪化させ、ラムサール条約湿地片野鴨池にも影響を与える恐れがあると私どもは判断しています。
現在、事業者である電源開発株式会社からの補助金の申請について、御庁内でご検討中のことと思います。私どもは以上の状況を踏まえ、再度、下記のとおり要望いたします。
記
風力発電施設の設置がラムサール条約湿地片野鴨池の生態系とそこに飛来・越冬する希少種のマガン、ヒシクイに悪影響を及ぼさないためには、立地選択の変更が必要です。補助金交付の決定にあたってこのことを十分にご考慮ください。
理由は以下の通りです。
-
ヒシクイは絶滅危惧Ⅱ類、マガンは準絶滅危惧種に指定され、また、両種とも国の天然記念物に指定されています。
ヒシクイは環境省の2006 年版の「絶滅の恐れのある野生生物の種のリスト」では絶滅危惧Ⅱ類、マガンは準絶滅危惧種に挙げられており、また文化財保護法により両種とも国指定天然記念物とされています。
これまでの調査から、片野鴨池に飛来しているマガンは太平洋側に飛来するマガンとは別の個体群に属すると考えられており、マガンの遺伝的多様性を保全する上でも貴重な群れです。そのため、マガンの保護には十分に留意する必要があり、風力発電施設の建設により何らかの悪影響を与える可能性があれば、それを取り除かなければなりません。 - ガンが建設予定地を通過する頻度は少なくても、大きな群が通過することにより多大な影響が生じる恐れがあります。
私どもの調査では、あわら市北部を通過したガン類は、建設予定地ではなく北潟湖上空を多く通過していました。しかし、通過した群の平均個体数は、建設予定地上空を通過した場合が最も多くなっていました。
ヘトカー他(文献1)によれば、ヨ-ロッパにおいてはヒシクイ、マガンを含むガン類の衝突死の事例が見つかっているため、風力発電施設の設置場所をガン類が通過すれば、衝突死が生じる危険性があります。通過頻度は低くても群の個体数が多ければ、ひとたびマガンが通過した際に大きな影響が出る可能性があります。 - その年の積雪量によりマガンが建設予定地上空を通過する頻度が変化する可能性があります。
ガン類の採食場所とあわら市における飛行経路には、関連性のある可能性があります。過去の観察事例から、積雪の多い冬には、積雪の影響が小さい海側の水田を採食地とすることが分かっており、平成17、18年度の私どもの調査結果はこのことを裏付けています。また、積雪の多い冬にはあわら市を通過する群は北潟湖上ではなく、より海岸側を通過しているという観察例があります。私どもの調査でも、積雪の多い平成17年度には、より多く海岸側(建設予定地上空)を通過していました。
事業者は、雪の多かった平成17 年度には十分な回数の調査を実施しておらず、また、平成18 年度に行った追加調査の結果を加えて環境影響を予測していますが、積雪が多い年の予測はできていないと考えられます。しかし上記のことから、積雪が多い年はより高頻度に建設予定地上空を飛行する可能性があり、このことを予測に盛り込む必要があります。
また、マガンがこれまで採食地としてよく利用していた福井県坂井市川崎周辺の水田は、採食範囲の中では西側の海岸よりに位置しますが、平成15年度から20年度にかけて基盤整備事業が実施されており、この間はマガンはこの区域で採食せず、より内陸側の区域で採食していました。この基盤整備事業が終了し、再び採食地とするようになった場合も同様に、調査実施時よりも高頻度に建設予定地上空を通過する可能性があります。 - 当会の調査結果を使用した場合のシミュレーションによる死亡数は、ガン類の保護上において無視できない規模です。
事業者は、環境影響予測において専門家の協力を得て死亡事故の年間発生数のシミュレーションを行っており、事業者のデータに加えて私どもの調査結果を盛り込んだ場合の予測も行っています。
マガンは風車を避ける行動をとる場合ととらない場合で、予測死亡数が変化します。私どもの調査結果も含めて推定を行った場合、避けると仮定すれば年間で10.3羽が、避けないと仮定すれば年間で87.1羽が衝突すると予測されました(文献2)。事業者による私どもへの説明では、マガンが風車を避けないことは考えられないとしていますが、(2)でも述べたように、海外ではガン・ハクチョウ類が風車に衝突している事例が見つかっています。そのため、影響予測においてはマガンが風車を避けない可能性を十分に考慮する必要があります。推定どおりであれば、マガンの個体群に対するマイナスの影響は多大であると考えます。 - 衝突死が少ない場合でも、障壁効果によるマガンの越冬個体数の減少を考慮する必要があります。
ヨーロッパでは、ガン類が移動時に風力発電を避けるために飛行経路を変更させる「障壁効果」の事例も報告されています。この場合、衝突死は生じませんが、片野鴨池で越冬しているガン類に長期的に与える影響を考慮する必要があります。風力発電が鳥類に与える影響について総合的に考察したドレウィット他(文献3)によれば、障壁効果について、「発電所を避けるために渡り鳥が渡り経路を、そして留鳥は飛行経路を変えざるを得ないことも一種の生息地放棄である。これは重要な問題である。立ち並ぶ風車を迂回するために、飛行に費やすエネルギーが増加する可能性だけでなく、採食場所、ねぐら、換羽場所、繁殖場所のつながりが発電所によってとぎれる可能性もあるからである。種、行動様式、飛行高度、風車からの距離、風車の配置、風車の稼動状況、時間、風の強さや向きなどの要因によって、飛行方向、高度、速度のわずかな「手直し」から大きな迂回まで、影響の出方は大幅に変わる。迂回する距離が大きいと、発電所の反対側の地域を利用する鳥の数が減るかも知れない。」としています。採食地との往復に支障をきたした場合に、片野鴨池におけるガン類の越冬数の減少を招く恐れも考えられ、そうなればラムサール条約湿地である片野鴨池の生物学的な機能を間接的に低下させることになります。これはラムサール条約湿地の管理上も由々しき事態であると考えられます。
以上の5 点を考え合わせると、より安全な環境保全措置は、片野鴨池に生息する水鳥に影響を与えない場所に風車の建設位置を変更するため、立地選択をやり直すことであると私どもは判断いたします。今回の協議の結果が、天然記念物の現状変更あるいはラムサール条約湿地への悪影響といった将来への禍根とならぬよう、くれぐれも慎重なご判断をお願い申し上げます。
以上
引用文献
(文献1)
Hoetker, H., Thomsen, K.-M. & H. Jeromin 2006. Impacts on biodiversity
of exploitation of renewable energy sources: the example of birds
and bats.
Michael-Otto-Institut im NABU, Bergenhusen.
(文献2)
2007 年7 月7 日 あわら市主催の「風と生き物のシンポジウム」での講演資料
(文献3)
Drewitt,L. & R. H. W. Langston. 2006. Assessing the impacts
of wind farms on birds. Ibis 148: 29-42
(邦邦訳 野鳥保護資料集第21 集「野鳥と風車」9~24 ページ)
発電所を避けるために、渡り鳥が渡り経路を、留鳥が飛行経路を変えざるを得ないことも一種の生息地放棄である。これは重要な問題である。立ち並ぶ風車を迂回するために、飛行に費やすエネルギーが増加する可能性だけでなく、採食場所、ねぐら、換羽場所、繁殖場所のつながりが発電所によって、とぎれる可能性もあるからである。種、行動様式、飛行高度、風車からの距離、風車の配置、風車の稼動状況、時間、風の強さや向きなどの要因によって、飛行方向、高度、速度のわずかな「手直し」から大きな迂回まで、影響の出方は大幅に変わる。迂回する距離が大きいと、発電所の反対側の地域を利用する鳥の数が減るかも知れない。(14ページ)
障壁効果が個体群に重大な影響を与えることを示唆する調査報告はないが、間接的に個体群にまで影響が及ぶ可能性が考えられる状況がある。例えば、営巣場所と採食場所の往復に利用している飛行経路を発電所が事実上、遮断した場合や、複数の発電所が相乗的に作用して、大きな障壁を作り出し、迂回路が数十kmになり、エネルギー消費の増加を招く場合などがそれに該当する。(15 ページ)
付属資料
あわら市における風力発電施設建設画について、 立地選択の見直しを資源エネルギー庁等に改めて申し入れ
2008.8.18
財)日本野鳥の会
あわら市における風力発電計画への見直しの要望書の経緯について
1. 概要
| (1) | 電源開発による福井県あわら市における風力発電施設建設計画について、当会は、ラムサール条約湿地片野鴨池および国指定天然記念物マガン、ヒシクイの保護上に問題があるため、立地選択のやり直しが必要である旨を主張しています。 |
| (2) | 本年4月17日・18日付けで、当会は同社及び同社と売電契約を結ぶ北陸電力に対し要望書を提出しました(福井県支部、石川支部との連名)。またこの件で加賀市鴨池観察館において、加賀市と共同記者会見を行いました。 |
| (3) | 文化庁、環境省に対しては、以上の経緯説明のため4月25日で調査結果の報告資料を送付し、また6月3日に訪問して事情を説明しました。 |
| (4) | 補助金の申請先である資源エネルギー庁に対しては、6月17日に会長名で、立地選択の見直しが必要である旨要望書を提出しています。 |
| (5) | 資源エネルギー庁の補助金交付先決定を前に、本日、加賀市と共に資源エネルギー庁を訪問し、上記について改めて申し入れを行いました。また文化庁、環境省に対しても、この件を重ねて説明し、善処を要望しました。 |
2.意見の要旨
| (1) | 片野鴨池の生態系とそこに飛来するマガン、ヒシクイに悪影響を及ぼさないために、立地選択の変更を求める。 |
| (2) | 建設予定地を大きな群が通過することにより、大きな影響が生じる恐れがある。 |
| (3) | その年の積雪量により建設予定地上空を通過する頻度が変化する可能性がある。 |
| (4) | シミュレーションによる死亡数は、当会の調査結果からはガン類の保護上無視できない規模。 |
| (5) | 衝突死が少ない場合でも、障壁効果による越冬数の減少を考慮する必要がある。 |

石川県加賀市の大幸市長、当会の佐藤副会長と古南自然保護室長が資源エネルギー庁の担当者に対し、本件に関して意見を申し入れているところ。
3.経緯
| 2006年3月 | 事業者から関係者(当会、加賀市鴨池観察館、当会福井県・石川支部、福井県、石川県、加賀市等)への計画と事前調査結果の説明。ガンの飛行経路については、調査回数が1月、3月合わせて6日間ときわめて少なく、ガン類への影響の有無を判断できるレベルではなかった。 |
| 2006年3月7日 ~23日 |
日本野鳥の会、鴨池観察館友の会によるガン類の飛行経路に関する独自の調査を22回(朝5回夕方17回)実施。計画地の上空の通過を確認。 |
| 2006年5月 26日付け |
環境省、文化庁、経済産業省、資源エネルギー庁、福井県、あわら市、石川県、北陸電力、電源開発へ、当会と福井県支部、石川支部との連名で要望書を提出。 その後、電源開発と北陸電力との間の売電契約が成立せず、事業が休止状態に入る。 |
| 2007年11月5日 ~2008年3月8日 |
日本野鳥の会、鴨池観察館友の会によるガン類の飛行経路に関する独自の調査を19回(朝14回、夕方5回)実施。積雪量の違いが飛行経路の選択に関係する可能性があることが判明。 |
| 2008年3月 | 事業者と北陸電力が契約交渉を開始。北陸電力との契約権はくじ引きで順位が決定しており、電源開発は下位だったが、上位の事業者の契約が次々と不成立になったため、交渉権が回ってきたとのこと。3~5月に事業者は関係者(当会、加賀市鴨池観察館、当会福井県・石川支部等)に、この経緯と追加調査に基づく環境影響評価について説明を行ったが、簡単な資料と口頭による説明のみで、保全措置に関する文書(環境影響評価書)を8月現在に到るも公表していない。「風力発電のための環境影響評価マニュアル」によれば、補助金交付時に環境影響評価の手続きが完了していることを求めている。資源エネルギー庁と環境省が合同で設けた「風力発電施設と自然環境保全に関する研究会」論点整理でも、この「ガイドラインに沿った適切な取り組みをすることが必要」と指摘されている。 |
| 2008年4月17日 ・18日付 |
当会は事業者及び同社と売電契約を結ぶ北陸電力に対し要望書を提出(福井県支部、石川支部との連名)。加賀市も事業者、同社、環境省に対し要望書を提出、文化庁に天然記念物の現状変更について照会。この件で4月23日に加賀市鴨池観察館において、加賀市と共同記者会見。 |
| 2008年4月25日 | 当会から、説明資料としてガンの飛行経路に関する詳細な報告書を文化庁と環境省に提出。6月3日に面談して説明。 |
| 2008年5月 | 事業者が補助金の申請を資源エネルギー庁に提出。 |
| 2008年6月17日 | 当会から資源エネルギー庁長官宛に要望書を提出。 |
| 2008年7月10日 | 事業者が北陸電力と売電契約を締結 |
| 2008年8月中に | 資源エネルギー庁が補助金の申請について決定の見込み。 |
「国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会」で意見発表
環境省自然環境局国立公園課が設置した「国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する検討会」の第2回(2003年10月20日開催)において本会は関係団体として出席を求められ、鳥類への影響防止の観点から意見発表を行いました。
現在、国立公園特別地区では風力発電施設の設置には許認可が必要ですが、自治体等からは規制緩和の要望も出ています。しかし野鳥の衝突や風車を避けるための行動変化といった影響やその回避方法については科学的なデータがなく、また手続き的にも未整備といってよい状況です。これらを踏まえ、次のような意見を述べました。
2003.10.20
2003.12.09部分修正
(財)日本野鳥の会
風力発電施設の設置基準についての(財)日本野鳥の会の基本的な意見
(現状認識)
- 新エネルギーである風力発電は、クリーンなエネルギーとして注目され、国が設定した2010年までの導入目標値300万kwに向け、ここ数年設置計画が急激に増えている一方、風力発電事業は環境影響評価法の対象外であり、環境影響評価に関する十分なガイドラインも未整備であることから、鳥類等の野生生物についての十分な事前調査や影響評価は実施されていない。
- 野鳥の風力発電への衝突や生態系への影響について、現在ある風力発電施設においても系統的な調査が行われていない。
- 風力発電施設への鳥類の衝突事故は、国内外でも事例が散見される。施設の立地選択においては無視できないと思われる。
- 猛禽類の繁殖地、渡り鳥の渡りのルート(猛禽類、大型水鳥類)においては特に、衝突事故による影響が懸念される。
- 国内各地のNGOから懸念の声が上がっている。
- 国際的にも、風力発電施設の与える影響について評価が定まったとはいえない状況(資料3参照)
(風力発電施設設置にあたって整備すべき事項)
- 立地の選択にあたっては、鳥類の衝突事故が発生しそうな場所においては設置を避けること。渡り鳥の渡りのルートや集団生息地、希少な鳥類の生息地や猛禽類の繁殖地及びその周辺についてはあらかじめ調査を行い、区域を特定しておくべき。こうした調査にあたっては、気象レーダーを用いた調査研究といった、新たな技術開発も行うべき。
- 1の条件を満たして選定された予定地においても、鳥類等の野生生物の生態系への影響について事前の環境影響評価、事後調査を事業者に対して義務づけること。環境影響評価を行うにあたっては、事業者、専門家、自然保護団体、住民等からなる公開された検討の場を設けること。
- 既に設置されている風力発電施設においては、鳥類への影響評価と、その回避方法について系統的に調査・研究すべき。
- 国土の中で優れた自然が残っている国立・国定公園に手をつけるのは慎重にすべき。国立・国定公園は、83ヶ所しかなく、その面積は国土面積の約9.0%にすぎない。自然公園法では、新たに国及び地方公共団体の責務として、「自然公園における生物の多様性の確保を旨として、自然公園の風景の保護に関する施策を講ずること」が追加されていることから、自然公園内における風力発電施設の設置においては野生生物に悪影響の出ることのないよう、特に慎重な検討過程を設けるべき。
資料1 風力発電施設における事故例の一部
| 国名 | 内容 | 出典 |
| イギリス | 1992年から1997年1月までの間に港で合計63個体のケワタガモ死体が見つかった。うち、12個体は、ウィンドファームに衝突したものと証明され、8個体は、他の構造物に衝突したものであった。他の43の死亡個体の死因は、飢餓および漁網によるものだった。 | Blyth Harbour Wind Farms and Birds. Europian Wind Energy Conference, October 1997 |
| デンマーク | 風力発電に衝突する鳥の数を羽数/風車1基あたり/年で表し、衝突して発見されない個体数について2.2の補正因数を用いると、最も高い数は6~7羽/風車1基あたり/年である。3,500基の風車では、年間20,000-25,000羽の鳥が衝突によって死ぬことを意味する。 | Impact of Wind Turbines on Birds. Europian Wind Energy Conference, May 1996 |
| オランダ | Joke Winkelman が1992年から1994年にオランダで行った調査では、18基の風車がある所で、1日1羽が事故死しているとしている。 | Windpower 9月号 |
| アメリカ | 米国カルフォルニア州オルトモントパスは、7000基あまりの風車が立ち並ぶウィンドファームがある。ここでは1980年代後半からワシやタカが風車のプロペラや送電線に衝突して年間25羽のイヌワシが死亡した。 | エコシステム2000年5月号.(財)日本生態系協会 |
| 日本 | 神奈川県三浦市の風力発電施設(ミーコン社製、400kW/h、2基)について、設置してから半年は、トビが少なくとも週1回以上のペースで被害に遭っており、市民からの通報で市役所から死体を回収に行っていた。風車は岬の突端近くに位置し、数百mの距離にゴミ埋立て処分場があって、ゴミをあさるためにトビが周辺に集まってきている、という立地。その後の衝突事故は減っている。 | (2001.12. 三浦市役所からの聞き取り) |
| 日本 | 長崎県生月島の風力発電(三菱重工製、490kW/h、1基)について、設置後1羽のトビが衝突し、死亡したのを付近住民が目撃したとの証言があった。 | (2002.3 現地での住民からの聞き取り) |
| 日本 | 2003.5 長崎県五島列島福江島岐宿町の風力発電施設(ミーコン社製、400kW/h、3基)でトビが衝突し、死体を回収。 | (日本野鳥の会愛媛県支部 井上勝己氏 私信) |
| デンマーク | デンマークの環境省(Danish Ministry)からの研究によると、ウインド・ファームに結びつく送電線を含む送電線が風力タービンそれら自身より鳥へのはるかに大きな危険であるとしている。 | Birds and Wind Turbines. http://www.windpower.org/en/tour/env/birds.htm |
資料2
National Wind Coordinating Committee(NWCC). Studying Wind Energy
Bird Interactions : A Guidance Document. 目次と概要の一部(仮訳)
アメリカにおいてバードストライクの問題が1980年代後半から取り上げられはじめ、環境団体、風力発電の開発者、その他関係者が協力し、提案されている予定地に建設された場合の鳥への潜在的な影響を評価することの重要性を指摘している。原文は以下のサイト参照のこと。
National Wind Coordinating Committee http://nationalwind.org/
第1章 概要
1-1 はじめに
1-2 本書の目的と範囲
1-3 風力発電の生い立ち
1-4 調査基準、調査方法、調査計画
第2章 発電所建設予定地の生物学的評価
2-1 はじめに
2-2 建設予定地の評価
2-2-1 既存の情報源
2-2-2 現地情報の収集
2-2-3 既存の情報で十分に対応できるか
2-3 追加情報の収集
2-3-1 現地情報の追加収集計画
2-3-2 短期の現地踏査とモニタリング調査
2-4 調査報告書の作成
2-4-1 生物学的情報は十分か
2-5 厳密な調査計画の策定
第3章 基礎的な実験計画とレベル1の調査
3-1 はじめに
3-1-1 伝統的な実験計画の策定方法
3-2 調査手法の理念
3-2-1 調査方法・データに基づく解析
3-2-2 モデルに基づく解析
3-2-3 調査方法・データに基づく解析とモデルに基づく解析の組み合わせ
3-2-4 調査レベル
3-3 調査方法・データに基づく手法
3-3-1 対照(比較)地域を設定した調査手法
3-3-2 影響区・対照区比較法(建設後)
3-3-3 比較地域を設定しない調査手法
3-4 調査手法の信頼度を高める
3-4-1 複数の比較地域の利用
3-4-2 データの複数回収集
3-4-3 調査地域と時間の相関関係の解析
3-4-4 モデルに基づいた解析と調査地に特有の補助的な変数の利用
3-4-5 調査地域の選択
3-4-6 サンプル抽出の手法
3-5 データ解析
3-5-1 一変量解析
3-5-2 多変量解析
3-5-3 メタ解析
3-5-4 生息地の選択
3-5-5 累積効果の解析
3-5-6 統計の解析力と証拠の重さ
3-6 事例研究
3-6-1 建設予定の風力発電施設-ミネソタ州、バッファロー・リッジ
3-6-2 既存の発電施設-カリフォルニア州のテハチャピ峠とサン・ゴーゴニオ峠
3-7 要約と結論
第4章 高度な実験計画とレベル2の調査
4-1 はじめに
4-1-1 操作実験の手法
4-1-2 個体群が受ける影響とモデルを用いる手法
4-2 操作実験の手法
4-3 個体群モデルの概念的枠組み
4-3-1 個体群統計学
4-3-2 遺伝
4-3-3 環境のゆらぎ
4-3-4 生活史の要因
4-3-5 生態学的要因
4-3-6 付加的死亡と補償的死亡
4-4 モデルを用いた研究・調査
4-4-1 モデルの利用
4-4-2 モデルの種類
4-4-3 事例研究
4-4-4 有効個体群サイズ
4-4-5 モデルの評価
4-5 生存率と個体数の推定
4-5-1 個体群存続可能分析
4-6 累積的影響の評価
4-7 調査計画に対する提言
第5章 危険を減らすための調査
5-1 まえがき
5-2 野鳥が直面する危険の評価
5-2-1 外因性の危険率と救済可能な率
5-2-2 危険要因の測定
5-3 風力発電所で野鳥が直面する危険の考察
5-3-1 直接的相互作用
5-3-2 間接的相互作用
5-4 危険の削減
5-4-1 風力発電所の建設場所の設定
5-4-2 現地での危険削減
5-5 調査計画
5-5-1 基礎的な実験の手法
5-5-2 処理地域と比較地域(対照地域)
5-5-3 統計の概念
はじめに
1980年代には、大規模な風力発電所の建設が環境に及ぼす可能性のある影響については、ほとんど知られていなかった。アメリカでは、何世紀にもわたって、農業や僻地において風車が使用されてきた。しかし、それらの散在する風車が野鳥に与える影響については、報告がなかった。したがって、初期の風力発電所は、野鳥に及ぼす潜在的な影響を考慮することなく、建設計画が立てられ、許可が与えられ、建設が行われ、操業された。
その後、風力発電所が野鳥に与える影響が、多くの利害関係者の間で懸念されるようになった。今日まで行なわれた調査から、野鳥の事故死が問題になるほど高い水準にあるのは、米国では1ヶ所の大規模な商業用風力発電所だけであることがわかった。風力発電所と野鳥との関わり合いに関する調査は、調査方法も水準もばらばらである。そのため、各種の調査の間で結果を比較し合うことが困難である。その結果、風力発電所が野鳥に与える可能性のある影響について、関心や混乱、懸念があとを絶たない。タービン(回転翼)を大きくして回転速度を遅くし、風力発電施設の設置密度を低くするという技術的な変更により、タービンに衝突して死亡する野鳥を減らすことができるという仮説がある。しかし、他方、そのようにしても、タービンの先端の速度は変わらないか、または、かえって早くなるので、野鳥の死亡事故は減らないか、むしろ増える可能性があるという仮説もある。それらの仮説を検証するためには、科学的に厳密な調査を行なって、統計的に有意なデータを多く収集する必要がある。
本書の目的と範囲
野鳥の死亡事故は心配の種であるが、風力は環境に優しい、きれいな電力の潜在的な供給源である。したがって、風力発電所と野鳥との関わり合いを調査することはきわめて重要である。風力発電所と野鳥の問題を理解し、野鳥に及ぼす潜在的な影響を評価するための重要な最初のステップは、同じ用語を使用して調査を行ない、信頼のできる比較可能な結果を出すことである。本手引書では、下記の事項を目的とする
- 下記の役に立つ情報を提供する、すべての利害関係向けの参考書とする。
- 野鳥の保全を視野に入れて、風力発電所建設予定地の適性を評価する
- 風力発電所が野鳥に及ぼす潜在的な影響を評価する
- 風力発電技術が野鳥に与える潜在的な影響を評価する
- 風力発電所と野鳥の関わり合いに関する調査に使用する、詳細でわかり易い方法、基準、用語の定義を示す。
- 比較可能なデータを収集でき、将来の調査の必要性を全般的に削減する役に立つ、効率がよく費用効果の高い調査の計画、方法、基準の開発を促進する。
- 既存および将来の風力発電所で野鳥がさらされる危険の削減に役立つ情報を収集するための、調査の計画および方法を提示する。
調査には「教科書」的な進め方があるわけではない。風力発電所の建設を許可するに際して、すべての行政機関が野鳥や野鳥の調査に関する情報を必要としているわけではない。調査を計画し実施する方法について、建設場所に固有の知識や専門家の助言が必要なケースが多々ある。本書では、風力発電所と野鳥の関わり合いに関心のある行政担当者や利害関係者に概要を説明するとともに、風力発電所と野鳥の関わり合いについて調査するための基本概念と手法を技術的にさらに掘り下げて説明する。
資料3 移動性野生動物の種の保全に関する条約(通称ボン条約、CMS)第7回締約国会議(2002.11.17~24、ボン)における風力発電施設の建設に関する決議について(CMS Bulletin 16, Dec. 2002より仮訳) 移動性野生生物の新たな脅威、風力発電(決議7.5)
加盟国会議で、風力発電と移動性野生生物に関する決議が新たに採択された。決議7.5は風力を二酸化炭素排出量の大幅削減につながる自然エネルギーと位置付けている。特に、海上風力発電はエネルギーの大量生産を可能にする新しい技術であるが、一方、餌資源と生息環境だけでなく、渡り鳥や回遊性の哺乳類自身にも予測のつかない影響を与える恐れがある。現在のところ、自然環境や野生生物に及ぼす影響の評価は完全ではない。したがって、大規模な海上風力発電が環境に及ぼす影響を考慮に入れる必要がある。
海上の渡りや飛行の経路に建設された風力発電施設は、鳥の衝突事故の危険性を高めている。特に、夜間や霧の発生時に、回転翼が最大の脅威となる。海上に建設された数百ヵ所の風力発電基地(高さが150mに達する風力タービンもある)で、渡り鳥や海鳥が衝突の危険にさらされている。衝突は死を意味するであろう。衝突を避けるために、渡りの経路を変えると、採食地、休息地、繁殖地を失うことになるかも知れない。風力発電によって生じる振動や騒音は、海洋哺乳類や魚類にとって、生息地の縮小や行動の変更、ストレスを意味する。送電ケーブルから生じる磁場や電場は、方位の確認や採餌方法に悪影響を与える可能性がある。
決議7.6は様々な影響の可能性を認識し、風力発電基地の建設には慎重に取り組むことを要望している。特に、加盟国には海上および沿岸地域に建設された風力発電基地の影響調査を行なうことを求めている。この調査は、鳥類だけでなく、イルカやクジラなどの回遊性哺乳類にも役に立つと思われる。
加盟国には、風力発電施設の建設が移動性野生生物に甚大な影響を与える地域を特定することが強く求められている。建設予定地の選定や建設の許認可前に、綿密な環境影響評価を行なうことが望ましい。移動性野生生物の生態に悪影響を及ぼす可能性が認められる場合は、環境影響データに基づいて、風力発電開発を行なうべきである。科学委員会が海上風力発電開発の指針を策定する。
この革新的決議に基づき、CMSは移動性野生生物の障害物を減らし、風力発電が自然環境に及ぼす可能性のある悪影響を最小限に押さえることを目指して、国際的な法整備を進めている。
鳥類の感電事故防止策(決議7.4) 〈参考〉
感電死は渡り鳥の大きな死因になっている。多くの鳥が送電鉄塔を止まり場、見張り場、営巣場所、休息場所、風を見る場所として利用している。鳥が2本の送電線、または送電線と鉄塔に同時に接触すると、感電死を起こす。
新しい環境法に基づき、電力会社が危険なタイプの鉄塔を解体して、鳥に安全なタイプを使用している先進国がある一方で、憂慮すべき問題が発生している先進国や中進国もある。例えば、ポーランド、エストニア、チェコ、ハンガリー、スロバキアでは、この10年間に経済が高度成長を遂げた結果、電力供給の基盤整備が進み、送電鉄塔が増加した。鉄道の線路沿いに敷設された送電線は、ねぐらや止まり場として鳥に好まれるので、とりわけ危険である。しかし、こうした国には、絶滅が危惧されている鳥類種の主要な繁殖地や渡り経路、休息地があるだけでなく、欧州を通過する渡り鳥の重要な飛行地域も含まれている。
送電線・送電鉄塔の脅威の重大さが認識され、加盟国会議で決議7.4が採択されたが、この決議は絶滅が危惧される鳥類種に対する危険を減らすことを行政に求めている。ドイツ自然保護協会(NABU)の協力を得て、ドイツ環境省が準備したこの決議は、加盟国と非加盟国に対して、渡り鳥の飛行地域に建設された中圧送電鉄塔などの施設の危険個所を改善するように強く求めている。また、安全な送電鉄塔を整備すれば、感電事故による鳥類の大量死を地球規模で防止するのに役立つはずである。
最近、修正され今年の4月に実施されたドイツの自然保護法では、新しい中圧送電鉄塔の建設には、「鳥にやさしい」施工法を採用することや、既存の鉄塔には感電事故の防止策を施すことを具体的に定めている。さらに、渡り鳥が飛行や繁殖に利用している地域から送電線を移動することを勧告している。
ドイツ自然保護協会は中圧送電施設の建設や感電事故防止に必要な技術的な基準を示している。感電事故を完全に防止するために、ドイツの電力会社は2年ほど前に、中圧送電線を地下に埋めることを決めた。送電線に絶縁ケーブルを使用することも感電事故の防止策になる。
主要な渡り経路に敷設されていたために、野鳥の大量死を招いていた送電線の改良が、鳥類の保護に献身的な人々の尽力により、進められていることをCMSの事務局は高く評価したい。CMSはスロベニアやカザフスタンでの成功例を紹介しているが、本決議が世界の意識を高め、具体的な対応を促すことを期待している。
(原文は以下のサイトを参照のこと http://www.wcmc.org.uk/cms/
山口県下関市での洋上風力発電計画に対し要望書を提出
日本野鳥の会山口県支部、(公財)日本野鳥の会は、下関市安岡沖の大規模な洋上風力発電施設建設計画に関して要望書を提出しました
2011.06.23
日本野鳥の会山口県支部(事務局:山口県長門市、会員数:472名)と公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京都品川区、会員サポーター数5万人)は、下関市沖に洋上風力発電施設を建設計画中の㈱アイ・エス・シー山口(代表取締役 大澤一夫氏)に対して、建設により野鳥の生息環境への影響が危惧されることから、充分な事前環境調査を要請する要望書を提出しました。要望事項の概要は次の3点です。
- 年間にわたる鳥類の分布生息状況を最低2年以上実施し、環境影響について予測評価を行うこと。その結果回避することのできないマイナスの影響があると考えられる場合、事業の見直しをすること。
- 1の調査の方法について、適切な調査実施のために公益財団法人日本野鳥の会及び日本野鳥の会山口県支部と協議すること。
- 実施した調査結果について、調査実施毎にすみやかに取りまとめ、日本野鳥の会山口県支部及び公益財団法人日本野鳥の会に報告すること。
- 建設予定地(下関市安岡村崎ノ鼻付近から沖合の来留見ノ瀬)周辺の環境について:春期と秋期は渡り鳥の重要な渡りの通過経路になっており、冬期は多数の海鳥が越冬のために集まる場所となっています。この地域では、海域においてシロエリオオハム・ウミウ・ウミアイサ・シノリガモ・カンムリウミスズメなどの海鳥の記録があり、国指定天然記念物である「壁島のウ渡来地」(下関市和久沖)で越冬するウミウの生息とも関係している可能性があります。また陸域はハチクマやヒヨドリなどの渡り鳥が北九州との間を移動する重要な通過経路となっており、ヤツガシラ・タカサゴモズ・ハギマシコなど国内では記録の少ない渡り鳥も観察されています。この中には、国や県のレッドデータブックに絶滅のおそれがあるとして記載されている複数の種を含んでいます。
- 洋上風力発電の影響について:海外における洋上風力発電施設では、アビ類やカモ類で生息妨害、カモメ類・ウ類・小鳥類で衝突死、ガンカモ類・猛禽類で障壁効果(渡りの妨害)といったマイナスの影響が指摘・報告されており、特に海鳥は影響を受けやすく、生息妨害と衝突死の強い懸念があります。
- 日本における洋上風力発電の現状:日本には洋上風力発電所が3ヵ所(北海道瀬棚町、山形県酒田市、茨城県神栖市)あり、瀬棚と酒田は港湾内、神栖は海岸から50mに設置されていますが、欧州にあるような海岸から数km沖など、本格的な沖合型洋上風力発電はまだ存在していません。現在、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、国内での本格的な沖合型洋上風力発電の設置技術や環境影響評価手法を確立するための実証実験を行なっているところです。
- 風力発電について:日本野鳥の会は風力発電について、既存のエネルギー源を自然エネルギーへ転換していくために、生物多様性の保全上も重要な事業と考えています。しかし自然エネルギーの導入が鳥類等の生息環境を破壊し、生物多様性を損ねることは本末転倒であり、生息環境の保護あっての自然エネルギーの開発活用との立場をとっています。
要望書提出先
㈱アイ・エス・シー山口、山口県知事、下関市長
本件問合せ連絡先
日本野鳥の会山口県支部(支部長 上野俊士郎)
公益財団法人日本野鳥の会(自然保護室 浦達也)Tel 03-5436-2633
記者発表先
山口県政記者クラブ
添付資料
- 下関市安岡村崎ノ鼻付近から沖合の来留見ノ瀬周辺で現在までに記録のある
絶滅のおそれのある種
日野鳥発第 13 号
平成23年6月23日
(株)アイ・エス・シー山口
代表取締役 大澤 一夫 様
日本野鳥の会 山口県支部
支部長 上野 俊士郎
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
山口県下関市安岡沖における
洋上風力発電施設建設事業に対する要望書
過日は私どもに対し、貴社の山口県下関市安岡沖に建設する洋上風力発電施設建設事業について、ご説明の機会を作ってくださったことに感謝いたします。
貴社が洋上風力発電施設建設を計画されている下関市安岡村崎ノ鼻付近から沖合の来留見ノ瀬周辺は、春期と秋期には重要な渡りの通過経路であり、また冬期には多数の海鳥が越冬のために集まる場所となっております。この地域では海域においてシロエリオオハム・ウミウ・ウミアイサ・シノリガモ・カンムリウミスズメなどの記録があり、国指定天然記念物である「壁島のウ渡来地」(下関市和久沖)に越冬するウミウの生息とも関係している可能性があります。また陸域はハチクマやヒヨドリなどの北九州とを結ぶ重要な通過経路となっており、ヤツガシラ・タカサゴモズ・ハギマシコなど国内では記録の少ない渡り鳥も観察されています。この中には別紙のように、国や県のレッドデータブックに絶滅のおそれがあるとして記載されている種を複数、含んでいます。
海外事例では、洋上風力発電施設ではアビ類やカモ類で生息妨害、カモメ類・ウ類・小鳥類で衝突死、ガンカモ類・猛禽類で障壁効果(渡りの妨害)といったマイナスの影響が指摘・報告されています。特に海鳥は影響を受けやすく、生息妨害と衝突死の強い懸念がありますが、日本では洋上風力発電施設の建設事例が未だ極めて少ないため、その対策はまったく未知数であるのが現状です。
私どもは風力発電の導入について、既存のエネルギーを自然エネルギーへ転換していくために、生物多様性の保全上も重要な事業と考えております。しかし自然エネルギーの導入が鳥類等の生息環境を破壊し、生物多様性を損ねることは本末転倒であり、生息環境の保護あっての自然エネルギーの開発活用と考えているところです。
こうした点を踏まえ、貴社の事業にあたって以下の3点について要望いたします。当該地域の鳥類及び生物多様性について、将来に禍根を残さぬよう、十分なご配慮をいただきますことを強くお願い申し上げます。
記
- 洋上風力発電施設の建設により、当該地域及び周辺地域に生息する鳥類の行動と生息が妨害されるのを防ぐため、年間にわたる鳥類の分布生息状況を最低2年以上実施し、環境影響について予測評価を行うこと。特にマイナスの影響が強く懸念されるアビ類やカモ類などの鳥類について細心の予測評価を行うこと。また、渡りの時期には夜間を含めた調査を実施すること。予測評価の結果、鳥類にとって回避することのできないマイナスの影響があると考えられる場合、事業の見直しをされること。
- 前項1の調査の方法について、適切な調査実施のために公益財団法人日本野鳥の会及び日本野鳥の会山口県支部と協議されること。
- 前項1及び2により実施した結果について、調査実施毎にすみやかに取り纏め、日本野鳥の会山口県支部及び公益財団法人日本野鳥の会に報告されること。
以上
日野鳥発第 14 号
平成23年6月23日
山口県知事
二井 関成 様
(山口県環境生活部自然保護課
及び同土木建築部河川課気付)
日本野鳥の会 山口県支部
支部長 上野 俊士郎
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
山口県下関市安岡沖に生息する鳥類の保全に関する要望書
日ごろより、私どもの自然環境保全活動についてご理解・ご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
さて、山口県下関市安岡沖に洋上風力発電施設の建設が(株)アイ・エス・シー山口により進められていることは、すでにご承知のことと存じます。私ども日本野鳥の会山口県支部及び公益財団法人日本野鳥の会は、風力発電の導入について、既存のエネルギーを自然エネルギーへ転換していくために重要な事業と考えております。しかし鳥類の重要な生息地に建設された場合に、絶滅危惧種等に悪影響を与え、生物多様性に脅威となる事例もあるため、そのような場所を避けて建設することが重要と考えております。
同社が洋上風力発電施設建設を計画されている下関市安岡村崎ノ鼻付近から沖合の来留見ノ瀬周辺は、春期と秋期には重要な渡りの通過経路であり、また冬期には多数の海鳥が越冬のために集まる場所となっております。この地域では海域においてシロエリオオハム・ウミウ・ウミアイサ・シノリガモ・カンムリウミスズメなどの記録があり、国指定天然記念物である「壁島のウ渡来地」(下関市和久沖)に越冬するウミウの生息とも関係している可能性があります。また陸域はハチクマやヒヨドリなどの北九州とを結ぶ重要な通過経路となっており、ヤツガシラ・タカサゴモズ・ハギマシコなど国内では記録の少ない渡り鳥も観察されています。この中には別紙のように、国や県のレッドデータブックに絶滅のおそれがあるとして記載されている種を複数、含んでいます。
海外事例では、洋上風力発電施設ではアビ類やカモ類で生息妨害、カモメ類・ウ類・小鳥類で衝突死、ガンカモ類・猛禽類で障壁効果(渡りの妨害)といったマイナスの影響が指摘・報告されています。特に海鳥は影響を受けやすく、生息妨害と衝突死の強い懸念がありますが、日本では洋上風力発電施設の建設事例が未だ極めて少ないため、その対策はまったく未知数であるのが現状です。
鳥類保護の観点からこのたびの(株)アイ・エス・シー山口による洋上風力発電施設の建設計画については、鳥類の行動及び生息に影響が出ないと断言するだけの情報を私どもは現状で得ておりません。そこでこのほど、別紙のように、野鳥への詳細な影響調査と事業の見直しも含めた予測評価を実施し、調査結果を速やかに公開されたい旨の要望書を同社に提出いたしました。
つきましては、当該洋上風力発電施設の建設が野鳥の行動及び生息環境に対して極力少ない影響にとどまるよう、関係行政機関として(株)アイ・エス・シー山口に対して適切なご指導をとられるよう要望いたします。
以上
日野鳥発第 15 号
平成23年6月24日
下関市長
中尾 友昭 様
(下関市環境部環境政策課気付)
日本野鳥の会 山口県支部
支部長 上野 俊士郎
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤 仁志
山口県下関市安岡沖に生息する鳥類の保全に関する要望書
日ごろより、私どもの自然環境保全活動についてご理解・ご協力をいただき、深く感謝申し上げます。
さて、山口県下関市安岡沖に洋上風力発電施設の建設が(株)アイ・エス・シー山口により進められていることは、すでにご承知のことと存じます。私ども日本野鳥の会山口県支部及び公益財団法人日本野鳥の会は、風力発電の導入について、既存のエネルギーを自然エネルギーへ転換していくために重要な事業と考えております。しかし鳥類の重要な生息地に建設された場合に、絶滅危惧種等に悪影響を与え、生物多様性に脅威となる事例もあるため、そのような場所を避けて建設することが重要と考えております。
同社が洋上風力発電施設建設を計画されている下関市安岡村崎ノ鼻付近から沖合の来留見ノ瀬周辺は、春期と秋期には重要な渡りの通過経路であり、また冬期には多数の海鳥が越冬のために集まる場所となっております。この地域では海域においてシロエリオオハム・ウミウ・ウミアイサ・シノリガモ・カンムリウミスズメなどの記録があり、国指定天然記念物である「壁島のウ渡来地」(下関市和久沖)に越冬するウミウの生息とも関係している可能性があります。また陸域はハチクマやヒヨドリなどの北九州とを結ぶ重要な通過経路となっており、ヤツガシラ・タカサゴモズ・ハギマシコなど国内では記録の少ない渡り鳥も観察されています。この中には別紙のように、国や県のレッドデータブックに絶滅のおそれがあるとして記載されている種を複数、含んでいます。
海外事例では、洋上風力発電施設ではアビ類やカモ類で生息妨害、カモメ類・ウ類・小鳥類で衝突死、ガンカモ類・猛禽類で障壁効果(渡りの妨害)といったマイナスの影響が指摘・報告されています。特に海鳥は影響を受けやすく、生息妨害と衝突死の強い懸念がありますが、日本では洋上風力発電施設の建設事例が未だ極めて少ないため、その対策はまったく未知数であるのが現状です。
鳥類保護の観点からこのたびの(株)アイ・エス・シー山口による洋上風力発電施設の建設計画については、鳥類の行動及び生息に影響が出ないと断言するだけの情報を私どもは現状で得ておりません。そこでこのほど、別紙のように、野鳥への詳細な影響調査と事業の見直しも含めた予測評価を実施し、調査結果を速やかに公開されたい旨の要望書を同社に提出いたしました。
つきましては、当該洋上風力発電施設の建設が野鳥の行動及び生息環境に対して極力少ない影響にとどまるよう、関係行政機関として(株)アイ・エス・シー山口に対して適切なご指導をとられるよう要望いたします。
以上
別紙
下関市安岡村崎ノ鼻付近から沖合の来留見ノ瀬周辺で現在までに記録のある
絶滅のおそれのある種
シノリガモ 環境省 絶滅の恐れのある地域個体群(東北地方以北の繁殖個体群)
ミサゴ 環境省 絶滅危惧II類、県 絶滅危惧ⅠA類
ハチクマ 環境省 準絶滅危惧、県 準絶滅危惧
ハヤブサ 環境省 絶滅危惧II類、県 絶滅危惧II類
チョウゲンボウ 県 準絶滅危惧
ミヤコドリ 県 準絶滅危惧
ウミネコ 県 準絶滅危惧
カンムリウミスズメ 環境省 絶滅危惧II類、県 絶滅危惧ⅠA類
環境省:鳥類のレッドリスト(2006)
県:レッドデータブックやまぐち 山口県の絶滅のおそれのある野生生物(2002)
「銭函風力開発建設事業に係わる環境影響評価書案」に対する意見書を提出
日野鳥発第42号
平成22年10月21日
銭函風力開発株式会社
取締役社長 松島 聡 様
日本野鳥の会小樽支部
支部長 梅木賢俊
北海道小樽市富岡1-13-10
日本野鳥の会札幌支部
北海道札幌市中央区大通西17丁目1
支部長 山田三夫
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
「銭函風力開発建設事業に係わる環境影響評価書案」
に対する意見書
この度、貴社が作成された「銭函風力開発建設事業に係わる環境影響評価書案」について、次のとおり意見を提出しますので、よろしくご検討ください。
なお、北海道小樽市銭函のウインドファーム計画策定にあたり、環境影響評価書案を提示し、意見を公募される機会を設けられたことを評価しております。
- 猛禽類について
別添の「資料編(種類別猛禽類確認結果)」にある絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種/天然記念物のオジロワシおよびオオワシ、準絶滅危惧のミサゴ、トビ、ノスリの確認位置をみると、あきらかに飛行コースの障害となり、また飛行高度から、衝突の危険性が非常に高いと考えられます。また、環境影響評価書案(以下、評価書案)の中にあるミサゴ、オジロワシの予測結果では、「風車への衝突については留意する必要がある」と記されております。
このようなことから貴社は、既に当該計画の建設予定地が風力発電施設(以下、風車)の建設に適切ではないと認知しているのではないかと考えます。 - オジロワシをはじめとした猛禽類と新川河口について
オジロワシをはじめとする猛禽類が確認された位置に、新川河口があります。新川水系及びその西側直近の星置川は、9月から翌年1月にかけ1,000尾近くの遡上が確認されている(札幌市豊平川さけ科学館)、サケ・マスの遡上河川です。サケの遡上期にはその残滓が、また春には、自然産卵されて、孵化・成長した稚魚が降下し、これらが猛禽類をはじめとした鳥類の餌となっています。
越冬期には、オジロワシは採餌のために石狩川河口地域から新川及び星置川河口へ飛来します。しかし、計画地の海岸はその飛行ルートにあたるため、風車への衝突の危険性が非常に高いと考えられます。 - 希少猛禽類に対する調査不足について
希少猛禽類であるオジロワシとオオワシが冬期間、越冬地に安定して棲息するのは、1月後半から2月後半です。オジロワシ・オオワシ一斉調査がこの時期に行なわれるのは、そのためです。しかし、貴社が行った猛禽類を対象とした調査では、1月及び2月は含まれていません。このことは、調査上、重大な誤りと考えます。そこで、1月及び2月に再調査を行なわなければ、風車設置が希少猛禽類に及ぼす影響を適切に評価できません。 - 予防原則の遵守について
北海道内において風車建設後、これまでにオジロワシ・オオワシの衝突事故は17例発生しています。そのうち14例が日本海沿岸地域で起きています。また、うち1例は当該計画地に近い、石狩市民風力発電所で起きたものです。
貴社の調査結果でも明らかなように、当該計画地ではオジロワシの飛行が多数みられ、また既存の事例からも、当該計画地で風車を建設することは特にオジロワシの衝突死の発生確率を高めると考えます。予防原則を遵守するならば、当該計画地は風車建設に不適であると考えられます。 - 絶滅危惧ⅠA類シマアオジについて
評価書案の129ページの図によれば、6月3日~6日の調査において、シマアオジの成鳥オスが確認されています。また、日本野鳥の会札幌支部の会員により、銭函5丁目の草原において、2009年8月13日にシマアオジの幼鳥メスが確認されています。6月初旬はシマアオジの繁殖前期にあたり、さらにほぼ同じ行動圏において、前年に繁殖個体の幼鳥が確認されていることから、この地域でシマアオジが繁殖活動を行っていることは間違いありません。風車の建設予定地は、シマアオジの行動圏(40,000~70,000㎡)と重なっており、風車建設による環境悪化や生息地の改変などがシマアオジの繁殖に重大な影響を及ぼすおそれがあります。そのため、シマアオジが確認された場所から周囲400m~700mにある3~8号機については、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 絶滅危惧ⅠB類アカモズについて
129ページの図によれば、アカモズが12か所で計16羽の棲息が確認されており、親鳥の給餌や餌運び行動、さらには繁殖した幼鳥と共に行動しているところも確認されています。また、2009年に日本野鳥の会札幌支部の会員により、2つがいのアカモズの繁殖を確認しています。アカモズはここ数年急速に生息数が大きく減少していますが、北海道内でこれほど多数のアカモズが広範囲に繁殖する場所は今のところ、当該計画地以外にはありません。ここに風車を建設すれば、工事車両や関係者の出入り、環境悪化や生息地の改変により、生息地が壊滅的な打撃を受けるおそれがあります。そのため、アカモズの行動圏テリトリー(150~200m)にあたる1~3号機、7~8号機および10~15号機については、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 天然記念物マガンについて
129ページの図によれば、マガンの群が2度にわたり、石狩湾新港内の海側から1号機および2号機の風車建設予定位置の上空を通過し、東方向に飛翔しています。マガンの飛翔高度は、美唄市宮島沼の観察や福井県あわら市における(財)日本野鳥の会による調査結果などによれば、高度30mから150mの範囲の飛行が一般的です。そのため、マガンの飛翔コースと重なる1~2号機を建設した場合、マガンが衝突死する可能性があるので、1~2号機の風車建設を見直す必要があります。 - 鳥類の主要な移動ルートとなっている海岸沿いの範囲について
8ページおよび12ページの地図をみると、1~8号機の建設位置から南側500mに、連続して工場の建物が立ち並んでいます。このため、海岸沿いを南下する鳥類の群や猛禽類などの大型鳥類のほとんどは工場の高い建物の上空を通過するのを避け、飛行コースを建設予定地のある海岸寄りにとっています。144~152ページにある猛禽類の行動範囲も、ほとんどは工場の建物のある場所を避け、建設予定地となっている狭い海岸沿いの範囲内を飛行せざるを得ない状況となっています。以上のことから、1~ 8号機の風車建設予定地は大型の鳥類の飛行コース上にあり、風車建設によりそれらが衝突死する可能性が極めて大きいため、1~8号機の風車建設計画を見直す必要があります。 - 環境影響評価書案における評価予測の矛盾と破綻について
評価書案において、淡水沼を含む新川河口地域は、ガン・カモ類、ワシ・タカ類及びシギ・チドリ類の採餌、休息等の場として評価されています。
そして、評価予測の結果、主に猛禽類ミサゴの生態に着目して、生息に及ぼす影響を最小限にとどめたいとの観点から新川河口地域における風車建設の見直しを行っています。
一方、風車建設計画地北東端に隣接する石狩湾新港の港湾用途区域(新港の南西端地区、風車建設計画区域外)は、廃棄物処理用地(40.8ha)、土砂処分用地(28.7ha)とされる区域で、用途区分の性格上、沼や湿地、干潟の状態を呈して水鳥類等にとって良好な生息環境となっています。
したがって、そこは新川河口域と同様にガン・カモ類、ワシ・タカ類及びシギ・チドリ類の採餌、休息等の場として当該地域における重要な場所となっています。
これらの鳥類のうち、シギ・チドリ類、ガン・カモ類は、採餌や春秋の渡りの時期には夜間に飛ぶことが多いことから、石狩湾新港南西端の廃棄物処理用地等に隣接して建設が計画されている風車については、評価書の調査結果からも予測できるように、これら鳥類にとって大きな障壁となり、衝突死を引き起こすおそれが高いと考えられます。
評価書案では、新川河口地域については、「新川右岸側に存在する池の周囲に計画していた3基については、環境調査結果と有識者の意見等を踏まえて動植物に対する影響を可能な限り低減するため、建設計画から外して最終変更案とした」と記載されていますが、石狩湾新港側に建設する風車が抱える立地上の影響については、新川右岸の評価予測と同質のものであり、評価書案のとおり建設を進めることになれば評価予測に矛盾を生じ、評価予測は破綻していると考えます。計画の見直しが必要です。 - 草原性鳥類、森林性鳥類に及ぼすバードストライク以外の影響
風車建設によって直接失われる面積は8.7haと算定されていますが、一つ一つの風車がもたらす影響は、単に施工改変された土地やバードストライクだけにとどまるものではありません。
鳥類に関する影響については、ここ数年、日本鳥学会会員による風車建設後の調査が行われており、風車建設がもたらす影響が明らかにされてきています。
武田恵世(2010 日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、風車建設後の森林と対照区の森林で繁殖期の調査をおこない比較検討した結果、「(前略)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では年月と共に鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機には順応していない理由は、稼働の日変動、年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと、また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べています。
風車の建設計画がない六線浜周辺とその北東及び南西に連なる砂丘列の草地(風車建設地)や低木疎林は一連の環境であり、ノビタキ、ホオアカなどが生息するとともに、アカモズが生息、繁殖しています。第6項でも述べているとおり、六線浜の北東部及び南西部の区域で風車建設が行われた場合、現在、急速に個体数が減少しているアカモズにとって、その影響は極めて大きいと考えられます。
砂丘草地を採餌環境とする絶滅危惧ⅠB類チュウヒ、ハイイロチュウヒやノスリなどの猛禽類にとっても影響は大きいと予測されます。
また、砂丘列の後背林であるカシワ林には、森林性鳥類が生息していますが、風車建設によって、鳥類の生息密度が低下し、やがては森林生態系に大きな影響を及ぼすと考えられます。
上記の場所における風車建設は、砂丘生態系全体に重大な影響を及ぼすことが予測されるものであることから、計画の見直しが必要と考えます。
以上
小樽の銭函海岸における風力発電について計画中止の要望書を提出
2011.01.13
日本野鳥の会小樽支部(事務局:小樽、支部長:梅木賢俊)、日本野鳥の会札幌支部(事務局:札幌、支部長:山田三夫)と財団法人 日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博、会員・サポーター数約5万1千人)は1月13日、北海道小樽市銭函の海岸における風力発電施設建設計画について、絶滅のおそれのある鳥類の生息に対する悪影響を回避するため、事業者である日本風力開発(株)、銭函風力開発(株)に対して、計画の中止を求める要望書を提出しました。また本件について北海道庁、環境省北海道地方環境事務所、小樽市に対しても、文書で適切な対応を求めました。
この風力発電事業の計画地である小樽市の銭函4~5丁目の海岸部は、近年その個体数の減少が著しいシマアオジ(環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類)、アカモズ(同ⅠB類)が繁殖、ミサゴ(同準絶滅危惧)が生息しており、道内でも風車への衝突事故が多いオジロワシ(国の天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧ⅠB類)、マガン(国の天然記念物、準絶滅危惧)の越冬や渡りも確認されています。この場所に大規模風力発電施設を建設すれば、これらの鳥類への繁殖阻害や生息地消失、衝突死などの悪影響が避けられないと考えられます。そのため、北海道、北海道地方環境事務所、小樽市に対しては、行政による適切な対処をとっていただけるよう、事業者に対しては、計画を中止していただけるよう要望したものです。
なお日本風力開発(株)は従来、風力発電の建設過程において、地元の自然保護関係者とのていねいなコミュニケーションをとり、計画基数を減らす、事故発生時に原因解明まで風車の稼動を停止することを約束する等の対応を行なってきました。しかし、今回の計画では、自主的な環境影響評価を実施しているものの、自然保護団体からの意見に対して十分に応答しないといった、ていねいさを欠く対応となっており、このことに関して小会らは改善していただくことが必要と考えています。
要望書提出先
日本風力開発(株)、銭函風力開発(株)、北海道庁、環境省北海道地方環境事務所、小樽市
本件へのお問い合わせ
- 日本野鳥の会小樽支部 梅木賢俊(TEL 0134-22-0185)
- 日本野鳥の会札幌支部 山田三夫・住友順子(TEL 011-613-7973:平日10~18時のみ)
- (財)日本野鳥の会自然保護室:(TEL 03-5436-2633:平日のみ) 担当:浦 達也
記者発表先
北海道庁 道政記者クラブ、環境省記者クラブ
添付資料
日本風力開発株式会社
代表取締役社長 塚脇 正幸 様
日本野鳥の会小樽支部
支部長 梅木賢俊
北海道小樽市富岡1-13-10
日本野鳥の会札幌支部
支部長 山田三夫
北海道札幌市中央区大通西17丁目1
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
銭函海岸に生息する希少鳥類の保全に関する要望書
(銭函風力開発建設事業に際して)
日ごろ、当会の自然環境保全事業について、ご理解をいただき深く感謝申し上げます。
さて、ご承知のとおり、銭函海岸は北海道が策定した「北海道自然環境保全指針」に基づき選定された「すぐれた自然地域」として、保全を図るべき自然地域に位置づけされており、また、希少な野生動植物の重要な生息地となっています。
特に鳥類では、オジロワシやハヤブサなど種の保存法の国内希少野生動植物種、マガンなど国の天然記念物、シマアオジやアカモズなど環境省によるレッドリスト指定種の鳥類の生息が確認されています。先般、貴社から公開された環境影響評価書案への意見書においても述べたところですが、銭函海岸に貴社が計画されている風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の生息地は喪失し繁殖が阻害される、飛行経路が変更される、衝突事故が発生するなどの影響が危惧されます。
ついては、銭函海岸の野生生物保全のため、下記のとおり要望します。
記
次の理由より、銭函海岸における風力発電施設の建設計画は、野生生物の生息に多大なる影響を及ぼすと考えられますので、この計画を中止してください。
- 猛禽類について
貴社で作成した環境影響評価書案(以下、評価書案)の中にある準絶滅危惧のミサゴ、絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種/国の天然記念物であるオジロワシの予測結果では、「風車への衝突については留意する必要がある」と記されております。また、別添の「資料編(種類別猛禽類確認結果)」にあるオジロワシ、およびミサゴの確認位置をみると、あきらかに飛行コースの障害となり、また飛行高度から、衝突の危険性が非常に高いと考えられます。
そのため、オジロワシとミサゴの飛翔コースにあたる1~8号機の建設は不適当です。 - 絶滅危惧ⅠA類シマアオジについて
評価書案の129ページの図によれば、6月3日~6日の調査において、シマアオジの成鳥オスが確認されています。また、日本野鳥の会札幌支部の会員により、銭函5丁目の草原において、2009年8月13日にシマアオジの幼鳥が確認されています。6月初旬はシマアオジの繁殖前期にあたり、さらにほぼ同じ行動圏において、前年には繁殖した幼鳥が確認されていることから、この地域でシマアオジが繁殖活動を行っていることは確実です。風車の建設予定地は、シマアオジの行動圏(40,000~70,000㎡)と重なっており、風車建設による環境悪化や生息地の改変などがシマアオジの繁殖に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、シマアオジが確認された場所から周囲400m~700mにあたる3~8号機の建設は不適当です。 - 絶滅危惧ⅠB類アカモズについて
評価書案129ページの図によれば、アカモズが12か所で計16羽の生息が確認されており、親鳥の給餌や餌運び行動、さらには繁殖した幼鳥と共に行動しているところも確認されています。また、2009年に日本野鳥の会札幌支部の会員により、2つがいのアカモズの繁殖を確認しています。アカモズはここ数年急速に生息数が大きく減少していますが、北海道内でこれほど多数のアカモズが広範囲に繁殖する場所は今のところ、当該計画地以外にはありません。ここに風車を建設すれば、工事車両や関係者の出入り、環境悪化や生息地の改変により、生息地が壊滅的な打撃を受けるおそれがあります。
そのため、アカモズの行動圏テリトリー(150~200m)にあたる1~3号機、7~8号機および10~15号機の建設は不適当です。 - 国の天然記念物マガンについて
評価書案129ページの図によれば、マガンの群が2度にわたり、石狩湾新港内の海側から1号機および2号機の風車建設予定位置の上空を通過し、東方向に飛翔しています。マガンの飛翔高度は、美唄市宮島沼の観察や福井県あわら市における(財)日本野鳥の会による調査結果などによれば、高度30mから150mの範囲の飛行が一般的です。
そのため、マガンの飛翔コースと重なる位置にあたる1~2号機を建設した場合、マガンが衝突死する可能性があるので、1~2号機の建設は不適当です。 - 鳥類の主要な移動ルートとなっている海岸沿いの範囲について
評価書案8ページおよび12ページの地図をみると、1~8号機の建設位置から南側500mに、連続して工場の建物が立ち並んでいます。このため、海岸沿いを南下する鳥類の群や猛禽類などの大型鳥類のほとんどは工場の高い建物の上空を通過するのを避け、飛行コースを建設予定地のある海岸寄りにとっています。144~152ページにある猛禽類の行動範囲も、ほとんどは工場の建物のある場所を避け、建設予定地となっている狭い海岸沿いの範囲内を飛行せざるを得ない状況となっています。
以上のことから、1~8号機の風車建設予定地は大型の鳥類の飛行コース上にあり、風車建設によりそれらが衝突死する可能性が極めて大きいため、1~8号機の建設は不適当です。 - 草原性鳥類、森林性鳥類に及ぼすバードストライク以外の影響
風車建設によって直接失われる面積は8.7haと算定されていますが、一つ一つの風車がもたらす影響は、単に施工改変された土地やバードストライクだけにとどまるものではありません。
鳥類に関する影響については、ここ数年、日本鳥学会会員による風車建設後の調査が行われており、風車建設がもたらす影響が明らかにされてきています。
武田恵世(2010 日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、三重県における風車建設後の森林と対照区の森林で繁殖期の調査をおこない比較検討した結果、「(前略)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では年月と共に鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機には順応していない理由は、稼働の日変動、年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと、また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べています。
風車の建設計画がない六線浜周辺とその北東及び南西に連なる砂丘列の草地(風車建設地)や低木疎林は一連の環境であり、ノビタキ、ホオアカなどが生息するとともに、アカモズが生息、繁殖しています。第3項でも述べているとおり、六線浜の北東部及び南西部の区域で風車建設が行われた場合、現在、急速に個体数が減少しているアカモズにとって、その影響は極めて大きいと考えられます。
砂丘草地を採餌環境とする絶滅危惧ⅠB類チュウヒ、ハイイロチュウヒやノスリなどの猛禽類にとっても影響は大きいと予測されます。
また、砂丘列の後背林であるカシワ林には、森林性鳥類が生息していますが、風車建設によって、鳥類の生息密度が低下し、やがては森林生態系に大きな影響を及ぼすと考えられます。
銭函海岸の生物多様性を保全し貴重な砂丘生態系をこの地域の財産として残してゆくために、勇気あるご決断をいただきますよう、心からお願い申し上げます。
以上
北海道地方環境事務所
所長 吉井雅彦 様
日本野鳥の会小樽支部
支部長 梅木賢俊
北海道小樽市富岡1-13-10
日本野鳥の会札幌支部
支部長 山田三夫
北海道札幌市中央区大通西17丁目1
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
銭函海岸に生息する希少鳥類の保全に関する要望書
(銭函風力開発建設事業に際して)
日ごろ、当会の自然環境保全事業について、ご理解をいただき深く感謝申し上げます。
さて、銭函海岸は北海道が策定した「北海道自然環境保全指針」に基づき選定された「すぐれた自然地域」として、保全を図るべき自然地域に位置づけされており、また、希少な野生動植物の重要な生息地となっています。
特に鳥類では、オジロワシやハヤブサなど種の保存法の国内希少野生動植物種、マガンなど国の天然記念物、シマアオジやアカモズなどレッドリスト絶滅危惧Ⅰ類の鳥類の生息が確認されています。銭函海岸に風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の生息地は喪失し、繁殖が阻害される、飛行経路が変更される、衝突による死傷事故が発生するなどの影響が危惧されます。
ついては、銭函海岸の野生生物保全のため、下記のとおり要望します。
記
銭函海岸における風力発電施設の建設により、北海道が保全を図るべき自然地域として選定した同海岸の自然環境、とりわけ絶滅危惧種および国内希少野生動植物種や天然記念物に指定される希少鳥類が影響を受けないよう、環境省として適切な対応をとっていただきたく要望します。
理由はつぎのとおりです。
- オジロワシとミサゴの生息に悪影響を与えるおそれがあります
銭函風力開発株式会社が作成した環境影響評価書案(以下、評価書案)の中にある準絶滅危惧であるミサゴ、絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種/国の天然記念物であるオジロワシの予測結果では、「風車への衝突については留意する必要がある」と記されております。また、別添の「資料編(種類別猛禽類確認結果)」にあるオジロワシ、およびミサゴの確認位置をみると、あきらかに飛行コースの障害となり、また飛行高度から、衝突の危険性が非常に高いと考えられます。
そのため、オジロワシとミサゴの飛翔コースにあたる1~8号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 絶滅危惧ⅠA類シマアオジの生息に悪影響を与えるおそれがあります
評価書案の129ページの図によれば、6月3日~6日の調査において、シマアオジの成鳥オスが確認されています。また、日本野鳥の会札幌支部の会員により、銭函5丁目の草原において、2009年8月13日にシマアオジの幼鳥メスが確認されています。6月初旬はシマアオジの繁殖前期にあたり、さらにほぼ同じ行動圏において、前年に繁殖個体の幼鳥が確認されていることから、この地域でシマアオジが繁殖活動を行っていることは間違いありません。風車の建設予定地は、シマアオジの行動圏(40,000~70,000㎡)と重なっており、風車建設による環境悪化や生息地の改変などがシマアオジの繁殖に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、シマアオジが確認された場所から周囲400m~700mにある3~8号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 絶滅危惧ⅠB類アカモズの生息に悪影響を与えるおそれがあります
評価書案129ページの図によれば、アカモズが12か所で計16羽の生息が確認されており、親鳥の給餌や餌運び行動、さらには繁殖した幼鳥とともにに行動しているところも確認されています。また、2009年に日本野鳥の会札幌支部の会員により、2つがいのアカモズの繁殖を確認しています。アカモズはここ数年急速に生息数が大きく減少していますが、北海道内でこれほど多数のアカモズが広範囲に繁殖する場所は今のところ、この計画地以外にはありません。ここに風車を建設すれば、工事車両や関係者の出入りを含め、環境悪化や生息地の改変により、生息地が壊滅的な打撃を受けるおそれがあります。
そのため、アカモズの行動圏テリトリー(150~200m)にあたる1~3号機、7~8号機および10~15号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - マガンについて
評価書案129ページの図によれば、国の天然記念物マガンの群が2度にわたり、石狩湾新港内の海側から1号機および2号機の風車建設予定位置の上空を通過し、東方向に飛翔しています。マガンの飛翔高度は、美唄市宮島沼の観察や福井県あわら市における(財)日本野鳥の会による調査結果などによれば、高度30mから150mの範囲の飛行が一般的です。そのため、マガンの飛翔コースと重なる位置にあたる1~2号機を建設した場合、マガンが衝突死する可能性があるので、1~2号機について風車の建設計画を見直す必要があります。 - 鳥類の主要な移動ルートとなっている海岸沿いの範囲について
評価書案8ページおよび12ページの地図をみると、1~8号機の建設位置から南側500mに、連続して工場の建物が立ち並んでいます。このため、海岸沿いを南下する鳥類の群や猛禽類などの大型鳥類のほとんどは工場の高い建物の上空を通過するのを避け、飛行コースを建設予定地のある海岸寄りにとっています。144~152ページにある猛禽類の行動範囲も、ほとんどは工場の建物のある場所を避け、建設予定地となっている狭い海岸沿いの範囲内を飛行せざるを得ない状況となっています。
以上のことから、1~ 8号機の風車建設予定地は大型の鳥類の飛行コース上にあり、風車建設によりそれらが衝突死する可能性が極めて大きいため、1~8号機について風車の建設計画を見直す必要があります。 - 草原性鳥類、森林性鳥類に及ぼすバードストライク以外の影響
風車建設によって直接失われる面積は8.7haと算定されていますが、一つ一つの風車がもたらす影響は、単に施工改変された土地やバードストライクだけにとどまるものではありません。
鳥類に関する影響については、ここ数年、日本鳥学会会員による風車建設後の調査が行われており、風車建設がもたらす影響が明らかにされてきています。
武田恵世(2010 日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、三重県における風車建設後の森林と対照区の森林で繁殖期の調査をおこない比較検討した結果、「(前略)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では年月と共に鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機には順応していない理由は、稼働の日変動、年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと、また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べています。
風車の建設計画がない六線浜周辺とその北東及び南西に連なる砂丘列の草地(風車建設地)や低木疎林は一連の環境であり、ノビタキ、ホオアカなどが生息するとともに、アカモズが生息、繁殖しています。第3項でも述べているとおり、六線浜の北東部及び南西部の区域で風車建設が行われた場合、現在、急速に個体数が減少しているアカモズにとって、その影響は極めて大きいと考えられます。
砂丘草地を採餌環境とする絶滅危惧ⅠB類チュウヒ、ハイイロチュウヒやノスリなどの猛禽類にとっても影響は大きいと予測されます。
また、砂丘列の後背林であるカシワ林には、森林性鳥類が生息していますが、風車建設によって、鳥類の生息密度が低下し、やがては森林生態系に大きな影響を及ぼすと考えられます。
上記の場所における風車建設は、砂丘生態系全体に重大な影響を及ぼすことが予測されるものであることから、計画を見直す必要があります。
以上
北海道知事 高橋はるみ 様
日本野鳥の会小樽支部
支部長 梅木賢俊
北海道小樽市富岡1-13-10
日本野鳥の会札幌支部
支部長 山田三夫
北海道札幌市中央区大通西17丁目1
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
(銭函風力開発建設事業に際して)
日ごろ、当会の自然環境保全事業について、ご理解をいただき深く感謝申し上げます。
さて、銭函海岸はご承知のとおり、北海道が策定した「北海道自然環境保全指針」に基づき選定された「すぐれた自然地域」として、保全を図るべき自然地域に位置づけされており、また、希少な野生動植物の重要な生息地となっています。
特に鳥類では、オジロワシやハヤブサなど種の保存法の国内希少野生動植物種、マガンなど国の天然記念物、シマアオジやアカモズなど環境省による絶滅危惧Ⅰ類の鳥類の生息が確認されています。銭函海岸に風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の生息地は喪失し繁殖が阻害される、飛行経路が変更される、衝突による死傷事故が発生するなどの影響が危惧されます。
ついては、希少鳥類の生息する銭函海岸の野生生物保全のため、下記のとおり要望します。
なお、風車建設予定地は国有海浜地であり、施設建設にあたっては海岸法に基づく許可申請が必要となることから、海岸法第1条の「この法律は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護するとともに、海岸環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用を図り、もって国土の保全に資することを目的とする。」理念に立脚して、厳正に審査、処理されることを要望します。
記
銭函海岸における風力発電施設の建設により、北海道が保全を図るべき自然地域として選定した同海岸の自然環境、とりわけ北海道レッドデータブックや天然記念物に指定されている次のような希少鳥類が影響を受けないよう、北海道として適切な対応をとっていただきたく強く要望します。
理由は次のとおりです。
- 国の天然記念物オジロワシとミサゴの生息に悪影響を与えるおそれがあります
日本風力開発株式会社が作成した環境影響評価書案(以下、評価書案)の中にある環境省レッドリスト準絶滅危惧および北海道レッドリストの絶滅危急種であるミサゴ、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種/国の天然記念物および北海道レッドリストの絶滅危惧種であるオジロワシの予測結果では、「風車への衝突については留意する必要がある」と記されております。また、別添の「資料編(種類別猛禽類確認結果)」にあるオジロワシ、およびミサゴの確認位置をみると、あきらかに飛行コースの障害となり、また飛行高度から、衝突の危険性が非常に高いと考えられます。
そのため、オジロワシとミサゴの飛翔コースにあたる1~8号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - シマアオジの生息に悪影響を与えるおそれがあります
評価書案の129ページの図によれば、6月3日~6日の調査において、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類で北海道レッドリストの希少種でもあるシマアオジの成鳥オスが確認されています。また、日本野鳥の会札幌支部の会員により、銭函5丁目の草原において、2009年8月13日にシマアオジの幼鳥が確認されています。6月初旬はシマアオジの繁殖前期にあたり、さらにほぼ同じ行動圏において、前年には繁殖した幼鳥が確認されていることから、この地域でシマアオジが繁殖活動を行っていることは確実です。風車の建設予定地は、シマアオジの行動圏(40,000~70,000㎡)と重なっており、風車建設による環境悪化や生息地の改変などがシマアオジの繁殖に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、シマアオジが確認された場所から周囲400m~700mにあたる3~8号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - アカモズの生息に悪影響を与えるおそれがあります
評価書案129ページの図によれば、絶滅危惧ⅠB類で北海道レッドリストの希少種でもあるアカモズが12か所で計16羽の生息が確認されており、親鳥の給餌や餌運び行動、さらには繁殖した幼鳥とともに行動しているところも確認されています。また、2009年に日本野鳥の会札幌支部の会員により、2つがいのアカモズの繁殖を確認しています。アカモズはここ数年急速に生息数が大きく減少していますが、北海道内でこれほど多数のアカモズが広範囲に繁殖する場所は今のところ、この計画地以外にはありません。ここに風車を建設すれば、工事車両や関係者の出入りを含め、環境悪化や生息地の改変により、生息地が壊滅的な打撃を受けるおそれがあります。
そのため、アカモズの行動圏テリトリー(150~200m)にあたる1~3号機、7~8号機および10~15号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 国の天然記念物マガンについて
評価書案129ページの図によれば、マガンの群が2度にわたり、石狩湾新港内の海側から1号機および2号機の風車建設予定位置の上空を通過し、東方向に飛翔しています。マガンの飛翔高度は、美唄市宮島沼の観察や福井県あわら市における(財)日本野鳥の会による調査結果などによれば、高度30mから150mの範囲の飛行が一般的です。
そのため、マガンの飛翔コースと重なる位置にあたる1~2号機を建設した場合、マガンが衝突死する可能性があるので、1~2号機について風車の建設計画を見直す必要があります。 - 鳥類の主要な移動ルートとなっている海岸沿いの範囲について
評価書案8ページおよび12ページの地図をみると、1~8号機の建設位置から南側500mに、連続して工場の建物が立ち並んでいます。このため、海岸沿いを南下する鳥類の群や猛禽類などの大型鳥類のほとんどは工場の高い建物の上空を通過するのを避け、飛行コースを建設予定地のある海岸寄りにとっています。144~152ページにある猛禽類の行動範囲も、ほとんどは工場の建物のある場所を避け、建設予定地となっている狭い海岸沿いの範囲内を飛行せざるを得ない状況となっています。
以上のことから、1~8号機の風車建設予定地は大型の鳥類の飛行コース上にあり、風車建設によりそれらが衝突死する可能性が極めて大きいため、1~8号機について風車の建設計画を見直す必要があります。 - 草原性鳥類、森林性鳥類に及ぼすバードストライク以外の影響
風車建設によって直接失われる面積は8.7haと算定されていますが、一つ一つの風車がもたらす影響は、単に施工改変された土地やバードストライクだけにとどまるものではありません。
鳥類に関する影響については、ここ数年、日本鳥学会会員による風車建設後の調査が行われており、風車建設がもたらす影響が明らかにされてきています。
武田恵世(2010 日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、三重県における風車建設後の森林と対照区の森林で繁殖期の調査をおこない比較検討した結果、「(前略)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では年月と共に鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機には順応していない理由は、稼働の日変動、年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと、また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べています。
風車の建設計画がない六線浜周辺とその北東及び南西に連なる砂丘列の草地(風車建設地)や低木疎林は一連の環境であり、ノビタキ、ホオアカなどが生息するとともに、アカモズが生息、繁殖しています。第3項でも述べているとおり、六線浜の北東部及び南西部の区域で風車建設が行われた場合、現在、急速に個体数が減少しているアカモズにとって、その影響は極めて大きいと考えられます。
砂丘草地を採餌環境とする絶滅危惧ⅠB類チュウヒ、ハイイロチュウヒやノスリなどの猛禽類にとっても影響は大きいと予測されます。
また、砂丘列の後背林であるカシワ林には、森林性鳥類が生息していますが、風車建設によって、鳥類の生息密度が低下し、やがては森林生態系に大きな影響を及ぼすと考えられます。
上記の場所における風車建設は、砂丘生態系全体に重大な影響を及ぼすことが予測されるものであることから、計画を見直す必要があります。
以上
小樽市長 山田勝麿 様
日本野鳥の会小樽支部
支部長 梅木賢俊
北海道小樽市富岡1-13-10
日本野鳥の会札幌支部
支部長 山田三夫
北海道札幌市中央区大通西17丁目1
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
銭函海岸に生息する希少鳥類の保全に関する要望書
(銭函風力開発建設事業に際して)
日ごろ、当会の自然環境保全事業について、ご理解をいただき深く感謝申し上げます。
さて、小樽市民にとって宝である銭函海岸はご承知のとおり、北海道が策定した「北海道自然環境保全指針」に基づき選定された「すぐれた自然地域」として、保全を図るべき自然地域に位置づけされており、また、希少な野生動植物の重要な生息地となっています。
特に鳥類では、オジロワシやハヤブサなど種の保存法の国内希少野生動植物種、マガンなど国の天然記念物、シマアオジやアカモズなど環境省によるレッドリスト絶滅危惧Ⅰ類の鳥類の生息が確認されています。銭函海岸に風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の生息地は喪失し繁殖が阻害される、飛行経路が変更される、衝突による死傷事故が発生するなどの影響が危惧されます。
ついては、希少鳥類の生息する銭函海岸の野生生物保全のため、下記のとおり要望します。
記
銭函海岸における風力発電施設の建設により、小樽市民の宝であり北海道が保全を図るべき自然地域として選定した同海岸の自然環境、とりわけ種の保存法、環境省レッドリストや天然記念物に指定されている次のような希少鳥類やその生息地が影響を受けないよう、小樽市として適切な対応をとっていただきたく強く要望します。
理由は次のとおりです。
- オジロワシとミサゴの生息に悪影響を与えるおそれがあります
銭函風力開発株式会社が作成した環境影響評価書案(以下、評価書案)の中にある準絶滅危惧であるミサゴ、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種/国の天然記念物であるオジロワシの予測結果では、「風車への衝突については留意する必要がある」と記されております。また、別添の「資料編(種類別猛禽類確認結果)」にあるオジロワシ、およびミサゴの確認位置をみると、あきらかに飛行コースの障害となり、また飛行高度から、衝突の危険性が非常に高いと考えられます。
そのため、オジロワシとミサゴの飛翔コースにあたる1~8号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類シマアオジの生息に悪影響を与えるおそれがあります
評価書案の129ページの図によれば、6月3日~6日の調査において、シマアオジの成鳥オスが確認されています。また、日本野鳥の会札幌支部の会員により、銭函5丁目の草原において、2009年8月13日にシマアオジの幼鳥が確認されています。6月初旬はシマアオジの繁殖前期にあたり、さらにほぼ同じ行動圏において、前年に繁殖個体の幼鳥が確認されていることから、この地域でシマアオジが繁殖活動を行っていることは間違いありません。風車の建設予定地は、シマアオジの行動圏(40,000~70,000㎡)と重なっており、風車建設による環境悪化や生息地の改変などがシマアオジの繁殖に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、シマアオジが確認された場所から周囲400m~700mにあたる3~8号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類アカモズの生息に悪影響を与えるおそれがあります
評価書案129ページの図によれば、アカモズが12か所で計16羽の生息が確認されており、親鳥の給餌や餌運び行動、さらには繁殖した幼鳥と共に行動しているところも確認されています。また、2009年に日本野鳥の会札幌支部の会員により、2つがいのアカモズの繁殖を確認しています。アカモズはここ数年急速に生息数が大きく減少していますが、北海道内でこれほど多数のアカモズが広範囲に繁殖する場所は今のところ、この計画地以外にはありません。ここに風車を建設すれば、工事車両や関係者の出入りを含め、環境悪化や生息地の改変により、生息地が壊滅的な打撃を受けるおそれがあります。
そのため、アカモズの行動圏テリトリー(150~200m)にあたる1~3号機、7~8号機および10~15号機について、風車の建設計画を見直す必要があります。 - 国の天然記念物マガンについて
評価書案129ページの図によれば、マガンの群が2度にわたり、石狩湾新港内の海側から1号機および2号機の風車建設予定位置の上空を通過し、東方向に飛翔しています。マガンの飛翔高度は、美唄市宮島沼の観察や福井県あわら市における(財)日本野鳥の会による調査結果などによれば、高度30mから150mの範囲の飛行が一般的です。
そのため、マガンの飛翔コースと重なる位置にあたる1~2号機を建設した場合、マガンが衝突死する可能性があるので、1~2号機について風車の建設計画を見直す必要があります。 - 鳥類の主要な移動ルートとなっている海岸沿いの範囲について
評価書案8ページおよび12ページの地図をみると、1~8号機の建設位置から南側500mに、連続して工場の建物が立ち並んでいます。このため、海岸沿いを南下する鳥類の群や猛禽類などの大型鳥類のほとんどは工場の高い建物の上空を通過するのを避け、飛行コースを建設予定地のある海岸寄りにとっています。144~152ページにある猛禽類の行動範囲も、ほとんどは工場の建物のある場所を避け、建設予定地となっている狭い海岸沿いの範囲内を飛行せざるを得ない状況となっています。
以上のことから、1~8号機の風車建設予定地は大型の鳥類の飛行コース上にあり、風車建設によりそれらが衝突死する可能性が極めて大きいため、1~8号機について風車の建設計画を見直す必要があります。 - 草原性鳥類、森林性鳥類に及ぼすバードストライク以外の影響
風車建設によって直接失われる面積は8.7haと算定されていますが、一つ一つの風車がもたらす影響は、単に施工改変された土地やバードストライクだけにとどまるものではありません。
鳥類に関する影響については、ここ数年、日本鳥学会会員による風車建設後の調査が行われており、風車建設がもたらす影響が明らかにされてきています。
武田恵世(2010 日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、三重県における風車建設後の森林と対照区の森林で繁殖期の調査をおこない比較検討した結果、「(前略)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では年月と共に鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機には順応していない理由は、稼働の日変動、年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと、また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べています。
風車の建設計画がない六線浜周辺とその北東及び南西に連なる砂丘列の草地(風車建設地)や低木疎林は一連の環境であり、ノビタキ、ホオアカなどが生息するとともに、アカモズが生息、繁殖しています。第3項でも述べているとおり、六線浜の北東部及び南西部の区域で風車建設が行われた場合、現在、急速に個体数が減少しているアカモズにとって、その影響は極めて大きいと考えられます。
砂丘草地を採餌環境とする絶滅危惧ⅠB類チュウヒ、ハイイロチュウヒやノスリなどの猛禽類にとっても影響は大きいと予測されます。
また、砂丘列の後背林であるカシワ林には、森林性鳥類が生息していますが、風車建設によって、鳥類の生息密度が低下し、やがては森林生態系に大きな影響を及ぼすと考えられます。
上記の場所における風車建設は、砂丘生態系全体に重大な影響を及ぼすことが予測されるものであることから、計画を見直す必要があります。
以上
銭函風力開発株式会社
代表取締役社長 松島 聡 様
日本野鳥の会小樽支部
支部長 梅木賢俊
北海道小樽市富岡1-13-10
日本野鳥の会札幌支部
支部長 山田三夫
北海道札幌市中央区大通西17丁目1
財団法人 日本野鳥の会
会長 柳生 博
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
銭函海岸に生息する希少鳥類の保全に関する要望書
(銭函風力開発建設事業に際して)
日ごろ、当会の自然環境保全事業について、ご理解をいただき深く感謝申し上げます。
さて、ご承知のとおり、銭函海岸は北海道が策定した「北海道自然環境保全指針」に基づき選定された「すぐれた自然地域」として、保全を図るべき自然地域に位置づけされており、また、希少な野生動植物の重要な生息地となっています。
特に鳥類では、オジロワシやハヤブサなど種の保存法の国内希少野生動植物種、マガンなど国の天然記念物、シマアオジやアカモズなど環境省によるレッドリスト指定種の鳥類の生息が確認されています。先般、貴社から公開された環境影響評価書案への意見書においても述べたところですが、銭函海岸に貴社が計画されている風力発電施設が建設された場合、これらの鳥類の生息地は喪失し繁殖が阻害される、飛行経路が変更される、衝突事故が発生するなどの影響が危惧されます。
ついては、銭函海岸の野生生物保全のため、下記のとおり要望します。
記
次の理由より、銭函海岸における貴社の風力発電施設の建設計画は、野生生物の生息に多大なる影響を及ぼすと考えられますので、この計画を中止してください。
- 猛禽類について
貴社で作成した環境影響評価書案(以下、評価書案)の中にある準絶滅危惧のミサゴ、絶滅危惧ⅠB類/国内希少野生動植物種/国の天然記念物であるオジロワシの予測結果では、「風車への衝突については留意する必要がある」と記されております。また、別添の「資料編(種類別猛禽類確認結果)」にあるオジロワシ、およびミサゴの確認位置をみると、あきらかに飛行コースの障害となり、また飛行高度から、衝突の危険性が非常に高いと考えられます。
そのため、オジロワシとミサゴの飛翔コースにあたる1~8号機の建設は不適当です。 - 絶滅危惧ⅠA類シマアオジについて
評価書案の129ページの図によれば、6月3日~6日の調査において、シマアオジの成鳥オスが確認されています。また、日本野鳥の会札幌支部の会員により、銭函5丁目の草原において、2009年8月13日にシマアオジの幼鳥が確認されています。6月初旬はシマアオジの繁殖前期にあたり、さらにほぼ同じ行動圏において、前年には繁殖した幼鳥が確認されていることから、この地域でシマアオジが繁殖活動を行っていることは確実です。風車の建設予定地は、シマアオジの行動圏(40,000~70,000㎡)と重なっており、風車建設による環境悪化や生息地の改変などがシマアオジの繁殖に重大な影響を及ぼすおそれがあります。
そのため、シマアオジが確認された場所から周囲400m~700mにあたる3~8号機の建設は不適当です。 - 絶滅危惧ⅠB類アカモズについて
評価書案129ページの図によれば、アカモズが12か所で計16羽の生息が確認されており、親鳥の給餌や餌運び行動、さらには繁殖した幼鳥と共に行動しているところも確認されています。また、2009年に日本野鳥の会札幌支部の会員により、2つがいのアカモズの繁殖を確認しています。アカモズはここ数年急速に生息数が大きく減少していますが、北海道内でこれほど多数のアカモズが広範囲に繁殖する場所は今のところ、当該計画地以外にはありません。ここに風車を建設すれば、工事車両や関係者の出入り、環境悪化や生息地の改変により、生息地が壊滅的な打撃を受けるおそれがあります。
そのため、アカモズの行動圏テリトリー(150~200m)にあたる1~3号機、7~8号機および10~15号機の建設は不適当です。 - 国の天然記念物マガンについて
評価書案129ページの図によれば、マガンの群が2度にわたり、石狩湾新港内の海側から1号機および2号機の風車建設予定位置の上空を通過し、東方向に飛翔しています。マガンの飛翔高度は、美唄市宮島沼の観察や福井県あわら市における(財)日本野鳥の会による調査結果などによれば、高度30mから150mの範囲の飛行が一般的です。
そのため、マガンの飛翔コースと重なる位置にあたる1~2号機を建設した場合、マガンが衝突死する可能性があるので、1~2号機の建設は不適当です。 - 鳥類の主要な移動ルートとなっている海岸沿いの範囲について
評価書案8ページおよび12ページの地図をみると、1~8号機の建設位置から南側500mに、連続して工場の建物が立ち並んでいます。このため、海岸沿いを南下する鳥類の群や猛禽類などの大型鳥類のほとんどは工場の高い建物の上空を通過するのを避け、飛行コースを建設予定地のある海岸寄りにとっています。144~152ページにある猛禽類の行動範囲も、ほとんどは工場の建物のある場所を避け、建設予定地となっている狭い海岸沿いの範囲内を飛行せざるを得ない状況となっています。
以上のことから、1~ 8号機の風車建設予定地は大型の鳥類の飛行コース上にあり、風車建設によりそれらが衝突死する可能性が極めて大きいため、1~8号機の建設は不適当です。 - 草原性鳥類、森林性鳥類に及ぼすバードストライク以外の影響
風車建設によって直接失われる面積は8.7haと算定されていますが、一つ一つの風車がもたらす影響は、単に施工改変された土地やバードストライクだけにとどまるものではありません。
鳥類に関する影響については、ここ数年、日本鳥学会会員による風車建設後の調査が行われており、風車建設がもたらす影響が明らかにされてきています。
武田恵世(2010 日本鳥学会2010年度大会講演要旨集:84)によると、三重県における風車建設後の森林と対照区の森林で繁殖期の調査をおこない比較検討した結果、「(前略)生息密度は約1/22であった。すなわち、建設後少なくとも11年では年月と共に鳥類が増えていることはなく、風力発電機の影響を受けない、あるいは順応している個体は非常に少ないままであると考えられる。野鳥は騒音を発生する人工建造物にある程度順応性があり、鉄道や高速道路、空港周辺に野鳥が多い場所があることはよく知られている。しかし、風力発電機には順応していない理由は、稼働の日変動、年変動が極めて大きく、稼働中も風波と呼ばれる風向、風速の変動による変化が大きいこと、また、特殊な騒音、特に低周波音の影響や、ストロボ効果の影響などが考えられる。風力発電機の鳥類の生息への影響は極めて大きく、風力発電所の立地には慎重な検討が必要であると考えられる。」と述べています。
風車の建設計画がない六線浜周辺とその北東及び南西に連なる砂丘列の草地(風車建設地)や低木疎林は一連の環境であり、ノビタキ、ホオアカなどが生息するとともに、アカモズが生息、繁殖しています。第3項でも述べているとおり、六線浜の北東部及び南西部の区域で風車建設が行われた場合、現在、急速に個体数が減少しているアカモズにとって、その影響は極めて大きいと考えられます。
砂丘草地を採餌環境とする絶滅危惧ⅠB類チュウヒ、ハイイロチュウヒやノスリなどの猛禽類にとっても影響は大きいと予測されます。
また、砂丘列の後背林であるカシワ林には、森林性鳥類が生息していますが、風車建設によって、鳥類の生息密度が低下し、やがては森林生態系に大きな影響を及ぼすと考えられます。
銭函海岸の生物多様性を保全し貴重な砂丘生態系をこの地域の財産として残してゆくために、勇気あるご決断をいただきますよう、心からお願い申し上げます。
以上







