(仮称)大分南風力発電事業に係る環境影響評価 方法書に対する意見書

令和 2年 12月14日

ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)御中

日本野鳥の会大分県支部
支部長  谷上和年  (公印省略)
〒870-1168 大分市松が丘3-22-3 衛藤方
電話 097-542-5370

公益財団法人日本野鳥の会
理事長  遠藤 孝一  (公印省略)
〒141-003東京都品川区西五反田3-9-23
電話 03-5936-2633(自然保護室)

(仮称)大分南風力発電事業に係る環境影響評価 方法書に対する意見書

■基本的な考え方

私どもは、風力発電施設(以下、風車)の導入促進が、地球温暖化対策やカーボンニュートラル等に果たす役割や重要性について十分に理解しています。
しかし、現在、九州電力管内においては、風力発電のバックアップ電源として常に火力発電が稼働しているなかに、貴社が計画している大型蓄電池を併設しない大規模風車群の建設が実現すれば、更に火力発電の需要が増えることになり、二酸化炭素削減効果については期待できないものになってしまいます。また、発電施設の建設により、椿山から冠岳、楯ヶ城山にわたる稜線とその周辺地域において現在維持されている観光資源としても重要な自然景観およびその自然環境については確実に悪化することとなり強く懸念しています。なかでも、上記の地域において生態系の頂点にあるクマタカ等の希少猛禽類の生息環境が大きく損なわれてしまい、この点もきわめて憂慮すべき点です。

さらに、環境影響評価方法書(以下、方法書という)に記載されている対象事業実施区域(以下、計画地という)を源流域としている一級河川の番匠川流域(佐伯市側)および大野川流域(臼杵市側)において、今後永きにわたり水質汚濁や土砂災害等が発生する可能性を高めてしまうことも強く懸念しています。
そのため、下記のとおり、方法書に対し「鳥類調査の方法等」に関する大幅な修正および住民向け説明会を再度開催することを強く求めます。

■希少猛禽類の調査期間および方法について

①調査期間の明示について
方法書では、希少猛禽類の調査時期は「繁殖期と非繁殖期に実施する。各月1回3日間程度の調査を基本とする」となっていますが、何月何日から某月某日までのように、できる限り詳細に調査の実施期間を示すべきです。そうしないと、調査期間が希少猛禽類調査にとって適切な時期であるかどうか判断できません。
②クマタカの繁殖調査期間と方法について
希少猛禽類の中でもクマタカについては、計画地とその周辺で繁殖している場合には最低でも2営巣期の調査を実施することが求められます(参照:環境省「猛禽類保護の進め方〔改訂版〕」。しかし、クマタカは1回の繁殖期間にほぼ1年を必要とし、はっきりとした非繁殖期はなく(環境省「猛禽類保護の進め方〔改訂版〕19頁)、また、隔年で繁殖することが多く、繁殖を行う年であっても何らかの原因で繁殖が失敗したり途中で放棄してしまうことがあります。そのため、クマタカの繁殖状況を詳細に調査し把握するために、少なくとも3年間の調査を行うべきです。
③サシバやハチクマ等の希少猛禽類の渡り調査の期間と方法について
方法書では、渡りを行うサシバやハチクマ等の希少猛禽類については「繁殖期と非繁殖期に実施する。各月1回3日間程度の調査」とし、また、「春季(3月~5月)および秋季(9~11月)の各月3日間実施」と記載されています。渡りを行う希少猛禽類は、渡りを行う際の気象条件(気圧配置、風向、風力、天候など)により移動経路の位置が大きく変わり、また、渡りを一時的に休止することもあるため、一回の調査が3日間程度では、計画地および周辺地域の渡り鳥の状況を把握するには不十分です。したがって、1回の調査では、少なくとも1週間程度の連続した調査を複数年実施すべきです。

■バードストライク(鳥類の衝突)発生確率の定量的な予測方法について

方法書では、風車に対する鳥類の衝突確率に関しては「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」等に基づき定量的に予測するとしていますが、その手引きは、作成時点での研究者等による調査研究の結果を紹介しているものであり、衝突確率の予測手法を検討する際の参考資料に過ぎません。そのため、貴社がバードストライクの発生確率を予測するのであれば、現時点でもっとも定量的に予測することができていると考えられる研究結果や論文を参考にすべきです。

■風車建設による両流域の土砂災害等の発生可能性の明示と事前防止策について

計画地周辺の佐伯市・臼杵市側ともに、降雨の際に水害発生の大きな原因となっている急峻な山地と細長い平野部の地形を有する割合が非常に大きな地域です。

近年の地球温暖化による降雨量の増大傾向に加え、風車の建設工事に伴う稜線上の保安林を含む多くの森林植生の消失により、保水力と地盤安定力の低下が引き起こす砂泥流出や土砂崩れなどの発生が懸念されます。また、万一それらの災害が発生すれば、計画地に源流を有する番匠川水系および大野川水系において、水質汚濁が発生するのは必至です。

そのため貴社は方法書に、このような発生しうる人的災害の可能性を積極的に明示し、かつ、それを予防、回避するための措置や対策の方法を示したうえで、どのような事前調査を実施するのか具体的な調査方法を記載すべきです。また、責任をもって災害発生を予防、回避するという貴社の姿勢等も方法書に示すべきです。

貴社は方法書および地域住民向けの説明会で、災害の発生の可能性について明示、言及するものと期待していましたが、残念ながら当会の知る限りにおいては、貴社がそのような姿勢を示した個所や発言を見出すことはできませんでした。

■風車の建設がもたらす公益的なメリットの明示について

貴社は地域住民向けの説明会において、風力発電事業の受け入れによる自治体や地元自治会、住民における様々なメリットとして、下記のように説明しました。

<自治体へのメリット>
①自治体への固定資産税の増加、
②建設時の地元企業への工事発注やそれに伴う雇用の創出、
③建設後の保守・点検作業の地元業者への発注、
④風車建設時に敷設した作業道の林道として活用可能性、
⑤工事関係者による地元宿泊施設や飲食店の利用による経済効果
<地元自治会と住民へのメリット>
①風力発電施設見学など再生可能エネルギーの環境学習、
②地元の祭事や災害復旧ボランティアへの参加、
③地元への区費協力や祭事への協賛金、
④新たな観光資源の創出

しかし、これらに示されたメリットは、実現可能性に乏しく、不確実性が高い内容が多く、また、当該事業を含む再生可能エネルギー導入における本来の公益的メリットである「地球温温暖化防止のための二酸化炭素削減効果」が示されていません。また、誠に残念なことに、説明会は地域等が享受できる確実なメリットの明示を避けたものとなりました。野津中央公民館(臼杵市)での説明会においては、参加者からの質問に対して貴社は、「データは自社で有しているが非公開としている」と、きわめて消極的な回答に終わっています。

したがって貴社に対し、この事業が地域等にもたらす確実なメリット、および本来の公益的メリットを方法書に明示し、現時点における「二酸化炭素削減効果に関する定量的な予測量」について、責任をもって明確に答えることを求めます。

■地域住民向け説明会の再度開催について

貴社が既に佐伯市や臼杵市で実施した説明会はあまりにも短時間であり、説明も不十分な点が多く、また、これまでに当会が貴社に伝えている疑問や質問に対して明確な回答をいただくためにも、現地で鳥類等の環境調査を開始する以前に、再度、方法書の内容に関する説明会を開催することを強く求めます。

(仮称)苓北風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する意見書

令和2年12月11日

株式会社レノバ
代表取締役社長 CEO 木南 陽介 様

日本野鳥の会熊本県支部
支部長 田中 忠(公印省略)
〒861-8064
熊本県熊本市北区八景水谷3-7-38

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一(公印省略)
〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル

(仮称)苓北風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する意見書

貴社が作成された(仮称)苓北風力発電事業に係る環境影響評価準備(以下、準備書という)に対し、下記のように意見を提出いたします。

(1)アセス図書の縦覧方法について
貴社によるアセス図書の公開方法が不十分なため、地域の利害関係者に周知されていないことから、地域住民等が事業内容を十分に把握できず、事業実施後に地域で混乱が生じる可能性がある。

  1. 周知方法の問題点
    環境影響評価図書の縦覧と意見書の募集に係る周知は、貴社および熊本県のホームページや環境影響評価情報支援ネットワークに限らず、地域での回覧やポスター掲示、チラシ配布、その他の関係機関のHP上での掲載など、より多くの人に周知するよう最大限の努力をすべきである。
  2. 閲覧方法の問題点
    アセス図書の閲覧は、環境影響評価法により定められているとは言え、縦覧期間が1~1.5か月と短く、また、縦覧場所も限られており、インターネット上で閲覧できることは便利であるが、印刷ができないことは不便である。数百ページもあるアセス図書を縦覧場所、またはパソコン上のみで閲覧しながら意見書を作成することは、現実的ではない。縦覧期間が過ぎてしまうと作成した意見書の内容の誤りの有無をアセス図書と整合して確認することもできない。アセス図書の内容が、実際の対象事業実施区域(以下、計画地という)の状況と齟齬がないかを地域住民等が精査できることが、環境影響評価の信頼性を確保し、地域との合意形成を図るうえで不可欠である。そのため、閲覧可能期間に限らず、縦覧期間後も地域の図書館などで、図書を常時閲覧可能にし、また、随時インターネットで閲覧とダウンロード、印刷を可能にすべきである。例えば、北海道の幌延風力発電事業更新計画環境影響評価方法書では配慮書や方法書などの図書がインターネット上で常時閲覧可能となっていた。地域住民との合意形成を図るには、アセス手続きにおける透明性と公平性の確保が不可欠なため、これら他の事業者の取り組みを貴社も参考にすべきである。すぐにはアセス図書を常時公開することは難しいようであれば、多くの事業者が実施しているように、関係する自然保護団体等に紙媒体でのアセス図書を提供すべきである。
(2)計画地周辺の自然環境および鳥類全般について
計画地およびその周辺は熊本県内でも数少ないサシバを頂点とする生態系ピラミッドが維持されており、また、谷川沿いに水田があり、は虫類や両生類が豊富に生息しているなど、日本では今もっとも大切にしていかなければならない里山環境が残る重要な地域である。
そのことは、貴社が4月から8月にかけて毎月3日間ずつ行った希少猛禽類調査の結果(表10.1.4-19および表10.1.4.20)でサシバが調査地点(St.)4・5・9などを中心に197回と非常に多く観察されていることからも明らかである。サシバは環境省による生物多様性保全上重要な里地里山の選定基準にもなっていることから、営巣位置や繁殖成績など繁殖実態を明らかにすべきである。また、環境省による「サシバの保護の進め方」に沿った対応を検討すべきである。
また、会員等による普段の観察結果から、計画地はハチクマやハヤブサなどの繁殖期における行動圏となっている可能性があるが、風力発電施設(以下、風車という)の建設に係る資機材等の搬入搬出路の設置や拡幅工事により、計画地およびその周辺にあるそれらが暮らす豊かな自然環境に重大な負荷をかける恐れがある。
天草西海岸と呼ばれる天草下島の西海岸域一帯は、多くの鳥類にとって日本でも非常に重要な渡りおよび移動経路となっている。
それらのことから、計画地で風車の建設を検討するのであれば、さらに詳細に鳥類等の自然環境の状況を把握したうえで影響を再度評価し、その結果を公表する必要がある。
(3)センサス調査の結果について
現地調査のうち任意観察調査を主にポイントセンサス法とラインセンサス法で行っているが、その調査時期が4月、5月、10月、1月となっている。しかし、これでは現地の鳥類の状況を把握するのには時期が誤っており、また、不十分である。特に5月のみを鳥類の繁殖期としている点は問題である。鳥類の一般的な生態を知っていれば、当然、6月および7月も繁殖期として調査を実施するはずであることから、貴社による鳥類調査では繁殖期のデータが不十分であり、影響評価において誤った結果を導出することは必至である。特に鳥類では繁殖期の生息状況を知ることは影響を評価するうえで重要であり、計画地においては熊本県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されるサンコウチョウなど希少な鳥が多く生息している可能性があることから、貴社が計画地で風車の建設を検討するのであれば、繁殖期における鳥類の生息状況を再度、詳細に把握したうえで影響を評価し直し、その結果を公表する必要がある。
(4)各環境類型における調査時期ごとの平均個体数密度について
632~637頁にある各環境類型における調査時期ごとの平均個体数密度について、針葉樹林より環境が多様な広葉樹林の方が鳥類の種数が多く、また、夏鳥より冬鳥の方が種数の多いことは、鳥類の生態において一般的に知られていることである。しかし、貴社による調査結果では、少ない調査回数においてはラインセンサス法よりも詳細に鳥類相を把握できるとされているポイントセンサス法において、針葉樹林と広葉樹林の間で確認種数に差がなく、また、繁殖期と冬季でも差がなかったとしている。そのことから考えると、貴社が設定した調査ポイントおよびルートが悪く、適切に現地の鳥類の状況を把握できなかったものと考える。そのため、調査ルートやポイントの設定方法を見直したうえで鳥類の生息状況を再度把握しなければ、環境類型による鳥類の個体数密度の違いを比較することはできない。
(5)鳥類の渡り時の移動経路調査について
  1. 猛禽類および一般鳥類の渡りについて
    表10.1.4.22(1)によると、猛禽類および一般鳥類向けの渡り時の移動経路調査が5月、9月、10月に各3日間ずつ実施されている。その結果、アカハラダカはSt.1、4、5、9で確認されたことから、移動経路の幅が広いことが分かった。一方、当会会員らの観察では、その時の風向き等の影響により移動経路が東西にずれること、特に秋の渡りでは夕刻、苓北方面の林に猛禽類等が降りているという記録がある。また、計画地では貴社の準備書で言うところの高度Mなど飛行高度が風車のブレードの高さと重なる可能性も大きく、バードストライクが発生するリクスが高い。このように、猛禽類および一般鳥類の渡り時の移動経路は計画地上にあり、また、貴社の調査結果よりも経路の幅が広いと予想されることから、さらに詳細な鳥類の渡り時の移動経路調査を再度実施したうえで、影響を評価する必要がある。
  2. ツル類の渡りについて
    表10.14-82(2)の渡り鳥(ナベヅル・ツル属の不明種)の影響予測について、「風力発電機周辺は迂回可能な空間が確保されていることから、ブレード等への接触による影響は小さいものと予測する」としているが、ツル類などの大型鳥類は、渡り時において、天候がよく視界が良い日には、風車から数km手前からでも風車を避けて飛ぶなど障壁影響が生じること、そして、それによる移動経路の変更や消滅が起きることが国内外の事例により知られている。また、ツル類は空中での飛行操作性が低いため、視界不良な気象状況下では、飛行高度が下がり、風車のブレードを発見してもすぐに回避することができないため、移動経路上に風車を建設すると、バードストライクが発生する可能性が高い。
    これらのことから、貴社はツル類の移動経路上に風車を建設すべきではない。なお、特に秋の渡り時には夜間でもツル類が渡っていることが知られているため、貴社がさらにツル類の渡り時の移動経路について調査するのであれば、夜間調査を追加して実施すべきである。
    なお、出水に飛来するツルは「鹿児島県のツルおよびその渡来地」として国の特別天然記念物に指定されており、本事業実施区域周辺を利用した群れは、これらのツルの一部であると考えられることから、準備書には具体的な保全対策や事故が起きた場合の対応策等を明記しておく必要がある。
  3. レーダー調査の結果について
    資料編の2.レーダー調査に係る調査方法及び結果に記載されている内容について、貴社はレーダー調査により夜間でも鳥類の飛翔軌跡が生じることを確認されているが、目視による種の確認ができないことから、準備書では夜間のレーダー調査の結果について記載事実を掲載しているだけで、種ごと等に影響を評価していない。しかしながら、先述のように計画地周辺では夜間でもツル類が渡っていることが知られているため、出水市におけるツル類の渡来情報も鑑みながら、夜間に移動する鳥類をツル類として渡り経路に対する影響を評価しなおすべきである。
(6)高度区分別の確認状況について
表10.1.4-20では希少猛禽類について高度区分別の確認状況がまとめられている。その中で、計画地内での確認回数が少ないものも含まれるが、ミサゴ、ハチクマ、サシバ、ノスリ、ハヤブサは高度Mを飛翔する確率が50%以上と高く、いずれも猛禽類で生じやすいバードストライクまたは障壁影響が発生する可能性がきわめて高い。そのため、希少猛禽類の保全の観点から、これらの種が多く飛翔する場所では、風車の建設を避けるべきである。
(7)事後調査および環境保全措置について
貴社は、発電所アセス省令第31条第1項の規定によらずとも、下記に提案する事後調査を実施し、および影響が生じた場合には順応的管理の手法等に頼らず、下記の環境保全措置を講ずるべきである。

  1. 死骸探索調査について
    貴社は準備書の10.3事後調査のうち「(3)動物」において「バードストライク・バットストライクに関する調査」として、1年間の鳥類の死骸探索調査を行うこととしている。死骸探索調査において貴重種の衝突事例を確認した場合、死骸を一時冷凍保存したうえで関係各所へ報告を行うとあるが、これではその後に引き続き起こる可能性がある衝突事故を防ぐことができない。ツル類や希少猛禽類の渡り時期にそれらの衝突事例を確認した場合は、渡りの時期が終了するまで、それらの鳥類が衝突死したと考えられる風車およびその周辺の風車の稼働を停止したうえで、それが生じた原因を解明し、その後の保全措置を講じるべきである。
  2. 飛翔状況確認調査について
    貴社が作成した準備書には記載されていないが、貴社が建設した風車が運転開始した後、最低でも2年間はツル類および希少猛禽類の飛翔状況を調査し、風車建設後に移動経路や繁殖地利用がどのように変化したかを調査すべきである。また、もしそれらの鳥類について障壁影響を含む生息地放棄等の影響が生じている場合には、影響を発生させたと考えられると風車およびその周辺の風車の稼働を停止したうえで、それが生じた原因を解明し、その後の保全措置を講じるべきである。
  3. サシバの繁殖への影響確認について
    公開された準備書では、サシバの繁殖期における行動がふせられていることから、十分に評価されているか不明であるが、「(2)計画地周辺の自然環境および鳥類全般について」で述べたように、サシバの繁殖状況について事後調査と事前の調査結果との比較を行い、必要に応じて稼働制限等の措置を検討すべきである。

以上

(仮称)西目風力発電事業更新計画に係る環境影響評価準備書に対する意見書

令和2年12月9日

株式会社ユーラスエナジーホールディングス
代表取締役社長 稲角 秀幸 様

日本野鳥の会秋田県支部
支部長 佐々木 均
秋田県横手市前郷一番町1-21
(公印省略)

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
(公印省略)

日本雁を保護する会
会長 呉地 正行
宮城県栗原市若柳川南南町16
(公印省略)

(仮称)西目風力発電事業更新計画に係る環境影響評価準備書に対する意見書

貴社による西目風力発電事業および更新事業にかかる対象事業実施区域(以下、計画地という)は海岸沿いの丘陵地帯にあるが、計画地とその周辺はガン・ハクチョウ類をはじめとする多くの鳥類の渡り経路および希少猛禽類の生息地となっている。鳥類が風力発電施設(以下、風車という)を避けて飛ぶ障壁影響がすでに計画地で生じるなど、更新前の段階で貴社が設置した風車が鳥類の生息に大きな影響を与えている。また、近隣の風車ではハクチョウ類や希少猛禽類が風車に衝突死するバードストライクも生じている。そのため、既存風車の耐用年数が過ぎた時点で風車をすべて撤去し、事業を終了するのが望ましい。あえて事業を続けるのであれば、鳥類にこれ以上の影響を与えないよう、下記の意見にあるような影響の回避低減策を講じながら事業を進めなければならない。

1.風車の設置位置について
貴社は準備書において、方法書段階で最大10基あった風車の設置基数を8基に減ずることで生態系への影響を低減できるとしているが、この計画により新たに環境が改変される部分が、
①ガン・ハクチョウ類などの渡り鳥が高頻度で利用する移動経路となっていること
②希少猛禽類の重要な生息地となっていること
③既存風車の設置範囲を大きく外れている配置計画となっていること
から、一部の風車の設置予定位置は、鳥類保護の観点からみて不適切である。
準備書の表8-2-1専門家へのヒアリング結果(4)(令和2年9月9日実施)(8-21 p359)においても、「新設 8 号機周辺は、ガン類やハクチョウ類、猛禽の飛行ルートとして、使用頻度が高いと考えられる。また、池沼が近くに位置し、鳥類の生息場となっているため、大形風力発電機設置には、懸念が残る。そのため、にかほ市で作成している風力発電に係るゾーニングマップ(素案)を確認し、保全エリアに含まれていないか、もしくは保全エリアに近接していないかを確認しておくこと。」と指摘されている。この指摘に従い、渡りの鳥が高頻度で利用する経路に重なるまたは希少猛禽類の生息を阻害する可能性がある風車については、建設を取りやめるべきである。これについて、以下に詳細を述べる。

(1)渡り鳥が高頻度で利用する移動経路と計画地が重なっている
西目風力発電所の南西にある西目町出戸孫七山周辺と西目町沼田地区の間に、ガン・ハクチョウ類が頻繁に利用する移動経路がある。野鳥の会が2016年秋に行ったレーダー調査において、ガン・ハクチョウ類が既存風車を避けて飛んでいることが確認されている(図1)。また、そのガン・ハクチョウ類がT6・T7・T8の風車付近を集中的に通過することを、2019年秋に新潟大学がレーザー距離計(SAFRAN VECTRONIX社製Vector21AERO)を使用して行った渡り鳥の飛翔状況調査で確認している(図2)。さらに、このルートは渡りの時期だけでなく、越冬期も採餌場所とねぐらの間の移動のためによく利用しており、降雪などの悪天候時でも飛翔していることが当支部会員によって確認されている。
これらから、ガン・ハクチョウ類などの渡り鳥がT6・T7・T8の風車および計画地の南端部を移動経路として集中的に利用すること、また、降雪や霧、強風など気象条件が悪い時にバードストライクが生じる可能性が高いことが分かった。しかし、このような状況を生み出したのは、貴社が既存の風車を建設したことで鳥類に障壁影響が生じたことにより、北端から10基程度の風車を避けて飛ぶようになったためであると考える。そのため、移動経路に対し壁となって配置されるT6・T7・T8の風車は建設すべきではない。さらに、計画地の南には2019年に新設されたにかほ高原ウインドファームが稼働し、北西には現在建設中の西目西ノ浜風力発電事業(西目浜館風力発電から改名)がある。そのことを当該事業も含めて考えると、この地域に存在する渡り鳥の経路の幅は非常に狭まり、さらにバードストライクの発生確率を高めるか、障壁影響として鳥類の風車の迂回距離が増大することが懸念されるため、T6・T7・T8の風車は建設すべきではない。
(2) 計画地周辺に希少猛禽類の営巣木が存在する
準備書では、計画地周辺に希少猛禽類のオオタカおよびクマタカが営巣していることを確認しており、特にクマタカについては計画地の南西部にある斜面で採餌行動を確認したとある(10-282 p692、10-284 p694)。これに対して貴社は、「(平成)30年にクマタカの営巣が確認された谷から極力離隔を確保することとした」(10-379 p789))、「方法書段階では最大10基の計画であったが、南部の樹林地を避けて8基とすることで、生態系への影響を最小限にする」(10-292 p702)等の対策を取ったとしている。しかし、貴社が調査を行った2018年は、前述した計画地の南西側にあるにかほ高原ウインドファームの3基の風車が建設中であったことから、計画地南側におけるクマタカの行動圏はすでに狭まっていた可能性がある。さらに、新仁賀保高原風力発電事業の29基の風車が建設予定であり、近い将来、この地域のクマタカの行動域はさらに狭まる恐れがある。計画地周辺のクマタカの行動域をこれ以上狭めないためにも、既存風車の設置範囲を大きく外れたT8の風車は建設するべきではない。
風車の稼働によるクマタカの営巣地放棄については、野鳥の会徳島県支部の報告(「大川原ウインドファームにより営巣地を放棄したクマタカ」野鳥徳島No.490 2019年7月)がある。これによると営巣木から1㎞以内に建設された陸上風車の建設後、2ペアのクマタカが営巣放棄したとある。貴社の調査で確認したクマタカの営巣木の正確な位置は非公開のため、風車からの隔離距離は不明だが、もしクマタカの営巣地から1km以内に風車を設置する予定であるならば、取り止めるべきである。なお、これは、1㎞以上離れていれば風車の建設の影響により営巣放棄をしないことを担保するものではない。営巣地と1㎞以上離れる場合でも、近隣に高頻度利用地や営巣適地がある場合は設置を避けるべきである。また、T7及びT8の風車の間には営巣環境好適性4の場所が既存の風車から200~300mほどの距離に存在しているため、この位置に風車を設置すべきではない(図 10.1.7-9、10-288 p698)。
2.事後調査について
既存風車がガン・ハクチョウ類に対して、すでに障壁影響を及ぼしていることが分かっているが(図1)、さらに、既存の事業は風力発電が環境影響評価法の対象事業となる以前の事業であり、事業着手前のガン・ハクチョウ類の状況を十分に把握していないと考えられる。このことから、既存の風車を取り壊した後に、風車が1基もない状態でガン・ハクチョウ類および希少猛禽類の飛翔状況を調査し、既存風車の存在によりどのような影響があったかを明らかにし、その影響が大きい場合は風車の更新計画を見直すべきである。また新設風車の設置後も1年間は飛翔状況の調査を行い、新設風車が鳥類の飛翔経路にどのような変化を及ぼしたかを明らかにすべきである。
「動物」についてはバードストライク・バットストライクに関する調査(死骸調査)を稼働後1年間、月1回以上を実施するとあるが、鳥類の死骸の残存率等を考えると、それでは不十分である。特にこの地域では、渡りの時期に回数を増やして死骸調査を実施すべきである。
「生態系」については事後調査を行わないとしているが、生態系の上位性注目種として選定されたクマタカについては引き続き調査を行い、繁殖への影響や行動域の変化がないかどうか調査すべきである。
このような事後調査を行った上で、大きな影響が認められた場合には、風車の停止・撤去等を含めた適切な軽減措置を取るべきである。

なお、この意見は概要にまとめる際に原文のまま採用することを希望する。

以上

(図1)
2016年10月25日~28日 野鳥の会によるレーダーを用いたハクチョウ類の飛翔調査

ハクチョウが尾根上の風車を避けて飛ぶ様子がわかる。風車は西目風力発電所。
Case Examples of Barrier Effects of Wind Farms on Birds in Japan
Tatsuya Ura (Wild Bird Society of Japan) et al., CWW2017発表資料より

(図2)2019年10月17日~23日新潟大学によるレーザー距離計を用いた調査

「秋田県南部における秋季のハクチョウ類渡り状況 関島他2019年(未発表)」より

(仮称)山形県遊佐町沖における洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

(仮称)山形県遊佐町沖における洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和2年11月27日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
  2. 公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一
住 所
  1. 〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社(SBエナジー株式会社)が作成された(仮称)山形県遊佐町沖における洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、下記の通り意見を提出します。

(1)現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)を縦覧している(仮称)山形県遊佐町沖における洋上風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地という)周辺で既に計画が進められている洋上風力発電事業が4事業あり、また、2020年11月に貴社と同様の事業計画を発表した事業者が2社ある。そのため、貴社が事業を進めるにあたっては、他の事業者6社と協議・調整を図ったうえで、調査方法の統一をするなどして不足しがちな海鳥のデータの収集を行うこと、また陸上においては鳥類およびその生息地に調査圧が過大になることを避けつつ、適切な環境影響評価を実施していただきたい。

(2)計画地東部の海岸沿いでは複数の風力発電施設(以下、風車という)が稼働していることから、貴社はこれらの風車との複合的な影響(累積的影響)も評価する必要がある。方法書の作成に進む前に、累積的影響について先行事業のアセス図書を含む既存の情報等を用いて評価した結果を方法書に記載するなどして、本件事業単独ではなく、複数事業が計画地周辺の鳥類の生息に及ぼす影響を評価していただきたい。

(3)計画地周辺の海鳥の生息状況を確認にあたり、質・量ともに十分な調査をすべきであるが、陸生鳥類と違い分布や生態の調査が非常に困難なことから、どのような方法で調査を実施、影響の予測・評価、保全措置を講じるのか、方法書において具体的に提示すべきである。特に海鳥の飛来が多い春秋の渡りの時期および冬季については十分な調査・予測・評価を行うべきである。

(4)洋上風車によるバードストライクの発生確率等を調査・予測・評価するのは難しいため、貴社のこの事業計画においては、経済産業省による発電所に係る環境影響評価の手引き等に示されている方法よりも綿密な調査を実施するよう求める。特に計画地周辺では渡り鳥が重要な調査対象となるが、1シーズンだけでは影響を予測、評価するための情報が不足するため、複数年にわたる調査が必要である。
また、カモ類が夜間に渡りを行うことはよく知られているが、オオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類も夜間に渡りを行うと推測されている。そのため、日中のみならず夜間にもバードストライクが発生することを念頭に置いた調査が必要であり、特に、鳥類の飛翔の確認が難しい夜間については、レーダ等の観測機器を用いるなどして十分な調査・予測・評価を行っていただきたい。

(5)計画地はオオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類などの渡りの時期および冬季の生息域となっている。また、ハチクマ、ハイタカ、サシバなど希少猛禽類の渡りルートの一部にもなっており、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガンなどのガン類やハクチョウ類にとって主要な越冬地である八郎潟(秋田県)と福島潟(新潟県)との間の渡りの中継地にもなっている。そのため、計画地での風車の建設および稼働によりこれらの鳥類でバードストライクが発生し、また、障壁影響により生息域および渡りルートを変更させるといった影響を及ぼすことが懸念される。そのため、海鳥および希少猛禽類などの鳥類の渡りと生息域に対するこれらの影響を回避または低減するための保全策を計画の初期段階から検討すべきである。

(6)計画地周辺ではオジロワシおよびチュウヒといった国内希少野生動植物種の生息が確認されていることから、そのことを念頭に置いて情報収集等の綿密な調査を方法書作成前の段階で実施し、バードストライクまたは障壁影響を含む生息地放棄等の影響が発生することが予測された場合は、影響を回避または低減するための保全策を計画の初期段階から検討すべきである。

以上、計画地およびその周辺で環境影響評価を実施するにあたっては、利害関係者や専門家とも協議したうえで、経済産業省による発電所に係る環境影響評価の手引きにあるような一般的な環境影響評価よりも、詳しい調査の実施を求めるところである。

貴社においても、風車の建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

以上

(仮称)山形県庄内遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

(仮称)山形県庄内遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和2年11月27日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
  2. 公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略)
住 所
  1. 〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社(住友商事株式会社)が作成された(仮称)山形県庄内遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、下記の通り意見を提出します。

(1)現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)を縦覧している(仮称)山形県庄内遊佐町沖洋上風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地という)周辺で既に計画が進められている洋上風力発電事業が4事業あり、また、2020年11月に貴社と同様の事業計画を発表した事業者が2社ある。そのため、貴社が事業を進めるにあたっては、他の事業者6社と協議・調整を図ったうえで、調査方法の統一をするなどして不足しがちな海鳥のデータの収集を行うこと、また陸上においては鳥類およびその生息地に調査圧が過大になることを避けつつ、適切な環境影響評価を実施していただきたい。

(2)計画地東部の海岸沿いでは複数の風力発電施設(以下、風車という)が稼働していることから、貴社はこれらの風車との複合的な影響(累積的影響)も評価する必要がある。方法書の作成に進む前に、累積的影響について先行事業のアセス図書を含む既存の情報等を用いて評価した結果を方法書に記載するなどして、本件事業単独ではなく、複数事業が計画地周辺の鳥類の生息に及ぼす影響を評価していただきたい。

(3)計画地周辺の海鳥の生息状況を確認にあたり、質・量ともに十分な調査をすべきであるが、陸生鳥類と違い分布や生態の調査が非常に困難なことから、どのような方法で調査を実施、影響の予測・評価、保全措置を講じるのか、方法書において具体的に提示すべきである。特に海鳥の飛来が多い春秋の渡りの時期および冬季については十分な調査・予測・評価を行うべきである。

(4)洋上風車によるバードストライクの発生確率等を調査・予測・評価するのは難しいため、貴社のこの事業計画においては、経済産業省による発電所に係る環境影響評価の手引き等に示されている方法よりも綿密な調査を実施するよう求める。特に計画地周辺では渡り鳥が重要な調査対象となるが、1シーズンだけでは影響を予測、評価するための情報が不足するため、複数年にわたる調査が必要である。
また、カモ類が夜間に渡りを行うことはよく知られているが、オオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類も夜間に渡りを行うと推測されている。そのため、日中のみならず夜間にもバードストライクが発生することを念頭に置いた調査が必要であり、特に、鳥類の飛翔の確認が難しい夜間については、レーダ等の観測機器を用いるなどして十分な調査・予測・評価を行っていただきたい。

(5)計画地はオオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類などの渡りの時期および冬季の生息域となっている。また、ハチクマ、ハイタカ、サシバなど希少猛禽類の渡りルートの一部にもなっており、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガンなどのガン類やハクチョウ類にとって主要な越冬地である八郎潟(秋田県)と福島潟(新潟県)との間の渡りの中継地にもなっている。そのため、計画地での風車の建設および稼働によりこれらの鳥類でバードストライクが発生し、また、障壁影響により生息域および渡りルートを変更させるといった影響を及ぼすことが懸念される。そのため、海鳥および希少猛禽類などの鳥類の渡りと生息域に対するこれらの影響を回避または低減するための保全策を計画の初期段階から検討すべきである。

(6)計画地周辺ではオジロワシおよびチュウヒといった国内希少野生動植物種の生息が確認されていることから、そのことを念頭に置いて情報収集等の綿密な調査を方法書作成前の段階で実施し、バードストライクまたは障壁影響を含む生息地放棄等の影響が発生することが予測された場合は、影響を回避または低減するための保全策を計画の初期段階から検討すべきである。

以上、計画地およびその周辺で環境影響評価を実施するにあたっては、利害関係者や専門家とも協議したうえで、経済産業省による発電所に係る環境影響評価の手引きにあるような一般的な環境影響評価よりも、詳しい調査の実施を求めるところである。

貴社においても、風車の建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

以上

(仮称)山形遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

(仮称)山形遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和2年11月27日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
  2. 公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一
住 所
  1. 〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社(インベナジー・ウインド合同会社)が作成された(仮称)山形遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、下記の通り意見を提出します。

(1)現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)を縦覧している(仮称)山形遊佐町沖洋上風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地という)周辺で既に計画が進められている洋上風力発電事業が4事業あり、また、2020年11月に貴社と同様の事業計画を発表した事業者が2社ある。そのため、貴社が事業を進めるにあたっては、他の事業者6社と協議・調整を図ったうえで、調査方法の統一をするなどして不足しがちな海鳥のデータの収集を行うこと、また陸上においては鳥類およびその生息地に調査圧が過大になることを避けつつ、適切な環境影響評価を実施していただきたい。

(2)計画地東部の海岸沿いでは複数の風力発電施設(以下、風車という)が稼働していることから、貴社はこれらの風車との複合的な影響(累積的影響)も評価する必要がある。方法書の作成に進む前に、累積的影響について先行事業のアセス図書を含む既存の情報等を用いて評価した結果を方法書に記載するなどして、本件事業単独ではなく、複数事業が計画地周辺の鳥類の生息に及ぼす影響を評価していただきたい。

(3)計画地周辺の海鳥の生息状況を確認にあたり、質・量ともに十分な調査をすべきであるが、陸生鳥類と違い分布や生態の調査が非常に困難なことから、どのような方法で調査を実施、影響の予測・評価、保全措置を講じるのか、方法書において具体的に提示すべきである。特に海鳥の飛来が多い春秋の渡りの時期および冬季については十分な調査・予測・評価を行うべきである。

(4)洋上風車によるバードストライクの発生確率等を調査・予測・評価するのは難しいため、貴社のこの事業計画においては、経済産業省による発電所に係る環境影響評価の手引き等に示されている方法よりも綿密な調査を実施するよう求める。特に計画地周辺では渡り鳥が重要な調査対象となるが、1シーズンだけでは影響を予測、評価するための情報が不足するため、複数年にわたる調査が必要である。
また、カモ類が夜間に渡りを行うことはよく知られているが、オオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類も夜間に渡りを行うと推測されている。そのため、日中のみならず夜間にもバードストライクが発生することを念頭に置いた調査が必要であり、特に、鳥類の飛翔の確認が難しい夜間については、レーダ等の観測機器を用いるなどして十分な調査・予測・評価を行っていただきたい。

(5)計画地はオオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類などの渡りの時期および冬季の生息域となっている。また、ハチクマ、ハイタカ、サシバなど希少猛禽類の渡りルートの一部にもなっており、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガンなどのガン類やハクチョウ類にとって主要な越冬地である八郎潟(秋田県)と福島潟(新潟県)との間の渡りの中継地にもなっている。そのため、計画地での風車の建設および稼働によりこれらの鳥類でバードストライクが発生し、また、障壁影響により生息域および渡りルートを変更させるといった影響を及ぼすことが懸念される。そのため、海鳥および希少猛禽類などの鳥類の渡りと生息域に対するこれらの影響を回避または低減するための保全策を計画の初期段階から検討すべきである。

(6)計画地周辺ではオジロワシおよびチュウヒといった国内希少野生動植物種の生息が確認されていることから、そのことを念頭に置いて情報収集等の綿密な調査を方法書作成前の段階で実施し、バードストライクまたは障壁影響を含む生息地放棄等の影響が発生することが予測された場合は、影響を回避または低減するための保全策を計画の初期段階から検討すべきである。

以上、計画地およびその周辺で環境影響評価を実施するにあたっては、利害関係者や専門家とも協議したうえで、経済産業省による発電所に係る環境影響評価の手引きにあるような一般的な環境影響評価よりも、詳しい調査の実施を求めるところである。

貴社においても、風車の建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

以上

(仮称)山形尾花沢風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

(仮称)山形尾花沢風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和2年11月14日 提出

項 目 記入欄
氏 名
  1. 日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
  2. 公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一
住 所
  1. 〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
  2. 〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された(仮称)山形尾花沢風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、下記の通り意見書を提出します。

風力発電施設(以下、風車という)の建設を計画している事業実施想定区域(以下、計画地という)は、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に、また、山形県の絶滅のおそれのある野生動植物に指定されているイヌワシとクマタカの生息地と重なる。国内では、尾根や稜線を利用するイヌワシとクマタカがバードストライクに遭った事例が確認されており(武田 2013、浦2015)、計画地に風車を建設した場合には、同様のバードストライクが生じる可能性が高いと考える。計画地は、クマタカの生息密度が高い地域である。また、イヌワシの飛翔高度はクマタカよりもかなり高く、行動圏も広いという特徴がある。こうした点をふまえて、クマタカおよび全国的に繁殖成功率が著しく低下しているイヌワシついて、行動圏や高度利用域の推定などを含む生息状況の確認と計画の影響の有無について、質、量ともに十分な調査を実施することを求める。

(1)計画地はハチクマやサシバなど希少猛禽類の渡りルートの一部になっている可能性があることから、風車の建設によりバードストライクが生じ、また、障壁影響により渡りルートの変更および生息地の放棄といった影響が発生することが懸念される。そのため、希少猛禽類の渡りに対するこれらの影響の回避または低減策を計画の初期段階から検討すべきである。

(2)計画地から約6kmのところには徳良湖があり、ここは山形県内では有数のハクチョウ類・カモ類の越冬地となっている。そのため、これらの鳥類が計画地周辺を飛行することが想定され、風車建設に伴うバードストライクの発生と生息地の放棄が発生することが懸念される。配慮書では、ハクチョウ類・カモ類は鳥類の重要な種となっていないが、ハクチョウ類が越冬する徳良湖は重要な観光地で、かつハクチョウ類は地域の貴重な観光資源となっている。風車の建設および稼働によるバードストライクの発生、生息地の放棄は、ハクチョウ類・カモ類の生息状況に大きな影響を与えるものと考えられ、計画地の土地改変と風車の稼働による影響、徳良湖の生息状況を関連付けて調査する必要があり、その点について留意した調査計画を立てることを求める。

以上、計画地およびその周辺において、いわゆる発電所アセスのガイドラインにあるような一般的な環境影響評価よりも、利害関係者や専門家とも協議したうえで、さらに詳しい調査の実施を求めるところである。

貴社においても、風車の建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

以上

(仮称)宗谷岬風力発電事業更新計画に係る環境影響評価準備書に対する意見書

令和2年11月11日

株式会社ユーラスエナジーホールディングス
代表取締役社長 稲角 秀幸 様

特定非営利活動法人サロベツ・エコ・ネットワーク
代表理事 吉村 穣滋
(北海道天塩郡豊富町字豊富東2条5丁目)

風力発電の真実を知る会
代 表 佐々木 邦夫(公印省略)
(稚内市はまなす2丁目7番18号)

道北の自然と再生エネルギーを考える会
代 表 富樫 とも子
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)

日本野鳥の会 道北支部
支部長 小杉 和樹
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142 佐藤里恵方)

北海道ラムサールネットワーク
代 表 小西 敢
(北海道厚岸郡浜中町琵琶瀬60
NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト内)

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)

「(仮称)宗谷岬風力発電事業 更新計画 環境影響評価準備書」に対する意見書

貴社が作成されました、「(仮称)宗谷岬風力発電事業 更新計画 環境影響評価準備書」に対し、下記のとおり意見書を提出いたします。

■環境影響評価図書の縦覧方法について

貴社によるアセス図書の公開方法が不十分で、地域の利害関係者に周知されていないことから、地域住民等が事業内容を十分に把握できず、事業実施後に地域で混乱が生じる可能性があります。

・周知方法の問題点
環境影響評価図書の縦覧と意見書の募集に係る周知は、貴社のホームページに限らず、回覧やポスター掲示、チラシ配布、関係機関のHP上での掲載など、関係者の協力を得て、より多くの人に周知するよう最大限の努力をすべきです。稚内市のホームページには情報が掲載されていますが、一般にはわかりにくい場所に掲載されています。トップページのお知らせ欄等に掲載することなどを稚内市にお願いすべきです。
・閲覧方法の問題点
アセス図書の閲覧は、アセス法によって決まっているとは言え、縦覧期間が1~1.5か月と短く、また、縦覧場所も限られており、インターネット上での閲覧においても参照するには不便で、ダウンロードや印刷ができません。数百ページもあるアセス図書を縦覧場所、またはパソコン上のみで閲覧しながら意見書を作成することは、現実的ではありません。縦覧期間が過ぎてしまうと作成した意見書の内容の誤りの有無をアセス図書と整合して確認することもできません。図書の内容が、実際の事業実施区域の状況と齟齬がないかを地域住民等が精査できることが、環境影響評価の信頼性を確保し、地域との合意形成を図るうえで不可欠です。そのため、閲覧可能期間に限らず、縦覧期間後も地域の図書館などで、図書を常時閲覧可能にし、また、随時インターネットで閲覧とダウンロード、印刷を可能にすべきです。幌延風力発電事業更新計画環境影響評価方法書では配慮書や方法書などの図書がインターネット上で常時閲覧可能となっており、また、えりも岬や苫東厚真風力発電事業では個人のパソコンなどへのダウンロードが可能でした。地域住民との合意形成を図るには、アセス手続きにおける透明性と公平性の確保が不可欠ですので、これら他事業者の取り組みを貴社も参考にすべきです。仮にすぐにアセス図書を常時公開することは難しくても、多くの事業者が実施しているように、関係する自然保護団体等に紙媒体の図書を提供すべきです。

■環境影響評価全般

既存の風力発電施設(以下、風車という)の存在による環境影響を明らかにするためには、事業の実施前と実施後の状況を比較する必要があります。既存の宗谷岬ウインドファームは風力発電事業が環境影響評価法の対象事業になる以前に建設されたため、建設前の調査結果が公表されていません。このため、建設前の調査結果を明らかにして、今回の更新事業に係る調査結果と比較し、調査内容に不足が生じている場合は、既存の風車の撤去後に風車がない状態で1年程度の環境調査を行うことにより、建設前と同等の状況を創出し、影響を評価することで、大きな影響が確認された場合は風車の更新計画を見直すことが必要です。

■景観

・景観資源としての宗谷丘陵について
日本最北の地である宗谷岬は、日本屈指の観光地です。宗谷丘陵は北海道遺産である周氷河地形や宗谷海峡およびサハリンが眺望可能で、貴重な自然景観が楽しめる場所であるため、風車が存在しない方が景観的に魅力があります。風力発電を推進している稚内市は風車の存在が景観資源の一つになると宣伝していますが、環境影響評価ではそのような根拠が不明確な価値観ではなく、地域の手つかずの景観資源に風車が建設された場合の景観的な変化の価値の増減を評価すべきと考えます。実際には、宗谷丘陵は、サロベツ湿原と同様に大きな人工建造物がない風景こそが、宗谷丘陵の景観的価値を高めています。このため、当丘陵のスカイラインから突き出る形での風車の建設は避けるべきです。
・景観に対する影響評価手法の問題点
景観は環境影響評価で垂直見込み角のみによって評価されていますが、この地方では広大な手つかずの風景そのものに価値があるため、圧迫感の有無による評価基準は適切ではありません。また、影響を判断する基準に複数の風車設置による累積的な影響が含まれていないため、地域の景観の価値を適切に評価することができません。さらに水平方向に複数の風車が並ぶと、景色としては一体のものとして見えるため、風車1基ごとの高さではなく、風車列全体における水平見込み角によって影響を評価すべきです。景観に係る影響評価は30年ほど前に作られた指針に依存するのではなく、地元の観光業者や自然保護団体などからの意見を十分に聴取し、協議会などを開催し、議論を重ねたうえで地域の自然環境への配慮と住民の意向を十分に考慮したうえで影響を評価すべきです。
また、眺望点の多くは既設の風車群がほとんど見えない海岸線に設定されており、宗谷丘陵に設定された眺望点も風車群がほとんど見えない宗谷丘陵にある駐車スペースのみに設定されているため、風車群による景観への影響を適切に評価することができません。このため、景観資源となっている宗谷丘陵で建設した風車群が見やすい場所(準備書の1140ページ)およびフットパスの終点である丸山周辺にも眺望点を設定した上で、景観への影響を評価し直すべきです。
・フットパスの存在について
宗谷丘陵にあるフットパスのコースは、宗谷丘陵の周氷河地形やサハリンの遠望が魅力となっている当丘陵の代表的な遊歩道となっています。
この遊歩道の本来の魅力は風車ではなく、宗谷丘陵の自然景観とサハリンの眺望であることから、宗谷丘陵のフットパスの途中にある展望地などの複数箇所を景観に対する影響評価の調査地点として設定し、評価をし直すべきです。これらの展望地は、実際にすでに眺望点として設定されている宗谷公園や宗谷丘陵駐車帯よりも景観的価値があると考えられる場所です。これらの展望地を眺望地点に追加して影響を評価すれば、風車による景観への影響が大きいことが明らかになるはずです。特にフットパスコースから10m以内に配置される予定のSMJ13は設置を取りやめるべきです。
対象事業実施区域(以下、計画地という)の多くの部分が、稚内市風力発電ガイドラインにより、景観上の理由から「風車の建設が好ましくない地域」に指定されています。現在、風車事業を推進している稚内市の意向に忖度せず、その先見性と普遍的な重要性を理解したうえで、貴社はガイドラインを自主的に遵守し、風車の建設が好ましくない地域を計画地から除外すべきです。
・景観上の問題による風車の設置の取りやめ、または移動
既存の風車が建設されている範囲以外にも計画地が広がっていますが、その中でも既存風車が設置されていない北側の計画地は宗谷岬に近く、宗谷岬の周氷河地形や牧草地の景観および遠く稚内市やノシャップ岬、利尻山を遠望できる景観を阻害するため、そこでの風車の建設は避けるべきです。新規の風車の設置範囲は既存の風車がある範囲にとどめ、SMJ4・6・12・13・14・15は設置を取りやめるか、既存の設置範囲に移動すべきです。

■地形

宗谷丘陵に広がる周氷河地形は保全すべき地形として「日本の典型地形」に指定されています。その地形に人の手を加えない状態で保全するために、周氷河地形となっている部分は計画地から除外すべきです。環境影響評価の対象範囲は現行からの変更部分だけでなく、現存の風車も含めた周氷河地形の上に存在する風車とするべきです。また、景観に対する影響、周氷河地形がよく見える場所(景観の項を参照)を眺望点として設置したうえで評価をやり直すべきです。

■植物

宗谷丘陵のササ草原は特定植物群落に指定されています。現状のササ群落の生育範囲を把握したうえで、それらの植物群落を保全するために、ササ草原は計画地から除外すべきです。また、景観評価は上記の景観の部分に記載されているように、宗谷丘陵上にササ群落が見渡せる眺望地点を設定した上で評価をやり直すべきです。

■鳥類

宗谷岬周辺は、日本とサハリンおよびロシアの間を渡る鳥類の主要かつ国際的にも重要な渡り経路となっています。計画地でも多くの鳥類が渡っており、風車建設による小鳥を含む鳥類への影響は大きいと予測されるため、鳥類保護の観点から計画地全体が風車の建設を避けるべき場所です。それらの観点を踏まえ、鳥類について下記の意見を述べます。

・オジロワシ、オオワシについて
宗谷丘陵は日本とサハリン間を渡るオジロワシとオオワシの主要かつ国際的に重要な渡り経路です。これら2種は、春は主にオホーツク海沿岸を北上しますが、一部は日本海側でも北上がみられます。また、秋はその日の風向きによっては宗谷丘陵の尾根上を多数が南下することや、既存の風車群がすでにオジロワシとオオワシに対して障壁影響を引き起こしていることが(公財)日本野鳥の会2015年の報告で明らかになっているため、既存風車を取り壊した後に、風車が1基もない状態で再度、1年程度はこれら鳥類の飛翔状況等の調査を行うべきです。この調査により、既設風車の存在によりどのような影響があったのかを明らかにし、その影響が大きい場合は風車の更新計画を見直しすべきです。一方、貴社が道北エリアで計画している他の事業では、オジロワシやオオワシへの影響が懸念されることで多くの風車の建設が取りやめとなっていることから、現段階において主要な渡りの経路での風車の設置を取りやめるべきです。
保全上の観点からオジロワシの飛翔図が非公開になっていますが、繁殖個体の飛翔軌跡でなければ公開しても保全上の問題は生じにくいので、少なくとも渡りの状況についてはアセス図書で公開すべきです。また、希少猛禽類における定点調査では冬期も含めすべての定点で調査を行うことが重要ですが、準備書からはそのことが読み取れなかったので、きちんと記述してください。加えて、渡り鳥の調査では、計画地の南部から、風車設置予定地を近傍から見渡せるような調査地点が設定されていません。計画地から3km程度離れている他の調査地点(NB-5を含む)からでは、観察によるオジロワシやオオワシの発見率や飛翔軌跡の精度が低下し、調査の信頼性を確保することが困難なため、計画地南部にも調査地点を設定し、調査をやり直すべきです。
さらに、オジロワシ・オオワシは渡りの際には計画地の東側を多く利用するため、この部分に該当するSMJ10・16・17の風車の建設を取りやめるべきです。また、オジロワシの営巣地では、確認されている繁殖個体または非繁殖個体の利用状況に関係なく、影響を避けるため少なくとも営巣地から半径1km以上の場所への風車の設置を避けるべきです。
実際にオジロワシのバードストライクが10件発生した計画地の西側はオジロワシの亜成鳥が高頻度に利用していることが示唆されています。風車に目玉模様をつけるなどしてオジロワシに忌避行動を促すのではなく、本種の重要な生息地として保全するために風車の建設を避けるべきです。
・ガン類、ハクチョウ類について
夜間の鳥類調査の結果が準備書からは読み取れないので、アセス図書にその結果を示してください。また、渡り鳥の調査地点には、計画地の南部を風車設置予定地の近傍から見渡せるような調査地点が設定されていません。計画地から3km程度離れている他の調査地点(NB-5を含む)からでは、観察によるガン・ハクチョウ類の個体の発見率や飛翔軌跡の精度が低下し、調査の信頼性を確保するのが困難なため、計画地南部にも調査地点を設定し、調査をやり直すべきです。
秋には多くのハクチョウ類が計画地内を多く通過することから、バードストライクだけでなく障壁影響も発生することが予測されます。そのため、特に通過頻度が多い南側では風車の建設を避けるべきです。また、既存の風車群がガン・ハクチョウ類に対して、すでに障壁影響を及ぼしている可能性が高いため、既存の風車を取り壊した後に、風車が1基もない状態で再度、1年程度はガン・ハクチョウ類の飛翔状況の調査を行い、既設風車の存在によりどのような影響があったかを明らかし、その影響が大きい場合は風車の更新計画を見直すべきです。
・死骸探索調査
計画地およびその周辺には既存の風車が多数存在するので、すべての既設の風車を対象に死骸調査を行ったうえで、計画地において更に風車が建った場合にどのような影響が出るかを予測すべきです。なお、保守点検の際に作業員が行う死骸探索では調査精度に問題があり、また、月1回程度の調査では衝突死した個体が動物に持ち去られたり、冬期は雪に埋もれることにより発見されない可能性があるため、専門の調査員による月2回以上の死骸探索調査を通年で実施すべきです。
また、死骸探索調査だけでは見落としが懸念されるため、風車に監視カメラを設置し、バードストライクが発生してないか確認すべきです。
・小鳥類の渡り調査
方法書には、鳥類のルートセンサス調査およびポイントセンサス調査は夜間も含めて実施すると記載されていましたが、9-10月の秋の渡り時期における夜間調査の結果が準備書からは読み取れませんでしたので、詳しく示してください。合わせてレーダー調査によってどのくらい野鳥が渡っているか明らかにすべきです。
・事後調査
保全措置に関して、ハクチョウ類、オジロワシ・オオワシ、カモメ類を対象に事後調査を行うとされていましたが、その方法について記載がなかったため、きちんと示してください。また、事後調査はバードストライクのみを対象にするように読み取れましたが、以上の飛翔状況の調査も加えて実施すべきです。

■累積的影響の評価

準備書から周辺の既設の風力発電施設、および当計画との関係からみた累積的影響について評価していることが読み取れませんでしたので、詳しく示してください。

■地域協議会の設置と情報の公開

これら影響評価の結果の公開は、地域の利害関係者が参加する開かれた協議会の場で行うべきです。利害関係者が情報を共有し、意見を述べることができる地域協議会を設置すべきです。

以上

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に関する要望書

令和2年10月23日

経済産業大臣
梶山弘志 殿

風力発電の真実を知る会
(北海道稚内市はまなす2丁目7番18号)
代表 佐々木邦夫

一般社団法人 北海道自然保護協会
(札幌市中央区北3条西11丁目 加森ビル6階)
会長 在田一則

特定非営利法人 サロベツ・エコ・ネットワーク
(北海道天塩郡豊富町字西6条6丁目)
代表理事 吉村穣滋

日本野鳥の会 道北支部
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142)
支部長 小杉和樹

公益財団法人 日本野鳥の会
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)
理事長 遠藤孝一

日本科学者会議北海道支部大規模風力発電問題研究会
(札幌市北区北22条西2丁目1-2 静麗荘32号室)
幹事 高畑 滋

道北の自然と再生エネルギーを考える会
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)
代表 富樫とも子

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に関する要望書

Looopリニューアブルエナジー合同会社に対し、経済産業大臣勧告を誠実に履行することを下記のとおり求めてくださいますようお願い申し上げます。

  1. 事業主に対し、「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富環境影響評価準備書」に対する経済産業大臣勧告を遵守させること。
  2. チュウヒの健全な繁殖環境の保護を実施させること。
  3. オジロワシの飛翔域の保護を実施させること。
  4. 風力発電施設のブレードに塗装を行ったり、タワーへシールを貼付する場合は、それに関わる環境保全措置について地域住民の合意が得られることを条件とするよう求めること。
  5. 風力発電施設等の配置変更を行う場合、施設に起因する騒音、風車の低周波音や影、景観等の評価に関して環境影響評価準備書との大きな相違が生じることが予想されるため、改めて環境影響調査を実施し、結果について地域住民からの合意を得るよう求めること。
(要望の背景)
「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富」については、三浦電機株式会社から平成28年8月に計画段階環境配慮書、また平成29年4月環境影響評価方法書が公告・縦覧され、それぞれについて、平成28年11月と平成29年10月に経済産業大臣意見及び同勧告が発せられました。これらについては、私ども団体も同事業実施区域がラムサール条約湿地「サロベツ原野」に近接することから、特に鳥類の保全を中心に自然環境の保全を、さらには近隣住民の健康問題について意見を述べてきました。
令和元年12月には三浦電機株式会社から変わったLooopリニューアブルエナジー合同会社から環境影響評価準備書が出され、それに対して令和2年8月に経済産業大臣勧告が発せられました。
これらの経済産業大臣意見や勧告では、本事業の対象事業実施区域及びその周辺を自然環境保全上極めて重要であると評価し、自然環境に対する影響を可能な限り回避または極力低減することを求めています。また、チュウヒやオジロワシなど稀少猛禽類への影響の懸念から、風力発電施設の基数の削減や配置の再検討等による事業規模の大幅な縮小を含めた抜本的な見直しを求めています。近隣住民の健康への影響も危惧しています。
以上の経過及び本事業実施区域とその周辺地域の自然環境保全の重要性に鑑みて、私どもは貴職に対して、事業主であるLooopリニューアブルエナジー合同会社が経済産業大臣勧告を確実に実施するようご指導してくださることを要望いたします。



令和2年10月23日

環境大臣
小泉進次郎 殿

風力発電の真実を知る会
(北海道稚内市はまなす2丁目7番18号)
代表 佐々木邦夫

一般社団法人 北海道自然保護協会
(札幌市中央区北3条西11丁目 加森ビル6階)
会長 在田一則

特定非営利法人 サロベツ・エコ・ネットワーク
(北海道天塩郡豊富町字西6条6丁目)
代表理事 吉村穣滋

日本野鳥の会 道北支部
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142)
支部長 小杉和樹

公益財団法人 日本野鳥の会
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)
理事長 遠藤孝一

日本科学者会議北海道支部大規模風力発電問題研究会
(札幌市北区北22条西2丁目1-2 静麗荘32号室)
幹事 高畑滋

道北の自然と再生エネルギーを考える会
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)
代表 富樫とも子

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に関する要望書

Looopリニューアブルエナジー合同会社に対し、環境大臣意見にある環境保全措置等を確実に実施することを下記のとおり求めてくださいますようお願い申し上げます。

  1. 事業主に対し、「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富環境影響評価準備書」に対する環境大臣意見にある環境保全措置等を確実に実施させること。
  2. チュウヒの健全な繁殖環境の保護を実施させること。
  3. オジロワシの飛翔域の保護を実施させること。
  4. 風力発電施設のブレードに塗装を行ったり、タワーへシールを貼付する場合は、それに関わる環境保全措置について地域住民の合意が得られることを条件とするよう求めること。
  5. 風力発電施設等の配置変更を行う場合、施設に起因する騒音、風車の低周波音や影、景観等の評価に関して環境影響評価準備書との大きな相違が生じることが予想されるため、改めて環境影響調査を実施し、結果について地域住民からの合意を得るよう求めること。
(要望の背景)
「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富」については、三浦電機株式会社から平成28年8月に計画段階環境配慮書が公告・縦覧され、それに対して平成28年10月に環境大臣意見が発せられました。これらについては、私ども団体も同事業実施区域がラムサール条約湿地「サロベツ原野」に近接することから、特に鳥類の保全を中心に自然環境の保全を、さらには近隣住民の健康問題について意見を述べてきました。
令和元年12月には三浦電機株式会社から変わったLooopリニューアブルエナジー合同会社から環境影響評価準備書が出され、それに対して令和2年6月に環境大臣意見が提出されました。
これらの意見では、本事業の対象事業実施区域及びその周辺を自然環境保全上極めて重要であると評価し、自然環境に対する影響を可能な限り回避または極力低減することを求めています。また、チュウヒやオジロワシなど稀少猛禽類への影響の懸念から、風力発電施設の基数の削減や配置の再検討等による事業規模の大幅な縮小を含めた抜本的な見直しを求めています。
以上の経過及び本事業実施区域とその周辺地域の自然環境保全の重要性に鑑みて、私どもは、貴職に対し事業主であるLooopリニューアブルエナジー合同会社が環境大臣意見にある環境保全措置等を確実に実施するようご指導してくださることを要望いたします。



令和2年10月23日

北海道知事
鈴木直道 殿

風力発電の真実を知る会
(北海道稚内市はまなす2丁目7番18号)
代表 佐々木邦夫

一般社団法人 北海道自然保護協会
(札幌市中央区北3条西11丁目 加森ビル6階)
会長 在田一則

特定非営利法人 サロベツ・エコ・ネットワーク
(北海道天塩郡豊富町字西6条6丁目)
代表理事 吉村穣滋

日本野鳥の会 道北支部
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142)
支部長 小杉和樹

公益財団法人 日本野鳥の会
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)
理事長 遠藤孝一

日本科学者会議北海道支部大規模風力発電問題研究会
(札幌市北区北22条西2丁目1-2 静麗荘32号室)
幹事 高畑 滋

道北の自然と再生エネルギーを考える会
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)
代表 富樫とも子

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に関する要望書

Looopリニューアブルエナジー合同会社に対し、北海道知事意見にある環境保全措置等を確実に実施することを下記のとおり求めてくださいますようお願い申し上げます。

  1. 事業主に対し、「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富環境影響評価準備書」に対する環境大臣意見にある環境保全措置等を確実に実施させること。
  2. チュウヒの健全な繁殖環境の保護を実施させること。
  3. オジロワシの飛翔域の保護を実施させること。
  4. 風力発電施設のブレードに塗装を行ったり、タワーへシールを貼付する場合は、それに関わる環境保全措置について地域住民の合意が得られることを条件とするよう求めること。
  5. 風力発電施設等の配置変更を行う場合、施設に起因する騒音、風車の低周波音や影、景観等の評価に関して環境影響評価準備書との大きな相違が生じることが予想されるため、改めて環境影響調査を実施し、結果について地域住民からの合意を得るよう求めること。
(要望の背景)
「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富」については、三浦電機株式会社から平成28年8月に計画段階環境配慮書が、平成29年4月に環境影響評価方法書が公告・縦覧され、それぞれに対し平成28年10月および平成29年9月に知事意見が発せられました。これらについては、私ども団体も同事業実施区域がラムサール条約湿地「サロベツ原野」に近接することから、特に鳥類の保全を中心に自然環境の保全を、さらには近隣住民の健康問題について意見を述べてきました。
令和元年12月には三浦電機株式会社から変わったLooopリニューアブルエナジー合同会社から環境影響評価準備書が出され、それに対して令和2年6月に知事意見が提出されました。
これらの意見では、本事業の対象事業実施区域及びその周辺を自然環境保全上極めて重要であると評価し、特にチュウヒやオジロワシなど稀少猛禽類への影響の懸念から、科学的根拠をもって予測及び評価を行い、その結果に基づき風車の位置を変更する、また、重大な環境影響を回避・低減できない場合は規模縮小など事業計画の見直しを行うことを求めています。
以上の経過及び本事業実施区域とその周辺地域の自然環境保全の重要性に鑑みて、私どもは、貴職に対し事業主であるLooopリニューアブルエナジー合同会社が知事意見にある環境保全措置等を確実に実施するようご指導してくださることを要望いたします。



令和2年11月4日

豊富町長
河田誠一 殿

風力発電の真実を知る会
(北海道稚内市はまなす2丁目7番18号)
代表 佐々木邦夫

一般社団法人 北海道自然保護協会
(札幌市中央区北3条西11丁目 加森ビル6階)
会長 在田一則

特定非営利法人 サロベツ・エコ・ネットワーク
(北海道天塩郡豊富町字西6条6丁目)
代表理事 吉村穣滋

日本野鳥の会 道北支部
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142)
支部長 小杉和樹

公益財団法人 日本野鳥の会
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)
理事長 遠藤孝一

日本科学者会議北海道支部大規模風力発電問題研究会
(札幌市北区北22条西2丁目1-2 静麗荘32号室)
幹事 高畑 滋

道北の自然と再生エネルギーを考える会
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)
代表 富樫とも子

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に関する要望書

Looopリニューアブルエナジー合同会社に対し、経済産業大臣勧告等を誠実に履行することを下記のとおり求めてくださいますようお願い申し上げます。

  1. 事業主に対し、「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富環境影響評価準備書」に対する経済産業大臣勧告を遵守させること。
  2. チュウヒの健全な繁殖環境の保護を実施させること。
  3. オジロワシの飛翔域の保護を実施させること。
  4. 風力発電施設のブレードに塗装を行ったり、タワーへシールを貼付する場合は、それに関わる環境保全措置について地域住民の合意が得られることを条件とするよう求めること。
  5. 風力発電施設等の配置変更を行う場合、施設に起因する騒音、風車の低周波音や影、景観等の評価に関して環境影響評価準備書との大きな相違が生じることが予想されるため、改めて環境影響調査を実施し、結果について地域住民からの合意を得るよう求めること。
(要望の背景)
「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富」については、三浦電機株式会社から平成28年8月に計画段階環境配慮書、また平成29年4月環境影響評価方法書が公告・縦覧され、それぞれについて、平成28年11月と平成29年10月に経済産業大臣意見及び同勧告が発せられました。これらについては、私ども団体も同事業実施区域がラムサール条約湿地「サロベツ原野」に近接することから、特に鳥類の保全を中心に自然環境の保全を、さらには近隣住民の健康問題について意見を述べてきました。
令和元年12月には三浦電機株式会社から変わったLooopリニューアブルエナジー合同会社から環境影響評価準備書が出され、それに対して令和2年6月に北海道知事意見および環境大臣意見が、令和2年8月には経済産業大臣勧告が発せられました。
これらの意見や勧告では、本事業の対象事業実施区域及びその周辺を自然環境保全上極めて重要であると評価し、自然環境に対する影響を可能な限り回避または極力低減することを求めています。また、チュウヒやオジロワシなど稀少猛禽類への影響の懸念から、風力発電施設の基数の削減や配置の再検討等による事業規模の大幅な縮小を含めた抜本的な見直しを求めています。近隣住民の健康への影響も危惧しています。
以上の経過及び本事業実施区域とその周辺地域の自然環境保全の重要性に鑑みて、私どもは貴職に対して、事業主であるLooopリニューアブルエナジー合同会社が経済産業大臣勧告等にある環境保全措置等を確実に実施するようご指導してくださることを要望いたします。



令和2年11月4日

Looopリニューアブルエナジー合同会社 御中

風力発電の真実を知る会
(北海道稚内市はまなす2丁目7番18号)
代表 佐々木邦夫

一般社団法人 北海道自然保護協会
(札幌市中央区北3条西11丁目 加森ビル6階)
会長 在田一則

特定非営利法人 サロベツ・エコ・ネットワーク
(北海道天塩郡豊富町字西6条6丁目)
代表理事 吉村穣滋

日本野鳥の会 道北支部
(北海道利尻郡利尻町沓形字栄浜142)
支部長 小杉和樹

公益財団法人 日本野鳥の会
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)
理事長 遠藤孝一

日本科学者会議北海道支部大規模風力発電問題研究会
(札幌市北区北22条西2丁目1-2 静麗荘32号室)
幹事 高畑滋

道北の自然と再生エネルギーを考える会
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)
代表 富樫とも子

(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富に関する要望書

Looopリニューアブルエナジー合同会社に対し、経済産業大臣勧告等を誠実に履行することを下記のとおり求めてくださいますようお願い申し上げます。

「(仮称)北海道(道北地区)ウィンドファーム豊富」については、三浦電機株式会社から平成28年8月に計画段階環境配慮書、また平成29年4月に環境影響評価方法書が公告・縦覧され、それぞれについて、平成28年11月および平成29年10月に経済産業大臣意見及び同勧告が発せられました。また、本事業に対して私ども団体では、同事業実施区域がラムサール条約湿地「サロベツ原野」に近接することから、特に鳥類を中心に自然環境の保全及び近隣住民の健康問題について意見を述べてきました。
三浦電機株式会社から変わったLooopリニューアブルエナジー合同会社は令和元年12月に環境影響評価準備書を公告・縦覧しましたが、それに対して令和2年6月に北海道知事及び環境大臣意見が提出され、同年8月には経済産業大臣勧告が発せられました。
これらの意見や勧告はすべて、本事業の対象事業実施区域及びその周辺が自然環境保全上きわめて重要な場所であると評価し、自然環境に対する影響を回避または可能な限り低減することを求めています。また、希少猛禽類への影響の懸念から、風力発電施設の基数の削減や配置の再検討等による事業規模の大幅な縮小を含めた抜本的な見直しを求めています。さらに、近隣住民の健康への影響も危惧しています。

以上の事から、貴社に対し以下の点につき確実に実施することを要望致します。

  1. 令和2年8月28日付けの本事業における環境影響評価準備書に対する経済産業大臣勧告について貴社は、その勧告内容を遵守することが求められます。本事業の対象事業実施区域及びその周辺は、自然環境保全上きわめて重要であると評価されており、特にチュウヒ及びオジロワシ等の国内希少種への影響が強く懸念されています。この区域の貴重な自然環境は事業主の利益に優先して保護されるべきである事を貴社は十分に理解し、本事業の実施に伴う影響を回避または可能な限り低減するため、重大な影響を与える事が予測される風力発電施設については、設置の取りやめ又は配置の大幅な変更を確実に行うよう求めます。
  2. 対象事業実施区域及びその周辺においてチュウヒの繁殖や営巣、探餌行動が確認されていることから、貴社に対して、チュウヒの繁殖や営巣への影響を可能な限り回避、低減するよう、風力発電施設の設置の取りやめ又は配置の大幅な変更を行うことを求めます。また、事業に係る工事を行う際には、監視員等を配置した上で、チュウヒの繁殖や採餌場所の利用状況に影響がないかを判断できる体制を整え、営巣や繁殖に対する重大な影響が懸念される場合には、そのチュウヒの行動範囲内において、風力発電施設の建設や工事関係車両の通行などを規制する環境保全措置を確実に実施することを求めます。工事関係車両の通行ルートを変更する場合は、専門家等の助言を踏まえ、周辺環境に対する影響を再度予測し、その結果について自然保護団体や各地域住民に報告し、確実な合意形成を果たすべきです。
  3. 経済産業大臣勧告(令和2年8月)でも述べられているように、対象事業実施区域及びその周辺において、オジロワシの飛翔が高い頻度で確認されています。特に飛翔頻度の高い1号機及び8号機の風力発電施設については、オジロワシの衝突や移動の阻害等の影響を回避、低減することを目的として、風車の設置の取り止め、または配置の大幅な変更などの環境保全措置を確実に取られなくてはなりません。また、3号機に関しても飛翔頻度の高い時期があることから、追加の調査を実施し、風力発電施設の設置を再検討するよう求めます。
  4. 鳥類による視認性を高め、バードストライクの発生を低減するために、経済産業大臣勧告にあるブレードの塗装やシールの貼付などの措置を行う場合、周辺環境の景観を著しく阻害することが予測されます。特に住宅との離隔距離が短い風力発電施設に関してこの措置がとられる場合は、北海道景観条例の基本理念に反することも考えられます。貴社には、景観に関して専門家等からの助言を踏まえて、生活環境に著しい影響を受けると懸念される地域住民との間の合意を確実に得るよう求めます。また、ブレードの塗装やシールの貼付による環境保全措置は、鳥類からの視認性を高める効果のみであり、移動の阻害に関してはさらに重大な影響を引き起こすことが予測されるため、周辺の飛翔頻度の高い風力発電施設ではこの措置は取られるべきではありません。
  5. 本事業の対象事業実施区域及びその周辺の自然環境への影響が懸念される中、環境保全措置として風力発電施設の配置変更、ヤードの配置変更、工事関係車両の通行ルートの変更、彩色を含めた風力発電施設の仕様の変更等を行う場合、本事業に係る環境影響評価準備書と、実施される事業内容に大きな相違が生じることが予測されます。この場合、変更が予測される全ての項目に対して改めて環境影響調査を実施し、結果を地域住民、地元観光業者や自然保護団体に公表し、それぞれから合意を得ることを求めます。特に騒音、低周波音、風車の影、景観等の点では対象区域内で生活をする地域住民に対し重大な影響があると予測されます。これらの要素による影響は個人差があり、不確実な要素を含むため、予防原則の考えから健康上の安全を確実に確保出来る環境保全措置をとるよう求めます。

以上

(仮称)秋田県由利本荘市沖洋上ウィンドファーム事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和2年10月15日

九電未来エナジー株式会社
代表取締役社長 水町 豊 様

日本野鳥の会秋田県支部
支部長 佐々木 均
秋田県横手市前郷一番町1-21

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

日本雁を保護する会
会長 呉地正行
宮城県栗原市若柳川南南町16

「(仮称)秋田県由利本荘市沖洋上ウィンドファーム事業に係る計画段階環境配慮書」に対する意見書

現在、貴社が公告・縦覧および住民意見を募集している(仮称)秋田県由利本荘市沖洋上ウィンドファーム事業に係る計画段階環境配慮書に対して、鳥類の保全の観点から下記の通り意見を述べる。

対象事業実施区域に設定されている海域(以下、当該海域という)は、海鳥の重要生息地(マリーンIBAs)の指定海域および渡り鳥の重要な経路と重なっていること、ガン・ハクチョウ類等の国内でも重要な渡り移動経路となっていること、計画地の周辺で繁殖する希少猛禽類であるミサゴやハヤブサの採餌海域となっていることなどから、鳥類の保全の観点から考えて、当該海域は事業実施想定区域から除外されるべきである。そのため、本事業は環境影響評価方法書の作成に進まずに、現段階をもって事業を中止すべきである。
以下に当該海域における鳥類の生息状況と事業の中止を求める理由および配慮書中の予測評価と環境保全措置に対する意見を述べる。

●当該海域における鳥類の生息状況等と事業の中止を求める理由

ガン・ハクチョウ類の渡り
  • 配慮書の図3.1-35(2)、図3.1-36によれば、計画地はガン・カモ・ハクチョウ等の渡り経路と重なっているが、実際に沿岸から沖合数キロまでの洋上を相当数のこれらカモ科鳥類が渡ることが地域住民および当会会員により観察されている。また、飛翔高度はその時の天候や目的地によって異なるが、高い割合でブレード回転域の高度を飛行していることも当会会員が確認しおり、バードストライクが発生する可能性が非常に高いため、鳥類保護の観点から当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
  • 由利本荘市内各地(大内地区・子吉地区・西目地区等)の田畑およびため池の大堤はガン・ハクチョウ類の渡りの中継地としても利用されている。洋上を通過する群が休息・滞在のために子吉川河口付近等から内陸に入ったり、逆に滞在している群が移動のために洋上に出たりすることが頻繁に観察されている。離岸距離が近い風車の建設により、この動きを阻害する障壁影響が発生し、また、天候によってはバードストライクの発生確率が非常に高くなる可能性があるため、ガン・ハクチョウ類保護の観点から当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
  • ガン・ハクチョウ類の秋の渡り時期は10月から11月下旬がこの数年での傾向である。ただし、秋は計画地周辺に長く滞在する群も存在し、風車の建設により生息地放棄や日々の障壁影響が生じる可能性が高い。また、日によって行動や天候等が違うことで飛翔高度や移動ルートの選択が変わり、シーズンを通しては多くのバードストライクの発生が懸念されるため、ガン・ハクチョウ類保護の観点から当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
  • 12月~2月の越冬期は天候や降雪量によって由利本荘市を含む越冬地と中継地である大潟村の間をマガンやヒシクイ、ハクチョウ類が頻繁に往来し、また、環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠA類のハクガンおよびシジュウカラガンの往来も確認されており、特に降雪等の悪天候時にバードストライクの発生が懸念されるため、これらガン・ハクチョウ類の保護の観点から当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
  • 本支部の会員が、計画地に隣接するにかほ市の漁港に、天然記念物及び環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類のコクガンが冬季に渡来することを確認している。このガンは主に海域を生息場所としており、洋上風車による衝突や生息地放棄等の被害が生じることが危惧されるため、コクガンの保護の観点から当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
カモ類の渡りについて
当該海域は多くのカモ類の渡り経路になっていることが、当会会員により確認されている。この中には海ガモだけでなくオナガガモ・マガモなどの淡水ガモが多数含まれている。当該海域でのカモ類の渡りは11月に多くなるが、かつてはこの海域で11月の狩猟解禁に合わせて沖合でのマガモ猟が盛んに行われていたとの狩猟関係者の証言もあることから、当該海域もカモ類にとって重要な渡り経路になっている可能性がある。カモ類は渡る個体数の多さ、休息のために飛行の途中で着水するなど、飛翔高度を0m~200mで頻繁に変えるという飛び方の特徴から、洋上風車の建設の影響を大きく受けることが予想されるため、カモ科鳥類の保護の観点から当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
カモメ類について
由利本荘市沖には、ハタハタの卵であるブリコを採食するために冬期にカモメ類が集まり、大群を形成する。当該海域に飛来するカモメ類で大部分を占めるオオセグロカモメおよびウミネコは近年、個体数の大幅な減少が報告されており1)、北海道では準絶滅危惧種に指定されている。カモメ類は世界的にもバードストライクが発生しやすい種群であることが知られるが、主要な越冬地である北海道~東北の日本海側に洋上風車が建設されれば、オオセグロカモメやウミネコなどの飛行が阻害されるほか、バードストライクが頻発する可能性がある。これ以上のカモメ類への人為的影響は最小限に抑える必要があることから、当該海域に洋上風車を建設すべきではない。
ミサゴについて
  • 当該海域の沿岸部は環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されているミサゴの繁殖地となっており、当該海域は複数のつがいや幼鳥、亜成鳥にとって重要な採餌場所となっている。日本でもすでに複数羽のミサゴがバードストライクに遭っており、計画地周辺の由利本荘市内沿岸でも1件、風車による衝突例がある(2018年)。ミサゴはバードストライクの発生率が高い鳥類であると考えられることから、ミサゴが利用する海域では洋上風車を建設すべきではない。
  • 子吉川河口は当該海域周辺に生息するミサゴの利用頻度がもっとも高い場所である。それらミサゴの採餌場所を確保するため、特に河口周辺には洋上風車を建設すべきではない。
ハヤブサについて
当該海域の沿岸部は環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているハヤブサの繁殖地になっており、当該海域は重要な採餌場所となっている。特にハヤブサは洋上を渡る小鳥類を頻繁に狙うことが知られているが、捕食に集中することで風車の存在に気付くことができず、バードストライクに遭う危険性があるため、ハヤブサの採餌場所になり得る海域には洋上風車を建設すべきではない。
その他の重要種について
由利本荘市および隣接するにかほ市にはナベヅル、マナヅル等のツル類が度々立ち寄っており、洋上を飛翔している可能性がある。また、沖合に位置する飛島は、春季及び秋季の渡りの時期に、多くの種類の鳥類が観察される場所である。春季の飛島で毎年確認されるヤツガシラが由利本荘市内で確認されたことがあり、飛島経由で洋上を飛翔している可能性が高いため、これらの鳥類が利用する可能性がある海域に洋上風車を建設すべきではない。
その他の海鳥について
計画地は洋上風力発電施設の建設による生息地放棄が頻繁に確認されているアビ、オオミズナギドリをはじめ、多くの海鳥の生息地・採餌地と重なっている。また、アジサシ類が渡りの時に通過するのも目撃されている。
海外の洋上風力発電では育雛期に多くのバードストライクが生じるコアジサシが由利本荘市本荘浜において2011年と2012年に繁殖した経緯がある。条件が整えば再び計画地近隣で繁殖する可能性があるため、繁殖を始める兆候を事前に確認した場合は、事業の中止を含めてその繁殖を阻害しないよう十分に配慮するべきである。

●予測評価と環境保全措置について

具体的な保全措置を明記すること
配慮書4.3-38(308)に「影響の程度を適切に予測し、必要に応じて環境保全措置を検討する」とあるが、具体的な保全措置を明記することを求める。
協議会の設置について
上記で述べた調査の結果から得られたデータを地元団体や鳥類保護関係者および鳥類や風力発電の専門家等と共有し、風車の設置位置を決定するための公開の協議会を設けることを求める。
住民意見は概要ではなく原文を記載すること
配慮書に対して提出された住民意見は、概要としてまとめられたうえで方法書に記載されるが、今回の意見書に記載されている意見等は概要としてまとめることなく、原文のまま掲載することを希望する。

以上

1)
論文名 Long-term declines in common breeding seabirds in Japan(日本における普通海鳥種の長期的減少)
著者名 先崎理之1,照井 慧2,富田直樹3,佐藤文男3,福田佳弘4,片岡義廣5,綿貫 豊6(1北海道大学大学院地球環境科学研究院,2ノースカロライナ大学グリーンズボロ,3山階鳥類研究所,4知床海鳥研究会,5NPO法人エトピリカ基金,6北海道大学大学院水産科学研究院)
雑誌名 Bird Conservation International(鳥類保全学の専門誌)
DOI 10.1017/S0959270919000352
公表日 2019年8月28日(水)(オンライン公開)