(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
令和2年9月4日 提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 |
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| 住 所 |
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| 計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社が作成された(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、下記の通り意見を提出します。 記 (1)現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)を縦覧している(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地という)に風力発電施設(以下、風車という)を建設した場合、計画地は環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に、また、山形県の絶滅のおそれのある野生動植物に指定されているイヌワシとクマタカの生息地と重なることから、尾根や稜線を利用するイヌワシとクマタカが風車に衝突死するバードストライクが発生する危険性が高い。国内では、イヌワシとクマタカがバードストライクに遭った事例が確認されており(武田 2013、浦 2015)、計画地に風車を建設した場合、バードストライクが起こる可能性が高いと考える。計画地は、クマタカの生息密度が高い地域である。また、イヌワシの飛翔高度は、クマタカよりもかなり上空になり、行動圏もかなり広くなる。イヌワシは全国的に繁殖成功率が著しく低下しており、本事業計画はイヌワシの保護に逆行していると考えられる。そのため、イヌワシ、クマタカの行動圏や高度利用域の推定などを含む生息状況の確認等の調査について、質、量ともに十分なものを求める。 (2)計画地はサシバやハチクマなど希少猛禽類の渡りルートの一部になっている可能性があることから、風車の建設によりバードストライクが生じ、また、障壁影響により渡りルートの変更および生息地の放棄といった影響が発生することが懸念される。そのため、希少猛禽類の渡りに対するこれらの影響の回避または低減策を計画の初期段階から検討すべきである。 (3)専門家へのヒアリングの結果について、鳥類の有識者が「重要種以外の一般鳥類についても調査し、把握していただきたい。」としている。計画地は小鳥類が移動するルートにもなっているため、渡りの時期である春と秋に適切かつ十分な量の調査をすることで、重要な種の移動や渡りの状況を正確に把握し、小鳥類の渡りに影響を及ぼさないよう適切な対応を求める。 (4)計画地は、北部地区と南部地区に分かれているが、黒森山を含む南部地区には、広大なブナ林が広がっている。このブナ林には、「アガリコブナ」と呼ばれるブナの木があり、山形県や秋田県の豪雪地帯だけに見られる特殊なもので、学術的な価値が高く評価されている。これらのブナの存在を詳細に調査し、保全・保護するための具体策を講じていただきたい。 また、この広大なブナ林には、ブッポウソウやアカショウビンなど貴重な野鳥が生息している。風車建設のための大規模な林道開発などの土地改変を行うことで、貴重な野鳥の棲みかが失われることが危惧される。生息地の放棄(事実上の生息地からの追い出し)といった影響の回避又は低減策を計画初期の段階から検討すべきである。 加えて、県内有数の豪雪地帯であるが故に、冬期間の施設管理の見通しが甘いと思われ、環境配慮の他にも安全上、疑問が生じる。 (5)計画地の北部地区の南端に羽黒山頂、南部地区の南東側5kmに弥陀ヶ原湿原、南東8kmに月山山頂、南9kmに湯殿山神社があり、北部地区周辺は、出羽三山神社の聖域とされている場所である。羽黒山・湯殿山・月山は「出羽三山」として昔から信仰の山として、そして現在は山形県の重要な観光資源となっている。羽黒山神社参道脇には、国宝となっている五重塔もあり、計画地にいくつもの風車が立ち並ぶ風景は、これまで歴史的景観を大切に保護してきた流れに相反するものであり、到底受け入れることはできない。 以上、計画地およびその周辺において、いわゆる発電所アセスのガイドラインにあるような一般的な環境影響評価よりも、出羽三山神社関係者や専門家とも協議したうえで、計画の撤回を含めた見直しを行い、さらに詳しい調査の実施を求めるところである。 貴社においても、風車の建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、景観を含めた優れた歴史的環境、豊かな自然環境と生物多様性が失われることのないよう適切な対応をとることを強く求める。 以上 |
(仮称)京ヶ森風力発電事業 計画段階環境配慮書に対する意見書
(仮称)京ヶ森風力発電事業 計画段階環境配慮書に対する意見書
令和2年8月30日 提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 |
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| 住 所 |
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| 計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社(日立サステナブルエナジー株式会社)が作成された(仮称)京ヶ森風力発電事業 計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。 (1)現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)を縦覧している(仮称)京ヶ森石巻風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮城県の絶滅のおそれのある野生動植物 RED DATA BOOK MIYAGI 2016にも掲載されているクマタカの生息地と計画地が重なることが予想され、風車へのバードストライクまたは生息地放棄が発生する可能性が高い。 日本野鳥の会会員の情報でも計画地において、繁殖期にクマタカの生息を確認している。また、配慮書では計画地をイヌワシの生息地として認識しているが、これら希少猛禽類の保護の観点からイヌワシの生息地やクマタカの繁殖地を避けるよう計画地の位置を見直すべきである。 このため、影響評価に係る現地調査ではクマタカや他の希少猛禽類も繁殖しているものとして適切な調査を十分に行い、これらの希少猛禽類の生息や繁殖に影響が無いよう、慎重を期して計画地を選定すべきである。 女川湾は冬期、オオワシやオジロワシの生息地となっており、周辺の雄勝湾、万石浦、北上川との往来時に計画地を通過すると考えられる。国内ではオジロワシ、オオワシが過去に風車によるバードストライクに遭った事例があることから、計画地に風車を建設した場合、バードストライクが起こる可能性が高いと考える。 また、ハチクマの渡りルートについても、南北に延びる計画地を通過することが予想され、計画地周辺は希少猛禽類にとって主要な渡りコースにもなっているものとして、希少猛禽類の渡りに係る調査についても質、量とも十分なものを求める。 (2)配慮書では、計画地にイヌワシやクマタカ等の主な生息環境が存在し、その一部が改変される可能性があることから、生息環境の変化に伴う影響が生じる可能性があると予測している。また、計画地上空を利用する可能性がある種については、風車の稼働に伴いバードストライクが生じる可能性があると予測している。しかし、事業実施想定区域を可能な限り絞り込むことで重大な影響を実行可能な範囲内でできる限り回避又は低減されると評価し、方法書以降の手続きにおいて生息状況は現地調査等により把握し、影響の程度を適切に予測するとしている。 計画地内での風車建設により、方法書以降の調査結果を待つまでもなく、バードストライク等の影響が発生することが予見される。当会会員の観察によると、クマタカは計画地周辺に複数つがいが生息している可能性が高く、また、クマタカのバードストライクが国内ですでに起きているからである。クマタカは行動範囲が広く、なわばり範囲が他のつがいと重なる場合があり、風車建設により複数個体のバードストライクが発生する危険性が非常に高い。また、計画地周辺に冬期生息するオオワシやオジロワシのバードストライクは全国で多数報告されており、このような大型猛禽類の生息地での風車の建設は避けるべきである。 (3)鳥類への影響は、バードストライクだけでなく、障壁影響による「渡り経路の変更」および「生息地の放棄」(事実上の生息地からの追い出し)といった影響についても、発生を回避または低減可能な対策を計画の初期段階から検討すべきである。 以上の理由から、計画地およびその周辺において、いわゆる発電所アセスのガイドラインにあるような「猛禽類保護の進め方」に準拠した調査方法を用いた一般的な環境影響評価よりも、利害関係者や専門家とも協議したうえで、さらに詳しい調査の実施を求めるところである。 貴社においても、風車の建設計画にあたっては、猛禽類をはじめ野鳥の生息状況等を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。 |
岩手県の「(仮称)岩泉有芸風力発電事業」に係る対象事業実施区域及びその周辺における希少猛禽類の生息環境保全に関する緊急要望書
令和2年8月26日
経済産業大臣 梶山 弘志 殿
日本野鳥の会宮古支部
支部長 関川 實
日本野鳥の会北上支部
支部長 髙橋 知明
日本野鳥の会もりおか
代表 佐賀 耕太郎
公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
岩手県の「(仮称)岩泉有芸風力発電事業」に係る対象事業実施区域及びその周辺における希少猛禽類の生息環境保全に関する緊急要望書
- 1. 要望内容
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- 「(仮称)岩泉有芸風力発電所建設事業計画」の対象地域はイヌワシ・クマタカ等の希少猛禽類の重要な生息地です。対象事業については既に事業者によって環境影響評価準備書が公表されており、これに対しては令和2年7月13日付で岩手県知事意見が出されておりますが、現段階ではこの意見は公表されておりません。一方、同年7月21日には環境大臣意見が出されておりますが、そちらを拝見する限りでは対象事業計画における希少猛禽類の生息状況保全にとって有効性のある内容となっていないように見受けられます。従って当会は、対象事業の計画段階環境配慮書に対して、平成29年3月31日付けで公表された環境大臣意見のうち「2.(2) 鳥類に対する影響」の趣旨に立ち戻り、稀少猛禽類の生息環境への悪影響を可能な限り低減する観点に基づいて事業者への適正な指導助言を行って下さるよう強く要望します。
- イヌワシやクマタカ等の希少猛禽類が生息するには、広い地域の環境を保全していくことが必要です。しかし、岩手県内では既に多数の風力発電施設が稼働しており、これらにより希少猛禽類の繁殖適地や採餌適地がどんどん狭められている状態です。ここでさらに対象事業が稼働されることになれば、当該地域におけるイヌワシやクマタカ等の生息環境を大幅に縮小させることは必至です。当会は周囲の風力発電事業との累積的影響を低減する観点に基づき、対象事業自体のの全面的な見直しに向けた行政指導を事業者に対し、すみやかに行って下さるよう強く要望します。そのための具体策として、経済産業省内に累積的影響を多角的に評価するための専門家を交えた検討委員会を早急に設置し、そこで対象事業の内容の丁寧な検討を進めていただくよう強く要望します。
- 2.要望の背景
- 我が国ではイヌワシの生息数がおよそ400羽程度と推定されており、環境省による「レッドリスト2018」では絶滅危惧IB類に指定され、また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律において国内希少野生動植物種に指定されている鳥類です。なお、イヌワシは岩手県では80羽ほどが生息しています。
イヌワシの行動圏はしばしば風力発電施設の建設適地とも重なり合うため、これまでも岩手県内各地でイヌワシ生息地やその周辺地域で風力発電事業が計画され。そのうちの幾つかは現在すでに稼働もしています。その結果として、繁殖や採餌の適地が減少しており、イヌワシの生息環境が脅かされております。過去には釜石広域ウインドファームの稼働によるバードストライクも発生しており、このまま風力発電施設が増加すれば、それに伴うバードストライクの発生が増加する可能性があります。- 希少猛禽類の生息環境の保全について
岩手県の北上高地は特にイヌワシの生息密度が高く、1976年に岩泉町内の5か所のイヌワシ繁殖地が国の天然記念物に指定されています。それは起伏に富んだ風況の良いこの地域の随所に広がる牧野がイヌワシの狩り場となっており、山々を繋ぐ尾根や断崖などがイヌワシの繁殖適地となっているためです。このような地域での風力発電施設の建設と稼働は、イヌワシの生息に対して大きな脅威となります。実際に令和元年4月に稼働を開始した盛岡市の姫神ウインドファームにおいては、以前まで頻繁に観察されていたイヌワシの姿が現在では全く見られなくなりました。また、平成20年9月には釜石広域ウインドファームでは稼働から3年あまりで国内初のイヌワシのバードストライクが発生しております。このような過去の事例への反省に基づく改善策が何ら検討されないまま当該地域で風力発電事業が稼働するとしたら、イヌワシの生息に対する重要な阻害要因となることは必至です。対象事業地域周辺の3か所の繁殖地のうちの2か所は天然記念物に指定されています。従って当会は、対象事業の中止または計画の大幅な見直しを強く求めます。 - 事業者の作成した環境影響評価準備書の問題点について
当該事業を計画した事業者により作成され、本年2月に公告・縦覧された環境影響評価準備書に関して、当会では事業者への「意見」の形でイヌワシ生息環境の保全に関わる多数の問題点を指摘しました。しかし、それらの問題点のほとんどは適正な検討が行われないままで令和2年6月に開催された岩手県環境影響評価技術審査会の検討に付され、その審議結果に基づく形で本年7月21日付けで公表された環境大臣意見の公表に至っております。このままの状態で最終的に当該事業が実行されれば、当該地域周辺のイヌワシの生息環境に甚大な影響が出る恐れがあるため、特に下記の2点について事業者をはじめとする関係者により迅速かつ適正な検討がなされることを強く求めます。- イヌワシ等希少猛禽類の調査ステーションが少ない
準備書によれば、69日間の調査期間内に総数106回のイヌワシの飛来が記録されています。その内で当該事業計画地内への飛来数は50回にのぼります。また飛翔高度の内訳は低(L)9回、中(M)31回、高(H)10回となり、風車のローターの高さでの飛翔が多いことから、バードストライクが発生することが懸念されます。さらに、飛来したイヌワシの個体識別より、3か所の繁殖地からの飛来であることも確認されています。
しかし38か所の調査ステーションのうち、実際に調査が行われたのは平成29年に3か所、平成30年に8~9か所、平成31年~令和元年は3~4か所に留まっております。当該地域が山に囲まれた谷間で周辺が見渡しにくい地形にも関わらず、数少ない調査ステーションで生息調査が実施されていたわけであり、その結果として出されたイヌワシの飛来数の数値の信頼性は高くないと考えざるを得ません。この地域へのイヌワシの飛来数に関しては、令和2年6月の岩手県環境影響技術審査会議事録によれば、審査委員長でイヌワシの専門家でもある由井正敏氏が『計画地内飛来数50回(調査時間8h)を年間に換算(調査時間12h)すると飛来数は397回になる。このような場所に風車を立てることは常識的にあり得ず、種の保存法第34条、及び文化財保護法第128条(B、Dペアは地域指定)にも違反する』との厳しい指摘をしています。また、別の審査委員からは『準備書で事業者が提示したバードストライクの予測確率(0.05/年)の値はイヌワシの生息にはかなりの脅威となる』との意見も出されています。複数の審査委員によるこのような指摘はいずれも、当該事業計画の実施に伴ってイヌワシのバードストライク事故の可能性が高まることへの危惧に基づくと思われますが、環境大臣意見には反映されておりません。 - 事業実施によるイヌワシの餌の減少予測が低い
岩手県内のイヌワシの繁殖率は近年になって極端に低化しており、専門家によればその主な原因は餌不足とされています。当該地域のイヌワシの主要な餌はノウサギ、ヤマドリ、蛇類などですが、実際に今回の準備書で飛来数が最も多かったとされる当該計画地南側の繁殖地でも育雛後期にヒナが餓死した事例が過去に発生しています。また、イヌワシがカモメ類を狙って宮古湾に定期的に飛来したり、オシドリやオオハクチョウを襲うなどこれまでに見られなかった事例が近年は多く観察されるようになり、岩手県内のイヌワシの餌不足がかなり深刻になっていることが覗えます。しかし、準備書では当該事業が実施されてもイヌワシの餌資源が減らないと記されています。この分析はあいまいな餌調査をもとに結論づけられているようですが、当該地域の谷合いにある中洞牧場から南北に広がる牧野の尾根上の森林を東西30haにわたって植生を伐採して風車を建てる当該計画が実施されれば狩場は大幅に縮小し、それに伴ってイヌワシの餌不足も一層深刻化すると予想されます。当該事業が餌不足を引き起こす可能性を過小評価しようとする事業者側の姿勢は、イヌワシの生息環境保護の観点から容認できるものではありません。
- イヌワシ等希少猛禽類の調査ステーションが少ない
- 今年7月21日の環境大臣意見におけるイヌワシ生息環境保全に関わる生育阻害要因の予測とその予防的対策の検討という視点の欠落について
岩手県は岩手県環境基本計画の中で生物多様性を重視する方向性を示しており、地域多様性地域戦略の中で具体的にイヌワシやクマタカなどの生息環境の保全についても取り組んでおります。特に希少猛禽類の生息については配慮書に対する岩手県知事意見と環境大臣意見(平成29年3月31日付)には『イヌワシの生息が確認されていることから、・・・・・鳥類に関する適切な調査、予測及び評価を行い、イヌワシの行動圏に関する情報(餌場等の利用状況等)を明らかにするとともに、その結果を踏まえ風力発電施設等の配置等を検討する』と記載されており、配慮書以後の計画段階で事業者側に対して『適切な調査、予測、及び評価』を行うことを求めております。しかしその後事業者側の作成した準備書では「イヌワシの行動圏に関する適切な調査、予測、及び評価」等の予防的保護措置の検討が不十分なままであり、配慮書段階での岩手県知事意見や環境大臣意見の趣旨を的確に反映させているようには見受けられません。これに関しては、岩手県環境影響評価技術審査会においても複数の審査委員から全く同様の指摘がなされていたことが公表された議事録に記載されております。しかるに、今年7月21日付の環境大臣意見には、希少猛禽類の生息環境に関わる環境悪化要因の予測とその対策の検討に関する記述が欠落しており、当該事業の稼働後に問題が生じた場合の対策に力点が移っている点で明白な後退が見られます。稀少猛禽類が生息していることを過小評価することは生物多様性の維持を是とする社会全体の動向に沿うものではなく、岩手県内のイヌワシの生息環境の保全を求める従来までの岩手県知事意見や平成29年3月31日付けの環境大臣意見の趣旨にも反していると言わざるを得ません。従って当会では、まずはこれらの点を含めて稀少猛禽類の生息状況の調査結果を精査し、その結果を踏まえて希少猛禽類の生息環境を損なわないよう十分に配慮する方向で対象事業の計画を全面的に見直すことを強く求めます。 - 当該地域のイヌワシの生息環境保全に関する今年7月21日の環境大臣意見における事実誤認について
事業者の準備書に対する環境大臣意見の中には、イヌワシの生息環境の把握に関して重大な不備が随所に見られます。たとえば、意見書には「対象事業実施区域およびその周辺は・・・・イヌワシの非繁殖期を中心とした餌場になっている」と記載されています。しかし(1)にも記述したように、この地域の近傍には複数つがいのイヌワシの繁殖地があり、私どもの調査結果では当該地域は年間を通じて広範囲かつ高頻度でイヌワシの活動が観察されております。従って環境大臣意見が当該地域を「非繁殖期を中心とした餌場」と限定しているのは事実誤認と言わざるを得ません。また、意見書には「バードストライクの有無、およびイヌワシ・クマタカの飛翔経路の変更に係る事後調査を適切に実施」との記載もありますが、風力発電施設の建設によるバードストライクの発生事例および希少猛禽類の生息状況の悪化に係る事後調査について、日本国内における過去の事例は既に数多く存在しますが、有効な対策は確立されておりません。さらに、「バードストライク等、重要な鳥類に対する重大な影響が認められた場合は、・・・稼働調整等を含めた追加的な環境保全措置を講ずる」とも述べられておりますが、稼働設備数・稼働時期・稼働時間の制限等の『稼働調整』はあくまでも事前の生息状況調査結果から導かれる予測に基づく予防的な保護措置であり、それでもイヌワシの生息環境保護が脅かされる事象が発生した段階において取るべき措置は『稼働停止』以外にはないはずです。 - 鳥類の詳細かつ包括的鳥類生息調査の実施とその調査結果の当該事業計画への反映について
イヌワシの年間予測衝突数に関する予測の妥当性は、対象事業が当該地域のイヌワシの生息環境にどのような影響を与えるかを評価する上で重要な要因の一つですが、事業者の作成した準備書の中ではその部分の記述が極めて不足しており、バードストライクの可能性等についても科学的根拠が明白ではない楽観的な数字が示されているに過ぎません。対象事業の計画地におけるイヌワシの生息密度の高さは、その下地となる豊かな生態系に支えられているものです。従って、イヌワシの生息環境維持のためには当該地域における自然環境の総合的な把握とその保全が欠かせません。多くの野鳥は夜間にも活発に行動しており、渡りも日中のみならず夜間にも行います。また、風力発電施設が完成すれば24時間体制で風車が稼働するにもかかわらず、事業者により実施された環境影響評価の調査方法は必ずしも十分なものではなかったと推察されます。岩手県環境影響評価技術審査会の議事録でも複数の審査委員からこの点について強い指摘があったようですが、そのような指摘も7月21日付けの環境大臣意見には全く反映されておりません。当会は対象事業の計画地とその周辺地域での詳細かつ包括的な一般鳥類生息調査の実施、およびそれにより得られる結果を適切に評価した上で当該地区における生態系の保全の観点から対象事業計画の抜本的見直しを行うよう強く求めます。 - 当該事業の計画全般における自然環境保全と防災の視点の欠落について
対象事業における方法書の段階で24基であった風車の設置基数を準備書では12基に減らし、その代わりに風車を大型にして1基あたりの発電量を増やす形に変更されております。その結果として風力発電施設の高さが山の尾根から178メートルも突出することとなり、このままでは中程度の飛行高度を利用して山の稜線を飛び越えて移動するイヌワシなどの大型猛禽類でバードストライクが生じる可能性が高まります。風力発電施設を尾根に沿って列状に設置すると、上昇気流等を利用して生息している多くの野鳥の行動範囲を狭め、特に猛禽類が餌場や繁殖地を確保する上での障害となる可能性が高まります。さらに、工事に伴って排出される残土の処理、および施設稼働後の土砂流出への対処等は、それらが土砂災害や河川の汚濁の原因となりうるにも関わらず、事業者側の作成した準備書からは事前に適切な環境保全対策を講ずる姿勢が伺えません。特に最近は気候変動の影響によるゲリラ豪雨の被害が全国的に頻発しております。当該事業の計画地も平成28年の台風10号と令和元年の台風19号の被災地ですが、この地域においてその後の災害予防対策が万全になされているとは言えません。当該事業の計画地の面積は1315.2haと広範囲に及ぶことから、事業計画自体も台風10号の峠の神山の357ミリ総降水量を想定したものでなければ、地元住民の安心と理解は得られません。実際に同様の指摘が岩手県環境影響評価技術審査会において複数の審査委員から指摘されています。しかし、7月21日付の環境大臣意見では自然環境保全や防災のための予防的措置を求める方向性は示されずに、当該事業の稼働後に問題が生じた場合の「事後調査」に限定する内容となっており、環境保全対策に消極的な事業者の姿勢を追認する形となっております。仮にこのまま当該事業の計画が実施され、風力発電施設の稼働が開始されると、それに伴い当該地域周辺の環境汚染や山林・河川災害の発生も危惧されます。従って当会は単に野鳥保護に留まらず環境保全や防災の立場からも今回の準備書に記載されている施設の規模や配置等の計画全般の大幅縮小を基本とする見直しを強く求める次第です。 - 風力発電事業計画の累積的影響を正しく評価するための専門家を交えた検討委員会の経済産業省内への設置について
既に岩手県の北上高地ではグリーンパワー葛巻風力発電所・釜石広域ウインドファームなど多数の風力発電施設が稼働しております。さらにその外縁部には姫神ウインドファーム・高森高原ウインドパークなども稼働中であり、(仮称)折爪岳南(第1期)風力発電事業の建設が予定されています。また対象地域とその周辺地域に限っても、当該事業の計画以外に(仮称)宮古岩泉風力発電事業、(仮称)田野畑岩泉風力発電事業などの計画が進行しており、県南部でもイヌワシの生息地において複数の事業計画が進行しています。このまま風力発電施設が当該地域周辺に林立する状況となれば、稀少猛禽類の生息環境に及ぼす影響は計り知れないものとなり、特にイヌワシの狩場の減少は生息個体数そのものの減少に直結します。従って、このような事態を回避するためには、風力発電施設の計画立案にあたって個別の事業計画区域の枠を超えて累積的影響を正しく評価する体制が必要となります。しかし、現状では複数の風力発電事業者が相互に情報を共有し合うこともなく個別に事業計画とその基礎となる環境影響調査等を進めており、その事業計画の審査や許認可についても経済産業大臣が個別に行っているのが現状です。このような状況を改め、岩手県内の稀少猛禽類の生息環境の包括的な保全を図るために、当会としては経済産業省内に風力発電関連の専門家等による検討委員会を設置し、その委員会を累積的影響の予想される複数の風力発電事業者、複数の鳥類保護団体、県と市町村レベルの行政関係者、鳥類学を含む複数の関連分野の学識経験者、経済産業省と環境省の担当事務官などで構成することにより提案されている事業計画と既存の風力発電施設、あるいは同時進行で行われている複数の事業計画を多角的・総合的な視点から精査するよう強く要望します。そして、その委員会の検討結果を十分に反映する形で経済産業大臣勧告を作成し公表していただくよう経済産業大臣に強く要望します。
- 希少猛禽類の生息環境の保全について
私ども日本野鳥の会は、今後の日本のエネルギー資源として風力や太陽光等の自然エネルギーを積極的に利用する方針について基本的に賛成しております。しかし、それらの設置や運用が貴重な自然環境に悪影響を及ぼすことが予測される場合には、その影響を可能な限り回避・低減する方向で発電設備の配置や施設の形態・稼働期間等を見直すべきであり、それが困難と判断される場合には事業の中止や事業予定地域の変更を検討するべきであると考えております。
令和2年8月26日
環境大臣 小泉進次郎 殿
日本野鳥の会宮古支部
支部長 関川 實
日本野鳥の会北上支部
支部長 髙橋 知明
日本野鳥の会もりおか
代表 佐賀 耕太郎
公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
岩手県の「(仮称)岩泉有芸風力発電事業」に係る対象事業実施区域及びその周辺における希少猛禽類の生息環境保全に関する緊急要望書
日頃より、日本野鳥の会の自然保護活動にご理解とご協力を賜り、深く感謝申し上げます。
さて、岩手県岩泉町南部の有芸地区に計画されている(仮称)岩泉有芸風力発電事業(以下、対象事業という)に関して、風力発電施設の建設予定地やその周辺地域(以下、当該地域という)に生息する希少猛禽類の生息環境を保全するため、日本野鳥の会は下記の点について強く要望いたします。
- 1. 要望内容
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- 「(仮称)岩泉有芸風力発電所建設事業計画」の対象地域はイヌワシ・クマタカ等の希少猛禽類の重要生息地です。対象事業については既に事業者によって環境影響評価準備書が公表されており、これに対しては令和2年7月13日付で岩手県知事意見が出されておりますが、現段階ではこの意見は公表されておりません。一方、同年7月21日には環境大臣意見が出されておりますが、そちらを拝見する限りでは対象事業計画における希少猛禽類の生息状況保全にとって有効性のある内容となっていないように見受けられます。従って当会は、対象事業の計画段階環境配慮書に対して、平成29年3月31日付けで公表された環境大臣意見のうち「2.(2) 鳥類に対する影響」の趣旨に立ち戻り、稀少猛禽類の生息環境への悪影響を可能な限り低減する観点に基づいて事業者への適正な指導助言を行って下さるよう強く要望します。
- イヌワシやクマタカ等の希少猛禽類が生息するには、広い地域の環境を保全していくことが必要です。しかし、岩手県内では既に多数の風力発電施設が稼働しており、これらにより希少猛禽類の繁殖適地や採餌適地がどんどん狭められている状態です。ここでさらに対象事業が稼働されることになれば、当該地域におけるイヌワシやクマタカ等の生息環境を大幅に縮小させることは必至です。当会は周囲の風力発電事業との累積的影響を低減する観点に基づき、対象事業自体のの全面的な見直しに向けた行政指導を事業者に対し、すみやかに行って下さるよう強く要望します。そのための具体策として、環境省内に累積的影響を多角的に評価するための専門家を交えた検討委員会を早急に設置し、そこで対象事業の内容の丁寧な検討を進めていただくよう強く要望します。
- 2.要望の背景
- 我が国ではイヌワシの生息数がおよそ400羽程度と推定されており、環境省による「レッドリスト2018」では絶滅危惧IB類に指定され、また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律において国内希少野生動植物種に指定されている鳥類です。なお、イヌワシは岩手県では80羽ほどが生息しています。
イヌワシの行動圏はしばしば風力発電施設の建設適地とも重なり合うため、これまでも岩手県内各地でイヌワシ生息地やその周辺地域で風力発電事業が計画され、そのうちの幾つかは現在すでに稼働もしています。その結果として、繁殖や採餌の適地が減少しており、イヌワシの生息環境が脅かされております。過去には釜石広域ウインドファームの稼働によるバードストライクも発生しており、このまま風力発電施設が増加すれば、それに伴うバードストライクの発生が増加する可能性があります。 -
- 希少猛禽類の生息環境の保全について
岩手県の北上高地は特にイヌワシの生息密度が高く、1976年に岩泉町内の5か所のイヌワシ繁殖地が国の天然記念物に指定されています。それは起伏に富んだ風況の良いこの地域の随所に広がる牧野がイヌワシの狩り場となっており、山々を繋ぐ尾根や断崖などがイヌワシの繁殖適地となっているためです。このような地域での風力発電施設の建設と稼働は、イヌワシの生息に対して大きな脅威となります。実際に令和元年4月に稼働を開始した盛岡市の姫神ウインドファームにおいては、以前まで頻繁に観察されていたイヌワシの姿が現在では全く見られなくなりました。また、平成20年9月には釜石広域ウインドファームでは稼働から3年あまりで国内初のイヌワシのバードストライクが発生しております。このような過去の事例への反省に基づく改善策が何ら検討されないまま当該地域で風力発電事業が稼働するとしたら、イヌワシの生息に対する重要な阻害要因となることは必至です。対象事業地域周辺の3か所の繁殖地のうちの2か所は天然記念物に指定されています。従って当会は、対象事業の中止または計画の大幅な見直しを強く求めます。 - 事業者の作成した環境影響評価準備書の問題点について
当該事業を計画した事業者により作成され、本年2月に公告・縦覧された環境影響評価準備書に関して、当会では事業者への「意見」の形でイヌワシ生息環境の保全に関わる多数の問題点を指摘しました。しかし、それらの問題点のほとんどは適正な検討が行われないままで令和2年6月に開催された岩手県環境影響評価技術審査会の検討に付され、その審議結果に基づく形で本年7月21日付けで公表された環境大臣意見の公表に至っております。このままの状態で最終的に当該事業が実行されれば、当該地域周辺のイヌワシの生息環境に甚大な影響が出る恐れがあるため、特に下記の2点について事業者をはじめとする関係者により迅速かつ適正な検討がなされることを強く求めます。- イヌワシ等希少猛禽類の調査ステーションが少ない
準備書によれば、69日間の調査期間内に総数106回のイヌワシの飛来が記録されています。その内で当該事業計画地内への飛来数は50回にのぼります。また飛翔高度の内訳は低(L)9回、中(M)31回、高(H)10回となり、風車のローターの高さでの飛翔が多いことから、バードストライクが発生することが懸念されます。さらに、飛来したイヌワシの個体識別より、3か所の繁殖地からの飛来であることも確認されています。
しかし38か所の調査ステーションのうち、実際に調査が行われたのは平成29年に3か所、平成30年に8~9か所、平成31年~令和元年は3~4か所に留まっております。当該地域が山に囲まれた谷間で周辺が見渡しにくい地形にも関わらず、数少ない調査ステーションで生息調査が実施されていたわけであり、その結果として出されたイヌワシの飛来数の数値の信頼性は高くないと考えざるを得ません。この地域へのイヌワシの飛来数に関しては、令和2年6月の岩手県環境影響技術審査会議事録によれば、審査委員長でイヌワシの専門家でもある由井正敏氏が『計画地内飛来数50回(調査時間8h)を年間に換算(調査時間12h)すると飛来数は397回になる。このような場所に風車を立てることは常識的にあり得ず、種の保存法第34条、及び文化財保護法第128条(B、Dペアは地域指定)にも違反する』との厳しい指摘をしています。また、別の審査委員からは『準備書で事業者が提示したバードストライクの予測確率(0.05/年)の値はイヌワシの生息にはかなりの脅威となる』との意見も出されています。複数の審査委員によるこのような指摘はいずれも、当該事業計画の実施に伴ってイヌワシのバードストライク事故の可能性が高まることへの危惧に基づくと思われますが、環境大臣意見には反映されておりません。 - 事業実施によるイヌワシの餌の減少予測が低い
岩手県内のイヌワシの繁殖率は近年になって極端に低化しており、専門家によればその主な原因は餌不足とされています。当該地域のイヌワシの主要な餌はノウサギ、ヤマドリ、蛇類などですが、実際に今回の準備書で飛来数が最も多かったとされる当該計画地南側の繁殖地でも育雛後期にヒナが餓死した事例が過去に発生しています。また、イヌワシがカモメ類を狙って宮古湾に定期的に飛来したり、オシドリやオオハクチョウを襲うなどこれまでに見られなかった事例が近年は多く観察されるようになり、岩手県内のイヌワシの餌不足がかなり深刻になっていることが覗えます。しかし、準備書では当該事業が実施されてもイヌワシの餌資源が減らないと記されています。この分析はあいまいな餌調査をもとに結論づけられているようですが、当該地域の谷合いにある中洞牧場から南北に広がる牧野の尾根上の森林を東西30haにわたって植生を伐採して風車を建てる当該計画が実施されれば狩場は大幅に縮小し、それに伴ってイヌワシの餌不足も一層深刻化すると予想されます。当該事業が餌不足を引き起こす可能性を過小評価しようとする事業者側の姿勢は、イヌワシの生息環境保護の観点から容認できるものではありません。
- イヌワシ等希少猛禽類の調査ステーションが少ない
- 今年7月21日の環境大臣意見におけるイヌワシ生息環境保全に関わる生育阻害要因の予測とその予防的対策の検討という視点の欠落について
岩手県は岩手県環境基本計画の中で生物多様性を重視する方向性を示しており、地域多様性地域戦略の中で具体的にイヌワシやクマタカなどの生息環境の保全についても取り組んでおります。特に希少猛禽類の生息については配慮書に対する岩手県知事意見と環境大臣意見(平成29年3月31日付)には『イヌワシの生息が確認されていることから、・・・・・鳥類に関する適切な調査、予測及び評価を行い、イヌワシの行動圏に関する情報(餌場等の利用状況等)を明らかにするとともに、その結果を踏まえ風力発電施設等の配置等を検討する』と記載されており、配慮書以後の計画段階で事業者側に対して『適切な調査、予測、及び評価』を行うことを求めております。しかしその後事業者側の作成した準備書では「イヌワシの行動圏に関する適切な調査、予測、及び評価」等の予防的保護措置の検討が不十分なままであり、配慮書段階での岩手県知事意見や環境大臣意見の趣旨を的確に反映させているようには見受けられません。これに関しては、岩手県環境影響評価技術審査会においても複数の審査委員から全く同様の指摘がなされていたことが、公表された議事録に記載されております。しかるに、今年7月21日付の環境大臣意見には、希少猛禽類の生息環境に関わる環境悪化要因の予測とその対策の検討に関する記述が欠落しており、当該事業の稼働後に問題が生じた場合の対策に力点が移っている点で明白な後退が見られます。稀少猛禽類が生息していることを過小評価することは、生物多様性の維持を是とする社会全体の動向に沿うものではなく、岩手県内のイヌワシの生息環境の保全を求める従来までの岩手県知事意見や平成29年3月31日付けの環境大臣意見の趣旨にも反していると言わざるを得ません。従って当会では、まずはこれらの点を含めて稀少猛禽類の生息状況の調査結果を精査し、その結果を踏まえて希少猛禽類の生息環境を損なわないよう十分に配慮する方向で対象事業の計画を全面的に見直すことを強く求めます。 - 当該地域のイヌワシの生息環境保全に関する今年7月21日の環境大臣意見における事実誤認について
事業者の準備書に対する環境大臣意見の中には、イヌワシの生息環境の把握に関して重大な不備が随所に見られます。たとえば、意見書には「対象事業実施区域およびその周辺は・・・・イヌワシの非繁殖期を中心とした餌場になっている」と記載されています。しかし(1)にも記述したように、この地域の近傍には複数つがいのイヌワシの繁殖地があり、私どもの調査結果では当該地域は年間を通じて広範囲かつ高頻度でイヌワシの活動が観察されております。従って環境大臣意見が当該地域を「非繁殖期を中心とした餌場」と限定しているのは事実誤認と言わざるを得ません。また、意見書には「バードストライクの有無、およびイヌワシ・クマタカの飛翔経路の変更に係る事後調査を適切に実施」との記載もありますが、風力発電施設の建設によるバードストライクの発生事例および希少猛禽類の生息状況の悪化に係る事後調査について、日本国内における過去の事例は既に数多く存在しますが、有効な対策は確立されておりません。さらに、「バードストライク等、重要な鳥類に対する重大な影響が認められた場合は、・・・稼働調整等を含めた追加的な環境保全措置を講ずる」とも述べられておりますが、稼働設備数・稼働時期・稼働時間の制限等の『稼働調整』はあくまでも事前の生息状況調査結果から導かれる予測に基づく予防的な保護措置であり、それでもイヌワシの生息環境保護が脅かされる事象が発生した段階において取るべき措置は『稼働停止』以外にはないはずです。 - 鳥類の詳細かつ包括的鳥類生息調査の実施とその調査結果の当該事業計画への反映について
イヌワシの年間予測衝突数に関する予測の妥当性は、対象事業が当該地域のイヌワシの生息環境にどのような影響を与えるかを評価する上で重要な要因の一つですが、事業者の作成した準備書の中ではその部分の記述が極めて不足しており、バードストライクの可能性等についても科学的根拠が明白ではない楽観的な数字が示されているに過ぎません。対象事業の計画地におけるイヌワシの生息密度の高さは、その下地となる豊かな生態系に支えられているものです。従って、イヌワシの生息環境維持のためには当該地域における自然環境の総合的な把握とその保全が欠かせません。多くの野鳥は夜間にも活発に行動しており、渡りも日中のみならず夜間にも行います。また、風力発電施設が完成すれば24時間体制で風車が稼働するにもかかわらず、事業者により実施された環境影響評価の調査方法は必ずしも十分なものではなかったと推察されます。岩手県環境影響評価技術審査会の議事録でも複数の審査委員からこの点について強い指摘があったようですが、そのような指摘も7月21日付けの環境大臣意見には全く反映されておりません。当会は対象事業の計画地とその周辺地域での詳細かつ包括的な一般鳥類生息調査の実施、およびそれにより得られる結果を適切に評価した上で当該地区における生態系の保全の観点から対象事業計画の抜本的見直しを行うよう強く求めます。 - 当該事業の計画全般における自然環境保全と防災の視点の欠落について
対象事業における方法書の段階で24基であった風車の設置基数を準備書では12基に減らし、その代わりに風車を大型にして1基あたりの発電量を増やす形に変更されております。その結果として風力発電施設の高さが山の尾根から178メートルも突出することとなり、このままでは中程度の飛行高度を利用して山の稜線を飛び越えて移動するイヌワシなどの大型猛禽類でバードストライクが生じる可能性が高まります。風力発電施設を尾根に沿って列状に設置すると、上昇気流等を利用して生息している多くの野鳥の行動範囲を狭め、特に猛禽類が餌場や繁殖地を確保する上での障害となる可能性が高まります。さらに、工事に伴って排出される残土の処理、および施設稼働後の土砂流出への対処等は、それらが土砂災害や河川の汚濁の原因となりうるにも関わらず、事業者側の作成した準備書からは事前に適切な環境保全対策を講ずる姿勢が伺えません。特に最近は気候変動の影響によるゲリラ豪雨の被害が全国的に頻発しております。当該事業の計画地も平成28年の台風10号と令和元年の台風19号の被災地ですが、この地域においてその後の災害予防対策が万全になされているとは言えません。当該事業の計画地の面積は1315。2haと広範囲に及ぶことから、事業計画自体も台風10号の峠の神山の357ミリ総降水量を想定したものでなければ、地元住民の安心と理解は得られません。実際に同様の指摘が岩手県環境影響評価技術審査会において複数の審査委員から指摘されています。しかし、7月21日付の環境大臣意見では自然環境保全や防災のための予防的措置を求める方向性は示されずに、当該事業の稼働後に問題が生じた場合の「事後調査」に限定する内容となっており、環境保全対策に消極的な事業者の姿勢を追認する形となっております。仮にこのまま当該事業の計画が実施され、風力発電施設の稼働が開始されると、それに伴い当該地域周辺の環境汚染や山林・河川災害の発生も危惧されます。従って当会は単に野鳥保護に留まらず環境保全や防災の立場からも今回の準備書に記載されている施設の規模や配置等の計画全般の大幅縮小を基本とする見直しを強く求める次第です。 - 風力発電事業計画の累積的影響を正しく評価するための専門家を交えた検討委員会の環境省内への設置について
既に岩手県の北上高地ではグリーンパワー葛巻風力発電所・釜石広域ウインドファームなど多数の風力発電施設が稼働しております。さらにその外縁部には姫神ウインドファーム・高森高原ウインドパークなども稼働中であり、(仮称)折爪岳南(第1期)風力発電事業の建設が予定されています。また対象地域とその周辺地域に限っても、当該事業の計画以外に(仮称)宮古岩泉風力発電事業、(仮称)田野畑岩泉風力発電事業などの計画が進行しており、県南部でもイヌワシの生息地において複数の事業計画が進行しています。このまま風力発電施設が当該地域周辺に林立する状況となれば、稀少猛禽類の生息環境に及ぼす影響は計り知れないものとなり、特にイヌワシの狩場の減少は生息個体数そのものの減少に直結します。従って、このような事態を回避するためには、風力発電施設の計画立案にあたって個別の事業計画区域の枠を超えて累積的影響を正しく評価する体制が必要となります。しかし、現状では複数の風力発電事業者が相互に情報を共有し合うこともなく個別に事業計画とその基礎となる環境影響調査を進めており、その事業計画の審査や許認可についても経済産業大臣が個別に行っているのが現状です。このような状況を改め、岩手県内の稀少猛禽類の生息環境の包括的な保全を図るために、当会としては環境省内に風力発電関連の専門家等による検討委員会を設置し、その委員会を累積的影響の予想される複数の風力発電事業者、複数の鳥類保護団体、県と市町村レベルの行政関係者、鳥類学を含む複数の関連分野の学識経験者、環境省と経済産業省の担当事務官などで構成することにより提案されている事業計画と既存の風力発電施設、あるいは同時進行で行われている複数の事業計画を多角的・総合的な視点から精査するよう強く要望します。そして、その委員会の検討結果を十分に反映する形で経済産業大臣勧告を作成し公表していただくよう経済産業大臣に強く要望します。
- 希少猛禽類の生息環境の保全について
私ども日本野鳥の会は、今後の日本のエネルギー資源として風力や太陽光等の自然エネルギーを積極的に利用する方針について基本的に賛成しております。しかし、それらの設置や運用が貴重な自然環境に悪影響を及ぼすことが予測される場合には、その影響を可能な限り回避・低減する方向で発電設備の配置や施設の形態・稼働期間等を見直すべきであり、それが困難と判断される場合には事業の中止や事業予定地域の変更を検討するべきであると考えております。そして今回はイヌワシ保護の立場から事業者であるSGET岩泉ウインドファーム合同会社に対して上記の7項目に基づき対象事業計画を中止して計画自体を抜本的に見直すよう求めるとともに、経済産業省・環境省・岩手県にはイヌワシ生息環境保全の観点に基づき事業者に対して強力に行政指導を行って頂くよう要望する次第です。
(仮称)遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
(仮称)遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
令和2年8月24日 提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治 ②公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 |
| 住 所 | ①〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル |
| 計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社(石油資源開発株式会社)が作成された(仮称)遊佐町沖洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、下記の通り意見を提出します。 記 (1)現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書という)を縦覧している(仮称)遊佐町沖洋上風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地という)の周辺には既に3事業者により計画が進められている洋上風力発電事業があるが、貴社はこの3つの事業者との協議・調整をしながら計画を進める必要がある。4事業者で協議・調整された事業計画のもと、共同作業も含めた適切な環境影響評価を実施していただきたい。 (2)計画地の東の海岸沿いには数社の風力発電施設(以下、風車という)が稼働していることから、貴社はこれらの風車との複合的な影響(累積的影響)を評価する必要がある。累積的影響について調査および評価した結果を公表するなどして、本件事業単独ではなく、複数事業が地域の鳥類の生息に及ぼす影響を評価していただきたい。 (3)海鳥の生息状況の確認について、質・量ともに十分な調査をすべきであるが、陸性鳥類と違い調査が非常に困難なことから、どのような方法で調査を実施・評価をするのか、具体的に提示すべきである。 (4)洋上での風車によるバードストライクについては、陸上でのそれに比べて、調査・予測・評価が難しいため、貴社のこの事業計画においても綿密に実施されるよう求める。特に、渡り鳥が重要な調査対象となるため、1シーズンでは予測、評価のための情報が不足することから、複数年にわたる調査が必要である。 (5)計画地はオオミズナギドリやアビ類、ウミスズメ類などの渡りの時期および冬季の生息域、かつ、ハチクマ、ハイタカ、サシバなど希少猛禽類の渡りルートの一部となっている。また、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガンやハクチョウ類にとって主要な越冬地である八郎潟(秋田県)と福島潟(新潟県)との渡りの中継地となっているため、計画地への風車の建設および稼働によりバードストライクが発生し、また、障壁影響により生息域および渡りルートの変更といった影響を及ぼすことが懸念される。そのため、海鳥および希少猛禽類などの鳥類の渡りと生息域に対するこれらの影響の回避または低減策を計画の初期段階から検討すべきである。 以上、計画地およびその周辺において、いわゆる発電所アセスのガイドラインにあるような一般的な環境影響評価よりも、利害関係者や専門家とも協議したうえで、さらに詳しい調査の実施を求めるところである。 貴社においても、風車の建設にあたって、鳥類の生息状況を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。 以上 |
(仮称)女川石巻風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
(仮称)女川石巻風力発電事業 計画段階環境配慮書に対する意見書
令和2年8月23日 提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会宮城県支部 支部長 竹丸 勝朗 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略) |
| 住 所 | ①〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
| 計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社が作成された(仮称)女川石巻風力発電事業 計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。 現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)を縦覧している(仮称)女川石巻風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮城県の絶滅のおそれのある野生動植物 RED DATA BOOK MIYAGI 2016にも掲載されているクマタカの生息地と計画地が重なることが予想され、風車へのバードストライクまたは生息地放棄が発生する可能性が高い。
以上の理由から、計画地およびその周辺において、いわゆる発電所アセスのガイドラインにあるような「猛禽類保護の進め方」に準拠した調査方法を用いた一般的な環境影響評価よりも、利害関係者や専門家とも協議したうえで、さらに詳しい調査の実施を求めるところである。 貴社においても、風車の建設計画にあたっては、猛禽類をはじめ野鳥の生息状況等を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。 |
(仮称)由利本荘洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
令和2年8月17日
日本風力開発株式会社
代表取締役社長 塚脇 正幸様
日本野鳥の会秋田県支部
支部長 佐々木 均
秋田県横手市前郷一番町1-21
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
日本雁を保護する会
会長 呉地正行
宮城県栗原市若柳川南南町16
(仮称)由利本荘洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
貴社が計画されている(仮称)由利本荘洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に関して、鳥類の保全の観点から下記の通り意見を述べる。
記
対象事業実施区域(以下、計画地という)に設定されている海域(以下、当該海域という)は、海鳥の重要生息地(マリーンIBA)の指定海域と重複していること、渡り鳥の重要な経路と重なっていること、計画地の周辺で繁殖する希少猛禽類であるミサゴの採餌海域となっていることなどから、鳥類の保全の観点から考えて、計画地から除外されるべき海域である。この海域であえて事業を進めようとするのであれば、鳥類および海洋生態系に対する影響を限りなくゼロにするものでなければならない。
これを実現するためには、綿密な調査に基づいた環境影響評価を行ったうえで風車の設置基数や配置を検討すべきである。
貴社の計画は、当該海域ですでに事業を進める他社と比べても風車のサイズが一回り大きいため、その他社の計画と比べても鳥類への影響はより大きなものになると危惧するものである。そのため、先行する他社が行った以上の綿密な環境影響評価および現地調査の実施を求める。
以下に鳥類を中心に注意すべき項目と、調査における注意点を述べる。
ガン・ハクチョウ類の渡り
- 配慮書図3.1-5(1)によれば、計画地はオオヒシクイ・コハクチョウの渡り経路と重なっているが)、実際にはこれに加えてマガン・オオハクチョウも相当数渡ることが地域住民および当会会員により観察されている。
- 由利本荘市内各地(大内地区・子吉地区・西目地区等)の田畑やため池の大堤はガン・ハクチョウ類の渡りの中継地としても利用されている。洋上を通る群が休息・滞在のために子吉川河口付近等から内陸に入ったり、逆に滞在している群れが移動のために洋上に出たりすることが頻繁に観察されている。離岸距離が近い計画地での風車の建設は、この動きを阻害する恐れがある。
- ガン・ハクチョウの渡りは、最近2年間は降雪量の減少の影響で渡りの時期に変化が起きている。当会が把握しているデータでは由利本荘市付近におけるガン・ハクチョウ類の春の渡りのピークは2019年および2020年とも2月中旬から下旬であり、3月上旬にはほとんど終了していた。調査期間の設定は、その年の天候等をみながら現地の状況に即して臨機応変に行うべきである。
- ガン・ハクチョウ類の秋の渡り時期は10月から11月下旬がこの数年での傾向である。ただし、秋は計画地周辺に長く滞在する群も存在し、日によって行動や天候等が違うことで飛翔高度やルート選択が変わることが多いため、秋は計画地周辺で複数回の調査を実施して、ガン・ハクチョウ類の飛翔状況をよく観察すべきである。
- 12月~2月の越冬期は天候や降雪量によって由利本荘市を含む越冬地と中継地の大潟村を頻繁に往来することがあるため、越冬期においてもガン・ハクチョウ類の飛翔状況をよく観察すべきである。この時期には希少種であるハクガン及びシジュウカラガンの往来が複数回観察されており、特にシジュウカラガンはその個体数が年々増加してことから、それらを見落とさないようによく観察する必要がある。
- 本支部会員は、建設予定地に隣接するにかほ市の漁港に、天然記念物のコクガンが冬季渡来することを確認している。このガンは主に海域を生息場所としており、風車による被害が生じることが危惧される。
カモ類の渡りについて
- 当該海域は多くのカモ類の渡り経路になっていることが、当会会員により確認されている。この中には海ガモだけでなくオナガガモ・マガモなどの淡水ガモが多数含まれている。当該海域でのカモ類の渡りは11月に多くなるが、かつてはこの海域で11月の狩猟解禁に合わせて沖合でのマガモ猟が盛んに行われていたとの狩猟関係者の証言もあることから、当該海域はカモ類にとって重要な渡り経路になっている可能性がある。カモ類は渡る個体数の多さ、休息のために飛行の途中で着水するなど、飛翔高度を頻繁に変える(0m~200m)という飛び方の特徴から、洋上風車の影響を大きく受けることが予想されるため、カモ類も調査項目の対象に含め、適切な影響評価を行うべきである。
カモメ類について
由利本荘市沖には、ハタハタの卵であるブリコを採食するために冬期にカモメ類が集まり、大群を形成する。当該海域に飛来するカモメ類で大部分を占めるオオセグロカモメおよびウミネコは近年、個体数の大幅な減少が報告されており1)、北海道では準絶滅危惧種に指定されている。
カモメ類は世界的にもバードストライクが発生しやすい種群であることが知られるが、主要な越冬地である北海道~東北の日本海側に洋上風車が建設されれば、オオセグロカモメやウミネコなどの飛行が阻害されるほか、バードストライクが頻発する可能性がある。これ以上の希少なカモメ類への人為的影響は最小限に抑える必要があることから、当該海域に洋上風車を建設することは望ましいものではない。
また。工事中の騒音や水の汚濁、稼働後の潮流の変化によりハタハタの産卵に影響が出ることが懸念される。これについても調査して影響を予測すべきである。
その他海鳥について
計画地はアビ、オオミズナギドリ、多くの海鳥の生息地・採餌地と重なっている。またアジサシが渡りの時に通過するのも目撃されている。これらの鳥の渡りの時期を把握し、飛翔実態を調べるべきである。
ミサゴについて
- 当該海域の沿岸部は環境省レッドリストで準絶滅危惧種に指定されているミサゴの繁殖地になっており、当該海域は複数のつがいや幼鳥、亜成鳥にとって重要な採餌場所となっている。日本でも複数羽のミサゴがバードストライクに遭っており、由利本荘市内沿岸でも1件風車による衝突例がある(2018年)。ミサゴはバードストライクの発生率が高い鳥類であると考えられることから、ミサゴが利用する海域には風車を建てるべきではない。
- 子吉川河口は計画地周辺に生息するミサゴの利用頻度の高い場所である。それらミサゴの採餌場所を確保するため、特に河口周辺には風車を建設すべきではない。
ハヤブサについて
- 当該海域の沿岸部は環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているハヤブサの繁殖地になっており、当該海域は重要な採餌場所となっている。特にハヤブサは洋上を渡る小鳥類を頻繁に狙うことが知られており、バードストライクに遭う危険性がある。
その他重要種について
由利本荘市及び隣接するにかほ市にはナベヅル、マナヅル等のツル類が度々立ち寄っており、洋上を飛翔してきている可能性がある。また、春季の飛島で毎年確認されるヤツガシラが由利本荘市でも確認されたことがあり、飛島経由で洋上を飛翔している可能性が高い。これらの渡り鳥についても調べるべきである。
調査時間と天候について
- 鳥類の渡りは夜間にも行われるため、貴社はレーダーを利用するなどして夜間にも渡り鳥調査を実施すべきである。
- ガン・カモ・ハクチョウ類およびカモメ類等の水鳥は晴天時に飛行するとは限らず、むしろ強風時・荒天時によく飛翔する傾向がみられる。そのため、貴社は荒天時にも調査を実施すべきである。また、晴天時と荒天時での飛翔状況の違いを把握すべきである。
調査機器について
- 沿岸からの観測の際には通常の双眼鏡・望遠鏡に加えて、対象物までの距離、仰角、対象物の飛翔高度等を算出することが可能なレーザー測距機等を使用することが望ましい。
予測評価と環境保全措置について
配慮書4.3-38(308)に「影響の程度を適切に予測し、必要に応じて環境保全措置を検討する」とあるが、具体的な保全措置を明記することを求める。
協議会の開催について
上記で述べた調査の結果から得られたデータを地元団体や鳥類保護関係者および鳥類や風力発電の専門家等と共有し、風車の設置位置を決定するための公開の協議会を設けることを求める。
環境に貢献することを理念と掲げる風力発電事業であるからこそ、本計画の実施が由利本荘の海洋生態系に影響を与えないよう、全力で取り組んでほしい。なお、この意見は概要にまとめる際に原文のまま採用することを希望する。
以上
1)
論文名 Long-term declines in common breeding seabirds in Japan(日本における普通海鳥種の長期的減少)
著者名 先崎理之1,照井 慧2,富田直樹3,佐藤文男3,福田佳弘4,片岡義廣5,綿貫 豊6(1北海道大学大学院地球環境科学研究院,2ノースカロライナ大学グリーンズボロ,3山階鳥類研究所,4知床海鳥研究会,5NPO法人エトピリカ基金,6北海道大学大学院水産科学研究院)
雑誌名 Bird Conservation International(鳥類保全学の専門誌)
DOI 10.1017/S0959270919000352
公表日 2019年8月28日(水)(オンライン公開)
「風力発電に関する環境影響評価」の要件緩和に対する意見書
2020年12月15日
内閣府特命担当大臣(規制改革) 河野 太郎 様
環境大臣 小泉 進次郎 様
経済産業大臣 梶山 弘志 様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
「風力発電に関する環境影響評価」の要件緩和に対する意見書
先の第203回臨時国会における菅義偉首相の所信表明演説の中で宣言された2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、内閣府に「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(以下、タスクフォース)が設置されました。12月1日の第1回会議では環境影響評価法にもとづく「風力発電に関する環境影響評価」に対して、河野大臣が風力発電施設への国の環境影響評価の基準緩和を環境省に要請したとされています(12月1日付 日本経済新聞)。この要請について、日本の自然保護と生物多様性保全の観点から以下のように意見を申し述べます。
- 1.環境影響評価法は再生可能エネルギーの導入と生物多様性の保全の両立を図るうえで重要な役割を担っている制度であり、その機能を損ねてはならない
- 開発事業が行われる際に環境影響評価を行うことは、開発行為そのものや立地を規制するものではなく、保全措置を講じることで開発行為がもたらす環境への影響を回避・低減し、地域住民との合意形成を円滑に進めるために必要な手続きです。世界的な気候危機の状況において強く求められる再生可能エネルギーの導入においても、その役割と機能は変わるものではありません。再生可能エネルギーの導入と生物多様性の保全の両立を図るうえで、環境影響評価法は要となる制度として期待されます。今後も法制度を充実していくことが重要です。
- 2.風力発電による環境影響の問題は規模ではなく立地選定によることから、1万kW以上とする現行の規模要件の見直しをすべきではない
- 環境省が2018年に各都道府県と政令指定都市等に行ったアンケートによると、住民からの苦情があった風力発電事業の問題事例において、その70%以上が5万kW以下の事業に対してであることが判明しています(環境省 2018)。風力発電事業による環境への影響は、規模の大小が規定要因ではないことが示唆されます。そのような状況の下、環境影響評価法における第1種事業の対象から1万~5万kWの風力発電事業を外すことは、風力発電事業が環境影響評価法の対象事業になる以前のように、住民との軋轢をさらに深めることとなり、風力発電の導入促進には逆効果となる恐れがあります。
また、風力発電事業が自然環境に与える影響として大きな問題になっている風車への鳥類の衝突(バードストライク)は、発電規模に関係なく立地選定の問題により生じており(浦 2015、Thaxter et al. 2017)、風力発電施設群の総出力が5万kW以下だからといって、鳥類などの自然環境への影響の懸念が少ないとは言えません。そのため、発電規模に関係なく現地の自然環境の特性をふまえた環境影響評価を実施し、環境影響を把握し適切な対応を取ったうえで建設することが重要です。このようなことからも、環境影響評価法の規模要件を現行の1万kWから5万kWに引き上げることを拙速な議論で行うべきではありません。
なおタスクフォースでは、諸外国の規模要件の情報をもとに「規模要件を5万kW以上にすべき」という議論がありましたが、それは米国など一部の国に限るものであり、環境保全と風力発電の導入が進んでいる欧州の多くの国では、より小さな発電規模でも環境影響評価法の対象とされています。さらにデンマークやドイツのような風力発電先進国では規模要件や開発にかかる年数などは日本と同等かそれ以上に厳しくなっており、ゾーニングを伴う戦略的環境アセメントも導入されています。このように環境影響評価を実施する際の規模要件が、再生可能エネルギーの導入促進の妨げになっているとは言えません。
第1種事業の規模要件を5万kWに引き上げた場合には、スクリーニングを行う第2種事業の対象は法の規定によりきわめて狭い範囲になります。そして、第2種事業未満の開発事業は各自治体の条例に基づく環境影響評価において対応することが想定されていますが、現状では、各自治体で規模要件に関する基準や体制の整備が必ずしも整っていません。規模要件の引き上げは、国土全体を視野に入れて環境保全を担う環境省をはじめとする政府の関与を少なくすることになり、無責任な規制改革と評価せざるを得ません。 - 3.環境影響評価の実施期間の短縮は、自然環境の十分な調査と評価ができなくなり、手続きの質の低下を招く
- 環境省が2019年にまとめた資料では、配慮書または方法書から評価書の確定までの所要期間は、従来の平均では43~55ヶ月でしたが、2017年以降は平均では約30ヶ月(2.5年)に短縮したとされています(環境省 2019)。環境影響評価の手続きの各段階には科学的な事実確認が必要です。これ以上の期間の短縮をすることは、重要な生物の現地調査の期間の短縮につながり、文献調査では分からない生物の生息分布や生息実態把握などの調査結果の精度を下げてしまいます。その結果、現地の生物相や生態系を適切に把握できず、事業がもたらす環境影響の評価に誤りが生じることになります。植物においては最低1年以上、希少猛禽類においては2シーズンの営巣期の調査が必要であることは、これまでの環境影響評価の実績と科学的知見からも明らかです。調査期間を短縮することで、風力発電は自然にやさしく、環境配慮を行いながら進める事業といえるものではなくなります。自然環境にとっても迷惑施設になってしまう恐れがあり、風力発電の導入を進めるうえで障害となる可能性があります。
- 4.拙速な要件緩和や期間短縮を進めるのではなく、環境省は早急に検討会を設けてゾーニング制度の充実と規模要件や手続きのあり方を検討すべき
- これまで述べたように、環境影響評価法に基づく手続きを丁寧に進めることにより、環境影響の回避・低減および地域住民との合意形成が促され、社会的な合意が得られた事業は社会的評価をむしろ高め、ひいては風力発電の導入促進に寄与すると考えられます。しかし、このような制度の機能を無視したタスクフォースでの一方的な検討は、情報や検証が不十分なまま進められることなります。河野大臣は、拙速に規模要件の見直しや期間の短縮を環境省へ要請すべきではありません。
風力発電施設をはじめ大規模化する再生可能エネルギーの円滑な導入には、風力発電の導入と自然環境保全の両立を果たしている欧州の環境先進国を見習い、重要な自然環境や希少種の生育生息地、風景地などを回避した適正な立地選定が重要であり、地域主導で導入の促進、保全、要配慮などの区域の選定を伴う、住民が合意して策定するゾーニング制度の導入が必要です。欧州では現に、ゾーニングマップやセンシティビティマップがあるからこそ、余計な地域紛争を生まずに円滑に地域住民との合意形成および立地選定をすることができたとの声を事業者から多く聞くようになっています(日本野鳥の会 2017)。
したがって、環境省は早急に専門家による検討会を設置し、再生可能エネルギーの導入のために、住民合意を含めたゾーニング制度の充実、環境影響評価法の規模要件や手続きのあり方について検討すべきです。
以上
引用文献
- 環境省.2018.「風力発電事業に係る環境影響評価の状況について」 第5回太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会 資料1.
http://assess.env.go.jp/files/0_db/contents/4645_01/siryou_1.pdf - 環境省.2019.「最近の環境影響評価手続状況等について」 環境影響評価制度小委員会(第6回)資料3.
https://www.env.go.jp/council/02policy/y0212_07_mzt03.pdf - 公益財団法人 日本野鳥の会.2017.野鳥と風力発電のセンシティビティマップ‐その作成と活用事例(野鳥保護資料集 第31集).(公財)日本野鳥の会,東京.
- 日本経済新聞.「風力アセス、年度内に緩和を 河野氏、環境省に要請」(2020年12月1日)
- https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66879530R01C20A2PP8000(2020年12月10日閲覧)
- Thaxter C., Buchanan G., Carr J., Butchart S., Newbold T., Green R., Tobias J., 9, Foden W., Brien11 S. and Higgins P.J. 2017. Bird and bat species’ global vulnerability to collision mortality at wind farms revealed through a trait-based assessment. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 284:20170829.
- 浦 達也.2015.風力発電が鳥類に与える影響の国内事例.Strix 31:3-30.
北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る環境影響評価準備書に対する意見書
令和2年8月17日
ひびきウインドエナジー株式会社 御中
「北九州響灘洋上ウィンドファーム(仮称)に係る環境影響評価準備書」に対する意見書
日本野鳥の会北九州支部
支部長 川﨑 実(公印省略)
公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤孝一(公印省略)
- 1.風力発電機の設置数について
- 風力発電機(以下、風車という)1基の出力が当初より大きくなったことで全体の設置数が減り、鳥類にとっての障壁効果が減少したことになるが、依然として以下のような問題がある。
- Aエリアにおける船舶定点調査地点P1・P2では、希少な集団繁殖地(白島)に生息するオオミズナギドリ、そして重要種のヒメウ、その他シギ科、カモ科、カモメ科等、各季節ともエリアの中では最も多くの個体数が確認されていることから、これらの鳥類にとって15基の設置数は大きな障壁となり、また、風車への大規模な衝突死(以下、バードストライクという)が起きるおそれがある。
- 響灘埋立地北岸には既存の10基の陸上風力発電機が稼働中であり、これまで留鳥・渡り鳥のバードストライクが発生しており、また、障壁になっている。それに加え、Dエリアの2基により、さらに障壁影響が増すことになる。
- 2.鳥類の飛翔高度について
- 調査の結果から、多くの鳥類が高度Ⅼ(0~20m)を飛翔しているとしているが、海上の天候と波高によっては、ブレード回転範囲を鳥類が飛翔する可能性がある。特に秋季調査においては、高度10~20mを飛翔するカモメ類等が多く、高度20~30mを飛翔する個体数に近い数となっている。よって、高度Ⅼを飛翔する鳥類もブレード回転範囲を飛翔する可能性があるものとして影響を評価する必要がある。
- 3.渡り鳥調査について
-
- ハイタカ
山口県から北九州におけるハイタカの渡りピークは3月下旬~4月中旬であり(関門タカの渡りを楽しむ会による調査)、比較対象地点での調査といえども、5月7日~12日の調査は適切な時期ではなく、参考にはならない。 - ハチクマ
北九州では9月初旬から10月初めのほぼ1ヵ月間に及ぶハチクマの秋季渡りにおいて、調査は5日間のみで、さらに響灘海上をハチクマが通過する気象条件である南もしくは東寄りの風の日は9月23日のみと推定できる。よって、対象事業実施区域(海域)上空を通過するハチクマの渡りの実態を把握できているとは言えず、影響を予測できるデータ - オオミズナギドリ
準備書には注目すべき生息地として本種の繁殖地である白島に言及しており、白島に近いAエリア内の船舶定点調査においても本種が多く確認されているところから、数年前のNEDO実証研究のデータに頼ることなく、事業者自身による白島における最新の生息状況とその行動実態を調査するべきであった。そうすればさらに精度の高い影響予測ができたはずである。
- ハイタカ
- 4.風車への鳥類の予測衝突回数について
- そもそも風車一基当たりの衝突確率が年間何羽以下であれば影響が軽微であるという基準などについて国内ではこれまでに一切論じられたことは無く、あくまでも事業者独自の見解である。さらに、日本国内に生息する鳥類の個体群に対して回避率を算出した報告事例が無いことや、回避率は立地環境や気象に大きく影響を受ける(※「鳥類衝突リスクモデルによる風力発電影響評価~竹内 亨」)ことから、この計算はオオミズナギドリ等には当てはまらない。いかにもバードストライクの確率・衝突数が極めて小さいことを印象付けるための計算であり、予測衝突数を検証する手段も方法も無く、衝突予測の手法としては極めて不適切である。
- 5.調査回数について
- 国内では、沖合に風力発電施設を設置した場合に発生する鳥類への影響に関する知見が乏しいため、知見の多い海外の洋上風力発電計画に対する海鳥調査を参考にし、実施する必要がある。例えば、
- 1年を通して十分長い期間を確保し、一時期(春と秋のみなど)に集中させない。
- 最低2年間以上
- 船舶による調査は年12回以上(年間を通じて毎月実施)
など。(「海外の洋上風力発電計画に対する海鳥調査の考え方」A.d.Fox et al 2006.I.Ⅿ.D.Ⅿaclean et al 2009)
この度の事業における事前調査としては、- 船舶定点調査:平成30年5月から平成31年2月までの春、夏、秋、各3日間、そして冬季4日間に実施された調査では、実態が十分に反映されているとは言えない。
- 渡り鳥調査:平成30年5月に6日間、9月に5日間に実施された調査は一時期に集中し、夏鳥と冬鳥の渡去・渡来に重要な時期(4月、8月末、10、11月)の調査が実施されておらず、
その調査結果は実態が十分に反映されているとは言えない。
- 6.影響予測について
-
種名など 準備書における影響予測 影響予測が不十分な理由 カモ科 対象エリアの利用頻度少。
飛翔高度Lを確認。
影響は小さい。調査回数は少ないが、トモエガモ61羽も確認されている。カモ科の国内・海外での衝突事例は多く、長距離移動の際は高度Mが多く、影響が小さいとは断定できない。 カラスバト 内陸方向への飛翔は確認なし。
影響は小さい。白島と藍島間など、島嶼間の移動の可能性は十分あり、事業対象区域を高度Mで飛翔すると推測できるため、影響が小さいとは断定できない。 ヒメウ
クロサギ飛翔高度Lを確認。
影響は小さい。2種共に対象エリア内外で確認されており、移動の阻害・遮断の可能性があり、影響が小さいとは断定できない。 オオセグロカモメ 採餌行動と移動の際、風車に接触の可能性あり。
調査では飛翔高度Lが多かった。影響は小さい。接触(衝突)の可能性があるなら、影響は小さいとは言えない。少ない調査回数では信頼性に乏しい。
カモメ科は国内・海外ではタカ科に次いで衝突事例が多く、影響を過小に予測している。コアジサシ 採餌行動と移動の際、風車に接触の可能性あり。
沖合の利用頻度は低く、飛翔高度Lを確認。
影響は小さい。接触(衝突)の可能性があるなら、影響は小さいとは言えない。少ない調査回数では信頼性に乏しい。 カンムリウミスズメ 飛翔高度Lを確認。
影響は小さい。建設工事による影響で移動経路の変更を余儀なくされ、生息放棄の可能性がある。また、北九州市環境影響評価審査会委員によって白島で繁殖の可能性があることが指摘されているため、調査が必要。 ミサゴ 船舶定点調査では23羽、渡り鳥定点調査では63羽確認。
予測衝突回数がやや高いが、回避可能である。
影響は小さいと予測するが、不確実性を伴う。事業対象区域内に広く生息し、確認回数も多い。タカ科特有の高度Mを飛翔する頻度も多く、風車に接触(衝突)の可能性が高い。不確実性を伴うのであれば、影響は小さいとは言えない。過小に計算された予測衝突回数は影響予測を誤らせる結果となる。 ハチクマ 渡り鳥定点調査では事業対象区域上空で256羽確認。その飛翔高度は半数以上がM。
主な渡りルートは対象区域外であり、影響は小さい。秋の渡り時期5日間だけの調査では、事業対象区域を通過する本種の実態を把握できない。専門家の意見として「風車を避ける(論文)」、「海上を渡る数は少ない」とあるが、事業対象区域上空通過が10%であれば、秋の渡りで1万羽近くをカウント(高塔山2017年)した際は、1000羽ほどが通過したということになり、この数は決して少ない数ではない。本種への影響を過小に予測している。 ハイタカ 調査では確認なし。
事業対象区域を通過している可能性もあるが、風車への接触(衝突)の可能性は低い。不確実性が伴う。本種が確認できる時期に調査を実施していないため、影響を予測できるデータがない。よって、風車への接触の可能性が低いというのは誤りである。 ハヤブサ 主な餌場は沿岸部。風車への接触(衝突)の可能性は低い。 Aエリアに近い女島で繁殖の可能性が高く(2014~2015三洋テクノマリン)、海上を渡るヒヨドリ等を狙う際、ブレードに接触(衝突)の可能性がある。 ウミネコ 船舶定点調査では事業対象区域で広く多数確認されているが、影響予測はしない。 カモメ科はタカ科に次いで風車への衝突が多く、鳥類の多様性を守る上からも影響軽減を図らなければならない。
重要種でないという理由は、鳥類の多様性を軽視している。予測衝突回数も高いため影響予測をするべきである。オオミズナギドリ 船舶定点調査で、春~秋に事業対象区域内で多数確認されているが、採餌場所は事業対象区域外。飛翔高度は全てL。
風車への接触(衝突)の可能性低い。本種が生息する春、夏、秋の各3日間の少ない回数では、様々な気象条件下における飛翔高度の違いは十分把握できない。
Aエリアで確認数が多く、風車の設置数も多いため、衝突のリスクが高い。
調査データ不足が否めない中での本種に対する影響予測は誤っている。 - 6.評価の結果について
- ★影響評価は極めて不十分であり、以下の理由により、現時点ではこのまま事業計画は進めるべきではない。
- 洋上風力発電における知見が多い海外の調査方法に比べ、調査回数が全く少ない上に、事業者自身が責任を持てるトランセクト調査を実施していないため、実態が十分に反映されているとは言えない。(再調査が必要)
- AエリアとDエリアの風力発電機は鳥類の大きな障壁となるおそれがある。(設置数削減が必要)
- 実効性ある鳥類衝突防止策が無い。
- 予測衝突回数を検証することができるのか、示されていない。
- 事後調査における鳥類衝突確認と死骸回収の方法が示されていない。
- 「バードストライクの懸念が著しく生じると判断したときには・・・」の判断基準が示されていない。
以上
(仮称)七ヶ宿長老風力発電事業 環境影響評価準備書に対する意見書
(仮称)七ヶ宿長老風力発電事業 環境影響評価準備書に対する意見書
令和2年8月10日 提出
| 項 目 | 記入欄 |
| 氏 名 | ①日本野鳥の会宮城県支部 支部長 竹丸 勝朗 ②公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 |
| 住 所 | ①〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7 ②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル |
| 環境影響評価準備書についての環境の保全の見地からの意見 |
この度、貴社が作成された(仮称)七ヶ宿長老風力発電事業 環境影響評価準備書について、次のとおり意見を提出します。
以上 |
(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
令和2年8月7日
大和エネルギー株式会社
代表取締役社長 濱 隆 様
日本野鳥の会和歌山県支部
支部長 中川 守
〒644-0022
和歌山県御坊市名田町上野1465
公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤孝一
〒141-0031東京都品川区
西五反田3-9-23丸和ビル
(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書
貴社が計画する(仮称)DREAM Wind 和歌山有田川・日高川風力発電事業に係る事業実施想定区域(以下、計画地という)には、計画地にある尾根を挟んで両側の谷部および斜面を行動圏とする複数つがいのクマタカが繁殖しており、それらの行動圏は計画地内にほぼすき間なく並んでいる状況であることを当会らによるこれまでの観察から確認している。また、計画地にある尾根筋には県内でも特に貴重な自然林が残されており、絶滅危惧種を含む多くの鳥類の生息地となっている。貴社が計画地に風力発電施設を建設すると、クマタカを中心とする希少鳥類の繁殖に対しバードストライクや生息地放棄など多大な影響を与える可能性が高いため、希少鳥類保全の見地から計画の中止を求める。
なお、本計画が方法書作成の段階に進むことを容認するものでは一切ないが、もし環境影響評価のための現地鳥類調査を行う場合、下記の点に留意すべきである。
記
- クマタカの繁殖状況について、県内の多くの地域でクマタカは隔年で繁殖する傾向が確認されているため、猛禽類の保護の進め方に従って2営巣期の調査を行うとしても、3~4年間の調査を実施し、繁殖した実績のある2年分のデータを取得して影響評価に臨むこと。
- 計画地は、多くの猛禽類の種の渡りルートとなっている可能性が高いが、この地域ではこれまでに継続して渡り鳥調査が行われてはおらず、環境省が公開しているデータでは、計画地は猛禽類の渡りコースに含まれていない。しかし、これはこれまでに渡り鳥の調査がされていないためであって、渡りコースではない、ということを意味するものではない。そのため貴社は、計画地およびその周辺に猛禽類等の渡りルートがあるものとして、現地鳥類調査の内容を考える必要がある。
なお、計画地にある山脈の延長線上である日の岬では多くの猛禽類の渡りが確認されていることから、計画地においても継続して調査を行えば、相当数の猛禽類の渡りが確認されると考える。 - 隣接する既存の風力発電施設における事前、設置工事中、事後の鳥類のモニタリング調査の結果を当該事業者と共有および加味したうえで、貴社による計画により鳥類への影響をどれだけ与える可能性があるかを評価する累積的影響評価を実施すべきである。
以上







