オオジシギ保護調査プロジェクト

繁殖地・越冬地で個体数が減少

2012年、2013年にシブノツナイ湖で繁殖したオオジシギ。
2012年、2013年にシブノツナイ湖で繁殖したオオジシギ。足に標識のフラグをつけた 撮影/髙﨑成人

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ブログ オオジシギ渡りルートの調査

 日本野鳥の会は、2016年より生息個体数の減少が懸念されているオオジシギの調査と、その生息地である勇払(ゆうふつ)原野(北海道苫小牧市)の保全に向けたオオジシギ保護調査プロジェクトを行っています。
 オオジシギは全長約30cm、日本で繁殖しオーストラリアで越冬する渡り鳥です。北海道を主な繁殖地とし、本州や九州、またロシア極東の一部でも繁殖が確認されています。環境省版レッドリストでは、本州中部で生息地が減少しているという理由から準絶滅危惧種(NT)となっています。また、北海道でも十勝地方で行なわれた調査で、1978~91年と2001年を比較して個体数が減少していることが指摘されています(※1)。さらに、越冬地であるオーストラリアでも越冬数が減少しているとされていますが、近年は調査が行なわれていないためよくわかっていません。また、渡りの主要な中継地も把握されていない中、渡りの際に利用すると考えられる内陸湿地の減少も懸念されています。

渡りの中継地として勇払を利用

渡りの中継地

 当会では2000年からウトナイ湖サンクチュアリを中心に、「勇払保全プロジェクト」として勇払原野の鳥類調査を行ない(※2)、05年度末には「勇払原野保全構想報告書」をとりまとめ、行政機関等にその保全を働きかけています。01 ~03年の鳥類調査では繁殖期のディスプレーを確認し、1千29羽のオオジシギに装着した標識やフラグから、当地が重要な中継地であることも判明しました(※3)。10年にわたる働きかけの結果、勇払原野は遊水地としての利用が決定し、湿地環境が確保されることになりました(※4)。一方で、勇払原野はこの10年間でブロッコリーの大規模試験栽培用地として利用されるなど、生息環境と個体数の減少が懸念されます。

オオジシギと勇払の自然を保全

オオジシギの生息状況

 そこでこのプロジェクトでは、勇払原野を含め、主要繁殖地である北海道におけるオオジシギの生息状況とともに、衛星追跡により渡りの中継地や越冬地を明らかにすることで、保護すべき地域や環境を特定し、保全活動に結びつけていきます。普及活動の一環として、オオジシギの生態を紹介した小冊子「おかえりオオジシギ」を道内の小学生に配布、展示や講演会などイベントを通じてオオジシギの生態と勇払原野の豊かな自然を紹介します。
 オーストラリアでオオジシギの越冬する湿地の調査や普及活動を行なっている研究者やNGOと交流し、保護のための国際連携も目指しています。苫小牧市在住で調査に参画した子どもたちとともにオーストラリアを訪問し、現地との交流を通じて勇払原野の貴重な自然や越冬地としての重要性を実感してもらいます。

※1 北島幸恵・藤巻裕蔵 2003 北海道十勝平野におけるオオジシギGallinago hardwickiiの生息動向 山階鳥学誌,35 :12-18 2003
※2『野鳥』2001年9・10月号 ※3『野鳥』2002年8月号
※4『野鳥』2015年4月号


◎このプロジェクトは、長年ウトナイ湖サンクチュアリをご支援いただいた故・越崎清司様からのご遺贈を活用させていただきます


勇払原野におけるオオジシギ個体数

2017年に勇払原野で行った調査では、2001年と比較しておよそ3割減少していた。

オオジシギとは

ディスプレイ飛行

シギ科タシギ属。学名Gallinago hardwickii 全長約30cm。
ずんぐりとした体に長いクチバシを持つ渡り鳥です。

夏は主に北海道の草地や本州の山地の草地、ロシアの一部で繁殖し、冬にはオーストラリア周辺で過ごします。渡りの途中で水田や湿地などで観察されることがありますが、詳しい渡りのルートや中継地はわかっていません。

繁殖地の草原ではオスが「ズビャーク」とか「ジーエップ」と鳴きながら飛びまわり、尾羽を広げてバリバリと音を立てながら急降下するユニークなディスプレイ飛行が見られます。その大きな音から、地方によっては「カミナリシギ」と呼ばれ親しまれています。

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渡りルートの調査

オオジシギ渡りルートの調査

 オオジシギにとって必要な環境や重要な生息地・中継地を明らかにし、適切な保全を行なうことを目的に、渡りルートを探る調査をおこなっています。2016年の衛星追跡調査では、世界で初めてオオジシギが北海道苫小牧市からニューギニアまでの太平洋上5,000km以上を6日間、ノンストップで渡ることを明らかにしました。調査は2020年にも実施を予定しています。
詳しくはこちら

Q&Aはこちら

調査の様子(HTBニュース映像)
当会のオオジシギ調査の様子が紹介されています。

【HTB Hokkaido News】
カムイの鳥の軌跡 ~オオジシギ 二つの物語~
北海道テレビ(HTB)が2017年に制作し、2018年8月14日に北海道内で放映された「カムイの鳥の軌跡 ~オオジシギ 二つの物語~」が、HTB公式Youtubeチャンネルに公開されています。オオジシギの渡りの謎を追う科学者たちの挑戦を記録したドキュメンタリー番組で、2017年度科学放送高柳賞「最優秀賞」の受賞作品です。当会職員も出演しています。ぜひご覧ください。
【HTBセレクションズ】
【北海道onデマンド】

ファクトシート1 渡り経路の衛星追跡(PDF 230KB)

個体数の調査

 日本のオオジシギ生息数については、1985年に行なわれた調査での北海道の推定個体数3万6千羽という数値以降のデータがありませんでした。
 オオジシギのおかれている現状を把握し、保全のための資料とするため、北海道内では個体数調査を、全国では繁殖状況のアンケート調査を行いました。

(1)勇払個体数調査

オオジシギの勇払個体数調査

 2017年に、勇払原野でディスプレイ飛行をしている個体数を数え、過去に行われた調査結果と比較してどの程度減少しているのかを明らかにするための調査を行いました。その結果、ウトナイ湖や弁天沼を含む勇払原野西部で77羽が観察され、107羽が記録された2001年と比較して30羽、およそ30%減少していることを明らかにしました。


ファクトシート2 勇払原野における個体数調査1(PDF 285KB)
ファクトシート3 勇払原野における個体数調査2(PDF 250KB)

 2019年にも2017年と同様に勇払原野で調査を行い、個体数が2000年の107羽から63羽に減少したことを確認しました。この調査は子どもたちが「オオジシギ調べ隊」として参加しました。

オオジシギ ズビャークくん「ズビャーク」

日豪合同生態調査の様子(HTBニュース映像)はこちら

(2)全道個体数調査

オオジシギ ズビャークくん「道産子ですから」

 2018年に道内の当会連携団体(支部)の協力を得て全道で個体数調査を行いました。推定個体数は35,000羽、草地や湿地が重要であるという結果を得ました。この調査は子どもたちが「オオジシギ調べ隊」として参加しました。


ファクトシート5 北海道におけるオオジシギの繁殖個体数の推定(PDF 240KB)

繁殖状況の調査

オオジシギ ズビャークくん「放電中」

繁殖期のオオジシギの生息状況の現状を把握するため、2018年に文献による調査と本州以南の当会連携団体(支部)へのアンケート調査を行いました。22県で過去20年間に繁殖の記録があり、56か所の繁殖地の半数以上が消失か個体数の減少傾向にあることがわかりました。


ファクトシート4 本州以南におけるオオジシギの繁殖状況(PDF 435KB)

小冊子『おかえりオオジシギ』の配布

オオジシギ ズビャークくん「いいんでないの」

知られているようで知らない鳥「オオジシギ」に関する基礎知識を子どもたちに知ってもらい、郷土の自然に目を向け、そこに住む生きものたちの素晴らしさを実感していただくため、2018年に小冊子『おかえりオオジシギ』を制作しました。2020年まで3年間に渡り、道内の小学4年生に配布をおこないます。

イベントなどの普及活動

オオジシギ ズビャークくん「わーい」

勉強会や渡り鳥講座、イベントのブース出展などを通して、オオジシギを知っていただくための普及活動を行っています。
2019年6月には「柳生博と巡る勇払原野ツアー」、シンポジウム「柳生博と学ぶ勇払原野の魅力~安平河川道内調整地の賢明な利用を考える」を開催、苫小牧市民の皆さんといっしょに様々な角度から勇払原野について学びました。

国際交流


オオジシギ ズビャークくん「ぺこっ」

地球規模で渡りをするオオジシギの調査・生態研究を通じて、国内外で市民~研究者の交流の輪が広がりつつあります。苫小牧市とオーストラリアの子どもたちも、お互いの調査地を訪問して交流を深めています。国際交流の事例をいくつかピックアップしてご紹介します。

その他、最新の活動情報はFacebookをご覧ください。

オオジシギ保護調査プロジェクトfacebook

絶滅危惧種保護への寄付はこちら

風力発電に対する鳥類のセンシティビティマップ作りに関する検討会を開催します

 当会は、「(略称)風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会」を立ち上げました。風力発電の導入が進むと予想される地域で、風力発電の導入推進側と野鳥保護側とで協議を重ねながら、双方が活用できるようなセンシティビティ(風力発電と野鳥の脆弱性)マップを作成すべく、議論の過程を記録し、その中で現れた諸課題への対応策を見出しながら、広く国内にマップ作りの必要性を訴えていきます。今後、検討会を随時開催する予定です。

【第1回検討会】

  • 3月14日(月)13~17時
  • アリアル会議室・五反田駅前本館(東京都品川区・JR五反田駅前)

〈20名まで一般傍聴者を募集〉
傍聴希望者は、タイトルを「マップ作り検討会傍聴希望」として、氏名、住所、連絡先(eメール)、所属先、当会員の有無を必ず記載し、3月7日(月)までに[email protected]までメールで申し込んでください(応募者多数の場合は抽選とし、当選者は3月10日(木)までに通知をもって代えさせていただきます)。

世界一斉個体数調査(2015年)

2015年12月8日

2015年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施されている「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2015年の結果がこのほどまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピンなど東南アジア一円の自然保護団体が参加し、実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2015年の国内での調査は1月16日~18日に8県44か所、62名を超える協力者を得て行われました。

1.2015年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

2015年1月16日~18日に、クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査を行いました。
2015年の調査では前年を大幅に上回る3,259羽が確認されました。前年の2,726羽と比べると、19.3%(+533羽)の増加となり、初めて3,000羽を越えました。
最大の越冬地は台南で、世界の61%にあたる1997羽が確認されています。台湾全体では、62%にあたる2,034羽が確認されています。
今回の結果では、台湾、后海湾、日本で個体数が増加し、韓国、マカオ、中国ではやや減少しました。大幅な増加は、台南(台湾)、后海湾(香港、深セン)、熊本(日本)の3か所の主要サイトでの増加によるもので、その他の地域ではほぼ前年と同じでした。生息環境の状況は変わらず、大きな環境破壊や環境の悪化はみられませんでした。

表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数

場所 2014年調査 2015年調査 前年比
台湾 1,659 2,034 +22.6%
后海湾(香港、深セン) 252 411 +63.1%
日本 350 371 +6%
中国本土 339 330 -2.7%
マカオ 60 55 -8.3%
ベトナム 40 40
韓国 26 18 -30.8%
フィリピン 0 0
タイ
カンボジア 0 0
合計 2,726 3,259 +19.6%

原文のリリース元
2015 Black-faced Spoonbill
Results of International Census : Press Release of The Hong Kong Bird Watching Society

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

2015年の調査では、日本では前年よりも21羽多い(6%増)、計371羽が確認された。県別では、熊本県の130羽が最も多く、福岡県82羽、鹿児島県60羽と続き、佐賀県40羽、沖縄県28羽、宮崎県16羽、山口県15羽であった。


図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移


図2. クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移

「シンポジウム‐鳥と風の通り道」開催のお知らせ

シンポジウム 鳥と風の通り道 -渡り鳥の魅力とその保護-

「シンポジウム‐鳥と風の通り道」開催のお知らせ

「シンポジウム‐鳥と風の通り道」開催のお知らせ

日時
2016年1月24日(日)
13:00~17:00(開場12:30)
場所
立教大学 7号館 1階
【7102教室】
東京都豊島区西池袋3-34-1 JR各線・東武
東上線・西武池袋線・東京メトロ丸ノ内線/有楽町線
副都心線「池袋駅」下車。西口より徒歩約7分/
C3出口より徒歩約3分。
プログラム
13:00~13:15
あいさつ
13:15~13:45
「鳥は旅人・・・スズメもカラスも渡り鳥?」
講師:安西英明氏 (日本野鳥の会)
13:45~15:00
★基調講演★
「鳥の渡りと地球環境の保全」
講師:樋口広芳氏(東京大学名誉教授)
15:15~15:45
「渡り鳥とフライウェイ -現状と課題-」
講師:澤 祐介氏(バードライフ・インターナショナル東京)
15:45~16:15
「カモたちが渡る道、通(かよ)う道」
講師:田尻浩伸氏(日本野鳥の会)
16:15~16:45
「猛禽類の渡りに立ちはだかるモノ」
講師:浦 達也氏(日本野鳥の会)

【主催】(公財)日本野鳥の会 【共催】立教大学理学部
【協賛】大正製薬株式会社 【助成】経団連自然保護基金

シンポジウムに関するお問い合わせは
(公財)日本野鳥の会・自然保護室 TEL;03 (5436) 2633/eメール;[email protected]


【要旨】シンポジウム‐鳥と風の通り道‐

 日本でも多くみられる渡り鳥には国境や県境がなく、国や地域の自然と自然をつなぎながら生活を営んでいます。そうやって広い世界を飛び回ることができる渡り鳥は人々の憧れであり、魅力的なものです。一方、渡り鳥の中継地や越冬地が乱開発等により利用できなくなっている場所があり、その生存に影響を受ける場合があることも事実です。このシンポジウムでは、鳥の渡りへの理解を深めつつ、彼らが置かれた現状について学んでいただけることを期待しています。

基調講演「鳥の渡りと地球環境の保全」樋口広芳氏(東京大学名誉教授)

 渡り鳥はいくつもの国にまたがって移動します。したがって、渡りの過程でいろいろな環境問題に遭遇します。それは生息地の破壊、化 学汚染、風発施設との衝突、密漁などです。渡り鳥の 保全のためには、鳥がどこでどんな環境問題に遭遇しているのかを明らかにする必要があります。そのためには、渡りの経路を明らかにしなければなりません。本講演では、高度情報通信技術を利用した渡りの追跡例と、それに よって進展した保全活動の事例を紹介します。

プロフィール;横浜生まれ。東京大学大学院博士課程修了。東京大学名誉教授、慶應義塾大学特任教授。主著「鳥たちの生態学」、「鳥たちの旅」、「生命にぎわう青い星-生物の多様性と私たちのくらし-」、「日本のタカ学‐生態と保全‐」、「鳥・人・自然‐いのちのにぎわいを求めて‐「日本の鳥の世界」のほか、論文執筆多数。

「鳥は旅人・・・スズメもカラスも渡り鳥?」 安西英明氏(日本野鳥の会)

 私たちが出会う野生の命は、生きのびた一部でしかありません。日本の野鳥633種も例外ではないし、彼らの多くは旅人でもあります。各地で普通に見られる約110種の中で、1年中見られるのは50種 以下。その中でもウグイスやウソなど大陸から渡って来るものもいるらしいし、留鳥とされるキジバトやカイツブリは北海道では夏鳥、セキレイ類は沖縄では冬 鳥です。スズメでさえ、若鳥が秋に移動することがわかってきました。あなたが出会う野鳥は、どんな旅人なのでしょうか?

プロフィール;日本野鳥の会・主席研究員。1981年、日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリに初代レンジャーとして着任後、野鳥や自然観察、環境教育等をテーマに講演、ツアー講師などで全国や世界各地を巡る。解説担当の野鳥図鑑は45万部以上発行、ラジオ出演は30年以上。日本環境教育フォーラム理事など。

「渡り鳥とフライウェイ -現状と課題-」 澤 祐介氏(バードライフ・インターナショナル)

 フライウェイとは、渡り鳥の渡りルートを地域レベルで包括的にくくった範囲のことで、日本は、東アジア・オーストラリア地域フライウェイに属しています。このフライウェイには、200種以上、5,000万羽以上の渡り性水鳥が生息していますが、そのうち33種が世界的な絶滅危惧種であり、中には年間9%もの速度で減少している種もいます。これらの危機的な鳥を守るための国際的な枠組みやバードライフで実施している取組について紹介します。

プロフィール;大学院生時代に北アルプス乗鞍岳でライチョウの研究に従事。卒業後、民間会社に勤める一方、ユリカモメの越冬地における個体群動態を研究し、2014年1月から渡り鳥の保護プログラム担当として、バードライフ・インターナショナル東京で勤務。

「カモたちが渡る道、通(かよ)う道」 田尻浩伸氏(日本野鳥の会)

 川や池で目にすることができるガンカモ類の多くは春から夏にシベリアなどで繁殖し、いくつかの中継地を経由して越冬のために日本に飛来します。越冬地では、彼らは安全な湿地でねぐらを取り、周辺の水田などで採食していますが、よく利用する場所があるようです。そこがどのような場所で、保全のためにはどのような配慮が必要か、石川県片野鴨池で実施したマガンやトモエガモの渡りや採食地選択に関する調査結果から考えます。

プロフィール;日本野鳥の会・保全プロジェクト推進室室長。2009年に石川県片野鴨池におけるカモ類の保全についての研究で学位を取得した、カモ類のスペシャリスト。現在は伊豆諸島でカンムリウミスズメ、北海道でタンチョウやシマフクロウの保護事業を統括している。日本鳥学会和文誌編集委員。

「猛禽類の渡りに立ちはだかるモノ」 浦 達也氏(日本野鳥の会)

 風力発電が鳥類に与える影響としてバードストライクは有名ですが、風車が鳥類の渡り経路および塒や営巣場所と餌場の間にある移動経路上に存在することで、鳥類の飛行を阻害する障壁影響については、国内ではほとんど知られていません。この障壁影響について、日本野鳥の会が愛媛県・佐田岬半島や北海道・宗谷岬などで調べた事例とともに、海外事例も紹介しながら、今後、日本でどうすれば渡り鳥に影響のない風車を建設できるか考えます。

プロフィール;日本野鳥の会・主任研究員。学生時代は北海道でオオジシギの繁殖生態を研究。2005年に野鳥の会へ入局、Strixの編集や絶滅危惧種の保護活動を担当。現在は風力発電が野鳥に与える影響の調査研究や国内外の情報収集とその普及、政策提言活動などを行い、風力発電と野鳥の分野のスペシャリスト。

「福島の原発被災地を訪ねるエコツアー 第2弾」開催します

このツアーは無事終了しました。

萱浜

 去る2013年7月に原発被災地を訪ねて自然環境や社会環境の変化を知るツアー「福島の原発被災地を訪ねるエコツアー」を実施しました。
 このツアーでは被災地の農業・漁業関係者など様々な分野にわたる地元の方々の案内により、人々の生活が途絶えることで変化した自然環境や野生生物への影響、また人々の生活への影響を目の当たりにしました。
 2年が経過して、自然環境はどう変改しているのか、復興は進んでいるのか。福島の原発被災地を再び訪れます。現地で調査を続ける当会職員の案内に加え、今回も多くの現地ガイドの方にご協力をいただき、直接お話を伺います。
 参加ご希望の方は、下記ツアーチラシをご覧ください。なお先着順となりますので、定員に達した際にはご了承ください。

旅行概要
  1. 日程:2015年9月10日(木)~12日(土)
  2. 主な訪問予定地:相馬市、南相馬市、飯館村、浪江町、富岡町、楢葉町
  3. 旅行代金:52800円
  4. 募集人員:35名
  5. 交通:東京駅より往復バス利用
  6. 同行:日本野鳥の会 安藤康弘(会員室室長)、山本裕(自然保護室チーフ)/現地ガイド
  7. 旅行企画・実施:株式会社阪急交通社
ツアーチラシ
ツアーチラシ<PDF>【 表面(PDF 1.95MB)・ 裏面(PDF 1.48MB)】
申込み
ツアーの申し込みは阪急交通社(連絡先はチラシご参照ください)に直接ご連絡ください。
ツアー内容の問い合わせ
日本野鳥の会 会員室 (電話:03-5436-2630)


 >>> 2013年に開催したエコツアーレポートを読む

多摩川河口の自然を考えるシンポジウム2015開催のお知らせ

「多摩川河口の自然を考えるシンポジウム 2015」

多摩川河口

主催:
日本野鳥の会神奈川支部
日本野鳥の会東京
共催:
(公財)日本野鳥の会
後援:
(公財)世界自然保護基金ジャパン
(公財)日本自然保護協会
会場:
ラゾーナ川崎5階「プラザソル」(JR川崎駅歩5分)
(川崎市幸区堀川町72-1ラゾーナ川崎  電話044-874-8501)
日 :
2015年10月31日(土)
開場:
13:00
開演:
13:30~18;30(予定)
入場無料・先着200名

東京湾で最大規模の河口干潟がある多摩川河口は、シギ・チドリ類を始め干潟生物の宝庫です。その干潟に(仮称)羽田連絡道路の建設が予定されています。皆さんで多摩川河口干潟の過去、現在、未来を考える集いにしたいと考えています。

講演内容

持続可能性アセスメントと合意形成 原科幸彦(千葉商科大学)
多摩川河口干潟のシギ・チドリ類 守屋年史(バードリサーチ)
水面からみた東京湾と羽田空港の浜辺 長谷川 充弘(大森青べかカヌークラブ)
世界のウェットランドの現状と問題 前川聡(世界自然保護基金ジャパン)
羽田空港周辺・京浜臨海部の連携強化
((仮称)羽田連絡道路の整備)
川崎市
川と海の繋がりを考える社会システム 清野聡子(九州大学)

パネルデスカション(予定)
鈴木茂也(日本野鳥の会神奈川支部)・葉山政治(日本野鳥の会)・志村智子(日本自然保護協会)井口利枝子(とくしま自然観察の会)・原科幸彦・守屋年史・長谷川 充弘・前川聡・清野聡子

場所等の詳細は、http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/を御覧ください。

■懇親会も同じ会場で予定(参加費:約3000円)しています。
以下石井隆までご連絡頂ければと思います。当日参加も可能です。

問い合わせ先:
日本野鳥の会神奈川支部 TEL045-453-3301(月・水・金 11時~15時)
(石井隆[email protected]

全国鳥類繁殖分布調査にご協力お願いします

日本の鳥の今を描きませんか?


写真/(K)川島賢治 (M)水野マリ子

 全国的な鳥類の繁殖状況を把握する、環境省による「全国鳥類繁殖分布調査」が過去2回、1970年代と1990年代に行なわれました。この調査結果によって初めて全国的な鳥類の分布の比較が可能となり、レッドリストにヨタカやアカモズが掲載されたり、日本の生物多様性評価で草原性の鳥の減少が明らかになりました。
 近年はシカの増加、外来種の分布拡大、気候変動などによる鳥類の分布状況の変化やさらなる草原性の鳥類の減少などが心配されています。前回調査から20年近くが経った現在、思いがけない変化が起きているかもしれません。3回目の調査が必要な時期に来ていますが、環境省では調査のための予算のめどが立っていません。
 そこで、日本野鳥の会、バードリサーチ、日本自然保護協会、山階鳥類研究所、日本鳥類標識協会の5団体と環境省生物多様性センターの共同事業として、この調査を実施することになりました。調査地だけでも全国で約2,300か所もある大規模な調査のため、会員の皆さまの協力なしには成功させることができません。昨年から、調査コースの確認やホームページの準備などを進め、この度、調査協力者の登録ページをホームページにアップしました。ご協力いただける方は、まず調査員情報をご登録ください。
 調査は2016年度から開始する予定で、お住まいの近くなどで担当ルートの調査をしていただきます。ぜひ皆さまのご協力をお願いします。

詳しい情報は、専用ホームページをご覧ください
http://bird-atlas.jp/index.html


主催団体:
日本野鳥の会、バードリサーチ、日本自然保護協会、山階鳥類研究所、日本鳥類標識協会、環境省 生物多様性センター

実施期間:
2016年~2020年の4~8月(5年間)
調査方法:
ラインセンサスとアンケート調査
参加の方法:
ホームページ内「参加者募集中」より登録

https://db3.bird-research.jp/~birdatlas/volunteer.html
※参加者登録をされた方には、希望する調査コースの選択できるURLを記載したメールが届きます。


調査のスケジュール

調査は来年度からスタート。5年間で約2,300か所全ての調査を終える予定。

全国の調査コース

ホームページ上では、全国各地にある調査地が赤いポイントで表示されている。参加者登録をすると、詳細な調査コースを選べるようになる。

Strix Vol.31

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目次
1MB
Strix編集部:特集にあたってStrix 31 1-1.
0.5MB
浦達也. 2015. 風力発電が鳥類に与える影響の国内事例. Strix 31 3-30.
0.5MB
田尻浩伸・松本潤慶・手嶋洋子・浦達也. 2015. 風力発電施設の立地適正化を求めるための活動指針~根室市フレシマ地区の風力発電施設建設計画から~. Strix 31 31-52.
1MB
畦地啓太. 2015. ドイツにおける風力発電所立地ゾーニングの取組み. Strix 31 53-66.
1.7MB
植田睦之・島田泰夫・福田佳弘・三上かつら・環境省自然環境局野生生物課. 2015. オジロワシとオオワシは風車を避けて飛ぶ? Strix 31 67-75.
4.7MB
白木彩子・猪野雅史・金岩稔. 2015. 定点観察調査による鳥類飛翔頻度の推定精度向上に向けた検討. Strix 31 77-86.
1.4MB
藤巻裕蔵. 2015. 北海道中部・南東部におけるキセキレイとハクセキレイの繁殖期の生息状況. Strix 31 87-96.
1.7MB
代島慶一・伊澤雅子・石田健. 2015. 森林下層部食痕によるノグチゲラ Sapheopipo noguchii の生息状況確認. Strix 31 97-111.
1.5MB
西教生・別宮(坂田)有紀子. 2015. ハイマツのない富士山でゴヨウマツの種子を貯食するホシガラス. Strix 31 113-123.
3.3MB
河野裕美・水谷晃. 2015. 仲ノ神島および西表島におけるオジロワシの初越夏と繁殖海鳥類への影響. Strix 31 125-134.
1.8MB
三上修. 2015. 青森県青森市におけるサシバの2013年・2014年の繁殖について-抱卵の交替・ヘルパーの存在・餌生物-. Strix 31 135-145.
1.8MB
山本裕・金田京子・菊池健. 2015. ルリオハチクイ Merops philippinusの日本初記録. Strix 31 147-151.
2.3MB
上出貴士. 2015. 和歌山県日高町におけるアメリカウズラシギ Calidris melanotos の春季の観察記録. Strix 31 153-157.
0.8MB
中井節二・梅垣佑介. 2015. 三重県紀宝町におけるヤドリギツグミ Turdus viscivorus の越冬記録. Strix 31 159-163.
1MB
手井修三. 2015. ホオジロにおける一夫二妻繁殖の可能性. Strix 31 165-172.
1.1MB
山路公紀・林正敏. 2015. ジョウビタキの巣の構造と材料. Strix 31 173-179.
1.4MB
滝沢和彦・細野哲夫. 2015. 長野県北部におけるトラフズク Asio otus のペレット分析. Strix 31 181-188.
1.5MB
佐藤重穂・山﨑浩司・橋本裕子・西村公志. 2015. 高知県におけるソデグロヅルの初記録. Strix 31 189-192.
1MB
大脇淳・高橋雅雄・本間穂積・金子良則・柴田直之・永田尚志. 2015. 野外で死亡したトキの胃内容物. Strix 31 193-200.
0.8MB
中津弘・大西敏一. 2015. 佐渡航路におけるアオツラカツオドリの観察記録. Strix 31 201-204.
1MB
佐藤智寿. 2015. 伊豆諸島におけるヤイロチョウの観察初記録. Strix 31 205-207.
0.8MB
高橋雅雄. 2015. 佐渡島におけるミゾゴイの営巣初記録と生息状況. Strix 31 209-213.
1.2MB
羽地邦雄・籠島恵介. 2015. 沖縄県多良間島におけるミサゴによるミフウズラ採食の観察記録. Strix 31 215-218.
1MB
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野鳥保護資料集 第29集「シンポジウム 野鳥と洋上風力発電 ‐ 野鳥保護と自然エネルギーの共存を目指して」

第26集「風力発電が鳥類に及ぼす影響の調査マニュアル」の表紙の写真

 現在、地球温暖化防止のための自然エネルギーとして、世界的に風力発電施設の導入が進んでいます。しかし騒音や景観、野生動物への影響を懸念する声が増えてきたこと、また風況がよく送電系統を確保しやすい場所での建設が進んだことで、欧州や日本など国土の狭い国では近年、陸上での建設適地が減少しています。そのため現在は、陸上よりも風況がよく安定しており、近隣住民への騒音問題も発生しにくい洋上風力発電の導入が各国で注目されています。特に、英国とデンマークは積極的に洋上風力発電の導入を進めており、すでにどちらの国でも300基以上の洋上風力発電が建設されています。
 一方、わが国では環境省や経済産業省、NEDOによる洋上風力発電の技術研究開発がはじまったばかりです。これまでに国内では海岸近くや港湾内
≪3ヶ所、12基の洋上風車が建てられているものの、沖合では実証実験用のものが最近、建てられました。技術研究開発の中では洋上風力発電の建設に伴う事前の環境影響評価技術についても研究されていますが、国内では沖合洋上風力発電の経験がないため、方法論について暗中模索の状況が続いています。
 洋上風力発電の先進国では、建設の前後に環境影響評価を行い、海鳥などに与える影響を予測、評価して保全対策を立てています。海外でも海鳥に対し適切な影響予測に資する情報が少ないと言われていますがそれでも、調査の方法論およびその結果のデータ蓄積は日本よりもはるかに進んでおり、経験のない日本で環境影響評価の方法を確立するにはまず、先進事例から学ぶのが早道です。
 そこで、今後、国内でも大きく導入が進むと考えら
??る洋上風力発電について、日本でも適用可能で、野鳥への影響をなるべく出さない洋上風力発電の開発のあり方を提案するために、海外から知見を学ぶためのシンポジウムを開催いたしました。本資料集は、そのシンポジウムの講演録です。

●目次●

政府等による風力発電実証事業

  1. 着床式洋上風力発電実証研究について……7
  2. 我が国の洋上風力発電実証プロジェクトにおける鳥類調査について……21

国内外の法アセス制度とその課題

  1. 英国の洋上風力発電実証プロジェクトにおける鳥類調査について……33
  2. 風力発電事業に係る環境影響評価制度 ……55
  3. 風力発電所に関わる環境影響評価の現状とその課題……77

野鳥の生態、影響とその調査方法

  1. 日本に生息する海鳥の特徴:点在する営巣地と柔軟性の高い繁殖行動への配慮……93
  2. 洋上風力発電所と日本近海の海鳥のキーワード……107
  3. 根室半島における海鳥調査の結果と調査手法の検討……115
  4. 船舶レーダーを使った海上の鳥の調査-その可能性と限界……127
  5. 野鳥と洋上風力発電 ──デンマークでの経験から……137

野鳥との共存と影響評価(パネルディスカッション)……161

風力発電のページもご覧ください

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鹿児島県出水市のツルの越冬地を訪問する際のお願い

2014年12月12日掲載

今年の冬は、国内で野鳥から高病原性鳥インフルエンザの確認例が相次いでいます。
ナベヅル、マナヅルの世界最大の越冬地である鹿児島県出水市でも、マナヅル、ナベヅルの衰弱・死亡個体やねぐらの水からH5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザが確認されています。
*12/10時点での発生状況は、環境省発表をご覧ください。

現在、ツルの渡来地では通常通り観察や撮影を行うことができます。鳥インフルエンザは、感染した鳥との濃密な接触を行うといった特殊な場合を除き、人には感染しないと考えられています。しかし、人や車の移動によってウイルスが他の地域へ運ばれ、特に養鶏場でニワトリに感染してしまうと、発生農家での殺処分や周辺農家の出荷制限等、地域に大打撃を与えてしまいます。出水市は国内有数の養鶏業地帯であり、ツル飛来地周辺においても複数の養鶏場があります。また、ウイルスを付着させたまま、他の水鳥の生息地等を訪れると、そこで新たな感染を引き起こすことにもなりかねません。

出水市のツルの越冬地を訪問する際は、下記についてご協力及びご注意をお願いします。

①決められた消毒ポイントでは必ず車両、靴底及び三脚の脚(石突)等、地面に付着する物の消毒を行う。
②現地では巡回監視員や消毒作業担当員等の指導に従う。
③野鳥の糞がある場所には近づかない。糞は踏まないようにする。
④観察センターへ行く際には出水市が推奨しているルートを利用する。
*ツル観察センターへの推奨ルートおよび消毒ポイント
http://www.city.izumi.kagoshima.jp/update/upload/20141202134836_804.pdf
*観察センターの開館については、出水市のホームページをご確認ください。
http://www.city.izumi.kagoshima.jp/

※参考資料
鳥インフルエンザ及び発生状況について
環境省HP
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/index.html
農水省HP
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/

高病原性鳥インフルエンザ