豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業環境影響評価準備書への意見書

2011年2月24日に愛知県企業庁が作成、公告・縦覧した豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業の環境影響評価(環境アセス)準備書に対して、公益財団法人日本野鳥の会と日本野鳥の会愛知県支部は、野鳥保護の観点から、以下のような意見書を提出し、絶滅危惧種を含む里山生態系について定量的な評価に基いて、その維持・復元を行うことを求めました。

準備書は愛知県の以下のページに掲載されています。
http://www.pref.aichi.jp/0000038085.html

意見書

平成23年4月7日

氏名 公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 佐藤仁志
住所 141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
氏名 日本野鳥の会愛知県支部 支部長 新實 豊
住所 462-0844
名古屋市北区清水5丁目10-8 グリーンフェロー3A
準備書の名称 豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業環境影響評価準備書

環境の保全の見地からの意見及び意見の理由

意見1.絶滅危惧種種を含む里山生態系の保全・復元を、定量的な評価に基づいて行うべきである

理由

  • 本準備書において、事業実施地とその周辺の自然環境は、ミゾゴイ、ハチクマ、サシバ、ヨタカをはじめとする多くの絶滅危惧種の繁殖地あるいは生息地として重要な場所であり、貴重な里山環境が維持された生物多様性の非常に高い地域であることが評価されたものと考える。
  • しかしながら、本準備書の記述は貴重な環境の保全措置において定性的な記述に留まり、それぞれの種の生息要求を、植生や面積において十分代償できるかどうか評価できるものになっていない。
  • 環境保全措置にあたっては、定量的な評価を行った上で、代償が不可能であれば事業は中止すべきである。または、事業実施地内に限定せず、周辺環境を含めた代償措置を生息環境が向上する前提で検証し、確実に実施すべきである。
  • 本会は、前述の絶滅危惧種を含む里山生態系について定量的な評価に基いて、その維持・復元を行うことを強く要望する。

意見2.ミゾゴイの保全のため、林縁部の水田環境を含む行動圏調査及び広範囲における調査を行うべきである

理由

  • ミゾゴイの行動圏について、赤外線カメラの調査結果が掲載されている(準備書本編661ページ、資料編428ページ)が、すべての設置位置が示されていないため、記録されなかった位置がどこであったかが不明である。ミゾゴイは、林縁部や水田のあぜで採食することも知られており、隣接する水田で採食しなかったかどうかが明らかではなく、本準備書では評価できない(本編663ページ)。従って、本編672ページの予測結果において「生息環境の変化は小さい」としている結果について検証できない。
  • ミゾゴイの育雛期の主要な餌と目され、ブラインド観察で確認されているミミズ(本編662ページ)の給餌量及び採捕場所が示されていないため、行動圏範囲の推定が妥当かどうかについて判断できない。
  • 環境保全措置の実施方法(本編583ページ)は、「対象種の営巣期には、必要に応じ、工事の部分的な一時中断や作業員の営巣場所付近への立入を制限するなどの工事内容を配慮する。」とあるが、立入制限の範囲を決める際に必要となる行動圏及び行動圏面積のデータが示されていなため、工事による影響を回避できるかどうか判断できない。
  • 営巣適地の周辺の水田において、行動圏を把握したかどうかを示すべきである。また、もしこれが行われていない場合は、評価と予測に耐えるデータをとるための調査を改めて行い、評価書に反映させるべきである。
  • ミゾゴイの広範囲における鳴き声調査は、平成22年度しか行われていない(準備書本編508ページ)ため、現状では対象事業実施区域を含む周辺一帯における年による渡来数及び生息数の変動を把握することができない。
  • 従って、広範囲の調査を数年追加して行うべきである。
  • なお、資料編425ページのデータは、年号と天候の記載を欠いているので記述すべきである。

意見3.サシバに対する予測と環境保全措置を、定量的なデータに基づいて評価すべきである

理由

  • サシバの繁殖を確保するための環境保全措置検証にあたって、採餌環境の解析が行われている(本編652ページ)が、単に主要行動圏内の面積が示されているだけで、サシバの1ペアが繁殖するために必要な水田環境や樹林等の面積や林縁長がどのくらい必要かについて、具体的な数値が示されていない。また、環境保全措置で述べられている施設完成後の「水田・湿地環境の創出・向上」や、「樹林環境の創出・向上」によって、それぞれの既営巣地でその面積・距離が満たされているのか判断すべき数値が記述されておらず(本編731ページ)、この環境保全措置が適当であるかどうか検証することが不可能である。
  • さらに、採餌環境の変化があるとされた3ペアのうち、何ペアが環境保全措置によって保全できると予測されるのかについても示されていない。
  • ほとんどのサシバのペアの主要行動圏には、対象実施区域外の周辺地域も含まれている。周辺地域の水田等が、今後も維持される保証はないのに、このことに関する対応策が欠如している。
  • サシバの環境保全措置の前提となる生息環境要求の解析について、上記の観点からやり直し、「水田・湿地環境の創出・向上」「樹林環境の創出・向上」について、どのような面積において現状よりどの程度の向上が見込まれるかといった、定量的な根拠を示すべきである。
  • その上で、敷地内だけで十分な(現状に安全範囲を見込んだだけの)餌量が「水田・湿地環境の創出・向上」により確保できなければ、事業を中止するか、あるいは、周辺地域において餌量を確保できるような生息地の保全を行うべきである。
  • 本編697ページに挙げられた不確実性をカバーするため、上記のような定量的な評価を経た後、造成前に環境保全措置を行うとともに、代償処置が確実に実行されているかどうかを検証するため、サシバに関する地元の有識者を含めたモニタリングの委員会を設置し、必要に応じ指導助言を行うシステムを整備すべきである。

意見4.オオタカ、アオシギ、ヤマセミ、アカショウビンの生息状況の評価を修正し、環境保全措置について再検討すべきである

理由

  • 国あるいは県のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種であるオオタカ、アオシギ、ヤマセミ、アカショウビンは「移動途中の短期利用する種」と評価され、「建設機械の稼働等」に伴う騒音による生息環境の変化が小さいという結論になっている。(本編564ページ)
  • オオタカは、周辺地域で繁殖しており、その行動圏の広さや環境要求を考えると、対象実施区域で今後繁殖する可能性がある。
  • アオシギは移動途中の一時利用ではなく、対象実施区域を越冬地として何個体もが利用していることを確認している。アオシギは世界的にも生息数が少ない種と言われているが、特に越冬期は単独で生活することが多く、生息の確認に技術を要することから、この地方での生息条件をよく理解している地元野鳥観察者の知識を生かした調査による確認が必要である。(本編538ページ)
  • ヤマセミは対象事業実施区域では記録されていないことになっているが(本編540ページ)、使用されたヤマセミの巣穴を確認している。ヤマセミは、対象実施区域に巣穴があることから、用地内を含む一帯がヤマセミの営巣エリアと認識するべきである。現在愛知県内で繁殖が確認されているヤマセミは10ペア以下で、保全の必要度は高いと考えられる。
  • アカショウビンは移動途中と断定されているが(本編569ページ)、事業実施地周辺で繁殖しており、繁殖期の確認があれば事業実施地内で繁殖していることは十分考えられる。当地方におけるアカショウビンは繁殖期の一時期のみよく鳴くが、それ以外の時期はほとんど鳴かない。これは、当地方では生息数が少なく、テリトリー宣言の必要性が小さいと考えられる。
  • 従ってこれらの絶滅危惧種については、生息状況について必要なデータを揃えた上で生息状況の評価と予測をやり直し、環境保全措置の対象とするべき。
  • またこれらは、絶滅の恐れのあるというだけでなく里山環境の生物多様性を評価することができる種でもあるので、この観点からも事後調査対象種に入れるべき。

意見5.ヨタカの予測結果の誤りを修正すべきである

理由

  • ヨタカに関する予測結果として、「~非改変区域の本種が生息する樹林は、保全されるとともに~外周部等に残地森林等を配置するなどの配慮を実施することから、生息環境の変化は小さいと考えられる。」とある(本編569ページ)。
  • しかし、ヨタカは林縁から草原において営巣し、採食する種であるため、この予測は誤っている。
  • ヨタカは、国及び県のレッドリストにおいて絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、その急激な減少から絶滅が心配されている種である。県内においては、工業用地や住宅用地等の開発により、特に危機的な減少傾向をみせている。このため、生息環境の創生や光対策など適切な配慮がなされなければ、姿を消す可能性が非常に高い。
  • 従って、上記の誤りを修正するとともに、サシバと同等の調査を行った上で環境保全措置を講ずるべきである。

意見6.コサメビタキの行動圏調査をするとともに環境保全措置について定量的に評価すべきである

理由

  • 愛知県レッドリスト準絶滅危惧であるコサメビタキは、改変区域で延べ36地点、非改変区域で延べ28地点で生息が確認され、生息環境の変化があることを認めている(本編571、587ページ)。本種にかかる環境保全措置は、植生転換による広葉樹林化により、生息環境の変化が低減できると記述されている(本編587ページ)。
  • しかし、コサメビタキの行動圏や必要な環境要求についての調査が行われておらず、その生息環境に関する定量的な評価ができていない。
  • また、どのような樹種構成の広葉樹林であれば生息可能であり、広葉樹林化がどの程度の期間必要であるのかも述べられていないため、環境保全措置として適切かどうかが評価できない。
  • 従って、改変区域で生息(繁殖)できなくなる36地点のつがいが、非改変区域の植生転換ですべて移動できる面積が確保できるかどうかの予測は不可能である。
  • コサメビタキについて定量的なデータに基づく環境保全措置を講ずるべきである。

意見7.事後調査・環境監視計画は透明で公正な委員会による評価を継続的に行うべき

理由

  • この事業における環境保全措置案には植生の誘導目標が明示されているが、この達成には20年もの時間を要し、施業後約20年目に植生遷移の把握のためのモニタリング調査を行うと記述されている。(本編745ページ)
  • しかし指標となる種のモニタリング調査は「適宜実施」としか記述されておらず、またその調査結果を実際の環境保全措置にどう評価しフィードバックしていくかがあいまいである。
  • サシバ、ミゾゴイ、オオタカ、アオシギ、ヤマセミ、アカショウビン、ヨタカ、コサメビタキといった環境保全措置の対象となり、また里山の指標となる種について、この20年間に継続的に毎年、事後調査を行い、評価を行って順応的な管理をして行く必要があるのでこれを明記し実施すべき。
  • 目標通りの環境が創生され、生態系や生物の生息環境が確保されていくかどうかを監視・指導するため、地元の鳥類の有識者を含めたメンバーによる公正で透明性の高いモニタリングの委員会を設置し、モニタリング調査の結果を評価し、必要に応じ指導助言を行うシステムを整備すべきである。
  • 今まで本事業に関連して設置されたアドバイザリー会議や技術保全検討委員会には、地元の野鳥に詳しい観察者が入っておらず、当地方の野鳥の生態に即応した環境保全措置の微修正、順応的な実施は現状では期待できない。
  • 今後の事後調査の実施、評価や環境監視においては、当地に生息する野鳥の生態について熟知している愛知県野鳥保護連絡協議会のメンバー等の入った委員会を設置し、自然環境の保全に万全を尽くしていただきたい。

意見8.「新たな取り組み」における里山環境の保全管理活動について環境影響評価上の位置づけを明確にすべき

理由

  • 本編735ページ以下「新たな取り組み」において、対象事業実施区域及び周辺地域における里山環境の保全管理についての目標像と基本方針が記述されているが、これらの環境影響評価上の位置づけが明確でない。
  • 対象事業実施区域における環境保全措置、及び区域内だけでは達成できない環境保全措置の一環であるならば、そのことを明確にし、実施目標を定量的な評価に基づいて具体的に設定すべきである。
  • またその達成を評価し順応的に管理していくため、現地の自然環境に詳しい観察者が参画した、公正で透明性の高い評価委員会を設置し、適正な環境保全措置を監視するべきである。
  • 対象事業実施区域周辺の里山環境の保全管理について、一過性のものではなく、持続的な循環利用のモデルを提示すべき。里山の生産物に対する経済的な誘導措置といった手法も検討すべき。

意見9.新規のアクセス道路は作るべきでない

理由

  • 準備書には、開発予定地までのアクセス道路に関しては何ら触れられていないが、第2東名からのアクセスのための道路を新設することが考えられる。
  • このアクセス道路については、どのルートを通るにせよ本事業と同等、あるいはそれを超える野生生物生息環境の破壊を伴うものと考えられ、本事業との複合的な環境影響も予測される。
  • 現状で本準備書に影響評価がない以上、新規のアクセス道路は作るべきではない。

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下山(しもやま)・額田(ぬかた)の里山の保全(愛知県豊田市・岡崎市)

豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業(トヨタ自動車テストコース等建設事業)への対応

概要

三番瀬の地図
豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業は、愛知県企業庁の事業で、岡崎市及び豊田市にまたがる地域(下山・額田)に研究開発用地を造成し、この造成地をトヨタ自動車株式会社1社が買い上げて、テストコース及び研究施設を建設し、施設を供用する計画としています。
この事業計画区域「下山・額田の里山」は、愛知県北東部の美濃三河高原の一郭にあり、標高350mから550m位のゆるやかな起伏の丘陵地です。周辺に郡界川(ぐんかいがわ)、保久川(ほっきゅうがわ)及びそれらの支川が流れています。尾根と斜面は森林で、川沿いには水田が開かれており、森林と谷津田がおりなす美しい里山景観が広がっています。ここではサシバ、ハチクマ、ミゾゴイなどの絶滅危惧種の繁殖が確認され、野鳥にとっても貴重な里山環境であることが分かってきました。
2007年7月、愛知県が条例による環境影響評価(環境アセス)の手続きの中で方法書を作成、公表した時点では、660haの計画予定地のうち約410haを改変する予定でした。これに対し、地元の野鳥保護団体である愛知県野鳥保護連絡協議会や日本野鳥の会愛知県支部、当会などが要望書提出などの活動を行う中で、2011年2月に公表された環境影響評価準備書に載せられた計画では、計画地約652haのうち、改変面積を約270haまで小さくすることができました。
しかし、現計画でもなお、サシバやミゾゴイなどへの生息環境への影響が懸念されています。このため、当会は、引き続き絶滅のおそれのある野鳥をはじめとする里山生態系の保全を求めていきます。

これまでの経緯

2007年2月
トヨタ自動車、豊田市、岡崎市が愛知県へ現計画地の開発を要請
2007年7月
愛知県企業庁が環境影響評価方法書の公告・縦覧
2007年9月
愛知県企業庁が現地調査に着手
2008年12月
愛知県野鳥保護連絡協議会が、環境保全に関して愛知県企業庁及びトヨタ自動車と協議の場を持つ
2008年1月
愛知県野鳥保護連絡協議会が愛知県知事及び県企業庁に見解及び要望書を提出
2008年9月
愛知県企業庁が土地利用構想の見直しを公表
2009年8月
当会、21世紀の巨大開発を考える会、愛知県野鳥保護連絡協議会、日本湿地ネットワークの4団体が連名で、愛知県企業庁及びトヨタ自動車に対して計画の見直しを求める要望書を提出。事業の計画地におけるミゾゴイ等の絶滅危惧種の保護施策と同事業の見直しを求めた
2009年12月
愛知県企業庁が豊田市内で説明会を開催
2010年2月
シンポジウム「COP10とトヨタの里山破壊を考える」(主催:愛知県野鳥保護連絡協議会、後援:当会他)を名古屋市において開催。開発事業の問題点を指摘
2010年5月
愛知県企業庁が名古屋市内で説明会を開催
2010年9月
トヨタ自動車が「里山環境との共生に向けて」を公表
2011年2月
愛知県企業庁が環境影響評価準備書を公告・縦覧
2011年3月
愛知県企業庁が環境影響評価準備書に関する説明会を開催(豊田市・岡崎市)
2011年4月
当会は日本野鳥の会愛知県支部と連名で環境影響評価準備書に対し意見書を提出。サシバ、ミゾゴイ等の絶滅危惧種の保全を定量的な評価に基づいて行うべき等の意見を提出した
2011年7月
愛知県が開催した環境影響評価に関する公聴会で当会は上記意見書に基く意見を公述
2011年8月
愛知県知事が愛知県企業庁に対し環境影響評価準備書に対する意見を通知。森林・谷津田の保全・維持管理、動植物への配慮、適切な環境監視の実施等、28項目を指摘
2012年1月
愛知県企業庁は環境影響評価書を公告、縦覧
2012年2月
当会は愛知県野鳥保護連絡協議会(メンバーとして日本野鳥の会愛知県支部を含む)と連名で上記評価書に対し意見書を提出

ツバメを取り巻く放射性物質の状況

自然保護室

チェルノブイリ原発事故では、放射性物質の影響により、ツバメに部分白化や尾羽の異常が生じたことが報告されました(MØller & Mousseau, 2006)。福島第一原発の事故でも同様のことが懸念されるため、当会では異常のあるツバメの情報を集めています。

「ツバメ全国調査2012」から

 2012年5月より集めはじめた、異常の見られるツバメに関しての情報は、10月末までに1,534件の有効な情報が得られました。全国平均で部分白化は5.7%、尾羽の不均一個体は3.1%の発生率で見られました。そのうち福島県内(176件)では、部分白化0.6%、尾羽の不均一個体0%、隣接する宮城県内(31件)では、部分白化6.5%、尾羽の不均一個体3.2%で、いずれも全国平均と比べて高い傾向はありませんでした(図)


尾が不均一な宮城県角田市のツバメ

写真1 駅舎で繁殖するツバメ(角田市)
写真2 不均一なツバメの尾羽(角田市)
写真3 部分白化(のどのオレンジ部分参照)したツバメ(福島県南相馬市) 写真提供/群像舎

 2012年7月には宮城県の会員から「尾羽の不均一なツバメが複数いる」との情報が寄せられ、角田市を訪ねました。角田市は、福島と宮城のほぼ県境で、原発から約60㎞に位置します。
 尾羽の不均一なツバメが見つかったという駅舎には、30巣ほどのツバメの巣を確認できました(写真1)。子育てのピーク時となる6月には、7羽の該当個体が観察されたとのことです。観察中ほどなく巣に戻ってきた親鳥は、確かに片方の尾羽が短く不均一でした(写真2)。
 巣の近くの空間線量を測ったところ、約0.1マイクロシーベルト/hでさほど高くありませんでした。このような個体は少し離れた別の場所でも見られ、わずかな滞在のあいだに2羽を確認しました。念のため、使い終わった古巣5巣を持ち帰り、汚染の有無を調べたところ、そのうちの2巣はそれぞれ7,200、6,700ベクレル/kgと比較的線量が高く、平均で4,050ベクレル/kgでした。
 ツバメは、個体同士の争いや栄養不良などによって尾羽が抜けたりすることがあるため、放射性物質が原因とは特定できませんが、この事例のほかにも、福島県内では部分白化のツバメが昨年の繁殖期に観察されており(写真3)、今後の経過を見ていく必要があります。
 今回の原発事故のような、低線量で長期にわたる放射性物質の野生生物への被曝影響は世界的にも情報がほとんどなく、今後も継続してモニタリングしていかなければなりません。当会ではツバメを対象に、汚染地域と非汚染地域でのヒナ数の比較や部分白化の有無などを調べていく予定です。部分白化や尾羽の異常個体を見かけた際は、情報をお寄せください


環境省のモニタリング調査から

表 警戒区域内のツバメの巣の線量出典:平成24年度野生動植物への放射線影響に関する意見交換会要旨集(環境省)

 環境省では事故直後から、原発周辺環境への影響を把握するため、野生動植物の試料の採取、分析、評価を行なっており、ツバメの巣もその対象になっています。
 2012年9月に警戒区域内で採取された巣からは、数値にばらつきがあるものの、浪江町で最大138万ベクレル/kg、大熊町で最大100万ベクレル/kgもの放射性セシウムが確認されました(表)。放射性物質の影響を受けやすい卵やヒナの時期に高い線量にさらされると、個体にも影響を及ぼすおそれがあります。一方、こうした警戒区域内は現在無人となっていることから、ツバメの巣がカラス類により襲われ、数が減っていることも指摘されています。汚染状況の継続的なモニタリングとともに、ツバメの個体数の推移にも注視が必要です。

※環境省では、一般廃棄物最終処分場に埋立処分できる基準値を8千ベクレル/kgと定めている


ツバメの巣を落とさないで

 放射性物質の飛散予測で汚染が高かったとされる一部の地域では、濃度の高い巣がある可能性もありますが、全国の巣が汚染されているということではありません。巣から50㎝以上離れれば、自然放射線量のレベルまで下がり人体への影響は無視できるものと考えられますので、ツバメの巣を落としたりすることのないようお願いします。

ツバメへの放射性物質の影響調査にご協力をお願いします

チェルノブイリ原発事故では放射性物質により、ツバメに部分白化や尾羽の異常が生じたことが報告されています。福島第一原発事故でも同様のことが懸念されるため、当会では昨年5月から、異常のあるツバメの情報を集めました。その結果、10月末までに1,534件の情報が寄せられ、全国平均で部分白化は5.7%、尾羽の異常個体は3.1%でした。福島県内では176件の情報があり、部分白化は0.6%、尾羽の異常は見られませんでした。

当会では今年度も引き続き、ツバメを指標に放射性物質の影響を把握するために、ツバメの部分白化の情報を集めます。今年は、昨年福島県南相馬市において、写真のようにツバメののどに白斑のある個体が観察されたことから、特にこのような,のどの部分的な白化に着目して情報を集めます。
ツバメを日頃から観察をされている方で、巣を観察して、子育てをしている親鳥を対象に、のどの一部が白かった、または無かったかの情報を、ぜひお寄せ下さい。

(1)観察された日:
(2)観察された場所:※できる限り番地までご記入ください
(3)観察された方のお名前:
(4)喉の部分白化:(有り・無し・分からない)
(5)写真:(Eメールに添付または郵送でお送り下さい)
(6)備考・気が付いたこと

※部分白化がないという情報も大切ですので、観察された結果、「部分白化なし」という情報もお寄せ下さい。

<送付先>
日本野鳥の会 自然保護室 担当:山本
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL 03-5436-2633
Eメール:[email protected]
なお、汚染地域のある飯舘村、浪江町、南相馬市の調査は当会職員が行なう予定で準備を進めています。

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放射性物質の野鳥への影響調査(おもに水鳥)

自然保護室

放射線量が高いため作付けを規制され、放置された水田(南相馬市北西部)

福島第一原子力発電所の事故はチェルノブイリ原発事故に匹敵する規模であり、大量に漏出した放射性物質は自然界および人間社会に甚大な影響をおよぼすと考えられます。
2012年、当会では、原発被災地を取材するとともに、鳥類のなかでも手つかずであった放射性物質の水鳥への影響調査を行ないました。その結果について、レポートします。

広がる耕作放棄地と野生動物の出没 福島県飯舘村・南相馬市

イノシシのぬた場
写真1 イノシシのぬた場。
もとは水田だった(飯舘村)

 福島第一原発の北西約40㎞に位置する飯舘村では、事故前には豊かな自然の恵みを受けながら約6千人が暮らしていました。しかし、原発から漏出した高濃度の放射性物質によって全住民が避難を余儀なくされ、それまでの生活は失われたのです。
 住民が避難してから約1年半が経った2012年8月、除染作業が進められている飯舘村を訪れました。村内の空間線量は2~6マイクロシーベルト/hと依然高く、山林では10マイクロシーベルト/hを超える場所もありました。
 人による管理がなくなり、放置された田畑は草地化し、人家を草木がとり囲んでいました。このまま長期的な放置が続けば、遷移が進み、多くの場所は森へと変わっていくでしょう。
 野生動物が人里周辺に出没していることも大きな変化で、無人化した人家のすぐ近くではイノシシが放置水田を荒らし、植物の根を食べた痕跡が随所に見られました(写真1)。
 南相馬市の北西部は、避難指示解除準備区域に指定されています。この地域は比較的放射線量が高いため、米の作付けが2年にわたり規制されており、その面積は広範囲におよぶと思われます。かつて水田だった場所は雑草に覆われ、ヒバリやカワラヒワ、キジなど、草地性の野鳥の姿を目にしました。
 居住地の近くでは、サルやイノシシ、キツネを以前より見かけるようになったとのことで、人がいないことで野生動物が行動範囲を広げている点は飯舘村と共通しています。

東北・関東地方でのコロニー土壌調査

 繁殖地の汚染の有無や鳥類体内への蓄積の可能性を探るため、2012年1月以降、河川と海洋を生息地とする水鳥、なかでもサギ類、カワウ、ウミネコを対象にコロニー内外の土壌調査を行ないました(表)。
 漏出した放射性物質は河川や海へと流れ込み、湖や湿地などに溜まり、ホットスポットとなります。こうした環境にくらす水鳥は汚染されやすく、魚類などのエサを通じて体内に蓄積するおそれがあります。また、フンとなって放射性物質が体外へ排出されたとしても、そのまま土壌に蓄積して、コロニー内を汚染する可能性もあります。
 1、2月に実施した冬期の土壌調査では、福島県内にある2か所のサギ類のコロニー(福島A・C)から、それぞれ2万4千ベクレル/ kg、7千900ベクレル/ kgの高い放射性セシウムが検出されました(※)。また、コロニー内のほうが周辺部よりも高い傾向がうかがえました(図1)。
 コロニー内の値が高いことがただちに鳥類への蓄積を示唆するとはいえませんが、この値が繁殖期を通じてどう推移していくのかが心配です。幸い、6、7月に実施した夏期の土壌調査(写真2・3)では、冬期から継続して調査ができた6つのコロニーのうち、福島Bコロニーを除く5つのコロニーで減少傾向という結果が得られました(図1)。
 鳥類に放射性物質が蓄積されており、コロニーへの蓄積が進むという可能性は現時点では低いと考えられますが、放射性セシウムのうち、セシウム134の半減期は2年、セシウム137は半減期30年とされていることから、コロニー内のセシウム値については今後も経過を見ていくことが必要です。

※環境省では、一般廃棄物最終処分場に埋立処分できる基準値を8千ベクレル/kgと定めている

水鳥の体内被曝を調査

 福島県内のサギ類のコロニー調査の際、親鳥のヒナへの給餌物を採取・分析したところ、平均102ベクレル/ kg(4サンプル。最大値157、最小値59)の放射性セシウムが検出されました(写真4)。
 また、岩手県内で有害鳥獣駆除されたカワウ7羽の提供を受けて、体内への放射性物質蓄積の有無を調べたところ、胸筋からは平均46ベクレル/ kg、肝臓からは平均36ベクレル/ kgの放射性セシウムが検出され、岩手県内でのサンプルは低い値であることがわかりました。

主要河川河口での調査

 流下した放射性物質は、河口付近で多くなると予想されることから、主要河川の河口や湖沼での土壌の分析および鳥類の個体数調査も行ないました。
 土壌の線量は、福島県内の2河川(新田川、鮫川)で高い傾向があり、とくに上流部に飯舘村がある新田川では1千170ベクレル/ kgが検出されました(図2)。
 新田川河口には、オオハクチョウ、コハクチョウに加えて、オナガガモ、コガモなどが数多く越冬に訪れています。こうした野鳥への影響についても、長期的なモニタリングが必要です。

本調査は、「地球環境基金」からの助成、および「野鳥を科学する基金」により行ないました。日本野鳥の会福島支部、郡山支部、宮城県支部、北上支部、宮古支部、福島市小鳥の森からは、コロニーの情報提供と調査協力をいただきました。


写真2 福島県内のサギ類コロニー


写真3 サギ類のコロニー内で
土壌サンプルを採取する当会職員


写真4 サギのヒナへの給餌内容

野鳥も人も放射能に脅かされない社会を

野鳥も人も、放射能に脅かされない社会を

2011年3月、東京電力福島第一原子力発電所が引き起こした放射性物質の漏出事故は、長い将来にわたって自然界に甚大な影響を与える恐れがあります。このことから、日本野鳥の会は、原子力発電を国内外で推進する国の政策等に憂慮し、原子力発電を段階的に廃止し、世界的な脱原発社会の実現を求めるものとします。脱原発のためのエネルギー対応と当会の役割は、以下の通りです。

  1. 従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」を見直し、省エネ型のライフスタイルを提案、指向していきます。
  2. 原発に替わり自然再生エネルギーを併用するエネルギーシフトの実現を通じ、原発への依存度を低減するよう、求めていきます。その際、野鳥や自然環境への十分な配慮を求め、その内容を提案、検証していきます。
  3. 生態系の上位に位置する野鳥に注目し、調査や監視を継続していきます。

ツバメを取り巻く放射性物質の状況

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では、放射性物質の影響により、ツバメに部分白化や尾羽の異常が生じたことが報告されています(MØller & Mousseau, 2006)。福島第一原発の事故でも同様のことが懸念されるため、当会では異常のあるツバメの情報を集めました。

放射性物質の野鳥への影響調査(おもに水鳥)

福島第一原子力発電所の事故により、大量に漏出した放射性物質は自然界および人間社会に甚大な影響をおよぼすと考えられます。
2012年、当会では、原発被災地を取材するとともに、鳥類のなかでも手つかずであった放射性物質の水鳥への影響調査を行ないました。その結果について、レポートします。

また、カラ類を対象とした調査を2013年~2019年にかけて行なっています。調査結果については逐次公開していきます。

「シンポジウム・野鳥と洋上風力発電 -野鳥保護と自然エネルギーの共存を目指して」

(2013年1月13日(日)開催 於 立教大学)

 立教大学と共催で、野鳥保護の観点から日本に適した洋上風力発電の在り方を考えるために、事業者、行政、研究者、民間団体など、すべての利害関係者を集めたシンポジウムを開催しました。
 国内外のアセス制度やその課題、日本の海鳥の生態、洋上風力発電が野鳥に与える影響や海鳥の調査手法の国内外事例に関して、12名のゲストから講演をいただきました。

柳生会長による開会挨拶.

シンポジウム講演の様子


講演内容

  1. NEDOにおける洋上風力の取り組みについて(NEDO 大重 隆)
  2. 環境省における洋上風力発電への取り組み (環境省・地球温暖化対策課 吉田諭史)
  3. 洋上風力発電の技術研究開発・浮体式実証事業における環境影響評価手法の確立のうち鳥類調査(イーアンドイーソリューション株式会社 高橋 牧、芙蓉海洋開発株式会社 杉岡伸一)
  4. 英国の洋上風力発電計画において鳥類へのリスク低下をもたらす戦略的初期投資の仕組み (海洋エネルギーコンサルタント Chris Lloyd)
  5. 風力発電事業に関わる国内の環境影響評価制度 (環境省・環境影響評価課 田中 獏)
  6. 風力発電所に関わる環境影響評価の現状とその課題 (電力中央研究所 北村 亘)
  7. 日本に生息する海鳥の特徴・点在する営巣地と柔軟性の高い繁殖行動への配慮 (名城大学 風間健太郎)
  8. 洋上風力発電所と日本近海の海鳥のキーワード (知床海鳥研究会 福田佳弘)
  9. 根室半島における海鳥調査の結果と調査手法の検討 (日本野鳥の会 浦達也)
  10. 船舶レーダーを使った海上の鳥の調査-その可能性と限界- (バードリサーチ 植田睦之)
  11. 野鳥と洋上風力発電-デンマークでの経験から- (オーフス大学 Mark Desholm)

利害を超え、関係者が一緒に自然エネルギーと野鳥保護を考えていくための一歩

 最後のディスカッションでは、国外事例と比較しながら今後日本ではどのような情報整備が必要か、導入や改善が必要な制度や仕組みがあるか、導入すべき調査手法や評価技術などについて6名のパネラーが議論しました。
 海洋に関しては海鳥をはじめ生物に関する基本的な情報が不足しているので、今後は行政、研究者、民間団体などの利害関係者が一緒になって、海洋生物の情報整備や共有を進めることが必要であるとまとめられ、洋上風力発電と野鳥に関して、今後も当会が果たす役割は大きいと、あらためて認識しました。
 また、会場からは風車そのものの耐用年数に関する質問や、国内の情報共有だけでなく、渡り鳥が飛来する関係国との情報の共有も重要ではないかという意見がでました。
 連休の中日にもかかわらず、北は北海道、南は鹿児島など遠方から300名近くにご来場いただき、多くの方から”事業者、行政、研究者、民間団体すべての利害関係者が一つの方向を目指して議論したことは、自然エネルギーと野鳥保護が共存するための大きな一歩となった”、”このようなシンポジウムを継続的に開催してほしい”などの声をいただきました。当会では今後も自然エネルギーに関する国内外の最新事例の情報収集を続け、定期的に情報提供していきたいと思います。
 なお、本シンポジウムの内容についてまとめた『野鳥保護資料集29』を今夏に発行する予定です。発行に際しては、野鳥誌および当会ホームページにてお知らせいたします。

※尚、このシンポジウムは地球環境基金の助成と(公財)WWFジャパン、(公財)日本自然保護協会、(公財)自然エネルギー財団、環境省の後援により開催しました。

講演内容の詳細

  1. NEDOにおける洋上風力の取り組みについて (NEDO 大重 隆)
     銚子と北九州で実証研究を行なうことで、塩害や洋上特有の技術課題の克服、気象・海洋条件や発電量の日・月・年変動など洋上風力発電が持つ特性を把握する。また、環境調査を設置前、設置後に実施することで、環境影響調査手法の確立を目指している。
  2. 環境省における洋上風力発電への取り組み (環境省・地球温暖化対策課 吉田諭史)
     環境省では2030年までに再生可能エネルギーを現状の3倍まで拡大することを目標にしており、風力発電においては陸上よりポテンシャルの高い洋上での導入が必要と考えている。遠浅の海が少ない日本では着床式より浮体式の洋上風車が有望であり、長崎県・五島での実証実験では実用化に向けて、風速や波浪の観測のほか、水質や海流、鳥類のバードストライクなど様々な環境への影響調査を行なっている。
  3. 洋上風力発電の技術研究開発・浮体式実証事業における環境影響評価手法の確立のうち鳥類調査
    (イーアンドイーソリューション株式会社 高橋 牧、芙蓉海洋開発株式会社 杉岡伸一)

       NEDOの実証実験における鳥類調査(事前調査)では、銚子沖でオオミズナギドリ6500羽、ウミネコ600羽、アジサシ350羽と1年を通してオオミズナギドリが多かった。北九州市沖では春はヒヨドリ600羽、オオミズナギドリ200羽、夏にはウミネコ300羽、オオミズナギドリ200羽となり、季節によって見られる鳥類の種に変化があった。
       また、環境省の実証実験における鳥類調査(事前調査)では、1シーズンでのべ28種類、1518個体が確認され、いずれの季節もオオミズナギドリ、カモメ属の1種が多いという結果となった。
  4. 英国の洋上風力発電計画において鳥類へのリスク低下をもたらす戦略的初期投資の仕組み (海洋エネルギーコンサルタント Chris Lloyd)
     The Crown Estateは、事業者の環境調査への初期負担を軽減させるため、初年度の調査費用を負担をしている。また、イギリスの環境影響評価は風力発電施設の建設場所を検討し、どの程度環境影響評価が必要かを評価する戦略的環境評価(SEA)、計画地において重大な環境影響があるかということを調べる環境影響評価(EIA)、EUと国内法により保護生息地に指定されている場所であるかなどを評価する生息地規制評価の3種類の異なる評価が義務化されている。
  5. 風力発電事業に関わる国内の環境影響評価制度  (環境省・環境影響評価課 田中 獏)
     風力発電では、事業者による自主アセスだけではバードストライクなどの環境影響が起きるようになったこと、また地元住民との合意形成にも課題がみられるため、環境省は平成24年10月より風力発電事業を法アセスの対象とした。事業規模の割に費用が掛かりすぎると事業者が訴える法アセスの手続きの迅速化に向け、現在、環境影響が大きいと予想される地域での建設をあらかじめ避けるための情報整備を行なっている。
  6. 風力発電所に関わる環境影響評価の現状とその課題  (電力中央研究所 北村 亘)
     アセス法改正によって、風力発電も他の電気事業と同様のアセスメントが求められるようになった。風力発電における今後の課題として、複数の発電所を同一地域に設置する際の累積的複合影響をどのように評価するか、新たに加わった手続きである「配慮書」と「報告書」への対応、複数地点案のあり方の検討などが考えられる。
  7. 日本に生息する海鳥の特徴・点在する営巣地と柔軟性の高い繁殖行動への配慮
    (名城大学 風間健太郎)

     海流や餌となる海洋生物の量に応じて餌場が変わるなど、変動の激しい海洋環境で生きる海鳥の行動は、非常に変わりやすい。洋上風力発電が海鳥に与える影響を評価するには、海鳥の行動変化の大きさを考慮すべきである。建設前の短期的な調査と影響予測だけでなく、建設後の長期的なモニタリング調査も必要だ。
  8. 洋上風力発電所と日本近海の海鳥のキーワード  (知床海鳥研究会 福田佳弘)
     海鳥の調査において、セスナ(固定翼の普通の飛行機)よりもヘリコプターに対する攪乱の影響が非常に強かった。船舶では、海鳥から100m以内に接近した場合に興奮行動などの影響が多く出ることを踏まえ、調査を行なうべきである。
  9. 根室半島における海鳥調査の結果と調査手法の検討  (日本野鳥の会 浦達也)
     季節、調査海域、離岸距離、飛行高度よって海鳥の出現傾向に違いがみられた。環境影響評価での海鳥調査においては、詳細に海鳥の状況を把握するにはライントランセクト法が適しており、概要を把握するスナップショット法では希少種があまり把握できなかった。
  10. 船舶レーダーを使った海上の鳥の調査-その可能性と限界-  (バードリサーチ 植田睦之)
     レーダー調査は夜間や濃霧の日でも鳥の飛行状況を把握でき、長期間のデータ収集も可能であることから、目視では不可能な鳥の行動も把握できる。その一方で、波が高い日や雨の日は調査ができず、また種までは判別ができないなどの欠点がある。
  11. 野鳥と洋上風力発電-デンマークでの経験から-  (オーフス大学 Mark Desholm)
     洋上風力発電所は、回避(障壁効果)、生息地の喪失、衝突死など野鳥にとって危険をもたらす。デンマークでは、洋上風力発電所近辺に生息していたアビが、建設後、発電所内2km内の生息地を放棄した。また、あるカモ類の多くはウインドファーム全体を回避していることがわかった。これらのデータは目視観察だけでなく、レーダーなどの遠隔調査技術を用いることで収集できる。

世界一斉個体数調査(2012年)

2013年3月21日

2012年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

 東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施されている「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」の結果がこのほどまとまりましたのでお知らせ致します。
 この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピン等東南アジア一円の自然保護団体が参加し、実施しているものです。
 日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2012年の国内での調査は1月13日~15日に8県40ヶ所で行われました。

1.2012年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

  • 2012年のクロツラヘラサギ世界一斉センサスは1月13日~15日に行われました。
  • この一斉調査は、クロツラヘラサギの分布範囲と越冬地での状態を比較する重要な調査です。
  • 今回の調査では計2,693羽が確認されました。これは前年の調査(2011年 1,848羽)から大幅に増加しており、これは1993年にこの調査が始まってから、最大の個体数です。
  • 2010年に記録された2493羽という数と比較しても、今回の調査結果はその記録から14%増加しています。この大幅な個体数の増加のほとんどは台湾で越冬するクロツラヘラサギの増加によるものです。
  • 台湾では前年の調査で記録された834羽から728羽増加し、合計1,562羽が確認されています。
  • 前年の調査と同様に香港と深圳の間に位置する后海湾と台南のTsengwen河口はクロツラヘラサギの最大の越冬地となっています。
  • 2011年には74羽、2012年には113羽のクロツラヘラサギがハイフン、広東およびシンファー湾、フーチェンで観察されました。これらのうちの2つは中国におけるクロツラヘラサギの重要な越冬地と言えます。
場所 2011年調査 2012年調査 前年比
台湾 843 1,562 +719
后海湾(香港、深セン) 411 393 -18
中国本土 198 328 +130
日本 270 283 +13
ヴェトナム 49 35 -14
マカオ 49 51 +2
韓国 26 41 +15
タイ 1 2 +1
カンボジア 1 2 +1 
合計 1,848 2,697 +849

(日本語訳 公益財団法人日本野鳥の会)

原文のリリース元
香港バードウォッチング協会(香港観鳥会、Hong Kong Bird Watching Society)

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

  • 200羽を超えるクロツラヘラサギが5年連続で確認された。2011年には270羽、2012年には284羽もの鳥が西日本で記録された。
  • 2010年からは4.7%増加、2011年からは5.2%が増加した。日本の個体数は2011年は世界の個体数の14.7%、2012年は世界の個体数の10.5%を占めている。
  • クロツラヘラサギは、2011年は35ヶ所、2012年では29ヶ所の調査地で越冬することがわかりました。

図1 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移

図2 クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移

世界一斉個体数調査(2011年)

2011年4月15日

2011年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

 東アジアの各国が協力して毎年1月に実施されているクロツラヘラサギの世界一斉個体数調査結果がこのほどまとまりましたのでお知らせします。
 この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、カンボジア、フィリピン等東アジア一円の自然保護団体が参加して実施しているものです。
 2011年の調査は1月21日~23日に行われました。日本では日本クロツラヘラサギネットワークの会員や日本野鳥の会の各地の支部の皆さんに呼びかけて、九州・沖縄を中心に各地で実施しました。
 以下、世界全体での結果報告について、事務局である香港バードウォッチング協会から出されたまとめ(英文)の翻訳を紹介し、次に日本における結果について報告します。

1.2011年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

  • 2011年のクロツラヘラサギ世界一斉個体数調査は1月21日~23日に行われた。この調査は、約2,000羽しか生息していない世界的な絶滅危惧種である水鳥、クロツラヘラサギの最新の越冬個体数と分布を知るために実施している。
  • この調査は、西日本、朝鮮半島南部、中国南部の沿岸(台湾、海南島を含む)、北ヴェトナム、タイ、カンボジア、フィリピン等東アジア一円に散在している生息地を対象にした。
  • 今回の調査では1,848羽が確認された。これは前年の調査(2010年2,347羽)を21%下回っており、1993年にこの調査が始まって以来、最大の減少値であった。前年比で減少が見られたのはこれで4回目である。
  • 台湾は843羽で、最大の越冬地であったが、前年からの減少数も437羽で他の越冬地に比べて最大であった。香港と深セン(シンセン)を含む后海湾地域(米埔(マイポ)自然保護区を含む)では前回の調査より51羽少ない411羽が確認された。しかし2番目に大きな越冬地であることには変わりはなかった。
  • 日本、ヴェトナム、マカオでは前年に比べてわずかに増えていた。しかし、この数は主要越冬地である台湾、后海湾、中国本土の減少数を補うほどではなかった。
  • ヴェトナム、カンボジアといった南の地域において、少数の増加が見られたのが特徴的であった。カンボジアはこの調査では初めて記録された地域で、調査期間中にクロツラヘラサギに装着した衛星発信機からの電波が受信されており、調査が終わってから目視により確認された。このことから、何羽かのクロツラヘラサギは、この冬の厳しい寒さにより、通常より南の地域で越冬している可能性を示している
  • 今回の記録個体数の減少について、2010年夏の繁殖成績があまりよくなかったという報告があるので、それも関係している可能性がある。
  • 今年の調査による越冬数の大幅な減少の理由はまだわかっていない。台湾では初冬に多くの個体が記録されたが、その後、渡去した。クロツラヘラサギの死体がたくさん見つかった記録はなく、鳥たちはこの冬中に「消えてしまった」のである。后海湾での減少理由も不明である。香港での厳しい冬と関係があるのではないかと推測されている。
  • クロツラヘラサギは、1993年の約300羽から、2010年に約2,300羽まで増加し、この冬に約1,800羽と落ち込んだ。保全活動は1995年に活動計画(アクションプラン)が作成された時から実施されている。2010年に、保護活動の計画を改訂した新アクションプランが発表された。今冬のクロツラヘラサギ減少は、絶滅の危機を完全になくすのは、依然としてまだまだ先のことであるということを示唆している。
  • 生息地の破壊と劣化は、クロツラヘラサギにとって依然として主な脅威であろうと思われ、この地域の沿岸湿地は海南島、マカオ、韓国のように、開発によって破壊されている。狩猟が行なわれている場所もあり、ヴェトナムでは、地元民が食料として捕獲した11羽のクロツラヘラサギが、救助された例がある。開発圧と生息地の劣化は香港で越冬するクロツラヘラサギにとっても脅威である。
場所 2010年調査 2011年調査 前年比
台湾 1,280 843 - 437 (34%)
后海湾(香港、深セン) 462 411 -  51 (11%)
中国本土 234 198 -  36 (15%)
日本 258 270 +  12 (5%)
ヴェトナム 46 49 +  3
マカオ 39 49 +  10
韓国 27 26 -  1
タイ 1 1 変化なし
カンボジア 0 1 + 
合計 2,347 1,848 - 499 (21%)

(日本語訳 公益財団法人日本野鳥の会)

原文のリリース元
香港バードウォッチング協会(香港観鳥会、Hong Kong Bird Watching Society)

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

  • 日本におけるクロツラヘラサギの世界一斉調査は、日本クロツラヘラサギネットワークと日本野鳥の会が会員や連携している団体に呼びかけて実施した。
  • 2011年1月21~23日に、合計で77人以上が参加し、7県44カ所において、合計207羽のクロツラヘラサギを確認した。
  • また調査期間外の1月25日に、沖縄県沖縄本島で23羽(一斉調査日の記録より3羽多い)、石垣島で10羽の参考記録がある。前年西表島では越冬は確認されなかった。
  • 日本では他地域のような減少は見られず、前年の記録より11羽多い数字となった。県別に見ると、福岡県の82羽が最も多く、次いで1羽差で熊本県の81羽、鹿児島県の44羽が上位であった。前年と比べると、福岡県と熊本県の順位が逆転している。
  • 日本における生息状況は比較的安定していると思われるが、博多湾人工島のように、生息環境の人為的改変(埋立て)によって急速に越冬数を減らした場所もある。
  • 日本における脅威の特徴として、釣り糸・釣り針による死傷や、電線への衝突が原因と思われる怪我による死傷が観察されている。日本での越冬数の増加によって、かえってこのような死亡が増えてしまうことのないように、関係者の協力が必要とされている。

図1 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移

図2 クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移

北海道伊達市「(仮称)伊達風力発電事業拡張計画」に対する室蘭支部の取り組み

平成19年エコパワー社が伊達牧場に10基の風力発電計画を出してきました。当支部も野鳥に対する影響を憂慮し、会社側と渡りの調査等を実施し協議を重ねてきましたが、平成20年環境影響評価書(案)を作成したところでエコパワー社は諸般の事情により計画から撤退しました。
その後平成21年3月にユーラスエナジージャパンがその後を受け継ぐ形で事業再開となり4者での話し合いも持たれました。新しい計画では大幅に事業規模を縮小し鳥の渡りのルートを避けて建設するというものでした。
そして2年後平成23年11月営業が始まりました。平成24年3月伊達市ホームページに「(仮称)伊達風力発電事業拡張計画 環境影響評価方法書」の縦覧のお知らせが載りました。計画は、25基を追加して合計30基に拡張する計画でした。
平成20年のエコパワー社が作成した環境影響評価書(案)では当初30基の風車建設を計画したが、計画地の環境に与える影響が大きいため10基にした旨の記述があり、今回の計画はそれに矛盾する内容でした。
8月に環境影響評価準備書の縦覧が行われましたが、環境影響評価準備書としてはあまりにもずさんなものでした。
ユーラスエナジー社は、今シーズンの鳥の渡りの調査を実施しないとのことでしたので、当支部では建設予定地が野鳥の渡りにどのような役割を果たしているのかを解明するため9月上旬から2カ月間に渡って本格的な調査を実施することを決定しました。
この渡りの調査によってますます、風車建設予定地が鳥の渡りにとっての主要なルートであり、渡りの拠点であることが明らかになりました。
日本も生物多様性条約を批准し、生物多様性基本法が制定され、北海道でも生物多様性保護条例の策定が進められている現在、野鳥全体の渡りを遮断し、生態系をもかく乱する今回の拡張計画は、環境及び生態系に重大な影響を与えると判断されるものです。

室蘭支部による秋の渡り調査結果報告書

平成24 年11 月23 日

「伊達風力発電拡張計画予定地における野鳥の渡り調査報告」

(公財)日本野鳥の会 室蘭支部
支部長 篠 原 盛 雄

1.はじめに

平成24年3月28日突然の拡張計画方法書縦覧が始められた。3月26日室蘭民報朝刊に掲載したとのことであったが、一般には十分知らされてはいなかった。伊達市HPにも掲載されたが、ほんの数日でHP表紙から見出しが消えてしまった。当支部はさっそく方法書を入手しそれに対する意見書を締め切り前の5月9日に提出した。ところが十分な方法書の検討がなされないまま、7月5日伊達市役所会議室にてユーラスエナジー社より当支部への説明が行われた。(その時すでに準備書を作成していた)その時説明の資料を配布されたが当支部の計画・準備書に対する意見は多岐にわたっており、それに対する意見は後ほど検討して提出する旨言い添え意見交換して会議を終えた。ところが7月末ユーラスエナジー社の担当者から8月の伊達市広報に8月7日から環境影響評価準備書の縦覧を掲載する旨の連絡があった。(8月1日方法書の説明に対する再質問書をメールでユーラス担当者に送った。)準備書を至急送るよう依頼したが、8月7日伊達カルチャーセンターにて直接準備書が渡された。
それを点検すると環境影響評価準備書としてはあまりにもずさんなものであった。10月からの改正アセス法施行前の駆け込みであることが明らからものであった。
環境保護に対する姿勢が問われると判断し9月19日に準備書及び拡張計画に対する意見書を会社社長宛、及び準備書を作成した気象協会理事長あて直接簡易書留で送付した。10月11日ユーラスエナジー社から準備書に対する説明会が伊達市役所会議室で再び行われたが、説明された内容は当支部の意見に対する回答ではなく、準備書に掲載するため縦覧で出た意見に対する回答原稿のコピーでの説明であった(9月30日に準備書は関係機関に提出済み)。方法書の当支部意見書に対する説明時(7月5日)も準備書の時(10月11日)も当支部の意見に直接回答するのではなく、準備書を作成する側で勝手に意見を要約し、それに対する回答をするという形式をとった。
そのため、本質的・重要な部分についての回答がなく、再質問をしなければならなかった。方法書の時に提示された回答が当支部の意見書のどの部分かを探して、未回答の部分、回答不十分な部分の再回答を求める再意見書を提出したが、(方法書の意見書の締め切りは5月に終わったので回答しないという姿勢をとり、回答を求めるもいまだに回答はない)準備書に対する意見書はさらに多岐にわたっているため、10月11日の回答では十分でないため、11月4日ユーラス社担当宛に、準備書への当支部の意見書に対する回答が不十分なので再度誠意を持って当支部の意見に対する回答を求めるメールを打った。経営責任者である社長名で文書回答するように再度求めた。
11月26日現在、まだ何の回答もされていないが、申請した拡張計画のほうは道の環境審議会に議題としてかけられ、さらには経済産業省の環境審査顧問会風力部会の議題にもかけられる。

平成19年エコパワー社が伊達牧場に10 基の風力発電計画を出して当支部も野鳥に対する影響を憂慮し、会社側と渡りの調査等を実施し協議を重ねてきたが、平成20 年環境影響評価書(案)を作成したところでエコパワー社は諸般の事情により計画から撤退した。
その後平成21年3月ユーラスエナジー社がその計画を引き継ぐ形で風車建設に乗り出した。それまで計画の環境影響評価について協議してきた当支部もユーラス社からの説明を受けた。その時点では当支部が主張していた小鳥の渡りルートを避けるべきとの意見を取り入れ5基を建設したいとの説明であった。
建設後も影響について調査するとの約束であった。

今回の準備書は平成20年エコパワー社が作成した環境影響評価書(案)の調査資料をベースとしてそれに追加の調査をしたものである。今回の拡張計画地域は平成20年の環境影響評価書(案)(10基建設)での建設予定地の倍以上の広さがあり、山全体に風車建設が計画されている。ベースにしている平成20年のエコパワー社が作成した環境影響評価書(案)では当初30基の風車建設を考えたが、計画地の環境に与える影響が大きいため10基にした旨の記述がある。これを作成したのは今回の準備書を作成した同じ気象協会で、担当者も同じである。計画地域での風車建設が環境に重大な影響を与えることを知りながらあえて拡張計画を推進してくるところに企業としての社会的責任の自覚が問題となってくる。準備書に対する意見ではその点についても問いただしたが全く責任を持った回答はないままで、計画は進行している。
ユーラスエナジー社は、今シーズンの鳥の渡りの調査を実施しないとのことであったので、当支部では建設予定地が野鳥の渡りにどのような役割を果たしているのかを解明するため9月上旬から2カ月間に渡って本格的な調査を実施することを決定した。
平成19年の調査からでは不十分な部分を明らかにするため、調査地点を風車全体、室蘭岳、絵鞆半島を見渡せる室蘭市石川町浄水場付近と拡張計画地からの渡りの出口である新茜ゴルフ場門前で実施した。これにより渡りのルートと、渡りの鳥の量的な把握をしようと考えた。
基本調査は石川町浄水場付近としハチクマの渡りが始まる9月13日から実施し、ノスリの渡りの終わる10月末まで計画したが、今年の秋の気温が高めに推移したため、渡りの時期も2週間ほど遅れ気味となったため新茜ゴルフ場門前は10月10日から11月16日までの間で8日間、石川町では11月15日までの間に19日間実施した。
約2カ月の間に27日間調査を実施しておおよその渡りの様子が把握できた。

2.観察・調査結果から判断される建設予定地の渡りに果たす役割

  1. 建設予定地の気仙川上流域の谷の林は渡りの鳥も含めての休息地である。
  2. タカ目のハチクマ、ハイタカ、ノスリ等の渡りのためのねぐらとなり、気象条件によって、本輪西、絵鞆半島へ移動する。西風が谷の稜線にあたって上昇気流が上がる時は風車建設予定地で500m以上上昇して直接対岸に渡る拠点にもなっている。
    27日間の風車建設予定地と周辺1キロで観察されたタカ目の合計数は845羽であった。昨年はハチクマがほとんど観察できなかったが、今年のピークは9月15日、16日、室蘭市マスイチ浜で50羽±程度。ノスリのピークは10月27日今季最大との情報があったが、行事があって調査が出来なかった。(平成23 年、平成19 年の気象協会の調査では風車建設予定地に1200~1300ものノスリの観察記録がある)
  3. タカ目のハイタカ、ノスリは陸ルートで渡る場合もあり、その場合風車建設予定地の北半分がそのルートとなっている。
  4. シジュウカラ、カワラヒワ、マヒワ、ベニマシコ、アトリなどの小鳥は風車建設予定地の南側三分の一を通過し、陸ルートのメインルートとなっている。
    27 日間の午前中の調査で把握した小鳥の数は4万5千羽を超え、シーズン中で通過する小鳥は数万以上と推測される。
  5. 風車建設予定地周辺には気仙川、稀府川、チマイベツ川などの上流部で谷が自然林になっているそのため、夏鳥の繁殖地にもなり、ノスリの繁殖地でもある。周辺のところどころに牧草地、ゴルフ場などの開けた所が点在し、そこがハヤブサ、オオタカ、ハイタカの狩り場となっている。(小鳥の逃げ込むところがない草地で追い込む)
    特にハヤブサは毎日風車建設予定地内で飛翔を繰り返し、狩りをおこなっている、観察では一度に3羽の確認をしている。
  6. 終盤の調査の中で大型の鳥、オオハクチョウ、ヒシクイ、オジロワシの飛翔も風車建設予定地内で観察され、渡りのルートとしての役割についてさらに詳細な調査が必要とされる。

3.不足している調査

  1. 夜間の渡りの量的な把握をすることが重要である。地球岬で実施された夜間調査では驚くほどの渡りが観測されたとの情報もあり、陸のメインルートでも夜間の渡りが行われていると考えられ、レーダー観測を実施し正確な渡りの量的な把握をすることが求められる。
  2. 周辺地域でのエゾライチョウ、オオジシギの調査が不十分である。
    稀府岳の西側の谷藤川で今年4月16日エゾライチョウのつがいが観察されている。風車建設以前は風車建設地及び拡張計画地域周辺はオオジシギの繁殖地域でもあり今後詳細な繁殖調査が必要とされる。
  3. オジロワシ等越冬期の猛禽類の調査も不十分である。今回の調査終盤でオジロワシが2度観察されており、オオハクチョウ等の大型の鳥の移動にも注目する必要がある。
  4. 夏鳥の繁殖についても種名だけではなく量的な把握が必要である。
    風車建設後風車建設地域での野鳥の減少が報告されている。

4.風車25基建設が野鳥に与える影響について

  1. 鳥は生まれたところに戻ってきて繁殖をする。風車建設に伴い繁殖地が奪われることとなる。特に準絶滅危惧種であるオオジシギの繁殖に大きな影響があると懸念される。
  2. 建設予定地は現在もハヤブサ(絶滅危惧II類)、オオタカ(絶滅危惧II類)ハイタカ(準絶滅危惧種)の狩り場となっており、狩り場の喪失、繁殖への悪影響が懸念される。
  3. 渡りの時期、建設地及び建設予定地のほとんどが渡りの主要なルートとなっており風車建設による渡りへの障壁は、鳥の生態に重大な影響を与えると判断される。
  4. ハチクマ(準絶滅危惧種)、ノスリ、ハイタカ等は気仙川上流、チマイベツ川上流の沢の自然林を渡りのためのねぐらとして利用し、さらに上昇気流の状況が良い場合そこから上昇し直接対岸へ渡る場所となっている。拡張計画による25基の設置は渡りのねぐらと、渡りの拠点を奪うことになりタカ目の渡りへの重大な影響がある。
  5. 平成19年の秋の渡りの調査でも風車建設予定地の南側は小鳥の渡りのルートと判断された。当時建設計画を進めていたエコパワー社との話し合いの中でも、渡りの時期に風車を止めて対応したいとの回答も得ていた。
    平成19年当時は9月から11月まで10回の調査であり小鳥の量的な把握は不十分であった。今年の秋の調査では9月中旬から2カ月の間に27回の調査を実施し、小鳥の量的な把握に力を入れた。100%のカウントはできなかったが、午前中の観察の結果ではあるが小鳥の総数は4万5千羽以上となり、風車建設予定地南側がメインの陸ルートであることが明らかになった。
    (周辺海岸地域では多くて1日数百羽)
    今回の拡張計画はこのメインルートを完全に遮断する形になり、小鳥の渡りに重大な影響を与えることになる。小鳥は標高100m~200mの山麓に残された林の上を飛び石のようにたどりながら(猛禽の襲撃から身を隠す逃げ場を確保)東山山麓沿いを西へ移動している。チマイベツ川、気仙川などの沢の林が小鳥たちのねぐら、採餌場ともなっており、その点からも小鳥の生息に影響を与えることになる。
  6. 伊達風力発電拡張計画の再検討について
    平成19年伊達牧場内で10基の風力発電計画が進められたが、その当時はまだ風力発電の環境に対する影響について十分な情報もなく、バードストライクだけが問題視されていた。そのため鳥の渡り調査を春・秋実施し、バードストライクを避けるための協議が当支部も交えて行われた。しかし近年各地に風車が建設され、徐々に風力発電の影響について問題点が明らかになってきている。今年10月から改正アセス法が施行され建設計画前にも十分な調査検討が義務付けられた。
    しかし、法の施行前に経過措置が設定されたため、手続きを簡略化するため、駆け込みの風力発電計画が進められた。
    原発の廃止風潮の中で再生エネルギーの一翼を担うものとして、風力発電が国策として進められ、伊達風力発電拡張計画もその流れの中で立案された。
    平成20年のエコパワー社が作成した「伊達ウィンドファーム事業 環境影響評価書案」ではP234・・(2)環境の保全のための措置 (a)計画規模の縮小・・・「当初案では30基の建設を計画していたが、環境への配慮から最終的に10基に規模を縮小した。」と記載されている。
    平成19年の計画立案時点で30基の建設は、建設地域への環境に対する影響が大きすぎるとの判断をしていたということになる。当時調査を請け負った気象協会が作成した事業環境影響評価書案に明確に記載されている。
    調査をし、環境影響評価書を作成する業者も担当者も変わらないというのに、計画を立案する企業が変われば、建設予定地の環境に与える影響の評価が変わるというのはどういうことなのか・・・。
    環境に対する影響は無視して風車建設をするという経営方針と判断せざるを得ない。当支部が今シーズン実施した秋の渡りの調査によってますます、風車建設予定地が鳥の渡りにとっての主要なルートであり、渡りの拠点であることが明らかになった。
    日本も生物多様性条約を批准し、生物多様性基本法が制定され、北海道でも生物多様性保護条例の策定が進められている現在、野鳥全体の渡りを遮断し、生態系をもかく乱する今回の拡張計画は、環境及び生態系に重大な影響を与えると判断される。社会的責任を持った企業であるならば勇気を持って今回の計画そのものを根本的に見直し再検討することが正しい選択である。
野鳥調査地:新茜ゴルフ場門前 (1)
月 日 10/10 10/15 10/16 10/17 10/24 11/9
調査時間 6:15 ~9:35 6:10 ~11:15 6:13 ~10:20 6:08 ~10:25 6:30 ~11:00 6:15 ~7:30
気象状況 雨・東風
6~7m
12℃-16℃
晴れ・西風
4~10m
11℃―15℃
曇り・西風
5~7m
12℃―14℃
晴れ・東風
3~10m
10℃―17℃
曇り・西風
2~6m
8℃―14℃
雨・無風
10℃
ミサゴ            
ハチクマ            
トビ       11  
オジロワシ            
オオタカ        
ツミ          
ハイタカ 10 25  
ノスリ 16 36 10 70  
ハヤブサ  
チゴハヤブサ            
不明のタカ        
タカ目合計 26 57 15 110
その他の鳥 497 1,313 3,009 1,341 1,441 135
大型ガンカモ            
野鳥調査地:新茜ゴルフ場門前 (2)
月 日 11/13 11/16 10/10~11/16
調査時間 9:00 ~12:10 6:05 ~10:30 8 日間集計
気象状況 曇り・西風
0~2m
7℃-11℃
晴れ・西風
2~3m
6℃―8℃
 
ミサゴ      
ハチクマ      
トビ   15
オジロワシ
オオタカ  
ツミ    
ハイタカ     41
ノスリ 31 171
ハヤブサ 24
チゴハヤブサ      
不明のタカ  
タカ目合計 39 11 263
その他の鳥 99 53 7,888
大型ガンカモ      
野鳥調査地:室蘭市石川町チマイベツ浄水場付近 (1)
月 日 9/13 9/16 9/21 9/22 9/23 9/26
調査時間 6:10 ~11:00 6:45 ~11:12 6:30 ~11:00 5:55 ~10:30 6:25 ~11:00 5:25 ~10:20
気象状況 晴れ・北北東の風
微風
18℃-25℃
時々雨・西風
0~3m
23℃―28℃
曇り・東風
0~2m
16℃―21℃
晴れ・東風
0~2m
13℃―23℃
晴れ・東風
2~7m
16℃―24℃
晴れ・東風
0~1m
13℃―20℃
ミサゴ            
ハチクマ   13
トビ  
オジロワシ            
オオタカ            
ツミ            
ハイタカ  
ノスリ 31 26 22 17
ハヤブサ  
チゴハヤブサ          
不明のタカ      
タカ目合計 36 28 32 29 33 18
その他の鳥 245 147 523 485 121 202
大型ガンカモ            
野鳥調査地:室蘭市石川町チマイベツ浄水場付近 (2)
月 日 9/30 10/2 10/7 10/13 10/21 10/22
調査時間 6:25 ~11:55 5:55 ~10:30 6:25 ~10:55 6:10 ~11:20 6:30 ~11:10 6:45 ~10:30
気象状況 雨・東風
1~6m
21℃-19℃
晴れ・東風
0~2m
12℃―24℃
晴れ・西風
3~8m
10℃―17℃
晴れ・西風
0~5m
8℃―15℃
曇り・西風
12~15m
10℃―11℃
晴れ・西風
5m~8m
9℃―11℃
ミサゴ          
ハチクマ          
トビ
オジロワシ            
オオタカ            
ツミ            
ハイタカ   13
ノスリ   13 11
ハヤブサ    
チゴハヤブサ            
不明のタカ    
タカ目合計 15 11 34 14
その他の鳥 224 928 745 9,435 1,193 13,987
大型ガンカモ         ヒシクイ 2  
野鳥調査地:室蘭市石川町チマイベツ浄水場付近 (3)
月 日 10/26 10/30 10/31 11/4 11/5 11/8
調査時間 6:15 ~11:08 6:05 ~10:30 6:08 ~11:07 6:00 ~10:30 6:00 ~10:55 6:15 ~10:35
気象状況 曇り・西風
3~8m
11℃-14℃
曇り・西風
1~3m
6℃―13℃
晴れ・西風
1~4m
1℃―10℃
晴れ・西風
0~5m
8℃―15℃
晴れ・北西風
0~1m
3℃―10℃
晴れ・西風
5m~8m
9℃―11℃
ミサゴ            
ハチクマ            
トビ 18   21
オジロワシ            
オオタカ        
ツミ            
ハイタカ    
ノスリ 50 18   25 118 20
ハヤブサ
チゴハヤブサ            
不明のタカ    
タカ目合計 70 22 11 39 126 46
その他の鳥 7,117 1,178 618 227 465 88
大型ガンカモ   オオハクチョウ5 オオハクチョウ8 ヒシクイ16    
野鳥調査地:室蘭市石川町チマイベツ浄水場付近 (4)
月 日 11/15 合 計 新茜ゴルフ場門前 石川町・ゴルフ場門前
調査時間 6:30 ~10:40   10/10~11/16
8 日間 集計
9/13~11/16
27 日間 集計
気象状況 曇り・北風
0~4m 3℃-5℃
     
ミサゴ    
ハチクマ   27   27
トビ   83 15 98
オジロワシ    
オオタカ  
ツミ    
ハイタカ   28 41 69
ノスリ 385 171 556
ハヤブサ 33 24 57
チゴハヤブサ    
不明のタカ 22 27
タカ目合計 582 263 845
その他の鳥 69 37,997 7,888 45,885
カラス合計 448 304 752
大型ガンカモ 31   31
鳥の総合計 39,058 8,455 47,513

渡りコース

渡りコース

渡りコース

渡りコース

渡りコース

平成24年9月19日

(株)ユーラスエナジーホールディングス様

(公財)日本野鳥の会 室蘭支部
支部長 篠原盛雄

「(仮称)伊達風力発電事業拡張計画環境影響評価準備書」及び計画に対する意見書

1準備書までの経緯について
今回の拡張計画については貴社の準備書によると平成24年3月26日付の室蘭民報朝刊に方法書の縦覧について掲載した旨の記載があります。当支部から方法書に対する意見書の中でも述べましたが、伊達市のHPへの掲載もすぐに表紙からは消えてしまい、検索しなければ見ることができない状態でした。こちらからの問い合わせによって今回の拡張計画の方法書を入手した次第です。方法書意見提出締め切り前の5月7日貴社国内事業部宛に当支部の意見書をメールで送りました。その意見に対しての説明ということで7月5日伊達市役所会議室にて気象協会、貴社から意見書に対する説明を受けました。説明は各項目に渡ることから後日さらに精査し再度当支部の意見をあげる旨申し添えました。7月5日の説明に対する当支部の再意見書を8月1日に貴社宛メールにて送りました。ところが貴社は方法書を充分に検討しないまま、すでに準備書の作成にかかっており、広報が出る直前に電話がありましたが伊達市広報8月号に「(仮称)伊達風力発電事業拡張計画環境影響評価準備書」の縦覧の告知、説明会の開催を掲載しました。8月7日貴社より直接今回の準備書を入手し、8月27日の説明会なるものにも参加させていただきました。説明会に至っては、伊達市、室蘭市の住民に広く説明するという状況にはありませんでした。しかも参加者に資料は全くなく、PCのスライドで説明するだけという非常に不親切なものでした。まさかとは思いますが、これで住民の風車拡張計画の合意を得たとするのではないことを貴社に確認したいと思います。
貴社との懇談の中で、今年の秋の渡りの調査は実施しないとのことですが、方法書の十分な検討をしないまま、エコ・パワー(株)の調査をそのまま引き写して評価書を作成するという非常に乱暴なやり方をしています。まず方法書をしっかり検討しなければ、今回の拡張計画の環境影響評価を正確に作成することができません。当支部の8月1日付けの再意見書にきちんと対応してから新たな調査を実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
この拡張計画のこれまでの経緯から貴社の経営姿勢が垣間見えてきます。まず拡張計画ありきで、先に陣取りをして、それから必要最低限の手続きをすればいいのだという姿勢だと判断されます。あの東日本大震災以降、貴社としてはまたとない業務拡張のチャンスととらえているのでしょうが、風車建設は地域生態系、住民の生活に大きな影響を与えるものです。
貴社の今回の準備書の対象事業の目的にすら『本事業では環境負荷の少ない風力発電所の設置を推進し・・・』とあります。原発爆発を経験し、企業の社会的責任は今後さらに重大になっていきます。環境を大切にすることを目的とするならば、十分な調査と、将来を見つめた公正な判断が求められます。日本で最大の風力発電の企業であるならばなおのこと、日本における指導的な立場として、風力発電のあり方を示していくことが求められています。そうであるならば、貴社の経営姿勢として今回の伊達市における拡張計画のやり方そのものを再検討し、これまでの調査から拡張計画そのものの可否についても再検討に入ることが求められています。

2準備書の基本的な部分についての意見
準備書の詳細についての意見は別項目でいたしますが、準備書についての基本的なおさえについて述べていきます。
今回の拡張計画の準備書は平成20年8月「伊達ウインドファーム事業環境影響評価案」
が基本的なベースになっています。この計画はエコ・パワー(株)が伊達牧場内に10基の風車を建設するというものでした。平成19年秋、当支部も9月から11月上旬まで10回にわたって伊達牧場で野鳥調査を実施し、エコ・パワー(株)と協議を続けてきました。伊達牧場での気象協会と当支部の調査資料を付け合わせ、鳥の渡りに影響がないよう検討してきました。その協議の中で、小鳥の渡りのルートを確保すべく、高速に近い風車建設数を減らすか、位置を変更するよう話し合いがもたれました。エコ・パワー(株)はあくまで10基にこだわり環境影響評価案を出すところまで行きましたが、諸般の事情により計画を断念しました。その後平成21年3月再び風力発電計画がユーラスエナジー(株)により引き継がれることとなり、当支部との話し合いの中で、「鳥の渡りの影響を最小限にするため」10基の計画を5基にして実施したいと説明を受けました。当支部の意見もある程度反映されていると判断し、建設後の事後調査を確約していただき、話し合いを終えました。
ところが今回は、十分な協議もなく、次々と先走った計画遂行です。
その姿勢は非常に問題で、即刻改めて頂き、はじめから仕切り直ししていただきたいと考えます。貴社の今回の準備書がエコ・パワー(株)のものをベースに作成されていますが、エコ・パワー社の事業環境影響評価案(平成20年8月)の中では以下のように記載されています。
P233
(c)評価の結果
「 ・・・・・風力発電機が設置される区域外にも迂回するための空間が十分確保されていることから、風力発電機に接近接触する可能性は極めて低いものと評価される。・・・」
P234
(2)環境保全のための措置
(a)計画規模の縮小
「当案では30基の建設を計画していたが、環境への配慮から最終的に10基に規模を縮小した。」
今回の貴社の準備書はエコ・パワー(株)の評価案をベースに若干付け加えて作成さています。貴社の準備書においてもP194からP237まで野鳥の渡りの調査資料が掲載されています。ところがP238の渡りの考察において、主要な渡りのルートには該当していないとしています。当該地区が絵鞆半島を中心とする渡りの中継地の交差点的な役割を持った地域であり、渡りに影響がないと断定することは調査資料からはできません。
さらにP319の第7章環境影響の総合的評価の中では鳥の渡りのルートについては一切触れないというたいへん不自然は評価となっています。
拡張計画実施を可とするため意図的に評価していないと判断されます。
エコ・パワー(株)ですら当初30基の予定を10基に減らしたのは、環境に対する影響が大きいと判断したためです。貴社は「環境の負荷の少ないよう・・・」という目的のもとに計画を立案しているはずです。エコ・パワー(株)の影響評価案を再度検討し、計画の見なおし、拡張該当地域全域及び周辺での鳥の渡りのルートを確定するために詳細に調査し直すことから始めるべきです。社会的責任を持った経営責任者として伊達市における風力発電拡張計画を再検討することを求めます。

3「(仮称)伊達風力発電事業拡張計画環境影響評価準備書」の各項目に対する意見
<P2>
2.1 対象事業の目的
本事業では環境負荷の少ない風力発電所の設置を推進し・・・・
<意見>
事業自体に環境の負荷を少なくするという目的・理念を貫いた事業計画を立てること。

<P41>
(c)生態系
<意見>
該当地域の生態系の説明は理解できるが、生態系に風力発電所設置がどのような影響を与えるか詳細な調査と客観的な評価をすること。

<P73~P75>
(3)騒音~(4)振動
伊達市及び室蘭市において・・・・都市計画法用途地域に応じた地域の・・・が、対象事業実施地区周辺における指定はない。
<意見>
この文言を騒音、振動の項目で使用しているが、風車建設該当地区はもともと都市計画法に基づく該当地区ではなくこの法に基づく騒音規制、振動規制時準値を持ってくるのは意味をなさない。もともと静かな山村集落であり、そこでの騒音振動が問題とならないかを調査し、評価すべき。

<P87>
4.1 方法書についての住民の意見等の概要及び事業者の見解
(1)地域への情報提供の手法
・・・・方法書に関する縦覧を実施し・・・・室蘭民報の朝刊において
<意見>
エコ・パワー(株)の「伊達ウインドファーム事業環境影響評価案」(平成20年8月)
P98に書かれている(1)地域への情報提供の手法によると、対象地域全域に6紙に新聞折り込みを実施している。今回の方法書縦覧の地域への周知徹底がされていない状況があり、室蘭民報に掲載しただけでよしとした理由を説明すること。

<P88>
表4.1-2(1)住民等からの意見の概説及び事業者の見解
事業者の見解(2段目)
本事業の推進にあたっては既設の風力発電所の稼働後の・・・現地調査を実施し・・
広く公開してまいります。また・・・環境影響調査準備書については、国等の審査を介し、より専門的な立場からの技術的検討が加えられる見込みです。
<質問>
原発爆発以降さらに社会的責任を持った企業の経営姿勢が厳しく問われている。
このような状況下で、自らの事業に対して、社会的責任を全うできるのかの自己判断をわざと放棄して、無謀な建設計画を作成しそれを丸投げして、うまく審査を通ればよしとする貴社の経営姿勢と解釈してよいか。

<P94~P98>
5.2調査、予測の手法
(4)調査地点
・・・・、図5.2-1に示す4地点において、騒音を測定した。
(5)調査期間等
・・・夜間窓を開ける・・・夏季2日間として、平成24年7月4日(水)~6日(金)に測定を実施した。
<意見>
既存の5基の低周波音を含む騒音調査については風車が最大出力を出す状況下で測定をしなければ調査の意味がない。風車での風速、風向のデータをそろえその条件下での騒音、低周波の測定を行うこと。
既存の5基が最大出力で稼働するのは主に北西の季節風が吹く冬季間であり、その風下にあたる室蘭地域での測定を3キロ圏内で測定地域をさらに数か所増やし、気温、風向、風速の様々な条件のもとに詳細な測定をすること。
地形、気温、風向、風速により音の伝わり方の違いも考えられ、調査期間も長期にわたって実施すること。
室蘭の風下側には、近くに酪農家、知舞龞浄水場付近にウズラ園、3キロtd
16℃―24℃
圏内には学校、病院、白鳥台団地等があり既存5基の測定調査は今後のために必要不可欠。

<P108>
(b)注目すべき種及び・・・・
(ア)鳥類の渡りの時の移動経路に関する調査
平成17年度及び平成19年~平成20年度の調査・・・・
・・・・・・・・
平成23年度の調査
・・・・・
平成24年度の調査
<意見>
平成17年~平成20年の調査は伊達牧場の敷地内に10基の風車建設を想定した調査であった。平成23年の秋の調査は5基試運転開始後の10月19日~10月21日、11月10日~12日。平成24年春の渡りの調査は4月26日~4月28日、5月30から6月1日となっている。
今回の25基の増設計画は広大な地域いっぱいに建設が想定されている。既存の5基を建設する時も、鳥の渡りの影響を最小限にとどめるという目標・理念のもとに行われた。かつて30基の増設も検討されたが環境に影響が大きいと計画は変更されている。平成19年~20年の調査によってエコ・パワー(株)の伊達牧場の鳥の渡りのルートの概略が示されているが、今回の計画はさらに建設地域を広げ明らかに渡りのルートの障壁となることが懸念され、建設予定地域及び周辺地域での渡りルートの正確な把握、この地域の鳥の渡りに果たす役割を明らかにすることが、計画立案前の前提条件となる。
平成17年から平成24年度の調査結果では今回の建設計画を正当化する鳥の渡りのルート解明がされていない。ルート解明のため調査地点の再考、調査期間の検討が必要、特に既存5基が稼働している状況下での渡りの詳細な調査が必要。23年の秋の調査は10月19日からであり、ハチクマ等の渡りが終わっていて調査不十分。さらにオジロワシ、オオワシの渡りは11月中旬~12月上旬を調査しなければ正確な資料とならない。
平成24年の春の渡りの調査に至っては、オジロワシ、オオワシは2月中旬から下旬、
オオハクチョウ、コハクチョウ等ガンカモ類は3月下旬から4月上旬が渡りの時期となっている。夏鳥も3月下旬から始まり5月上旬にほとんどの鳥の飛来が終わる。それを考慮するととても春の渡りの調査とは言い難く春の渡りの資料とはならない。
25基増設計画はこれまでの調査と、極めて不十分な追加調査では鳥の渡りへのルートへの影響評価ができる状況ではなく、環境への影響評価をするにあたってはさらに厳しく対応しなければならない案件である。

<P140>
5.3評価の手法

<意見>
評価の手法
騒音・・・既存5基周辺の住民、酪農、養鶏、ウズラ園等の聞き取り調査の実施。
冬季最大出力時での測定、測定地点の拡大。
既存の30基規模の最大出力時の騒音データの添付
地形による反射増幅、風速、風向、気温条件を明示し人体、家禽、家畜等に影響がないか評価する。
低周波・・・騒音と同じ手法による正確な影響評価をする。
シャドーフリッカー・・・特にゴルフ場でのプレイヤー、従業員に対する影響が懸念され
その点の評価を明確にすること。
建設該当地区及び周辺地域の鳥も含め生物への影響を調査すること。既存の他の30基程度の風車での生物影響調査資料を参考資料として添付し総合的に評価を行うこと。
動物・・・・該当地区及び周辺地域の生物を定量的に調査し、風力発電施設の設置により
地域生態系にどのような影響を与えるのかを既存30基程度の生物調査資料を添付して評価を行うこと。
当該地区及び周辺地域は鳥についてはオオジシギの繁殖地域でもあり、繁殖に対する影響を量的に明確にし、鳥の渡りのルートとしてどのような役割を果たしているのかの解明評価を行うこと。
生態系・・・両生類、昆虫、野鳥、動物に騒音、低周波音、シャドーフリッカーがどのように影響し、生態系全体にどのような影響を与えるのかを既存30基程度の生物資料を参考として評価すること。
景観・・・5基ですらかなりの威圧感があるが、合計30基ともなると周辺住民の忌憚ない意見交換が必要と考えられ、風車建設に対する十分な住民合意を評価に入れること。
人と自然との触れ合いの活動の場・・・ゴルフ場での影響を入念に検討すること。

<P141>
6.1騒音
<意見>
先にも述べたとおり、騒音測定の調査が7月4日~5日とされ、風車側の風向、風速、気温、測定地での風向、風速、気温の資料が明示されてなく、騒音レベルのデータだけではまったく意味をなさない。最大出力時での風下での、様々な条件下での測定が必要であり、気温、地形での反射増幅も考えられ特に風下地域での測定地点の拡大のもとに全体を書き直すこと。

<P143>
(b)予測の結果
最大出力時での風下地域での測定、測定地点の拡大、既存30基程度の実測データをもとに地形での反射、気温条件での音の伝わりをも条件に入れより実際的な予測を行うこと。

<P144>
図6.1-2
<意見>
最大出力、気温、地形での反射、増幅効果も条件に入れた予測図を作成すること。
またどのような条件下でのものかを明示すること。

<P145>
(2)環境保全のための措置
実施に伴う環境影響・・・・景観影響も提言される
<意見>
事業者側の主観による判断であり客観性に欠けるので見直すこと。

(3)事後調査に必要性の有無・・・
事後調査はしない
<意見>
地形、気象条件により、想定外のことも考えられ、建設後の事後調査は企業の責任として当然の義務であり、実施することを明記すること。

<P146>
6.2 低周波音
<意見>
騒音と同じく最大出力時での実測、測定地の拡大、様々な気象条件下でのデータをとるため、調査期間を再度検討作成し直すこと。
低周波音については周波数及び音圧の調査結果を風車及び、調査地点の風向、風速、気温等の気象条件をも明示して調査結果表を作成すること。

<P148>
(b)予測の結果
<意見>
6.2低周波音についての意見と同じく、測定方法を見直し、さらに正確な予測をするため既存の30基程度の風車で実測されたデータをもとにより正確な予測をすること。

<P149>
図6.2-2
<意見>
最大出力時の30基程度の実測値をもとに地形による反射増幅、気象条件による音の伝わりをも考慮した図を作成すること。

<P166>
(2)表6.4-1シャドーフリッカーに係る環境保全措置
内容 ・・・・設置位置を居住地域から700m以上隔離する
実施に伴う環境影響・・・・周辺居住地域において・・・景観影響も低減
<意見>
事業実施予定地区にはゴルフ場があり、直接シャドーフリッカーの影響を受ける。それに対する記述が全くなく、この項目が不完全な記述となっている。景観影響も低減の表記は奇異。
(3)事後調査の必要性の有無・・・
この項目も、ゴルフ場への影響が欠落しているので追加すること、さらに懸念されるのは、一部西側の養鶏場に影が投影されることが示されており、その点も調査の必要がある。

<P167>
6.5動物
①鳥類
下から10行目・・・・これにより、対象事業実施区域周辺には、鳥類の渡りの移動
経路、または中継地などが存在し、また繁殖地としての機能が備わっていることが示唆される。・・・・
<意見>
この指摘からどのような事が予測されるのかが抜け落ちている。
合計30基になる計画ではどんなことが予測されるのか明確にすること。

<P173>
②哺乳類
<意見>
哺乳類の調査で、コウモリの調査が不足している。意外とコウモリが生息しており、種名と生息数を詳細に調べること。北海道にはコウモリの研究家もおり、その援助を受けること。
最近、ヒグマの生息が室蘭岳で確認されており、ヒグマに対する風力発電施設の影響も調査必要。風車稼働でヒグマへの追い出し効果が働いて、人家に現れることがないように注意が必要。

<P180>
表6.5-6
<意見>
チョウの項目で「アサギマダラ」が抜けている。平成19年秋の伊達牧場の野鳥調査時確認済み。

<P182~183>
(1) 注目すべき鳥類
<意見>
表6.5-8に使用されている資料はこの地域の野鳥を正確に把握したものではなく、当地域での野鳥の調査は当支部の資料が一番信頼できるものである。当支部30周年記念誌、及びここ数年にわたる観察記録が当支部HPの鳥情報に掲載されている。それを資料とすることでより正確な地域の野鳥の把握ができる。

<P185>
<意見>
9行目のオオジシギの確認が出来なかった理由づけについては調査を継続し、早計な判断は避けるべき。

<P186>
<意見>
コウモリの生息が予想され事業予定地域及び周辺地域での調査を詳細に実施すること。

<P196>
下から6行目 以上から対象事業区域及びその周辺は・・・
<意見>
平成19年から平成20年の調査はエコ・パワー(株)の10基建設計画のための調査であり今回の広範囲の地域での鳥の渡りのルートを確定するものではない。伊達牧場上空を通過する鳥の調査を秋、春にかけて実施したものでそれによってこの地域の渡りのルートを確定し判断するのは非常に乱暴である。
すでに5基が稼働する中、さらに鳥の渡りのルート調査、5基の稼働による鳥の渡りの影響について詳細に調査する必要がある。しかし、貴社は今シーズン秋の渡りの調査を実施しないとしている。当支部では今年も調査活動を実施し、正確な影響調査資料を作成する。地域の環境保全、生物多様性を確保するため様々な法が制定され、これから取り組みが始まろうとしている状況下、短期的な経済的な利益優先ではなく、長期的な国際的、国家的な課題をになう社会的責任を貴社の理念とすることが求められている。

<P238>
<対象事業実施区域およびその周辺における渡りについての考察>
<意見>
平成19年から20年にかけての渡りの調査はまだ不十分ながらも、絵鞆半島を中継地とする鳥の渡りの傾向が明らかにされた。今回の準備書はエコ・パワー(株)の環境影響評価案で掲載されたものをそのまま使用しているが、この項目での考察は、P167で鳥の渡りの経路、または中継地が存在しの記述と矛盾する考察となっている。作成された資料、作図からどう考えてもP167での記述しかできない。さらには対象事業区、及び周辺でも渡りのルート調査がまだ不十分で経路、役割の評価が出せない。P198からP237まででの資料から今回の対象事業区の半分(伊達牧場)が鳥の渡りのルートであり、絵鞆半島の中継地との関連もあり、中継地としての役割も担っていると考えられる。そこに合計30基の風車建設を計画するにあたってはよほど慎重に、詳細な調査をしていかなければ重大な影響を与えかねない。
この項で環境影響を出来るだけ小さく見せようとする意図的な表現となっている。
科学的に、客観的に、生物多様性を守るスタンスに立って公正な考察をすること。

<P239>
(ii)希少猛禽の生息状況
<意見>
希少猛禽の生息調査は時期と時間が必要とされる。調査の時期、回数から早計な判断は避けるべきである。オジロワシ、オオワシは11月下旬から2月中旬までこの地域で越冬する。
渡りの時期等がずれていれば、確認数は激減する。

<P243>
○ケアシノスリの生息状況(夏鳥、一部留鳥)
<意見>
記述の間違い(夏鳥、一部留鳥)→(冬鳥)
この地域ではケアシノスリは冬鳥として数羽が越冬する。
ハヤブサの記述について・・ハヤブサは対象事業実施区域付近でも頻繁に観察され、高圧電線の鉄塔で休む姿も観察される。この地域は野鳥も多く狩り場として利用していると判断される。調査をしっかりすることが必要。

<P252>
12行目・・以上により、猛禽類については一部についてわずかながら生息環境の変化が生じる可能性があるものの、営巣地と採食環境及び周辺を含めた行動圏全体としての生息環境の減少や喪失はほとんどないものと予測される。
<意見>
オオタカ、ハイタカ、ハヤブサ、ケアシノスリの採餌行動が確認されているのに、何故このような記述になるのか、まったく論理的に破綻している。
事実を正しく捉え、良心に従って客観的に評価を出すことが環境影響評価書の役割ではないのか。まったく評価準備書の体をなしていない。
また騒音による生息環境の悪化、騒音による餌資源の逃避・減少、・・P253までの希少猛禽に対する影響についての記述は全く科学的ではなく出来るだけ影響がないような表現
になっており、まったく事実に基づいた科学的な分析とはなっていない。
あまりにもひどすぎる記述であり全面的に書き換えること。

<P255>
7行目・・対象事業実施区域周辺には、迂回するための空間も十分に確保されていることから・・・
下から9行目・・風力発電周辺には迂回する空間も広く確保されていることから、あらかじめ風力発電の存在を認識し、移動経路の変更あるいは分散を促すことは十分に可能であると予想される。
<意見>
この記述はエコパワー(株)の環境影響評価案のP233(c)評価の結果の文章の中にもある。これは伊達牧場に10基建設するという計画で、当支部との協議の中でそれでも鳥の渡りに影響があると論議になった点である。今回の計画は、既存5基の建設時、渡りの影響を考慮し10基を5基に減らして建設したいと説明した貴社の自己矛盾ではないか。
渡りのルートを完全に遮断し、広大な生息域を風車によって奪ってしまっても、迂回する空間があるとどうして言えるのか。
あまりにも自己都合な解釈であり、このようなこじつけで風車建設拡張計画を遂行しようとする貴社の強引さ、準備書の無意味さが明らかになっている。

<P259~P261>
③対象事業区域及び周辺を営巣環境とする注目すべき種
<意見>
この項目についても、エゾライチョウが周辺で確認されており、事業区域周辺でも繁殖の可能性がある。調査継続が欠かせない。
希少猛禽の項目とパターンで、どの項目も利用頻度が低い、騒音に慣れてくるなどという言い訳を連ね、最終的に影響は小さいものと予測されると結論付けている。
綿密な調査から引き出された説得力のある結論を出すこと、主観的な予測という便利な、ごまかしの言葉で結論を示す表現をすべて書き換えること。そうでなければ科学的な環境調査とはならない。勝手に都合のよいように解釈するのであれば環境調査は意味がない。環境調査の信頼性を失い、環境調査を冒涜する行為で、環境調査の自殺行為である。

<P297~P299>
<意見>
前項と同じく風車の生物に与える影響について、定量的な調査と既存の他施設での事前、事後の生物生態調査の資料から科学的な判断をすること。

<P302>
下から7行目・・さらに。風力発電機が設置される区域外にも迂回するための空間が十分に
確保されていることから・・・・
<意見>
希少猛禽の項目でも指摘したように事業実施区域も含めて周辺は希少猛禽の採餌場でもある。鳥についてだけでも渡りのルート・中継地として、夏鳥の繁殖場として、冬鳥の採餌場として重要な役割を担っている地域であり、25基増設が環境与える負荷は甚大であると予想されるが故に詳細な調査が必要である。

<P314>
(4)評価の結果
<意見>
景観の評価については伊達市、室蘭市の住民のアンケート等意見を集約して、景観の評価を出すべきで、地元で生活していないものが評価を出すものではない。

<P316>
(b)予測結果
シャドーフリッカー、騒音、低周波音がゴルフ場の従業員、プレイヤーにどんな影響を与えるか詳細に調査予測すること。

<P319>
7章環境影響評価の総合的な評価
<意見>
評価者が事業実施区域に行ってみて客観的に認識しての判断とは思われないような総合評価であり、かなりのページを割いて鳥の渡り調査資料を掲載しながら鳥の渡りのルートとしての評価が全くされていないことは、資料自体を理解していないのではないかと思われる。
地域生態系、鳥の渡りのルートに重大な影響を与える懸念があるこの計画に対して、環境影響評価をする当事者として責任ある評価をしているとは思われない。
調査資料に基づき、また不足であればさらに調査を追加するなりして、科学的にまた客観的な環境影響評価書を作成し、計画が環境にどのような影響を与えるか公正なものを作成すること。

~後述 気象協会代表者、及びユーラスエナジーホールディングス社長殿~
エコ・パワー(株)の調査姿勢は客観的なものを作成しようとする姿勢がありました。

今回(株)ユーラスエナジーホールディングスの作成する準備書はあまりにも計画実行のために作為的に作成されたもので気象協会の環境調査の信頼性を喪失させるものです。
あまりにも杜撰な準備書を縦覧してしまったのではないでしょうか。
気象協会もユーラスと協議をし、このような姿勢で環境影響評価書を作成してよいのか再検討していただきたいと思います。
今回の準備書は、環境に与える影響評価を客観的に記述することなく、
環境のことは全く配慮せず、計画を強引に推進しようという姿勢が丸見えです。
形式だけ整えて、自然再生エネルギーの波が来ている今を業務拡大のチャンスととらえ強引なやり方で計画を立案していると見受けられます。
ほとんどの人は風車の環境に対する負荷について、まだ十分に理解している状況にはありません。その状況下、十分な調査検討をすることなく、地域生態系に大きな影響が懸念される計画を実施しようとすることは地域住民に対する背信行為です。
正々堂々と、良心に従って社会的責任を全うする企業経営をめざしてください。
どうしても企業は短期的利益追求で縛られていますが、であるならばなおのこと、企業のトップとして企業が日本で果たしていく役割を、理念を持って貫いていくことが一番大切な事と思います。社員が誇りを持って、自信を持って、仕事ができる企業であってください。
強引な経営方針は、環境に大きな負荷を与えるだけでなく、それに係わる社員や気象協会の担当者を苦しめることとなります。大震災以降原発爆発で企業のあり方が問われています。
日本の将来を見通して国民のために何ができるか、企業に求められる責任は大きいと思います。今回の準備書を読み込んで明らかになってくることは、拡張計画そのものに無理があるということです。気象協会および、ユーラスエナジーホールディングスの経営責任者が直接現地を見ていただき、計画そのものの可否について再検討にはいることを要請いたします。

要請文

2005年4月26日

社団法人日本DIY協会
会長 遠藤 敏東 様
日本チェーンストア協会
会長 川島 宏 様
日本小売業協会
会長 中村 胤 様

2005年4月27日

全国ペット小売業協会
会長 米山由男 様
財団法人日本野鳥の会
会長 柳生 博
全国野鳥密猟対策連絡会
代表 大塚 之稔

野鳥販売の自粛について(お願い)

 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より私どもの野鳥保護の活動にご理解とご協力をいただき、大変感謝申し上げます。
さて私ども財団法人日本野鳥の会は、全国野鳥密猟対策連絡会及び各地の関係行政機関のご協力を得て、1998年に「百貨店・デパートに於ける野鳥販売実態調査」を、2000年から5年間、5~6月に「バードウィーク全国一斉野鳥販売実態調査」を実施して参りました。
貴協会には1999年5月、2004年5月に、野鳥販売の自粛をお願いしたところですが、貴協会に加盟されている会員様のいくつかの百貨店において、野鳥の取り扱いを中止していただいていることが分かりました(添付資料のとおり)。また、「落としカゴ」「鳥モチ」といった野鳥を捕獲するための猟具を扱っている店舗もみられませんでした。どうもありがとうございました。
ご協力に感謝しますと共に、引き続き会員の皆様へ、適切な呼びかけをしていただきますように、お願い申し上げるものです。

添付資料:

  • バードウィーク全国一斉野鳥販売実態調査2004(野鳥保護資料集第18集)
  • バードウィーク全国一斉野鳥販売実態調査2004個別データ集【内部資料】
  • 加盟店における日本産鳥類と同種の野鳥販売状況

2005年4月26日

日本百貨店協会
会長 中村 胤夫 様
財団法人日本野鳥の会
会長 柳生 博
全国野鳥密猟対策連絡会
代表 大塚 之稔

野鳥販売の自粛について(お願い)

 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より私どもの野鳥保護の活動にご理解とご協力をいただき、大変感謝申し上げます。
さて私ども財団法人日本野鳥の会は、全国野鳥密猟対策連絡会及び各地の関係行政機関のご協力を得て、1998年に「百貨店・デパートに於ける野鳥販売実態調査」を、2000年から5年間、5~6月に「バードウィーク全国一斉野鳥販売実態調査」を実施して参りました。
貴協会には1999年5月、2004年5月に、野鳥販売の自粛をお願いしたところですが、貴協会に加盟されている会員様のいくつかの百貨店において、野鳥の取り扱いを中止していただいていることが分かりました(添付資料のとおり)。また、「落としカゴ」「鳥モチ」といった野鳥を捕獲するための猟具を扱っている店舗もみられませんでした。どうもありがとうございました。
ご協力に感謝しますと共に、引き続き会員の皆様へ、適切な呼びかけをしていただきますように、お願い申し上げるものです。

添付資料:

  • バードウィーク全国一斉野鳥販売実態調査2004 (野鳥保護資料集第18集)
  • バードウィーク全国一斉野鳥販売実態調査2004個別データ集【内部資料
  • 加盟店における日本産鳥類と同種の野鳥販売状況