写真で振り返る90年③

サンクチュアリと野鳥保護区の誕生

1981年 北海道ウトナイ湖に日本初のサンクチュアリ設置

ウトナイ湖に日本初のサンクチュアリ

全国からの募金やボランティアによる建設など、市民の手による初のサンクチュアリ(自然保護施設)がウトナイ湖に誕生。その後、自治体からの受託も含めたサンクチュアリを各地に展開。

当会直営・受託のサンクチュアリには、日本野鳥の会所属のレンジャーが常駐している。

レンジャーは来場者に野鳥や自然についての解説を行なうほか、サンクチュアリや保護地域の環境管理、生物の生息数調査などを行ない、貴重な自然の保全に努めている。

1982年 『フィールドガイド日本の野鳥』

『フィールドガイド日本の野鳥』

野鳥図鑑である『フィールドガイド日本の野鳥』は増補・改訂を重ね、現在も発行を続けるロングセラーに。

1982年 研究論文集『Strix』第1巻発行

『Strix』第1巻発行

当会会員による調査研究に基づく論文集『Strix』は、2023年時点でvol.39までを発行。

1987年 鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリを設置(直営)

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリを設置

北海道東部のタンチョウ保護のため、1985年に「日本野鳥の会 ツル保護特別委員会」発足させ、その基本構想をもとに「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」を設置。この施設は、伊藤良孝氏(故人)が長年タンチョウの給餌活動を続けきた土地の提供を受け、日本全国からの寄付金で建てられた。

1987年 タンチョウのための野鳥保護区を設置

タンチョウのための野鳥保護区を設置

タンチョウが繁殖する根室の湿原約7haを購入し、野鳥保護区を設置。現在23か所、約2,800haをタンチョウの保護区にしており、タンチョウ31つがいが生息。

1991年 ウトナイ湖がラムサール条約登録湿地に

ウトナイ湖がラムサール条約登録湿地に

ウトナイ湖:北海道の南西部に位置。周囲9kmの淡水・海跡湖である。湖岸水辺にヨシ、スゲ、マコモ、フトイ等の挺水植物群が分布し、湖岸を落葉広葉樹が占める。渡りの我が国有数の中継地で、ハクチョウ類、ガンカモ類が数千羽飛来し、繁殖する鳥類は270種以上である。

1991年 「種の保存法」制定への働きかけ

「種の保存法」制定への働きかけ

ワシントン条約に対する日本の履行体制への国際的な批判が高まるなか、1992年に京都で開催されることになった第8回ワシントン条約締約国会議をふまえ、当会は1991年12月に「種の保存法」の制定に向けて意見書を環境省に提出(写真)。翌92年1月に「種の保存法の制定に関するシンポジウム」を開催。同92年に「種の保存法」が成立した。

1994年 国際野鳥保護団体「バードライフ・インターナショナル」のパートナー団体に

「バードライフ・インターナショナル」のパートナー団体に

この後、東アジアにおける希少種保護を牽引。「アジア版レッドデータブック」や「日本版IBA(重要野鳥生息地)」の選定に中心的な役割を果たす。

IBA基準生息地の選定は、バードライフインターナショナルの定めた全世界共通の基準により進められている。2015年には、これまで陸域を対象として進められてきたIBAの選定に対して、海鳥を指標に、海域を対象とした野鳥の重要生息地マリーンIBAを選定している。

2004年 シマフクロウのための野鳥保護区を設置

シマフクロウのための野鳥保護区を設置

根室の13haの森を購入し、シマフクロウのための野鳥保護区を設置。シマフクロウは北海道東部にわずか約100つがいしか生息していない世界最大級のフクロウ。当会は絶滅に瀕しているシマフクロウを森の生物多様性保護のシンボルとして、この年から北海道東部における森林環境の整備、保護区拡大、人工巣箱や給餌用生け簀の設置などの取り組みを開始。2014年には、環境省のシマフクロウ保護増殖事業者となる。

野鳥保護区

野鳥保護区

当会では、1986年以来、野鳥の生息地の保全を目的として、土地の購入や所有者との協定の締結により「野鳥保護区」を設置している。シマフクロウの保護区は、オホーツク・根室・釧路・十勝・日高管内の生息地に広がり、12つがいの生息地を保全。総面積は1,104haで東京ディズニーランド22個分の広さ。

2005年 バードウォッチング長靴発売

バードウォッチング長靴発売

もともとバードウォッチング用に開発された本商品は、ロングセラーのヒット商品となり、2016年に「ロングライフデザイン賞」受賞。

2010年 生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)開催。名古屋議定書・愛知ターゲット採択

2011年 東日本大震災/福島第一原発事故

2011年 公益財団法人となる

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