マリーンIBAの選定

陸のIBA と同様、マリーンIBA は、全世界共通のIBA基準を使って選ばれます。
マリーンIBA の選定には、様々なデータが使われます。例として、ボートセンサスによる海鳥の洋上の分布データやアルゴス衛星追跡システム(PTT 発信機)、GPS データロガー、ジオロケータ(GLS)等を使った海鳥の追跡データがあります。そのほか、海洋環境データ(水温、クロロフィル濃度、水深など)、コロニーデータ(種、集団サイズ、コロニーの位置情報など)や採餌生態データ(種による採餌範囲など)も選定に利用します。こうした情報を解析し、海鳥が高頻度で利用する海域を推定します。

海鳥は集団でコロニーを形成して営巣する場合が多く、繁殖コロニー周辺の海域は、繁殖期の海鳥にとって重要な生息域です。繁殖期を通じて、採餌や休息、羽づくろい等に利用されます。またミズナギドリ類は、日没後に帰巣する前にコロニー周辺の海上に集団で集まること(ラフティング)が知られていますが、このラフティング海域も繁殖期の海鳥にとっての重要な海域です。日本のマリーンIBA は陸のIBA として既に選定されている44ヶ所の海鳥繁殖コロニーの周囲に、採餌およびラフティングに利用する海域の範囲を抽出することでマリーンIBA の選定を行いました。また、これら44ヶ所の海鳥繁殖コロニーで繁殖する18 種の海鳥を選定に用いました。これまで27ヶ所の海域がマリーンIBAとして指定されています。