森のいきもの観察DAY(2023年1月9日 開催)のご報告

「森のいきもの観察DAY」開催!

Nikon×公益財団法人日本野鳥の会 笑顔と歓声がひろがる親子向けイベント

1月9日、当会レンジャーが常駐する横浜自然観察の森(神奈川県横浜市)で、親子向けのイベント「森のいきもの観察DAY」を開催しました。このイベントは、双眼鏡メーカー「株式会社ニコンビジョン」から当会に、未来を担う子どもたちを対象にした社会貢献活動をしたいとの提案があり、両者で企画したものです。

当日は、親子向けのバードウォッチングと、横浜自然観察の森の園内に設置した3か所のポイントを巡るポイントラリーを実施しました。

親子でバードウォッチング

親子向けバードウォッチングは、1回につき8名の定員で、1時間のプログラムを6回実施。大人22名、子ども21名の参加がありました。

最初に、ニコンビジョンのスタッフが双眼鏡の使い方を説明し、園内を歩きながら、ツバキの蜜を吸いにきたメジロや、トウネズミモチの実を食べに集まったヒヨドリ等を観察しました。上空を飛ぶトビは、動く鳥を双眼鏡で見るのにとてもよい練習になり、尾羽の形が三味線のバチのようにみえることや、尾羽を左右に動かして方向転換するようすを観察しました。

参加者からは「ただ飛んでいるだけではなくて、首を下に向けて、キョロキョロしているのがわかった!」という感想があり、双眼鏡を使って観察することの楽しさを体験してもらえました。さらに、ノスリやハイタカなどの猛禽類も、双眼鏡や望遠鏡を使って観察することもでき、子どもたちの間から「かっこいい」や「ノスリと目があった!」との歓声が次々にあがりました。


遠くの木にとまっている鳥が見えるかな?

双眼鏡で観察できたノスリ。かっこいい!

今回のイベントに参加したきっかけを伺うと、親が興味をもっていて子どもを連れてきたご家族のほか、飼い鳥を飼育したことがきっかけで、鳥が好きになり参加したという方もいらっしゃいました。だれよりも早く鳥を見つけ、見つけた鳥の名前をすぐに言い当てている子どもたちの姿に、これからも野鳥や自然に興味をもち続けてほしいと願わずにはいられませんでした。

いきもの観察ポイントラリー

いきもの観察イメージイラスト

園内3か所に設けられた観察ポイントを巡り、スタンプを押して質問に回答する「いきもの観察ポイントラリー」も同時開催。スタンプと回答を集めた参加者には、ニコンのオリジナルトートバッグがプレゼントされました。

3つの観察ポイントは、「①いきものたちの落としものを観察しよう」「②水中のいきものを拡大してみよう」「③広場でそうがん鏡をつかってみよう」がテーマになっており、参加者は設置されたニコンの顕微鏡と双眼鏡を使って、生きものやその痕跡を観察して質問に回答します。

①のポイントでは、泡のような表面をしたオオカマキリの卵のうや、フック型のとげがあるヌスビトハギ、落ち葉に這う菌糸のようすなど、拡大すると見える世界に、子どもも大人も「すごい!」と顕微鏡にくぎづけになっていました。また、木の皮がたくさん落ちている地面の真上を双眼鏡で観察して、タイワンリスが木の皮をかじっていることに気づいてもらうなど参加者は痕跡を探しながら観察を楽しみました。


小さな生きものは、顕微鏡でじっくり観察しよう!

オオカマキリ卵のう

ポイント②では、川の中でくらすヘビトンボやモンカゲロウ、サワガニなどの生きものたちを観察。ヘビトンボ(幼虫)の大きなアゴ、モンカゲロウ(幼虫)のひらひらと動くエラなど、水生生物の体のつくりを拡大して観察することができました。水の中の落ち葉や砂で自分の殻を作るトビケラを観察した子どもたちは、「うわ~」「なんだこれ?!」と大興奮。幼虫を観察した後は、森で過ごす成虫の写真を見て、川と森がつながっていることを感じてもらいました。


サワガニのハサミはどんなかな?

トビケラ幼虫

双眼鏡と望遠鏡を使ったポイント③の野鳥観察体験では、木の実に集まるヒヨドリやメジロ、上空を舞うトビ、ノスリ、ハイタカなどが観察できました。遠くのものが大きく見えて、子どもたちは大喜びです。双眼鏡と望遠鏡の使い方は、ニコンビジョンのスタッフがていねいに説明してくれるので、初心者でも安心して体験できるよい機会となりました。


ヒヨドリ

メジロ

今回のイベントでは、生きものがあまりいないように見える冬の森の中でも、生きものたちの気配を感じてもらえる一日となりました。

当会と株式会社ニコンビジョンは、これからも親子向けの自然体験イベントを実施していく予定で、多くの方に参加いただきたいと考えています。今後の展開にご期待ください!

文/瀬古智貫(普及室)
写真/(公財)日本野鳥の会
イラスト/新岡 薫