プレスリリース:勇払原野(ゆうふつげんや)の風力発電計画地内で特別天然記念物タンチョウの繁殖を確認
2021年12月16日
日本野鳥の会らが、事業者に計画の中止・撤回を要請
北海道・環境省・苫小牧市・厚真町へ計画の抜本的見直しを勧告するよう要望
大阪ガス(株)による勇払原野の風力発電計画 日本野鳥の会は反対
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京。以下、当会)は、希少鳥類の重要な生息地である勇払原野の東部(苫小牧市字弁天~厚真町字鹿沼)で、大阪ガス株式会社(本社:大阪)とその系列会社である「Daigasガスアンドパワーソリューション株式会社」が計画する「(仮称)苫東厚真風力発電事業」に対し、事業の中止を求めています。
今年2月に縦覧された環境影響評価方法書に示された対象事業実施区域(以下、計画地)とその周辺で、国内希少野生動植物種や国の天然記念物に指定されているタンチョウやオジロワシ、チュウヒやマガンなどの生息が明らかになっており、当会は、これら希少鳥類の保護の観点から、計画当初(2020年5月)から事業を進めることに反対してきました。

勇払原野の浜厚真地区(厚真町)に残存する湿地

オレンジ色のエリアが、対象事業実施区域のうち風車設置予定位置
網掛けグレーのエリアは、風車以外の関連施設の設置予定位置
※(仮称)苫東厚真風力発電事業環境影響評価方法書の図2.2-1(2)を引用して作図
2017年に続き今年も計画地にタンチョウが繁殖、ヒナ2羽を無事に巣立たせる。他の多くの希少鳥類も繁殖していることが明らかに
ネイチャー研究会inむかわ、酪農学園大学、(一社)タンチョウ研究所による共同調査では、2017年に続き2021年も1つがいのタンチョウが計画地内で繁殖し、7月17日まで2羽の幼鳥を含む親子で浜厚真地区に生息していたこと、そして、計画地が今後もタンチョウにとって重要な繁殖環境を提供し続ける可能性が高いことが確認されています(日本野鳥の会苫小牧支部 2021)。
また、今年の7月31日から8月1日にかけて、計画地を含めた浜厚真地区で生物相調査である浜厚真Bioblitz 2021が実施されました。その結果、全国的に極端に個体数が少ないチュウヒとアカモズの繁殖が確認され、これらの種が毎年繁殖している浜厚真地区とその周辺は種の存続にも関わる重要な生息地となっていることが分かりました(先崎ほか 2021)。また、これまでの調査により、シロチドリ、マキノセンニュウ、ハイタカ、オオタカ、オジロワシなどの希少種にとっても重要な繁殖地となっており、サンカノゴイやウズラも繁殖している可能性があることも分かりました。
さらに、(公財)日本野鳥の会が2021年に行った計画地とその周辺におけるチュウヒの繁殖状況調査では、6つがいのチュウヒが繁殖を開始し、2つがいで4羽の幼鳥を巣立たせたことを確認しています(日本野鳥の会 未発表)。
上記の希少鳥類には、風力発電施設(以下、風車という)の建設によるバードストライクや生息地放棄の発生など影響を受けやすい種が多く含まれ、この事業の実施が計画地およびその周辺に生息するこれらの希少鳥類に及ぼす影響は大きいことから、事業を中止しない限りは、影響を回避できないと予測します。
特に国内希少野生動植物種に指定されているチュウヒは、国内推定数90つがい(環境省 2015)のうち6つがいが計画地内で今年繁殖しており、風車建設で全つがいが生息地放棄等を起こした場合、国内繁殖数の約7%が消失することになります。

タンチョウ

チュウヒ

アカモズ(撮影:新谷幸嗣)
事業者に計画の中止撤回を要請、道や環境省、苫小牧市や厚真町へは事業者が計画を抜本的に見直すよう勧告することを要望
当会は、風車建設がタンチョウやチュウヒなどの希少鳥類の繁殖に影響を及ぼすことは回避不可能と判断し、希少鳥類保護の観点から、令和3年12月13日付で事業者に対し「タンチョウの繁殖確認による(仮称)苫東厚真風力発電事業の撤回を求める要請書」を提出し、事業計画の中止を要請しました。
また、令和3年12月13日付で北海道知事宛、環境大臣宛、苫小牧市長宛および厚真町長宛に「タンチョウの繁殖に伴った(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要望書」を提出し、事業の見直しを含む厳しい行政勧告を事業者に対し行うよう要望しました。
参考資料(アルファベット順)
- 環境省.2015.平成 26 年度 チュウヒ保護方策検討委託業務報告書.環境省,東京.
- 日本野鳥の会苫小牧支部.あおさぎ238号(2021年11月号),pp.3-7.
- 先崎理之,松井晋,江崎逸郎,大畑孝二,中村聡.浜厚真の鳥類~浜厚真Bioblitz2021報告~.石狩川流域湿地・水辺・海岸ネットワーク.
添付資料
- 日本野鳥の会苫小牧支部.あおさぎ238号(2021年11月号)
- タンチョウの繁殖確認による(仮称)苫東厚真風力発電事業の撤回を求める要請書(大阪ガス(株)宛)
- 国の特別天然記念物 タンチョウの繁殖に伴った(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要望書(北海道知事宛)
- 国内希少野生動植物種 タンチョウの繁殖に伴った(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要望書(環境大臣宛)
- 国の特別天然記念物 タンチョウの繁殖に伴った(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要望書(苫小牧市長宛)
- 国の特別天然記念物 タンチョウの繁殖に伴った(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要望書(厚真町長宛)
報道関係者様 問い合わせ先
公益財団法人 日本野鳥の会 自然保護室/中村(なかむら)・浦(うら)
TEL:0144-58-2505(中村)/03-5436-2633(浦)
E-mail:[email protected](中村)/[email protected](浦)
※掲載いただけます場合には、お手数ですが上記の担当者までご連絡くださいますようお願いいたします。
※写真はデジタルデータの提供が可能です。使用については必ずご相談ください。禁:無断転載。
〈別紙詳細資料〉
日本野鳥の会 組織概要
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL:https://www.wbsj.org/
これまでに勇払原野の計画地周辺で確認されている希少鳥類

勇払(ゆうふつ)原野について
勇払原野とは?

道央圏にある石狩低地帯の一角で、苫小牧から太平洋に至る一帯を「勇払原野」と呼んでいます。 勇払原野はかつて釧路湿原、サロベツ原野とともに北海道の三大原野と言われていました。
約3万6千haの原野を構成する湿原の面積は、過去50年間で著しく減少しているものの、 残された自然環境は、ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、水鳥や草原性鳥類、 絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。
勇払原野の歴史と現状
勇払原野は台地、砂丘、湿原、湖沼と複雑な環境を持ち、先住のアイヌ民族が暮らしていた時代から、川を利用した太平洋側と日本海側を結ぶ交通の要衝として、またサケやシカ等の資源に恵まれた土地として、自然と共存した文化がありました。勇払原野の開拓は江戸時代後期からで、農業開拓は湿地と霧、火山灰土に阻まれ、あまり進展しませんでした。
その後1960年代からの高度成長期に、空港に近く、海にも面した広大な平地として目をつけられ、 第三次全国総合開発計画の一環として、国内有数規模の重化学工業地帯をめざした「苫小牧東部開発計画」がスタートしました。しかしその後オイルショック等の社会情勢の変化により、当初計画の1万700haの 土地の多くが未利用地域として残され、また農地として開拓された場所が放置されて原野化し、結果として鳥類の良好な生息地となっています。

プレスリリース:北海道・根室地域に新しい野鳥保護区が誕生
2021年12月9日
ご寄付をもとに「シマフクロウ」の生息地37.3ヘクタールを購入
合計4つがいの生息地保全を強化

公益財団法人日本野鳥の会(事務局:東京、会長:上田恵介、会員・サポーター数約5万人)は、現在約160羽ほどしか生息していないシマフクロウ(絶滅危惧ⅠA類)の生息地保全のため、北海道・根室管内の2か所の民有林、合計37.3haを「野鳥保護区基金*」へのご寄付をもとに購入しました。
当会では、この保護区を「野鳥保護区シマフクロウ根室第1」(30.8ha)「野鳥保護区シマフクロウ根室第3」(6.5ha)と名づけ、絶滅危惧種の生息地として貴重な自然環境を恒久的に保全します。
*野鳥保護区基金:野鳥保護区にかかわる土地購入や管理の費用に特化した当会の基金
*野鳥保護区の具体的な場所や地名は、シマフクロウの生息かく乱の可能性があることから、公表していません。
1.シマフクロウ1つがいが繁殖する森林の保全を強化<野鳥保護区シマフクロウ根室第1>

野鳥保護区シマフクロウ根室第1
根室管内のこの森林には、1991年から1つがいのシマフクロウの繁殖が確認されています。当会ではこの地区の河畔林のうち、法的な保護がされていない民有地を2004年から購入し、野鳥保護区として保全してきました。今回購入した民有林も近隣の開発計画に晒され、シマフクロウの生息が危ぶまれていました。そこで当会では、「野鳥保護区基金」へのご寄付をもとに、2020年から2年にわたり30.8ha(307,962㎡)の土地を購入し、野鳥保護区を設置しました。これにより、当森林で繁殖するシマフクロウの生息地のうち51.6haが保全されます。
2.シマフクロウ3つがいが繁殖する森林の保全を強化<野鳥保護区シマフクロウ根室第3>

野鳥保護区シマフクロウ根室第3
根室管内のこの森林の流域には、3つがいのシマフクロウの繁殖が確認されています。当会ではこの地区の河畔林のうち、法的な保護がされていない民有地を2010年から土地の購入や所有者との協定により、野鳥保護区として保全してきました。今回購入した民有林も近隣の開発計画に晒され、シマフクロウの生息が危ぶまれていました。そこで当会では「野鳥保護区基金」へのご寄付をもとに、2020年から2年にわたり6.5ha(64,809㎡)の土地を購入し、野鳥保護区を設置しました。これにより、当森林で繁殖するシマフクロウの生息地のうち63.7ha(636,720㎡)が当会の所有地として保全され、協定による保護区と合わせると189.3haが守られることになります。
シマフクロウについて
国指定天然記念物、国内希少野生動植物種、絶滅危惧ⅠA類

河川や湖沼周辺の森林に生息する魚食性の世界最大級のフクロウです。明治期までは北海道内に広く生息していたとされますが、繁殖に必要な直径100cm以上の洞のある大木が森林伐採等により喪失し、餌の魚類が河川改修などにより減少したことで数を減らし、絶滅の危機に瀕しています。現在は北海道中部から東部にかけて約160羽程度が生息するのみです。そして、多くのつがいが巣箱や給餌など、人為的な支援を受けて繁殖しています。生息環境が限られているため、巣立ち後の分散が困難で、近親つがいの形成などの問題も起きています。
日本野鳥の会では、2004年より生息地の民有林を買い取って独自の野鳥保護区としているほか、植樹や間伐など森林環境の整備のような長期的な活動と、生簀による給餌や巣箱設置などの当面の絶滅を回避するための保護活動を行なっています。 現在では、13つがいの生息地で保全活動を進めています。
日本野鳥の会の野鳥保護区について
絶滅危惧種の生息地の危機
1970~80年代は企業・行政共に環境への配慮よりも産業や経済が優先される時代であり、開発によって自然環境が荒廃していました。国は環境庁を設置したばかりでまだ十分な体制を持っておらず、生き物たちの絶滅も心配されていました。北海道でも、タンチョウやシマフクロウなど絶滅危惧種の生息地が開発の危機に晒されていました。

タンチョウの住む湿原を貫く道路工事

伐採されたシマフクロウの森
生息地を丸ごと守ります
彼らを守り、絶滅の淵から救うためには、繁殖できる生息地を丸ごと守ることが有効です。また、進行する開発に迅速に対応するためには、買い取りによる生息地の確保がもっとも有効な方法です。そこでNGOである当会が、先駆的に生息地を買い取って独自の「野鳥保護区」とする運動を1986年より開始しました(タンチョウ:1987年~、シマフクロウ:2004年~)。

タンチョウやシマフクロウの生息地を丸ごと保全することで、そこに住むすべての動植物を守ることができる。
国内最大の民間自然保護区に
最初の保護区設置から今日まで35年が経過し、今回の土地購入により、当会所有および協定による野鳥保護区の総面積は3,620ha となりました(タンチョウ2,463ha、シマフクロウ1,125ha、その他32ha)。また、土地所有者との覚書により保全しているシマフクロウの重要な生息地の132haも合わせると、保全面積は3,752haとなります。これは山手線の内側面積の約6割に相当し、絶滅危惧種の保全を目的とした民間の自然保護区としては国内最大の面積です。(景観保護のための民間自然保護区を含めると、前田一歩園財団の3,892haに次ぐ2番目の広さ)。

村田野鳥保護区風蓮川の湿原

持田野鳥保護区シマフクロウ釧路第2の河畔林
ご寄付によって支えられています
本件の土地は、野鳥保護区の設置をご希望された故人から生前にご遺贈の申し出をいただき、購入できたものです。当会の野鳥保護区の運動は、共感いただいた方々からのご寄付に支えられています。土地の購入だけでなく、野鳥保護区の設置後には、自然環境を良好かつ永続的に維持するため、巡回監視やモニタリング調査、適正な管理など継続的な活動を行なっています。
(詳しくはホームページ)
「日本野鳥の会」について
「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。
独自の野鳥保護区を設置し、シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。
<組織概要>
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立:1934(昭和9)年3月11日 *創立87年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL:https://www.wbsj.org/
報道関係者様 問い合わせ先:(画像の提供も下記にお問い合わせください)
公益財団法人日本野鳥の会 保全プロジェクト推進室 保護区グループ
担当:松本 潤慶(まつもと じゅんけい)
〒059-1365 北海道苫小牧市植苗150-3
野鳥保護区事業所(ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター内)
TEL:0144-82-8803
E-mail:[email protected]
プレスリリース:世界最大の野鳥観察データベースeBirdの日本語版eBird Japanを公開
2021年11月1日
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:上田恵介、会員・サポーター数:約5万人)は、コーネル大学鳥類学研究室(Cornell Lab of Ornithology)と協働で、世界最大の野鳥観察プロジェクトeBird(イーバード)を日本語で利用できる“eBird Japan”を開発し、本日公開しました。
eBirdは誰でも無料で利用できるオンラインの野鳥観察データベースを核とする、科学研究プロジェクトです。世界中のバードウォッチャーと共有できるデータベースを利用することで自分が見た鳥の記録だけでなく、まだ見たことがない鳥が見られる場所の検索や、世界各地のバードウォッチングスポットの検索などもできます。
eBird Japanは、eBirdのポータルサイトとして、eBirdの持つ機能や様々なサービスを日本語で利用できるように、日本野鳥の会がサントリーホールディングス株式会社の協賛を得て作成しました。

eBirdには、世界各国の70万人を超える利用者から、1万種以上の野鳥の観察記録が寄せられており、その数は10億件にのぼります。蓄積されたデータは鳥類の分布の変遷などの研究にも活用されています。eBirdに日本の野鳥観察記録が増えることで国内のデータが充実すれば、それらを活用した科学研究や自然保護活動が可能になります。
“eBird Japan”ができたことで、バードウォッチングの楽しみ方が広がるとともに、一人ひとりの観察記録が世界中のバードウォッチャーや研究者、自然保護団体と共有され、さまざまな野鳥保護・調査研究活動に活用されることが期待できます。
eBirdとは
世界的な科学研究プロジェクト
eBirdは、コーネル大学鳥類学研究室が運営する、世界的な科学研究プロジェクトです。世界中のバードウォッチャーの野鳥観察記録をオンラインで共有し、鳥類の研究や保護に役立てることを目的としています。2021年10月現在、eBirdの利用者は711,148人にのぼり、日々増え続けています。
13か国語に対応 非営利ならば自由に利用できるデータ
eBirdは、コーネル大学鳥類学研究室と、世界中のパートナー団体、何千人もの地域の専門家、何十万ものユーザーとの共同で運営されています。日本のポータル“eBird Japan”は、サントリーホールディングスの協賛を得て、(公財)日本野鳥の会が運営管理しています。
eBirdは13か国語に対応しており、世界中で利用できます。また、eBirdのデータは、調査研究や教育活動、自然保護活動など非営利目的であれば、自由に利用できます。
eBirdの主な機能
1.野鳥情報の検索
見たい鳥が見られる場所・時期の検索や、人気のバードウォッチングスポットの検索、他のバードウォッチャーの観察記録などを見ることができます。

- 種の検索:種の検索ページと分布域マップから、見たい鳥がどこで見られるかを詳しく知ることができます。種のページでは、他のeBird利用者が投稿した野鳥の写真や動画を見たり、音声を聞くことができます。
- 場所の検索:地域や国で検索すると、そこでどんな種が観察されているかを見ることができます。他のバードウォッチャーがおすすめする、人気のバードウォッチングスポットも探すことができます。
2.観察結果の投稿・共有

自分の野鳥観察記録を投稿し、オンラインでデータベースに保存・共有ができます。野鳥観察リストのほか、音声や写真、ビデオなどのメディアも投稿できます。また、前年の記録と比較したり、特定の場所や日にちに観察された鳥のリストを見ることもできます。
eBirdモバイルアプリ
リアルタイムでの野鳥観察の記録、結果の投稿には、モバイルアプリが便利です。

*公開後は日本語で利用いただけます
アプリ「Merlin(マーリン)野鳥識別」
「Merlin野鳥識別」は、eBirdに蓄積された野鳥観察情報を利用して、識別をサポートする無料アプリです。見た鳥の場所や時期、特徴、写真などから、世界中の8,000種以上の鳥類を識別することができます。
*Merlinは、eBirdに投稿される野鳥観察情報を利用しているため、eBirdの日本の利用者が増え、国内の野鳥観察記録が充実することにより、Merlinの識別能力も向上します。
詳細リンク
- eBird Japanの紹介(日本野鳥の会ページ)
- eBird Japanポータル
- eBirdモバイルアプリ
- Merlin野鳥識別
科学研究や、自然保護活動への活用
eBirdは、市民参加型の鳥類調査のプラットフォームとして、大規模なモニタリングプログラムに活用されています。eBirdのデータベースには、世界規模の鳥類モニタリング(繁殖分布調査、クリスマス・バードカウント(CBC)等)による観察結果も含まれています。
また、eBirdの観察結果は、eBirdサイエンスチームが開発した南北アメリカ大陸のツバメの個体数マップのように、個体数と分布のモデル作成にも使われています。

さらに、eBirdのデータを他の調査と組み合わせることで、自然保護の政策決定にも役立っています。例えば、米国カリフォルニア州で繁殖するサンショクハゴロモガラス(Agelaius tricolor)の個体数が、eBirdの観察データ等から10年間で約34%減少したと推定されたことで、この種は絶滅危惧種に指定されました。同じく米国では、eBirdのデータからハクトウワシ(Haliaeetus leucocephalus)の個体数をマッピングし、風力発電の開発を行う際に、衝突リスクが低い地域を特定しました。
このほかにも、2020年には2,500人以上がeBirdのデータを分析しています。
*eBirdを利用した調査・研究者の数 – 文献のリストはこちら(英文):https://ebird.org/science/research-and-conservation/publications
日本野鳥の会 組織概要
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL:https://www.wbsj.org/
プレスリリース:勇払原野の安平川下流域に整備予定 河道内調整地(遊水地)で、今年も7種の希少鳥類を確認
2021年10月15日
公益財団法人日本野鳥の会は、今年の繁殖期(4~8月)にウトナイ湖サンクチュアリ(北海道苫小牧市)が新しい手法も取り入れながら実施した勇払(ゆうふつ)原野での鳥類調査で、国内レッドリストに挙げられた絶滅危惧ⅠB類を3種、同Ⅱ類を2種、準絶滅危惧を2種、計7種の絶滅のおそれのある鳥類の生息を確認しました(別紙詳細資料1)。なかでも準絶滅危惧のマキノセンニュウは、安平川(あびらがわ)(下流部右岸)湿原では、出現回数が最も多くなり、ウトナイ湖と比較しても確認頻度(※1)が高いことが分かりました。
現在、当会は勇払原野の苫小牧東部開発地域に整備される河(か)道内(どうない)調整地(遊水地)のラムサール条約湿地登録をめざして保全活動を行なっており、その一環として、希少鳥類の調査を毎年実施し、結果の一部を公表しています(別紙詳細資料2)。
なお、調査結果の公表によって希少鳥類の繁殖に悪影響が及ばないように、繁殖を終えたこの時期の発表といたしました。また、希少鳥類の生息撹乱を防ぐために、詳しい確認位置等の公表は控えさせていただきますのでご了承ください。
※1 その鳥を観察した回数を、調査回数で割って求めた頻度
今年の新たな調査手法について
タンチョウ ドローンで採食地を特定

タンチョウ 写真/日本野鳥の会
これまでは目視により、約1km先にいる個体の行動を確認していましたが、タンチョウは、人が容易に近づくことのできないヨシ原で繁殖するため、巣自体の確認は困難でした。そこで今年は新たな手法として、ドローンを用いて営巣地を特定する調査を実施したところ、昨シーズンに続き、1つがいが断続的に採食場として利用していることを確認しました。今回は営巣の確認には至りませんでしたが、今後もさまざまな調査手法を検討することで生息状況を把握し、生息環境の保全に努めていきます。
シマクイナ 音声調査により生息を確認

シマクイナ 写真/宮 彰男
絶滅危惧IB類のシマクイナの調査は、これまでウトナイ湖サンクチュアリのボランティアの協力を得ながら毎年2回、夜間に実施していました。今年は、より効果的な音声マイクおよびマイクロフォンアレイ(後述)を用いた方法で、計25日間の調査を行ないました。調査の結果1羽の声を確認し、また、6月上旬にはすでに勇払原野に渡来していることがわかりました。なお、当会は繁殖期における生息を2012年以降毎年確認していますが、勇払原野と青森県仏沼では2018年に国内で初めて繁殖が確認され、さらに勇払原野では幼鳥6羽が目視確認されました(Senzaki et al. 2021)。
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1、音声マイク調査 5月下旬~6月上旬実施
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シマクイナは湿性草原で繁殖する夜行性の小型のクイナで、目視による確認が非常に難しい種です。そのため夜間に本種のさえずりをスピーカーで流し、その音源への反応回数や推定位置を記録する「プレイバック調査」を、毎回実施しています。シマクイナの反応を直接現地で聞き取る調査人員確保の困難さから、例年は7月下旬から8月上旬の最もさえずりがさかんな時期に、2日間、1回2時間の調査が限界でした。今回は音声マイクを用いることで5月下旬から6月上旬にかけて例年の11倍にあたる22日間実施し、6月9日にシマクイナの鳴き声を記録しました。今回の調査で初めて、6月上旬にはすでに勇払原野に渡ってきていることが明らかになりました。今後は、この手法を用いてシマクイナの生息状況についてさらに明らかにしていきたいと考えています。
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2、マイクロフォンアレイとロボット聴覚を用いた音声調査 8月中旬実施
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当会は、大阪大学大学院基礎工学研究科の松林志保特任准教授(常勤)が、勇払原野において実施したマイクロフォンアレイ(録音装置)を用いた調査に同行、協力しました。上述の音声マイク調査と同様に、「プレイバック調査」を実施し、シマクイナの反応をマイクロフォンアレイ3台で観測することを試みました。今回の調査は、2日間と限られた日数で実施したためシマクイナの鳴き声は確認できませんでしたが、本観測手法を用いることによって、シマクイナが広大な湿地をどのように利用しているかの解明など、生息地の管理や保全に役立つ生態情報の収集を期待しています。
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<マイクロフォンアレイとロボット聴覚について>
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マイクロフォンアレイとは複数のマイクロフォンで構成される録音機材であり、それぞれのマイクロフォンで観測される音の違い(時間差、位相差)を処理・解析することで、音の到来方向を推定する機能を持ちます。軍事技術から資源探査まで幅広い分野で応用されていますが、身近なところでは、スマートスピーカーやWeb会議用のマイク等にも同種の技術が使われています。今回使用したマイクロフォンアレイ「TAMAGO」(㈱システムインフロンティア社製)は、機材の円周上に8個のマイクを配置しています。
松林特任准教授が所属する研究グループでは、マイクロフォンアレイで収音した音声データをロボット聴覚オープンソースソフトウエアHARK(Honda Research Institute Japan Audition for Robots with Kyoto University) を用いることで音源定位(音の到来方向を推定)・音源分離(音声を抽出)を行うHARKBirdという録音分析、解析システムを開発し、夜行性鳥類を含めさまざまな鳥類の位置情報付き鳴き声観測に取り組んでいます(松林他2018, Matsubayashi et al 2021)。

勇払原野にてマイクロフォンアレイを設置
<引用文献>
松林志保, 斎藤史之, 林晃一郎, 鈴木麗璽, 有田隆也, 中臺一博, 奥乃博, (2018) ロボットが聴く夜の鳥, -人工知能学会資-52(4) pp.15-20.
MATSUBAYASHI S, SAITO F, Suzuki R, NAKADAI K, OKUNO H.G, (2021) Observing Nocturnal Birds Using Localization Techniques, 2021 IEEE/SICE International Symposium on System Integration, pp. 1-6, (DOI: https://doi.org/10.1109/IEEECONF49454.2021.9382665)
河道内遊水地の重要性 ラムサール条約湿地登録をめざして
今回の調査で確認された7種は、ほとんどが湿原や草原に生息し、また、全国でも限られた地域にしか生息しない鳥類です。全国的にみても希少な鳥類が生息する湿原や草原といった自然環境が、苫小牧市内に残されていることが、あらためて明らかになりました。また、今回新たに導入した手法を用いれば、希少鳥類の生息状況をより正確に把握することができ、生息地である勇払原野の重要性を評価できる可能性があることもわかりました。
当会は、これらの湿原性鳥類にとって重要な生息地である河道内調整地(遊水地。安平川下流部に整備予定)のラムサール条約湿地登録を、2016年から提案しています。また、河道内調整地に造成される周囲堤の工事は、約10年間の計画で行なわれ、今後本格化します。工事期間中は希少鳥類の生息地に影響が及ぶことなく、河道内調整地の目的である自然環境の保全と治水がともに達成されるよう、当会は今後も関係機関と連携し、保全活動を進めてまいります。
11月3日(水・祝)にオンラインにてシンポジウム開催
当会がウトナイ湖サンクチュアリを開設してから今年で40周年、ウトナイ湖のラムサール条約湿地登録から30周年を迎えました。これを記念し、これまでの調査を含む保全活動やワイズユースの実例を広く伝え、今後の勇払原野(河道内調整地)のラムサール条約湿地登録に向けた活動について、多くの方々に理解を深めてもらうため、下記の要領にてオンラインでシンポジウムを開催します。
*11月3日(水・祝)13:30-16:30(予定) 要事前申込み
*くわしくは、「広報とまこまい」10月号またはウトナイ湖サンクチュアリのホームページをご覧ください。
<引用文献>
KITAZAWA M, SENZAKI M, MATSUMIYA H, HARA S, MIZUMURA H (2020) Drastic decline in the endemic brown shrike subspecies Lanius cristatus superciliosus in Japan. Bird Conservation International, First View , pp. 1 – 9 (DOI: https://doi.org/10.1017/S0959270920000556)
SENZAKI M, KITAZAWA M,SADAKUNI T, TAKAHASHI M (2021) Breeding evidence of the vulnerable Swinhoe’s Rail in Japan. The Wilson Journal of Ornithology 132(3), 711-717,(DOI: https://doi.org/10.1676/19-45)
「日本野鳥の会」について
「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。
独自の野鳥保護区を設置し、シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。
<組織概要>
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立: 1934(昭和9)年3月11日 *創立87年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL: https://www.wbsj.org/
報道関係者様 問い合わせ先(画像の提供も下記にお問い合わせください)
公益財団法人日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ
担当:中村 聡 E-mail:[email protected]
善浪(ぜんなみ) めぐみ E-mail:[email protected]
TEL:0144-58-2505/080-2872-2709(業務携帯)
〈別紙詳細資料1〉
公益財団法人日本野鳥の会プレスリリース(2021年10月15日)
今回の調査で確認された希少鳥類
絶滅危惧ⅠB 類
- シマクイナ(ツル目クイナ科 全長13cm)
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- 主に湿地や水田を利用し、繁殖期にはシベリア南東部やモンゴルで確認され、国内では勇払原野や青森県仏沼など、北海道と青森県の限られた場所で少数の観察記録がある。冬期には青森以南でも少数が確認されている。越冬地となるヨシ原が全国的に減少していることから、絶滅危惧種に指定されている。
- 2020年に「種の保存法」に基づいて「国内希少野生動植物種」に指定され、保護対象種となった。
- アジア周辺には1万羽未満しか生息しないと考えられているが、詳しい生息状況はわかっていない。
- 勇払原野では、2012年から毎年繁殖期に確認しており、今回の調査では1羽の鳴き声を録音できた。
- アカモズ(スズメ目モズ科 全長20cm)
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- 夏鳥として九州~北海道の原野、灌木のある草原、河川敷等で繁殖し、東南アジア等で越冬する。
- 近年急激に個体数が減少したことで、2006年の環境省第3次レッドリストで、準絶滅危惧から絶滅危惧ⅠB類に2つランクが上がった。
- 近縁種のモズより自然度の高い場所に生育するため、生息地や個体数が少なく、2021年に環境省が定める「種の保存法」の指定種となった。
- ウトナイ湖周辺では2004年以降確認できなくなったが、勇払原野では毎年2~4つがいを確認し、2年続けて幼鳥の確認ができた。
- 近年生息数の減少が著しいアカモズの国内の繁殖分布域は、長野県と北海道に限られ、過去100年間で90.9%縮小したという研究成果が発表された。また、国内における現在の繁殖つがい数は149つがい、個体数は332個体と推定されている。(Kitazawa et al.2020)
- 勇払原野では定期的に2つがいが確認されており、この研究結果を受けて現在利用されている繁殖地であるこの地域を保全することは、これまで考えられていたよりもさらに重要度が高いことが明らかとなった。今後も関係機関と連携し、繁殖地を脅かすことなく、工事を進めていくことが重要である。
- チュウヒ(タカ目タカ科 全長:オス48cm、メス58cm)
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- 主に、北日本の草原、湖沼や河川敷周辺の湿原のヨシ原などで繁殖し、本州中部以南で越冬する。国内繁殖数は136つがいのみ、国内最少のタカ科鳥類である。(当会まとめ)
- 2017年に、種の保存法に基づき「国内希少野生動植物種」に指定され、保護される対象種となった。
- 勇払原野では、20つがいが繁殖、その内苫小牧東部開発地域では、2000年代以降6つがい前後が繁殖していると推定され、勇払原野は国内ではサロベツ原野に次いで重要な繁殖地と考えられる。
絶滅危惧Ⅱ類
- タンチョウ(ツル目ツル科 全長:140cm)
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- 主に北海道東部の湿原で繁殖し、冬は鶴居村などの給餌場に集まる。
- 一時は絶滅したと考えられたが、1924年の再発見以来、地元の方々の保護活動が奏功し、現在は約1800羽まで回復している。
- 1993年に「国内希少野生動植物種」に指定され、保護増殖事業が進められている。
- 個体数の回復に伴い、近年はサロベツ原野やむかわ町などで繁殖するなど、分布域も拡大しつつある。
- ウトナイ湖では2020年5月に、ヒナ1羽を含む3羽の親子が確認された。近い将来、苫東地域で繁殖する可能性は高く、同地域は北海道西部における個体数や分布域分散の基盤となる可能性がある。
- オジロワシ(タカ目タカ科 全長:オス84cm、メス94cm)
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- 北海道の北部や東部などで少数が繁殖するが、多くは冬鳥としてユーラシア大陸東部より渡来し、海岸、河口、湖沼に生息する。
- 1993年に「国内希少野生動植物種」に指定されている。
- 近年、苫小牧地方でも周年観察されるようになり、勇払原野で繁殖が確認されている。
準絶滅危惧
- マキノセンニュウ(スズメ目センニュウ科 全長12cm)
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- 夏鳥として北海道の海岸草原、湿原、牧草地で繁殖する。越冬地は東南アジア。
- 2012年8月の環境省第4次レッドリストで新たに掲載された。
- 繁殖環境である低茎湿生草原が減少するなか、苫東地域は道内でも特筆すべき生息密度であると推察される。
- オオジシギ(チドリ目シギ科 全長31cm)
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- 北海道の草原では夏鳥として普通に繁殖するが、国内でも世界的にも分布が局所的で個体数が少ない。越冬地はオーストラリア。
- 繁殖期における勇払原野での個体数調査では、2001年には107羽が確認されたが、2017年の調査では77羽となり、約3割減少していた。さらに2019年には、個体数が63羽とさらなる減少を確認した。
- 2020年に道内5地域で実施した個体数調査の結果、推定個体数は2万羽程度で、2018年と比べると約42%減少した。減少の原因は、越冬地であるオーストラリアの異常気象(高温・乾燥)が影響をもたらしたと考えている。(当会調べ)
- 苫小牧市内の弁天沼では、2001年8月に標識調査によって合計400羽以上が確認されており、長距離飛行のエネルギーを蓄積する中継地として、秋の渡りの前に集結することが知られている。2016年の衛星追跡調査では、苫東地域を出発後1週間でニューギニア島まで渡ったことが初めて確認された。
- 今年も7月に勇払原野にて衛星追跡調査を実施し、越冬地であるオーストラリア大陸まで約9,000kmの追跡に成功し、現在も継続中である。
- ■写真提供
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シマクイナ/宮 彰男 オジロワシ/新谷幸嗣
アカモズ・チュウヒ・タンチョウ・マキノセンニュウ・オオジシギ/(公財)日本野鳥の会
*写真の無断転載禁。使用については必ずご相談ください。画像のデジタルデータで提供が可能です。 - ■参考
-
- 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)
- ※種の保存法の概要(環境省HP:https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/hozonho.html)
- 環境省レッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)
- カテゴリー(ランク)の概要 ※環境省HP より
- 絶滅危惧ⅠB 類(EN):近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
- 絶滅危惧Ⅱ類(VU):絶滅の危険が増大している種
- 準絶滅危惧(NT):現時点での絶滅の危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
- 日本鳥類目録 改訂第7版
〈別紙詳細資料2〉
公益財団法人日本野鳥の会プレスリリース(2021年10月15日)
日本野鳥の会の苫東地域での自然環境保全活動
勇払原野は北海道三大原野のひとつとして、釧路湿原、サロベツ原野と並び数えられています。原野を構成する湿原の面積は過去90年で約8分の1となり、著しく減少しているものの、残された自然環境は、ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、水鳥、草原性鳥類、絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。一方、同所では1960 年代の高度成長期に、第三次全国総合開発計画の一環として苫小牧東部開発計画がスタートしました。しかし、その後の社会情勢の変化により、当初計画の約1万700ha の土地の多くが未利用地域として残され、また農地として開拓された場所が放置され原野化し、結果として鳥類の良好な生息地となっています。
当会はこの優れた鳥類の生息環境を将来にわたって維持していくために、2000 年度から当該地域において鳥類調査を実施し、その生息状況から生息環境としての特徴を把握し、社会環境を考察して保全構想をまとめ、2006 年に「ウトナイ湖・勇払原野保全構想報告書」を発行しました。以来、希少種の調査や弁天沼周辺での自然観察会を通じ、同所一帯の保全活動を行っています。近年の主な活動は以下の通りです。
- 2006年
- 苫東地域におけるアカモズ生息状況調査を実施し、同地域がアカモズの国内有数の繁殖地である可能性が明らかになった。
- 2006年
- 弁天沼周辺の畑等の土地利用の変化が鳥類相に与える影響調査を実施し、同所における耕作地化は、草原性鳥類の繁殖を阻害し個体数を減少させ、一帯の鳥類相をも変化させる可能性があることが明らかになった。
- 2006年~
- 弁天沼周辺での自然観察会を毎年実施。
- 2007年~
- 苫東地域におけるシマアオジの生息状況調査を毎年実施し、道内各地の生息記録が途絶えるなか、同地域には継続して渡来していたことが明らかになった。しかし、2012年の1羽を最後に、それ以降確認されていない。
- 2008年
- 北海道知事宛てに「弁天沼周辺の土地利用に関する要望書」を提出。
- 2009年
- 勇払原野で衛星電波発信機によるチュウヒの行動圏追跡調査を実施し、同種の繁殖期の行動範囲や生息に重要な環境が明らかになった。
- 2012年
- 日本野鳥の会3支部との連名で、北海道知事宛てに「苫小牧東部開発地域内の鳥獣保護区指定に関する要望書」を提出。
繁殖期における希少鳥類の生息状況調査を毎年実施。結果を記者発表。 - 2014年
- 周辺約950ヘクタールが河道内調整地となることが決定。
- 2016年
- 弁天沼で行った調査でオオジシギの渡りルートの一部を解明。
ウトナイ湖サンクチュアリ35周年記念シンポジウム~勇払原野をラムサール条約湿地に~を開催。 - 2017年
- 勇払原野でオオジシギ個体数調査を実施。2001年と比較し、個体数が約3割減少。開発と樹林 が減少要因だった。
- 2019年
- 柳生博と学ぶ勇払原野の魅力~安平川河道内調整地の賢明な利用を考える~を開催。
- 2020年
- オオジシギの個体数調査を実施し、数の減少とオーストラリアでの異常気象の影響について推察した。
- 2021年
- ウトナイ湖サンクチュアリ開設40周年、ウトナイ湖のラムサール条約湿地登録30周年。11月に勇払原野の保全に関するシンポジウムを苫小牧市と開催予定である。
勇払原野で行なったオオジシギの衛星追跡調査では、越冬地であるオーストラリアまで約9,000㎞の追跡に初めて成功した。
プレスリリース:全国約1万巣を分析 都市化と人口減の双方がツバメの子育てに影響
2021年6月17日
~日本野鳥の会ツバメ全国調査(2013~2020)~

(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:上田恵介、会員・サポーター数:約5万人)では、近年減少が示唆されているツバメの現状を明らかにするため、全国に呼びかけて、2012年から市民参加型の調査を開始しました。2012年のこの調査では約4割の方が「ツバメが減っている」と感じ、その一因として不衛生を理由に人が巣を落としてしまうケースがありました。
そこで2013年からは当会ホームページ上に「ツバメの子育て状況調査」を設置してツバメの子育ての様子の情報を集め、昨年(2020年)までの8年間に、のべ5,351人の方から10,586巣の観察情報をお寄せいただきました。この全国規模のデータの分析結果から、ツバメの子育ての現状について、以下のことがわかってきました。
| 年 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 計 |
| 参加者数(人) | 666 | 888 | 915 | 797 | 670 | 531 | 380 | 504 | 5,351 |
| 巣の数(個) | 1,296 | 1,940 | 1,723 | 1,673 | 1,409 | 1,055 | 686 | 804 | 10,586 |
都市化や過疎化など、人の暮らしがツバメの子育てに影響
-
1つの巣から雛が巣立つ平均数(8年間の全国平均)=約4羽。
-
ただし市街地では3.8羽、それ以外では4.2羽と、都市化した場所は子育てに適さない可能性がある。

図1 営巣環境別の平均巣立ち雛数の経年変化
-
子育ての失敗の要因の多くは、カラスやヘビの捕食、巣の落下など自然のなかで起こる出来事だが、1割弱が人による巣の撤去であることが報告されている。

図2 ツバメの子育ての失敗要因
- 過疎化により人口が減少した地域では、人がいないことによって、ツバメの卵や雛が捕食される危険性が高くなり、ツバメの営巣が減っている可能性がある。
調査の詳細は 「日本野鳥の会 ツバメ全国調査」詳細 をご覧ください。
ツバメの子育てを優しく見守り、共に暮らせる社会を
古くからツバメは農作物の害虫を食べる益鳥として、また、巣をかけた家には幸福を招く鳥として親しまれてきました。しかし、近年の開発やライフスタイルの変化等とともにツバメが子育てできる環境が減り、都市部での巣立ち雛の減少と、過疎地域での営巣の減少が進んでいることが明らかになりました。
都市部でツバメが子育てをするには、水辺環境と緑地が必要で、かつ、ツバメの存在を見守る人々の思いが大切です。環境を改善していくには時間がかかりますが、私たち一人ひとりがツバメの子育てを優しく見守っていくことは可能です。
日本野鳥の会は、引き続き、市民参加によるツバメの全国調査を実施しモニタリングをするとともに、ツバメを観察する際の注意点、ポイント等をまとめたパンフレット「ようこそツバメ」の配布や、観察会などを通じて、ツバメを温かく見守ってくれる人々を増やし、人と自然の共存の象徴であるツバメが、いつまでも日本で子育てできるような社会をめざしていきます。
参照:消えゆくツバメをまもろう
日本野鳥の会 組織概要
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL:https://www.wbsj.org/
問い合わせ先
(公財)日本野鳥の会
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
担当:自然保護室 葉山政治/山本裕
E-mail:[email protected]
TEL:03-5436-2633
日本野鳥の会のツバメに関する活動
ツバメ観察のパンフレット 『ようこそツバメ』の無料配布
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パンフレット『ようこそツバメ』 |
ツバメを取り巻く環境を知っていただくとともに、ツバメを温かく見守る気持ちを広めることを目的に、ツバメを観察する際の注意点、ポイント等をまとめたパンフレットを希望者全員に無料で配布しています。
ツバメの見守りありがとう 全国16の団体を表彰

京王電鉄(株)への感謝状贈呈のようす
写真左:南澤佳宏 京王西管区 管区長
中央左:小野間明営業掛
中央右:狩野清貴 日本野鳥の会副理事長
日本野鳥の会では、この先もツバメと人との共存が続くことを願い、2019年度からツバメの巣や生息環境を温かく見守っている団体に感謝状を贈呈しています。
2021年度は、全国の当会支部等連携団体から贈呈先を推薦してもらい、京王電鉄(株)をはじめとする9都府県16の団体に贈呈を決めました。
詳細:プレスリリース:「ツバメの見守りありがとう」全国16の団体に感謝状を贈呈
〈別紙詳細資料〉
公益財団法人日本野鳥の会プレスリリース(2021年6月17日)
「日本野鳥の会 ツバメ全国調査」詳細
8年間(2013年~2020年)の調査結果の概要
「ツバメの子育て状況調査」には、8年間で、のべ5,351人にご参加いただきました。前半の3年間(2013年~2015年)は、2013年に設置した特設ページ「ツバメの子育て状況調査」において、ツバメの子育ての様子の情報を集めました。その結果を2016年にまとめたところ、ツバメを取り巻く状況として、
- 全国の都市部でツバメの子育てが困難になっていること
- ツバメと人のつながりの消失が都市部で顕著であること
- 都市部でのツバメの子育てには水辺環境と緑地が大切
ということが明らかになりました(「日本野鳥の会ツバメ全国調査 2013-2015」(※1))。
そして、2016年以降も毎年調査を継続し、2020年までの8年間に観察記録が寄せられたツバメの巣ののべ数は10,586巣となりました(表1)。これらのデータを用いて、日本のツバメの子育ての現状を分析しました。
| 年 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 計 |
| 参加者数(人) | 666 | 888 | 915 | 797 | 670 | 531 | 380 | 504 | 5,351 |
| 巣の数(個) | 1,296 | 1,940 | 1,723 | 1,673 | 1,409 | 1,055 | 686 | 804 | 10,586 |
1.巣立ち雛の平均は、1巣あたり4羽
無事に巣立った、のべ4,868巣の観察データから、その年1回目の繁殖(=1番仔)を対象にして、平均巣立ち数の経年変化を求めました。
その結果、2013年から2020年の間の平均巣立ち雛数は、2018年にやや少なかったものの毎年の変動は少なく、1巣あたりほぼ4羽が巣立っていました(図1)。

図1.一番仔の平均巣立ち雛数の推移(エラーバーは標準偏差を示す)
2.営巣場所による巣立ち雛数の違いについて
次に、営巣場所によって巣立ち雛数に違いがあるかどうかについての分析を行ないました。巣のある場所が、市街地(都市計画法の市街化区域にある2,941巣を対象)と、それ以外の区域(1,206巣)で、平均巣立ち雛数を比較しました。
その結果、市街地では巣立ち雛数は平均3.8羽であるのに対し、それ以外の場所では平均4.2羽となり、市街地では平均0.4羽少なくなり、都市化により子育てをする環境としては適さなくなる可能性が示唆されました(図2)。図1では2018年に巣立ち雛数がやや少ない傾向がありますが、市街地と市街地以外に分けてみると、特に市街地での巣立ち状況が少ないことがわかりました(図3)。

図2.営巣場所別の平均巣立ち雛数

図3.営巣場所別の平均巣立ち雛数の経年変化
3.子育ての失敗要因
寄せられた観察記録から、繁殖に失敗した例のコメント欄に書かれた記述をもとに、その要因を集計しました(図4)。その結果、子育ての失敗要因でもっとも多いのは、カラス類やヘビ類などの捕食者によるもので約35%を占め、次いで、巣が壊れて落下したり、雛が巣から落ちたりしてしまう例が22%でした。また、巣の撤去など人に起因する失敗例が約9%も見られ、今後、私たちの暮らしに身近なツバメとのかかわりを改めて見つめ、改善していくことが必要、と考えさせられました。

図4.ツバメの子育ての失敗要因
4.巣が見られなくなった場所と人口との関係について
現在、日本では人口が減り、各地で過疎化が進んでいます。こうした人口の増減とツバメの子育てとの関係について、調査期間を前半3年間(2013~2015年)と後半5年間(2016~2020年)に分けて、検討してみました。調査年によって報告された巣の数が異なるため、できるだけ巣の数を揃えるために、前半2,426巣、後半2,882巣、計5,308巣を分析の対象としました。
統計等の解析によく使われる2次メッシュ(10km×10kmのメッシュ)内で、前半、後半の両期間に、メッシュ内に1つでも巣があれば「営巣あり」のメッシュとし、営巣の変化の比較を行ないました。
その結果、人口の増減は(図5, オレンジ色棒グラフ参照)、変化率-1%の減少をピークに、おおよそ12%減少幅までの比率が高くなっていました。
これら人口の増減のグラフに「営巣しなくなったメッシュ数」と「営巣が変わらないメッシュ数」を重ねたところ、「営巣が変わらないメッシュ」での人口の分布はどちらもピークが-1%にあり、変化の傾向も類似していました。一方で「営巣しなくなったメッシュ数」は人口5%減のところにピークがありました。これらの結果は人口が減少した地域では、ツバメの営巣が減っている可能性があることを示しています。
ツバメは、古くから人との関わりがあり、農家や人の出入りが多い商店の軒先などをよく利用します。その理由として、ツバメはカラス類などの捕食者を避けるために、人通りの多い人家の近くで子育てをすると考えられています。
人口が減った地域では、人がいないことによってツバメの卵や雛の捕食圧が高くなり、子育てへの影響が出た可能性が考えられます。ツバメの子育てが人口の減少している山間地域の集落などで減少していることは、すでに藤田(2015)※2により報告されており、今回の結果はこの報告と矛盾せず、人とツバメの密接な関わりを示しているものといえます。
※2 藤田剛(2015)日本のツバメが減ったのは山林の環境変化が原因? 全国鳥類繁殖分布調査ニュースレター No.3 2-4.

図5. 人口の増減とツバメの営巣との関係
人口は1kmメッシュ
別将来推計人口(H30国政局推計)を使用
プレスリリース:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」成立に際してのNGO共同提言
2021年6月4日
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」成立に際してのNGO共同提言
包括的な基本法を早急に制定し、プラスチック製品の大幅削減に向けた実効的な対策導入が必要
「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー及び賛同24団体は、本日、第204回国会で「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)」が成立したことにつき、対策の対象がプラスチック使用製品のライフサイクル全体にまで拡大した点を評価します。しかし今後政府として地球規模のプラスチック汚染を包括的に解決するために不可欠な「法的拘束力のある国際協定を早期発足させることに最大限の貢献を行う」とともに、「プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような『基本法』を早急に制定し、その下で総量の大幅削減を前提に実効的な対策を導入すること」が、なおも必要であると考えます。
日本の廃プラスチックの有効利用率は85%とされています*1が、実際には熱回収や輸出に依存し、国内では16%しかリサイクル処理できていません。廃プラスチックを適正に処理するためには、何より大幅なプラスチック製品の総量削減が必要となります。しかし、プラスチック新法の導入に際し、無償提供されるプラスチック製品の削減のためのポイント還元措置に補足的に触れられているものの、過剰なプラスチックの生産の大幅削減や、再使用(リユース)の促進には踏み込まず、結果として資源循環も担保できない内容です。
*1 2019年の国内廃プラ総排出量850万トンに占める、輸出を含むリサイクルと熱回収の合計726万トンの割合 (プラスチック循環利用協会)
また、「プラスチック資源循環戦略」で「2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入*2」との目標が示されるなど、プラスチックを積極的に代替品に切り替える動きが進みますが、必要不可欠ではない使い捨てプラスチックは生産や使用そのものを大幅抑制すべきです。また、バイオマス由来や海洋生分解性の代替品が持続可能性の担保がないままに「環境に配慮して設計されたもの」としてむやみに推進されると、新たな環境・社会問題を助長するおそれがあります。
*2 2018年のバイオマスプラスチックの国内投入量は7.2万トン (バイオプラスチック導入ロードマップ)
プラスチック新法では、新たに市町村によるプラスチック使用製品廃棄物の一括回収が実施されますが、分別回収と再商品化に伴う費用はすべて自治体負担となり、「製品の設計から消費後の段階までライフサイクル全般に渡り金銭的責任を含む責任負担を、自治体や納税者から生産者に移転することで、廃棄物総量の削減や資源循環を促進し、環境負荷を低減するという、拡大生産者責任の原則*3」に反しています。これでは、製造事業者や使用事業者に必要不可欠でない製品の生産や流通を抑制するためのインセンティブが無いため、プラスチック製品の削減にはつながらず、大量生産されたプラスチック製品が、熱回収を中心とした焼却や輸出により処理されることで、今後も地球温暖化要因となるCO2の大量発生や、プラスチックごみの環境流出が続きます。
*3 OECD (2016). Extended Producer Responsibility: Updated Guidance for Efficient Waste Management.
他にも、プラスチック使用製品に使用する有害化学物質などによる、人の健康・生態系への悪影響が懸念されます。また、特に自然環境への流出の可能性が高い漁具*4や農業用器具においては、流出防止や漁具流出後の回収のための管理制度が確立していません。さらに、製品の廃棄前の段階で発生する一次マイクロプラスチックの海洋流出は年間130万トンに及び、日本を含む高所得国ではプラスチックの海洋流出の62%を占めると推定されています*5。しかしながら、プラスチック新法にはこれらへの対策が盛り込まれていません。
*4 日本の国土面積の4倍に相当する世界最大級の海洋ごみのたまり場、太平洋ごみベルトにおいて、46%がプラスチック製の漁網
*5 The Pew Charitable Trusts (2020). A Comprehensive Assessment of Pathways Towards Stopping Ocean Plastic Pollution.
ついては、日本政府に対し、以下の通り提言します。
- 循環型社会形成推進基本法(循環基本法)に規定された優先順位に基づき、発生するプラスチックを最大限抑制することを最優先した上で、次に代替品を含め長期間利用やリユース等、その次に使用済みプラスチックの水平リサイクルを推進することにより、「熱回収を最小化しつつ、環境への流出を2030年には根絶」できるよう、社会基盤の構築に必要な措置を講ずること。
- ワンウェイ(使い捨て)プラスチックについて、「2030年までに製造・利用等を原則禁止」とし、実現に向け「2025年までの削減率、及び、分別回収率の目標を設定する」こと。その上で、リスクの大きい品目や必要性の低い品目を特定し、優先順位を付けて「製造・利用等禁止や有料化を段階的に導入するために、法改正を含め必要な措置を講ずる」こと。また、デポジット制などによる確実な回収率達成を義務付けること。
- プラスチック使用製品につき、自然環境や社会へのリスクを十分防ぎつつ発生抑制と資源循環を促進できるように科学的見地から環境配慮設計の基準を設定し、成分表示や環境負荷、廃棄方法等についての表示を義務付けること。含有される有害化学物質により、人の健康又は生態系に悪影響を発生させることがないよう、材料・添加剤について、ポジティブリスト制の導入等「有害化学物質管理措置を講じる」こと。その上で、環境配慮設計の基準を満たさない「非持続可能な製品は、製造・利用を段階的に禁止」すること。
- 代替素材の導入に当たっては、拡大目標を取り下げた上で、当該素材の生産のための土地利用転換に伴う環境破壊やリユース・リサイクル可能性などライフサイクル全体での環境負荷、食料との競合等を含む総合的見地から検証を行い、「特に悪影響の大きい代替素材の使用を禁止する」こと。やむを得ず代替素材を導入する際には、明確な基準を設けた上で、「環境への負荷が低い素材が使用されるよう、義務付ける」こと。
- 製造事業者及び使用事業者に対し、上記の環境配慮設計から、使用済みプラスチック製品の分別回収・リユース・リサイクルまでライフサイクル全般に渡る責任の負担を求める「拡大生産者責任を早期に導入する」こと。市町村によるプラスチック使用製品廃棄物の一括回収の実施に関しては、拡大生産者責任の原則に基づき、「一括回収と再商品化についての費用負担を製造事業者及び使用事業者に求める」こと。
- 漁具及び農業用の器具等による環境汚染を防止し資源循環を推進するため、拡大生産者責任の原則に基づき、製造事業者や使用事業者への環境配慮設計や流出防止措置の導入を義務付けること。国際的な最良管理手法*6等を参考に、漁具の海洋流出を防止し流出後の環境影響を軽減・回復させるために、漁具マーキング等適切な漁具管理や流出時の報告・回収を義務付け、必要な基盤整備等を行うこと。
*6 例The Global Ghost Gear Initiative. The Best Practice Framework for the Management of Fishing Gear. - 製造・流通・使用過程で生ずる一次マイクロプラスチックの環境への流出の防止のために、マイクロビーズ・マイクロカプセルなど、「意図的に使用されるマイクロプラスチックの製造・利用を早期に禁止する」こと。また、合成ゴムや合成繊維など、発生の量やリスクが特に大きいとされる製品を中心に、環境への影響調査を行いつつ、予防原則の観点から「一次マイクロプラスチック発生抑制対策を早期に導入する」こと。
- 影響が広範にわたるプラスチック汚染問題の本質的な解決のためには、本法案のような個別法の設定だけでは不十分であるため、「明確な発生抑制目標を有し、プラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような『基本法』を早急に制定」すること。
- 日本政府として、国連環境総会において、地球規模のプラスチック汚染を包括的に解決するために不可欠な「明確な国際目標、科学的なモニタリングと報告の体制、及び、プラスチックのライフサイクル全般への包括的な規制を有する、法的拘束力のある国際協定を早期発足させるために、最大限の貢献を行う」こと。
減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク
- メンバー団体(五十音順)
-
- 特定非営利活動法人 OWS
- 国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
- 一般社団法人 JEAN
- 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
- 全国川ごみネットワーク
- 特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
- 一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
- 公益財団法人 日本自然保護協会
- 特定非営利活動法人 日本消費者連盟
- 公益財団法人 日本野鳥の会
- 特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
- 特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン
- 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
- 一般社団法人 リアル・コンサベーション
- 賛同団体(五十音順)
-
- 特定非営利活動法人アーキペラゴ
- Rびんプロジェクト
- 小山の環境を考える市民の会
- 環境問題を考える会
- さがみはら環境問題研究会
- 認定特定非営利活動法人 スペースふう
- Hamaumi-浜松の海を守る会
- 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
- 奈良エコライフ研究会
- 山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト
■お問い合せ先
WWFジャパン プラスチック政策マネージャー 三沢 行弘
E-mail:[email protected]
日本野鳥の会 自然保護室 担当:山本・岡本
TEL:03-5436-2633
E-mail:[email protected]
プレスリリース:「ツバメの見守りありがとう」全国16の団体に感謝状を贈呈
2021年6月3日
(公財)日本野鳥の会は、2021年5月31日(月)~7月10日(土)に、全国16の団体にツバメの見守りに関して感謝状を贈呈します。

京王電鉄(株)でのツバメの見守りのようす

道の駅 飯高駅(三重県)でのツバメ見守りのようす
ツバメの現状

ツバメ
ツバメは春から夏に日本で子育てをし、秋になると東南アジア方面に帰っていく渡り鳥です。日本では古くから「ツバメが巣を作ると縁起が良い」と言われ、商売繁盛のシンボルや害虫を食べる益鳥としてツバメを歓迎してきました。
しかし近年は、農耕地の減少によりエサがとれる環境が減っていることや、現代風家屋が増えて巣が作りにくくなったことなどから、ツバメが子育てをできる環境が減少しています。また特に都市部においては、不衛生を理由に、人によって巣が落とされたり作らせなかったりするケースも増えていると考えられています。
感謝状贈呈について
日本野鳥の会では、この先もツバメと人との共存が続くことを願い、2019年度からツバメの巣や生息環境を温かく見守っている団体に感謝状を贈呈しています。ツバメを守る取り組みや感謝状の贈呈について、多くの方に知っていただくことで、社会にツバメを見守る輪を広げていきたいと考えています。
2021年度は、全国の当会支部等連携団体から贈呈先を推薦してもらい、9都府県16の団体に贈呈を決めました。
京王電鉄株式会社への贈呈
全国の贈呈に先駆け、5月31日(月)に、京王線高幡不動駅にて京王電鉄株式会社(東京都多摩市)に、当会副理事長より、感謝状を贈呈しました。

京王電鉄(株)への感謝状贈呈のようす(写真左:南澤佳宏 京王西管区 管区長、中央左:小野間明 営業掛、中央右:狩野清貴 日本野鳥の会副理事長)
選定理由
京王電鉄株式会社では、2014年度からツバメが巣作りをする春から初夏にかけて、駅の設置可能な箇所に、ツバメのフン受け板を設置し、子育てを見守っています。
駅を利用されるお客さまの中には、毎年、この時期の風物詩として楽しみにしている方もおられ、「巣を撤去せずにありがとうございます」という御礼のお言葉をいただいたこともあるといいます。
贈呈を受けたコメント/南澤佳宏 京王西管区 管区長
「この度の表彰を喜ばしく思っております。これまで、ツバメのフンがお客さまや施設の床に落下し、ご迷惑をおかけしないこと、また、ツバメの住環境にも配慮した生物多様性施策の一環としてツバメの子育てを見守ってきました。引き続き利用者の皆さまには、フンなどで迷惑をおかけせず、また喜んでいただけるように心掛け、来年以降も継続して取り組んでいきたいです。」
2021年度の贈呈先一覧
詳細は、(公財)日本野鳥の会ホームページにも掲載しています。
| 所在地 | 贈呈先 | 贈呈日※予定 | 選定理由 |
| 東京都 | 京王電鉄株式会社 | 2021/5/31(月) | 京王線・井の頭線の駅で作られたツバメの巣にフン受け板を設置し、子育てを見守っている。 |
| 石川県 | ゆわく温泉 かなや | 2021/6/3(木) | 旅館の入口付近に例年10以上の巣が作られ、フンよけの傘を吊るし、「繁栄の象徴」として大切に見守っている。 |
| 中日本高速道路株式会社金沢支社 金沢保全・サービスセンター | 2021/6/3(木) | 10年以上前から北陸自動車道尼御前サービスエリア上り線のトイレ入り口の屋根にツバメの巣が作られている。フン受けを設置して見守っている。 | |
| 長野県 | 道の駅 田切の里 | 2021/6/22(火) | 西側の壁に巣が作られている。「人が多い場所を好む鳥なので嬉しい」「ツバメもお客様」として、段ボールのフン受けを設置し見守っている。 |
| 三重県 | 道の駅 飯高駅 | 2021/6/10(木) | 道の駅の壁にツバメが巣を作り、フン受けや注意看板を設置して、子育てを見守っている。 |
| 大阪府 | 阪急電鉄株式会社 箕面駅 | 2021/6/15(火) | 20年以上前から改札の手前や駅構内にツバメが巣を作り、フンよけを取り付け、見守っている。 |
| テレビ大阪株式会社 | 2021/6/18(木) | 駐車場に巣作り。2016年4月に初飛来し、今年で6年目。当時の社長の判断で保護を決め、警備員や社員によって温かく見守られている。 | |
| 豊中不動尊 | 2021/7/10(土) | フンよけや注意看板を設置し、見守っている。Youtubeチャンネルからツバメの巣のライブ配信が視聴できる他、ツバメに関する講演会を開催。 | |
| 鳥取県 | 道の駅 奥大山 | 2021/6/6(日) | 昨年は50個程巣作り。お客さんから「商売繁盛のツバメを大切に」と意見があり、頭上注意の看板を設置し、見守っている。 |
| 道の駅 大山恵みの里 | 2021/6/6(日) | ハートフル駐車場や、駐車場から売店・レストランへの通路の屋根にツバメの巣が10数個あり、温かく見守っている。 | |
| 岡山県 | 鷹取醤油株式会社 | 2021/6/15(火) | 醤油蔵の隣にある販売店「燕来庵(えんらいあん)」では、ツバメが店の中まで出入りし、社員全員で大切に見守っている。 |
| 愛媛県 | ローソン道後ハイカラ通店 | 2021/6/3(木) | 店頭看板「LAWSON」の「L」の明かりが消えていたが、そこにツバメが巣を作ったため、修理をせず、照明を消したまま子育てを見守った。 |
| 有限会社空港タクシー | 2021/6/3(木) | 駐車場の天井にツバメが巣を作り、フンよけの傘をぶら下げて子育てを見守っている。 | |
| 有限会社森松交通 | 2021/6/3(木) | 駐車場に10年程前からフンよけの傘をぶら下げて子育てを見守っている。巣が多いため、近所に不要の傘の提供を依頼している。 | |
| 福岡県 | 中原釣具 | 2021/6/3(木) | 本店、支店の2店舗で、釣り餌の保管場所に各40~50個程の巣がある。フンよけの傘を設置し、スタッフと常連のお客さんで見守っている。 |
| FISHINGなかはら | 2021/6/3(木) |
2019年度、2020年度に日本野鳥の会から、ツバメに関する感謝状を贈呈した団体
| 所在地 | 贈呈先 | 贈呈年度 |
| 東京都 | 有限会社 髙橋自動車整備工場 | 2019年度 |
| 神奈川県 | 有限会社 コーワエステート | |
| マッサージ・はり灸・整体 ALPHA~アルファ~ | ||
| 合資会社 中村電気商会 | ||
| 焼鳥日高 小田急相模原サウザンロード店 | ||
| 栃木県 | 株式会社ネクスコ・メンテナンス 関東宇都宮事業所 | |
| 日本ロード・メンテナンス株式会社 宇都宮事業所 | ||
| 東京都 | 株式会社 聖林公司 | 2020年度 |
| 山梨県 | 中日本高速道路株式会社 八王子支社 大月保全・サービスセンター | |
| 岡山県 | 映画館 シネマ・クレール丸の内 | |
| 奥津湖総合案内所 みずの郷奥津湖 |
日本野鳥の会 組織概要
組織名 :公益財団法人 日本野鳥の会(会員・サポーター 約5万人)
代表者 :理事長 遠藤孝一
所在地 :〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
URL : https://www.wbsj.org/
問い合わせ先
(公財)日本野鳥の会
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
担当:普及室 堀本、江面
E-mail:[email protected]
TEL:090-5332-5363(平日10-17時)
プレスリリース:日本野鳥の会 ツバメを観察したくなるパンフレット『ようこそツバメ』無料プレゼント!
2021年4月22日
公益財団法人日本野鳥の会は、2021年4月22日(木)より、ツバメの観察方法や見どころを紹介するパンフレット『ようこそツバメ』を、ご希望の方全員に無料でプレゼントします。
ツバメは、近年、減少が心配されており、農耕地や日本家屋の減少に伴う、餌場や営巣環境の変化が背景にあると考えられています。それに加え、特に都市部では、不衛生を理由に巣が落とされてしまうケースも報告されています。
みなさんの身近な場所でツバメを探して観察していただくことで、ツバメを取り巻く環境を知っていただくともに、ツバメたちをあたたかく見守る気持ちを広めていきたいと考え、このパンフレットを制作しました。ぜひ、多くの方にご覧いただければ幸いです。
■パンフレットの概要

パンフレット『ようこそツバメ』
A3サイズ(約30×42cm)両面フルカラー
※折りたたみ時ハガキサイズ(約15×10cm)
- 【内容】
-
ツバメの基礎知識や観察の方法、観察時の注意点などを一枚のパンフレットにまとめました。また、ツバメの子育てのプロセスや見どころをイラストで解説しています。
- 【構成】
- ツバメはこんな鳥/日本で見られるツバメのなかま/ツバメの子育てを見てみよう/ツバメの現状
■申込方法
- 1.インターネット
- 専用ページよりお申し込みいただけます。
- 2.郵便・FAX
-
①氏名
②氏名のフリガナ
③郵便番号
④住所
⑤電話番号
⑥メールアドレス
⑦ご覧になった媒体名(新聞・雑誌・番組等の名称)上記をご記入のうえ、「日本野鳥の会 ようこそツバメ係」までご送付ください。
- 【郵便】
- 〒141-0031 品川区西五反田3-9-23 丸和ビル 日本野鳥の会 ようこそツバメ係
- 【FAX】
- 03-5436-2635
※パンフレットの発送は、お申込み受付後に順次行っていく予定ですが、新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては遅れることがございます。あらかじめご了承ください。
報道関係者様 問い合わせ先
公益財団法人 日本野鳥の会
普及室 普及教育グループ 担当:江面(えづら)・堀本
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2622 (平日10~17時)
FAX:03-5436-2635
E-mail:[email protected]
URL:https://www.wbsj.org/
※掲載いただけます場合には、お手数ですが上記担当までご連絡くださいますようお願いいたします。
※パンフレットの画像、イラストをお貸しできます。上記担当までお問い合わせ下さい。
プレスリリース:「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を検討し、提案 ― NGOが共同提言する日本のプラスチック関連施策の在り方 ―
2021年2月12日
「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー、及び、賛同23団体は、政府より2021年1月28日に示された「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について」及び政府が第204回通常国会で成立を目指す「プラスチックにかかる資源循環の促進等に関する法律(仮称)」に関連し、2030年までに自然環境へのプラスチックの流出ゼロ、及び、使い捨てプラスチック使用の原則ゼロを実現し、さらに2050年までに新たに生産したバージンプラスチックに依存しない社会を築いていくための戦略を推進するための「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を、本日発表しました。
日本で発生する年間850万トンの廃プラスチックの47%が、ほぼ使い捨て用途の容器包装であり、一人当たりでは世界で2位と、大量の使い捨てプラスチックを使用・廃棄しています。これらの一部や、プラスチック製品の使用に伴い発生するマイクロプラスチックや漁具など、大量のプラスチックが自然環境へ流出し続けています。
政府は「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しましたが、プラスチックの大量生産と焼却処理(熱回収を含む)に伴い、発生するCO2は地球温暖化を加速させています。また、代替品とされる紙製やバイオマス素材の製品についても、過剰生産されることで、原材料栽培地への転換による原生林の伐採など、新たな環境問題を発生させる恐れがあります。さらに、国内でのプラスチックリサイクルは処理全体の16%に過ぎず、素材の品質や機能の低下を伴うものがほとんどであり、それらを改善させたとしても、廃棄物を大量発生させたまま、その処理を国内リサイクルに依存していくことは不可能です。
まず容器包装を中心にプラスチック製品の生産総量を大幅にリデュースした上で、すぐに削減できないものは再使用(リユース)するなど、確実に循環利用させていく仕組みが不可欠です。それには、拡大生産者責任の強化などに基づく社会・経済システムの構築が必要です。しかし政府の施策案では、新たな環境問題につながる恐れのある「代替品の積極的な利用によるリデュースの徹底」と「大量廃棄を前提とした回収とリサイクルの推進」に依存しており、問題の本質である大量生産・大量消費・大量廃棄社会からの転換を図るものとはなっていません。さらに、有害化学物質による悪影響の発生予防対策を導入することや、国際的な解決の枠組みを早急に発足させることも重要です。
そこで「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー、及び、賛同23団体は、政府に対し、添付の通りプラスチックの生産、使用及び廃棄に伴う環境への負荷を総合的に抑制するための脱プラスチック戦略の推進を図る基本法案「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を提案し、それに基づいた戦略の推進、すなわち、基本法案で示した脱プラスック戦略推進計画の制定と、関連する基本的施策の導入と遂行を求めていきます。
添付資料
- 脱プラスチック戦略推進基本法(案)(PDF/668KB)
- 脱プラスチック戦略推進基本法(案)概要(PDF/172KB)
以上
減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク
- メンバー団体(五十音順)
- 特定非営利活動法人 OWS
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
一般社団法人 JEAN
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
全国川ごみネットワーク
特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
一般財団法人 地球人間環境フォーラム
公益財団法人 日本自然保護協会
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
公益財団法人 日本野鳥の会
特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
一般社団法人 リアル・コンサベーション - 賛同団体(五十音順)
- 特定非営利活動法人 アーキペラゴ
小山の環境を考える市民の会
環境問題を考える会
さがみはら環境問題研究会
特定非営利活動法人 スペースふう
奈良エコライフ研究会
Hamaumi-浜松の海を守る会
特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト
■お問い合せ先:
WWFジャパン プラスチック政策マネージャー 三沢 行弘
Tel: 03-3769-1718/ Fax: 03-3769-1717
Email: [email protected]
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク 運営委員長 中井 八千代
Tel:03-3234-3844 / Fax:03-3263-9463
Email: [email protected]
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議 代表理事・弁護士 中下 裕子
Tel:03-3432-1475 / Fax:03-3437-3986
Email: [email protected]
日本野鳥の会 自然保護室 担当:山本・岡本
Tel:03-5436-2633
Email: [email protected]
プレスリリース:勇払原野の安平川下流域に整備予定 河道内調整地(遊水地)で、今年も7種の希少鳥類を確認
2020年12月23日
公益財団法人日本野鳥の会は、今年の繁殖期(4~8月)にウトナイ湖サンクチュアリ(北海道苫小牧市)で実施した勇払原野での鳥類調査で、国内レッドリストに挙げられた絶滅危惧ⅠB類を3種、同Ⅱ類を2種、準絶滅危惧を2種、計7種の絶滅のおそれのある鳥類の生息を確認しました。(別紙資料1もご参照ください。)
現在、当会は勇払原野の苫小牧東部開発地域に整備される河道内(かどうない)調整地の、ラムサール条約湿地登録をめざして保全活動を行なっており、その一環として、希少鳥類の調査を毎年実施し、結果の一部を公表しています。(これまでの活動については、別紙資料2をご参照ください。)
なお、調査結果の公表によって希少鳥類の繁殖に悪影響が及ばないように、繁殖を終えたこの時期に発表いたしました。また、希少鳥類の生息撹乱を防ぐために、詳しい確認位置等の公表は控えさせていただきますのでご了承ください。
■確認された希少鳥類について
- ●タンチョウ
-

タンチョウ絶滅危惧Ⅱ類のタンチョウは、安平川(あびらがわ)下流域に整備される河道内調整地において、これまで7年連続で1羽の生息を確認していましたが、今年は4~7月に、つがいと思われる2羽を初めて継続して確認しました。同地域には、タンチョウの繁殖・子育て場所に適している広いヨシ原があるため、今後、同地域を含む勇払原野はタンチョウの重要な生息地になるものと考えられます。
- ●アカモズ
-
絶滅危惧ⅠB類に指定されているアカモズは、昨年と同数の2つがいを確認し、幼鳥も2地点で2羽以上確認しました。近年生息数の減少が著しいアカモズの国内の繁殖分布域は、長野県と北海道に限られ、過去100年間で90.9%縮小したという研究成果が発表されました(Kitazawa et al. 2020)。当地では定期的に2つがいが確認されており、現在利用されている繁殖地であるこの地域を保全することは、この研究結果を受けてさらに重要度が高まりました。
- ●河道内遊水地の重要性 ラムサール条約登録湿地をめざして
-
今回の調査で確認された7種は、ほとんどが湿原や草原に生息し、また、全国でも限られた地域にしか生息しない鳥類です。特に湿原や草原といった全国的にみても希少な鳥類が生息する自然環境が、苫小牧市内に残されていることが、あらためて明らかになりました。
当会は、これらの湿原性鳥類にとって重要な生息地である、安平川河道内調整地のラムサール条約湿地の登録を、2016年から提案しています。また、河道内調整地に設置される周囲堤の工事は、今後約10年間の予定で行なわれますが、この間に希少鳥類の生息地に影響を与えずに自然環境の保全と治水の両方面が進められるように、当会は今後も関係機関と連携し、保全活動を進めていきます。
<引用文献>
KITAZAWA M, SENZAKI M, MATSUMIYA H, HARA S, MIZUMURA H (2020) Drastic decline in the endemic brown shrike subspecies Lanius cristatus superciliosus in Japan. Bird Conservatin International, First View , pp. 1 – 9 (DOI: https://doi.org/10.1017/S0959270920000556)
■「日本野鳥の会」について
「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、野鳥や自然の素晴らしさを伝えながら、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体です。
独自の野鳥保護区を設置し、シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動を行なうほか、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するため、イベントの企画や出版物の発行などを行なっています。会員・サポーター数は約5万人。野鳥や自然を大切に思う方ならどなたでも会員になれます。
<組織概要>
組織名:公益財団法人 日本野鳥の会
代表者:理事長 遠藤孝一
所在地:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
創立: 1934(昭和9)年3月11日 *創立86年の日本最古にして最大の自然保護団体
URL: https://www.wbsj.org/
報道関係者様 問い合わせ先:(画像の提供も下記にお問い合わせください)
公益財団法人日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ
担当:中村 聡
善浪(ぜんなみ) めぐみ
TEL:0144-58-2505
〈別紙詳細資料1〉今回の調査で確認された希少鳥類
絶滅危惧ⅠB 類
- ●シマクイナ(ツル目クイナ科 全長13cm)
-

- 主に湿地や水田を利用し、繁殖期にはシベリア南東部やモンゴルで確認され、国内では勇払原野や青森県仏沼など、北海道と青森県の限られた場所で少数の観察記録がある。冬期には青森以南でも少数が確認されている。越冬地となるヨシ原が全国的に減少していることから、絶滅危惧種に指定されている。
- 2020年に「国内希少野生動植物種」に指定され、種の保存法に基づき保護される対象種となった。
- アジア周辺には1万羽未満しか生息しないと考えられているが、詳しい生息状況はわかっていない。
- 勇払原野では、2012年から毎年繁殖期に確認しており、今回の調査では2羽の声を確認した。
- ●アカモズ(スズメ目モズ科 全長20cm)
-

- 夏鳥として九州~北海道の原野、灌木のある草原、河川敷等で繁殖し、東南アジア等で越冬する。
- 近年急激に個体数が減少したことで、2006年の環境省第3次レッドリストで、準絶滅危惧から絶滅危惧ⅠB類に2つランクが上がった。
- 今後「国内希少野生動植物種」に指定され、種の保存法に基づき保護される対象種となる見込みとなった。
- 近縁種のモズより自然度の高い場所に生育するため、生息地や個体数が少ない。
- ウトナイ湖周辺では2004年以降確認できなくなったが、勇払原野では毎年2~4つがいを確認し、今回の調査では幼鳥も確認できた。
- また、国内における現在の繁殖つがい数は149つがい、個体数は332個体と推定されている。
(Kitazawa et al.2020)
- ●チュウヒ(タカ目タカ科 全長:オス48cm、メス58cm)
-

- 主に、北日本の草原、湖沼や河川敷周辺の湿原のヨシ原などで繁殖し、本州中部以南で越冬する。国内繁殖数は136つがいのみ、国内最少のタカ科鳥類である。(当会まとめ)
- 2017年に「国内希少野生動植物種」に指定され、種の保存法の法令に基づき保護される対象種となった。
- 勇払原野では、20つがいが繁殖、その内苫小牧東部開発地域では、2000年代以降6つがい前後が繁殖していると推定され、日本の重要な繁殖地のひとつと考えられる。
絶滅危惧Ⅱ類
- ●タンチョウ(ツル目ツル科 全長:140cm)
-

- 主に北海道東部の湿原で繁殖し、冬は鶴居村などの給餌場に集まる。
- 一時は絶滅したと考えられたが、1924年の再発見以来、地元の方々の保護活動が奏功し、現在は約1800羽まで回復している。
- 1993年に「国内希少野生動植物種」に指定され、保護増殖事業が進められている。
- 個体数の回復に伴い、近年はサロベツ原野やむかわ町などで繁殖するなど、分布域も拡大しつつある。
- ウトナイ湖でも2020年5月に、ヒナ1羽を含む3羽の親子が確認された。近い将来、苫東地域で繁殖する可能性は高く、同地域は北海道西部における個体数や分布域分散の基盤となる可能性がある。
- ●オジロワシ(タカ目タカ科 全長:オス84cm、メス94cm)
-

- 北海道の北部や東部などで少数が繁殖するが、多くは冬鳥としてユーラシア大陸東部より渡来し、海岸、河口、湖沼に生息する。
- 1993年に「国内希少野生動植物種」に指定されている。
- 近年、苫小牧地方でも周年観察されるようになり、勇払原野で繁殖が確認されている。
準絶滅危惧
- ●マキノセンニュウ(スズメ目センニュウ科 全長12cm)
-

- 夏鳥として北海道の海岸草原、湿原、牧草地で繁殖する。越冬地は東南アジア。
- 2012年8月の環境省第4次レッドリストで新たに掲載された。
- 繁殖環境である低茎湿生草原が減少するなか、苫東地域は道内でも特筆すべき生息密度であると推察される。
- ●オオジシギ(チドリ目シギ科 全長31cm)
-

- 北海道の草原では夏鳥として普通に繁殖するが、国内でも世界的にも分布が局所的で個体数が少ない。越冬地はオーストラリア。
- 繁殖期における勇払原野での個体数調査では、2001年には107羽が確認されたが、2017年の調査では77羽となり、約3割減少していた。さらに2019年には、個体数が63羽とさらなる減少を確認した。
- 苫小牧市内の弁天沼では、2001年8月に標識調査によって合計400羽以上が確認されており、長距離飛行のエネルギーを蓄積する中継地として、秋の渡りの前に集結することが知られている。2016年の衛星追跡調査では、苫東地域を出発後1週間でニューギニア島まで渡ったことが確認された.2020年には新たに5羽に衛星追跡用送受信機を装着、渡りの経路を調査している。また、2016年の捕獲調査において、環境省の足環を装着して放鳥したオオジシギの幼鳥(当時)を、2020年6月に4年ぶりに勇払原野で確認した。この個体は、越冬地と繁殖地の間を4往復したと考えられ、オーストラリアと日本(北海道)での湿地の保全が重要であることを再確認した。
■写真提供 シマクイナ/宮 彰男 チュウヒ・オジロワシ/新谷幸嗣
アカモズ・タンチョウ・マキノセンニュウ・オオジシギ/ウトナイ湖サンクチュアリ
*写真の無断転載禁。使用については必ずご相談ください。画像のデジタルデータで提供が可能です。
■参考
○絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)
○環境省レッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)
カテゴリー(ランク)の概要 ※環境省HP より
・絶滅危惧ⅠB 類(EN):近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
・絶滅危惧Ⅱ類(VU):絶滅の危険が増大している種
・準絶滅危惧(NT):現時点での絶滅の危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
○日本鳥類目録 改訂第7版
〈別紙詳細資料2〉日本野鳥の会の苫東地域での自然環境保全活動
勇払原野は北海道三大原野のひとつとして、釧路湿原、サロベツ原野と並び数えられています。原野を構成する湿原の面積は、過去90年で約8分の1となり著しく減少しているものの、残された自然環境は、ラムサール条約湿地であるウトナイ湖を含み、水鳥、草原性鳥類、絶滅のおそれのある鳥類の生息地として重要な役割を果たしています。一方、同所では1960 年代の高度成長期に、第三次全国総合開発計画の一環として苫小牧東部開発計画がスタートしました。しかし、その後の社会情勢の変化により、当初計画の約1万700ha の土地の多くが未利用地域として残され、また農地として開拓された場所が放置され原野化し、結果として鳥類の良好な生息地となっています。
当会はこの優れた鳥類の生息環境を将来にわたって維持していくために、2000 年度から当該地域において鳥類調査を実施し、その生息状況から生息環境としての特徴を把握し、社会環境を考察して保全構想をまとめ、2006 年に「ウトナイ湖・勇払原野保全構想報告書」を発行しました。以来、希少種の調査や弁天沼周辺での自然観察会を通じ、同所一帯の保全活動を行っています。近年の主な活動は以下の通りです。
| ・2006年 | 苫東地域におけるアカモズ生息状況調査を実施し、同地域がアカモズの国内有数の繁殖地である可能性が明らかになった。 |
| ・2006年 | 弁天沼周辺の畑等の土地利用の変化が鳥類相に与える影響調査を実施し、同所における耕作地化は、草原性鳥類の繁殖を阻害し個体数を減少させ、一帯の鳥類相をも変化させる可能性があることが明らかになった。 |
| ・2006年~ | 弁天沼周辺での自然観察会を毎年実施。 |
| ・2007年~ | 苫東地域におけるシマアオジの生息状況調査を毎年実施し、道内各地の生息記録が途絶えるなか、同地域には継続して渡来していたことが明らかになった。しかし、2012年の1羽を最後に、それ以降確認されていない。 |
| ・2008年 | 北海道知事宛てに「弁天沼周辺の土地利用に関する要望書」を提出。 |
| ・2009年 | 勇払原野で衛星電波発信機によるチュウヒの行動圏追跡調査を実施し、同種の繁殖期の行動範囲や生息に重要な環境が明らかになった。 |
| ・2012年 | 日本野鳥の会3支部との連名で、北海道知事宛てに「苫小牧東部開発地域内の鳥獣保護区指定に関する要望書」を提出。 繁殖期における希少鳥類の生息状況調査を毎年実施。結果を記者発表。 |
| ・2014年 | 弁天沼周辺約950ヘクタールが河道内調整地となることが決定。 |
| ・2016年 | 弁天沼で行った調査でオオジシギの渡りルートの一部を解明 ウトナイ湖サンクチュアリ35周年記念シンポジウム~勇払原野をラムサール条約湿地に~を開催。 |
| ・2017年 | 勇払原野でオオジシギ個体数調査を実施。2001年と比較し、個体数が約3割減少。開発と樹林化が減少要因だった。 |
| ・2019年 | 柳生博と学ぶ勇払原野の魅力~安平川河道内調整地の賢明な利用を考える~を開催。 |
| ・2020年 | オオジシギの個体数調査を実施し、数の減少とオーストラリアでの異常気象の影響について推察した。また衛星追跡送受信機をオオジシギに装着し、現在渡りの経路を追っている。 |
以上









