(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書

日野鳥発第2020-013号
令和2年6月30日

Daigasガスアンドパワーソリューション株式会社
代表取締役社長 後藤 暢茂 様

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一

(仮称)苫東厚真風力発電事業に対する要請書

 日頃より、当会の活動に関しまして、ご理解をいただきありがとうございます。
 貴社が本年6月に計画段階環境配慮書を公告・縦覧した(仮称)苫東厚真風力発電事業に対し、鳥類保全の見地から下記の通り要請します。

 当会らが令和2年6月25日付で提出した 「(仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書」にもあるように、貴社が北海道・苫小牧市から厚真町にかけて計画している(仮称)苫東厚真風力発電事業に係る事業実施想定区域(以下、計画地という)とその周辺は、ラムサール条約湿地や二つのIBAsおよびKBAに囲まれ、これまでに277種の鳥類が観察されるなど国内でも有数の鳥類相の豊かさを有しており、マガン、タンチョウ、シマクイナ、ヘラシギ、オジロワシ、オオワシ、チュウヒ、ハヤブサといった国内希少野生動植物種および天然記念物に指定される鳥類が近年においても生息していることが確認されています。

 上記の希少鳥類には、風力発電施設(以下、風車という)の建設による影響を受けやすい種が多く含まれ、当該事業の実施が計画地およびその周辺に生息するこれらの希少鳥類に及ぼす影響は大きく、事業を中止しない限りは、影響を回避できないと予測します。また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の第三十四条にある「土地の所有者又は占有者は、その土地の利用に当たっては、国内希少野生動植物種の保存に留意しなければならない。」という土地所有者の義務や文化財保護法における天然記念物の保存への配慮義務に鑑みても、計画地での風車の建設が上記の希少鳥類の生息に影響を与えるべきではありません。

 そのため、当会は希少鳥類の保全の見地から、貴社に対しては、環境影響評価方法書の作成に進まず、現段階で事業を中止することを要請します。

以上

添付資料:「 (仮称)苫東厚真風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書」(公益財団法人 日本野鳥の会ほか)

(仮称)大分南風力発電事業 計画段階環境配慮書についての意見書

令和 2年 6月1日

ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)御中

日本野鳥の会大分県支部
 支部長  谷上和年
〒 870-1168 大分市松が丘3-22-3 衛藤方
電話 097-542-5370

公益財団法人日本野鳥の会
 理事長  遠藤 孝一
〒141-003東京都品川区西五反田3-9-23
電話 03-5936-2633(自然保護室)

(仮称)大分南風力発電事業 計画段階環境配慮書についての意見書

■基本的な考え方

私たちは風力発電施設(以下、風車という)の導入が地球温暖化対策等に果たす役割や 重要性を理解していますが、冠岳周辺の稜線を覆うような大規模風車建設計画に対しては、様々な問題点があると考えています。

加えて、現状ではこの地域において、豊かな生態系が織りなす景観の重要性が十分に認識されておらず、数多くの動植物の生態について明らかになっていない点が多く存在します。

このような中で、大規模風車建設が椿山から冠岳、楯ヶ城山にわたる稜線に集中することにより、今後、永きに渡って周辺地域において利用可能な観光資源としての自然環境、貴重な鳥類の生息環境を大きく損なう恐れがあると懸念しています。

■風車建設地および周辺環境に生息する貴重な鳥類

事業実施想定区域(以下、想定区域という)と周辺には環境省のレッドリストで絶滅危惧種IB類に指定されているクマタカをはじめ、希少鳥類やその他の貴重な野生動植物が多く生息しています。また、周辺の里山では絶滅危惧II類のサシバの繁殖も確認されています。

■風車建設による希少猛禽類への影響の懸念および事前対策と精密調査の必要性

この風車建設が計画どおり実施されれば、冠岳周辺の稜線を含む約487haに18機もの巨大風車(風力発電機の単機出力:最大4200KW、風力発電機の最大高:約140m)が林立することとなります。

これらの風車建設予定地において、既に本会会員により、クマタカの生息・営巣が確認されています。また、想定区域のから北東約15kmにある彦岳の稜線周辺は、サシバ、ハチクマなど、数多くの希少猛禽類における渡りのコースになっていることも確認されています。

もしも何の対策もないまま風車が建設されると、食物連鎖の頂点である猛禽類のバードストライクだけでなく、生息地放棄も含め、当地域のクマタカ個体群への影響、他の猛禽類の渡りのコースへの影響は計り知れず、また、同時に、その地域全体の生態系にも多大な影響を与えることが予想できます。

したがって、計画地周辺に生息する希少猛禽類をはじめとする鳥類への影響を回避、低減可能な前向きで根本的な対策、およびそのための精密で科学的な事前の調査方法の立案と長期間の調査実施が不可欠になります。

■風車建設による環境変化が起因となる災害等発生の可能性および事前の防止の必要性

想定区域周辺の佐伯市・臼杵市両側は、一度降雨があれば水害発生の大きな原因となっている急峻な山地と細長い平野部で成り立っている地域です。

近年の地球温暖化による雨量増加傾向に加え、風車建設工事に伴う稜線上の多くの保安林を含む森林植生の改変による砂泥流出や土砂崩れなどが懸念されます。また、これらのことが発生すれば、同想定区域下の数多くの支流が合流する一級河川の番匠川水系(佐伯市側)、同じく一級河川の大野川水系(臼杵市側)に生息する水棲生物の生息に重大な影響が発生することも予想されます。

したがって、こういった影響が回避可能な前向きで根本的な対策、およびそのための事前の精密で科学的な事前の調査方法の立案と実施が不可欠になります。

■環境配慮対策に対する要望

以上述べたように、当該事業想定区域一帯には希少な鳥類および優れた自然環境が多く存在しており、風力発電施設を設置することは、環境省・大分県が推進する生物多様性保全の観点から極めて損失が大きいと考えられます。そのため、(仮称)大分南風力発電事業については、配慮書に示されたような調査及び予測・評価に加え、貴社における環境配慮対策や災害対策を事前に十分に検討した経過および対策の内容、そのための事前の精密で科学的な調査方法(環境アセスメントの調査方法)の詳細を、次回の方法書で明記することを強く要望します。

(仮称)彦岳風力発電事業 環境影響評価 計画段階 環境配慮書についての意見書

令和 2年 5月27日

(株)ジャパンウィンドエンジニアリング 御中

日本野鳥の会大分県支部
 支部長   谷上和年
〒 870-1168 大分市松が丘3-22-3 衛藤方
電話 097-542-5370

公益財団法人日本野鳥の会
 理事長  遠藤 孝一
〒141-003東京都品川区西五反田3-9-23
電話 03-5936-2633(自然保護室)

(仮称)彦岳風力発電事業 環境影響評価 計画段階 環境配慮書についての意見書

■基本的な考え方

私たちは風力発電施設(以下、風車という)の導入が地球温暖化対策等に果たす役割や重要性を理解していますが、彦岳周辺の稜線を覆うような大規模風車建設計画に対しては、様々な問題点があると考えています。

加えて、現状ではこの地域において、豊かな生態系が織りなす景観の重要性が十分に認識されておらず、数多くの動植物の生態について明らかになっていない点が多く存在します。

このような中で、大規模風車建設が彦岳周辺の稜線に集中することにより、今後、永きに渡って周辺地域において利用可能な観光資源としての自然環境、貴重な鳥類の生息環境を大きく損なう恐れがあると懸念しています。

■風車建設地および周辺環境に生息する貴重な鳥類

事業実施想定区域(以下、想定区域という)と周辺には環境省のレッドリストで絶滅危惧種IB類に指定されているクマタカをはじめ、希少鳥類やその他の貴重な野生動植物が多く生息しています。また、周辺の里山では絶滅危惧II類のサシバの繁殖も確認されています。

■風車建設による希少猛禽類への影響の懸念および事前対策と精密調査の必要性

この風車建設が計画どおり実施されれば、彦岳周辺の稜線の約1200haに31機もの巨大風車(風力発電機の単機出力:最大5500KW、風力発電機の最大高:約200m)が林立することとなります。

これらの風車建設予定地において、既に本会会員により、クマタカの生息・営巣が確認されています。また、彦岳の稜線周辺は、サシバ、ハチクマなど、数多くの希少猛禽類における渡りのコースになっていることも確認されています。

もしも何の対策もないまま風車が建設されると、食物連鎖の頂点である猛禽類のバードストライクだけでなく、生息地放棄も含め、当地域のクマタカ個体群への影響、他の猛禽類の渡りのコースへの影響は計り知れないこととなり、また、同時に、その地域全体の生態系にも多大な影響を与えかねないことになると予想できます。

したがって、計画地周辺に生息する希少猛禽類をはじめとする鳥類への影響を回避、低減可能な前向きで根本的な対策、およびそのための精密で科学的な事前の調査方法の立案と長期間の調査実施が不可欠になります。

■風車建設による環境変化が起因となる災害等の可能性および事前の防止の必要性

風車建設予定地の稜線下にある番匠川水系床木川流域(佐伯市側)の平均年雨量は、約2,000mmで、そのほとんどが台風の影響によるものです。この地域は、一度降雨があれば水害発生の大きな原因となっている急峻な山地と細長い平野部で成り立っている地域です。

近年の地球温暖化による雨量増加傾向に加え、風車建設工事に伴う稜線の森林植生の改変による砂泥流出や土砂崩れなどが懸念されます。また、これらのことが発生すれば源流域床木川が合流する一級河川の本流番匠川に生息する水棲生物の生息に重大な影響が発生することも予想されます。

したがって、こういった影響が回避可能な前向きで根本的な対策、およびそのための事前の精密で科学的な事前の調査方法の立案と実施が不可欠になります。

■環境配慮対策に対する要望

以上述べたように、当該事業想定区域一帯には希少な鳥類および優れた自然環境が多く存在しており、風力発電施設を設置することは、環境省・大分県が推進する生物多様性保全の観点から極めて損失が大きいと考えられます。そのため、(仮称)彦岳風力発電事業については、配慮書に示されたような調査及び予測・評価に加え、貴社における環境配慮対策や災害対策を事前に十分に検討した経過および対策の内容、そのための事前の精密で科学的な調査方法(環境アセスメントの調査方法)の詳細を、次回の方法書で明記することを要望します。

(仮称) 宮城山形北部風力発電事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書を提出しました

(仮称) 宮城山形北部風力発電事業に係る環境影響評価方法書に対する意見書

令和2年3月6日 提出

項 目 記入欄
氏 名 ①日本野鳥の会山形県支部 支部長 簗川 堅治
②公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤 孝一 (公印省略)
住 所 ①〒994-0081 山形県天童市南小畑4-8-33
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

貴社が計画されている(仮称)宮城山形北部風力発電事業」における環境影響評価方法書(以下、方法書)に述べられている調査方法について、下記の通り意見を提出します。

◇生物多様性の観点から、希少鳥類に対する影響の評価を重要視するだけでなく、対象事業実施区域(以下、対象区域)とその周辺に生息する鳥類全体の生息環境や生物多様性も評価すべきである。そのため、「重要とされる鳥」以外にも出現した鳥は全て記録すべきであり、一般鳥類の観察にもっと力を入れるべきである。

◇一般鳥類の現地調査では、任意観察調査とテリトリーマッピング法による調査を行うとしている。
任意観察調査は、春・夏・秋・冬の四季に実施するとしており、調査回数は明確に示されていないが、4月から5月の渡りおよび繁殖の時期には、もっと頻繁に調査を行うべきである。なぜなら、5月は繁殖期のさえずり期間で、小鳥類の個体を発見・観察しやすく、逆にこの時期を逸すると、小鳥の同定は困難になる。また、5月は渡りの途中で対象区域に一時的に滞在する鳥も多く、観察される鳥の種や個体数が日々変わるため、詳細な調査が必要である。このように、5月は鳥類の渡り、繁殖ともに重要な時期であるため、この1か月間は、天気の良い日に週2回は調査を行うべきである。

◇任意観察調査について、ポイントセンサス法、ルートセンサス法など調査方法についての記載がない。どのような手法で調査を行うのかを明示すべきである。
また、一般鳥類のセンサス調査を行う際、計画地における鳥類の繁殖状況を把握するためには、現存する環境要素をできるだけ多くセンサスルートに含める必要があるが、テリトリーマッピング法にあわせて設定した調査地点16か所で計画地にあるすべての環境要素を網羅できているのか示すこと。

◇表6.2-2(29)希少猛禽類の生息状況調査について、「繁殖期と非繁殖期に実施する。各月1回3日間程度の調査を基本とする。繁殖は2年間調査を実施する。」と記載されているが、定点観察法についての記述が分かりにくい。繁殖期と非繁殖期の調査期間を明示し、また、全体で調査を何回実施するのかも明示すべきである。特に、繁殖期においては、繁殖そのものを阻害しないよう、繁殖・営巣活動を脅かすような調査を行わないよう十分な配慮をすべきである。
また、調査地点は24か所とあるが、定点観察ということであれば、最低でも毎月3日間ずつ24地点で同時に行うべきである。

さらに、希少猛禽類、特にクマタカは毎年繁殖を開始、または成功するわけではなく、ヒナの成長にも数年かかるため、生息が認められた場合は、最低でも2営巣期、必要に応じて3営巣期に渡り調査する必要がある。そのため、方法書に記載されている調査期間では、適切な生息状況確認調査とは認められない。

◇渡り鳥の調査については、方法書によると、定点観察法とコドラード調査を行うとし、定点観察法では、「日の出前後及び日没前後を中心とした時間帯に通過する小鳥類、猛禽類、水禽類等の渡り鳥の飛翔ルート、高度等を記録する。」と記載されている。さらに、鳥類の渡り時の移動経路の調査については、「春季(3~5月)及び秋季(9~11月)に実施する。秋季については、各月複数回(上旬、中旬、下旬)実施する。」と記載されている。

調査頻度についての詳細な記載がないが、1週間連続した観察を1回の調査として月2回、あるいは3日間連続した観察を1回の調査として月4回、これを2年間実施すること。なぜなら、渡り鳥の種類、個体数、時期等は年による変動があり、この年による変動及び計画地における渡り鳥のピーク状況を把握することが難しいからである。また、小鳥類の渡りは夜間も行われるので、日の出前後及び日没前後の目視、鳴き声を中心とした調査だけでは不十分である。「鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引き」(環境省、平成27年修正版)に準拠し、垂直回しを含めたレーダー調査を活用し、計画地における夜間の小鳥の渡り状況を把握すること。鳥の種類は分からなくても、おおよその個体数と飛行高度を把握することで、計画地が小鳥の渡り経路になっていないか、飛行高度等からみてバードストライクが発生する危険性がないか確認すること。

◇計画地の地図を見ると、林野庁の設定した「緑の回廊」にいくらか配慮した形で設定されているが、大幅な見直しとは受け取れない。これは、「緑の回廊」事業の目的・意義を考える場合に大変遺憾である。計画地には絶滅危惧1B類に指定されているクマタカが生息している可能性が高く、これは、単にクマタカのバードストライクを回避すればよいという問題ではない。生態系の頂点に立つクマタカなど希少猛禽類は、餌動物となる多くの野生生物を育む豊かな自然環境に支えられているのであり、森林伐採や土地の改変が行われれば、クマタカの餌となるノウサギやヤマドリなどが激減し、クマタカの生息地が奪われることになる。計画地には優れた自然が多く残されており、環境省、林野庁が推進する生物多様性保全の観点からきわめて損失が大きいと考えられることから、(仮称)宮城山形北部風力発電事業については、生物多様性保全の観点から、中止も含めて事業規模を大幅に見直すことを要望する。


(仮称)宮城山形北部風力発電事業 環境影響評価方法書に対する意見書

項 目 記入欄
氏 名 ①日本野鳥の会宮城県支部  支部長  竹丸 勝朗
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長  遠藤 孝一 (公印省略)
住 所 ①〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
環境影響評価方法書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された「(仮称)宮城山形北部風力発電事業 環境影響評価方法書」について、次のとおり意見を提出します。

現在、環境影響評価方法書(以下、方法書と言う)を縦覧している(仮称)宮城山形北部風力発電事業について、対象事業実施区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設(以下、風車と言う)を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮城県の絶滅のおそれのある野生動植物 RED DATA BOOK MIYAGI 2016(以下宮城RDBと言う)にも掲載されているクマタカの生息地と重なることが予想され、衝突死(以下、バードストライクと言う)が発生する危険性が高い。また、サシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路に対しても障壁影響等が発生することが懸念される。
方法書では猛禽類や他の鳥類に対し調査計画を述べているが、猛禽類や希少な鳥類への影響を適切に評価できる環境影響評価調査データを得るために方法書について下記のように要望する。

①私たちの普段の観察において計画地周辺でクマタカの生息を確認しており、また、計画地全域周辺でも同種の繁殖の可能性が高いことから、影響評価に係る現地調査ではクマタカが繁殖しているものとして、2営巣期にわたり調査を行うなど、調査には慎重を期していただきたい。国内ではクマタカが過去に風力発電施設によるバードストライクに遭った事例があることから、計画地に風車を建設した場合、バードストライクの起こる可能性が高いと考える。そのため、クマタカの生息状況の確認および猛禽類の渡りに係る調査について、環境影響評価が適切に行えるよう質、量とも十分なものを求める。

②方法書における鳥類の調査計画において、季節ごとに年4回の調査を計画されているが、猛禽類の生息、生態調査は造巣期から巣立ち幼鳥の巣外育雛期までの生態、行動範囲を調査によって詳細に把握していただきたい。猛禽類が計画地をどのように利用しているかを明確にできるよう調査時期を選定するとともに、調査回数を増やすなど配慮していただき、周年生息する猛禽類の正確な生息状況データを影響評価に提供していただきたい。
また、強風時、クマタカは飛翔行動を行わないことが知られているので、調査実施に際しては、適切な気象条件時に調査を行うことを方法書に明記していただきたい。

③ミゾゴイやヨタカなど夕方から朝方の夜間に活動する種の調査は適切な時間および時期、地域で行い、生息状況がきちんと評価できる夜間調査を要望する。また、夜間に上空を移動する小鳥類やガンカモ類の存在も知られているので、各種アセスのガイドラインに沿った内容だけでは不足してしまう調査データを補うような調査の実施(時間及び回数)を求める。

④秋の渡り調査にあたっては、夏鳥の南下時期と冬鳥の南下時期が異なるので、3回の調査回数では全く不十分である。夏鳥であるサシバやハチクマなどの猛禽類調査にあたっては、適切な移動時期に適切な回数の調査を行い、計画地付近を通過する猛禽類の飛行行動を明らかにできる調査方法で実施すること。また、計画地は冬鳥の移動ルートとなっていることが予想されるので、バードストライクが予想される小鳥類やガンカモ類についても、猛禽類調査と同様の調査の実施を要望する。

⑤計画地を通過する猛禽類について、秋の調査実施を計画されているが、サシバ、ハチクマの移動時期は、宮城県では9月上旬から始まり、約ひと月続くことが観察され、また公表されている。しかし、ピークの時期は短く、その年の気候に左右されることが知られている。従って、このピークの時期を外さない調査方法での実施が必要である。計画地は広範囲であるため、風向きと日射により上昇気流発生が峰の東になるか西になるかが変わる。上昇気流の発生位置によって、移動のコースが変わること、風力によって移動時の飛翔高度が変わることも調査時には考慮して、適切な調査を行っていただきたい。
なお、宮城県の猛禽類の移動については、近年の私たちの調査により明らかになった結果であることから、事業者は公表されているデータを見て、適切な調査日程を計画し、実施していただきたい。
決して調査方法の不備および不適切な調査方法によって過小な評価とならないよう調査は質、量とも十分なものを求める。

⑥計画地周辺に生息する鳥類は猛禽類だけではなく、それ以外の鳥類や水鳥類の移動も考えられる。従って、日中の調査だけではなく、レーダー調査を行うなど夜間の調査も充実した内容となることを要望する。
また、夜行性の鳥類は日の出前や日没後2時間くらいの時間に活発に行動するので、ICレコーダーの台数を適切に配置し、調査期間を長くとるなど、調査対象種の行動を理解した上での調査となるよう調査内容の充実を要望する。

以上

(仮称)新さらきとまない風力発電事業 環境影響評価準備書に対する意見書を提出しました

令和2年2月26日

電源開発株式会社  御中

「(仮称)新さらきとまない風力発電事業 環境影響評価準備書」について
以下のとおり意見書を提出いたします。

特定非営利活動法人サロベツ・エコ・ネットワーク
代表理事 吉村 穣滋
(北海道天塩郡豊富町字豊富東2条5丁目)

風力発電の真実を知る会
代 表 佐々木 邦夫(公印省略)
(稚内市はまなす2丁目7番18号)

道北の自然と再生エネルギーを考える会
代 表 富樫 とも子(公印省略)
(北海道天塩郡幌延町字下沼853番地1)

北海道ラムサールネットワーク
代 表 小西 敢  (公印省略)
(北海道厚岸郡浜中町琵琶瀬60 NPO法人霧多布湿原ナショナルトラスト内)

公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一  (公印省略)
(東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル)

■図書縦覧・説明会等

  • 縦覧と意見書募集の周知
    環境影響評価図書の縦覧と意見書募集の周知は、新聞広告を除くと貴社のホームページでの紹介のみでした。新聞広告は新聞を取っていない人は読むことができず、読んだとしても忘れる恐れがあります。近隣の他の事業者同様稚内市をはじめとして周辺自治体のホームページのトップページなどのわかりやすいお知らせの欄に情報を掲載するようお願いすべきです。このほか、回覧やポスター掲示、チラシ配布により多くの人に周知するよう努力すべきです。
  • 縦覧場所
    サラキトマナイの風車はサロベツからも視認可能で影響を受けるため、豊富町の施設も縦覧場所に追加すべきです。
  • オンラインの閲覧方法
    縦覧期間のみインターネット上で閲覧可能ですが、ダウンロードや印刷ができません。約千ページもある環境影響評価図書を、PC上のみで閲覧しながら、意見書を記載することは現実的な方法と言えません。図書の内容が実際と齟齬がないか精査することは、影響を適切に評価するうえで重要です。周辺の事業者のJFEエンジニアリングは閲覧期間に限らず随時、インターネットで閲覧可能にしていますので見習うべきです。また、稚内市図書館または市役所等で閉架禁帯出扱い等により厳重に管理したうえで所蔵し、閲覧できるようにすべきです。図書の信頼性の確保と地域住民との合意形成のために透明性・公平性が不可欠です。
  • 説明会
    説明会の一般参加者は、説明会後に個別に説明を受けるために出席したサロベツ・エコ・ネットワーク関係者2名だけでした(その他の参加者は全員事業者の関係者でした)。新聞広告以外に、貴社のホームページに案内がない、複数回実施するなどの周知の努力を怠った結果です。説明会は形の上で開催しても参加者がいなければ実施する意味がありませんので、合意形成行うために説明会を再度開催しなおすべきです。
  • 情報共有
    稚内市を活動範囲に含む地元の環境保全団体に対して他の事業者と行っている守秘義務契約などを結んだうえで、事業への理解を得るために図書を提供すべきです。

■方法書の意見書に関する対応

方法書の意見が概要として内容の一部が削られており、意見について事業者の見解として回答していない部分が多数あります。削った部分について記載し回答してください。また、方法書の意見書で指摘した内容が全く反映されていません。方法書を提出した段階でほとんどの調査が終了していました。方法書の意見書は追加調査を検討するために行うのではなく、本調査の方法に対して、意見を募っているのであって、その意見が反映されなければ行う意味がありません。方法書の意見を反映させたうえで調査をやり直すべきです。

■景観

稚内市の観光地大沼バードハウスから大沼のハクチョウ類を眺める際に見える背後に丘陵が見える広大な景観は巨大人工物がなにもないことに価値があり、人工物が少しでもあるとその景観を大きく損ないます。このため、この丘陵のスカイラインから突き出た風車の建設は避けるべきです。鉄塔を基準にした垂直見込み角による圧迫感があるか否かの評価方法は当てはまりません。風車は水平に複数が並んでいると一体のものとして見えるため、1本1本の高さではなく、全体的な水平見込み角によって評価すべきです。水平見込み角によって累積的に周りの景観との違和感として評価すれば、各眺望点からは風車の存在は広々とした景観に対して重大な影響を及ぼしていることが明らかになるはずです。実際に私たちは大沼やメグマ沼からサラキトマナイの風車を見るととても気になります。景観自体が重要な場所では影響が想定される範囲として視野角1度の範囲を拡大すべきです。景観のヒアリングは風力発電事業を推進し、専門家ではない地元自治体職員から景観調査地点を問い合わせただけで、専門家にヒアリングが行われていません。景観の専門家やサロベツや宗谷地方の景観の重要性を理解している地元環境保全団体に対して行ったうえで景観の評価をすべきです。

旧サロベツ原生花園ビジターセンター付近はバス停や駐車帯があるため、多くの人が道路沿いから高層湿原と巨大人工物がない景観を見物しに訪れ、車窓からの景観を楽しむ場所でもあります。ここからは現存のサラキトマナイの風車が視認でき、風車が大型化すれば、より大きく見えることが予測されます。このなにもない湿原の景観は、サロベツの自然環境そのものを代表するものです。実際にそれを目的に毎年多くの利用者が訪れ、繰り返し訪れる利用者も多い場所です。この景観にスカイラインから飛び出る形で風車が建設されると、小さくしか見えないとしてもその景観の価値が損なわれ、観光資源としての価値も損なわれます。このため、旧サロベツ原生花園からの景観も評価の対象に加えるべきです。また、同様にメグマ沼木道、稚内森林公園、兜沼公園も景観調査の対象に加えるべきです。景観の重要性は古い一つの指針に依存するのではなく、地元を含めた協議会などで議論をしたうえで、地域の環境を十分に考慮した基準を設定したうえで判断すべきです。

■鳥類

  • 全体
    サラキトマナイの既存風車は環境影響評価の制度が変更される前に実施された事業ですので、建設前に現地調査が行われていません。現存の風車の存在による影響を明らかにするため、既存の風車を撤去した後に最低1年程度空けたうえで、既存の風車による影響を調査し評価してから新たな風車を建設すべきです。
  • 鳥類の定点センサス法
    狙いの種を設定したうえで適切な時期と調査方法を考慮したうえで調査を行わなければ、有効な結果を得ることができません。1地点30分×9地点×月1回(月に半日の調査)では気象条件に左右されるため、生息する鳥類を十分に把握できません。複数回の調査が必要ですので、追加調査を行うべきです。
  • 希少猛禽類
    狙いの種を設定したうえで適切な時期と調査方法を考慮したうえで調査を行わなければ、有効な結果を得ることができません。方法書には調査時間が記載されていませでした。準備書においても5月から10月までの間に調査時間が示されていませんので記載すべきです。
  • ガン、ハクチョウ類
    サラキトマナイの事業地はガン・ハクチョウ類がロシア・日本間を渡る上での主要なフライウェイに位置することが明らかとなっているため、事業を避けるべき場所です。近隣のユーラスエナジー㈱の川西の事業地はその中心に位置することから、経済産業大臣よりサラキトマナイに隣接する場所の多くの風車を取りやめにすべきという意見が出され、実際に多くが取りやめになりました。近隣で(公財)日本野鳥の会、ユーラスエナジー(株)、エコパワー(株)が行った調査でも事業地周辺上空にガン・ハクチョウ類の通過が多数確認されているため、当地域においても川西と同様の状況であることがうかがえます。情報を開示して、その結果を考慮したうえで影響を評価すべきです。
    ハクチョウ類調査では本事業の昼間の調査結果によると渡り経路が事業地内を避ける結果が出ていますが、渡りのピーク時期から外れた5月中旬と11月上旬に調査日が設定されており、ほとんど渡りが確認されていません。調査回数も春と秋でそれぞれ3日しか行っておらず、実施時期が不適切な上記1日ずつを除くと各季節2日間しかありませんでした。春の4月に行われた調査でも1つか2つ分の集団(1つの集団は数十羽のことが多い、野鳥の会報告書参照)しか記録が取れておらず、3回の調査のうち1回(1日分)しか十分な結果が得られていません。渡りは日によってばらつきが多く、気象条件によって大きく変化します。他の事業結果や日本野鳥の会が行った調査結果と比較しても調査日数や確認個体数が少なすぎ、調査結果として影響評価するに十分な結果を得られていません。
    また、貴社がヒアリングを行った鳥類の専門家3名の中にはガン・ハクチョウ類の専門家は含まれていませんでした。地元の渡り情報に詳しい自然保護団体の鳥類専門家の意見を参考しなかったため、適切な調査方法がわからなかったことが原因と思います。
    マガン・オオヒシクイもハクチョウと同様に主要なフライウェイとしてサラキトマナイ周辺を利用するので、調査対象に加えるべきですが、調査が行われていませんでした。猛禽類やハクチョウ類調査とは調査時期や方向も異なるため、既存の調査結果からは参考程度の結果しか得ることができません。また、渡りの時期はマガン・ヒシクイでそれぞれ渡りの最盛期が異なりますので、ガン類の調査として調査方法を専門家に相談しながら検討し再度調査すべきです。
    以上から、貴社の調査結果は不十分であるため、日本野鳥の会や他事業者の調査結果を参考にしながら、地元の鳥類専門家の助言を受けたうえで調査をやり直し捕影響評価をしなおすべきです。方法書に記載された意見ではこの部分が除外されてましたので、除外せず事業者の見解を示してください。日本野鳥の会によるサラキトマナイを含むガン・ハクチョウ類の調査結果を添付しますので評価の参考にしてください。
    ハクチョウ類・ガン類は仮に風車を避けたとしても、高頻度に利用される場所では障壁影響が大きくなるため、既存の風車による障壁影響を明らかにするためには、既存のサラキトマナイの風車を取り壊した後の新たな風車の建設前に、最低1年程度の調査期間を設けるべきです。障壁影響が明らかになった場合は、主要な渡り経路における風車の建設は避けるべきです。
  • 死骸調査(鳥類・コウモリ類)
    死骸の消失率を考えると月1回では十分な評価ができません。他の事業者でも月2回以上調査を行っています。持ち去り率調査では小鳥類と大型鳥類を含め、半数以上が5日以内に消失しているため、消失率を考えいると月最低月5日ごとに調査行わないと適切な評価できませんので、やり直してください。特にオジロワシの場合、月に1度衝突すれば多いほうなので、残存率が高い5日以内に1回の頻度で調査を行うべきです。また、過去に他の地域で風車との衝突事故が多い冬の積雪期に調査が行われていませんが、積雪期の場合、雪に埋もれて見えなくなることを考慮して積雪状況に合わせて5日以内などの高頻度で死骸調査を行うべきです。雪に埋もれた死骸はキツネなどに掘り返されて消失する可能性があります。

■累積的影響の評価

道北エナジー(勇知と川西)、エコパワー(上勇知)による風車建設予定地が近隣にあります。事業地は春秋の道北地方の主要渡り経路である大沼とサロベツの間のガン・ハクチョウ類のフライフェイの中心に位置し、そこに風車が建設されることによる移動阻害は大きいと考えられます。他の事業者による多くの風車の建設により、風車を避けた鳥類が移動経路として当事業地域に集中し、影響が増大する恐れがあります。従って、他事業者から情報の提供を受け、準備書の配置を元に累積的評価をすべきです。貴社としても環境影響評価図書を縦覧期間以外にも自ら率先して公表することで、他の事業者から情報提供を受けやすくし、累積的影響評価に寄与するべきです。景観に対する影響も他の事業の風車が集中することにより累積的影響が増大することが懸念されるため、他の事業者の風車を含めて累積的評価を行うべきです。

■騒音、低周波音及び超低周波音による影響

  • 北海道内の研究機関では、2018年石狩湾新港周辺4事業による累積的影響評価を行った結果、石狩市、札幌市、小樽市において多くの住民に圧迫感・振動感を感じさせ、睡眠障害の疾患も生じ得るという結果が予測されています。これらのことから、「直接的人体に影響し健康被害につながる事例は認められていない」との、環境省指針だけではなく、最新の知見等の情報に基づいた確実な方法により調査、予測を実施して、影響の回避を必ず行うべきです。今後、稼働した場合においても1年間に4回以上のヒアリングや精密騒音計による測定や調査を実施し、調査結果が様々な悪影響を与えていると認められた場合は、運転調整等を行うべきです。

■協議会の設置

本事業ではこれまで地元の環境保全団体などと十分な協議が行われてこなかったため、合意形成が不十分であり、今後大きな問題が発生することが懸念されます。特に、景観については客観的評価が困難なため、地元との協議が不可欠です。今後の調査や影響の評価と環境保全措置などの検討は、各専門の有識者や地元の環境保全団体・観光関係者などが参加する公開された協議会を設置し、十分に話し合った上で行うべきです。

■その他

意見書は、法律で保障された地域住民の権利ですので、すべての記載内容を盛り込み部分的に除外することなく、すべての意見に真摯に対応してください。

以上

(仮称)益田匹見風力発電事業に係る環境影響評価方法書についての意見書を提出しました

令和 2年 3月25日

アジア風力発電株式会社 御中

日本野鳥の会島根県支部  支部長 佐藤仁志
〒693-0212 島根県出雲市馬木町141
電話 0853-48-0409

公益財団法人日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一
〒141-0031 品川区西五反田3-9-23
電話 03-5936-2633(自然保護室)

(仮称)益田匹見風力発電事業に係る環境影響評価方法書についての意見書

(仮称)益田匹見風力発電事業建設予定地には、配慮書段階での意見書で示したとおりクマタカ、ヤイロチョウ、ミゾゴイなどの環境省により絶滅危惧種IB類に選定されている希少種をはじめ、多くの貴重な動植物が生息している。
今回公表された方法書では情報不足とされ、特に触れられていないが、令和元年10月24日付経済産業省発「(仮称)益田匹見風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書」に述べられているように、想定区域の周辺では環境省絶滅危惧IB類、広島県絶滅危惧I類に選定されているイヌワシの生息が確認されている。近年、2018年4月に若鳥が、2019年7月には成鳥が観察され、それぞれビデオ・写真撮影されている。これらのことから、建設予定地周辺はイヌワシの生息域である。したがって、希少猛禽類の調査においてはイヌワシの確認に十分に配慮するべきである。

クマタカ については本会会員の調査により、建設予定地周辺で3つがいの生息が確認されている。2018年夏には建設予定地西側で幼鳥が観察され、繁殖していることが確認されている。
本建設予定地北3kmには浜田ウインドファームの風力発電機29基が稼働中であり、さらにその南側に(仮)新浜田ウインドファームの風力発電事業17基の建設計画が進行中である。浜田ウインドファーム、(仮)新浜田ウインドファーム、(仮)益田匹見風力発電の3つの風力発電施設が完成すれば、南北10km、東西5kmの範囲内に最大高150m超の大型風車61基が立ち並び、全国的にも類のない風車群が建設されることになる(別添「益田匹見風力発電所一帯に計画されている風力発電施設完成後の状況予想」参照)。この範囲内で生息が確認されている9つがいのクマタカをはじめ、多くの動植物の生息・生育が困難となることが予測される。経済産業大臣意見をはじめ、島根県知事、益田市長からも指摘されている、複数の風力発電基の稼働による累積的な影響が懸念される。そこで、すでに稼働中の風力発電事業者、現在建設計画進行中の風力発電事業者と十分連携し、累積的な影響の評価を具体的かつ慎重に実施することを求める。
なお、当該対象事業実施区域周辺において、島根県により絶滅危惧II類に選定されているアカショウビン、ヨタカ、準絶滅危惧種に選定されているオシドリの繁殖が確認されている。

さらに、環境省により絶滅危惧ⅠB類に選定されているヤイロチョウ、ブッポウソウ、絶滅危惧Ⅱ類に選定されているミゾゴイ、サシバ 、準絶滅危惧に選定されているハチクマ、オオタカ、島根県により絶滅危惧Ⅱ類に選定されているヤマセミなども繁殖期に確認されている。これらのほか、国内では八幡高原と大分県九重町のみに渡来し越冬し、広島県により要注意種に選定されているシラガホオジロの渡りの経路ともなっている。また、近隣の山域で広島県により要注意種に選定されているノスリの繁殖が確認されており、建設予定地周辺の伐採地でもノスリが繁殖する可能性がある。
加えて、建設予定地周辺では、春秋の渡りに時期に尾根筋を通過する多くの渡り鳥が観察されている。これらの鳥類の渡りのルート上に巨大な風車が建設されれば、方法書でも予測されているように深刻なバードストライクが懸念される。方法書では渡りの調査は春秋に数回、定点観察法で行うとされているが、夜間に渡る鳥類も多い為、レーダーを使用した調査を実施することが必要である。

対象事業実施区域は、島根県知事の配慮書に対する意見でも述べられているように、脆弱な地質が予想される地域である。尾根筋に広大な掘削を行い、広大な裸地を生ずる建設工事は、近年相次ぐ集中豪雨による沢崩れの原因となることが予想される。 一旦沢崩れが発生すれば、周辺では大規模な砂防工事を実施することとなり、浜田市金城町の浜田ウインドファーム近辺で2017年に発生した集中豪雨災害の復旧工事で見られたように、砂防ダム工事によるクマタカの繁殖への影響が懸念される。クマタカ だけでなく、周辺の沢沿いで繁殖しているミゾゴイやアカショウビンなどへの影響も同様である。
以上述べたように、当該対象事業実施区域一帯には優れた自然が多く存在しており、方法書に示されたような調査及び予測・評価を行うまでもなく、当該風力発電施設を建設することは環境省が推進する生物多様性保全の観点からきわめて損失が大きいと考えられることから、(仮称)益田匹見風力発電事業については計画の断念を強く要望する。

(仮称)えりも町風力発電事業 計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

日野鳥発2019-034号

「(仮称)えりも町風力発電事業 計画段階環境配慮書」に対する意見書

令和元年8月8日

名前     遠藤孝一
(公益財団法人日本野鳥の会 理事長)

住所 〒141-0031
東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

環境影響評価法第3条の7に基づき、環境の保全の見地から次のとおり意見を述べる。

    1.全体について

    1)本事業実施想定区域には、シマフクロウ、タンチョウ、オオワシ、オジロワシ、クマタカなどの希少種の生息地が含まれているため、事業実施地として不適切であり、環境影響評価方法書の作成に進まずに、現段階をもって事業を中止すべきである。
    なお、本項以降の意見は、前述の立場に立ったうえで、配慮書の記載内容について意見を述べるものであり、方法書の段階に進むことを容認するものではない。

    2)配慮書ではゼロオプションは設定しないとされているが、希少種の生息地を含むことから、調査、予測、評価の結果、環境影響の回避、低減を検討してなお影響が大きいと判断される場合は、ゼロオプションを検討すべきである。特に絶滅の恐れの高い希少種が隣接地に生息している場合には、生息地の直接の改変がなくても慎重に対応すべきであり、事業目的にあるような事業の価値を高めるためにもゼロオプションは設定すべきである。
    また、本事業は想定される区域が約7,545ヘクタールと広大であるため、環境影響の回避、低減が適切に行えるよう、十分な時間と人員を配置する調査が必要である。加えて、本事業が実施されれば新たに送電線を敷設することになるため、送電線設置を計画する際には自主的環境影響評価も不可欠である。

    3)シマフクロウは北海道東部を中心に分布し、国内の生息数は160羽程度とされており、計画地を含む日高地方に生息するシマフクロウは遺伝学的多様性確保に重要であることに加え、分布域の西限に位置することから今後の生息地分散を進める上でも重要である。計画地の近隣に位置する河川での繁殖や生息が確認されていることから、前述の通り、計画地の適切な選定またはゼロオプションを含めた計画規模の縮小も検討すべきである。
    ※シマフクロウの生息情報については、希少種であることから取扱いに注意されたい。

    4)タンチョウは北海道東部を中心に生息し、国内の生息数は1800羽程度である。計画地に近い百人浜では2016年からタンチョウが営巣しており、2018年には初めて繁殖に成功した。このつがいは日高地方唯一のつがいであり、この場所が十勝地方から道央圏への繁殖地の自然分散の過程上で重要なルートとして位置づけられる。また、タンチョウが繁殖している環境は計画地周辺の環境と類似しており、実際にタンチョウの観察事例があることから、今後、計画地周辺で繁殖する可能性が高い。タンチョウへの影響を避けるため、ゼロオプションを加えて計画地の選定を行い、計画地周辺の繁殖可能性と風力発電施設(以下、風車という)が与える影響についても検討するべきである。

    5)有識者ヒアリングにもあるとおり、計画地周辺にはクマタカが生息しており、クマタカも風車、高圧鉄塔への衝突例がある。とくに求愛造巣期のつがいはディスプレイフライトを行うため、衝突のリスクが高まると考えられる。さらに、クマタカは伐採跡地など開けた環境でも狩りを行うことから、風車の設置によって創出された草丈の低い草地的な環境に誘引される可能性もある。クマタカの生息状況調査を実施し、計画地の適切な選定またはゼロオプションを含めた縮小も検討すべきである。

    2.個別の項目について

    2-44(46)
    工事開始予定が2023年4月であるので、計画書の作成時期などを考慮すると調査と評価を行うことができる期間は最大でも3年である。各季節での鳥類の生息状況を的確に把握できるよう、1回あたりの調査期間を長めに設定する必要がある。

    3-29(79)
    北海道の猛禽類を引用してクマタカは生息していないと記載されているが、専門家等へのヒアリングにある通りクマタカは生息しているので、記載すべき。
    また、EADASの注意喚起レベルA3(根拠:シマフクロウ、オジロワシ、オオワシ)に含まれるメッシュでは、事業は実施すべきではない。

    3-77(127)
    陸生の生態系、水域の生態系とも高次の捕食者としてフクロウが挙げられているが、地域特性からシマフクロウを記載すべき。そうすることで次ページの図との整合性も取れると思われる。

    4-1(213)
    方法書以降の手続きにおいては、「工事用資材の搬入、建設機械の稼働及び造成等の施工による一時的な影響」にかかる環境影響評価を実施するとあるように、十分な調査と評価が行われることを希望する。

    4-3(215)
    計画段階評価事項の選定理由において、動物、植物、生態系のいずれも重大な影響の恐れのある環境要素として選定されているように、環境影響の評価と予測の際には、重大な影響の恐れがあることを念頭に実施されることを希望する。

    4-32(244)~4-34(246)
    本書では重要種としてシマフクロウが挙げられているが、シマフクロウの研究者へのヒアリングが行われていないと思われる。この地域を調査地としているシマフクロウ研究者にヒアリングを実施し、シマフクロウの生息状況や立地選定のあり方について意見を求めるべきである。

    4-39(251)、4-41(253)
    樹林・水辺(海岸等)・水域に生息する8種への影響としてバードストライクの可能性があると記載されている通り、とくに生息数が少ないシマフクロウに対してもその懸念があるのであれば、本計画地は事業予定地として適切ではないと考える。

    4-42(254)
    「方法書以降の手続きにおいて留意する事項」には、鳥類ではクマタカ等の猛禽類について調査を実施するとあるが、同様にシマフクロウの生息状況に関する調査も、この地域を調査対象地としている研究者の助言、監修を得たうえで実施すべきである。

    また、風車の上空を通過する猛禽類、渡り鳥については発電機の設置位置等の情報が利用できるようになってから調査、予測、評価を実施するとあるが、そもそも発電機の位置を決めるためには猛禽類や渡り鳥の利用状況に関する情報も必要である。位置が未定であれば、実施を先送りにするのではなく、計画地全体を対象として方法書の段階から記載すべきである。

    以上

(仮称)あわら沖洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書についての意見書を提出しました

令和元年12月19日

電源開発株式会社
取締役社長 渡部 肇史 様

日本野鳥の会石川
代表 中村正男
929-1125 石川県かほく市宇野気1-71

(公財)日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一
141-0031 東京都品川区西五反田3—9-23丸和ビル

(仮称)福井県あわら洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書への意見書

 

事業実施想定区域は、多くの水鳥や渡り鳥が生息、利用している海域であるため、バードストライクや生息地放棄等が発生することが大きく危惧されます。よって既に計画が進められている他の洋上風力発電事業と協議・調整を行い、以下の配慮と対応を求めます。

  1. (仮称)あわら沖洋上風力発電事業における事業者と協議、調整された事業計画のもとに共同作業も含めた適切な環境影響評価を実施することが必要です。さらに、事業実施想定区域の東には貴社が建設し株式会社ジェイウィンドが運転するあわら北潟風力発電所があり、この発電所との複合的な影響(累積的影響)も評価する必要があります。これらができない場合には本事業計画は実施すべきではありません。
  2. 渡りの時期にはアカエリカイツブリ、アビ類やウミスズメ類など多くの鳥類が事業実施想定区域に生息し、渡りを行っています。このような海域ではバードストライクや生息地放棄の発生を念頭においた調査が必要であり、これらが発生しそうな時期や兆候を予測し把握する事が必要です。また、風力発電施設の稼働後においてもモニタリング調査を実施し、影響が生じた際には風車の稼働停止を含めた対応が必要です。
  3. カモ類が夜間に渡りを行うことは知られていますが、オオミズナギドリ、アビ類やウミスズメ類も夜間に渡りを行うと推測されています。そのため、夜間にバードストライクが発生することを念頭に置いた調査も必要であり、上記同様、バードストライクが発生しそうな時期や兆候を予測し把握する事が必要です。また、施設の稼働後においても、影響が生じた際には風車の稼働停止を含めた対応が必要です。
  4. トモエガモ、マガモ、マガン、ヒシクイは日本海を直接横断して大陸へ渡ることが確認されており、片野鴨池のカモ類、ヒシクイ、マガンも事業実施想定区域を渡る可能性があります。この飛行ルートを詳細に把握するための調査・予測・評価が必要であり、それができない場合には、風力発電施設を建設すべきではありません。
  5. 施設の稼働後に鳥類の飛翔状況を監視できる体制を設け、バードストライクが発生した場合には該当する風力発電機を停止する仕組みを盛り込んだ保全措置のためのシステム構築が必要です。
  6. 施設の稼動後にバードストライクの事故が頻発するなど著しい環境影響が生じた場合は、該当する風力発電機の撤去も含めた判断を行う第三者を参加させた検討体制を設置することについて明文化するべきです。
  7. 海上に飛来する鳥類の数や海洋環境は年によって異なることが多いため、地上に比べて調査・予測・評価などの難度は高いと考えられます。そのため、環境調査の実施には3年以上をかけるべきです。
  8. 環境アセスメント制度における、配慮書、方法書、準備書等の文書は、一般の端末でも縦覧でき、合わせてダウンロード、印刷が可能とすべきです。

以上

(理由については次頁以降に記しています)

《理由》

◎既存計画における事業者と協議、調整された事業計画であるべき

事業実施想定区域は、既に(仮称)あわら沖洋上風力発電事業が計画されており、計画段階環境配慮書が公開されている。本件の配慮書によると(仮称)あわら沖洋上風力発電事業の事業実施想定区域と重複する部分が多くあり、しかも沖合に広く拡大されている。2つの事業がそれぞれに事業計画を進めた場合は複合的な影響評価を実施するという観点がなく、最も心配されるバードストライクにおいて有効な調査・予測・評価ができないと考えます。
従って、(仮称)あわら沖洋上風力発電事業における事業者と協議、調整された事業計画のもとに共同作業も含めた適切な環境評価を実施することが必要です。

◎既存発電所を含む累積的影響が考慮された事業計画であるべき

累積的影響とは、一定の地域内で複数の事業が平行して行われる際、個々の事業の環境アセスメントの積み重ねでは十分に複数事業による環境影響を検討することが困難である場合に、相加的・相乗的に影響を評価することを言います。
業実施想定区域の東側には、あわら北潟風力発電所が稼働中です。片野鴨池と坂井平野を往復するマガンへの影響を評価するためには、既設の10基に加え新たに建設される風車の影響を考慮することが必要です。
なお、あわら北潟風力発電所建設時の環境影響評価資料も利用し、風車が一切ない状態のマガンの行動と現状の比較を行ったうえで、(仮称)福井県あわら洋上風力発電事業の影響を評価することが重要です。

◎多数の水鳥や渡り鳥が生息する海域はバードストライクが発生する可能性がある

日本野鳥の会石川では毎年3月に事業実施想定区域に属する地点の海岸で探鳥会を行っています。その結果注1を見ますと、春の渡り時期にはアカエリカイツブリ、アビ科の鳥類(アビ、オオハム、シロエリオオハム等)、ウミスズメ(環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類)、オオミズナギドリやヒメウ(環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB)が観察され、時としては数百羽に及ぶことがあります。さらにはミサゴ(環境省レッドリスト准絶滅危惧)の採餌場所になっています。
なお、2005年10月にハクガン(環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類)4羽が当該区域を飛翔していたのが観察されています。
また、ラムサール条約湿地である片野鴨池で越冬するマガン(環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類)は、片野鴨池と餌場である坂井平野を毎日往復する際、北潟湖周辺を通過します。北潟湖上を飛行することが多いものの、気象条件によっては海上を通過することがあり、(公財)日本野鳥の会ではマガンが北潟湖西の海上から内陸に向けて飛翔していることをレーダー観測によって確認しております。注2
これらの種については洋上の巨大風車によるバードストライクの発生が十分に考えられます。

◎夜間に渡る鳥類のバードストライクの恐れ

一般にカモ類は夜間に渡りを行うと言われています。片野鴨池で越冬するカモ類あるいは他地域からのカモ類も事業実施想定区域を夜間に渡る可能性があります。また、オオミズナギドリは繁殖地では夜間に活動することが確認されており、渡りも夜間と推測されます。同様にアビ類やウミスズメ類も夜間に渡ると考えられます。確認の難しい、夜間におけるバードストライクの可能性については十分な調査・予測・評価が必要と考えます。

◎日本海を直接横断する種に影響を与える可能性がある

トモエガモ(環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類)が陸伝いではなく、直接日本海上を飛んで大陸へ渡ることが解明されています注3。また、九州(長崎県)や関東地方(埼玉県)から追跡されたマガモでも、日本海を横断して大陸へと渡ることが確認されており、そのうちの一部は石川県を経由して渡っています注4。
さらに、島根県出雲市で越冬する国指定天然記念物のヒシクイ注5、マガン注6も日本海を直接横断する渡りを行うことが知られています。この時に送信機を装着されたヒシクイのうち1羽が片野鴨池でも観察されており注7、片野鴨池のヒシクイ(亜種ヒシクイが絶滅危惧II類、オオヒシクイが準絶滅危惧)も日本海を横断するものがいる可能性があります。
片野鴨池は、2010年代初めまで西日本最大のマガンの越冬地でしたが、近年は国内のマガン個体数が増加しているにも関わらず、片野鴨池での越冬数は減少しています。この原因として、個体数の増減に影響を与える要因や渡り時の行動などから、片野鴨池に飛来するマガンは宮城県などに飛来するマガンとは繁殖地や春の渡りルートが異なる可能性が示唆されました注2。渡り時の行動や島根県で越冬するヒシクイの例から、片野鴨池のマガンも直接日本海を横断しているものと考えられています。
これらの渡りの状況から、トモエガモやマガン、ヒシクイを含む北潟湖周辺で越冬するガンカモ類が事業実施想定区域を通過する可能性があります。
北潟湖周辺のガンカモ類の渡りの際の飛行ルートを詳細に把握するための調査を少なくとも数年間実施したうえで予測、評価を行う必要があり、これが困難な場合は事業実施想定区域での風力発電所の建設を行うべきではないと考えます。

◎洋上でのバードストライクについて

洋上での風車によるバードストライクは陸上でのそれに比べて、調査・予測・評価が難しく、巨大風車が立ち並ぶ本計画では特に綿密にこれらを実施しなければなりません。特に、渡り鳥が重要な調査対象となるため、1シーズンでは予測、評価のための情報が不足するため、複数年に渡る調査が必です。
また、風車が稼働した後はバードストライクの発生監視を行う仕組が必要であり、バードストライクの発生に対しては第三者も入れた検討体制を構築し、バードストライクが多発するならば対象の風車の停止、定常的に発生するならば風車の撤去を盛り込んだ運営を行うことが肝要と考えます。
さらに、バードストライクの発生事実、その対策検討結果は公表されるべきです。

◎オンライン閲覧について

環境アセスメント制度における、配慮書、方法書、準備書等の文書は、県庁を始めとした縦覧場所での縦覧は、1部のみのため複数の人員が同時に縦覧することが困難です。また、そのために縦覧場所に出向く必要があるため、時間的、距離的な制約が大きいです。それ故にオンライン閲覧は大きな利点があるものと考えます。しかし、現在のオンライン閲覧は WindowsのInternet explorerでしか閲覧ができないため、下記の問題があります。

  • 今やパソコンよりも、スマートフォンやタブレット端末でのネットアクセスが主流になっているにも関わらずこれらでは閲覧できない。またMacでの閲覧もできない。
  • Windows 10では、Internet Explorerは標準ブラウザではなく、Edgeが標準ブラウザとなっている。Window 10にはInternet Explorerがインストールされてはいるが、うまく使えない方が多々いる。
  • 印刷、ダウンロードができないため複数人が同時に縦覧するためには複数のWindowsパソコンやそのためのネット環境が必要となり、複数人での意見合成などが困難であり、意見書等への反映が十分にできない状況である。
  • また、準備書には多額の費用が費やされたアセスメント実施の結果が記されており貴重な資料となっている。該当地域の環境実態を把握し、以降の検討・研究に広く利用するためにも、ダウンロードや印刷ができないのは問題と考える。

上記の問題解消を強く望みます。

注1. 片野海岸探鳥会データ(付表)
1999年〜2014年は石川野鳥年鑑(ホビーズワールドで購入可)、2015年〜2019年は日本野鳥の会石川の会報「石川の野鳥」4月号または6月号より。
注2. 詳細については(公財)日本野鳥の会に問い合わせ
注3. 世界で初めて、トモエガモの渡りのルートを解明(日本野鳥の会ホームページ)https://www.wbsj.org/activity/press-releases/press-2012-09-07/
注4. Yamaguchi N et al. 2008. Spring migration routes of mallards (Anas platyrhynchos) that winter in Japan, determined from satellite telemetry. Zoological Science 25(9):875-881.
注5.出雲市で越冬するヒシクイを衛星追跡 日本海を渡るルート解明(http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/news/201007_hishikui.html)
注6. Yamaguchi, N. and Higuchi, H. 2008. Migration of birds in East Asia with reference to the spread of avian influenza. Global Environmental Research 12:41-54.
注7.2010年11月11日~2011年2月11日にかけて観察(平成22年度(2010年度)加賀市鴨池観察館 年次報告書)

(仮称)大和風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書を提出しました

日 野 鳥 発 第2019-018号

(仮称)大和風力発電事業に係る計画段階環境配慮書に対する意見書

令和元年 6月 6日 提出

項 目 記入欄
氏 名 ①日本野鳥の会宮城県支部 支部長  竹丸 勝朗
②公益財団法人日本野鳥の会 理事長  遠藤 孝一
住 所 ①〒982-0811 宮城県仙台市太白区ひより台20-7
②〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル
計画段階配慮書についての環境の保全の見地からの意見

この度、貴社が作成された(仮称)大和風力発電事業に係る計画段階環境配慮書について、次のとおり意見を提出します。

現在、貴社が計画段階環境配慮書(以下、配慮書と言う)を縦覧している(仮称)大和風力発電事業について、事業実施想定区域(以下、計画地と言う)に風力発電施設を建設した場合、環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠB類で宮城県の絶滅のおそれのある野生動植物 RED DATA BOOK MIYAGI 2016(以下宮城RDBと言う)にも掲載されているクマタカの生息地と計画地が重なることが予想され、衝突死(以下、バードストライクと言う)または生息地放棄が発生する可能性が高い。また、サシバやハチクマなど希少猛禽類の渡り経路に対しても障壁影響等が発生することが懸念される。
配慮書は専門家へのヒアリングを行って影響を評価しているが、日本野鳥の会会員の情報でも計画地に隣接する嘉多神ダムにおいてクマタカの生息を確認しており、また、計画地全域周辺でも同種の生息の可能性が高いことから、影響評価に係る現地調査ではクマタカが繁殖しているものとして、慎重を期して計画地を選定すべきである。
また、計画地周辺はサシバやハチクマなどの希少猛禽類の主要な渡りコースにもなっている。
国内ではクマタカおよびハチクマが過去に風力発電施設(以下、風車と言う)によるバードストライクに遭った事例があることから、計画地に風車を建設した場合、バードストライクが起こる可能性が高いと考える。そのため、クマタカの生息状況の確認および猛禽類の渡りに係る調査について、質、量とも十分なものを求める。

理由

(1)配慮書によると、重要な動物への影響の予測結果として、風車のローターと同じ高度を飛翔する鳥類については、施設の稼働に伴う衝突の可能性があると予測している。
特にクマタカについては、風力発電施設の設置エリアに生息環境が存在し、風車のローターと同じ高度を飛翔して移動や探餌を行うことから、バードストライク等の影響が発生することが特に懸念される。また、クマタカは行動範囲が広く、なわばり範囲が重なる場合があるため、風車建設により複数個体のクマタカでバードストライクが発生する危険性が高い。

(2)配慮書によると、表4.3-8(1)重要な動物への影響の予測結果があるが、これには国内でバードストライクが多数発生しているオジロワシが入っていない。オジロワシは山地のダム湖などにも生息している希少鳥類である。風車の建設は、飛翔移動するオジロワシを含む猛禽類にとってバードストライクまたは障壁影響による渡り経路の変更といった影響を及ぼす可能性が高い。

(3)評価結果について、『地形改変及び施設の稼働により影響を受ける可能性がある。今後事業計画の検討にあたっては、現地調査において重要な動物の生息状況を把握するとともに、重要な動物及び注目すべき生息地に配慮した風力発電機の配置計画等を計画し、土地改変及び樹木伐採面積を最小化等に努めることで、重大な環境影響は回避又は低減されるものと評価する。』と述べている。鳥類への影響は直接改変だけでない。さらに事業想定区域上空を利用すること鳥類についてはバードストライクだけでなく、「渡り経路の変更」および「生息地の放棄(事実上の生息地からの追い出し)」といった影響についても、影響の回避または低減策を計画初期の段階から検討すべきである。
以上の理由から、計画地およびその周辺において、いわゆる発電所アセスのガイドラインにあるような一般的な環境影響評価よりも、利害関係者や専門家とも協議したうえで、さらに詳しい調査の実施を求めるところである。
貴社においても、風力発電機の建設にあたっては、野鳥の生息状況等を的確に把握し、地域の優れた自然環境と生物多様性が失われないよう適切な対応をとることを強く求める。

(仮称)留寿都風力発電事業に対する要請書を提出しました

2019年6月6日

インベナジー・ジャパン合同会社
代表 天野 明 様

公益財団法人日本野鳥の会
理事長 遠藤 孝一

(仮称)留寿都風力発電事業に対する要請書

日頃より、当会の活動に関しまして、ご理解をいただきありがとうございます。
貴社が昨年8月に環境影響評価準備書を縦覧した(仮称)留寿都風力発電事業に対し、野鳥保護のための対象事業実施区域抜本的見直しの必要性の観点から、下記の通り意見を述べます。

  1. 対象事業実施区域の移動及び事業計画の抜本的見直しについて
    当該事業に係る計画段階環境配慮書および環境影響評価方法書に対し、当会および日本野鳥の会室蘭支部は、BirdLife Internationalが作成した基準により当会が指定したIBA(重要野鳥生息地)およびKBA(生物多様性重要地域)の指定区域内およびその周辺地域での風力発電施設の建設大の中止を要請しておりました。また、北海道知事および経産大臣から「生態系として重要な地域でもあり環境影響評価で回避、十分な低減ができないときは計画の抜本的見直しをすること」と意見が出ています。貴社は準備書の中で風車の設置予定基数を24基から18基に減らし、環境影響の低減をはかっていますが、IBAおよびKBAの指定区域内の動植物の多様性は非常に高く、イヌワシ、クマタカ、ヒグマなどを頂点とする重要な地域生態系のコアエリアであることが既存および貴社による準備書向けの調査結果からも明らかになっています。環境に対し著しい影響を及ぼす恐れが予測されることが明らかであるにもかかわらず、18基もの大型風車を集中して建設することは、重要な自然地域を分断し、野鳥をはじめとする生態系に重大な影響を与えることは明らかです。従って、経済産業大臣等の意見に従い、対象事業実施区域の位置の抜本的な見直しを行い、生物多様性基本法の理念を遵守し、環境基本計画の方針に従って社会的責任をしっかり果たすことを強く要請いたします。
  2. 準備書における鳥類に対する影響予測についての誤りについて
    • 重要な鳥類の中から猛禽類を10種選び、風車への年間衝突数を求めていますが、確認個体数が一番多いノスリについて評価されていません。対象地域を特徴づける生態系の項目において生態系上位種からわざわざクマタカを外して、ノスリを上位種に選択して評価を行っているのにも関わらず、年間衝突数の予測からノスリを外すのは誤りです。
    • オオジシギのブレード接触の影響予測において、オオジシギはブレード回転域(高度M)での飛翔は少ないため影響はほとんどないとしているが、誤りです。当会はここ数年、北海道の各地でオオジシギの行動観察を行っているが、繁殖期間中に盛んにみられるディスプレイフライト時の旋回飛翔は高度50~100mで行われ、他個体との追いかけ合いは10~40mで行われることを確認していることから、オオジシギの風車ブレードへの接触確率は低いものではないと推測します。
    • 「騒音による生息環境の悪化の項目で猛禽類に関する既存の事例(クマタカ)では、重機の稼働や発破音に・・・ほとんど気にする様子なく、工事の影響は小さいと報告されている」と記載し、ミサゴ以降の騒音に関する猛禽類の影響について同じ評価結果が記載されています。絶滅危惧種を含む猛禽類の種ごとにおいて、騒音に対する影響について科学的な知見がないにもかかわらず、評価対象の猛禽類を一括りにして影響評価するのは乱暴ではないでしょうか。もっと慎重かつ科学的に影響評価をすべきです。
    • オジロワシ、オオワシ、クマタカ、イヌワシ、ハチクマの移動経路の遮断・阻害について、繁殖活動や採餌に係る移動経路の一部が阻害される可能性が考えられるとしながら、影響は小さいと評価しています。また、ブレード等への接触は迂回可能な空間が確保されているため、接触の可能性は低減されていると予測していますが、このような影響評価は誤っています。これら猛禽類の繁殖期における日常的な移動経路を遮断、阻害することは、ブレードへの衝突確率を高めるだけでなく、累積される移動距離を増大させることで繁殖コストをあげて繁殖成功率の低下を招くことが予測されるので、そのような観点で影響予測をやり直すべきです。
    • 上位性注目種候補の選出結果について、クマタカは改変区域内での利用がみられないことから選定から外し、ノスリを当該地域の生態系を代表する種に選定したとありますが、実際には風車が建設されるエリアはクマタカの生息地となっていることが地域住民等により確認されています。このことは、貴社の調査でも確認できているにも関わらず、クマタカを選出すると影響評価において貴社にとって不利な予測結果が出るために、故意に外したと思われても仕方ありません。本来はクマタカを上位性注目種として選定すべきだったと考えます。
  3. 準備書に対する住民意見の多さについて
    貴社が作成した準備書に対し、地域住民等による自然環境や生活環境に対する懸念から多くの意見書が提出されていると推測されます。多くの意見書が出されるということは、風車の建設に対し地域住民からの合意を得られていないということと考えます。地域住民の合意を得られていない計画は、中止すべきです。

以上