トップメッセージ 2023年9月

2023年9月1日 更新

日本野鳥の会 会長 上田恵介

ライチョウツアーへ

毎年恒例の家族行事

今年の夏は暑かったですね。私の住んでいる埼玉県の鳩山町は39.7°Cの最高気温を記録し、毎日のように暑さのトップ3を競っておりました。

こんな暑い時には山が一番です。そこでお盆に毎年恒例の上田家ライチョウツアーを実施しました。今年は去年に続いて、娘や息子、孫たちと乗鞍岳に行って来ました。バスが標高2,700mの畳平についたときは大雨でしたが、夕方には雨も止んだので、山小屋(白雲荘)の夕食後、魔王岳にライチョウを探しに登ってきました。残念ながらライチョウには出会えませんでしたが(去年はヒナ連れがいた)、夕暮れの山頂からの景色もなかなかいいものでした。

夜中には霧も晴れて、星が見え出し、夜明けにちょっと起きて外に出ると冬の星座とペルセウス座流星群を見ることができました。翌朝はご来光を見て、富士見岳を越えて剣ヶ峰(3,026m)に登ってきました。

剣ヶ峰山頂付近
剣ヶ峰山頂付近
家族で無事登頂成功
家族で無事登頂成功

餌不足でヒナの生存率が低下

さてライチョウですが、今年は繁殖が3週間も早く、ライチョウ監視人もしている白雲荘のKさんの話によると、天候が不順で昆虫の発生時期がずれ、それがヒナの餌不足をもたらして、ヒナたちの生存率に影響したそうです。結果的に今年は畳平周辺でも、ほとんどヒナ連れを見ない年になったとのこと。

唯一、私たちが出会ったのは、魔王岳登山道の近くにいた、左足を怪我したメスライチョウとそのつがい相手らしいオスでした。メスは怪我にもかかわらず自分で餌を探して食べていました。骨折してすぐなら捕獲して治療を施せば治癒するのですが、しばらく時間が経っているので、治療するのは無理だろうと、知り合いの獣医さんが言ってました。とりあえずは生きていけそうなので、環境省も様子を見ているそうですが、冬を乗り切れるかどうか心配です。連れ合いのオスはずっとメスのそばにいて、メスを気遣っている(?)様子でした。改めてライチョウ は一夫一妻(稀に一夫二妻がある)なんだなと思いました。

唯一出会えたライチョウのつがい

唯一出会えたライチョウのつがい

過去のメッセージ

プロフィール

日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一

夏の里川で遊ぶ

関東随一の清流、那珂川でのプログラム

「里山」という言葉はよく聞きますが、「里川」と言う言葉はあまり聞いたことがありません。

里山とは、奥山とまちとの間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、農地、ため池、草原などで構成される地域を指します。それなら、そこを流れる生活用水や農業用水、釣り場や漁場、レクリエーションなど人の営みにかかわりの深い川を「里川」と呼んでもいいと思うのですが……。

さて、私の住む栃木県東部には、まさにそんな里川と呼ぶにふさわしい「那珂川(なかがわ)」が流れています。那珂川は、栃木県北部の那須山麓に源を発し、同県東部から茨城県の丘陵部や平野部を流れ、最後は太平洋に注ぐ延長150kmの河川です。関東随一の清流として知られ、アユが生息しサケの遡上する川としても有名です。

私が運営に係わるサシバの里自然学校では、毎夏その川や支流で「SUP」(スタンドアップパドルボードの略称。サーフボードより少し大きめのボードを使い、パドルで漕ぎながら水面を進んでいくウォーターアクティビティ)で川を下るリバーアドベンチャーや川遊びのプログラムを行なっています。

ボードに乗ってパドルで漕ぎながら水面を進むSUP

ボードに乗ってパドルで漕ぎながら水面を進むSUP

川下りや生きもの観察、里川の豊かさを体験

今夏もたくさんの子どもたちと一緒に、那珂川で川遊びを楽しみました。リバーアドベンチャーでは、10人の子どもたち全員が乗ることができる大きなSUPを使いました。ほとんどの子どもたちにとって、SUPは初めての経験ですが、インストラクターからパドルの使い方や流された時の安全確保のやり方などを教わって、川下りに出発。サポート役のスタッフに見守られながら25km下流のゴールをめざします。昼食を挟んで約5時間、台風の向かい風でパドルを持つ腕はクタクタになりましたが、全員が無事ゴール。みんな達成感に満ち溢れていました。

一方、川遊びのプログラムでは、川幅が狭く比較的浅い支流で泳いだり、生きものを探したりします。ここでもライフジャケットを身に着け、安全を確保した上で、スタッフと一緒に川遊びを楽しみます。生きもの探しでは、カニや魚などいろいろな生きものを見つけることができました。

大型のSUPに乗って那珂川を下る
大型のSUPに乗って那珂川を下る
川に潜って生きもの探し
川に潜って生きもの探し
カニや魚、川で出あった生きものたち
カニや魚、川で出あった生きものたち


夏になると、川での水の事故のニュースが目にとまります。確かに川にはさまざまな危険が潜んでおり、油断したり、不適切な行動をとったりすれば、命も落とす事故につながります。しかし、本来川は人の身近にある生活に密着した場所、自然の恵みをもたらす豊かな生態系を有する場所であったはずです。里川であればなおさらです。これからも安全に十分配慮しながら、川でのさまざまな体験を通じて、子どもたちに川の楽しさやすばらしさ、大切さを伝えていきたいと思います。

浅い支流は絶好の遊び場であり、自然体験の場

浅い支流は絶好の遊び場であり、自然体験の場


過去のメッセージ

プロフィール