プレスリリース 2017.07.08

2017年07月08日

三宅島のサンゴ、今年も健全な状態を確認
~三宅島で14回目のリーフチェックを実施~

主催:三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
共催:コーラル・ネットワーク
共催:アンバージャックダイビングスクール

 2017年7月8日、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館、コーラル・ネットワークとアンバージャックダイビングスクールが共同で、世界共通のサンゴ調査である「リーフチェック」を実施した。実施した場所は三宅島の西側に位置する富賀浜のテーブル状サンゴ群集と、伊ヶ谷のカタン崎沖のサンゴ群集である。
 調査を実施した結果、富賀浜では、調査範囲の60%程度がサンゴに覆われ、カタン崎においても、44%程がサンゴに覆われており、ともに前回(富賀浜2016年、カタン崎2015年)実施した際よりも増加していた。

※リーフチェックとは
 サンゴ礁の健康度を測るために世界同一基準で用いられているモニタリング調査で1997年に始まった。アメリカ・カリフォルニアに本部を置く民間団体が推進している。調査は科学者とボランティアダイバーでチームを編成し、サンゴ、魚類、海底の生物など国際基準の調査項目を潜水して調査し、調査結果をインターネットを通じて本部に送る。各地の結果は毎年本部で取りまとめられ、ホームページなどを通じて公表される。

1.三宅島でのリーフチェックの経緯と調査方法

調査風景(富賀浜)
写真1. 調査風景(富賀浜)

 三宅島では1998年より調査を開始し、05年の帰島以後は、07年以外毎年実施し、今回の調査は14回目となる。
 今回はコーラル・ネットワークのリーフチェックコーディネーター1名、アンバージャックダイビングスクールのインストラクター1名、ボランティアダイバー5名、日本野鳥の会の職員でアカコッコ館のスタッフ1名で、地元の漁船の協力を得て、富賀浜と伊ヶ谷のカタン崎を調査した。
 世界共通の調査方法に準じ、サンゴ群集上にメジャーで
100mのラインを設置し、ライン直下の構成種を造礁サンゴ、海藻、砂床など10種に分類し記録した。あわせて、ライン周辺の魚やエビ、ウニなど世界共通の対象種および三宅島独自対象種の生き物の数を記録した。

2.調査結果

(1)富賀浜

富賀浜のテーブルサンゴ状サンゴ群集
写真2. 富賀浜のテーブルサンゴ状サンゴ群集

テーブル状のサンゴを中心に、60%程度が造礁サンゴに覆われ、依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。また、調査コース後半での被覆状のサンゴの成長が、昨年と比べすぐわかるほど顕著であった。オニヒトデは確認できず、それらによる食痕もみられていない。サンゴ食の巻き貝は数個体確認され、食痕も見られたが、早急に駆除すべき状況ではないと考えられる。調査ライン周辺での対象の魚類は例年どおり見られ、無脊椎動物ではナガウニが例年と比べ多く確認された。

(2)カタン崎

調査風景(カタン崎)
写真3. 調査風景(カタン崎)

 テーブル状のサンゴを中心に、44%程が造礁サンゴに覆われていた。一昨年と比べると増加し(昨年は未実施)健全な状態にあった。オニヒトデおよびサンゴ食の巻き貝は全く見られず、食痕も確認されなかった。
 サンゴ周辺の生き物では、調査対象の魚類や無脊椎動物は特に目立った変化がなかった。


3.総評(コーラル・ネットワーク リーフチェックコーディネーター 土川 仁氏コメント)

 富賀浜の調査範囲の造礁サンゴ群集は、増加していた。依然として伊豆諸島最大のテーブル状サンゴ群集であると思われる。一方、昨年調査できなかったカタン崎においても2年前と比べて造礁サンゴ群集は増えていた。
 オニヒトデは、どちらも調査の範囲でも認められなかった。サンゴ食の巻貝は富賀浜においては確認されたが、数も少なく早急な駆除は必要ないと思われる。両地点ともサンゴの生育環境として健全な状態を保たれていると考えられる。今後の推移を見守っていきたい。

4.参考リンク

「コーラル・ネットワーク」 http://coralnetwork.jp/
「三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館」 http://www.wbsj.org/sanctuary/miyake/
「アンバージャックダイビングスクール」 http://www.amberjack-ds.jp/

協力・事前準備
「スナッパー・ダイビングセンター」 http://www.snapper-d.com/
「三宅島ダイビングサービスディープイン」 http://www.deep-in.info/
「北洋丸」

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