プレスリリース 2018.01.22

輪島市に計画されている産業廃棄物処理場の建設許可取り消しを要望

国際的にも絶滅が懸念される希少鳥類のミゾゴイなど、貴重な野生生物が息づく石川県輪島市の里山で今、産業廃棄物の処分場が建設されようとしています。この問題について、日本野鳥の会は2018年1月22日、日本野鳥の会石川など5つの自然保護団体と連名で、県知事に対し建設許可を取り消し、地域一帯の自然環境の重要さを認識して、その保全を推進するよう強く要望しました。

要望書の提出の後、県の廃棄物対策課と意見交換を行い、能登地方を中心に里地・里海を守ることを標榜し、世界農業遺産への登録を推進している県の姿勢と矛盾すること。ミゾゴイやサシバなど里山の生物多様性を指標する種が生息している場所であり、廃棄物処理法の機械的な運用ではなく、しっかりとした環境影響への回避策が必要なことを主張し、建設許可の再考を求めました。

2018年1月22日

石川県知事
谷本 正憲 殿

(公財)世界自然保護基金ジャパン
(公財)日本自然保護協会
(公財)日本野鳥の会
日本鳥類保護連盟石川県支部
日本野鳥の会石川
森の都愛鳥会

門前クリーンパークの産業廃棄物最終処分場建設事業の許可取消しに関する要望書

 平素より、県下での生物多様性の保全にご尽力を頂いておりますことに敬意を表します。
 さて、今般、石川県輪島市門前町大釜に門前クリーンパークが計画している産業廃棄物最終処分場(以下、処分場)に関し、石川県廃棄物処理施設専門委員会(以下、専門委員会)が11月21日に処分場の建設による自然環境への影響について「適正な配慮がなされている」との結論を出しました。知事は、専門委員会の結論をもとに、県環境審議会の議論を経ず、11月28日に許可の決定をされました。
 私ども自然保護6団体は、去る8月17日に「門前クリーンパーク建設事業に係る自然・環境の保全に関する意見書(1)」を、11月14日に「絶滅のおそれのある動・植物の保護施策について(要望)(2)」を貴県に対し提出しました。しかしながら意見内容や要望は、考慮されておらず適正な配慮がされたとは言えません。
 また、能登の里山里海は、世界農業遺産に認定されています。指定に向けての知事の御努力は、高く評価しますが、今回の処分場の建設を許可したことは、世界農業遺産の価値を大きく損ねることになります。
 このような許可の決定は遺憾であり、処分場が建設されれば、県にとって深い禍根を残すことになります。
 私たちは、門前クリーンパーク建設事業の許可を取消すことを強く要望します。

以上

(1)「門前クリーンパーク建設事業に係る自然・環境の保全に関する意見書」(添付)
(2)「絶滅のおそれのある動・植物の保護施策について(要望)」(添付)

本件に関する問い合わせ先:
(公財)世界自然保護基金ジャパン 自然保護室 草刈 秀紀 ([email protected]/03-3769-1713)
(公財)日本自然保護協会 自然保護室 辻村 千尋([email protected]/03-3553-4103)
(公財)日本野鳥の会 自然保護室 葉山 政治([email protected]/03-5436-2633)
日本鳥類保護連盟 石川県支部 支部長 林 哲([email protected]
日本野鳥の会石川 代表 中村 正男([email protected]
森の都愛鳥会 会長 辻村 澄([email protected]

【以下、これまでの要望書】
2017年8月22日付意見書 https://www.wbsj.org/activity/press-releases/press-2017-08-22/


平成29年11月14日
石川県知事 谷本正憲 殿

日本鳥類保護連盟石川県支部
支部長   林  哲
日本野鳥の会石川 
代表    中村正男
森の都愛鳥会
会長    辻村 澄

絶滅のおそれのある動・植物の保護施策について(要望)

 日ごろから野鳥保護の普及啓発について、ご協力を賜り御礼申し上げます。
 去る5月26日、県知事あてに輪島市大釜地域に計画されている「門前グリーンパーク」の建設予定地に生息している多数の絶滅危惧種の保護について県の考え方ならびに環境審議会または第三者委員会等での審議を要望いたしましたが、県の担当課からの回答は今日に至ってもありません。
 また、県環境審議会(環境影響評価部会)においても(議事録;平成27年6月9日、7月30日、9月3日)、大釜地区に多数生息している絶滅危惧種の保護について、ほとんど議論されておりません。このことは県の絶滅危惧種保護の*基本指針に鑑みても、その対応はきわめて不適切であります。
 よって、県当局の絶滅危惧種の保護について、再度下記のとおり要望します。
回答は11月30日までに書面でお願いします。

1 輪島市大釜地区に確認されている「いしかわレッドデータブック」における絶滅危惧種(*特に絶滅危惧Ⅰ・Ⅱ類の動物30種、植物35種)の保護に対して、早急に会議を開催し、審議・検討してください。
2 県はいしかわレッドデータブックの基本指針を遵守し、生物多様性保護を進める立場から大釜地区の絶滅危惧種の保護について、どのような検討・議論をしてきたのか。その回数、時期、内容など示してください。
3 本年、大釜地区及び周辺地区で絶滅危惧種(絶滅危惧Ⅰ類及び準絶滅種)のミゾゴイ、ノスリの*繁殖が確認されたことについて、その保護対策は必須であり、その指導指針を示してください。

*いしかわレッドデータブックに係る絶滅危惧種保護の基本指針(2000年;県策定)
①絶滅の危機が迫っている種類を守り、②絶滅の危機にある種を救うために活動し、③その種の保全の実を挙げる。
*『門前クリーンパークの建設事業にかかる環境影響評価準備書』(株式会社門前クリーンパーク、平成25年発行)には、「石川県の絶滅のおそれのある野生生物 いしかわレッドデータブック 2009」に記載されている鳥類32種、両生・爬虫類5種、魚類1種、昆虫・クモ類22種、淡水貝類4種、海域生物10種 計74種(うち絶滅危惧Ⅰ、Ⅱ類30種)、植物は種子植物など62種(絶滅危惧Ⅰ、Ⅱ類35種)、すなわち動植物合計136種(絶滅危惧Ⅰ、Ⅱ類合計65種)が掲載されている。
*ミゾゴイ保護の進め方(2016;環境省)
*ミゾゴイ、ノスリの繁殖状況写真(添付)

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