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泡瀬干潟の埋立て事業再開留保の要請
要請文
馬淵澄夫沖縄担当大臣に対し泡瀬干潟の埋立て事業再開を留保し、
次年度予算に計上しないことを要請しました
2010年11月5日、当会は重要野鳥生息地(IBA)である泡瀬干潟の保全のため、泡瀬干潟を守る連絡会、WWFジャパン、日本自然保護協会、ラムサール・ネットワーク日本、泡瀬干潟を守る東京連絡会と連名で、馬淵澄夫内閣府沖縄担当大臣に対し、泡瀬干潟の埋立て事業再開を留保し、次年度予算に計上しないこと等を要請しました。
要請文は以下のとおりです。
2010年11月5日
内閣府沖縄担当大臣 馬淵澄夫 様
沖縄県沖縄市の「東部海浜開発事業」(土地利用計画沖縄市案)への対応についての要請
泡瀬干潟を守る連絡会 共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
連絡先 前川盛治(事務局長)
共同要請:WWFジャパン、(財)日本自然保護協会、(財)日本野鳥の会、
NPO法人/ラムサール・ネットワーク日本、泡瀬干潟を守る東京連絡会
さる8月3日、沖縄県沖縄市の東門美津子市長より提出された「東部海浜開発事業」(土地利用計画沖縄市案)に対し、前原沖縄担当相(当時)は、その場で了承し、泡瀬埋立事業を進めることを記者会見で表明しています。私たちは、このような事態の急変に、大変驚いています。
この前原前大臣の対応は、これまでの民主党の政権公約(マニフエスト)に照らしても齟齬があり、国民・県民・市民の理解が得られるとは思えません。何故そのような対応になったのか、具体的、且つ合理的に国民へ説明する責任があると思われます。そして、控訴審判決に従い「相当程度に手堅い検証」を行うために、広く国民から意見を聞き、自然環境保全の政策に生かすべきだと考えます。
さらに10月17日~29日には、日本が議長国となり生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれました。議長国の責任を果たし、生物多様性の宝庫、泡瀬干潟を守るためにも、下記を要請いたします。
ご高配をよろしくお願いいたします。
1.緊急要請
| (1) | 沖縄市案について再考し、控訴審判決に従い、再度、相当程度に手堅い精査・検証を行うために、事業再開を「保留」すること。泡瀬干潟埋立問題について、幅広く国民の意見を聞き、今後の自然環境政策に生かすこと。 |
| (2) | 次年度の概算要求に、泡瀬埋立事業の予算を計上しないこと。 |
| (3) | 環境省が、2010年9月30日、泡瀬干潟等をラムサール条約登録候補地に選定していることから、泡瀬干潟を保全し、環境省、沖縄市と登録の協議・手続きを行うこと。 |
2.明らかにして欲しいこと
| (4) | これまで行われてきた泡瀬干潟埋立事業(1区・2区)の国支出金額は、国事業費308億円の内、219億円である。新しい沖縄市案は面積が半分になったのに、新たな国建設投資額(埋立に係る費用)357億円は理解できない。詳細を明らかにすること。 |
| (5) | 沖縄市事業に対する国庫負担分125億円は、支出することを確約されているのか、明らかにすること。 |
| (6) | 沖縄県事業306億円に対する国庫負担分を明らかにすること。 |
| (7) | 国財政が厳しい時、疑問の多い事業に、国負担(予想634億円)の支出が妥当なのか、説明すること。 |
| (8) | 提出された沖縄市案を数ヶ月に渡って何度もつき返したとあるが、当初の沖縄市案のどの部分がブラッシュアップされたのか、経緯を明らかに示すこと。また沖縄県の有識者からも意見を聞いたとあるが、その有識者の氏名を公表すること。 |
以上
【参考までにこれまでの政権公約、泡瀬干潟政策、今回の決定の問題点を指摘します】
政権公約等
| 1. | 政権公約・マニフエスト: 「コンクリートから人へ・・・ 無駄な公共事業を中止する」 |
| 2. | 民主党政策集インデックス2009・環境調和型公共事業: 諫早湾干拓事業や吉野川河口堰改築事業、泡瀬干潟の干拓事業など環境負荷の大きい公共事業は、再評価による見直しや中止を徹底させます。 |
| 3. | 民主党・沖縄ビジョン(2008): 泡瀬干潟埋立事業は、特別自由貿易地域(FTZ)新港地区の浚渫土砂の受入れ場としての事業となっており、港湾事業と共に計画を見直す必要がある。現在、FTZ新港地区の分譲用地に立地している会社は僅か6社で、・・・・分譲率は僅か2.1%であり、計画は頓挫。また、干潟の保全により沖縄の海を守ることは観光振興においても不可欠の要素である。・・・「埋立事業中止」を含めて「一期中断、二期中止」など見直す。 |
政権発足直後の泡瀬干潟政策
政権発足直後の2009年9月には、前原沖縄国土交通大臣(当時)は、「(東部海浜開発事業)1区中断・2区中止」を表明し、今後は、泡瀬裁判の控訴審の結果も見ながら対応するとしていました。
そして、2010年3月の参議院沖特委では、「泡瀬埋立事業と新港地区東埠頭浚渫とはリンクさせない」「(沖縄市案が提出されたとき)経済合理性があるかどうか、厳しくチェックし対処する」と答弁されていました。
問題点
| 1. | 控訴審(2009年10月15日)は、「泡瀬干潟埋立事業に経済的な合理性はない、公金を支出するな」でしたが、判決ではまた、「新たな土地利用計画に経済的合理性があるか否かについては、従前の土地利用計画に対して加えられた批判を踏まえて、相当程度に手堅い検証を必要とする」とも指摘しています。今回の前原大臣の対応は、判決の趣旨に合いません。 |
| 2. | 8月6日の記者会見では「数ヶ月にわたって、何度も突き返し、有識者の方々からの意見を加味する中で、更なるブラシュアップをお願いした」と説明していますが、内容が明らかでなく、説明責任を果たしておりません。。 |
| 3. | 「干潟の消失面積が泡瀬干潟全体の2%未満に留まることは理解」として、環境への影響が少ないかのように評価していますが、それは誤解と思われます。1区域は、豊かな海草藻場、サンゴ群落、新種・貴重種・絶滅危惧種の生息場所であり、1区の埋立で自然環境が破壊され、周辺海域の環境が劣化していることは、日本自然保護協会、泡瀬干潟を守る連絡会等の調査でも明らかです。干潟とそれに続く浅海域(1区)が一つの生態系をなし、干潟の浄化機能、環境保全がなされていることは、科学的な常識です。環境省は、9月30日にラムサール条約登録湿地の候補地として、泡瀬干潟等全国から172箇所を選定しています。泡瀬干潟は、国際基準9の内4つの基準を満たす種の多様性の宝庫です。 |
| 4. | 提出された沖縄市案を、「需要予測や施設規模については堅めの想定がなされている、雇用や生産の面で相応の開発効果が期待されている、将来の市財政への影響も一定範囲に留まることが分析されている」と評価しているが、沖縄市案は、市民への説明も一切なく、市議会や市長選で東門氏を支えた4党との協議もなく、一方的に大臣に提出されました。地元マスコミでも「経済的合理性があるかどうかの検証がなされていない」と指摘され、県内の有識者からも経済的合理性について疑問の声が多く、肯定的な意見はありません。 |
| 5. | 国交省は、全国の103の重港湾から42港を重点港に指定する作業を進め、2010年7月末の時点で、「中城湾港」は除外で確定していました。しかし、沖縄県知事の要請で、「中城湾港」が重点港に復活しました。この経過には、普天間基地の辺野古移設とのかかわりが指摘され、疑問が抱かれています。 |
| 6. | 沖縄市案の問題点は、別紙「沖縄市案に経済的合理性の無いこと 泡瀬干潟を守る連絡会の見解 2010年9月24日」をご参照下さい。 |
やんばるの森ヘリパッド建設工事計画中止の要請
要請文
やんばるの森における防衛省による米軍ヘリパッド建設工事強行に抗議し
計画の中止を要請しました
2011年2月23日、当会はWWFジャパン、グリーンピース・ジャパン、日本自然保護協会と連名で、防衛省に対し、重要野鳥生息地(IBA)の一つであるやんばるの森において米軍ヘリパッド建設工事を強行していることに抗議し、計画を中止することを要請しました。
要請文は以下のとおりです。
2011年2月23日
生物多様性を破壊する
防衛省の米軍ヘリパッド建設工事強行に抗議し計画の中止を強く要請します
WWFジャパン、グリーンピース・ジャパン
(財)日本自然保護協会、(財)日本野鳥の会
私たち環境保護団体は、防衛省が、沖縄県東村高江の生物多様性に富む「やんばるの森」において、米軍ヘリパッド建設工事を強行していることに対し、強く抗議するとともに、建設計画の中止を要請します。
防衛省沖縄防衛局は、東村高江において、建設中止を訴える地域住民を無視し、大勢の職員、作業員を動員して住民を威圧しながら、米軍ヘリパッド建設工事に着工しました。建設現場には、ダンプカーにより大量の土嚢が運び込まれ、パワーショベルが稼働し、樹木の伐採が行われています。
計画では、無障害物帯を含めて直径75メートルの巨大な米軍ヘリパッドが6か所建設され、そこで行われる米国海兵隊の軍事演習には大型の垂直離着陸機オスプレイを使用すると伝えられています。巨大ヘリパッドの建設とオスプレイを使う軍事演習は、地球上で沖縄島にしか生息しないノグチゲラ、ヤンバルクイナなど多くの固有種、固有亜種や、さまざまな野生生物にとって大きな脅威となり、生物多様性に富む「やんばるの森」の環境を大きく悪化させることになります。さらに、高江の集落を取り囲むように建設されることから、地域住民の生活に大きな危険と不安をもたらすことになります。
那覇防衛施設局(当時)の「環境影響評価図書(2006年)」によれば、ヘリパッド建設予定地とその周辺で、4,158種にもおよぶ膨大な数の野生生物種が記録されています。そのうち12種の植物、11種の動物が地球上で沖縄島北部にのみ生育・生息する固有種・固有亜種であり、絶滅のおそれのある種が177種(環境省レッドリスト)、188種(沖縄県レッドリスト)も含まれています。また、天然記念物の生物は、国指定、県指定それぞれ8種が記録されています。
これは「学術上あるいは保全上の観点から見て、顕著で普遍的な価値をもつ、絶滅のおそれがある種を含む、生物の多様性の野生状態における保全にとって、もっとも重要な自然の生育地を含むこと」という旨の世界自然遺産の選定基準のひとつを十分に満たしており、地球規模で見て重要な自然環境、野生生物生息地であることを示しています。
一方、IUCN(国際自然保護連合)の世界自然保護会議(アンマン2000年、バンコク2004年)では、沖縄島「やんばるの森」にのみ生息するノグチゲラ・ヤンバルクイナとその生息場所の保全を日米両政府に勧告しています。日本政府には、生物多様性と絶滅のおそれのある種の保全計画を作成すること、自然遺産への指名を検討すること、保護区を設置すること、ヘリパッドを造らない選択(ゼロ・オプション)を含む環境アセスメントを実施すること、米国政府に対しては、米軍の環境管理基準をもとに野生生物保護の観点から日本政府と協議すること、日本政府の環境アセスメントに協力することを勧告しているのです。日米両政府は、両国ともに加盟している国際機関であるIUCNの勧告を遵守するべきです。
また、2010年10月に名古屋で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議」では、日本が議長国を務め、生物多様性のための戦略計画である「愛知ターゲット」が採択されました。愛知ターゲットでは、2020年までに「生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施する」ことを、ミッション(使命)として掲げています。しかし、東村高江における米軍ヘリパッド建設は、このミッションに大きく反するものであり、地球の生物多様性を率先して保全する義務を負う議長国としての責任を放棄するものと言わざるを得ません。
米軍ヘリパッドの建設工事を強行することは、固有種、固有亜種を含む多様な野生生物に悪影響をおよぼし、世界自然遺産の価値がある「やんばるの森」の豊かな生物多様性に大きな脅威を与えることになります。また、人口約160人、そのうち中学生以下が約20人の小さな集落である高江の住民を軍用機の爆音や墜落の危険にさらすことになります。
政府は、世界自然遺産の候補地となり得る「やんばるの森」の生物多様性保全と持続可能な利用を重視し、また、地域住民の安全で安心な生活を保障するために、高江における米軍ヘリパッド建設計画を中止するべきです。
辺野古への基地建設に反対する共同声明
共同声明
辺野古への基地建設に強く反対します
「くい打ち桟橋方式」も豊かな海の生物多様性を破壊します
米軍普天間飛行場移設先について、政府は名護市辺野古沖の浅瀬に「くい打ち桟橋方式(QIP)」で新基地を建設し、奄美諸島徳之島や各地の自衛隊基地へも訓練を移転する計画を立てていると報道されています。
辺野古沖の浅瀬には沖縄島では最大の海草藻場があり、外洋に面して連続したサンゴ礁が発達しています。また、深く切れ込んだ大浦湾には巨大なアオサンゴやユビエダハマサンゴの群集があり、嘉陽の沖にも藻場とサンゴ礁が連なっています。
これらの海域では、海底の泥のなかから新種のエビ・カニ類が多数発見され、クマノミ類などの魚類も多く、島や岩礁ではアジサシ類が繁殖しています。さらに、絶滅危惧種ジュゴンにとって重要な生息場所となっており、特に辺野古の藻場は、絶滅を回避するための重要な採食場所として確保する必要があります。このように、辺野古、大浦湾、嘉陽の海域は、まさに生物多様性のホット・スポットになっています。
しかし、「くい打ち桟橋方式」による新基地の建設は、数千本の杭打ちによって海底の環境を攪乱し、また、上部構造物の滑走路等によって太陽光が遮断されることから、海草やサンゴは生育できなくなります。さらに、数千本の杭は潮の流れを阻害し、辺野古だけでなく大浦湾や嘉陽の海域にも悪影響を及ぼすことが心配されます。また、杭や上部構造物のメンテナンスのために使用される塗料や薬剤が海域の汚染を引き起こす可能性もあります。このように「くい打ち桟橋方式」は、埋立方式と比べて環境への影響が小さいとは考えられず、同等かそれ以上と予想されます。さらに、新基地での軍事演習は、騒音や墜落の危険など、地域住民の生活に大きな不安を与えることになります。
普天間飛行場移設先は、1997年の辺野古海上ヘリポート案から二転三転し、昨年の政権交代によって、辺野古等の沖縄県内には造らないことが約束されながら、多くの県民や国民の世論にも反して再び辺野古に戻るという迷走状態になっています。これでは民主主義が守られているということはできません。
私たちは、政府が約束を守り、辺野古をはじめとして沖縄県内には新たな基地を造らない、また、県外でも住民が反対するところには移転しない方針を確立するように強く訴えます。
2010年は国連の国際生物多様性年であり、IUCN(国際自然保護連合)は2010年には特にジュゴンの保護に取り組むべきと決議しています。第10回生物多様性条約締約国会議(名古屋)から第11回会議までの2年間、日本政府は議長国を務めることになっており、地球の生物多様性保全に大きな責任と義務を負っています。このような時代に軍事基地建設を強行するべきではありません。
政府が豊かな海の生物多様性を破壊する新基地建設計画を断念することを強く求めます。
2010年5月14日
賛同団体
JUCONネットワーク、グリーンピース・ジャパン、ピースボート、WWFジャパン、(財)日本自然保護協会、(財)日本野鳥の会、沖縄環境ネットワーク、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、高江「ヘリパッドいらない」住民の会、ヘリ基地いらない二見以北十区の会、ラムサール・ネットワーク日本、ジュゴン保護キャンペーンセンター、北限のジュゴンを見守る会、セイピースプロジェクト、許すな!憲法改悪・市民連絡会、日本環境法律家連盟(JELF)、「自然の権利」基金、基地のない平和で豊か沖縄をめざす会大阪、エルザ自然保護の会、ピース・フィロソフィー・センター、広島フィールドミュージアム、環瀬戸内海会議、日本湿地ネットワーク、ピースリンク広島・呉・岩国、アツモリソウ救援隊、東京YWCA「月桃の会」、平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声、徳山ダム建設中止を求める会、市民自治を創る会、護憲ネットワーク、おんな9条の会ほっかいどう、海の生き物を守る会、福島老朽原発を考える会、空と海の放射能汚染を心配する市民の会、リサイクルグループ・カリーナ、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、千葉県自然保護連合、環境共育を考える会、国民救援会枚方・交野支部、ウエットランドフォーラム、藤前干潟を守る会、みん宿ヤポネシア、NPO BIO de BIO、ピースサイクル全国ネットワーク、CBD市民ネット・生物多様性法制度部会、ツキノワの会~人と野生動物との共存を考える~、ピース・ニュース、三浦・三戸自然環境保全連絡会、うちなんちゅの怒りとともに!三多摩市民の会、横浜南部九条の会、すなめりの会、生物多様性JAPAN、全石油昭和シェル労働組合、DAYS JAPANサポーターズクラブ名古屋、沖縄について考え・連帯する「命どぅ宝」の会、あとりゑ・クレール、サーフライダー・ファウンデーション・ジャパン、アジア太平洋資料センター、ナマケモノ倶楽部、憲法ひろば・杉並福岡地区合同労働組合、憲法9条・メッセージ・プロジェクト(K9MP)、六条潟と三河湾を守る会、千葉の干潟を守る会、ジュゴンネットワーク沖縄、じゅごんの里、環境行政改革フォーラム
合計67団体、個人賛同25名
この件に関する問合せ先
JUCONネットワーク事務局(「自然の権利」基金/JELF気付))
E-mail: [email protected] ブログ: http://jucon.exblog.jp/
洋上風力発電が野鳥に与える影響について学んだ英国視察訪問
自然保護室 浦 達也
日本では、洋上風力発電が近く国内でも普及、発展すると予想されます。特に3月の大震災以降は大きな注目を集めており、政府による実証事業の結果を待たずして、すでに民間事業者が鳥取県や山口県沖で、本格的な沖合洋上風力発電では国内初となる建設計画を進めています。しかし、日本では海鳥の分布や生息状況などで不明な部分が多く、また洋上風力発電の設置が野鳥に与える影響の知見は皆無です。このままでは、それらの知見を把握できないまま国内で洋上風力発電が導入、推進される恐れがあると考えます。そこで私たちは地球環境基金の助成の下、洋上風力発電施設が鳥類に与える影響の情報を収集するため、先行事例が豊富な英国へ視察訪問に出かけることにしました。
- 期間:2011年1月21日~27日
- 訪問先と面談者:
(BirdLife International)Dr. Lincoln Fishpool、Ben Lascelles、Robert Munroe、Beverley Childs、Phil Taylor、Peter Hendley、Hazell Shokellu Thompson
(英国鳥類保護協会:RSPB)Dr. Rowena Langston、Barrie Cooper、Dr. Sharon Thompson、Dr. Benedict Gove、Dr. Steffen Oppel、Irene Sabiniarz
(Minsmere自然保護区)Adam Rowlands(RSPB)
(Scroby Sands洋上風力発電所)Susan Rendell-Read(RSPB)
21日はBLI本部を訪問し、IBAs、Marine IBAsと洋上風力発電、気候変動対策と風力発電および野鳥保護についてお話を伺いました。その中で特に印象に残ったお話は、「アジサシ類の繁殖コロニーから半径5km以内で洋上風力発電を建設すると、その繁殖に影響を与えることが分かっている。」、「風力発電建設にあたっての野鳥への影響評価において重要なのは、個々の鳥への影響よりも、累積的な影響を考慮することである。」でした。訪問時はBeverleyさんがとても親切にしてくださり、居心地よくしてくださいました。機会があればぜひ、再び訪問したいと思います。
22日はMinsmere自然保護区へ訪問しAdamさんから、イングランド地方で陸上風車がそれほど建たず洋上に進出していった理由、周辺海域の海鳥の状況、RSPB-事業者-政府の関係などについてお話を伺いました。
23日はScroby Sandsに行って実際の洋上風力発電を観て、Susanさんから風車の建設がアジサシの繁殖に悪影響を与えた事例、砂の流れが変わってしまったことを伺いました。
24~25日はRSPBを訪問し、Marine IBAs、環境教育、海洋と沿岸の政策(Marine and Coastal Policy)、バイオエネルギーと野鳥保護についてお話を伺い、そしてRowenaさんからは洋上風力発電が野鳥に与える影響について、スライドを交えながらレクチャーを受けました。その中では、アビやクロガモが生息地放棄を起してしまうこと、多数のアジサシが風車に衝突死したこと、ガン・カモ類は障壁効果が生じることを学びました。
その他にNorfolk州北部事務所、Renewable UK、The Crown Estateも訪問し、英国での洋上風力発電の状況や許認可手続き、実際に行われている環境影響調査の方法などについても学びました。そして、全体としては当初の目的どおりの成果が得られる視察となりました。今回の視察訪問で得た成果を活かし、今後の活動につなげていけるように頑張ります。

Scroby sandsにてSuzanさんからお話を聞いているところ

スクロービィ・サンズ洋上風力発電所。この日も冬の英国東部海岸ではよくある霧の日であり、
2.5km先の洋上風車ははっきりとは見えなかった。このような天候の時に、鳥類の衝突事故が起こる危険性が高まる。

RSPBにてRowena氏からお話を聞いているところ
★視察の結果について詳しい報告は、野鳥保護資料集第28集の7章に掲載されています。
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沖縄県内の重要生息地:泡瀬干潟、沖縄島沿岸離島ほか
野鳥誌掲載記事
要望書・声明
- 泡瀬干潟・浅海域埋立工事の中止を要請しました(2011年11月10日)
- 「東北の海辺の保全と泡瀬干潟埋立事業に対する要望」を菅総理、枝野内閣府特命担当相、大畠国交相宛に提出しました(2011年4月25日)
- やんばるの森における防衛省による米軍ヘリパッド建設工事強行に抗議し計画の中止を要請しました
(2011年2月23日) - 馬淵澄夫沖縄担当大臣に対し泡瀬干潟の埋立て事業再開を留保し、次年度予算に計上しないことを要請しました
(2010年11月5日) - 辺野古への基地建設に反対する共同声明を公表しました(2010年5月14日)
- 要望書01(PDF)
- 要望書02(PDF)
- 要望書03(PDF)
氷川河口・九州新幹線架橋計画
氷川河口・九州新幹線架橋計画
野鳥誌掲載記事
要望書
土地改良事業完工式典に際して有明海および諫早湾の自然と漁場の再生を求める声明
2007年11月20日
有明海および諫早湾の自然と漁場の再生を求める
-土地改良事業完工式典に際して-
WWFジャパン・(財)日本野鳥の会・(財)日本自然保護協会
2007年11月20日に,国営諫早湾土地改良事業完工記念式典が行われる.
この干拓事業は1986年に事業着手され,1997年には潮受け堤防によって,3,550ヘクタールの浅海域が閉め切られた.その結果,日本最大の諫早干潟と底生動物,渡り鳥など多くの野生生物が姿を消し,有明海の潮流・潮汐が弱まり,赤潮や貧酸素水塊の発生規模が大きくなり頻度も高まった.このような環境悪化により,有明海の漁業が重大な悪影響を受けている.環境悪化と干拓事業の因果関係は,多くの研究論文等で指摘されているにも関わらず,有明海・八代海総合評価委員会ではそれを踏まえた検討がなされずにきた.
土地改良事業が終わり,完工式典を催しても,潮受け堤防が海水の導入を阻んでいる限り,富栄養化した調整池からの排水は,諫早湾,有明海を汚し続け,自然環境と漁場に悪影響をおよぼし続ける.今後,水質の悪化した調整池は,長崎県や諫早市にとって,大きな負の遺産になるであろう.それは,八郎湖や児島湖などの干拓事業の前例に照らしても明らかである.
有明海,諫早湾は,広大な干潟と多様性に富む生物相を有し,宝の海と呼ばれるほどの豊かな漁場であった.今でも多くの漁業者が苦しみながらも漁を営み生計を立てている.渡り鳥が群れ飛ぶ干潟や魚湧く豊かな海を取りもどすためには,潮受け堤防の水門を開放し,海水を導入することが不可欠である.海水導入によって調整池の水質は改善され,潮流・潮汐の回復も見込まれ,干潟の再生も可能となる.
今月末には閣議決定される「第三次生物多様性国家戦略」では,平成24年までに藻場・干潟の保全・再生の整備を5千ha実施することが具体的施策であげられているにも関わらず,干拓事業が見直されないことは国策上も大きな矛盾である.
私たちは,宝の海を取りもどすために,潮受け堤防の水門を開放し,将来には撤去も含め,諫早干潟と有明海を再生するための政策が実現されることを求める.
以上
この件に関する問い合わせ先
花輪伸一:
WWF ジャパン自然保護室
〒105-0014東京都港区芝3-1-14
TEL.03-3769-1713, FAX.03-3769-1717
古南幸弘:
(財)日本野鳥の会自然保護室
〒141-0031東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL.03-5436-2633, FAX.03-5436-2635
大野正人:
(財)日本自然保護協会
〒104-0033104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
TEL.03-3553-4103, FAX.03-3553-0139
諫早干潟再生に向けて
諫早(いさはや)湾は有明海の一部をなす面積6,500ヘクタールの湾で、かつては日本で最大のシギ・チドリ類の渡来数を誇る、豊かで広大な干潟と浅海を抱えていました。多様性に富む生物相を有し、漁民から「宝の海」と呼ばれる有明海の豊かな漁場の一部をなし、有明海の「子宮」と称され魚貝類の生まれ育つ場でもありました。
しかし、1986年に着手された「諫早湾干拓事業」により、有明海と切り離す工事が進み、1997年4月14日には潮受堤防によって、3,550ヘクタールの浅海域が閉め切られました。その結果、日本最大の諫早干潟とそこに住んでいた底生動物、渡り鳥等多くの野生生物が姿を消し、また有明海の潮流・潮汐が弱まったことにより、赤潮や貧酸素水塊の発生等といった環境悪化を招き、有明海の漁業にも重大な悪影響を与えています。
当会は、潮受堤防の水門を開放し、有明海から湾内に海水を再び導入することで、調整池の水質を改善し、潮の干満と潮流を回復されることを求めています。このことにより、諫早湾と有明海の生物多様性を、渡り鳥が群れ飛ぶ干潟や魚湧く豊かな海をとり戻すことを目指しています。
12月15日、菅直人総理は諫早湾干拓事業についての開門訴訟の福岡高裁判決の受け入れを表明。12月21日期限の上告を見送ったため、5年間の開門を命じた判決が確定しました。
1997年4月14日に全長7kmの潮受け堤防により、諫早湾が有明海と切り離されて13年と8ヶ月。ついに、当会等が求めていた、諫早湾と有明海の生態系の回復をめざして潮受け堤防の排水門を開け、諫早湾に潮を通すことが確定しました。これは同時に、環境を破壊する公共事業を見直し、生物多様性を取り戻すための決定が、政府の手によりなされたことも意味します。
当会は政府のこの大英断を歓迎するとともに、関係者のすでに干拓地で行われている農業活動等にできるだけ影響の出ないよう留意しながら、速やかに開門調査が実行されることを期待します。
2010年12月14日
諫早湾干拓の「開門」による有明海の生物多様性の回復を求める緊急共同声明を内閣総理大臣宛に提出しました(PDFファイル、110KB)
2010年5月24日
諫早湾干拓事業潮受堤防排水門の早期開門を求める共同声明を公表しました(PDFファイル、122kB)
2007年11月20日
土地改良事業完工式典に際して有明海および諫早湾の自然と漁場の再生を求める声明を公表しました
2005年1月13日
諫早湾干拓工事差し止め仮処分命令に関する国の異議申立て却下へのコメントを表明しました。(PDFファイル、123kB)

海を分断する7㎞の潮受け堤防。潮の干満と潮流、生き物の往来を断ち切り、淡水湖となった諫早湾(右)と有明海(左)の自然に大きな影響を出し続けている。左奥の山は雲仙普賢岳。(写真:菅波完)

潮受け堤防閉切り前の広大な諫早干潟に飛来したハマシギ等の大群。諫早湾はかつて、シギ・チドリ類の飛来数日本一を誇る豊かな干潟を擁していた(写真提供 日本野鳥の会長崎)

潮受け堤防と排水門。手前の有明海には赤潮が発生し甚大な漁業被害が発生した(2007年9月3日)
野鳥誌掲載記事
要望書など
関連ホームページ
- 日本野鳥の会 長崎県支部
- いさはやひがたネット
(諫早干潟緊急救済本部と諫早干潟緊急救済東京事務所が作成しているページ) - ラムサール・ネットワーク日本
- 有明海漁民・市民ネットワーク(ブログ)
- ノリ不作等第三者委員会(水産庁)
三池島の鳥類とその生息環境の保全について(要望)
平成18年10月31日
大牟田市長
古賀 道雄 様
(財)日本野鳥の会
会長 柳生 博
日本野鳥の会 筑後支部
支部長 松富士 将和
日本野鳥の会 熊本県支部
支部長 高野 茂樹
平素より、大牟田市の自然環境保護に御尽力されていることに敬意を表します。
さて先般、貴市が三井鉱山株式会社から、有明海上の「人工島三池島」(以下、三池島)の無償譲渡の打診を受けているとの報道を拝見しました(西日本新聞2006年8月29日夕刊ほか)。三池島は現在、絶滅のおそれのある野鳥の繁殖する、貴重な生息地となっております。
つきましては、貴市が三井鉱山より譲渡を受け、その保護について特段の御配慮を賜りますよう、要望いたします。
(理由)
三池島は現在、環境省の2002年版レッドデータブック(「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物」)で絶滅危惧II類に指定されているコアジサシと、準絶滅危惧に指定されているベニアジサシの貴重な繁殖地となっています。1994年に初めて両種の繁殖が確認されて以来、私どもは、三池島を野鳥の保護上、重要な場所と認識し、山階鳥類研究所とも連携して調査活動を行ない、その結果に基づいて保護のお願いや生息地改善の実践活動をして参りました。
特にベニアジサシについては、日本における繁殖の北限地であることが判明しており、科学的にも重要な場所であると考えられます。2001年1月には、三池島で私どもが標識、放鳥したベニアジサシ1羽が、沖縄で放鳥された18羽とともに、約6,500kmも離れたオーストラリアのグレート・バリアリーフ付近で冬を越しているのが発見されました。この発見に基づき、本年5月に中国・上海市で行われた日豪渡り鳥等保護協定会議において、ベニアジサシを新たに日豪渡り鳥保護協定の付表に加える方針が再確認されています。今年度も約640羽の飛来を確認しました。
このように、三池島は、絶滅のおそれのあるこれらの渡り鳥の繁殖地として、全国レベルで貴重な場所であると考えられます。私どもとしても、今後もより積極的に調査、保護活動への協力、支援を行う所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上
平成18年10月31日
大牟田市議会議長
藤田 次夫 様
(財)日本野鳥の会
会長 柳生 博
日本野鳥の会 筑後支部
支部長 松富士 将和
日本野鳥の会 熊本県支部
支部長 高野 茂樹
平素より、大牟田市の自然環境保護に御尽力されていることに敬意を表します。
さて先般、貴市が三井鉱山株式会社から、有明海上の「人工島三池島」(以下、三池島)の無償譲渡の打診を受けているとの報道を拝見しました(西日本新聞2006年8月29日夕刊ほか)。三池島は現在、絶滅のおそれのある野鳥の繁殖する、貴重な生息地となっております。
つきましては、貴市が三井鉱山より譲渡を受け、その保護について特段の御配慮を賜りますよう、要望いたします。
(理由)
三池島は現在、環境省の2002年版レッドデータブック(「改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物」)で絶滅危惧II類に指定されているコアジサシと、準絶滅危惧に指定されているベニアジサシの貴重な繁殖地となっています。1994年に初めて両種の繁殖が確認されて以来、私どもは、三池島を野鳥の保護上、重要な場所と認識し、山階鳥類研究所とも連携して調査活動を行ない、その結果に基づいて保護のお願いや生息地改善の実践活動をして参りました。
特にベニアジサシについては、日本における繁殖の北限地であることが判明しており、科学的にも重要な場所であると考えられます。2001年1月には、三池島で私どもが標識、放鳥したベニアジサシ1羽が、沖縄で放鳥された18羽とともに、約6,500kmも離れたオーストラリアのグレート・バリアリーフ付近で冬を越しているのが発見されました。この発見に基づき、本年5月に中国・上海市で行われた日豪渡り鳥等保護協定会議において、ベニアジサシを新たに日豪渡り鳥保護協定の付表に加える方針が再確認されています。今年度も約640羽の飛来を確認しました。
このように、三池島は、絶滅のおそれのあるこれらの渡り鳥の繁殖地として、全国レベルで貴重な場所であると考えられます。私どもとしても、今後もより積極的に調査、保護活動への協力、支援を行う所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上
以下は要望書提出に際し行なったプレスリリース(頭書き)

三池島
要望書
- 三池島の鳥類とその生息環境の保全について(要望)
大牟田市長宛 2006年10月31日付
大牟田市議会議長宛 2006年10月31日付







