事業報告・決算概要(事業報告2025(令和7)年度)

会長挨拶―「野鳥保護から築く持続可能な社会 全文を読む

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※『野鳥』誌2026年7・8月号より抜粋

事業報告2025(令和7)年度(PDF:2MB)

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2025年度事業を振り返って2025年度決算のご報告

2025年度事業を振り返って

初代会長である中西悟堂が1934(昭和9)年に創立して以来、当会は全国に広がる連携団体〈支部〉(以下、「支部」という)や会員、支援者に支えられ、また、他の団体、企業、行政と力をあわせて、「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、人と自然が共存する未来を目指して活動してまいりました。ご支援、ご協力いただいたたくさんの皆さまに、心よりお礼申し上げます。

2025年度も全国85の支部と協働しながら、野鳥を中心にした生物多様性の保全活動や政策提言、野鳥や自然を愛する活動を広げるための普及活動等に取り組むことができました。以下に、その成果を報告します。

日本野鳥の会理事長 遠藤孝一

日本野鳥の会理事長 遠藤孝一

1958年生まれ。当会理事長。日本野鳥の会栃木県支部支部長、NPO法人オオタカ保護基金代表。長年、栃木県を中心に自然保護や環境教育、猛禽類の保護や研究に取り組む。現在、里山で生きものを育む農林業を営みながら「サシバの里自然学校」を運営。
著書に、『オオタカの生態と保全』(共編著、日本森林技術協会)、『日本のタカ学』(分担執筆、東京大学出版会)など

自然保護事業

絶滅のおそれのある種の保護については、タンチョウ(湿原)、シマフクロウ(森林)、カンムリウミスズメ(海洋)、チュウヒ(原野)を取り上げ、各種の保護事業を積極的に展開しました。また、クロツラヘラサギに関する情報収集やマナヅル、ナベヅルの越冬地分散事業、アカコッコやオオジシギの保護活動も継続し、シマアオジの東南アジアにおける越冬調査やサシバの渡りルート解明にも協力しました。


チュウヒが舞う原風景を永遠に

特にチュウヒについては、北海道のサロベツ原野と勇払原野において、チュウヒの繁殖状況や生息環境の把握に努めるとともに、イギリスにあるヨーロッパチュウヒが繁殖する複数の保護区を視察訪問し、環境の創出や維持管理の手法など保護施策立案のための基礎情報を収集しました。また、風力発電や大規模太陽光発電等が、立地によっては野鳥の衝突事故や生息環境の消失につながることから、自然エネルギーの問題へも引きつづき取り組みました。環境省等による7件の各種検討委員会や衆議院環境委員会に出席し、専門的見地から意見を述べるとともに、問題のある自然エネルギー発電事業計画に対しては13件の意見書及び要望書を支部等と連名で提出しました。なお、タンチョウやチュウヒの生息に大きな影響を与えることが危惧された(仮称)苫東厚真風力発電事業の計画については、当会や支部、地域の関係団体等との連携が実り、中止が決定しました。

「プラスチック汚染から海鳥をまもろう」プロジェクト
海洋プラスチックごみ問題の特設ページ

海鳥への影響が懸念される海洋プラスチックごみの問題については、使い捨てプラスチックの削減や持続可能な社会の実現に向けて普及啓発するために、一般向けオンラインセミナーを3回開催し1500名の参加がありました。さらに、プラスチックの削減に向けて実効性がある法制度を整備できるように、関係団体とともに政府へ政策提言を行ったほか、IUCNの世界自然保護会議に参加して、「人間の健康、生物多様性、自然環境を守るために、プラスチック汚染に終止符を打つための行動を推進する」動議を提案し、採択されました。

市民科学としての野鳥観察の促進とデータの活用を進めるためにコーネル大学と共同で運営している「eBirdJapan」については、参加者拡大のために愛鳥週間やバードウォッチングウィーク、GlobalBigDayに、キャンペーンやイベントを行うとともに、11月8日には同大学の研究員の来日に合わせて、ワークショップ「eBirdのデータ解析と保全・科学研究への活用」を開催しました。こうした普及活動を通じて、eBirdの国内の利用者は1万2千人に達しました。

普及事業

野鳥や自然の素晴らしさやその大切さを広める普及活動は、自然保護活動とともに重要な活動です。その活動の中心は、全国各地の支部によって開催されている探鳥会です。今年度の全国の探鳥会の年間参加者は昨年度よりも増えて約7万人になり、ほぼコロナ禍前の水準に戻りました。なお、その探鳥会のリーダー養成に活用する「探鳥会リーダー養成テキスト」を発行しました。今後は、このテキストを活用して、リーダー育成を推進・支援していく予定です。

ツバメを題材とした人と野鳥が共存する社会づくりを提案する事業では、ねぐらマップのオンライン化新パンフレット「おやすみツバメ」を発行。加えて、ツバメの巣を見守る20都府県の32の企業・団体に対して感謝状を贈呈しました。この模様は全国6のメディアで報道され、当会のPRにも貢献しました。

新規パンフレット「超独断!バードウォッチングカレンダー」をはじめ、野鳥に関する小冊子を3万5千部配布するとともに、野生動物との関わり方について考える「野鳥の子育て応援(ヒナを拾わないで!)」キャンペーンを、日本鳥類保護連盟や野生動物救護獣医師協会とともに継続し、ポスターを11万枚制作して全国に配布しました。

また、近年ではオンラインイベントも人気があり、財団主催で開催した25回の講座には、年間で約2万5千人が参加されました。

財政

当会は国や地方自治体からの補助金等に依存せず、運営財源を会費や寄付金、受託事業や収益事業として行う物販事業による収入によってまかなっているNGO(非政府組織)です。

下図に示すように、2025年度について年間約6億6千万円規模の自然保護及び普及事業といった公益的な活動を行いました。これらの活動費は、①入会金及び会費、②寄付及び寄付を特定資産化した資産の取崩収入、③受託収入等の自然保護・普及事業収入、④収益事業からの繰入金、の4つのおもな財源からまかなっています。

2025年度は、会員からの会費が約1億8百万円、支援者からいただいたご遺贈やご寄付は約4億3千8百万円にのぼりました。収益事業からの繰入金も2千1百万円となり、それぞれの収入が当会の公益的な活動を支える大きな財源となっております。

今後も、こうした皆さまからの負託に応えられるよう、野鳥を通して自然に親しみ自然を守る運動を推進してまいります。引きつづきご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

2025年度決算のご報告

この決算報告では、当会の「公益活動に関する決算数値」を、支援者の皆さまにわかりやすいよう、一部集計し直しております。事業報告・決算をご覧ください。

事業活動収入

2025(令和7)年度決算の事業活動収入合計額は、9億4,868万円でした。入会金及び会費は前年度比で微減、ご遺贈や大口寄付を含むご寄付による支援を沢山いただきました。
また当会収入を物品購入で支えていただく方も多く、収益事業による公益事業繰入金が2,000万円を越えました。
※特定資産取崩収入は、特定の目的のための積立資産(主に過年度のご寄付)を、目的に沿って支出するために取り崩したものです。

事業活動収入計948,677千円(100%)の内訳を示す円グラフ。入会金及び会費107,625千円(11%)。寄付437,643千円(46%)。特定資産取崩収入※157,942千円(17%)。自然保護事業収入179,040千円(19%)。普及事業収入31,464千円(3%)。収益事業からの繰入金20,678千円(2%)。補助金3,970千円(1%)。その他10,315千円(1%)。

自然保護事業収入内訳
絶滅危惧種の保護活動 2,564千円 1%
野鳥生息地の保護・保全活動 25,722千円 14%
直営サンクチュアリ・受託施設を拠点とする地域の自然環境保全活動 150,754千円 85%
合計 179,040千円

事業活動支出

事業活動支出の合計額は、9億1,270万円でした。希少種やその生息地を守る自然保護活動、各施設やオンラインも活用した普及活動等を継続的に展開いたしました。
今年度いただいた多額のご寄付の一部は、次年度以降の資産として積み立てております。
※特定資産取得支出は、次年度以降特定の目的のために使用する資産を積み立てたものです。

事業活動支出計912,696千円(100%)の内訳を示す円グラフ。自然保護事業420,717千円(46%)。普及事業241,421千円(26%)。特定資産取得支出※217,113千円(24%)。固定資産取得支出4,150千円(1%)。管理費29,295千円(3%)。

自然保護事業内訳
絶滅危惧種の保護活動 56,682千円 13%
野鳥生息地の保護・保全活動 130,614千円 31%
直営サンクチュアリ・受託施設を拠点とする地域の自然環境保全活動 233,421千円 55%
合計 420,717千円
普及事業内訳
普及・教育・啓発活動 218,764千円 91%
広報・出版活動 19,490千円 8%
その他 3,167千円 1%
合計 241,421千円

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