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当会の取り組み(事業報告2025(令和7)年度)
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※『野鳥』誌2026年7・8月号より抜粋
自然保護事業
自然エネルギー対策事業

風力発電施設による”障壁影響調査”のようす
2025年度も、2023年度から継続して、北海道北部に建設された複数の風力発電施設で、ガン・ハクチョウ類、海ワシ類の鳥類が渡り時に風車を避けて飛ぶ、”障壁影響調査”を春(3・4月)と秋( 10・11月)に実施しました。
また、オジロワシやオオワシの衝突死が頻発する北海道北部の浜里ウインドファームを運営する事業者に対して、協議会を立ち上げて専門家等と協議のうえでより厳しい保全措置を講ずることを求めました。
連携団体(支部)の皆さんと協力し、意見書・要望書をのべ13件提出し、rgy/行政機関が主催する各種検討会に委員として参加し、政策提言を行いました。
関連リンク:自然エネルギーとの共生、北海道・浜里ウインドファームで再発生したオオワシの衝突事故について
チュウヒ保護護プロジェクト

英国王立鳥類保護協会などが運営する野鳥保護区を訪問
6月に英国王立鳥類保護協会(RSPB)などが運営する野鳥保護区ほか10か所を訪問し、チュウヒの近縁種であるヨーロッパチュウヒの繁殖環境の創出方法を学びました。湿地環境を維持していくこと、そのためには保護区内の土壌水分管理が重要なこと、定期的なヨシ刈り、家畜の放牧による植生管理や捕食動物対策の必要性などについて、多くのことを学べました。
勇払原野で計画されていた風力発電事業は、8月に中止の発表がありました。本計画地には、チュウヒをはじめとする希少鳥類の重要な繁殖地が残っており、当会は、計画発表当初から地域の保護団体などと協力し、要望書提出や勉強会などを通じ、中止を訴えてきました。
関連リンク:チュウヒの保全に向けた調査、(仮称)苫東厚真風力発電事業の中止と当会が目指す社会
ツル越冬地分散事業
気候変動対策や2024年度に発生したコメ不足などのため、農業政策が大きく変わりつつあります。ツル類は収穫後の水田で越冬するので、その影響を受けることが予想され、対策を検討するための調査や行政への働きかけを行いました。また、愛媛県西予市や熊本県玉名市での地域の取り組みに参画しました。
関連リンク:ナベヅル・マナヅルの越冬地保全の取り組み
重要生態系監視地域 モニタリング推進事業(モニタリングサイト1000)

重要生態系監視地域モニタリング推進事業の現地での調査研修会のようす
2025年度は第5期(2023~2027年)の3年目にあたり、コアサイトでは繁殖期19か所、越冬期12か所、準コアサイトでは繁殖期7か所、越冬期5か所、一般サイトでは繁殖期77か所、越冬期53か所で調査を実施しました。コアサイトの与那サイト(沖縄島)で越冬期のホントウアカヒゲの個体数が減少していること、一般サイトでは、越冬期の森林環境でアオジの減少傾向が確認されました。また、調査結果の発表と普及、調査員獲得のため、日本鳥学会2025年度大会で自由集会とポスター発表を行いました。そのほかに、新しい調査員の確保と調査員の交流、情報交換を目的に調査研修・交流会を現地で1回、オンラインで1回行いました。
関連リンク:モニタリングサイト1000(森林・草原) 陸生鳥類調査
eBirdの運営と利用促進

ワークショップ「世界最大の市民科学プロジェクトeBirdのデータ解析と、保全・科学研究への活用」のようす
世界最大の市民科学プロジェクトeBirdの日本語版を運営し、eBirdへの参加とデータの活用を促進するためのセミナーやキャンペーンを実施しました。愛鳥週間にはeBird台湾チームと初めて協働し、日本と台湾で見られるヤマガラの仲間の観察情報の投稿を呼びかけました。11月8日には立教大学で、コーネル大学鳥類学研究室の専門スタッフを講師に、eBirdに蓄積されたデータの解析方法と、科学研究や保全への具体的な活用事例を紹介するワークショップを実施し、学生や研究者を中心に多くの参加がありました。こうした活動を通じて、eBirdの国内の利用者は約1万2000人、チェックリストの投稿数は約35万件に達しました。
関連リンク:eBird Japan、これを読めばわかる!eBird&Merlinの使い方
海洋プラスチック対策事業
プラスチック汚染の問題を多くの方に知ってもらうため、オンラインセミナーを3回開催し、アーカイブ視聴を含め1500名の参加がありました。また、海の日にあわせて、映画「マイクロプラスチック・ストーリー」の配信と上映会を行い、オンライン配信577名、都立東京港野鳥公園での上映会に27名、佐竹監督の座談会には親子を中心に30組の参加がありました。そのほか、各サンクチュアリでの展示や、ごみ拾いと野鳥観察を合わせた「クリーンアップ探鳥会」を財団主催および支部に呼びかけて実施しました。
政策提言では、プラスチック条約の政府間交渉委員会に向けて政府と意見交換を行ったほか、国際自然保護連合(IUCN)の世界自然保護会議では、プラスチック汚染への行動を呼びかける動議(動議059「人間の健康、生物多様性、自然環境を守るために、プラスチック汚染に終止符を打つための行動を推進する」)を提出し、採択されました。そのほか、大学との共同研究でオーストンウミツバメの汚染状況を明らかにしたほか、それをもとに政策提言活動などに活かしました。

IUCNの世界自然保護会議での交渉のようす。動議を提出し、採択された

根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターでは、根室市地域おこし協力隊主催の海洋プラスチックに関する企画展に、展示物や情報提供で協力
関連リンク:海洋プラスチックごみから、海鳥を守ろう、世界自然保護会議で、プラスチック汚染への行動を呼びかける動議が採択されました
タンチョウ保護事業

学生ボランティアと冬期自然採食地を整備するようす
2026年3月に、タンチョウのレッドリストのランクが準絶滅危惧(NT)に下がり、「絶滅危惧種」ではなくなりました。個体数が回復し、生息域も拡大してきたため、今回の評価に至りました。絶滅したと考えられていた野鳥がここまで回復できたのは、地域の方から始まり、行政、当会や他団体による保護活動、そして支援者の皆さんの応援があってこそです。
しかし、まだ多くの課題が残っており、その一つである「給餌に頼らない越冬」をクリアしていくため、冬期自然採食地整備や餌資源量調査をボランティアの方々と実施しました。タンチョウが「普通種」として人と共生できる社会を目指し、活動をつづけていきます。
関連リンク:タンチョウ保護の取り組み
カンムリウミスズメ保護事業

カンムリウミスズメの人工巣を設置(烏帽子島は長崎大学、北九州市立いのちのたび博物館と共同で実施)
カンムリウミスズメの繁殖地である神子元島(静岡県)と烏帽子島(福岡県)で、人工巣の設置と利用確認調査を行いました。両島で人工巣を使った繁殖が確認されました。神子元島では約半数の巣箱が利用されるようになり、繁殖個体数の増加が示唆されました。繁殖地周辺の利用状況を明らかにするために、GPSロガーをカンムリウミスズメに装着する調査を神子元島で行いました。そのほか、都立東京港野鳥公園での世界アルバトロスデーの展示に海鳥をテーマとしたポスターを提供しました。
関連リンク:カンムリウミスズメ保護の取り組み
アカコッコ保護事業

設置した水場を使うアカコッコ
アカコッコの重要な生息地である三宅島(東京都)において、生息環境の改善のため、協定旅館に協力してもらい、アシタバ畑2か所に水場を設置させてもらいました。センサーカメラで利用確認を行ったところ、アカコッコが利用していました。また、島内外に参加者を募り、林床を覆うツルを除去し、採餌しやすいように整備しました。さらに、近年アカコッコとエサの競合が懸念される国内移入種であるアズマヒキガエルの影響を調べるため、カエル除去区を作るためのカエル返しの製作を行いました。
関連リンク:アカコッコ保護事業
シマフクロウ保護事業

日本製紙株式会社と実施した魚類調査のようす。豊富なエサ資源を確認
シマフクロウのエサ資源不足を補うため、2025年度は日高地域の当会野鳥保護区内に設置したいけすへ、4か月間で計120kgのヤマメを給餌しました。また、日本製紙株式会社との協定にもとづく根室地域の野鳥保護区では、3つがいの縄張り内にある河川において、夏と秋の2回、同社と共同で魚類密度調査を実施し、エサ資源量の把握に努めました。さらに、釧路地域の野鳥保護区では、シマフクロウが好む豊かな森を再生するため、カラマツ林を針広混交林化する間伐施業を17haで実施しました。当会は引きつづき、生息環境のモニタリングと整備の両面から、本種の保護活動を推進していきます。
関連リンク:シマフクロウ保護の取り組み
ウトナイ湖サポーター活動

次代を担うウトナイ湖サポーター
ウトナイ湖サンクチュアリ・ネイチャーセンターでは、地域の方々にサポーターとして、イベント運営や調査、環境管理など多岐にわたるご支援をいただいています。2025年9月には、札幌で開催された「日本鳥学会2025」にサポーターの小・中・高校生たちが参加。毎月行っている森林・草原・湿原でのスポットセンサス調査の結果を、約40年前の調査データと比較して発表し、参加者の方々から温かな声援をいただきました。また、ウトナイ湖を除き、勇払原野はまだラムサール条約のような環境保全の枠組みに入っていないのが現状です。その勇払原野の自然環境を守るために、美々川での定期的な水質調査をサポーターの方々と実施しました。これからも地域の方々と力を合わせ、貴重な自然を次世代へつないでいきます。
関連リンク:ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター
風蓮湖・春国岱 ラムサール条約湿地登録 20周年行事に協力

風蓮湖・春国岱ラムサール条約湿地登録20周年行事でレクチャーをするレンジャー
当会レンジャーが常駐する根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターがある春国岱・風蓮湖が、ラムサール条約湿地登録20周年を迎えました。それを記念して市民団体「根室ワイズユースの会」が主催する記念行事が行われ、レンジャーは春国岱ガイドツアーの案内や今昔写真展への写真提供等に協力しました。
関連リンク:根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
普及事業
ツバメの子育てを見守る団体に感謝状を贈呈

日本野鳥の会佐賀県支部の推薦により、ツバメを見守る「玄海みらい学園」(佐賀県)に感謝状を贈呈
日本では古くから「ツバメが巣を作ると縁起が良い」と言われ、商売繁盛のシンボルや害虫を食べる益鳥としてツバメを歓迎してきました。当会では、これからもツバメと人との共生がつづくことを願い、ツバメの子育てをあたたかく見守ってくれている企業や団体に感謝状を贈呈しています。2025年度は、支部から贈呈先の推薦を受け、合わせて20都府県32の企業・団体に感謝状を贈呈しました。各団体の取り組みは、当会ホームページで紹介したほか、各地の地方紙などでも取り上げられました。
関連リンク:ツバメをみまもっている団体や企業のご紹介
野鳥に関するオンラインイベントを開催
全国の会員や支援者の方、野鳥に興味をもつ方を対象に、さまざまなオンラインイベントを開催しています。2025年度は「会員支援者オンラインセミナー」や「オンライン探鳥会」、「初心者のための安西さんのオンライン野鳥講座」など、年25回のイベントを開催し、約2万5000人の方が視聴しました。今後も、さまざまなプログラムを通じて、より多くの方にバードウォッチングを楽しんでいただくために、野鳥や自然への関心を深める機会の提供に努めていきます。
関連リンク:オンラインイベントのご案内
パンフレット「超独断!バードウォッチングカレンダー」を発行

「超独断!バードウォッチングカレンダー」。年間を通じたバードウォッチングの楽しみ方や見どころを紹介したパンフレット
日本には多様な自然があり、四季折々のさまざまな野鳥に出会えます。地域や季節で見どころが変わることも、バードウォッチングの魅力です。特定の場所や季節に見られる鳥、数千・数万羽の鳥が飛び交うダイナミックな風景など、紹介したいポイントがたくさんあります。
このような季節ごとのバードウォッチングの楽しみ方を伝えるため、当会スタッフが独断で選んだ季節の見どころをパンフレットにまとめました。本パンフレットは、11月から年度内に約5000部を配布しました。
関連リンク:バードウォッチングの一年がわかる!パンフレット『超独断!バードウォッチングカレンダー』プレゼント!
『探鳥会リーダー養成テキスト』の発行と研修会の開催

『探鳥会リーダー養成テキスト』
コロナ禍以降、各地の支部から探鳥会の担い手(リーダー)不足に悩む声が寄せられるようになり、財団としてもリーダー養成の取り組みを進めています。その一環として、支部の有志とワーキンググループを作って議論し、探鳥会の意義やリーダーの役割など探鳥会運営に必要な情報をまとめた『探鳥会リーダー養成テキスト』を発行しました。また、2月にはこのテキストを用いた研修会も開催しました。今後も支部と連携し、各地で研修会を開催する予定です。
『フィールドガイド日本の野鳥』日本鳥類目録改訂第8版準拠版を発行

『フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂新版』
長年、広く活用されている『フィールドガイド日本の野鳥』について、日本鳥類目録改訂第8版に準拠させるため、分類や学名の改訂を行いました。新しく種として追加されたものもありますが、スペースの都合で文字のみの追加に留め、図版の追加はしていません。
一方、巻末リストは日本鳥類目録改訂第8版に準拠し、絶滅危惧種等の情報は2026年1月1日現在の情報に更新しています。今後も増刷のたびに、更新できる情報は改訂する予定です。







