Toriino(トリーノ)2010年の発行号

第17号 2010年12月発行号

トリーノ表紙
表紙:石踊達哉
「紅梅」(部分)2000年

彩の章
写真:西川 孟
憶の章 -往-
写真:岩田幸助
憶の章 -還-
写真:川田喜久治
流の章‐中国の普通の街‐
写真・文:藤原新也
響の章
写真:星野道夫
「燈(ともしび)②」 樹の墓
文:瀬戸内寂聴
新春特別対談〈直入実感――日本人の自然を思う心
柳生博会長が元首相の中曽根康弘氏と対談し、日本人の自然観について語り合いました。
野鳥保護レポート
文:自然保護室 山本 裕
カンムリウミスズメの繁殖地が国指定鳥獣保護区に新たに指定されたことについて報告しています。

第16号 2010年9月発行号

トリーノ表紙
表紙:石踊達哉
「秋野」(部分)2003年

彩の章
写真:前田 晃
憶の章 -往-
写真:南 良和
憶の章 -還-
写真:川田喜久治
流の章‐風化を楽しむ‐
写真・文:藤原新也
響の章
写真:岩合光昭
「燈(ともしび)①」 花と蝶 
文:瀬戸内寂聴
〈自然大好きな仲間たち③〉
シマ・クリエイティブハウス代表の島崎保彦氏にインタビュー。
野鳥保護レポート
文:自然保護室 山本 裕
カンムリウミスズメの伊豆井諸島・恩馳島の上陸調査を紹介しています。

第15号 2010年6月発行号

トリーノ表紙
表紙:石踊達哉
「卯波」(部分)1995年

彩の章
写真:前田真三
憶の章 -往-
写真:土門 拳
憶の章 -還-
写真:川田喜久治
流の章‐揮毫‐
写真・文:藤原新也
響の章
写真:岩合光昭
〈自然大好きな仲間たち②〉
音楽評論家・作詞家の湯川れい子さんにインタビュー。
野鳥保護レポート
文:自然保護室 山本 裕
生物多様性保全に向けた取り組みとして、希少種・カンムリウミスズメの保護の取り組みや、普通種・スズメやヒバリの減少を紹介しています。

第14号 2010年3月発行号

トリーノ表紙
表紙:石踊達哉
「千羽鶴」(部分)2006年

彩の章
写真:西川 孟
憶の章 -往-
写真:近藤龍夫
憶の章 -還-
写真:川田喜久治
流の章‐写真と書‐
写真・文:藤原新也
響の章
写真:岩合光昭
〈自然大好きな仲間たち①〉
ファッションデザイナー・池田ゆう氏にインタビュー。
野鳥保護レポート
文:自然保護室 山本 裕
生物多様性に向けた取り組みとして、外来生物が生態系に与える影響を紹介しています。

Toriino(トリーノ)2009年の発行号

第13号 2009年12月発行号

トリーノ表紙
表紙:石踊達哉
「千羽鶴」(部分)2006年

「彩の章」 写真:前田真三
厳冬、白銀の丘に木は鳴き、雪片が舞う。白を縫う許された場所では、時が湧き出すように流れていた。(誌面より)
「憶の章」 写真:岩宮武二
冷たい雨に烟(けぶ)る帰り路。雨を踏む足音に私は消えていく。いつもの石仏は、今日という日を見通したかのように、優しく微笑んだ。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
木に年輪があるように人にも年輪がある。人の年輪は自らが刻むもの。人に会うて、その年輪の美しさを見る。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
テングザルは三次元の空間を跳び、サイチョウのついばみの下では魚たちが待っている。この森の先には、耕作地が迫っていた。(誌面より)

第12号 2009年9月発行号

トリーノ表紙
表紙:加山又造「雪」(部分)
1978年

「彩の章」 写真:前田真三
嵐は去り、静かなる時が波に乗る。天と地が分かち、紫紺の海が現れた時、天上から「天使の梯子」が下りた。(誌面より)
「憶の章」 写真:奈良原一高 雜賀雄二
生産され、消費され、そして廃棄された島。もの言わぬ大量の廃棄物は、今、静かに何かを語ろうとしている。この星の辿る道は。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
機械仕掛けのようにスムーズに流れる平和な風景。しかし、その裏側には、もう一つ別の風景がある。今を映す風景。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
南風が吹いた赤い丘陵地に、陽炎が滲む。アロエの蕾が眠りから覚めると、もう一つ緑の宝石が連鎖反応のように花を添えた。(誌面より)

第11号 2009年6月発行号

トリーノ表紙
表紙:加山又造「月」(部分)
1978年

「彩の章」 写真:前田真三
どこまでも透き徹る青い海。海に青い空が落ちると、海の青は鮮やかな変様の色合いを見せる。生命が育まれる色、ブルー。(誌面より)
「憶の章」 写真:臼井 薫
私は私をして生きる。色もなく、音もなく、臭いもない・・・。唯、微笑み。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
大海原に浮かぶ手のひら大の生命。 消えゆくかも知れぬその姿に、生命の逞しさが見えた。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
紺青の海に、バベルの塔のように巨岩が聳えたつ。辺りにこだまするウミガラスの大合唱は、人を寄せつけぬ聖域の鼓動であった。(誌面より)

第10号 2009年3月発行号

トリーノ表紙
表紙:加山又造
「彌生屏風」(部分)1971年

「彩の章」 写真:前田真三
雲は空にかかり、海は静かに佇んでいた。雲間から漏れる一条の光は、まるで化学反応を起こしたかのように、多彩の海を描き出した。(誌面より)
「憶の章」 写真:植田正治
顔のある私、顔のない私、いずれも同じ私。私はいつも私には届かない。届かない私は、いつも泣いたり笑ったりする私を見つめている。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
太古より海は生命の源、母なる海である。しかし今、我々は母なる海に背を向けようとしている。寂れゆく舟屋。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
雨を含んだ黒雲が湖面に影を落とす。雲の切れ目から夕陽が差した時、目にも鮮やかなピンクの群れが黒い湖面に浮かび上がった。(誌面より)

Toriino(トリーノ)2008年の発行号

第9号 2008年12月発行号

トリーノ表紙
表紙:加山又造「千羽鶴」(部分)
1970年

「彩の章」 写真:前田真三
吐く息も凍る冬の一日。シャーベット状の海氷は、ざわざわと音を立てながら岸に押し寄せていた。それはまるで陽の光を受けて膨張する巨大生物のようであった。(誌面より)
「憶の章」 写真:長野重一
正しいことも、誤っていることも、人は見ていなくとも神様は見ていると昔聞いた。繁栄、衰退、破壊。そこにはいつも静止した時空間が微笑んで見ていた。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
かつて神社や寺、路地裏には、人も動物も交錯する空間があった。そこで子どもは学び、大人は支えあった。それは、多層な「揺らぎの空間」だったのかも知れない。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
厳冬のいんちょん仁川。この先には緊張の地帯、三十八度線がある。横殴りの風の中から何かが散るようにスズメの群れが現れた。日本と同じ彼らの表情には、憎しみも対立もなかった。(誌面より)

第8号 2008年9月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和「金環」
1987年 油彩、キャンバス

「彩の章」 写真:前田真三
倒れた大樹に、ひっそりと赤い実をつけたゴゼンタチバナの姿があった。風倒木に支えられる命の世界は、銀河に輝く新星のようであった。(誌面より)
「憶の章」 写真:川田喜久治
壁のひびは瞬く間に無数に走り、一点のどす黒いしみは脈打ちながら膨張し始めた。巨大化するしみに窒息しそうになった刹那、記憶を封印した壁は静かにそこにあった。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
海の環境変化は、陸で生活するものには見えにくい。しかし、海の生態系は陸の生態系以上に微妙なバランスで成り立っている。海に竿を垂れて人の世を知る。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
乾期の湖は、野生生物にとってオアシスであり、生命のドラマが繰り広げられる舞台でもある。トラの餌食になることを警戒しつつ草をはむサンバーに、チュウサギもまた獲物をねらっていた。(誌面より)

第7号 2008年6月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和「卵を抱く」
油彩、キャンバス 1995年

「彩の章」 写真:前田真三
水の流れは無為自然にして、一つとして同じものはない。そんな無為自然の流れは、長い年月をかけて「神々の庭」を創りだした。(誌面より)
「憶の章」 写真:大竹省二
貧しく、約(つま)しかったかもしれない。でも他を慈しみ思う心に、空も大地も草木もやさしく微笑んだ。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
祈りあるところにアウラ(霊気)はある。そしてアウラは、人の手によって無情のものへと吹き込まれる。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
そこはクロアシアホウドリの楽園のはずだった。白い珊瑚礁の島には、馴染みある言葉で書かれた塵が散乱し、人のエゴが吐き出された光景が広がった。(誌面より)

第6号 2008年3月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和「なすびと鳥」
油彩、キャンバス 1993年

「彩の章」 写真:前田真三
一片、また一片、花は散り行く。花は留めどなく散り、時への悲哀が胸を衝いた。(誌面より)
「憶の章」 写真:薗部 澄
風は子守唄のように、やさしくこの土地に語りかけ、水はころころと玉のような音を立てて流れた。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
変わりゆく風景、変わりゆく気候。記憶は今を映す。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
澄んだ空気が森に充ちる朝。突然、その静寂を破って枝が揺れた。揺れる枝先に、キンショウジョウインコの花が咲いた。(誌面より)

Toriino(トリーノ)2007年の発行号

第5号 2007年12月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和「芽生え」
油彩、キャンバス 1998年

「彩の章」 写真:前田真三
いつになく冷え込んだ朝。日の光を受けて、今まさに、閉じ込められた生が息づこうとしていた。(誌面より)
「憶の章」 写真:濱谷 浩
酷寒の日本海。この小さな漁村にも、生を引き受けて生きる人の姿があった。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
人の生は花。人の死もまた花。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
容赦なく吹き続けたブリザード。はたとやんだ時、雪の中から次々とアデリーペンギンが現れた。(誌面より)

第4号 2007年9月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和
「銀鳩と女 
Silver pigeons and woman」

「彩の章」 写真:前田真三
燃える紅葉、金色に輝くススキ、青い杉林。すべてを鏡のように映した静かな小川の流れは、緩やかな秋の時間を刻んでいた。(誌面より)
「憶の章」 写真:黒川翠山
土を踏む音、川のせせらぎ、規則的に軋む櫂の音。霧が晴れ、雲が切れ始めた時、この美しい世界は生起した。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
名もない花、墓地に生の賑わいを見る。古より変わらぬ姿がそこにある。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
サバンナの地平線に夕陽が沈む時、どこからともなくホオジロカンムリヅルは現れた。茜色に染まる大空を我がものに、王族たちは優雅に舞い降りた。(誌面より)

第3号 2007年6月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和
「室内の鳥 Bird in a room」

「彩の章」 写真:前田真三
川のせせらぎに、蝉の声が旋律をそえる。何気ない風景は、その時々に表情を変え語りかけてくる。(誌面より)
「憶の章」 写真:千葉禎介
強烈な光と影は空と大地を照らし、生命を吹き込んだ。雪国の夏。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
海人の島。そこに流れる命。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
燦燦と降りそそぐ白い陽光。アカオネッタイチョウの雌が陽を浴びたとき、雄の求愛の飛翔が始まった。(誌面より)

第2号 2007年3月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和「鶇 Thrush」

「彩の章」 写真:前田真三
静かに寄せる波の音。白い花びらに鳥影がよぎる刹那、黄色の香りがたち上った。(誌面より)
「憶の章」 写真:塩谷定好
過ぎ去りしと来たれりとの潮目。人は自らを委ね受け、投ずるところに今を創造する。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
野生の生き物は、語らずとも人の世を見ているのかも知れない。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
牛が鋤を引き田起こしを始めたとき、あたかも法則のように鴇色の花が咲いた。(誌面より)

Toriino(トリーノ)2006年の発行号

第1号 2006年12月発行号

トリーノ表紙
表紙:脇田 和

「彩の章」 写真:前田真三
谷戸の日の出は遅い。凍てついた闇が明ける瞬間、どこまでも透き渡った碧の世界が広がった。(誌面より)
「憶の章」 写真:小島一郎
人は為し能うことを為し能うとき、道が明ける。その道は、どこまでも自ら透き亙る一なる道。(誌面より)
「流の章」 写真・文:藤原新也
人の世は出会いかも知れない。人は人に出会って人になる。(誌面より)
「響の章」 写真:岩合光昭
野生の生き物には諮らいがない。モモイロインコの家族はあまりあるほどの幸福に輝いていた。(誌面より)

受講者の声

顔写真

2007年「調査編」/2010年「解説編」受講
大久保香苗
(横浜自然観察の森)
「地域の自然をまるごと見る目が必要」
 自然や生きものに関わる仕事がしたい。ただ、野鳥も昆虫も植物にも、さらに地質や天文現象にも関心はあるけれど、一つに絞ることができない。一分野の研究者でなければならないのかと、大学入学1年目にして悩んだころに受講しました。会場は小学生のころから通い親しんだ森で、そこを初めて自然保護の場として向かい合った視点は新鮮でした。
じつは身近にありながら、わかっていなかった「レンジャー」という仕事。その専門性は地域という単位で自然・生きもののつながりを研究し守ることだと学びました。どんな生きもののことも知りたい、その身近さやおもしろさも人に伝えたい、とワガママな想いを抱えていた私にとって、「地域の自然をまるごと見る」専門家が必要とされていたことは大発見でした。また、動植物の知識以外にも、人の気持ちを動かすために科学的なデータが取得できること、対象にあった解説を組み立てる技術が必要なことにも気づき、大学生活を通して学ぶべきことを得た講座でした。
大学卒業後まもなく日本野鳥の会に入局。インターンとして横浜自然観察の森で2年間のトレーニングを受け、絶滅危惧種カンムリウミスズメやアカコッコ保護事業、三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館に携わりました。現在は再び横浜自然観察の森に戻り、ふるさとの自然を守る環を広げるべく活動に取り組んでいます。


顔写真

2003年度「解説編」受講
松本潤慶
(保全プロジェクト推進室 野鳥保護区事業所)
「最前線で活きる」
 レンジャーになって自然保護の最前線で働きたい。自然の大切さ、おもしろさを多くの人に伝えたい。でも、どうすれば上手く伝えられるのだろうか。そんな想いを抱いていた時に受講したのが、レンジャー養成講座でした。
講座では、レクチャーを受けるだけでなく、対象に合わせた伝え方をグループで考え、作成したプログラムを他の参加者を相手に実践しました。これらの活動を通して人に伝えることの難しさを学び、そして対象に伝えられた時の喜びとおもしろさを体感しました。
受講後は、ウトナイ湖サンクチュアリと加賀市鴨池観察館でレンジャーを務め、現在では、チーフレンジャーとして、北海道で絶滅危惧種のシマフクロウやタンチョウの生息地を保全する仕事に携わっています。主な仕事は、土地の売買や管理、調査などであり、いずれの業務も、人との会話を通して想いを伝え、共感していただくことが重要です。自然保護の最前線で働く今も、講座で学んだ、人に上手く伝える方法は、現在の仕事にも活かされています。自然保護に携わりたい方。自然の楽しみ方を伝えたい方はぜひ、レンジャー養成講座を体験してください。

「レンジャー」という仕事

レンジャーとは、一口に言うなら「人と自然の架け橋となる存在」です。レンジャーが活躍する舞台はサンクチュアリと呼ばれる、「野生鳥獣の生息地の保全」と、「人と自然のふれあいの場」という大きな二つの役割を持つ、自然保護のための場所です。レンジャーは、サンクチュアリの自然を守るために自然の調査や管理をしつつ、来訪者が自然と触れ合えるように自然体験の手助けを行っています。全国8ヶ所あるサンクチュアリに、1ヶ所につき2~10人のレンジャーが配置され、具体的には次のような仕事を分担しながら活動しています。

自然環境を調査する

レンジャーが勤務するサンクチュアリは、野生生物の生息地です。そこに暮らす野鳥や生き物にとって、自然環境がどのような状態にあるのか、常に気を配らなければなりません。たとえば、環境が年毎にどのように変化をするのかを調べるためには、同じ場所、同じ方法で何年も調査を続けるモニタリング調査をおこないます。また、特に保護したい種類の生き物がいる場合は、まずはその生活や行動を中心に調査する生態調査などをおこないます。

調査のためにフィールドを歩く写真
調査のためにフィールドを歩く
訪れた水鳥の数の変化を調べる写真
訪れた水鳥の数の変化を調べる

レンジャーは双眼鏡やメジャーなど、調査に必要な道具を持ってフィールドに出かけます。ときには数kmの山道を歩きながら、時には湿原のぬかるみで泥まみれになりながら、時には氷点下の雪原で寒さに震えながら、自然の中から目的とするデータを集め続けるのです。これら科学的なデータの蓄積は、サンクチュアリの自然を守るための大切なデータとなります。

自然環境を管理する

レンジャーが行う自然環境の調査からは、様々なことがわかってきます。この調査データを利用して、サンクチュアリの自然環境をより豊かにするのが自然環境の管理作業です。
サンクチュアリには、それぞれに目指している(望ましい)自然環境があります。あるサンクチュアリでは、特に保護したい種類の生き物が安心して暮らせる自然環境を維持すること、また別のサンクチュアリでは、せまいエリアで多くの種類の生き物が暮らせるような多様な自然環境を目指しています。レンジャーは調査データを元に、どのような環境を作り、また維持するかを検討し、計画を立て、管理作業を実施してゆきます。

草原を計画的に管理するために草刈の写真
草原を計画的に管理するために草刈
水辺の生き物の生息地を維持する写真
水辺の生き物の生息地を維持する

水鳥の休息地を確保するためには、開けた干潟や水面を維持することが必要です。また、放置すれば林になってしまう場所に、多様な植物が生えてくるように背丈の低い草原を作ることが必要になる場合もあります。作業の目標を定めたら、レンジャーは鎌や草刈機、ときには耕耘機などを使って作業に汗を流します。また帰化植物の駆除や、来園者が安全に利用できるように観察路周辺を管理するのも大切な仕事です。もちろん管理後には本当に野鳥や生物にとって棲みよい自然環境となったのかどうか、効果を計るための調査をおこない、その結果から管理方法を検討しなおすことは、この仕事に欠かせない作業です。

来園者へ解説する

サンクチュアリへの来園者は、8ヶ所で年間約33万人にのぼります。訪れた方に自然との触れ合いを楽しんでいただき、自然の仕組みや大切さに気づいていただくことは、レンジャーのもっとも重要な仕事のひとつであり、また華の部分でもあります。

子供たちの団体を野外に案内する写真
子供たちの団体を野外に案内する
ネイチャーセンター内での解説の写真
ネイチャーセンター内での解説
展示物の写真
展示物の企画や作成も大切な仕事

来園される方の目的や人数は、散策や観光、学校団体の学習など、千差万別です。レンジャーは多様なニーズにあわせて、自然と触れ合うための様々なプログラムを提供します。たとえば、ネイチャーセンターでの季節の見どころ紹介や質問に答えること、自然観察会やイベントを開催すること、展示物や解説板、ワークシートを作成して自然を紹介すること、またニュースレターやホームページで情報を発信することなど、驚くほど多岐にわたります。来園者によりよい自然との触れ合いを提供するため、レンジャーはこれらの企画に頭を悩ませ、下見や情報収集に奔走し、教材や展示物の作成に追われています。

ボランティアと協力して活動する

自然と触れ合う地域の市民が増えることによって、サンクチュアリにもファンが生まれてきます。より深く自然を知りたい、大好きなサンクチュアリの自然のために何かしたい、という人たちの参加の場として、ボランティア活動があります。

ボランティアによる紙芝居の写真
ボランティアによる環境管理作業
ボランティア養成講座の写真
ボランティア養成のための講座を開く
看板の写真
ボランティアの協力で看板も作製

レンジャーにとって、ボランティアは心強い味方です。多くのボランティアから協力を得られれば、自然環境の調査や解説など、活動の幅を広げることができるのです。ボランティアとして参加される人の経験や技術は様々です。このためレンジャーは集まったボランティアのパワーを、サンクチュアリや地域の自然のために生きるようコーディネートをする必要があります。活動を通して自然を守ることについて深く学んだ市民が増えることは、地域の自然を守る推進力にもなります。レンジャーには自然と関わる技術だけでなく、人と関わる能力も必要とされるのです。

地域の自然を守る活動

レンジャーはサンクチュアリの自然を守ることが仕事です。しかし、サンクチュアリの中の自然にだけ目を向けているのではありません。サンクチュアリ周辺の、地域の自然の状態を知り、必要であれば自然保護のための情報提供や提言を行うことがあります。

広大な野鳥保護区の写真
広大な野鳥保護区を巡回・監視する
保護区を示す看板の設置作業の写真
保護区を示す看板の設置作業
タンチョウ防護柵の写真
酪農家の協力を得てタンチョウ防護柵を設置

サンクチュアリ周辺の自然が守られなければ、やがてサンクチュアリの自然は孤立し衰退してしまいます。レンジャーは地域の自然がどのような状態なのか、常に気を配る必要があります。特に当会直営のサンクチュアリでは、積極的に地域の自然保護に関わっています。ウトナイ湖サンクチュアリのレンジャーは、ウトナイ湖の周辺の流域や湿原を守るため、勇払原野の保全運動に携わっています。鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリのレンジャーは、タンチョウ保護のために生息地を監視するほか、タンチョウが子育てできる湿原を買い取り、野鳥保護区にする活動をおこなっています。

レンジャーの養成

日本野鳥の会では、1997年よりプロのレンジャーとなる人を育成するために、『レンジャー養成講座』を開催しています。(レンジャー養成講座の詳細はこちら

レンジャー養成講座 募集要項

2018年度レンジャー養成講座 募集要項

終了しました。

開講講座 <自然調査編> ~自然を調べる~

レンジャー養成講座
(PDF 340KB)

日時:
2018年10月26日(金)10時~、10月27日(土)、28日(日)~17時
参加費:
一般 30,000円 学生 25,000円
対象:
18歳以上の方ならどなたでも参加できます
定員:
20名
会場:
ウトナイ湖サンクチュアリ
申込締切:
2018年6月1日(金)~9月30日(日)※先着順

参加申し込み

①~⑥をご記入の上、メールにて日本野鳥の会(Eメール[email protected])へお申込みください。
①氏名(ふりがな)
②生年月日
③性別
④ご連絡先(住所、電話、FAX、e-mail)
⑤職業(学生/一般)
⑥参加動機(200字程度)

*申し込みは先着順に受付、定員になり次第締切とさせていただきます。
*参加費には、講師料、教材費が含まれます。現地までの往復交通費、食費、宿泊費は含まれません。
*申込締切を過ぎてキャンセルされる場合、取消料として10,000円がかかりますので、ご注意ください。返金時には、参加費から取消料と振込手数料を差し引いた金額を返金いたします。
*災害等やむを得ない事情で中止となった場合は、参加費全額をお返しします。

お問い合わせ

(公財)日本野鳥の会 施設運営支援室・保全プロジェクト推進室
電話:03-5436-2625 FAX:03-5436-2635
E-mail: [email protected]
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル

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子どもワークキャンプ(タンチョウ・レンジャーにチャレンジ)のご報告

子どもワークキャンプ「タンチョウ・レンジャーにチャレンジ!」 開催しました。 <2007年8月3日(金)~5日(日)>“Looking to the Future”―この夏、地球の未来を担う子どもたちにむけて、日本野鳥の会の新たな取り組みがスタートしました。会場は今年20周年を迎えた鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ。釧路湿原に生きるいのちにふれあい、まなび、まもる。子どもたちのワークキャンプが始まりました。

全国から「タンチョウ・レンジャー」をめざす子どもたちが、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリに集まりました。小学校4年生から中学校1年生まで、総勢25名の中には広島や三宅島からの参加もありました。子どもたちは3日間鶴居村に滞在し、湿原の探検や湿原の保全活動に取り組みました。

早起きして湿原が見渡せるキラコタン岬まで歩き、タンチョウや、沢山の生きものに出会いました。

タンチョウ発見 気分はタンチョウレンジャー 釧路湿原大探検!


このキャンプのメインは保全活動の体験です。 湿原に土砂が流れこむのを防ぐために、 枝を束ねた「そだ木」を設置し、苗木を植えつけました。

そだ木をつくろう 湿原をまもろう


子どもたちが作った壁新聞

活動の総まとめとして、3日間の体験をふりかえり、壁新聞をつくりました。
子どもたちの作品は、11月より鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリに展示される予定です。


タンチョウが暮らせる環境を

3日間の活動を終えて、25人の子ども達は「タンチョウ・レンジャー」の一員になりました。「タンチョウが暮らせる環境を、将来にわたってまもっていこう」というこのキャンプのテーマは、彼らが大人になってからも、体験とともに思い出されることでしょう。私たちはこれからも、1人でも多くの子どもたちに、自然のすばらしさとそれをまもることの大切さを伝えていきたいと考えています。


子どもたちのイラスト

≪武藤凜夏(むとう りんか)さん  5年生 東京都≫ 
私が心に残ったことは2つあります。まず1つ目はタンチョウに会えたことです。私は遠くから見ていたけど、とても大きく見えました。見れてうれしかったです。次に2つ目は、タンチョウのために活動ができたことです。特にそだ木つくりなどは、湿原を守ることができ、自分でもタンチョウなど(のため)にやれることをやれたな、と思いました。このワークキャンプに参加させていただき本当にありがとうございました。


  • 保全活動ができる企画は珍しく、とても貴重な体験ができました。動植物(鳥も)が大好きな娘は、これを機に日本野鳥の会に入りたいとも言っております。
  • 息子にとっては1人でキャンプに参加することで様々なチャレンジができたようです。自然についても、大好きな鳥を通して多角的なものの見方ができるようになってきたと感じました。
  • 子どもたちの気持ちや成長にこんなに手ごたえを感じられるとは思いもよらず、びっくりして感激、そして感謝しております。自然を大切にしていらっしゃる皆様ならではのワークキャンプ、本当に参加できて良かったです。

【協賛】

協賛会社 トヨタ自動車・すかいらーくグループ・東亜建設工業・JTB関東

【プログラム協力】NPO法人トラストサルン釧路

【協力】オリンパスイメージング(双眼鏡の提供)・モンベル(水筒、バンダナの提供)

【後援】NHK釧路放送局・環境省北海道地方環境事務所釧路自然環境事務所