クロツラヘラサギ世界一斉センサスの集計結果(2026年)

2026年4月14日

2026年クロツラヘラサギ世界一斉センサスの集計結果

東アジアの各国と地域が協力して毎年1月に実施している「クロツラヘラサギ世界一斉センサス」(主催 :香港バードウォッチング協会(HKBWS))の、2026年の調査結果がまとまりましたのでお知らせ致します。

この調査は、絶滅が危惧されているクロツラヘラサギの越冬個体数と分布を把握するために日本、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピンなど東アジアの自然保護団体が参加し、毎年実施しています。2026年の調査は1月9日~11日にかけて行われました。

クロツラヘラサギの国内での越冬地は、九州や沖縄など西日本が中心です。2026年の調査は、日本クロツラヘラサギネットワーク、(公財)日本野鳥の会の会員を中心に1都10県70か所において、計70名の協力者を得て行われました。

1. 2026年クロツラヘラサギ世界一斉センサス調査結果の概要

2026年クロツラヘラサギ世界一斉センサスは1月9日~11日にかけて実施され、各国の147地域からの報告に基づき、香港バードウォッチング協会(HKBWS)が取りまとめを行いました。その結果、2026年の調査では、東アジア全体で前年より665羽増えて、7,746羽が確認され、前年比9.4%増となりました。また、2025年10月、クロツラヘラサギはIUCNレッドリストにおいて「絶滅危惧種(Vulnerable)」へと引き下げられ、長期的な回復傾向が評価されました。これは、本種の保全に関わるすべての関係者の大きな成果といえます。

東アジア地域での主要な越冬地は台湾です。4,719羽が観察され、全世界の個体数の約61%を占めています。2026年に観察個体数が増加した地域は、台湾の4,719羽(13.2%増)をはじめ、中国本土1,834羽(9.8%増)、后海湾341羽(4.4%増)ベトナム125羽(11.6%増)、フィリピン88羽(417.6%増)で、昨年観察されなかったタイでは1羽が確認されました。特に台湾での個体数の増加が顕著であり、中国本土沿岸の多くの地域でも増加が確認されました。さらに、フィリピンでは大幅な増加が記録され、今後は重要な越冬地の一つとなる可能性があります。

一方、減少傾向が見られたのは、マカオ14羽(12.5%減)、日本593羽(17.2%減)、韓国31羽(40.4%減)でした。日本および韓国での減少は、調査期間中の悪天候の影響を受けた可能性があります。この他、カンボジア、マレーシアでは一斉センサス期間中には生息が確認されませんでした。

クロツラヘラサギの全世界の観察個体数は、2019年に4,000羽、2021年に5,000羽、2022年には6,000羽と着実に増加し、2025年に初めて7,000羽を超えました。2026年にはさらに増加し、8,000羽に迫る水準に達しています。これらの結果は、個体群が健全な状態を維持していることを示しており、これまでの保全の取り組みの成果といえます。継続的な保全活動により、クロツラヘラサギのさらなる回復が期待されます。

(HKBWSによる2026年世界一斉センサスの集計をもとに作成)

表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数
場所 2017年
調査
2018年
調査
2021年
調査
2022年
調査
2023年
調査
2024年
調査
2025年
調査
2026年
調査
前年比
(2026年-2025年.
羽数)
前年比
(2026年/2025年.
%)
台湾 2,601 2,195 3,132 3,824 4,228 4,135 4,169 4,719 550 +13.2
后海湾
(香港、深セン)
375 350 336 369 299 375 328 341 13 +4.4
中国本土 397 744 1,022 1,136 1,307 1,630 1,671 1,834 163 +9.8
日本 433 508 570 683 640 702 716 593 -123 -17.2
ベトナム 62 65 82 88 80 86 112 125 13 +11.6
マカオ 44 50 45 22 21 13 16 14 -2 -40.4
韓国 29 26 34 37 54 39 52 31 -21 +40.4
タイ 0 0 0 1 0 1 0 1 1
カンボジア 0 0 0 0 0 0 0 0 0
フィリピン 0 3 1 0 4 7 17 88 71 +417.6
マレーシア 0 3 0 2 0 0 0 0 0
合計 3,941 3,944 5,222 6,162 6,633 6,988 7,081 7,746 665 +9.4

(HKBWSの報告に基づく)

2. 日本におけるクロツラヘラサギ一斉センサス調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・(公財)日本野鳥の会

2026年、国内では昨年より123羽少ない、計593羽が確認されました(17.2%減)。最も多かったのは熊本県で186羽が観察され、次いで、福岡県114羽、佐賀県71羽、鹿児島県55羽、宮崎県49羽、山口県48羽、沖縄県37羽、大分県28羽が観察されました。西日本以外では、東京4羽が観察されています。

図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移

図2. クロツラヘラサギの県別記録数の推移
図2. クロツラヘラサギの県別記録数の推移

表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移
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