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チュウヒプロジェクト活動報告2025年度
イングランド視察 | 調査 | 発表 | イベント | その他
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イングランド視察
英国視察の際に訪問した「Carlton Marshes Nature Reserve(カールトン マーシュズ ネイチャー リザーブ)」での私たちのようすをSuffork Wildlife Trust(サフォーク野生生物トラスト)が記事にしてくださいました。英国で学んだことをチュウヒの保護活動に活かしていこうと思います。
Marsh harrier researchers from Japan visit Carlton Marshes(Suffork Wildlife Trust)
英国イングランドの地へ!
2025年6月5日
英国イングランドでは、英国最大の自然保護団体のRSPB(英国鳥類保護協会)が、サフォーク地方の湿地をチュウヒのための野鳥保護区(Reserve/リザーブ)にしたことを皮切りに、英国では1970年代に農薬の影響で1つがいにまで減ったヨーロッパチュウヒを、現在は600つがいにまで回復させています。

最終打合せの一コマ
この事例を学びに私たちは、のべ4名のスタッフで英国イングランドを視察訪問してきます。明日の深夜に日本を出発し、約2週間の行程で英国イングランド(主にイーストアングリア地方)にあるチュウヒが繁殖する野鳥保護区を巡り、現地のチュウヒ専門家やリザーブ管理者から、チュウヒのためにどのような環境創出や維持・管理を行っているのか、お話を伺ってきます。
英国に到着
2025年6月9日
羽田空港を飛び立って、13.5時間後に英国に到着しました。早朝に到着するため、その日は寝ずに、バスや地下鉄でロンドン自然史博物館を目指しました。博物館の敷地に入ると、英国の国鳥であるヨーロッパコマドリ(ロビン)が我々を待っていてくれたのでした。

ブロンズ製のディプロドクス像

ヨーロッパコマドリ(ロビン)
博物館の中に入り、シロナガスクジラの骨格標本による出迎えを受け、鳥類の展示コーナーへ向かいました。ドードーやハチドリ全種の標本など貴重な展示が多く、大満足でした。最後に、バッキンガム宮殿近くを散策していたら、宮殿の衛兵が歩いてました。いよいよ、明日からは保護区巡りスタートです。

17世紀に絶滅したドードーの復元模型

ハチドリ全種の標本
WWT/London Wetland Centre(ワイルドフォール アンド ウェットランド トラスト・ロンドンウェットランドセンター)
2025年6月10日
2025年6月9日(月)はロンドン市内にある、London Wetland Centre(ロンドンウェットランドセンター)を訪問しました。元々は水道局が管理する貯水池だったものが使われなくなり、WWT/Wildfowl & Wetlands Trust(ワイルドフォール アンド ウェットランド トラスト)が購入して、独立運営している公園です。
ロンドンウェットランドセンター
元々は水道局が管理する貯水池だった
私たちはまず、素敵なネイチャーセンターに心躍らされました。奥行きがあるので、写真の見た目よりもかなり大きな施設です。中に入ってみて、ネイチャーセンターからみる景色にも感動しました。アレクシア氏にご案内いただき、木道を歩きながら公園の設備や運営のこと、見られる動植物や湿地の管理方法などについて説明を受け、コウモリの家やショウドウツバメの巣穴などを見学しました。最後にショップに寄り、グッズを購入することで個人寄付もさせていただきました。
アレクシア氏による解説
ショウドウツバメの巣穴
ズアオアトリを撮影できました。写真の中から探してみてください。
参考URL:WWT/London Wetland Centre(ワイルドフォール アンド ウェットランド トラスト・ロンドンウェットランドセンター)公式サイト
BLI/HeadQuarters Office(バードライフ・インターナショナル本部事務所)
2025年6月11日
2025年6月9日(月)はケンブリッジ市内にあるBLI/BirdLife International(バードライフ・インターナショナル本部事務局)本部を訪問し、BLIが行っている再エネ関連事業の説明やRSPB(英国王立鳥類保護協会)が行う陸上や洋上風力発電による鳥類への影響に関する説明を受けました。もちろん、主目的である「ヨーロッパチュウヒにおける湿地の創造と管理」の説明も受けました。
BLI本部事務所があるビルには、様々な英国の自然保護団体の事務所がある
BLI職員の方に説明を受けているようす
お話の後はケンブリッジ市内を散策し、1953年にDNAの二重螺旋構造を発見したワトソンとクリックの行きつけだったパブのThe Eagle、ケンブリッジ大の中でも有名なキングスカレッジ、ケム川(Cambridge=ケム川に架かる橋の意味)、一番有名なトリニティカレッジにあるニュートンのリンゴの木などを見学してきました。翌日からいよいよ、ヨーロッパチュウヒが繁殖する保護区の見学が始まります。
ケンブリッジ大学キングス・カレッジ正門

パブ「The Eagle」
DNAの二重らせん構造の発見の場所として有名

ニュートンのリンゴの木
参考URL:BLI/HeadQuarters Office(バードライフ・インターナショナル本部事務所)公式サイト
RSPB/Ouse Fen Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ウーズフェン ネイチャー リザーブ)
2025年6月11日
空を舞う、ヨーロッパチュウヒ


(左)チュウヒの”V”(Victory)字飛翔
(右)サンカノゴイに関する掲示物
2025年6月10日(火)は、ケンブリッジの北20kmほどにあるOuse Fen(ウーズ・フェン)保護区をRSPB(英国王立鳥類保護協会)のマルコム氏とイアン氏にご案内いただき、見学しました。保護区へ行く前にRSPB事務所に寄り、まずはウーズ・フェン保護区の歴史や環境、どのように湿地の創出を行っているか説明を聞きました。事務所に入ったらチュウヒとサンカノゴイのパネルがあり、チュウヒは6巣以上、サンカノゴイはイギリスで繁殖する個体数の8%がウーズ・フェン保護区にいることが書かれていました。まさに、チュウヒの”V”字飛翔は、勝利(Victory)の”V”です。
午前中に事務所で説明を受けた後、いよいよ保護区へ。現地案内をしていただいてすぐ、チュウヒに会うことができました。

保護区の視察の前に事務所で成り立ちの説明を受ける

サンカノゴイが水辺を飛んでいくようすを観察することができた

馬の放牧によって植生管理をしている
また、一般の方は入れない場所もご案内いただいたところ、サンカノゴイが飛んでいる姿をちょくちょく見ることができました。実はこのウーズ・フェン保護区、サンカノゴイの保護を進める目的で、今もなお造成を続けている保護区なのです。
放置していると鳥類の保護に必要な目的以外の雑草が繁茂してしまうので、馬を放牧して雑草を食べてもらっているようすも見ることができました。
この保護区は、砂利採掘業者による採掘跡地を湿地に作り替えている場所で、現在は採掘中の場所も、終わり次第順次、保護区に作り替えていく予定だそうで、保護区の横ではまさに今、砂利を採掘していました。予定通りすべてを保護区にできると、700haの保護区が完成します。
参考URL:RSPB/Ouse Fen Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ウーズフェン ネイチャー リザーブ)公式サイト
RSPB/Lakenheath Fen Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・レイクンヒース フェン ネイチャー リザーブ)
2025年6月12日
レイクンヒースのヨシ原。もともとはニンジンを栽培していた耕作地だった

実物大サンカノゴイのバードカービング
2025年6月11日(水)は、ケンブリッジの北東45kmにある、RSPB(英国王立鳥類保護協会)のLakenheath Fen(レイクンヒース・フェン)野鳥保護区を訪問しました。ここもチュウヒやサンカノゴイが繁殖する保護区です。ネイチャーセンターに着いてまず驚いたのは、ヨーロッパチュウヒやサンカノゴイの巣の調査に、有料ながら同行できるプログラムがあることでした。そして、ネイチャーセンターの中にある実物大サンカノゴイのバードカービングも見ごたえがありました。
基礎知識について説明。説明のボードには、保護区ができるまでの絵が描かれている
ビジターセンター
ネイチャーセンターでは、チーフレンジャーのデイブ氏に保護区の歴史や成り立ちなど基礎知識について説明を受けてから、実際に野外に出てハイド(隠れ場所になる小屋や壁)や水位調整用の水門、立入禁止区域にあるチュウヒの観察台などチュウヒの保護活動に関する特徴的な設備をまわりながら、湿地の創出方法やチュウヒの調査方法などについてレクチャーを受けました。
最後に、別のハイドにチュウヒの個体数増減の歴史が書かれたパネルがあり、よく読んでいたところ、チュウヒが近くを飛んでくれました。
参考URL:RSPB/Lakenheath Fen Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・レイクンヒース フェン ネイチャー リザーブ)公式サイト
RSPB/Nene Washes Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ネイネイ ウォッシーズ ネイチャー リザーブ)
2025年6月13日
ネイネイウォッシュの湿地。タゲリやオグロシギがよく見られた
2025年6月12日(木)は、ケンブリッジの北西40km程にあるRSPB(英国王立鳥類保護協会)のNene Washes(ネイネイ ウォッシーズ)という野鳥保護区を訪問しました。
到着後はさっそく車で保護区の中に入り、サイトマネージャーのジョナサン氏とクリス氏から、保護区の歴史や成り立ち、自然環境の状況等についてレクチャーを受けました。ここは広大なWash(ウォッシュ)で、ウォッシュ全体で1,522haある敷地のうち800haをRSPB(英国鳥類保護協会)が管理し野鳥保護区にしています。
車で現地をまわりながらレクチャーを受けた
牛に草を食べてもらう植生管理
ここは牛に草を食べてもらうことで植生管理をしていました。意図せずにできた干潟には多くのタゲリなどが集まり、その近くにはクロヅルもいました。さらに奥に進むと、チュウヒが好む採餌環境を見ることもでき、最後には、チュウヒが少し近くを飛んでくれました。
広大な保護区内では羊も放牧されている
参考URL:RSPB/Nene Washes Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ネイネイ ウォッシーズ ネイチャー リザーブ)公式サイト
RSPB/Frampton Marsh Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・フランプトン マーシュ ネイチャー リザーブ)
2025年6月15日
ビジターセンターの目の前に広がる湿地
2025年6月13日(金)は、ケンブリッジから北に115kmのボストンという町の近くにある、RSPB/Frampton Marsh Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・フランプトン マーシュ ネイチャー リザーブ)を訪問しました。フランプトン・マーシュ(Frampton Marsh)は、イングランド最大の湾「The Wash(ザ・ウォッシュ)」のすぐそばにあり、多様な淡水湿地が存在することから、豊かな鳥類相を有する湿地です。

ビジターセンター外観

ビジターセンターに併設されたカフェ
私たち一行は到着後すぐに、ガイド役のジョナサン氏からビジターセンターの中で、湿地の成り立ちや歴史、ビジターセンターの運営のことなどのお話を伺いました。その後は外に出て、伺ったお話を実際にこの目でみて、そして、氏から丁寧に湿地のことなどを説明いただきました。

センターの窓ガラスは、鳥の衝突防止のため、
紫外線反射コーティングされたガラスを使っています

広大な湿地を背景にレクチャーを受けているようす
ハイド(隠れ場所になる小屋や壁)にも入り、ここでは色々な鳥の繁殖のようすを観察することができました。帰り道ではゴシキヒワやソリハシセイタカシギなどを観察できました。

ゴシキヒワ

ハイド(隠れ場所になる小屋や壁)
2025年6月14日(土)の朝にヒースロー空港で一部メンバーを入れ替え、空港の南西200kmにあるトーントン(Taunton)という町に向かいました。途中、ウェイマス(Waymouth)にあるRSPB/Radipole Lake Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ラディポール レイク ネイチャー リザーブ)に寄り、ビジターセンターの壁に描かれたチュウヒと本物のチュウヒを観察することもできました。どこを訪問したかが分かるように、地図を付けておきます。
池の中州で休むソリハシセイタカシギとツクシガモ
参考URL:RSPB/Frampton Marsh Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・フランプトン マーシュ ネイチャー リザーブ)公式サイト
RSPB/Ham Wall Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ハム ウォール ネイチャー リザーブ)
2025年6月20日
Ham Wall Nature Reserve(ハム ウォール ネイチャー リザーブ)保護区

管理事務所。複数の保護団体が共同で使っている
2025年6月16日(月)は、ロンドンの南西180kmのサマセット州にあるHam Wall Nature Reserve(ハム ウォール ネイチャー リザーブ)保護区を訪問しました。到着後すぐにレンジャーのスティーブ氏から、保護区の歴史や環境のことを教えていただきました。
レクチャーを受けているようす
ヨシの刈り取り用専用の機械
この一帯は泥炭層が厚い地域で、元々は泥炭採掘跡地だった場所をRSPBが管理するようになりました。Ham Wall(ハム ウォール)保護区は、1990年代に英国で個体数が極めて少なかったサンカノゴイのヨシ原生息地を提供するために建設されました。この保護区は複数のセクションに分かれており、それぞれ水位を個別に調整できます。また、機械や牛を使ってヨシ原の維持管理をしています。

ヨーロッパコマドリ

アカアシシギ

タシギ
保護区に入るとさっそく、チュウヒとヨーロッパコマドリの歓迎を受けました。そして、全体を眺めてみると、かなり水分量の多い湿地により形成されている保護区であることが分かりました。タシギやアカアシシギなどの涉禽類が多く繁殖しているのも納得の環境でした。
最後に、見晴らしの良い観察場所でゆっくりと、スティーブ氏の解説を受けながら野鳥観察を楽しんで訪問を終えました。
参考URL:RSPB/Ham Wall Nature Reserve(英国王立鳥類保護協会・ハム ウォール ネイチャー リザーブ)公式サイト
Holkham National Nature Reserve(ホルカム ナショナル ネイチャー リザーブ)
2025年6月20日
Holkham(ホルカム)自然保護区2025年6月18日(水)はノーフォーク州北部、ウォッシュ湾南岸にあるHolkham National Nature Reserve(ホルカム ナショナル ネイチャー リザーブ)を訪問しました。到着後はさっそく、レンジャーのアンドリュー氏から、保護区の歴史や環境について教えてもらいました。
アンドリュー氏からのレクチャーこの保護区は3,900haありイングランド最大のNational Nature Reserve(英国王立自然保護区)で、放牧湿地、森林、塩性湿地、砂丘、海岸など、多様な環境が広がっていました。また、この保護区にはバードウォッチャーや乗馬愛好家など年間10万人以上の来訪者があり、地域経済にとって重要な役割を担っているとのことでした。
アンドリュー氏に保護区の環境を一通り見せていただいた後は、事務所でデータを見せてもらいながらヨーロッパチュウヒの繁殖状況などの説明を受け、再び野外で、ヨーロッパチュウヒの典型的な営巣環境を見せていただきました。
ヨーロッパチュウヒ
背の高い抽水植物が密に生い茂るヨーロッパチュウヒの営巣環境
ミヤコドリやソリハシセイタカシギなど涉禽類が繁殖する場所を案内いただくと、チュウヒの歓迎を受けました。最後に、映画の撮影などでよく使われるホルカムビーチに行くと、警察官が乗馬訓練をしていました。そして、ハジロコチドリが千鳥足で歩いているところも観察できました。

ミヤコドリやソリハシセイタカシギ

ハジロコチドリ

ツクシガモとソリハシセイタクシギ
参考URL:Holkham National Nature Reserve(ホルカム ナショナル ネイチャー リザーブ)公式サイト
SWT/Carlton Marshes Nature Reserve(カールトン マーシズ自然保護区)
2025年6月27日
SWT/Carlton Marshes Nature Reserve(カールトン マーシズ自然保護区)2025年6月19日(木)の午前中に、サフォーク州の州都ノリッジ(またはノリッチ)から南東へ30kmのところにある、SWT/Suffork Wildlife Trust(サフォーク・ワイルドライフ・トラスト)が管理するCarlton Marshes Nature Reserve(カールトン マーシズ自然保護区)を訪問しました。自然保護区に着いてすぐ目に飛び込んできたのは、チュウヒをモチーフにしたロゴマークでした。これは期待しかありません。

ビジターセンター外観
チュウヒをモチーフにしたロゴマーク

ビジターセンター併設ショップ
Carlton(カールトン)湿地は、放牧湿地、湿原、泥炭地、堤防、水たまり、低木林が複雑に絡み合った地形で構成されています。これらの生息地のほとんどが人工的に造られ、数百年にわたって伝統的な方法で管理されています。
自然保護区では、まず管理員のギャビン氏から保護区全体の環境や歴史について説明を受け、次に車で保護区の中へ案内してもらいました。保護区の案内開始後すぐに、チュウヒの姿を見ることもできました。この保護区は、乾いた草原や少し湿った草原が多い印象で、北海道の勇払原野に似ている印象でした。

ヨーロッパチュウヒ

ギャビン氏からレクチャーを受けるようす
湿地の水の管理に重要な水門を見学していると、再びチュウヒが姿を現しました。最後にショップにいくと、そこでもチュウヒの実物大の姿を見ることができました。

実物大ヨーロッパチュウヒの写真
参考URL:SWT/Carlton Marshes Nature Reserve(カールトン マーシズ自然保護区)公式サイト
NWT/Hickling Broad and Marshes Nature Reserve(ヒックリング・ブロード・アンド・マーシズ自然保護区)
2025年6月27日
NWT/Hickling Broad and Marshes Nature Reserve(ヒックリング・ブロード・アンド・マーシズ自然保護区)

ビジターセンターの外観
2025年6月19日(木)の午後は、先ほどのCarlton Marshから北に1時間ほどのところにある、NWT/Norfolk Wildlife Trust(ノーフォーク・ワイルドライフ・トラスト)が管理するNWT/Hickling Broad and Marshes Nature Reserve(ヒックリング・ブロード・アンド・マーシズ自然保護区)を訪問しました。
ここはイースト・アングリア地方で最も広い表面積がある水路を有し、海に近いため水にはわずかに塩分が含まれています。航行用水路は、深さ1.5m、面積1.4km²と、イースト・アングリアで最大の広さの開水路の1つとなっており、イングランドで最大のヨシ原があります。

リザーブの全体図を見ながら解説を受ける

イングランドで最大のヨシ原

保護区内の視察では一部、ボートに乗って移動した

見晴台
自然保護区では、まず管理員のジョン氏からリザーブ全体の環境や歴史について概要の説明を受けました。その後、ボートに乗ってBroad(ブロード)※を見せていただきました。ボートで対岸に渡り、そこに建てられたキャノピータワー(樹冠観察塔)の一番上から保護区全体を見ながら、保護区内の環境やその管理方法等について説明をうけました。
※Broad(ブロード)とは、イングランド東部ノーフォーク地方にある浅くて広い淡水の湖や湿地を指します。

外壁のヨーロッパチュウヒの絵
ビジターセンターに戻った後、NWTのオリジナルグッズやショップの様子を見学させてもらいました。驚いたのは、お手洗いの外壁にも、立派なチュウヒの絵が描かれていたことです。この訪問では、思いがけずボートからブロードを見せていただけたことが、強く印象に残りました。今回の訪問場所が、この自然保護区訪問の旅の最後の地となりました。
参考URL:NWT/Hickling Broad and Marshes Nature Reserve(ヒックリング・ブロード・アンド・マーシズ自然保護区)公式サイト
今回のイングランド訪問を通して
私たちは、この保護区訪問の旅を通して、チュウヒが繁殖しやすい生息環境を作り出すのに、何をしなければならないか、どういった苦労があるのか等について、深く学ぶことができました。これも会員や支援者の皆さまの応援があってのことと感謝しております。
調査
チュウヒの繫殖状況調査
2025年5月26日
2025年5月、チュウヒの繫殖状況調査のために、勇払原野に行ってきました。ついひと月前までは、茶色い草木に覆われていましたが、現在は、まぶしいほどの新緑が広がる原野になっていました。
調査は、早朝から始まります。眠気との闘いになりますが、朝は鳥たちのさえずりが活発な時間帯であるため、楽しみな時間でもあります。調査をしていると、近くの木では、アオジやノゴマなどが軽やかな美しい声で鳴いていたり、時々アリスイがけたたましい声で鳴いている姿を見ることもありました。
特に目立っていたのは、オオジシギ。原野の空を引き裂くような爆音を轟かせながらディスプレイフライトをしていました。場所によっては、5羽のオオジシギが乱舞していて、次の世代へ命をつなぐため懸命に飛んでいる姿に感動しました。
春の勇払原野
オオジシギ

ノビタキ
2025年5月28日
2025年5月に、チュウヒの繫殖状況調査のために、サロベツ原野に行ってきました。ついひと月前までは、残雪に覆われていたサロベツ原野。現在は緑の草原になっています。調査は、早朝から始まります。眠気と闘いながら調査をしていると、ある場所でチュウヒペアの縄張り境界付近で2ペアのチュウヒが争っている?のを観察しました。調査は順調に進み、幌延町内だけで約15つがいのチュウヒが繁殖していることを確認できました。
2ペアのチュウヒが争っている?
サロベツ原野
現在は緑の草原に
オオセッカ一斉調査に参加しました
2025年6月29日

ヨシ原の中からオオセッカを探す当会職員
2025年6月29日(日)、青森県の仏沼で行われたNPO法人おおせっからんど主催の「オオセッカ一斉調査」に参加しました。仏沼は、良好なヨシ原が形成された湿原で、オオセッカやコジュリンなどの希少な鳥たちが生息しています。さらに、本州の中では数少ないチュウヒの繁殖地のひとつでもあります。
当日は、朝5時から仏沼とその周辺でラインセンサスを行い、オオセッカをはじめとした草原性の鳥類の生息状況調査を行いました。早朝ということもあり、ヨシ原のあちこちからオオセッカやコヨシキリ、コジュリンなどの賑やかな声が聞こえ、豊かな湿原が残されているのだと実感できました。
調査中には、草原を低く飛ぶチュウヒも確認できました。仏沼は、2000年代はじめには、5つがいの繁殖が確認されていましたが、現在は、1~2つがいほどだということです。減少の要因は、仏沼周辺の環境変化が考えられるとのことでした。
チュウヒを守るには、巣を作るヨシ原だけでなく、食べ物を探すための草原や湿原、農耕地をセットにして守ることが重要です。当会としては、今後も地域の皆さんと情報共有、協力しつつ、本州のチュウヒの動向にも注視していきたいと思います。
オオセッカ保護のための野鳥保護区:仏沼野鳥保護区
渡良瀬遊水池ワシタカカウント探鳥会に参加しました
2026年2月5日

渡良瀬遊水池
渡良瀬遊水池は、栃木県・群馬県・茨城県・埼玉県の4県にまたがる国内最大級の遊水池です。その遊水地にて2026年2月1日(日)に開催された「渡良瀬遊水池ワシタカカウント探鳥会(主催:日本野鳥の会栃木県支部・渡良瀬遊水池をまもる利根川流域住民協議会)」に参加しました。この探鳥会は、チュウヒをはじめとしたワシタカ類の重要な越冬地である遊水池の保護に関する基礎的な情報を集めることを目的に1992年から行われています。
当日は、午前中が探鳥会、午後が集計作業でした。探鳥会では、遊水池を囲むように設けられた8か所の観察地点に分かれ、10:00から20分ごとにワシタカ類の個体数を数えました。私が行った地点では、ヨシ原の上を低く飛ぶチュウヒやハイイロチュウヒ、上空をゆっくりと旋回するノスリなどが見られました。午後の集計作業では、各地点の担当者から記録されたワシタカ類が報告され、また正確な個体数を算出するため各地点と重複してないかの確認が行われました。集計の結果、チュウヒは5羽が確認され、その他トビが28羽、ノスリが16羽など8種類のワシタカ類が観察されました。(詳細は栃木県支部「ワシタカカウント探鳥会の結果」を参照)。
この探鳥会は、30年以上続けられていますが、参加してみて栃木県支部をはじめとする関係者の皆さんの熱意が伝わってきました。今後も渡良瀬遊水池がチュウヒの生息地として残っていくことを願いたいです。
渡良瀬遊水池についてはこちら(日本野鳥の会「未来に残したい探鳥地」)
発表
鳥学会2025年度大会で発表しました
2025年10月3日

イギリスの事例について発表をする当会職員
2025年9月12日(金)~15日(月・祝)に札幌で開催された日本鳥学会2025年度大会で、チュウヒ保護を目的とした湿地環境創出のイギリスでの事例をテーマとしたポスター発表をしました。多くの方々が発表を聞きにきてくださり大変うれしかったですし、活発な議論もできたので充実した大会になりました。聞きに来てくださった皆さん、本当にありがとうございました。当会は、今後もチュウヒの保護を進めていくために調査研究活動を続けていきたいと思います。
ポスター発表「イギリスの自然保護団体による湿地環境創出の事例紹介 国内のチュウヒの保護を目指して」(稲葉一将・浦達也・山本 裕・手嶋洋子・田尻浩伸)
※ジャケットに付いているブローチは、当会の寄付返礼品のチュウヒのシルバーブローチです。
イベント
幌延町で希少な野鳥と花を学ぶ観察会を開催
2025年7月5日
7月5日、北海道の幌延町産業建設課と幌延町教育委員会の協力を得て、道北の幌延町内に住んでいる方を対象に、「ほろのべ鳥と花の観察会7月~夏のサロベツ原野の生き物たちに会いに行こう~」を開催しました。町民の方にサロベツ原野(IBA:重要野鳥生息地)に生息する希少種チュウヒをはじめとする野鳥や貴重な植物について知ってもらうためです。

バスの中からチュウヒを観察する参加者
当日はマイクロバスの中からチュウヒのオス3羽とメス1羽のほか、エゾセンニュウ、オオジュリン、オジロワシ、コヨシキリ、シマセンシュウ、ツメナガセキレイ、ノゴマ、ノビタキなど地域を特徴づける野鳥を観察することができました。
野鳥観察の後には、幌延ビジターセンターに併設する木道でエゾカンゾウ、カキツバタ、トキソウ、ネムロコウホネ、ノハナショウブ、 ヒオウギアヤメなどサロベツ原野の夏を彩る植物を観察し、地元の方たちに、地域の宝であるチュウヒや多くの貴重な野鳥や植物の存在を知ってもらうことができました。
浜厚真イキモノブースに出展
2025年8月2日
8月2日に、「石狩川流域湿地・水辺・海岸ネットワーク」主催の「浜厚真イキモノブース」に参加しました。会場は、当会が保全活動に取り組んでいる北海道勇払原野の、東部に位置する厚真町浜厚真です。このイベントでは、浜厚真で毎年開催されているサーフィン大会の会場に出展し、地域住民や大会参加者に向けて、浜厚真の生きものの紹介をしています。
会場では、浜厚真海岸に生息する魚類、昆虫、 植物の生体展示などもあり、各分野の専門家が解説をしていました。当会は、鳥類の担当として、 チュウヒの解説パネル等を展示し、その希少性や開発行為による影響を紹介しました。
来場者からは、「自分にできることからやってみます」という声があり、チュウヒをはじめとする希少鳥類の生息地の近くに住む方などに、保全の重要性を知ってもらうことができました。
ほろのべ名林公園まつりに出展
2025年8月18日

ステージのようす
2025年8月9日(土)、10日(日)に北海道幌延町で開催された「ほろのべ名林公園まつり」にブース出展しました。幌延町は、チュウヒのつがい数が日本一のサロベツ原野の中にある町です。
ブースでは、チュウヒの生態や当会の保護活動について知っていただけるようタペストリーを設置したり、塗り絵コーナーを設けたりしました。ブースに訪れた方々からは、「チュウヒという鳥をはじめて知った」、「そんなに数が少ないなんて驚いた」など様々な感想をいただけました。また、10日(日)には、当会の保護活動について紹介する20分ほどのPRステージをしました。
ステージでは、チュウヒのクイズを交えたりしながら、当会の活動についてお話しさせていただきました。当会としては、幌延町をはじめとした地域の皆さんにチュウヒのこと、保護活動のことをご理解いただけるよう今後も地域のイベントに参加できたらと思います。

当会ブースで実物大チュウヒのぬいぐるみを手に取る来場者

当会のブースに来てくださった方に、チュウヒのグッズ(ステッカーと缶バッジ)をプレゼントしました
その他
バードショップでチュウヒが宙を飛んでます!
2025年6月6日

実物大チュウヒのぬいぐるみ
現在、バードショップでは実物大のチュウヒのぬいぐるみを展示しています。思ったより、大きい?小さい? 感想は人によって違うので、ぜひ、その目で確かめに、バードショップに遊びに来てください!
- 直営店バードショップ
- 住所
- 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル3F
- 営業時間
- 11:00~17:00
- 定休日
- 日曜、祝日、年末年始









