市民フォーラム「大型風車の建設ラッシュを考える」を開催しました

2016年8月20日、北海道北部での大規模風力発電建設ラッシュに対する野鳥保護への懸念等をテーマにしたシンポジウムを北海道大学で開催しました。当日は、当会のように自然保護に慎重な立場と、自然エネルギー拡大推進の立場の関係者、市民など、定員を上回る120名の来場があり、この問題に対する関心の高さを知ることができました。

フォーラムのチラシはこちら(PDF/393KB)

野鳥と風力発電のセンシティビティマップ検討会

第1回・風力発電と野鳥のセンシティビティマップ作り検討会を開催しました

風力発電の導入推進側と野鳥保護側とで協議を重ねながら、双方が活用できるような風力発電と野鳥のセンシティビティマップを作成するために、東京都内に12名の専門家委員を招聘し、2016年3月14日に第1回・風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会を実施しました。

検討会では、マップ作りのモデル地域を稚内市・豊富町・幌延町とし、マップ作りの海外事例等を紹介し、マップ作りの方針や手順、考慮すべき生息地情報、配慮対象鳥種の選定方針、バッファーゾーンの設定方法、風況データの反映方法、地域合意形成の在り方等について議論しました。

第1回検討会
2016年 3月14日(月)13:00-17:00/東京都・品川区

検討内容
  1. 風力発電が野鳥に与える影響についての国内外事例紹介
  2. 脆弱性マップ作成対象地域の選定
  3. 脆弱性マップの海外事例紹介
  4. 脆弱性マップ作成の方針等
    ・脆弱性マップ作成の手順
    ・脆弱性マップ作成に活用できる生息地・土地利用情報
    ・脆弱性マップ作成の対象鳥種の選定
    ・脆弱性マップ作成に利用可能な鳥類の分布情報等
    ・脆弱性マップ作成に利用可能な風況等の情報
    ・脆弱性マップ作成に向けた対象地域における風力発電の導入目標量の設定の必要性
    ・現地鳥類調査手法
    ・脆弱性マップの活用における地域住民との合意形成のあり方
    ・脆弱性マップ上における脆弱性の表現方法
    ・脆弱性マップの公開方法

第2回・風力発電と野鳥のセンシティビティマップ作り検討会を開催しました

2016年8月21日、北海道北部で風力発電に対する野鳥の脆弱性マップの作成を目指し、12名の専門家委員を招聘して検討会を北海道大学で開催しました。第1回に続きこの検討会では、自然保護側、行政、事業者、専門家の間で野鳥への影響を回避できる立地選定について合意可能なマップ作りを目指すとの方針が固まり、これまでの調査結果やマップ作成の手順を報告しました。

第2回検討会
2016年 8月21日(日)10:00-12:30/北海道・札幌市

検討内容
  1. 第1回マップ検討会の議事録確認
  2. 第1回マップ検討会で出た質問および意見への回答
  3. 今後のマップ作成の方針等に関する事務局案の確認
  4. ・脆弱性マップ作成の方向性や目標
    ・脆弱性マップ作成対象地の選定およびエリアサイズ
    ・洋上風力発電向けの脆弱性マップ作成の必要性
    ・バードストライク発生確率の脆弱性マップでの取り扱い方針
    ・脆弱性マップ作成に向けた対象鳥種の絞り込み方法
    ・バッファーゾーンを脆弱性マップに取り入れる必要性の有無
    ・風況データとの整合性
    ・導入目標値との整合性

  5. 2016年の繁殖期における現地鳥類調査結果と今後の調査内容

第3回・風力発電と野鳥のセンシティビティマップ作り検討会を開催しました

東京都内に11名の専門家委員を招聘し、2017年3月2日に第3回・風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会を実施しました。
第1~2回検討会では、マップ作りの対象地を風力発電計画が集中する稚内市・豊富町・幌延町・天塩町の一部とし、一定の科学的根拠をもって野鳥への影響を考慮した風力発電の不適地の選定を促し、利害関係者間の合意の取りやすさおよび第三者機関による適正立地の可否の判断材料となるマップ作りを行っていくことが決まりました。続く第3回では、マップ作りの対象鳥種の選定方針、鳥類データがない場所での生息分布予測手法、マップ上での脆弱性の表現方法について議論されました。

第3回検討会
2017年 3月 2日(木)14:00-17:00/東京都・品川区

検討内容
  1. 第1・2回脆弱性マップ検討会での決定および議論中の事項
  2. 現地鳥類調査結果報告
  3. 分布予測モデルの脆弱性マップ化の必要性
  4. 脆弱性マップ作成に向けた対象鳥種の決定方法
  5. 脆弱性マップ上における脆弱性の表現方法

第4回野鳥と風力発電のセンシティビティマップ検討会を開催しました

北海道豊富町に9名の専門家委員を招聘し、2017年11月14日に第4回・風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会を開催しました。
第1~3回検討会では、マップ作りの対象地を風力発電計画が集中する北海道北部日本海側とし、利害関係者間の合意の取りやすさや立地選定の良し悪しの判断材料となるマップ作りを行うこと、また、マップ作りの対象鳥種の選定方針等について議論しました。第4回となる今回は、具体的にマップ作りの対象鳥種を選定(チュウヒ、オジロワシ、オオワシ、マキノセンニュウ、ツメナガセキレイ、マガン、ヒシクイ、コハクチョウ等)し、マップ上でどのように脆弱性を表現するかについて議論されました。

第4回検討会
2017年11月14日(火)14:00-17:00/北海道・豊富町

検討内容
  1. 第1-3回マップ検討会での決定事項
  2. 現地鳥類調査結果報告
  3. 脆弱性マップ作り対象鳥種の決定
  4. 脆弱性マップ上における脆弱性の表現方法
  5. バッファーゾーンを脆弱性マップに取り入れる必要性の有無

第5回野鳥と風力発電のセンシティビティマップ検討会を開催しました

東京都内に11名の専門家委員を招き、2018年3月22日に「第5回・風力発電と野鳥の脆弱性マップ作り検討会」を開催しました。
第1~4回検討会では、マップ作りを北海道北部で行い、野鳥保護の視点からみた立地選定の良し悪しを判断できるマップをチュウヒ、オジロワシ、シマアオジなどの重要種および風車に脆弱な種、マガン、ヒシクイ、コハクチョウなどの集団飛来種、アンケートにより選出されたミコアイサ、ユキホオジロ、ノゴマなどの地域重要種の分布情報をもとに作成することが決まりました。
第5回となる今回は、実際に作成したマップを委員に確認いただき、最終的にどのようなマップに仕上げていくかについて議論しました。

第5回検討会
2018年 3月22日(木)13:00-17:00/東京都・品川区

検討内容
  1. 第1-4回検討会での決定事項等
  2. 現地鳥類調査結果の報告
  3. 対象地域における脆弱性マップ作成の結果
  4. 脆弱性マップの公開方法について

チュウヒに会いたい:マナーを守って観察撮影しよう

チュウヒは、冬になると全国のヨシ原に渡来し、また開けた環境に生息することから観察がしやすいタカの1種です。ただし、チュウヒは個体数が少ないだけでなく大変神経質なため、極力影響を与えない観察が推奨されます。

会いに行く前にマナーを確認

チュウヒの観察の際に問題になるのは、チュウヒを近くで見たいがために、巣やねぐらのあるヨシ原や草原に近づきすぎてしまうことです。ただでさえ個体数の少ないチュウヒですので、人による妨害の結果、個体数をさらに減らしてしまう事態は絶対に避けなればなりません。

チュウヒの越冬地のひとつ諫早干拓
チュウヒの越冬地のひとつ諫早干拓。周辺には農耕地や民家がある。

当会の調査風景写真
当会の調査風景写真

チュウヒは、農耕地や河川敷の公園など人の生活圏の近くで見られることもあります。このような場所で観察する際、私有地や立入禁止区域などに無断で進入したり、農道を痛めてしまうなどの恐れがあります。必ず観察する場所がどのようなところか確認し、さらに地域住民の方々に迷惑をかけないように観察を楽しんでいただきたいと思います。

当会のチュウヒ繁殖状況調査では、基本的に車内から観察を行います。場合によっては、車の窓にカーテンを張ってその隙間から観察し、観察者の姿がチュウヒに視認されないよう努力をしています。また、観察中は、チュウヒが利用する草原から十分な距離をとり、短時間で行います。もちろん、チュウヒの警戒行動(急に飛行の向きを変えるまたは警戒声を発する等)が見られた場合は、すぐに観察を中断し立ち去るようにしています。

フィールドマナーはこちら

野鳥観察・撮影のガイドラインはこちら

【コラム】観察・撮影圧によるチュウヒの繁殖放棄

とあるチュウヒの繁殖地で、連日居並ぶ写真撮影者の影響により、チュウヒが繁殖を放棄してしまった事例を確認しました。

このチュウヒのつがいは、道路からの距離が割と近い場所の草原で繁殖を始めたのですが、それが発見されるとすぐに写真撮影者たちが周辺都市などからも通ってくるようになり、連日のようにカメラの放列が朝から晩まで並ぶ事態となりました。

そうなってからは、オスがエサを巣にもち帰る頻度が徐々に下がり、さらにカメラマンが増えると、とうとうエサを運んでこなくなりました。これは雛が餓死するなどで繁殖放棄が生じたのだと考えられます。

チュウヒが国内希少野生動植物種に指定されました

 当会や連携団体によるこれまでの働きかけが実り、環境省は、2017年8月23日に開催された中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会・鳥獣の保護及び管理のあり方検討小委員会合同会議において「国内希少野生動植物種の追加及び削除」等を審議、答申を出し、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)施行令を改正し、国内希少野生動植物種にチュウヒを追加しました。

 チュウヒが国内希少種となったことで、今後は、個体の捕獲、譲渡し等が原則禁止となり、必要に応じ生息地等保護区の指定や保護増殖事業が実施されるようになります。

  • 詳しくはこちら(環境省サイト)

チュウヒ保護の進め方の公表について

 環境省は2016年6月13日、当会も検討委員として参加したチュウヒ保護方策検討会の成果として、チュウヒの保全に役立てるための「チュウヒ保護の進め方」をとりまとめました。今後は、開発や保護の関係者が、このガイドラインを広く活用することが想定されいます。

 チュウヒは、日本では湿原に生息・繁殖する唯一の猛禽類で、チュウヒが生息していることは、良好な湿地生態系が維持されていることを意味します。
 しかし、現在、日本国内で繁殖するタカ科の鳥類の中では繁殖個体数がもっとも少ない種となっています。チュウヒの個体数の主要な減少要因は、湿地の開発や植生遷移によるヨシ原の衰退等による生息環境の減少等です。

 このため、チュウヒの専門家による検討会等を踏まえ、「チュウヒ保護の進め方」をとりまとめ、公表しました。内容は、チュウヒ繁殖地の保全・配慮の考え方や具体的手法等を示し、チュウヒの保護活動等に取り組む関係者が、チュウヒ繁殖地の保全に役立てることができるようなものになっています。

  • チュウヒの保護の進め方のダウンロードはこちらから(環境省サイト)

生きものもすみやすい田んぼづくり(ナベヅルのえさば)の様子(徳島県 阿南市・小松島市)

2020/02/20

昨年秋からから試行している、ナベヅルを指標にした「生きものもすみやすい田んぼ」の様子を見に行ってきました。今年は四国全体でナベヅルの飛来が少なく、徳島県内でほとんど確認されていませんが、実施田ではタヒバリやツグミが二番穂の中に出たり入ったりしていました。

これらの鳥は冬の間、小型の昆虫をえさにするので、餌場として利用しているのかもしれません。二番穂を残している地表面ではハネカクシやクモ類、ナナホシテントウなどが見られました。
自動撮影カメラを設置したので、引き続き様子を見てみたいと思います。

ツグミとタヒバリ

ツグミ(赤枠)とタヒバリ(黄枠)。今季は二番穂の実りがあまり良くなく、一見実っているように見えるが触ってみると結実してない籾が多い。

小学校で人の暮らしとツルのつながりを学ぶ授業を開催しました(熊本県玉名市)

2020/02/13

熊本県玉名市の横島干拓は、有明海に面し、昭和中期に造成された干拓地で、農業がとても盛んな場所です。米作りに関する歴史や文化が、文化庁が認定する「日本遺産」に認定されています。

マナヅルとナベヅルは人が稲作を行うことで発生する落穂や二番穂を主要なえさにしています。横島干拓では約10年前に米作りが本格的に始まってから、ツルの越冬が見られるようになりました。毎年20羽前後のマナヅルが越冬し、集中化が問題になっている鹿児島県出水市以外の越冬地の中では、最多クラスを誇ります。500ha以上と広大で平坦な農地が広がっていることも、ツルが好む環境です。

干潟を農地に作りかえたことで、失われた自然もある一方、ツルのように農業をうまく利用してすみついた生きものもいます。このような人の暮らしと生きもののつながりを地域の方に知っていただくため、昨年度から横島小学校でツルと地域のなりたちや、産業との関係についての授業を実施しています。

今年度は5回のシリーズで3年生の授業として実施しました。まずは身近な野鳥をテーマにした授業からはじまり、ツルと地域に関する授業、最後は横島町で開催される「玉名いだてんマラソン2020(横島いちごマラソン)」で、子どもたちがこれまでに学んだ地域の魅力をチラシ等にして参加者に伝えることになりました。教室には、これまでの授業で習った野鳥の写真が掲示され、学校のホームページにはデジタル図鑑もできました。こんなに野鳥の勉強ができる学校はそうないかと思います。

ツルと地域に関する授業は、2020年1月23日に日本野鳥の会熊本県支部、横島校区まちづくり委員会、横島町文化財保存顕彰会と共同で実施しました。はじめにナベヅル・マナヅルの生態や現状、農業との関係についてクイズを行い、その後、バスに乗って横島干拓に行ってツルを観察したり、国の重要文化財に指定されている干拓施設を見学しました。

子どもも先生も真剣にメモしつつ、わぁわぁ盛り上がったり、自然に質問が出たりと良い学びのスタイルだったと思います。

数日前から雨が続き、この日も霧で視界は悪かったのですが、行動観察シートを使って、ツルの行動やしぐさの意味、成鳥・幼鳥の違いなどを観察しました。


霧のために幻想的な風景で、いつもとは違う魅力も



国の重要文化財「旧玉名干拓施設」(潮受堤防、樋門)


見学に使ったバスは、昨年度は当会で借りましたが、玉名市役所に相談したところ、授業の意義を感じて、今年度は市役所が用意してくださいました。市内のほかの学校でも野外学習の際にバスが使えるようになったそうです。この取り組みをきっかけに、市内の子どもたちの行動範囲が広がり、実際に見て・感じて学ぶ機会が増えるのであれば、嬉しい限りです。

※日本遺産HP
米作り、二千年にわたる大地の記憶~菊池川流域「今昔『水稲』物語」~

※横島小学校HP
「横島町で観察できる野鳥」
授業の様子もブログに載っています https://es.higo.ed.jp/yokoshimaes/

(写真:日本野鳥の会熊本県支部東としこ)

刺し網漁による海鳥混獲回避策の洋上実験

日本野鳥の会とバードライフ・インターナショナルは、刺し網漁による海鳥の混獲回避に効果があり、かつ漁獲量に影響を与えない方法を開発するため、2019年に、国内でも海鳥が数多く生息する天売(てうり)島周辺および羽幌(はぼろ)沖で洋上実験を行いました。実験を行うにあたり、北るもい漁業協同組合と、北海道海鳥センターよりご協力をいただきました。また、Kingfisher財団から、当事業への助成をいただきました。

北海道 羽幌町・天売島の位置

実験の目的:
刺し網漁による海鳥の混獲回避に有効で、かつ漁獲量に影響を与えない手法を開発する。
実験の概要:
北海道羽幌沖と、天売島の2か所において、これまでに海外で刺し網漁による混獲回避実験で使用されたA)LEDライト、B)布製パネルをそれぞれ網に取りつけて漁を行い、海鳥の混獲を減らす効果と、漁獲量への影響の有無の検証を行った(天売島ではLEDライトの実験のみ)。

LEDライト

A)LEDライト
ケースに入れたLEDライト(水中では緑色のライトが自動で点灯し、水からあげると消灯する)を刺し網に取りつけて使用する。ケースの長さは18㎝、ライト、ケース、電池の総重量は200g。


布製パネル

B)布製パネル
海水を吸わない軽量な布製パネル(60cm x 60cm)を刺し網に取りつける。


いずれも、実際の出漁時に、実験網(LEDライトまたはパネルの装着有り)とコントロール網(LEDライトまたはパネルの装着無し)を同時に使用し、効果の比較と実験網の使い勝手の検証を行った。実験後には、所定の用紙に、網の設置・水揚げ日時、水深、魚種別水揚げ量、網にかかった海鳥の情報を記入・提出していただいた。

1.北海道羽幌沖での実験

時期:
2019年1~2月〔実験日 2019年1月20日、26日、2月16日、20日〕
実験回数:
8回(実験A、B各4回)
対象魚種:
カジカ
網の種類:
1枚網
水深:
18~23m
協力者:
北るもい漁協の漁師2名
実験方法:

A)LEDライトを使用した実験
全長910mの網のうちの210mを実験網とし、その上部にLEDライトを10m間隔で取りつけた。ライトの影響を受けないよう、490mの網を挟んで、残る210mをコントロール網(実験網と比較するための、何も取りつけない網)とした。1回の操業で網を海中に仕掛けている時間は気象条件により異なるが、22~90時間であった。
B)パネルを使用した実験
全長140~840mの網のうちの、70mを実験網とし、4m間隔で計18枚のパネルを取りつけた。続く70mをコントロール網(実験網と比較するための、何も取りつけない網)とした。残る0~700mの網は、漁師さんの判断によりつけられた。網を仕掛けている時間は気象条件により異なるが、1回の操業につき20~90時間であった。

北海道・羽幌町での実験図

2.北海道天売島での実験

時期:
2019年5~8月〔実験日 2019年5月12日、6月10日、8月9日、8月10日〕
実験回数:
4回
主な対象魚種:
ソイ、ヒラメ、カスベ、ミズダコ
網の種類:
3枚網
水深:
18~50m
協力者:
北るもい漁協の漁師1名
実験方法:

A)LEDライトを使用した実験
全長3075~3600mの網のうちの、225mを実験網とし、その上部にLEDライトを10m間隔で計23個取りつけた。ライトの影響を受けないよう、200m以上の網を挟んで、続く225mをコントロール網(実験網と比較するための、何も取りつけない網)とした。その先に、漁師さんの判断により網が取りつけられた。網は午後に仕掛けたものが深夜に引き上げられ、仕掛けている時間は1回の操業につき9~11時間であった。

北海道・天売島での実験図

実験結果:

羽幌町の実験Aでは、4回行った結果、実験網、コントロール網の両方に海鳥がかかった。LEDライトつきの実験網の混獲数計5羽に対し、コントロール網(ライト無し)では計7羽であった。混獲率(混獲数/網の長さ(km)/24時間)は、LEDライトつき0.68に対し、コントロール網は0.96であった。
羽幌町の実験Bでは、4回行った結果、パネル付きの実験網の混獲数計4羽に対し、コントロール網(パネル無し)では3羽であった。混獲率は、パネル付き1.66に対し、コントロール網は1.24であった。
なお、実験A、Bで混獲が確認された海鳥は、ケイマフリ、ヒメウ、オオハム、シロエリオオハムであった。
天売島での実験では、LEDライトつきの実験網、コントロール網のどちらにも海鳥はかからなかった。
実験回数に限りはあるが、以上の結果からはLEDライト、パネルによる混獲回避のはっきりした効果は見られなかった。

●混獲された海鳥の数・混獲率(実験網、コントロール網のみの比較)
北海道・羽幌町での実験図

なお、実験網・コントロール網のどちらでもない網(漁師さんが取りつけた網)でも海鳥の混獲があり、その数は合計15羽(羽幌町13羽、天売島2羽)であった。

その他:
1.LEDライト、布製パネルの使い勝手
今回使用したLEDライトは、大きく重かったため、軽量化が望まれる。また、水からあげると自動で消灯するはずが点灯したままになっている、気温・水温が低いためかバッテリーがすぐに切れてしまうという問題があり、改良が望まれる。なお、パネルについては、使いやすく一枚網に絡まることもなかった、という評価であった。

2.漁獲量への影響
実験回数が少なかったため、はっきりとは言えないが、LEDライトをつけた網に魚が多くかかることがあり、ライトによる集魚効果が考えられる。

おわりに:
今回の実験では、操業回数が少なかったこともあり、LEDライト、布製パネルのいずれにおいても、明確な混獲回避効果は確認できなかった。実験を行った海域は、絶滅危惧種の海鳥の生息域と重なっており、実際に実験の中でも混獲が起きているため、刺し網による海鳥への影響が懸念される。今後も引き続き、漁業関係者の協力をいただきながら、情報収集と混獲回避策の開発を進める予定である。

英文報告書 Gillnet Bycatch Mitigation Report(PDF/1.82MB)

チュウヒサミット2017の報告

チュウヒサミット2017
‐日本国内におけるチュウヒの生態と、その保護の進め方について‐
参加者100名以上! 大盛況のうちに閉会

2017年9月21日(土)の午後13時より名古屋市立大学・桜山キャンパスでチュウヒサミット2017(主催:日本野鳥の会愛知県支部・日本野鳥の会三重・名古屋鳥類調査会/共催:当会/助成:日本鳥学会津戸基金)が開催され、全国各地のチュウヒ研究者や観察者が名古屋に集まりました。

チュウヒサミットは過去に3回(2006・2008・2010年)開催されていますが、今回のチュウヒサミット2017は、チュウヒが種の保存法の対象になったことやメガソーラー開発で生息地が奪われている現状を広く市民に知らせ、全国で個人が行うチュウヒの研究や保護活動を一つにつなげるために開催されました。当日は生憎の雨にもかかわらず、115名の参加者を数え、全国的にチュウヒの保護が注目されていることを実感しました。

サミットでは日本野鳥の会岡山支部・多田英行氏が「日本のチュウヒの生態」、道央鳥類調査グループ・先崎啓究氏が「北海道におけるチュウヒの生態」、当会の浦・主任研究員が「今後の〝チュウヒの保護の進め方“について」について基調講演を行い、続いて6件の各地からの報告があり、チュウヒの研究や保護に関する最新の知識を学ぶことができました。

日時:
2017年9月21日(土)13:00~17:00
場所:
名古屋市立大学・桜山キャンパス/医学研究科・医学部研究棟 11F講義室
主催:
日本野鳥の会愛知県支部・日本野鳥の会三重・名古屋鳥類調査会
助成:
日本鳥学会 津戸基金
  • 基調講演(1) 日本のチュウヒの生態 ~地域や季節による多様性~
    多田 英行/日本野鳥の会岡山県支部
  • 基調講演(2) 北海道におけるチュウヒの生態
    先崎 啓究/道央鳥類調査グループ
  • 基調講演(3) 今後の「チュウヒの保護の進め方」について(PDF 441KB)
    (公財)日本野鳥の会自然保護室/浦 達也
  • 各地からの報告(1) チュウヒの国内南限繁殖地
    三上 剛・前田 伸一/日本野鳥の会北九州支部
  • 各地からの報告(2) カムバックチュウヒプロジェクト -大阪府堺市産廃埋め立て処分地のチュウヒの繁殖と環境保全
    清水 俊雄/日本野鳥の会大阪支部 堺7-3区PT
  • 各地からの報告(3) 北海道サロベツ湿原におけるチュウヒの営巣環境選択
    平井 千晶・浦 達也・長谷部 真・西林 直哉・北村 亘/東京都市大学・(公財)日本野鳥の会・NPO法人サロベツ・エコ・ネットワーク・(一財)日本気象協会
  • 各地からの報告(4) チュウヒが受けるストレス
    中川 富男/日本鳥類標識協会
  • 各地からの報告(5) 日本国内で繁殖するチュウヒの分散の把握について
    中川 富男・一北 民郎/日本鳥類標識協会
  • 各地からの報告(6) 木曽岬干拓地でのチュウヒの繁殖の現状と今後の懸念
    日本野鳥の会三重 近藤 義孝/木曽岬干拓地チュウヒ調査グループ(日本野鳥の会愛知県支部・日本野鳥の会三重・名古屋鳥類調査会)
  • 「チュウヒ保護ネットワーク」を設立しました!

サミットの様子

「令和元年 ナベヅル、マナヅルの全国飛来状況調査」を実施します

ナベヅル・マナヅルは、越冬地の減少や鹿児島県出水地域での集中化が問題になっているため、越冬地の復元や新形成が求められています。西日本の一部の地域では、市民や自治体による越冬地保全が行われています。そこで、出水以外の分布状況や飛来地の現状を調べるために、毎年ナベヅル・マナヅルの飛来状況調査を実施しています。

今年度も環境省請負業務として実施しますので、この冬、ナベヅルやマナヅルを目撃した方は情報をお寄せいただけると幸いです。詳細は下記をご覧ください。

ナベヅル
ナベヅル

■調査方法
調査用紙に必要事項をご入力いただき、送付先(調査用紙に記載)までメール等でご送付ください。確認日、確認場所、ツルの種類、個体数は必須項目です。

調査用紙はこちら(PDF 125KB)
※アオサギやカワウ等と見間違えることが多いので、できれば写真もご添付ください。
 ・(ツルから300m程度の距離を保ち、無理に撮影はしないでください)
※保全上、非公開にすべき情報につきましては、報告書に掲載しないなど、取扱に配慮致しますので、ご相談ください。
※ナベヅル、マナヅル以外のツル類(クロヅル、カナダヅル、ソデグロヅル等)を確認された場合もお知らせください。

■対象期間
2019年10月~2020年2月10日(月)
※報告書作成の関係で上記の期間としていますが、これらのツル類は3月まで見られますので、2/10以降も目撃・観察情報がございましたら、随時お知らせください。
■対象エリア
鹿児島県出水市以外の全国
■締切
2020年2月10日(月)
※期日以降も目撃・観察情報がございましたら、随時お知らせください。
■その他
・調査結果は、環境省の報告書(令和2年3月末 発行予定)およびツル保全に関する事業に活用させていただきます。
・個人情報については本調査のみで用い、公開することはありません。
(参考)
平成30年度ツル類の飛来状況調査 ご協力のお礼

ナベヅル
ナベヅル・マナヅルについて(大きな画像でみる)(PDF 600KB)