サシバ保護の取り組み

1.サシバとは~生活とその生態

サシバ
サシバ

サシバは、東北地方以南に夏鳥として渡来する中型の猛禽類です。南西諸島からフィリピンなどで越冬し、おもにトノサマガエルやニホンアカガエルなどの両生類、シマヘビやニホンカナヘビなどの爬虫類、ヤママユガの幼虫やトノサマバッタなどの昆虫類、小型哺乳類などを食物としています。

トノサマガエル
トノサマガエル

東日本におけるサシバの生息地の多くは谷津田や谷戸と呼ばれる里山環境です。サシバの行動圏は約100~200haで、水田と森林の接する長さが長い環境を好むことが知られています。例えば千葉県佐倉市の谷津田環境は、谷津田と斜面林の境界を含むように細長い形状をしています。ひとつの谷津田の面積が大きいので、そこだけで生息が可能なようです。

育雛中期(6月中旬)から巣立期(7月上旬)を経て秋の渡りが始まるまで、採食地が谷津田から森林に移行し、バッタ類やガの幼虫等の昆虫類の採食割合が増加します。そのため、サシバの保全には、人工林の間伐等生物多様性の高い森にすることが大切です。

西日本の生息地
西日本の生息地

一方、西日本における近年の研究では、東日本とは生態や環境利用などが異なるサシバが多く生息することがわかってきています。また、生息地の周辺に水田がほとんどない山地でもサシバの営巣が確認されており、里山環境で繁殖する個体群とは生態や環境利用等が異なる部分も多いことが分かりつつあります。

2.里山環境の変化などで減少~サシバの現状

耕作放棄田
耕作放棄田

環境省の繁殖分布調査の結果によると、生息分布が急激に縮小していることが示されており、特に関東以西でその傾向が顕著です。そのため、平成18年12月に改訂された環境省レッドリストでは、絶滅危惧 II 類としてとりあげられるまでになってしまいました。サシバは、ダム建設事業や道路建設事業、住宅地や工業団地等の面的な開発事業等のほか、水田の圃場整備や耕作放棄等による採食環境の悪化により、その生息に影響を受ける事例が見られます。

「ピックイー」と独特の大きな声で鳴くサシバですが、生息地が失われるとその声も聞こえなくなります。豊田市自然観察の森周辺でも放棄田が増えつつあり、サシバを見る機会は減っています。

3.当会の活動

1)豊田市自然観察の森での取り組み

水張休耕田
水張休耕田

豊田市自然観察の森の里山保全計画において「サシバのすめる森づくり」をテーマに、2004年まで繁殖していたと思われるつがいの復活を目的に餌資源であるカエル類を増やすために休耕田に水を張る事業を2005年からスタートさせました。2004年度は2,183㎡、2009年度には合計12,931㎡整備しました。卵塊の合計では、2004年は727個、 2005年は645個、2006年は1,223個、2007年は2,777個、2008年は1,528個、2009年は3,404個であり増加させることができました。

この取り組みの一環で、サシバの餌資源調査、行動圏調査、生息適地モデルの作成等を行いました。

ニホンアカガエルの卵塊
ニホンアカガエルの卵塊

また、2007年には、豊田市で劇団シンデレラによる「2007SORA~ぼくは野鳥のレンジャーだ~」と題するサシバの保全をテーマとしたミュージカル公演を行ないました。

豊田市自然観察の森における当会の保護活動は、当会が同施設の指定管理者受託を終了したため、2024年3月に終了いたしました。

2)サシバ保護エコツアー

ヤシの木にとまるサシバ
ヤシの木にとまるサシバ

2019年3月17日(日)~22日(金)の6日間、当会・アジア猛禽類ネットワーク・日本自然保護協会と共催で「フィリピン・サシバ保護エコツアー」を開催しました。日本人スタッフ含め18名のメンバーで、ルソン島でバードウオッチングや地元の野鳥保護に関わる人々との交流を行いました。

ほんの数年前まで密猟が行われていた地域であるルソン島北部のサンチェスミラ市周辺は、渡り前にサシバが集結する重要なポイントの一つでもあります。かつての密猟者は銃を双眼鏡に持ち替え、日本人などの観光客にサシバの生息地ガイドを行っています。エコツアーが存続することで密猟の抑止になり、サシバの保護にもつながります。

若者たちによる歓迎の踊り
若者たちによる歓迎の踊り

バードウオッチングでは現地の鳥に詳しいネイチャーガイドにより、様々な野鳥に出会えました。サシバの群れはもちろん、フィリピンカンムリワシやフィリピンクマタカなどの猛禽類、アカノドカルガモ、アカサイチョウ、シロボシショウビン、バンジロウインコ、ウロコバンケンモドキなどが見られました。特に夜の森の観察で出会った、ねぐらのヤシの木にとまるサシバやフィリピンアオバズクは印象的でした。


フィリピン・ルソン島「サシバの渡り保護エコツアー」開催のお知らせ

※コロナ禍のため、しばらくの間中止とさせていただいております。

当会では2020年3月、アジア猛禽類ネットワーク、日本鳥類保護連盟、日本自然保護協会とともに、『フィリピン・ルソン島 サシバの渡り保護エコツアー』を開催します。

フィリピン最大の島・ルソン島では、数多くの固有種が生息しており、毎年3月下旬には、サシバが繁殖のために島北部に集結します。過去には、年間5000羽に及ぶサシバの密猟が確認されていましたが、現在では、地元の団体や日本からの支援によりゼロになっています。

今後、サシバ保護を地域に定着させるためには、エコツアーを通じ、サシバの繁殖地である日本と、越冬地であるフィリピンの市民交流が必要になります。

地域の方々のおもてなしと、美味しい食事は、お墨付き。自然保護と熱帯雨林でのバードウォッチングを楽しむ、本物エコツアーぜひにご参加ください。

「サシバの渡り保護エコツアー」のご案内


3)サシバサミット

2019年5月25~26日に栃木県の市貝町立小貝小学校で第1回国際サシバサミットが当会も参加する実行委員会主催で開催され、全国から300名の参加者がありました。

市貝町長開会あいさつ
市貝町長開会あいさつ

 サミット開催のねらいは大きく2つあります。1つ目は、国内はもとより国境を超えてサシバの保護に関係する人々のネットワークづくりや顔の見える関係を構築すること。2つ目は、サミット開催地の住民にサシバのことを知っていただくこと。地元での活動を紹介することで自らの活動の意義を再認識していただき、地域での活動を盛り上げることです。そのため、サミットの前半は、市貝町でサシバや里山保全に関わる方々に登壇していただきました。

後半は、市貝町の取組みを当会遠藤孝一理事長から紹介するとともにフィリピンや台湾、沖縄県宮古島市からの報告が行われました。最後には、サシバ保護のために今後4つの項目を実行すること参加者全員で確認したサミット宣言が了承され、来年度は宮古島市、2021年はフィリピン、2022年は台湾で国際サシバサミットを開催することが公表されました。

記念植樹
記念植樹

26日にはエクスカーションが行われ、サシバの里自然学校のフィールドを堪能したり、サシバのための森づくりとして地元産の苗を使った記念植樹も行われました。

・関連リンク
 国際サシバサミット

4)フィリピンに中古双眼鏡を寄贈

寄贈双眼鏡
寄贈双眼鏡

フィリピン北部では、地域住民・NGO・大学・行政が一体となって猛禽類、とくにサシバの渡り調査と密猟根絶に向けた取り組みが行われ、その際には日本から寄贈された双眼鏡が大きな役割を果たしました。しかし、サシバはフィリピン南部からインドネシア(スラワシ)方面にも渡り、越冬する個体がいることが最近の調査で明らかになっています。

最近、この地域(ミンダナオ島南部のサランガイ地域)でも地元住民に加え、高校生や大学生がこの活動を開始しようとしていますが、観察器具である双眼鏡や望遠鏡はほとんどないのが現状です。この地域での活動を支援するため、日本から中古の双眼鏡、望遠鏡、三脚を寄贈し、フィリピン全域でのサシバの研究と保護の推進に寄与することを目的として当会会員に寄贈を呼びかけました。その結果、合わせて100台ほど集まり、共同企画者のアジア猛禽類ネットワーク(代表山崎亨)を通して現地のラプターネットワークフィリピンに寄贈します。

5)トヨタ自動車新研究開発施設に係る環境監視

豊田・岡崎地区研究開発施設用地造事業は、愛知県企業庁の事業で、岡崎市及び豊田市にまたがる地域(下山・額田)に研究開発用地を造成し、この造成地をトヨタ自動車株式会社が買い上げて、テストコース及び研究施設を建設し、施設を供用する計画です。

この事業計画区域は、愛知県北東部の豊田市と岡崎市にまたがり、美濃三河高原の一郭にあり、標高350mから550m位のゆるやかな起伏の丘陵地です。周辺に郡界川(ぐんかいがわ)、保久川(ほっきゅうがわ)及びそれらの支川が流れています。尾根と斜面は森林で、川沿いには水田が開かれており、森林と谷津田がおりなす美しい里山景観が広がっています。ここではサシバ、ハチクマ、ミゾゴイなどの絶滅危惧種の繁殖が確認され、野鳥にとっても貴重な里山環境であることが分かってきました。

2007年7月、愛知県が条例による環境影響評価(環境アセス)の手続きの中で方法書を作成、公表した時点では、660haの計画予定地のうち約410haを改変する予定でした。これに対し、地元の野鳥保護団体である愛知県野鳥保護連絡協議会や日本野鳥の会愛知県支部、当会などが要望書提出などの活動を行う中で、2011年2月に公表された環境影響評価準備書に載せられた計画では、計画地約652haのうち、改変面積を約270haまで小さくすることができました。

しかし、当会は、引き続き絶滅のおそれのある野鳥をはじめとする里山生態系の保全を求めて活動しており、その一環として、愛知県企業庁とトヨタ自動車が事務局を務める「トヨタ自動車新研究開発施設に係る環境監視委員会」に委員として参加し、工事による影響を把握しつつ保全のために意見、アドバイス等を行っています。

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シマフクロウ アクセサリー・クラフト類・衣類

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当会シマフクロウ保護事業のご寄付になるオリジナルグッズの販売をしています。グッズ1点につき250円を当会のシマフクロウ保護活動に活用させていただきます。

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シマフクロウ保護の取り組み

シマフクロウ 日本周辺にだけ生息する世界最大のフクロウ

シマフクロウとの共存ルール

2024年度に環境省を中心に当会も関わり「シマフクロウとの共存ルール」が策定されました。
北海道を訪れる際や、近隣でシマフクロウの姿を見かけた際には、以下のルールを守るようご協力をお願いいたします。

保護活動の最新情報

シマフクロウの生息範囲



シマフクロウ保護活動 Facebook

保護区パトロール日誌

小冊子『こんばんはシマフクロウ』無料配布中!

北海道に生息し、絶滅のおそれが極めて高い希少な野鳥「シマフクロウ」。より多くの方にシマフクロウのことを知っていただくため、生態や保護活動について紹介する小冊子『こんばんはシマフクロウ』を作りました。ぜひお申込みください。

詳細はこちら

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シマフクロウとは

シマフクロウは極東地域に狭い分布域を持ち、日本では北海道に生息します。全長70cm、翼を広げると約180cmの世界最大級のフクロウです。河川および湖沼で魚類やカエルなどを捕食し、広葉樹の大木の樹洞に営巣します。

20世紀初頭までは、北海道全域に分布していたのですが、森林伐採による営巣木の減少と河川改修や砂防ダム建設等による餌の魚類の減少等により、現在は、北海道東部の知床、根室、十勝、日高、上川地域などで見られるだけになりました。北海道本島の生息数は約100つがい、200羽ほどで、絶滅のおそれが最も高い絶滅危惧IA類に指定されています。1980年代以降の行政や研究者、各保護団体、地域の方々による保護活動の努力が実り、近年では個体数は増加傾向にあるため、今後の道東から道央、道南、道北地域への分布拡大が期待されています。

生息できる環境が無く、多くのヒナや若鳥が死ぬ

生け簀

知床地域では自然木の樹洞に営巣し、川に天然遡上する魚などを食べて暮らしています。しかし他の地域は大木や餌が少ないため、多くのシマフクロウは巣箱や給餌用生け簀などに頼って生きています。2019年時点で、国や民間などにより巣箱が約2百個、給餌用生け簀は10ヶ所に設置されています。それでも年に30羽ほどのヒナしか巣立ちませんので、餌不足でヒナを育てられないつがいが多くいると考えられます。

これまでの保護活動の結果、つがい数は、3~4年で10つがい程が増えるようになってきましたが、巣立ちしても分散できる河畔林は少なく、無事につがいになっても、子育てできるほどの餌がある場所は少ないため、繁殖に失敗するつがいも多いようです。

交通事故や繁殖妨害なども脅威に

シマフクロウ交通事故

人間の生活圏に近い場所では、交通事故や電線での感電事故に遭って死ぬものがあります。釣り人や心無い撮影者などにより、採食や繁殖が妨害されている生息地もあります。

生息地が分断・孤立化していることで、繁殖地から巣立った若い個体がうまく分散することができず、近親交配が起こりやすい状態にあることも懸念されています。

当会の活動の経過

日本野鳥の会では1987年に北海道阿寒郡鶴居村に「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」を開設し職員を常駐させました。同年、北海道根室市で約8haの湿原を買い上げ、当会所有の野鳥保護区を設置。これにより、北海道東部地域での自然保護活動へ本格的に取り組み始めました。

その後、1995年には根室市より春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターの業務を受託、職員を常駐させ、根室地域での活動を拡大しました。2004年には根室地域でシマフクロウが生息する13haの森を購入、初めてシマフクロウの野鳥保護区を設置しました。

2006年には春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター内に野鳥保護区事業所を開設。専従職員を配置してシマフクロウの保護活動を強化しました。2009年には、タンチョウの第一号野鳥保護区である持田野鳥保護区東梅の隣接地に同事業所を移設。生息地保全活動や普及活動の拠点としました。その後、タンチョウやシマフクロウの分布域が道東地域から日高山脈以西に拡大してきたことを受けて、2020年には苫小牧市のウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンター内に事務所を移設。道内のネイチャーセンターに勤務する当会職員と連携してこれまでの活動を継続するとともに、今後の保護活動が重要となる道央・道南地域での活動もできる体制を整備しています。

なお、当会は2015年に環境省の保護増殖事業者に認定され、国の保護増殖事業と連携した野鳥保護区設置による民有地の生息地保全、森づくりによる生息環境整備、巣箱設置や給餌による繁殖補助など、活動の幅が広がってきています。

野鳥保護区の設置

日本野鳥の会では、野鳥の生息地の保全を目的として、土地の購入や所有者との協定の締結により「野鳥保護区」を設置しています。最初の保護区を設置した1986年以降、これまでに北海道東部のタンチョウが営巣する湿原や青森県のオオセッカ生息地、沖縄県のノグチゲラ生息地など52ヶ所4,000ha(2025年1月現在)を保護区にしました。これらの保護区を設置するための土地購入資金や管理資金は、個人や企業からのご寄付や会費を財源としています。

シマフクロウを守るための保護区は2004年から設置を始め、現在ではオホーツク・根室・釧路・十勝・日高管内の生息地に広がり、14つがいの生息地の保全に携わっています。総面積は1,168.3haで東京ディズニーランド23個分の広さになりました。

野鳥保護区の詳しくはこちら

森林環境の整備

植樹の様子

シマフクロウが巣をかけるためには、樹齢三百年以上の大木が必要とも言われます。現在はそのような大木がないため巣箱で代用していますが、未来ではシマフクロウが自然の大木に巣をかけられるよう、森づくりに取り組んでいます。

2009年からは、生物多様性の向上と炭素吸収による地球温暖化防止にも役立つ植樹事業「シマフクロウの森を育てよう!プロジェクト」を実施しました。オホーツク地域と根室地域の当会野鳥保護区で、個人や法人からのご協賛をいただきながら広葉樹の森づくりを進めています。詳細は下記をご覧ください。

シマフクロウの森を育てよう!プロジェクトはこちら

巣箱や生け簀の設置

巣箱

現在、環境省によって、人工の巣箱の設置や給餌用の生簀による人工給餌が行われています。
当会の保護区でも、シマフクロウが繁殖を継続するためには、樹洞が不足していたり、餌が十分ではない生息地もあります。このような保護区には、人工の巣箱や餌の確保のため給餌用生け簀を設置し、シマフクロウの繁殖を助ける活動を行なっています。

シマフクロウへの給餌活動
保護区パトロール日誌>シマフクロウ
シマフクロウ保護活動 Facebook
シマフクロウ保護活動

シマフクロウ・グッズと活動へのご支援

シマフクロウをより身近に感じて頂くため、様々なグッズを製作して普及活動に取り組んでいます。これらのグッズによる収益は、シマフクロウをはじめとした野鳥や自然環境保護の活動財源に充てさせていただきます。
また、野鳥保護区設置のためのご寄付や、植樹へのご協賛も募集しております。詳細は以下からご覧ください。

アクセサリー・クラフト類・衣類

野鳥保護区設置のためのご寄付

フィリピン・ルソン島 サシバの渡り保護エコツアー −バードウォッチングと世界遺産バナウェ−

新型コロナウイルス拡大防止のため、2020年のツアーは中止となりました。(2020年3月12日)

フィリピン・ルソン島 サシバの渡り保護エコツアー
「野鳥」
フィリピン・ルソン島 サシバの渡り保護エコツアー
(PDF 852KB)

フィリピンは多数の島からなる生物多様性豊かな国。約600種の野鳥が記録されていますが、なんと1/3にあたる約200種が固有種です。その固有種の多くが生息するのがフィリピン最大の島、ルソン島。さらに毎年3月下旬には、フィリピン各地やインドネシアから繁殖地を目指すサシバがルソン島北部に集結し、その大群での飛翔は圧巻です。
実は、ルソン島北部では2017年まで年間5000羽に及ぶサシバの密猟が確認されていました。しかし、地元のラプターウォッチネットワークフィリピンの活躍と、アジア猛禽類ネットワークを中心とした日本からの支援により密猟はゼロに。今後、サシバ保護を地域に定着させるには、このようなエコツアーを通じたサシバの繁殖地である日本と、越冬地であるフィリピンの市民レベルの交流が必要になります。今回のエコツアーには、世界のバードウォッチャーから予約が絶えないフィリピントップクラスガイドが全行程に同行!
固有種の宝庫であり、世界遺産でも知られるバナウェでのバードウォッチングを存分にお楽しみ頂けます。さらに、地域の方々のおもてなしと、美味しい食事も、お墨付きです!
自然保護と熱帯雨林でのバードウォッチングを楽しむ、本物エコツアーにご参加ください!

国際サシバサミット

このエコツアーは国際サシバサミットの関連事業として企画されています。アジア猛禽類ネットワーク、日本野鳥の会、日本鳥類保護連盟、日本自然保護協会は、サシバの繁殖地・中継地・越冬地が国際的に連携しながら保全活動を進めるために、『国際サシバサミット』を開催しています。今年5月には第1回をサシバの主要な繁殖地である栃木県市貝町で開催しました。第2回を2020年10月に沖縄県宮古島市、第3回をフィリピン、第4回を台湾で開催します。

フィリピン・ルソン島 サシバの渡り保護エコツアー −バードウォッチングと世界遺産バナウェ−

日程
2020年3月20日(金)~3月27日(金)(8日間)
定員
18人(最少催行人員16人)
費用
費用:335,000円(2人1部屋ベース)
(燃油サーチャージ・空港利用料・海外空港税は別途)
※お一人部屋使用追加料金は、82,000円
旅行企画・実施 参加申し込み窓口
アルパインツアーサービス(株)ネイチャリングツアー事業部
(観光庁長官登録旅行業第490号)
〒105-0003 東京都港区西新橋2-8-11 第7東洋海事ビル4階
電話:03-3503-2611(代)ファックス:03-3503-2613
E-mail:[email protected]
主催企画
アジア猛禽類ネットワーク、公益財団法人日本野鳥の会、公益財団法人日本自然保護協会
協力
公益財団法人日本鳥類保護連盟

フィリピン・ルソン島 サシバの渡り保護エコツアー
上:サシバの鷹柱を観察/中左:バナナの葉で包んで蒸したお芋のケーキ/中右:行く先々でサシバの群れに出会います/下左:フィリピン固有種のシロボシショウビン/下右:世界最大級の棚田、世界遺産バナウェ

コース予定

1日目
成田0930発PR431便/関空0955発PR407便マニラ着1335/マニラ着1310
車でバナウェまで移動。約7~9時間行程宿泊:バナウェ
2日目/3日目
ポリス山で探鳥。
宿泊:バナウェ
4日目
バナウェで最後の探鳥後、サンチェスミラに移動。
宿泊:サンチェスミラ市
5日目
サンチェスミラ市長を表敬訪問。
山間部の部族を訪ね、探鳥も。
宿泊:サンチェスミラ市
6日目
サンチェスミラ発、アダムスで探鳥。
パンツィアンで探鳥、ノースウェスタン大学のサシバ観察研究センターを訪問。
宿泊:パンツィアンビーチ
7日目
パンツィアンからラワグに移動し、国内線でマニラへ。
宿泊:マニラ
8日目
ラメサ・エコパークで探鳥。
マニラ1440発PR432便で成田2010着/
マニラ1425発PR408便で関空1910着

Strix Vol.35

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原著論文

Strix35巻

沖縄県与那国島におけるイイジマムシクイ Phylloscopus ijimae の観察記録と沖縄島以南の記録について
原田慈照・梅垣佑介・渡部良樹・大西敏一
伊豆諸島の八丈小島および青ヶ島におけるクロアシアホウドリPhoebastria nigripesの新繁殖地形成
森由香・岩崎由美・荒井智史・樋口広芳
北海道におけるアリスイの繁殖期の分布
藤巻裕蔵
ヤナギ類に訪花する野鳥と花粉媒介の可能性
池長裕史

短報

長野県北部におけるフクロウStrix uralensisのペレット分析—標高と餌動物について
滝沢和彦
兵庫県におけるオオバンFulica atraの繁殖初記録
丸谷聡美・丸谷聡
北海道におけるオオカラモズの観察記録
西沢文吾・山崎彩
北海道サロベツ稚咲内砂丘林帯湖沼群におけるミコアイサの繁殖記録と保全
長谷部真・富士元寿彦
兵庫県におけるニュウナイスズメの繁殖初確認
黒田治男・中南秀樹・筬部達也・岩崎健二・正井憲一・田中葉子・奥野俊博
函館市で観察されたアブラムシを採食するイスカとその行動
三上かつら・三上修

書評

『歌う鳥のキモチ』

正誤表

ストリクス35号に下表の誤りがありました。深くお詫びするとともに訂正いたします。

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代表的な海鳥の紹介

コアホウドリ Phoebastria immutabilis

コアホウドリの写真
写真:石田光史

ミズナギドリ目
アホウドリ科
全長 81㎝
翼開長 200㎝
推定個体数 160万羽(BirdLife Data zoneより)
IUCNレッドリスト NT(準絶滅危惧)
環境省レッドリスト EN(絶滅危惧IB類)

 背と翼の上面、目のまわりは黒く、くちばしと足はピンク色、ほかは白い。海面付近でイカや魚などを食べる。ハワイ諸島やメキシコ西岸の島嶼、小笠原諸島聟島で繁殖する。11月に卵を1個産み、抱卵期間はおよそ65日。孵化したヒナは、6月下旬から7月にかけて巣立つ。繁殖期以外は海上で生活し、北緯20~60度の北太平洋、ベーリング海に分布する。かつては北太平洋の中央部および西部の島嶼で広く繁殖していたが、羽毛採取のための乱獲などにより、多くの繁殖地が消失した。
 最も大きな脅威は、延縄漁などの漁業による混獲で、年間1万羽弱が死亡していると推定される。

クロアシアホウドリ Phoebastria nigripes

クロアシアホウドリの写真
写真:石田光史

ミズナギドリ目
アホウドリ科
全長 78.5cm
翼開長 200cm
推定個体数 12万9,000羽
IUCNレッドリスト NT(準絶滅危惧)

 全身が黒褐色で、くちばし、足ともに黒く、くちばしの基部と目の下は白い。腹部や頭部は淡い褐色の個体もいる。通年北太平洋に広く分布し、冬季は中~低緯度の温暖な島々に渡って繁殖する。
 主要な繁殖地はハワイ諸島で、日本では、伊豆諸島鳥島、小笠原群島(聟島列島、母島列島)、および尖閣諸島で繁殖する。主に海面に漂う魚類や頭足類の死骸や卵、甲殻類などを拾って食べる。繁殖期は10月下旬~6月で、卵を1個産む。約65日抱卵し、およそ140日の育雛期間を経て巣立つ。
 はえ縄漁による混獲は、大きな脅威である。また、営巣地に釣り人が上陸する影響や、プラスチックゴミの飲み込みなどの脅威がある。

アホウドリ Phoebastria albatrus

アホウドリの写真
写真:石田光史

ミズナギドリ目
アホウドリ科
全長 91.5㎝
翼開長 240㎝
推定個体数 3500羽
IUCNレッドリスト VU(危急)
環境省レッドリスト VU(絶滅危惧Ⅱ類)

 全身白色で、後頭部は黄色っぽく、ピンク色のくちばしをしている。海面付近で魚やイカなどを捕らえて食べる。主な繁殖地は、伊豆諸島の鳥島や、尖閣諸島。一夫一妻制で、毎年10~11月頃に卵を1個産む。抱卵期間はおよそ65日、孵化後のヒナには親鳥が4カ月余り給餌する。繁殖期以外は海上で生活し、北太平洋のアリューシャン列島からアラスカ湾、アメリカ西海岸まで広く移動する。かつては北太平洋西部の島を中心に数多く見られたが、羽毛採取のための乱獲や、営巣場所の破壊などにより激減した。現在、地道な保護活動により、個体数は回復しつつあるが、延縄漁による混獲は、大きな脅威となっている。

オオミズナギドリ Calonectris leucomelas

オオミズナギドリの写真
写真:石田光史

ミズナギドリ目
ミズナギドリ科
全長 48㎝
翼開長 120㎝
推定個体数 300万羽
IUCNレッドリスト NT(準絶滅危惧)

 体の上面は黒褐色で、下面は白い。海面近くを飛びながら、カタクチイワシやトビウオ、サンマ、イカ類などを食べる。日本や韓国、中国周辺の島で繁殖し、伊豆諸島の御蔵島は、世界最大級の繁殖地である。6月下旬~7月下旬ごろ、地面に穴を掘って卵を1個産む。抱卵期間は45~58日、孵化後のヒナには約82日間親鳥が給餌する。繁殖期間中は、親鳥は採餌のために繁殖地から数百~数千キロ離れた海域まで出かけていく。繁殖期を過ぎると、パプアニューギニア北方海域、アラフラ海、南シナ海の海域に渡る。繁殖地でのノネコやイタチ、ドブネズミによる捕食が脅威となっている。アホウドリと同じく、延縄漁により混獲される恐れがある。

カツオドリ Sula leucogaster

カツオドリの写真
写真:石田光史

ペリカン目
カツオドリ科
全長 70㎝
翼開長 145㎝
推定個体数 20万羽
IUCNレッドリスト LC(低懸念)

 黒褐色の体で、腹部と翼の下面の一部は白い。オスは目の周りが青色、メスは黄白色をしている。インド洋、太平洋、大西洋、カリブ海などの熱帯・亜熱帯の海洋に分布し、国内では伊豆諸島、小笠原諸島、南西諸島、八重山諸島、尖閣諸島、トカラ列島、硫黄列島、草垣諸島などで繁殖する。海岸の崖や岩棚に営巣し、枯草や枝などで皿状の巣をつくる。卵は2個産むが、通常、ヒナは1羽しか育たない。飛びながら急降下して海中に飛び込み、魚やエビ、イカなどを捕らえて食べる。繁殖地でのネズミ類による捕食や、釣り人の立ち入りが脅威となっている。

ヒメウ Phalacrocorax pelagicus

ヒメウの写真
写真:石田光史

ペリカン目
ウ科
全長 73㎝
推定個体数 不明
IUCNレッドリスト LC(低懸念)
環境省レッドリスト EN(絶滅危惧ⅠB類)

 ウミウよりも小さく、光沢のある緑がかった黒色をしている。繁殖期には、くちばしの付け根が赤くなり、頭頂と後頭には冠羽、足の付け根に白色斑が生じる。北太平洋の寒冷な沿岸を中心に分布し、北海道天売島などで繁殖する。5月初旬、海岸の岩棚に卵を1~5個産む。抱卵期間はおよそ31日で、孵化したヒナは3~4週間で巣立つ。繁殖期には、営巣地周辺の沿岸で魚などを食べる。非繁殖期は、日本各地の沿岸で見られる。潜水して魚を捕らえて食べるため、刺し網漁などの漁業による混獲の懸念がある。

ウミウ Phalacrocorax capillatus

ウミウの写真
写真:石田光史

ペリカン目
ウ科
全長 84㎝
推定個体数 2万5,000~10万羽(BirdLife Data Zoneより)
IUCNレッドリスト LC(低懸念)

 光沢のある、緑がかった黒色をしている。繁殖期には、顔と足の付け根に白色斑が見られる。太平洋沿岸に分布し、ロシア東南部の沿岸から南北朝鮮、千島列島南部、日本で繁殖する。国内では、北日本から九州にかけて局地的に繁殖する。3~5月に、海岸の崖や岩に集団で営巣する。非繁殖期は中国東海岸沖から南は台湾まで見られ、日本では全国の外海に面した海岸で見られる。潜水して魚を捕らえて食べるため、刺し網漁などの漁業による混獲の懸念がある。

ウミガラス Uria aalge

ウミガラスの写真
写真:石田光史

チドリ目
ウミスズメ科
全長 43㎝
推定個体数 1,800万羽
IUCNレッドリスト LC(低懸念)
環境省レッドリスト CR(絶滅危惧IA類)

 夏羽では、頭部から体の背面にかけて黒く、次列風切羽の先は白く、胸と腹が白い。冬羽では、のどと首から目の後ろにかけて白くなり、目から後ろに黒い線がある。北太平洋、北大西洋の亜寒帯を中心に分布し、国内では、かつては松前小島や天売島、ユルリ・モユルリ島、根室市落石岬で繁殖していたが、現在は天売島でのみ、繁殖が確認されている。
 離島や海岸の断崖に集団で繁殖し、5月下旬~6月頃、岩棚に卵を一個産む。抱卵期間は32~33日間、ヒナは孵化後2~3週間ほどで巣立つ。
 繁殖地での、カモメやカラスによる卵やヒナの捕食が脅威となっている。また、潜水してイワシやニシンなどの魚類やイカなどを採るため、刺し網漁による混獲も大きな脅威である。

ケイマフリ Cepphus carbo

ケイマフリの写真
写真:石田光史

チドリ目
ウミスズメ科
全長 37㎝
推定個体数 14万~14万8,000羽
IUCNレッドリスト LC(低懸念)
環境省レッドリスト VU(絶滅危惧Ⅱ類)

 夏羽では全身が黒く、目の周りが白い。くちばしの付け根に、小さな白色斑がある。冬羽では、首から腹にかけて、白くなる。鮮やかな赤い足が特徴で、アイヌ語の「ケマフレ(赤い足)」が名前の由来。
 オホーツク海沿岸、ロシア、北朝鮮、韓国の日本海沿岸域に分布し、国内では北海道と東北地方の一部で繁殖していたが、近年、東北地方では一部を除き確認されなくなった。北海道でも減少傾向にある。国内最大の繁殖地は天売島。
 5~7月に、海に面した断崖の岩のあいだに、卵を2個産む。抱卵期間は27日、その後43日の育雛期間を経て巣立つ。
 潜水してイカナゴなどの小魚を捕らえて食べるため、刺し網漁による混獲が脅威となっている。

ウミスズメ Synthliboramphus antiquus

ウミスズメの写真
写真:石田光史

チドリ目
ウミスズメ科
全長 25.5㎝
推定個体数 100万~200万羽(BirdLife Data Zoneより)
IUCNレッドリスト LC(低懸念)
環境省レッドリスト CR(絶滅危惧IA類)

 夏羽では頭から喉にかけて黒く、目の後ろに白線が入る。体の上面は黒っぽく、下面は白い。冬羽は、白線が無く、喉が白くなる。ユーラシア東部の海岸と千島列島、アリューシャン列島、北アメリカ北西部で繁殖する。国内で繁殖が確認されているのは、北海道天売島のみ。3月下旬~6月下旬ごろ、崖穴や岩の割れ目などに営巣し、卵を2個産む。抱卵期間はおよそ30日、孵化後のヒナはすぐに巣を離れ、会場で親鳥から給餌を受ける。非繁殖期は、沿岸や外洋で見られる。潜水してイカナゴなどの魚類を食べるため、刺し網漁などの漁業による混獲の影響が心配される。また、繁殖地でのネズミやカラスによる捕食、油汚染なども脅威となっている。

カンムリウミスズメ Synthliboramphus wumizusume

カンムリウミスズメの写真
写真:石田光史

チドリ目
ウミスズメ科
全長 24㎝
推定個体数 1万羽以下
IUCNレッドリスト VU(危急)
環境省レッドリスト VU(絶滅危惧Ⅱ類)

 額、頬、冠羽は黒色で、後頭部、腹部は白色。日本近海と韓国南部、日本海北西部に分布し、日本近海と韓国南部の離島や岩礁でのみ繁殖する。主な繁殖地は、宮崎県の枇榔島、次いで伊豆諸島である。繁殖期は2月~5月で、岩と岩の隙間に卵を1~2個産む。抱卵期間はおよそ30日で、孵化後のヒナはすぐに海上に出て親鳥から給餌を受ける。繁殖地でのカラスやネズミによる捕食が脅威となっている。また、潜水して小魚や甲殻類などを食べるため、刺し網漁による混獲の影響も懸念される。

カンムリウミスズメ保護の取り組み

ウトウ Cerorhinca monocerata

ウトウの写真
写真:石田光史

チドリ目
ウミスズメ科
全長 37.5㎝
推定個体数 130万羽
IUCNレッドリスト LC(低懸念)

 体の上面は黒色で、下面は淡色、くちばしはオレンジ色をしている。夏羽では目の後方とくちばしの後方に白い飾り羽が生え、くちばしの基部には突起がある。北太平洋の亜寒帯から温帯にかけて分布し、国内では天売島、大黒島、ユルリ島、モユルリ島、松前小島、椿島、陸前江ノ島等で繁殖する。中でも、天売島は世界最大の繁殖地となっている。
 斜面の草地に穴を掘って営巣し、4月中旬に卵を1個産む。孵化したヒナは、7月頃に巣立つ。天売島のウトウは、繁殖期を終えるとオホーツク海を北上し、その後日本海を南下する。繁殖地でのカラスやノネコによる捕食が脅威となっている。また、潜水してカタクチイワシやイカナゴなどを採るため、繁殖地周辺海域での刺し網漁による混獲も大きな脅威である。

エトピリカ Fratercula cirrhata

エトピリカの写真
写真:石田光史

チドリ目
ウミスズメ科
全長 39㎝
推定個体数 350万羽
IUCNレッドリスト LC(低懸念)
環境省レッドリスト CR(絶滅危惧IA類)

 縦に平たいオレンジ色の大きなくちばしを持ち、顔は白く、頭部に飾り羽がある。非繁殖期は飾り羽がなく、全体的に地味な姿になる。北太平洋の亜寒帯域に広く生息し、オホーツク海とベーリング海の沿岸、千島列島、北太平洋のカリフォルニア沿岸からアラスカ湾などの島嶼で繁殖する。5~6月、海に面した断崖に穴を掘り、卵を1個産む。岩のすきまを利用することもある。約45日抱卵し、孵化したヒナは40~55日で巣立つ。
 日本では北海道の限られた島で繁殖するが、その数は激減している。潜水してイカや小魚を捕るため、刺し網漁による混獲は大きな脅威である。この他に、カモメ類によるヒナの捕食、食物の横取りも脅威となっている。

日本野鳥の会は、プラスチックに頼らない持続可能な社会をめざして、関係団体とともに政策提言や普及啓発活動を行なっています。

その他の海鳥に関するリンク

南半球アホウドリ物語
当会もパートナーになっているバードライフ・インターナショナル(BirdLife International)は、現地で繁殖する4種類のアホウドリ(ワタリアホウドリ、ハイガシラアホウドリ、マユグロアホウドリ、ハイイロアホウドリ)の情報をホームページやFacebook、Instagram、Twitterで紹介しています。
世界アルバトロスデー
ACAP(The Agreement on the Conservation of Albatrosses and Petrels:ミズナギドリ目鳥類の保全に関する国際協定)では、 この国際協定の調印日である6月19日を「世界アルバトロスデー」と定め、世界のミズナギドリ目鳥類が直面している状況と保全活動の緊急性を世界の人々に呼びかけています。


海鳥と漁業の問題に戻る

海鳥と漁業の問題

海鳥の現状

エトピリカの写真
写真:石田光史

 生活の大部分を海上で過ごす海鳥は、全世界の鳥類約9,700種のうち346種にあたり、日本では、108種が見られます。翼を広げると2mを超える大型のアホウドリから、小型のウミスズメまで、大きさや形はさまざまです。足の指の間に水かきがある、海水を飲んでも余分な塩分を排泄する機能を持つなど、海洋での生活にうまく適応できる体のしくみになっています。また、陸上の小鳥と比べると寿命が長く、産卵数が少ない、集団で繁殖するという特徴があります。

 海鳥は、鳥類の中でも急激に数を減らしており、IUCN(国際自然保護連合)によると、全世界346種の約3分の1にあたる97種が絶滅の危機にあります。海洋生態系の中で高い位置を占め、また、広大な渡りをする種や世界的に分布する種もあることから、海鳥は海洋環境のバロメーターになっています。日本野鳥の会は、海鳥をシンボルに、その保護を進めることで、海洋生態系の保全に取り組んでいきます。

漁業による混獲の影響

混獲の図版
図:Artwork: Rachel Hudson Illustration

 海鳥の減少には、人間による活動が大きく影響しています。海洋環境の悪化、人が持ち込んだネズミによる卵やヒナの捕食、なかでも、漁業の際に誤って捕獲される「混獲」は大きな脅威となっています。近年、公海上での延縄漁では、国際的な協力のもと、混獲を減らすための漁具の開発や漁法の改善が行なわれていますが、まだ十分とは言えません。

 海鳥の多くは寿命が長く、卵を少数しか生まないため(毎年、あるいは1年おきに1個または2個)、成鳥が命を落とすことは、たとえわずかな数であっても、長期にわたりその種に大きな影響を与え、絶滅につながる恐れがあります。

延縄漁による混獲

 延縄漁とは、「幹縄」と呼ばれる1本の長い縄に、釣り針をつけた「枝縄」を一定の間隔で何本も付け、マグロやカツオなどを釣る漁法です。遠洋マグロ延縄漁では、幹縄の長さは、長いものでは100㎞を超え、枝縄の数も約3,000本以上になります。年間推定16万羽から32万羽もの海鳥が、延縄漁による混獲の犠牲になっています。アホウドリ類やミズナギドリ類は、海面付近で、魚やイカを捕らえて食べます。マグロやカジキなどを対象とした延縄漁では、餌として魚やイカをつけた針を海中に投入するため、誤ってその餌を飲み込んだ海鳥は、釣り針がのどにひっかかり、おぼれ死んでしまうのです。

 延縄漁による混獲を防ぐため、さまざまな混獲回避措置(ミティゲーション)が開発されています。日本の漁業者によって考案された「トリライン」と呼ばれる鳥よけは、漁船の船尾に取り付けた長い棒の先から、吹き流しやテープをつけたロープを船の後方に張り、海鳥が餌に近づけないようにする仕掛けで、混獲を防ぐ効果が高いことで知られています。そのほか、海鳥が活動する時間帯を避け、夜の間に延縄を投入する「夜間投縄」や、海鳥が餌をとる前に釣り餌を沈ませるおもりを使用する「加重枝縄」も、効果的な混獲回避措置とされています。現在、高緯度地域では、「トリライン」「加重枝縄」「夜間投縄」のいずれか2つの混獲回避措置をとることが義務付けられています。

トリラインの図
トリライン[図:越智大介(国際水産資源研究所)]

刺し網漁による混獲

 刺し網漁は、水中に帯状の網を仕掛けて「網の壁」を築き、そこを通過する魚を絡めてとる漁法です。主に近海で、カレイやイワシ、サケなどさまざまな魚種を対象に行なわれています。錨などで固定しないものは「流し網」と呼ばれます。

 年間推定40万羽もの海鳥が、刺し網漁による混獲で命を落としています。犠牲になっているのは、ウミガラス類やウミスズメ類などの潜水性海鳥です。餌を採るために潜水している時に漁網に絡まり、おぼれ死んでしまいます。

 刺し網漁による混獲については、まだ効果的な回避措置がなく、延縄漁に比べると漁業の規模も小さいため、混獲の実態がわかりにくいという問題があります。

 そこで当会は、漁業者に協力いただいて混獲回避措置の効果を確かめる実験を行なうとともに、日本近海の刺し網漁の規模を調べ、海鳥の生息域との重なりを調べ、混獲が起きやすいエリアを特定する「リスクマップ」の作成に取り組んでいます。

天売島周辺での混獲回避実験

 北海道・羽幌町の沖合に浮かぶ天売島は、ウミガラスやウトウ、ケイマフリなど8種類の海鳥の繁殖地です。その周辺海域では、ヒラメやカレイ、ホッケなどの刺し網漁、ヤリイカの定置網漁などの漁業がさかんに行なわれています。

 日本野鳥の会は、2016年より、バードライフ・インターナショナルと共同で、北るもい漁業協同組合・北海道海鳥センターの協力をいただき、刺し網漁の混獲回避策の検証実験を行っています。海鳥の刺し網による混獲を回避するために有効で、且つ漁獲に影響を与えない方法を漁業者と共同で開発し、日本国内及び海外に発信することを目指しています。

海鳥をシンボルに、海洋環境を守る‐Marine IBA

 海鳥とその生息環境を守るため、日本野鳥の会は、バードライフ・インターナショナルとともに、海鳥を指標に重要な海域を特定して保全していく「マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas, 海鳥の重要生息地)」を選定しています。現在、国内には27のマリーンIBAがあります。マリーンIBAは、各国の海洋保護区やEBSA(生態的及び生物学的に重要な海域)を設定する際の基礎資料となっており、日本でも選定された海域は、環境省が進める「生物多様性の機能を維持する観点から見た重要海域」の抽出に活用されたほか、洋上風力発電の建設候補地の選定時の資料としても使われています。

海鳥を取巻く危機-プラスチックごみによる海洋汚染

 海洋へのプラスチックごみの流入は、現在、最も深刻な海洋汚染の要因となっています。これまでに、海鳥97種でプラスチックの採食が確認されました。アホウドリの仲間は、海水面に浮かぶゴミを餌と間違えて飲み込むことがあります。さらに、親鳥からの給餌により、ヒナの体にもこうしたゴミが取り込まれます。ハワイのミッドウェイ諸島は海流の関係で大量の漂流ゴミが集まることで知られますが、ここで繁殖するコアホウドリの胃から、歯ブラシやライター、ペットボトルのキャップなどのプラスチックごみがぎっしりと詰まった状態で見つかっています。

 また、ゴミに付着する化学物質が鳥の体内で影響を与える可能性もあります。放置されたプラスチックごみは、劣化して粉々になり、5㎜以下の細かなマイクロプラスチックとなります。マイクロプラスチックは、油になじみやすく、海を漂う間に化学物質を吸着し、その中には有害化学物質も含まれます。マイクロプラスチックはプランクトンを餌とする魚貝類に取り込まれ、それを食べる海鳥の体に蓄積されます。食物連鎖により、マイクロプラスチックに付着した有害物質も濃縮されるため、海鳥だけでなく海洋生態系全体への大きな脅威となっています。

 ゴミの原因となる使い捨てプラスチック製品を使用しない、ゴミ処理マナーを徹底するなど、個人でできることから、産業界、各国政府レベルでの取り組みまで、さまざまなレベルでの早急な対応が必要です。

サウスジョージア島のアホウドリの物語

 南氷洋に浮かぶサウスジョージア島は、ペンギンやアホウドリ、アザラシ、オットセイなどのさまざまな野生生物の楽園です。当会もパートナーになっているバードライフ・インターナショナル(BirdLife International)は、現地で繁殖する4種類のアホウドリ(ワタリアホウドリ、ハイガシラアホウドリ、マユグロアホウドリ、ハイイロアホウドリ)の情報をホームページやFacebook, Instagram, Twitterで紹介しています。現地入りをしているイギリス南極調査隊から送られてくる写真とともに、美しくも厳しい自然の中で繰り広げられるアホウドリの子育て奮闘記をご覧ください。

ワタリアホウドリ

世界一斉個体数調査(2019年)

2019年4月8日

2019年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

東南アジアの各国が協力して毎年1月に実施している「クロツラヘラサギの世界一斉センサス」(主催:香港バードウォッチング協会)の2019年の結果がまとまりましたのでお知らせ致します。
この調査は、世界的な絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの越冬個体数と分布を知るために日本、韓国、中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、フィリピンなど東南アジアの自然保護団体が参加し、毎年実施しているものです。
日本でも九州や沖縄などの越冬地で、「日本クロツラヘラサギネットワーク」や日本野鳥の会の支部が調査を行っています。2019年の国内での調査は1月25日~27日に、1都9県60か所、110名を超える協力者を得て行われました。

1.2019年クロツラヘラサギ世界一斉個体数調査結果の概要

香港バードウォッチング協会

2019年のクロツラヘラサギの世界一斉センサスは1月25日~27日に行われました。
2019年の調査では、前年より522羽(昨年より13.2%増)増えて4,463羽が確認されました。

主要な越冬地は台湾で、2,407羽が観察され(9.7%増)、世界全体の約54%を占めます。増加した地域は中国本土で990羽(33.1%増)、ディープベイ(深圳・香港)383羽(9.4%増)となっています。日本では538羽が観察され、昨年より30羽(5.9%)増加しました。東京都や福井県でも観察されています。この他、マカオでも増加しています(53羽、6.0%増)。減少傾向が見られたのは韓国で、23羽(12%減)でした。

表1. 地域別のクロツラヘラサギの記録数

場所 2017年調査 2018年調査 2019年調査 前年比
(2019年-2018年. 羽数)
前年比
(2019年/2018年. %)
台湾 2,601 2,195 2,407 212 +9.7
后海湾(香港、深セン) 375 350 383 33 +9.4
中国本土 397 744 990 246 +33.1
日本 433 508 538 30 +5.9
ベトナム 62 65 65 0 ±0
マカオ 44 50 53 3 +6.0
韓国 29 26 23 -3 -12.0
タイ 0 0 1 1
カンボジア 0 0 0 0
フィリピン 0 3 3 0 ±0
合計 3,941 3,941 4,463 522 +13.2

2.日本におけるクロツラヘラサギ一斉個体数調査の結果

日本クロツラヘラサギネットワーク・日本野鳥の会

2019年の日本での調査では、前年より30羽多く、計538羽が確認されました(5.9%増)。県別では、熊本県で205羽が観察され最も多く、次いで、福岡県138羽、鹿児島県61羽、佐賀県と山口県が43羽で、沖縄県25羽、宮崎県では21羽が確認されました。

日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移
図1. 日本におけるクロツラヘラサギの記録数の推移

クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移
図2. クロツラヘラサギの記録個体数の県別の推移

表2. 県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移
県別に見たクロツラヘラサギの記録数の推移

JP167 尖閣諸島(せんかくしょとう)

沖縄県:石垣市

沖縄県:石垣市

位置 N 25°50′ E 123°35′
面積 630ha

環境構成【島嶼/崖地/樹林】

尖閣諸島は、東シナ海の南西部(八重山諸島の北方)にある島嶼群。尖閣列島ともいう。中華人民共和国では釣魚島、中華民国(台湾)では釣魚台列嶼と呼ぶ。

選定理由

A1 アホウドリ・クロアシアホウドリ
A4i オオアジサシ
A4ii アホウドリ・カツオドリ

保護指定

法的な担保がない、もしくはわずか(10パーセント未満)である

保全への脅威

  • 野生化したヤギの問題(一番大きな魚釣島において、人為的に持ち込まれたヤギによる植生の消失と裸地化による表層土の流出が継続している。)
  • 漂着ごみ(魚釣島のほぼ全域、北小島、南小島に漂着ごみが見られ、ウミガメや海鳥の誤飲が懸念される。)

保全活動

  • 無し

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 306KB)

※尖閣諸島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら

JP166 八重山群島(やえやまぐんとう)

沖縄県:石垣市、竹富町、与那国町

沖縄県:石垣市、竹富町、与那国町

位置 N 24°20′ E 123°50′
面積 58,345ha

環境構成【サンゴ礁/樹林(照葉樹林・二次林・マングローブ林等)/河川/農耕地/水田】

佐野清貴
写真:佐野清貴

八重山群島は南西諸島の最南端に位置し、石垣島、西表島、黒島、竹富島、小浜島、新城島、鳩間島、波照間島、与那国島などの有人の島及び、20近くの無人の島から構成されている。島は主に石垣島や西表島などの起伏のある山地と河川を有する島と、黒島や竹富島などの琉球石灰岩からなる低平な島に分けることができる。山地は主にスダジイ(沖縄の亜種イタジイ)、オキナワウラジロガシなどの常緑広葉樹林だが、つる性植物や着生植物が多く、谷間にはフカノキ、ヒカゲヘゴなどが見られ熱帯的な要素が強い。琉球石灰岩の低地には、ガジュマル、クワノハエノキ、リュウキュウガキなど多様な植物が見られる。また河口付近の湿地には、ヤエヤマヒルギ、オヒルギなどのマングローブ林が広がり、海岸は島を取り巻くようにサンゴ礁が発達している。
■西表島
西表島は島の殆どが新生代第4期の比較的新しい地質の砂岩や泥岩などで構成されているが、海岸付近には隆起珊瑚礁も見られ、僅かに古生層(緑色片麻岩)が見られる台地状の島で山の南斜面などの乾燥した斜面にはスダジイ(亜種イタジイ)を中心とした、林が見られる。一方川沿いの湿った谷には、高木や着生植物つる植物など多様な植物が複層林を形成し、イリオモテヤマネコに代表される固有の動物が生息し、生態系の豊かな亜熱帯林が形成されている。また、湿度が高いため、着生植物や、樹上で発芽し根で巻き付き絞め殺してしまうガジュマルやオオバアコウも見られる。代表的な高木はオキナワウラジロガシ、アカギ、ギランイヌビワが挙げられるが、台風の影響で、傾いたり歪んだりしていて、高さも30m程に制約されている。また、河川の汽水域にはオヒルギやヤエヤマヒルギなどのマングローブ林が形成され、島の南部を実質的な北限とするマヤプシキ(はまざくろ)も見られる。
農耕地は主に、北部ではパイン南部ではサトウキビが耕作され、若干の水田と、近年、肉用牛(子牛生産)飼育により、牧野開発が拡大している。

選定理由

A2 カラスバト・ズアカアオバト
A4i キアシシギ・キョウジョシギ・ベニアジサシ・エリグロアジサシ

保護指定

サイトの全域(90%以上)に法的な担保がある
<保護指定の内容>
国指定鳥獣保護区(西表島、与那国、名蔵アンパル、仲の神島)、国立公園(西表石垣)、都道府県立自然公園、自然環境保全地域、保護林
<その他>
ラムサール条約湿地、国指定天然記念物仲の神島海鳥繁殖地

保全への脅威

  • 観光業の拡大に伴う、リゾート開発
  • 移住ブームによる、住宅地の増加
  • 外来種(インドクジャク、オオヒキガエルなど)の分布拡大
  • オートキャンプなどのアウトドア活動、節度の無いエコツアー
  • 農薬の散布
  • 畑拡大のための不法な伐採
  • 台風の勢力拡大、干ばつ
  • 風力発電、採鉱・採石
  • 津波
  • 沿岸域や沖の離島のアジサシ類の繁殖地への踏み込み、基地等の開発による森林伐採
  • 石垣島から他の離島への外来種の拡散、移動力の少ない種内での島間の遺伝子の交流の可能性
  • 赤土や畜産廃棄物の河川、海への流出、他国からの漂着ゴミや汚染物質の流れ込み
  • 新石垣空港建設による道路開発、交通量の増加、希少種のロードキル

保全活動

  • 環境管理:実施者(石垣市、竹富町、環境省、WWFジャパンなど)
    内容:希少種の保護、外来種の対策、赤土流出防止対策、保護区でのイベント、観察会
  • 外来種のコントロール:実施者(環境省)
    内容:オオヒキガエル、シロアゴガエル、インドクジャク、コウライキジ
  • 環境教育活動:実施者(石垣市、環境省、WWFジャパンなど)
    内容:観察会の実施、講演会、学習会など
  • 保全のための人材育成活動:実施者(環境省、WWFジャパンなど)
    内容:観察会、講演会、学習会など
  • 法律制定、政策、規制:実施者(石垣市、竹富町、環境省など)
    内容:鳥獣保護区、国立公園、ラムサール条約など
  • モニタリング調査:実施者(環境省など)
    内容:モニタリングサイト1000白保-宮良(シギ・チドリ)西表(森林性鳥類)など
    国際サンゴ礁研究モニタリングセンター、国指定鳥獣保護区設定に関する調査(名蔵、平成14年)(環境省)
  • 経済活動を通じた保全(エコツーリズム等):実施者(「民間」エコツーリズム協会)
    地域の自然保護に結び付くエコツアーの普及活動(石垣島エコツアー連絡会)
    2002年に「西表島エコツーリズムガイドライン」を策定(西表島エコツーリズム協会)
  • その他:カンムリワシ保護対策検討委員会(環境省)

※サイト情報の詳細版はこちら(PDF 426KB)

※八重山群島の周辺海域は、マリーンIBA(Marine Important Bird and Biodiversity Areas:海鳥の重要生息地)に選定されている。 詳しくはこちら

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