- 日本野鳥の会
- 当会の活動
- 自然観察や保護の普及
- Toriino (トリーノ)
- Toriino(トリーノ)2013年の発行号
Toriino(トリーノ)2013年の発行号
第28号 2013年12月発行号

表紙:石踊達哉
「牡丹雪」(部分)1999年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:須田一政
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -“磁”母観音-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 野鳥保護レポート 自然を壊さないオリンピックを
- 文:自然保護室 葉山政治
東京オリンピックの競技施設の建設が予定されている葛西臨海公園は、大都市にありながら貴重な自然が残っています。その環境を将来にわたって残していくために、計画の変更を求める活動をしています。
第27号 2013年9月発行号

表紙:石踊達哉
「四季草花図扇面」(部分)2011年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:奈良原一高
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -ししゆずのジャム-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 野鳥保護レポート 原発被災後の福島の現状を知るエコツアーを開催
- 文:自然保護室 山本 裕
今年7月に開催した「福島の原発被災地を訪ねるエコツアー」についてレポートしています。
第27号 2013年6月発行号

表紙:石踊達哉
「四季草花図扇面」(部分)2011年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:嬉野京子
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -孤独死-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 燈(ともしび)最終回 天性の狂言師の幸福な死
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート 福島県浪江町のツバメ
- 文:自然保護室 山本 裕
福島県浪江町の帰還困難区域を訪ね、環境の変化に伴って変化する野鳥の種類や数などを確認しました。
第26号 2013年3月発行号

表紙:石踊達哉
「四季草花図扇面」(部分)2011年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:内藤正敏
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -たとえ明日世界が滅びようと-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 燈(ともしび)⑩ まんさく
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート 被災地で冬を過ごす野鳥たち―福島県南相馬市小高地区
- 文:自然保護室 山本 裕
野鳥の生息地へと変貌しつつある、東日本大震災の被災地である福島県南相馬市を訪ね、復興計画・防災について感じたことをリポートしています。
福島県浪江町のツバメ 2013年春

3・11 以降、時間の止まった浪江町(市街地にて)。

放射線量マップ:1分間測定したうちの最大線量で表示。国道を北上するにつれて線量が上がり、空間線量は約7 μSv /h。町村界では約23 μSv /hに達する。山間部ではウグイス、ホトトギス、モズ、ホオジロ、カワラヒワ、ヒバリ、キジ、ノスリ、ハシボソガラス、シジュウカラ、スズメなどを観察。
チェルノブイリ原発事故では、事故後5年間は立ち入りができず、6年目以降の調査によりツバメに部分白化や尾羽の異常、シジュウカラなどに腫瘍が生じたことが報告されています。
環境省のモニタリング調査では、帰還困難区域の浪江町でツバメの巣から最大138万ベクレル/㎏もの放射性セシウムが検出された事例が報告されています。放射線の影響を受けやすい卵やヒナの時期に高い線量にさらされると、遺伝子などに影響を及ぼす可能性があります。
そこで、福島第一原発の事故後2年経った5月中旬、高濃度汚染地域のツバメなどの野鳥に異常があるかどうかを調べるために、福島県浪江町( 注1)内の帰還困難区域[年間被爆線量50 ミリシーベルト超の区域]を2013年5月中旬に訪ねました。
3か所における空間線量と鳥類相
浪江町の北西部に位置する赤宇木(あこうぎ)地区は放射性物質による汚染が著しい地域です。最初に訪ねた集落は空間線量が約7マイクロシーベルト/時(以下、μSv /h)ほどで、事故後住民は避難しているため、放置された水田は雑草が生い茂り、ツバメを確認することはできませんでした。ひっそりとしている農家を訪ねると、かつて多数かけられていたツバメの巣はカラスによってすべて落とされたと思われ、新たに巣をかけようとしているところも確認できませんでした。
さらに飯舘村との境にある山林を訪ねると、空間線量は約23 μSv /h。林縁の落ち葉の堆積しているところに進むとアラームがけたたましく鳴り始めました。地表近くの空間線量は98 μSv /h、ホットスポットです。通常ならキビタキやオオルリなど夏鳥のさえずりが聞かれるのですが、まったく確認することができませんでした。
赤宇木地区は、キジやモズ、また猛禽類のノスリが多く、一方、ツバメやキビタキ、オオルリなどの夏鳥はほとんど確認できませんでした。その理由としては、田んぼが放置され草地化が進むことにより、開けた草地を生息環境とするキジやモズが増えたのに対し、巣材の泥が取れず人もいないことでツバメは減少していると思われます。
ノスリが増えているのは、草地化によりエサとなるネズミが増えていることが考えられます。キビタキやオオルリが少ないのは、チェルノブイリでは事故後放射性物質の影響により、昆虫類が少なくなった報告もあることから、その影響が考えられます。また、里山に人手が入らなくなったことにより樹冠が覆われ、採餌空間が少なくなったことがキビタキの少ない要因かもしれません。いずれにせよ今後の調査が待たれます。
最後に浪江町の市街地を訪ねました。空間線量は2 μSv /h以下です。おどろいたのはある商店の倉庫から30 羽以上ものハシブトガラスが次々飛び出してきたことです。中はうす暗く強烈な腐敗臭がしていたので、恐らく何か食べるものがあるのでしょう。市街地ではたくさんのハシブトガラスが確認され、ツバメは2巣しか確認できませんでした。人のいないこの場所で、ツバメの卵やヒナはカラスによる強い捕食圧を受けていると思われます。
今回の取材では、野鳥の異常個体は確認されませんでした。しかし、人の営みが途絶えることにより環境が大きく変化しそれに伴い、生息する野鳥の種類や数が大きく変化していることを確認することができました。
今後も引き続き、帰還困難区域における野鳥の生息状況や異常個体の有無を確認していきます。

赤宇木地区の集落。水田は放置されて、草地化が進む。

赤宇木地区の山林。ホットスポット。線量計は94 ・22 μSv /hを示した。

市街地には、ハシブトガラスが群れる。

赤宇木地区の山林。飯舘村へ抜ける道は線量が高く、封鎖されている。場所を確認する調査員。
注1: 浪江町(福島第一原発から北西側約30 ㎞圏内にあり、町の西部から北西部にかけてが帰還困難区域となっている)
放射線量マップの作成については、ポニー工業株式会社の測定機器「ホットスポットファインダー(http://www.ponyindustry. co.jp/product.html?pid=133)をお借りしました。また、作図作成にもご協力いただきました。
(文・写真=山本 裕 自然保護室)
被災地で冬を過ごす野鳥たち―福島県南相馬市小高地区

水田跡で採餌するコハクチョウの群れ

福島第一原発と南相馬市小高地区
東日本大震災から2年。この2月、東京電力福島第一原子力発電所から20km圏内にある福島県南相馬市小高地区を訪ねました。事故直後から指定されていた警戒区域が昨年4月に解除されたものの、復旧作業の遅れから、いまだ壊れた家屋や流された車両がそのまま残されていました。地盤沈下により浸水し、湿地環境に変わった海岸近くの水田地帯には、コハクチョウの群れや天然記念物のマガンをはじめとした水鳥たちが多数飛来し、採餌・休息していました。そのほかハヤブサやノスリといった猛禽類も確認されるなど、野鳥の生息地へと変貌していました。
津波被害を受けた被災地では、現在、復興計画が進んでいます。なかでも津波防災対策についてはその大半が、高さ十数メートルもの防潮堤を建設しようとするものです。
一方で、宮城県気仙沼市では住民らが、高い防潮堤だけが津波防災機能ではないとの認識から、環境・景観・文化を残すために、地域の実情や住民意見を反映した形での防潮堤の整備を市に要望する動きがあります。すでに岩手県の釜石市の漁村・花露辺(けろべ)地区や大槌(おおつち)町の波板地区などでは、海とともに生きる暮らしを守るために新たな防潮堤の建設は行なわないとしています。
海と陸とをつなぐ湿地のような環境は「エコトーン」と呼ばれ、多様な生き物が暮らす場所です。防潮堤以外の防災システムの構築や避難体制の徹底なども含め、必要以上に生態系を壊さない工夫についても検討する必要があるのではないでしょうか。
南相馬市によると、小高地区の復興計画は現時点で立っていないとのことです。野鳥の生息地としての変化を活用し、これを観光資源として地域の活性化を目指す、そしてその上で実情にあった防災対策を講ずるのもまた一計ではないかと思います。

調査中の当会職員

甚大な津波被害を受けた海岸部
(文・写真=山本 裕 自然保護室)
尖閣諸島は海鳥の重要な生息地
11月上旬、野鳥の重要な生息地である尖閣諸島を取材するため、尖閣諸島の行政区域である石垣島を訪ねました。
尖閣諸島の開拓は1896年、古賀辰四郎氏が古賀商店八重山支店をこの地に開店し、鰹節の製造、アホウドリの羽毛採取などの事業を行なったことに始まります。彼の死後、息子に事業が継承されたものの、1940年に事業が中止され、無人島となり、今に至ります。
しかし、自然環境の学術調査は、時折り行なわれてきました。1900年に始まり、戦後だけでも15回を数えます。センカクモグラ、セスジネズミをはじめとする固有の小型哺乳類や、希少なセンカクオトギリ、センカクツツジなどを含む約560種の植物、また、センカクコギセル、アツマイマイなど固有の陸産貝類が確認されています。

クロアシアホウドリのペア(南小島,1971年)
重要野鳥生息地にも登録されている
尖閣諸島には以前から数多くの野鳥が繁殖しており、鳥類を指標に世界共通基準で選定されたIBA(Important Bird Areas)にも登録されています。
1953年から1980年の間に、6度の上陸調査をした尖閣諸島文献資料編纂会の新納氏に伺ったところ、53年当時、北小島ではアジサシ類が多く、なかでもセグロアジサシは約100万羽が生息し、南小島ではカツオドリが多く、約50万羽が繁殖していました。しかし年数を経るにつれ、海鳥の数は極端に減っていきました。その要因のひとつに、台湾漁民が頻繁に上陸し、海鳥の卵を採取していたことがあります。
また南小島、北小島のアホウドリも、1891年以降、伊豆諸島の鳥島同様に乱獲され、1897年から1907年の11年間に105万羽分の羽毛が採取されたという記録が残っています。1909年には魚釣島、久場島でのみ細々と繁殖していることが報告され、39年以降は生息が確認されず絶滅とされました。しかし、71年になって南小島、北小島で再発見され、徐々に回復し、現在に至っています。2005年の推定は約250羽とされています。
尖閣諸島の将来の方向性
石垣市長の中山氏に尖閣諸島の将来について伺ったところ、島に残る貴重な自然は保護していく必要があるとのことでした。とくに魚釣島は、ヤギの食害による植生の消失と裸地化、土砂の流出が起きています。数百頭のヤギは1978年に持ち込まれた雌雄2頭に起因するものと考えられていますが、植生への重大な被害を食い止めるためには、今後、駆除も視野に入れるとのことでした。
そして将来的には、国際的な見地から何らかの保護区に指定し、保全を進めていきたいという構想でした。石垣市議の仲間氏からは、優れた自然を観光資源として活かし、観光船からの海鳥観察や漁業のブランド化を目指していきたいという考えを伺いました。
尖閣諸島は、貴重な自然が残されている場所です。国境に関係なく海上を自由に行き交う海鳥にとっては、重要な繁殖地でもあります。この島の自然の現状を知り、守っていくには、国境の枠にとらわれない国際的な機関やNGOの協力による学術調査や保護活動が必要です。

海鳥の卵を採る台湾人(北小島,1968年)
尖閣諸島の主な年表
1884 …古賀辰四郎が、尖閣諸島を探検
1891 …伊沢矢喜太が魚釣島、久場島でアホウドリの羽毛を採取
1895 …閣議で沖縄県所轄として標杭を立てることを決定
1896 …古賀商店が八重山支店を開店
1900 …古賀辰四郎の依頼により、東京帝国大学理科大学が調査
1931 …古賀善次が4島の払い下げを申請し、翌年許可される
1940 …古賀善次が事業を断念し、無人島となる
1972 …沖縄返還協定が発効され、尖閣諸島を含む南西諸島全島が返還される
2010 …中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件発生
2012 …国有化
尖閣諸島周辺の漁業問題
戦後の尖閣漁業は、台湾へ渡った先島(さきしま)漁民がさきがけとなりました。1990年代までは中国、台湾との漁業上のトラブルはありませんでした。その後、カツオの1本釣りからマグロはえ縄漁に漁法が変わり、台湾漁船が日本漁船のはえ縄の上に縄を入れたり、網を切ったりするようなトラブルが発生しはじめました。

※高良(1969)、 尖閣諸島文献資料編纂会(2011)より作成。●は以前の記録がある種

草地で営巣するオオアジサシ(北小島,1971年)

《参考資料》尖閣諸島文献資料編纂会.2011. 「尖閣研究」.尖閣諸島文献資料編纂会.那覇.高良鉄夫.1969. 「尖閣列島の海鳥について」.琉球大学農学部学術報告第16 号.1-11
(写真/新納義馬)
宮城のツバメと被災地・福島――2012年夏

福島第一原発と角田市、南相馬市、飯舘村
当会では、チェルノブイリの例に見られるように、福島第一原発事故による放射性物質の影響がツバメに出ていないか、当会の支部会員に呼びかけ情報を収集しています。このたび、「尾羽の片方が短いツバメが複数いる」との情報が寄せられ、7月に調査しました。

地盤沈下した水田が野鳥の生息地に(南相馬市)
尾が不均一な宮城県角田市のツバメ
尾羽の片方が短いツバメが確認された場所は、福島第一原発からは約60㎞離れた角田市内の駅舎です。周辺には水田が広がり、駅舎の通路内にツバメの巣が30巣ほどありました。
巣近くの空間線量は平均0.1μSv/hほどでさほど高くない値です。ほどなく巣に戻ってきた親鳥は、確かに片方の尾羽が短く不均一な形でした。尾羽の異常個体は少し離れた場所でも見られ、短時間のあいだに2羽を確認しました。
情報を寄せてくれた当会会員のTさんによると、子育てピーク時には市内で7羽の尾羽の不均一個体が観察されたとのことです。巣の汚染状況を調べるために古巣5個を分析したところ、2巣からそれぞれ7200、6700Bq/kgと比較的高い線量の放射性セシウムが検出され、残りの3巣は平均2100Bq/kgほどでした。
ツバメは一度羽が抜け、生え換わる途中で一時的に尾羽が不均一になることがあるのですが、同時期にこれだけ多くの尾羽の不均一な個体が確認されたのは珍しいことです。この原因が放射性物質による影響とは断定できませんが、巣も汚染されていることから今後注意していく必要があります。
無人化した原発被災地は遷移が進んでいる
南相馬市小高地区は今年4月に警戒区域から解除されました。瓦礫処理の問題もあり復旧は手つかずのままです。海岸近くの広範囲に地盤沈下した場所は、湿地へと変貌し、300羽を超えるサギ類やカルガモを確認しました。
飯館村は、全村民が避難し田畑も放置されているため、田畑は草地へと変化し、山沿いの人家は森に覆われつつあります。雑草の繁茂する田畑ではキジなど草地性の野鳥が確認され、遷移が進んでいます。

不均一な尾羽を持つツバメ

草木に覆われる無人の家屋(飯舘村)

駅舎で繁殖するツバメ(角田市)
(写真/安藤康弘)
Toriino(トリーノ)2012年の発行号
第25号 2012年12月発行号

表紙:石踊達哉
「四季草花図扇面」(部分)2011年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:土門 拳
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -同窓会-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 燈(ともしび)(9) 長寿の秘訣
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート 尖閣諸島は海鳥の重要な生息地
- 文:自然保護室 山本 裕
数多くの野鳥が繁殖し、重要野鳥生息地(IBA=Important Bird Areas)にも選定されている尖閣諸島について取り上げています。
第24号 2012年9月発行号

表紙:石踊達哉
「須磨」(部分)2007年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:林忠彦
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -市場は街のヘソである。-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 燈(ともしび)(8) 紅葉
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート 宮城のツバメと被災地・福島――2012年夏
- 文:自然保護室 山本 裕
宮城県の会員から寄せられた情報をもとに尾羽の不均一なツバメを調査した結果と、原発被災地の福島県浜通りの現在をレポートしています。
第23号 2012年6月発行号

表紙:石踊達哉
「朝顔」(部分)2007年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:川田喜久治
- 憶の章 -還-
- 写真:芳賀日出男
- 流の章 -禁忌の島-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 燈(ともしび)(7) 蓮の声
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート ツバメが直面する危機
- 文:自然保護室 山本 裕
人との関わりを好む夏鳥・ツバメの生息状況を調査するために、福島県相馬市、南相馬市、飯館村を訪問した結果をレポートしています。
第22号 2012年3月発行号

表紙:石踊達哉
「胡蝶」(部分)1997年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:桜井栄一
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章 -水俣と福島-
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 「燈(ともしび)(6)」 東慶寺の二本の桜
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート サギたちの受難
- 文:自然保護室 山本 裕
サギのコロニー(集団繁殖地)における放射性物質の影響についてレポートしています。
ツバメが直面する危機

近年、身近な夏鳥・ツバメが全国的に減っています。その背景には、餌場である水田や畑の減少、巣作りができる軒のある日本家屋の減少など、私たちの暮らしの変化が大きく作用しています。また、東日本大震災の津波による繁殖地の減少や、福島第一原子力発電所での放射性物質の漏出事故の影響も新たな懸念材料となっています。
震災から1年あまりが経過し、福島第一原子力発電所事故の警戒区域と避難指示区域が再編されたため、原発事故のツバメへの影響を探るために、原発事故被災地を5月に取材しました。

放棄水田(飯舘村):原発事故さえなければ田植え風景が見られていた水田。草地化した水田には、ツバメの巣材となる泥はない。飯舘村では水田も川も森も放射性物質に汚染された。
原発被災地におけるツバメの生息状況
南相馬市

地盤沈下(南相馬市):地盤沈下で沈んだ水田。今年の4月まで、放射性物質の影響で立ち入りができなかった南東部の地区。まだ多数の行方不明者がここにいる。
南相馬市南東部は、この4月まで警戒区域指定により立ち入りができませんでした。行方不明者の捜索や瓦礫の撤去作業が行なわれておらず、当時のままの状態です。海岸付近にあった田畑は地盤沈下により広い範囲で浸水し、ツバメの姿を確認することはできませんでした。浸水していない陸側の水田は放棄地となっており、残された集落にわずかのツバメが確認できました。避難指示解除準備区域に指定されている北西部は比較的放射線量が高く、約125世帯の半数が避難し、放射性物質に汚染された水田の作付けが2年間規制されています。放棄水田には雑草が茂り、ツバメの姿はわずかでした。
避難せず残って生活をしているFさんにお話しを伺うと、自宅では2年続けてツバメが繁殖していたが、今年は来なかったとのことでした。息子さんたちはすでに他県へ移住したのに、日々被曝の危険に晒されながらもツバメのためにヘビよけの工夫をしているFさんの姿を見ると、なんとも胸が熱くなりました。
飯舘村

放射線量の測定(飯舘村):地上で8.252μSv/h の値を示す。汚染された泥を巣材にすると、卵やヒナは被曝する。
広範囲にわたって放射性物質に汚染され、全村民が避難している飯舘村の北西部も訪れました。この地区は計画的避難区域に指定されており、私たちが訪れた時にも空間で4~5μSv/hの放射線量がありました。セイヨウタンポポが咲く放棄水田が一面に広がり、各家屋はカーテンが閉じられ、飼われていた犬や猫が家主の帰りを待っています。村全体がひっそりとしていて、ツバメの姿はほとんど見られず、巣を1つ確認しただけでした。
相馬市
最後に訪れたのは、制限区域指定を受けていない相馬市です。
市内で津波の影響がなかった地区では例年通り田植えが進められ、多くのツバメが飛び交っていました。また古くからの商店街でも巣と抱卵中の親鳥がたくさん確認できました。

抱卵するツバメ(相馬市):道の駅ではたくさんのツバメが抱卵していた。

田植え(相馬市):田植えが行なわれている相馬市では、たくさんのツバメが飛来していた。

ツバメ(相馬市):春、南の国から渡ってきて子育てをするツバメ。ツバメは私たち日本人の里山の暮らしと共に生きてきた。
環境変化の影響と被曝の懸念
今回の取材の結果、制限区域内のツバメの数は極端に少なく、その原因としては、放射性物質の影響で広い範囲で水田が放棄地となっていること、また人が住まなくなったため、カラスなどの天敵に襲われやすくなっていることなどの現状が確認できました。チェルノブイリ原発事故(1986年)では、放射性物質の影響によりツバメの体の一部が白化する突然変異の事例が報告されています。今後は福島でもツバメをはじめ野鳥だけでなく野生生物全般への被曝の影響が懸念されます。
このたびの原発事故は自然界に取り返しのつかない影響を及ぼし、古くから営まれてきた暮らしや文化をも破壊しようとしています。被災地では人も野生生物も止むことのない放射性物質の脅威に苦しんでいます。
今後も、引き続き調査し、レポートしていきます。
(写真/安藤康弘)
野鳥と人との共存を考える
- 野鳥保護区の設置で、日本最大のナショナルトラスト団体に
- 海洋プラスチックゴミから海鳥を守ろう
- 自然保護の観点から平成時代をふり返る
- 福島の声―3・11から7年 忘れないで。 福島に来て、現地を見てほしい
- 身近な野鳥にバードストライクの危険性 急増する小型風力発電
- シマアオジを 絶滅の危機から守る
- 渡り鳥の回廊 イスラエルレポート
- [オオジシギ保護調査プロジェクト] オオジシギの渡りルートの一部が解明
- 世界初! 絶滅危惧種のカンムリウミスズメ人工巣での繁殖に成功
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- 野鳥たちの声なき叫び
- リニア中央新幹線は、本当に必要か?
- 基地建設から 辺野古の海を守るために
- 葛西臨海公園の保全が決定
- ツルがいる景色を取り戻す
- 生物多様性を脅かさない自然エネルギーを
- いま問われる、野生動物と人間の共生
- 野鳥と人が共存する 原発のない社会に向けて
- 自然を壊さないオリンピックを
- 原発被災後の福島の現状を知るエコツアーを開催
- 福島県浪江町のツバメ 2013年春
- 被災地で冬を過ごす野鳥たち―福島県南相馬市小高地区
- 尖閣諸島は海鳥の重要な生息地
- 宮城のツバメと被災地・福島――2012年夏
- ツバメが直面する危機
Toriino(トリーノ)2011年の発行号
第21号 2011年12月発行号

表紙:石踊達哉
「白梅」(部分)2000年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:森山大道
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章‐交流と「持続力」‐
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 新春特別対談〈思いやり そして 祈り――被災地を慰安訪問して実感した「生かされている」ということ〉
- 生博会長が作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんと対談し、大震災を受けた日本人が、未来に向けて元気に生きていくためにはどうしたらいいかを語り合った。
- 野鳥保護レポート
- 文:自然保護室 山本 裕
カンムリウミスズメを絶滅から救うために、日本野鳥の会がこの3年間取り組んできた活動をまとめました。
第20号 2011年9月発行号

表紙:石踊達哉
「もみじ川」(部分)2007年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:安井仲治
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章‐花は語る。‐
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 「燈(ともしび)(5)」 「さば」と小鳥
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート
- 文:自然保護室 山本 裕
チェルノブイリ原発事故の影響を受けた北ヨーロッパの事例から、放射性物質が生物に蓄積する仕組みを紹介しました。
第19号 2011年6月発行号

表紙:石踊達哉
「波」(部分)2006年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:木村伊兵衛
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章‐満月‐
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 「燈(ともしび)(4)」 藤の花房
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート
- 文:自然保護室 山本 裕
福島第一原発による放射性物質の漏えいを受け、先のチェルノブイリ原発事故が野生生物や自然界に与えた影響(ツバメの部分白化個体など)を紹介しました。
第18号 2011年3月発行号

表紙:石踊達哉
「花ふぶき」(部分)2007年
- 彩の章
- 写真:西川 孟
- 憶の章 -往-
- 写真:緑川洋一
- 憶の章 -還-
- 写真:川田喜久治
- 流の章‐インド‐
- 写真・文:藤原新也
- 響の章
- 写真:星野道夫
- 「燈(ともしび)(3)」 梅のおもかげのひと
- 文:瀬戸内寂聴
- 野鳥保護レポート
- 文:自然保護室 山本 裕
この年猛威をふるった高病原性鳥インフルエンザについて報告し、いたずらに野鳥を怖がらないように呼びかけています。
野鳥のヒナの紙芝居&絵本

紙芝居
環境省自然環境局 推薦
NPO法人野生動物救護獣医師協会 推薦
全国学校図書館協議会 選定図書
国連生物多様性の10年日本委員会
「生物多様性の本箱」
~みんなが生きものとつながる100冊~
(PDF/332KB)
ヒナをテーマにした紙芝居と絵本で、子どもへの普及を
春から夏にかけて、多くの野鳥は子育ての季節を迎えます。この時期、巣立ったばかりでまだ上手に飛べないヒナを見かけることがあります。つい、手を差しのべたくなりますが、そのようなヒナの多くは、親鳥から誘導されながら成長している「巣立ちビナ」です。親鳥が近くで見守っていることが多いので、拾わずにそのままにしておくほうが良いことがほとんどです。
当会では、紙芝居「わたしのことり」と絵本『ぼくとりなんだ』を制作しました。この紙芝居と絵本は、野鳥のヒナと子どもとの出会いをテーマに創られた2つの物語です。作者は、絵本作家の和歌山静子さん。巣立ちビナのくらしぶりを伝えることで、子どもたちに、生きものや自然とのつきあい方を考えるきっかけになればと願っています。
紙芝居と絵本を子ども向けの施設や団体へ寄贈します

保育園、幼稚園、学校や学童保育施設など子どもたちが集まる施設や、読み聞かせグループなどの団体に、紙芝居「わたしのことり」と絵本「ぼくとりなんだ」を寄贈します。
先着100施設・団体に、リアル鳥類マスコット「スズメ」をおひとつプレゼントします。子どもたちへの読み聞かせの際にぜひご活用ください。
提供:カロラータ株式会社
お申し込みにあたって
- 1施設・団体につき1部ずつとさせていただきます。
- 読み聞かせ参加者に当会制作のパンフレット『野鳥のヒナと出会ったら?』を配っていただくと、よりメッセージが伝わると思います。
- 申込方法:以下の申込フォームよりお申込みください。
本件のお問い合わせ先
日本野鳥の会 普及室 普及教育グループ
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
E-mail:[email protected]
紙芝居「わたしのことり」

偶然出会ったかわいいヒナに心を奪われた女の子と、わが子を返してほしい親鳥のおはなし。女の子と親鳥のやりとりを通して、ヒナは親鳥といっしょに行動しながら生きる術を学んでいくことを伝えます。
(B4判、12場面)
あらすじ

一羽のヒナを見つけた女の子。「かわいい!」と連れて帰ろうとしたとき、「その子を返して」と親鳥がやってきます。

女の子は、親鳥に対して自分がヒナのお母さんになれることを証明しようとがんばります。

しかし、親鳥の元に戻りたい、というヒナの言葉を聞き、女の子はヒナを放す決心をします。

親鳥に導かれて飛べるようになるヒナ。女の子はびっくりするとともに、自分も母親に呼ばれて帰っていきます。
絵本『ぼくとりなんだ』

産まれてから巣立つまでのこと、これから親鳥からいろいろなことを学ぶことを、ヒナが子どもに語ります。自然の中で生きてこそ「野鳥」であることを伝える物語です。
(B5判、32頁、ハードカバー)
日本野鳥の会の通信販売ほか、全国の書店でも販売します。
1,540円(税込)
※この絵本の制作費の一部、紙芝居の制作費には、花王(株) 、東亜建設工業(株)、トヨタ自動車(株) 、丸和油脂(株)からの協賛および家電・住宅エコポイントの環境寄附を使用しています。
作者のことば

- 作者紹介
- 脚本・絵 和歌山静子
- 日々の生活のなかで生きものたちとのふれあいを楽しむ絵本作家。絵本『てんてんてん』『ひまわり』『どんどこどん』(以上、福音館書店)、『おーい はーい』(ポプラ社)など、自然のいとなみや生きものたちを独自の視点とおおらかなタッチで表現した作品が人気を集める。その他に『あいうえおうさま』(作:寺村輝夫、理論社)など代表作がある。紙芝居も多く手がけ、童心社から『しんかんせんははやい』(脚本:中川ひろたか)『きかんしゃシュッシュ』(脚本:八木田宜子)ほか多数。
- 作者からのメッセージ
- かねてより、鳥をテーマにした作品を描きたいという想いを卵のように温めていました。そのようなとき、日本野鳥の会からの依頼を受けました。
- 身近な野鳥の観察が大好きです。また、旅先で出会う豊かな自然や生きものたちとの出会いには、いつもわくわくどきどきしていました。自然のなかで自らの力で生きている生きものたちは、とても魅力的です。
- そして、丹精こめて温めた卵からヒナが産まれるように、この物語ができました。私らしい作品を巣立たせることができたかなと、思っています。物語にこめた想いが、鳥のように飛んでみなさんの心に届けばうれしいです。







