基本指針案から、愛玩飼養に関わる部分の抜粋

 中央環境審議会野生生物部会鳥獣保護管理小委員会(平成23年度第2回)で審議・確定された基本指針案から、愛玩飼養に関わる部分の抜粋。

(ページ番号は同小委員会資料1のページ番号)

Ⅰ 第十二 4 (21ページ)

4 愛玩飼養の取扱い
自らの慰楽のために飼養する目的で野生鳥獣を捕獲することについては、密猟を助長するおそれがあることから、原則として許可しないこととする。このため、これまで一部認められてきた愛玩のための飼養を目的とする捕獲等については、今後、廃止を検討する。

Ⅱ 第四 2 (2) ④ (29ページ)

④ その他特別な事由を目的とする場合
(略)
また、鳥獣の愛玩飼養は、鳥獣は本来自然のままに保護するべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長するおそれもあるので、飼養のための捕獲又は採取の規制の強化に努めるものとし、今後、廃止する方向で検討するものとする。

4) 愛玩のための飼養の目的
個人が自ら慰楽のために飼養する目的(特別の事由があると都道府県知事が認めるものに限る。)で捕獲する場合。なお、当該場合を除き、愛玩のための飼養の目的での捕獲は、原則として、許可しないものとする。

Ⅱ 第四 6 (4)  (40ページ)

(4)愛玩のための飼養の目的
原則として、愛玩のための飼養を目的とする捕獲等は認めないこととし、都道府県知事が特別の事由(屋外で野鳥を観察できない高齢者等に対し自然とふれあう機会を設けることが必要である等)があると認める場合に限る。また、この場合においても原則として次の基準によるものとする。
なお、愛玩のための飼養を目的とする捕獲等については、今後廃止の方向で検討することとし、申請者に対して今後の検討方向の周知に努める。

① 許可対象者
自ら飼養しようとする者(当該者が飼養許可に係る鳥獣を飼養しておらず、かつ5年以内に当該者又は当該者から依頼された者が愛玩飼養のための捕獲許可を受けたことがない場合に限る。)又はこれらの者から依頼を受けた者。
② 鳥獣の種類・数
メジロに限る。許可対象者当たり1羽とし、かつ、飼養しようとする者の属する世帯当たり1羽とする。
③ 期間
繁殖期間中は認めない。
④ 区域
原則として、住所地と同一都道府県内の区域(規則第7条第1項第7号イからチまでに掲げる区域及び自然公園、自然休養林、風致地区等自然を守ることが特に要請されている区域を除く。)。
⑤ 方法
原則として法第12条第1項又は第2項で禁止されている猟法は認めない。ただし、とりもちを用いる方法であって、錯誤捕獲を生じない等、適正な使用が確保されると認められる場合は、この限りでない。

愛玩飼養廃止要望 -ブロックより-

2010年11月25日

環境大臣 松本 龍 様

日本野鳥の会 近畿ブロック協議会

日本野鳥の会ひょうご 代表 奥野 俊博
日本野鳥の会奈良   代表 川瀬 浩
日本野鳥の会和歌山  代表 阿瀬 誠一郎
日本野鳥の会滋賀   代表 石井 秀憲
日本野鳥の会大阪   代表 平 軍二
日本野鳥の会京都   代表 澤島 哲郎

野生鳥類の愛玩飼養制度廃止の要望について

 平素は、私ども日本野鳥の会及び連携団体の密猟防止活動に、ご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて現在、野鳥の愛玩飼養は、メジロに限り1世帯1羽の飼養が認められていますが、野生生物の愛玩飼養廃止が世界的な趨勢となっている現在、我が国もこの制度を即刻廃止し、密猟の温床ともなっている野鳥の愛玩飼養の歴史に終止符を打つべく特段のご配慮をいただきますようお願い申しあげます。
つきましては、下記の3点について要望します。
(1) 管理小委員会委員に(財)日本野鳥の会の専門家を加えること。
(2) 法律に基づかない違法なメジロの捕獲許可は即刻廃止すること。
(3) 飼養メジロの実態調査をすること。

【理由】

(1) 管理小委員会委員に(財)日本野鳥の会の専門家を加えること。
鳥獣保護管理小委員会の人選に当たっては、現に自然保護のために日本野鳥の会で活動している専門家を加えるのが当然と考えます。

(2) 法律に基づかない違法なメジロの捕獲許可は即刻廃止すること。
私どもは、現行の飼養許可に関し「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則第7条第1項第6号」には違憲の疑いがあり、これによる捕獲許可は無効であると考えています。メジロの捕獲許可は違法なメジロ乱獲の温床となっており、環境大臣は飼養捕獲の根拠法を的確に認識し、メジロの捕獲を即刻廃止する措置をとるべきです。

(3) 飼養メジロの実態調査をすること。
現在、適法に飼養されているとして統計に計上されているメジロの中には、無許可捕獲の個体が相当数混入していることが容易に推定されます。このことは許可をする行政当局に限らず、私どもを含む自然保護側にもよく知られた公然の秘密です。これは大きな問題であり、環境大臣は「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律第79条」により、都道府県知事に指示・協力をし、直ちに飼養メジロの実態を調査し、無許可捕獲の事例があれば厳正な処罰を科すように努めるべきです。

(4) メジロの飼養数はわずか4,642羽
鳥獣関係統計(環境省)によると、平成18年度の全国のメジロ飼養登録数は4,642羽で、過去に愛玩飼養目的の捕獲許可対象から外れた鳥類と比べて大幅に少なくなっています。すなわち、捕獲許可を打ち切る前年の飼養数は、ヤマガラが6,048羽(昭和53年)、ウグイスが14,565羽(昭和54年)で、いずれも現在のメジロよりもずっと飼養数が多い時点で、捕獲許可対象から外しています。

【参考資料】

(1) 平成10年度~平成18年度 都道府県別メジロ捕獲数と飼養数
(2) 平成10年度~平成18年度 メジロ捕獲数と飼養数の推移

連絡先:日本野鳥の会京都 事務局


2010年12月25日

環境大臣 松本 龍 様

日本野鳥の会 中四国ブロック
(高知、愛媛、徳島、香川、
鳥取、島根、岡山、山口、広島)

野生鳥類の愛玩飼養制度廃止の要望について

 平素は、私ども日本野鳥の会及び連携団体の密猟防止活動に、ご理解とご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。
さて先般、本会中四国ブロックを構成している9連携団体が、メジロの愛玩飼養を廃止すべきであることを決議しました。つきましては、下記のとおり要望いたします。野生鳥類メジロを愛玩飼養することに終止符を打つため、特段のご配慮をいただきますよう、お願い申しあげます。

要望:メジロを愛玩飼養に供するための捕獲ならびに愛玩飼養を廃止すること。

【理由】

(1) 現在日本では、野鳥メジロの愛玩飼養が1世帯1羽認められ、その前提の野外捕獲が認められています。しかしながら適正な野外捕獲が行われず、野生生物の生息に悪影響を与え、かつ、密猟の温床になっている状況は、広く知られているところです。
(2) 野生のメジロを捕獲し愛玩飼養することでは、自然環境保全・生物多様性維持や、次世代を担う国民の情操向上に資す等々の効用は得られず、役目を終えていると考えます。一方的に日本の野生自然環境からメジロを捕獲し消費するだけの、個人的な楽しみに供する愛玩飼養を続けることは、今日的に認められない行為と言わざるをえません。
(3) 飼養許可が更新された飼養登録票を所持しながら、足環の装着されていない複数のメジロを違法に飼養していた事例が報告されており、愛玩飼養制度の運用そのものにも問題があると考えます。飼養登録されているメジロ全てを実際に確認し、メジロに足環を装着する実務を担う市町村職員の負担は大きく、一定の知識と技能が必要であり、愛玩飼養制度を適正に運用することは極めて困難です。
(4) 1世帯1羽の飼養許可制度の下に届けられたメジロの愛玩飼養数は、4,642羽(鳥獣関係統計環境省・平成18年度)で、過去に飼養が廃止されたほかの野鳥の事例から、ただちに廃止しても問題と考えられる数ではありません。
過去の愛玩飼養目的の捕獲許可対象種の捕獲許可打ち切り前年の飼養数は、ヤマガラ6,048羽(昭和53年)、ウグイス14,565羽(昭和54年)で、いずれも現在のメジロより飼養数が多い時点で、捕獲許可対象から外されています。

連絡先:中四国ブロック理事 日比野政彦(所属先:日本野鳥の会ひろしま)


2011年2月14日

環境大臣 松本 龍 様

日本野鳥の会 九州沖縄ブロック協議会
(福岡、北九州、筑豊、筑後、佐賀、長崎、大分、
熊本、宮崎、鹿児島、やんばる、石垣、西表)

野生鳥類(メジロ)の愛玩飼養制度廃止の要望について

 平素は、私ども日本野鳥の会及び連携団体の密猟防止活動に、ご理解とご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。
さて先般、本会九州沖縄ブロック協議会を構成している13連携団体が、メジロの愛玩飼養を廃止すべきであることを決議しました。つきましては、下記のとおり要望いたします。野生鳥類メジロを愛玩飼養することに終止符を打つため、特段のご配慮をいただきますよう、お願い申しあげます。

メジロを愛玩飼養に供するための捕獲ならびに愛玩飼養を廃止すること。

【理由】

(1) 現在日本では、野鳥メジロの愛玩飼養が1世帯1羽認められ、その前提の野外捕獲が認められています。しかしながら、声のよいメジロは高値で売買されるとあって、適正な野外捕獲が行われず、違法なメジロ乱獲の温床となっています。野生生物の生息に悪影響を与え、かつ、密猟の温床になっている状況は、広く知られているところです。
(2) 野生のメジロを捕獲し愛玩飼養することでは、自然環境保全・生物多様性維持や次世代を担う国民の情操向上に資す等々の効用は得られず、役目を終えていると考えます。環境省の資料によると「野生鳥獣の愛玩飼養は、鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長する恐れもあるので、飼養のための捕獲又は採取の規制の強化に努めるものとする」とあります。
(3) メジロの愛玩飼養については、全国47都道府県のうちすでに24県が愛玩飼養目的の新たな捕獲を認めていません。事実上の禁止となっています。
(4) 飼養許可が更新された飼養登録票を所持しながら、足環の装着されていない複数のメジロを違法に飼養していたいわゆる大量飼養や密売事例が報告されており、愛玩飼養制度の運用そのものにも問題があると考えます。飼養登録されているメジロ全てを実際に確認し、メジロに足環を装着する実務を担う市町村職員の負担は大きく、一定の知識と技能が必要であり、愛玩飼養制度を適正に運用することは極めて困難です。
(5) 1世帯1羽の飼養許可制度の下に届けられたメジロの愛玩飼養数は、4,642羽(鳥獣関係統計環境省・平成18年度)で、過去に飼養が廃止されたほかの野鳥の事例から、ただちに廃止しても問題と考えられる数ではありません。
過去の愛玩飼養目的の捕獲許可対象種の捕獲許可打ち切り前年の飼養数は、ヤマガラ6,048羽(昭和53年)、ウグイス14,565羽(昭和54年)で、いずれも現在のメジロより飼養数が多い時点で、捕獲許可対象から外されています。

連絡先:九州・沖縄ブロック理事 高野茂樹(所属先:日本野鳥の会熊本県支部)

野鳥をペットとして飼うための捕獲許可が中止へ

第11次鳥獣保護事業計画に向けた「基本指針」策定に向けての議論
-野鳥をペットとして飼うための捕獲許可が中止へ-

平成23(2011)年度は各地道府県が、鳥獣保護法に基づき、平成24年度から5年間の鳥獣保護事業計画を改定する年にあたっています。この改定にあたって、基本的な考え方を示す「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」(以下、指針)の策定が、2010年~2011年7月、中央環境審議会にて行われました。当会はこの議論に対し、野鳥保護の観点から、「野鳥の愛玩飼養(ペットとして飼育すること)目的のための特別捕獲許可」の制度廃止を中心に提案してきました。


野の鳥は野に!(メジロ 写真提供 全国野鳥密猟対策連絡会)

「愛玩飼養制度」とは?

野鳥をペットとして飼うことは、戦前は広く行われていましたが、好ましくないので種類を限って許可するとして昭和25(1950)年に7種類のみが指定され、昭和32(1967)年の審議会の答申で、「本来は捕獲を禁止すべきものであるが、(中略)最小限度においてこれを許可するようにすべき」とされました。昭和53(1978)年の自然環境保全審議会の答申では「鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長することとなるおそれがあるので、廃止すること」として、以後、対象種を減らして来ていました。

年度 種数 種名
1950(昭和25)年~
1979(昭和54)年
7 ヒバリ、ヤマガラ、メジロ、ウグイス、ホオジロ、ウソ、マヒワ
1979(昭和54)年~
1980(昭和55)年
5 メジロ、ウグイス、ホオジロ、ウソ、マヒワ
1980(昭和55)年~
1999(平成11)年
4 メジロ、ホオジロ、ウソ、マヒワ
1999(平成11)年~
2007(平成19)年
2 メジロ、ホオジロ
2007(平成19)年~ 1 メジロ

「野の鳥は野に」をモットーとする当会や全国野鳥密猟対策連絡会(密対連)等の自然保護団体の働きかけの結果、平成19(2007)年にようやく、メジロ1種、1世帯1羽のみ認める、というところまでこぎつけていました。しかし、密猟者が愛玩飼養の登録票を見せて警察の取締りを逃れようとするといった弊害が大きく、当会や密対連の行っている野鳥密猟問題シンポジウムでもたびたびその問題点が指摘されてきました。

そこで今回、指針が検討されるにあたり、当会は密対連、そして許可数の多い西日本の3つのブロック(近畿、中四国、九州・沖縄)と連携して制度廃止を環境大臣に要望し、案を検討した中央環境審議会の委員各位にも働きかけて来ました。

「原則として許可しない」

7月13日に開催された中央環境審議会野生生物部会の答申で、野鳥の愛玩飼養について「原則として許可しない」と示すことが決まり、環境大臣が指針として8月に都道府県知事に示す見込みとなりました。この問題が提起されてから実に54年めにして、ようやく制度廃止の道筋が示されることとなりました。

これまでの活動

サハリンIIフェーズ2プロジェクトに係る意見書

日野鳥発第58号
平成16年12月13日

国際協力銀行御中

財団法人 日本野鳥の会
会長  柳生 博

サハリンIIフェーズ2プロジェクトに係る意見

 サハリンⅡプロジェクトの事業対象地域は、生物多様性保全の観点から世界的に見ても重要な地域です。国際的自然保護団体であるBirdLife International(当会ほか、世界約100の国と地域の鳥類保護NGOが加盟)が11月18日にタイのバンコクで開催された第3回世界自然保護会議において発表した”Important Bird Areas in Asia”では、サハリンⅡ及びその影響が懸念されるサハリン北東岸~アニバ湾(サハリン南部)に係る地域から、少なくとも4ヶ所が、世界的に重要な鳥類生息地に選定されています。

 さらに、当該地域は北海道に隣接し、渡り性鳥類をはじめとする野生動植物の観点から日本との関係性が極めて高い地域であり、同地域で自然環境に対する深刻な事態が発生した場合、日本の生物多様性にも重大な影響を与えるおそれがあります。また自然環境に立脚した漁業・観光業などの産業についても同様のことが言えます。
 従って、貴行がこのプロジェクトに対し環境審査を行われ、融資の可否を検討されるに際しては、これら当該地域と日本とのつながりを十二分に考慮し、貴行が2002年4月に策定された環境社会配慮のためのガイドラインに沿って自然環境に与える影響が相当程度高いことを認識された上で、自然環境への影響について回避・低減が十二分に行われる計画となっているかを判定し、その経過及び結果についての国民及び利害関係者への説明責任を果たすことが必要であると思料いたします。

これらの観点から、以下の点について小会としての意見を申し述べます。

  1. 事業対象地域及び周辺関連地域の鳥類から見た重要性
  2. 環境影響評価に係る問題点
  3. 専門家による検証を行う場の設置

1.事業対象地域及び周辺地域の鳥類の生息状況からみた重要性

 事業対象地域、及びその周辺の事業の影響を受けると思われる地域(油流出事故が発生した場合に影響が想定される地域を含む)の、鳥類の生息状況からみた重要性については、以下のとおりです。(油流出事故の影響範囲については、事故の種類、発生位置によってはより広い範囲での影響も考慮されますが、ここではサハリン北東岸~アニバ湾にかけての地域に限って記述します。)
 こうした事業対象地域及び周辺地域の状況から、サハリンIIプロジェクトは、環境への重大で望ましくない影響のある可能性をもつ事業に分類されると考えられます。

  • 絶滅危惧種・貴重種
    サハリン北東部は、オオワシ、カラフトアオアシシギなどIUCNのレッドリストに掲載されている世界的な絶滅危惧種の重要な繁殖地となっているほか、ハマシギのサハリン固有亜種の唯一知られている繁殖地です。そのほか、ロシアのRDBリスト掲載種も多く生息しています。
  • ラムサール条約湿地の登録基準を満たす種
    サハリン北東部湿地及び沿岸では、ラムサール基準を満たす鳥類として、オオハクチョウ等のガンカモ類をはじめとする水鳥類が記録されているほか、基準を満たす個体数のアジサシ類が繁殖しています。また、アニバ湾、Novskoye湖でも渡りの時期に多くの種で、ラムサール基準を満たす個体数が記録されています(BirdLife International 2004)。
  • 海鳥
    チュレニー島はウミガラスをはじめとする海鳥の重要な繁殖地となっています(BirdLife International 2004)。また、サハリン東部沿岸域は、「サハリンIIフェ-ズ2プロジェクトに関する環境関連意見交換会 (2004年6月30日 札幌)」で小城春雄北海道大学名誉教授が指摘されているように、海鳥類をはじめとする移動性野生生物の採食域、移動域として重要です。
  • 当該地域と日本の鳥類の関連性
    サハリンで繁殖しているオオワシは、日本で越冬する個体群であることが日本政府の行った衛星追跡調査の結果等から判明しています(McGray et al. 2000, 2003)。また、サハリンは、日本で越冬するガンカモ類の主要な渡りルートのひとつになっています(宮林2002, Kanai et al. 1997)。
    なお、2003年10月にハバロフスクで行われた第5回日ロ渡り鳥保護・研究会議において、日本政府からロシア政府に対し、サハリンに生息するオオワシ、カラフトアオアシシギ、ハマシギなどの基礎的な生息状況を把握する共同研究の実施が提案されており、これらサハリンに生息する希少種に対する関心とサハリン地域の渡り鳥にとっての重要性が表明されています。
  • Important Bird Area
    BirdLife International が2004年11月にタイで発表したImportant Bird Areas in Asiaに、サハリン北東部湿地、チュレニー島、Nevskoye湖、アニバ湾が入っています。
    Important Bird Area (IBA;重要鳥類生息地)は、世界共通の基準に基づき選定した国際的に重要な鳥類の生息地。欧州、アフリカなど地域別に出版されており、このアジア版が”Important Bird Areas in Asia “のタイトルでこのほど出版されました。欧州ではIBAの過半数がEUの保護区であるSpecial Protected Areaに指定されており、またアフリカではIBAがラムサール登録湿地の選定に用いられるなど、重要な生息地のリストとして、世界的に評価されています。これらのことから、事業対象地域及びその周辺地域は、「国際的に保護が必要な地域」として認定されていると考えられます。

2.環境影響評価に係る課題

  • 環境影響評価書では、鳥類に関して基本的なデータが不足しています。少なくとも1に挙げたような鳥類の生息状況と、それらにあたえる環境影響(油流出事故が発生した場合の周辺地域への影響を含む)については、調査と検討が必要です。特にオオワシについては調査の精度の点で不十分であり、またその他のデータについても、より正確な調査が必要とされる可能性が高い、あるいはデータが不足しているなど、環境影響評価を行うための根拠として十分なレベルに達していないと思われます。
  • サハリンⅠをはじめとするこれまでの開発により、既に上記の鳥類生息地は環境に対するマイナスの影響を受けており、サハリンⅡによる累積的な影響が懸念されます。当該地域の生態系を保全するという観点からは、こうした累積的な影響についても十分に考慮される必要があります。
  • データが不十分とは言え、既出の環境影響評価書のデータからも、生物多様性保全、鳥類等野生動植物保護の観点から見た当該地域の重要性は非常に高いことは明らかです。しかしながら、当該地域の環境及び各種野生動植物の生息地保全の方法や、油流出によるインパクトと対処法など有効な対策については、明記されていません。特に、実際に油流出が起こった場合、その位置、流出量、季節、天候等によってどのように影響されるのか、またどのような対応が必要か、といった具体的なシミュレーションがありません。諸条件が違えば、影響の範囲、当該地域の重要生物種やその生息環境、対応の難易・対処法などは様々に変化すると考えられます。また、海域のみならず、事業対象地周辺の陸域・陸水域(感潮域を含む)、及びパイプラインが横断する河川付近での油流出については、甚大な影響を及ぼす可能性が高いため、今後十分に検討する必要があるものと考えます。

3.専門家による検証を行う場の設置

 貴行においては、現在、サハリンⅡに関する意見を広く求め、環境保全対策に反映させる手段として、一連の環境フォーラムを開催されています。しかしながら、当該事業に係る環境保全面については、課題が多岐に渡っているのみならず、オオワシのデータでも明らかなように不確実な情報が含まれている場合が想定されるなど、個々の課題について高度な専門的な知識が必要とされるものと考えます。また、環境フォーラムという、時間的にも短いテーブルでは、意見の吸い上げは可能であっても、諸課題に関する議論を尽くすことは困難と思われます。
 そのため、貴行の環境社会配慮確認のためのガイドラインに沿って、環境への影響を総合的に検討し、貴行が融資を行う際の判断材料とするために、環境に関する各分野の専門家が諸課題を検討し、保全対策及びその有効性に係る評価を行うことができる委員会の設置を貴行に要望する次第です。


参考文献

BirdLife International. 2004. ”Important Bird Areas in Asia “

McGray et al. 2000. Migration and wintering of juvenaile and immature Stellar’s Sea Eagles. In FIRST SYMPOGIUM ON STELLER’S SEA EAGLES IN EAST ASIA:83-90. Wild Bird Society of Japan.

McGray et al. 2003. Movements by juvenaile and immature Stellar’s Sea Eagles tracked via sattelaite. Ibis 145:318-328.

Kanai, Y. et al. 1997. The migration routes and important restsites of Whooper Swans satellite-tracked from northern Japan. Strix 15: 1-13.

宮林泰彦 2000. 東アジアガンカモ類ネットワークの発足とその意義. 琵琶湖研究所所報第18号: 104-108.

環境省自然環境局野生生物課2003年10月27日プレスリリース「第5回日ロ渡り鳥等保護・研究会議の結果概要について(お知らせ)」

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第23集 IBA保護保全ハンドブック(第2刷) 2008.1 1,100円 在庫あり
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第29集 野鳥と洋上風力発電‐野鳥保護と自然エネルギーの共存を目指して 2015.6 2,750円 在庫あり
第30集 これからの風力発電と環境影響評価 ~再生可能エネルギーの導入と、生物多様性保全の両立を目指して~ 2016.9 2,750円 在庫あり
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第32集 野鳥保護資料集第32集 地域と自然のための風力発電とは 2018.10 無料 ※1
第33集 野鳥保護資料集第33集 《記録集・国際シンポジウム》野鳥と風力発電のセンシティビティマップ―その作成と活用方法 2018.10 無料 ※1

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NO. 資料集名 発行年月
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第2集 21世紀の人と野鳥と自然共存のあり方を探る 1991.6
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千歳川放水路計画反対運動資料集
1992.5
第5集 野鳥の輸入と国際商取引の問題点 1992.11
第8集 タイの森林の野鳥たち 1993.7
第9集 湿地とそこにすむ野鳥たちを守る 湿地保護事業報告書’92-’95 1996.3
第10集 甦れ!里山シンポジウム報告書 1998.3
第12集 東南アジア野鳥取引の実態 1999.9
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2000.3
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第17集 カラスフォーラム2003実施報告集 2004.11
第19集 ウトナイ湖・勇払原野保全構想報告書 2006.3
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第22集 IBA白書2007 2007.7
第25集 再生可能エネルギーが生物の多様性に及ぼす影響 2009.3
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原則として、第一著者ではなくとも投稿者に最低1名の日本野鳥の会会員を含み、個人名で投稿する。団体名で投稿する場合は、原稿執筆の責任者を少なくとも1名は記載する。

【原稿の書き方】

原稿はパソコンを用いてMS-Word等のワープロソフトを使用して作成する。英文はダブルスペースで印字する。原稿は、最終的にPDFファイルの形で印刷所に送るため、投稿原稿はMS-Wordなどテキスト形式でファイルを保存できるソフトおよび機器を使用して作成すること。

手書原稿は原則として認めないが、パソコンによる作成が困難な場合は、著者による費用負担で編集部に原稿の電子化を依頼することができる(要相談)。

原稿の第1枚目は表紙とし、次の事項を記入する。上半分に表題、キーワード、本文の原稿枚数、表、図(写真含む)の枚数、下半分に投稿者(2名以上の場合は投稿責任者)の氏名、住所、電話番号、あればFax番号とEメールアドレスを記入する。そして、原稿の2枚目以降からあらためて、下に示した構成にしたがって書き進める。(※編集部で準備した投稿論文用に書式設定したワードファイルを利用されたい方は、(公財)日本野鳥の会自然保護室Eメール:[email protected]までご連絡ください。)

【原稿の種類】

1~3は原則として2名以上の査読者による査読を受けるものとする。4~6は査読者をつけず、編集部による校閲のみを行なう。

  1. 原著論文…野外における鳥類の生態およびその関連分野の調査研究や活動において、独創性のある論文。本文の他に、図、表、写真、参考文献を含み、摘要(200~300字程度)があるもの。表題、著者名、所属および住所、本文、謝辞、和文摘要、引用文献、英文表題、英文著者名、英文所属および住所、英文摘要、英文キーワードをつけること。各ページの各行に番号を振ること。※英文の場合:表題、著者名、所属および住所、本文、謝辞、英文摘要、引用文献、和文表題、和文著者名、和文所属および住所、和文摘要、和文キーワードを記すものとする。
  2. 短報…論文の内容については、探鳥会の記録、支部または会員による調査研究活動報告、定期的な鳥のカウント、観察記録などを短報とする。また、論文の長さでは刷り上がり10ページ以内を目安とする。原稿の構成は原著論文に従う。表題、著者名、所属および住所、本文、引用文献、英文表題、英文著者名、英文所属および住所、英文摘要、英文キーワードとする。和文摘要はつけない。
  3. 総説…あるテーマについて既存の研究を整理し、新しい視点や未解明の問題の発掘や解決方法を提案するもの。原稿の構成は原著論文に従うが、調査方法や結果の代わりに、既存の研究結果の整理などを書き進める。
  4. 論説(自然保護レポートを含む)…自然や野鳥保護活動の事例紹介、鳥類保護上の課題の分析、その解決策の提起などについての論文。構成は原著論文に準じる。
  5. 観察会報告…支部単位で行なっている探鳥会・観察会のデータを報告する。1年1回の調査地であれば5年分以上、毎月またはシーズンごとに調査している場所であれば3年以上のデータをまとめる。報告の構成は規定の書式(フォーマット、末尾に掲載)にしたがう。ただし、フォーマットにある要件を満たしていれば、さらに解析やグラフ、考察を自由に追加してかまわない。1つの調査地につき、1つの論文とし、同じ団体であっても2か所の調査を行なっている場合は別の報告とする。2年連続で同じ調査地の報告は掲載しない。観察会報告については、査読は行なわないが、編集部による校閲は行なう。
  6. 書評…主に鳥学に関連した書籍、図鑑等を評する記事。1700字程度(印刷で1ページ分を超えない文量)を目安とする。

【論文・短報の構成】

本文は、「はじめに」「調査方法」「結果」「考察」(もしくは「結果および考察」)の順に書き進める。短報の場合は必ずしも項目をわける必要はないが、内容はこの順序にしたがう。段落分け等をもちいてわかりやすく述べる。

「はじめに」では、その研究にどのような意義があるのか、どうしてそのような研究を行なったのかなどについて書く。もし同様の研究がすでに行なわれている場合は、今までどのようなことが明らかになっていて、どのようなことがわかっていないのかについて概説する。「調査方法」では、調査を行なった場所がどのような環境なのか、いつからいつまで、どれくらいの頻度で調査を行なったのか、どのような方法で調査を行なったのかについて書く。「結果」「考察」では、調査でわかったことを簡潔に書き、その結果と文献資料から考えられることを考察する。重要な調査結果については図や表で示す。副詞は平仮名で記す。

なお、図表は受理後のレイアウトの過程で、編集部が編集を行なうことがある。

【生物名、単位など】

動植物の和名は原則として片仮名書きとし、学名はイタリック体を指定する。鳥類の和名・学名・英名は日本鳥類目録改訂第8版(日本鳥学会 2024)に準拠する(鳥類の種名リストはこちら)。学名は1回目にその種が出てきたときに書き、2回目以降は書かない。また、同じ属名の種が続く場合は、2種目以降は属名を省略する(例:マナヅル Antigone vipio,ナベヅル Grus monacha)。植物の学名については、Y-list等(推奨、http://ylist.info/)を参照し、属名と種小名を記す。さらに、「Y-listに準拠した(URLと参照年月日)」の表現を必ず方法の箇所に入れる。
計量の単位は、km、m、cm、ha、㎡、mlなど国際単位系をもちいる。

【引用文献】

本文中における文献の引用は、「著者名(年号)」あるいは「(著者名年号)」で示す。引用文献リストには、本文中に使用されたものをすべてを記載する。可能な限り原典にあたり、孫引きはさける。文献の配列は著者名のアルファベット順とし、同一著者については発表の年代順とする。
各文献のリストへの記載は下記の例に従う。雑誌名で短縮形があるものは短縮形を用いる(参考:https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=2000001224&page=man_view)。

雑誌の場合

著者名. 発表年. 論文表題. 掲載雑誌名 巻: ページ.
(例)
Ueda, K. 1993. Effect of neighbours: costs of polyterritoriality in the Fan-tailed Warbler Cisticola juncidis. Ecol. Ethol. Evol. 5: 177–180.
上田恵介. 1996. ヨシゴイはなぜ集団で繁殖するのか:巣場所選びと繁殖成功. Strix 14: 55–63.

オンラインジャーナルまたはdoi を用いて学術雑誌を記述する場合

(例)
Mikami, K., Morimoto, G., Ueno, Y., & Mikami, O. K. 2022. Vertical space utilization by urban birds and their relationship to electric poles and wires. LEE. https://doi.org/10.1007/s11355-021-00479-2

単行本の場合

著者名. 発表年. 表題. 発行所, 発行地.
(例)
上田恵介. 1987. 一夫一妻の神話 鳥の結婚社会学. 蒼樹書房, 東京.

単行本内の特定の章の引用

三上かつら. 2019. EPC今昔物語. 上田恵介(編). 遺伝子から解き明かす鳥の不思議な世界. pp.92–114. 一色出版, 東京.

【オンラインドキュメント】

インターネット情報については、永続性に問題があるので、公的な情報およびやむを得ない場合を除き、原則として引用しないことが望ましい。
公的機関の記録や最新のチェックリスト、観察記録など、インターネット上でしか入手困難な情報については、本文中では「著者・機関名(オンライン*1)」と表記し、引用元についての情報を引用文献リストと分けて「オンラインドキュメント」のリストとして記す。

著者・機関名. (必要に応じて)資料・記事の更新年月日. 表題. <入手先URL>, 参照年月日.
(例)
*1) Gill, F. & Donsker, D. (eds). 2019. IOC world bird list (v 9.1). doi : 10.14344/IOC.ML.9.1., accessed on 17 June 2019.
*2) 気象庁. 過去の気象データ検索. <https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php>.参照2019年6月17日.
*3) 日本野鳥の会東京・研究部. 2017年5月26日. 日本野鳥の会東京 研究部ブログ「自然教育園と新宿御苑、ヤマガラの繁殖確認・ウグイスは?」. <https://tokyo-birdstudy.blogspot.com/2017/05/blog-post.
html>, 参照2023年2月3日.

【図および表】

図および表は、1枚にMS-Excelや図表作成ソフトで作成する。図は直ちに印刷できるような状態で作図する。質の悪い手書きなどの図は使用できない。図は縮小されて印刷されることが多いので、線や文字は太く大きく作図する。観察報告等で写真を図に用いる際には、オリジナル画像を推奨する。著者は画像について、トリミングしたり〇や→を画像につけたりするなど当該箇所をわかりやすくするための調整をすることはかまわないが、明るさや色、シャープネスの調整は施さないのが望ましい(種同定のために色が重要な場合があるため)、加工は部分的でなく画像全体に施されていることが必要である。また、査読段階でオリジナル(未調整・未加工・論文に採用しない画像も含む)画像の提出を編集部より求めることがある。図表の説明は、和文と英文の並記、あるいは英文のみとする。表の説明は、表の上の欄に書くが、図の説明は別紙にまとめて書く。Webサイトでの閲覧を前提とした動画ファイルの投稿も可能だが、ファイル形式およびファイルサイズについては、事前に編集部に相談されたい。

【図表の英文、及び英文要約】

英文(要約・図表の説明等)については、プロの研究者および学生、英語の得意な方以外は、和文の原稿の翻訳を編集部に依頼することができる。投稿時に気軽に編集部まで相談されたい。

【原稿の部数】

MS-Word等のテキストエディタ(ワープロソフト)、MSExcel、PowerPoint、Adobeイラストレータ等を用いて本文と図表を作成し、写真等も含め原稿一式を準備したのち、

  • 郵便による投稿の場合:上記ファイル一式をCD-ROMやDVDなどの記録媒体にコピーしたものを送付すること。
  • Eメールによる電子投稿の場合:上記ファイル一式を添付ファイルでメール送信する。送信前に、必ずファイルのウィルスチェックを行なってから送付すること。

【原稿の送り先】

〒141-0031 東京都品川区西五反田3‐9‐23 丸和ビル(公財)日本野鳥の会自然保護室、または[email protected]

【原稿の締め切り】

特に定めないが、論文としての構成がしっかりしているものであれば、目安としては8月31日までに受け付けたものは次巻に掲載できる。

【原稿の受け付けおよび受理】

原稿は、投稿規程に従って構成されている状態の場合に限って受け付ける。それ以外の場合は、事前に編集者に相談すること。論文の内容は編集者および専門家によって校閲され、修正の必要がある場合には著者に原稿の訂正を依頼する。受け付け後、校閲と著者による修正の過程を経て、編集者が掲載を認めた段階で原稿を受理する。受理の日付は、編集者が論文の掲載を認めた日とする。

【別刷】

論文が掲載された場合、著者に別刷用のPDFファイルを贈呈する。著者が複数の場合は、投稿責任者に贈呈する。印刷・製本された別刷については、50部単位でつくることができる。ただし、作成に必要な費用、送料は著者が負担する。別刷の希望部数は、受理後に確認する。

【校正】

原則として受理後の初校の校正は著者が行ない、再校以降は編集者が行なう。著者校正は印刷上の誤りについてだけ行ない、内容や図表の変更は認められない。

【著作権】

論文の著作権は、投稿を受け付けた時点で著者から当会に帰属し、受理後に著作権の移譲手続きを取っていただく。大学等の機関レポジトリのための電子的利用については、著者本人ならびに所属機関が、著作物の全文を著者の個人または所属機関のウェブサイトに掲載する場合に限り、発行後1年経過後に登載を許諾する。1年以内に機関リポジトリ等への登載を希望する場合には、別途、著作権利用許諾申請フォームに記入し、編集部に提出する。

【個人情報の取り扱い】

編集部では、預かった投稿者の個人情報について、細心の注意をもって取り扱い、厳重に管理・運用する。取得した個人情報は、査読や校正等、論文の公表に向けた作業を進める際に投稿者に連絡を取るため、及び発行誌や別刷等を著者に送付するために利用する。
論文に掲載される住所、Eメール等は、論文の利用者が著者への連絡を取ることを想定したものであるが、その記載情報は著者の選択に委ねる。


「観察会報告」のフォーマット

原稿の表紙(1ページ目)に次の項目を記す。

  • タイトル:●●支部●●探鳥会記録:●●~●●年(一例です、適宜ご変更ください)
  • 所属先住所(支部・組織の住所、個人の方は対応可能な連絡先):
  • 団体名:
  • 投稿責任者の氏名:
  • Eメールアドレス(内容について問い合わせがあった際の連絡先):
  • Eメールアドレスを論文に掲載してもよいかどうか:可 または 不可

原稿の2ページ目から本文を記す。

【調査地の概要】

  • 調査の名称(●●支部で行っている●●探鳥会、など。もし特に決まっていなければこの原稿用の呼称だということわりを書き添えて、名称を決める)
  • 調査地の場所:都道府県、市町村、名称、緯度経度(地図で示してもよい)
  • 調査地の環境1:おおまかな環境(山林、河川、海浜、湿地、休耕田、都市緑地、等)
  • 調査地の環境2:どんな植物があるか(ブナ・ミズナラなどの落葉広葉樹林、シイ・カシなどの常緑広葉樹林、スギ林、アシ原、セイタカアワダチソウ群落、マツ林、など)、そのなかでもたくさんある植物種、特徴的なことがあれば記す。
  • 調査期間:この論文で結果をまとめるのは何年何月から何年何月までのデータか
  • 探鳥会または調査をどのくらいの頻度で(月1回、年1回など)、何月に実施しているか
  • 調査期間の参加人数の推移(表1または図1、単独で行っている場合は本文中に明記してあれば不要)
  • 参加メンバー(名前を羅列するか、表に含める。実名でなくともよい。)
  • 観察方法:
    例)徒歩で決まったコース(どこからどこまで約●kmの道のり,あるいは範囲を図示する)を歩き,発見した種を記録した.探鳥会終了後に,全員でその日に発見した鳥類種を確認し,種名を記録した.(時速2kmで歩いた、任意の場所を歩いた、自転車で移動しながら探索した、など適宜ご説明ください。)

【確認された種】

  • 確認された種を表に整理する。鳥の並び順は日本鳥類目録改訂第8版にあわせる。難しい場合は編集部が協力する。

【結果と考察】

  • 結果の概要、考察、特記事項などを文章で書いてください。調査の感想は書かないでください。
    例)調査期間中,全●種が記録された.2011年4月の探鳥会では,シジュウカラによる巣材運びが見られた.この場所で繁殖していると考えられる.2011年以降ゴイサギが記録されていないが,2010年の6月に調査地近隣のゴイサギのコロニーがあった竹林が伐採されたことと関係している可能性が高い.

【引用文献】

  • 引用文献がある場合は原著論文等と同じ体裁で記載する。

【日本語の要約】

  • 日本語の要約をつけてください。「いつ(期間)、どこで、誰が」調べた鳥か、は最低限書いてください。
    例)
    ●●が,●●県●●市●●公園で実施している●●探鳥会において,●●年●月~●●年●月に確認された鳥の記録を報告する.

【英文要約】

  • 日本語要約に対応するものを著者または編集部で作成。

【キーワード】

  • 日本語のキーワード3~5語程度を記す。英文キーワードは著者または編集部で作成。

【図表】

仮に、年2回(4月と10月)に探鳥会を実施している場所だとして例を示します。

表1.参加者の推移
参加人数 備考
2010 4月 5人  
10月 13人  
2011 4月 15人 近隣の大学のサークルが参加
10月 8人 堀の工事
2012 4月 4人  
10月 25人 調査地の近くで標識調査を見学

参加者氏名(敬称略あいうえお順):~,~,~,~,~,~,

表2.確認された種
種名 学名 4月 10月
2010 2011 2012 2010 2011 2012
ゴイサギ Nycticorax nycticorax          
ハシブトガラス Corvus macrorhynchos  
ハシボソガラス Corvus corone  
シジュウカラ Parus cinereus    

※可能であれば日本鳥類目録改訂第8版の順に上から並べてください。

  • 個体数の記録があれば●のところは数値でもかまいません。
  • 英文のキャプションは不要です。
  • 行動の記録などは(巣材運びが見られた、後日捕食されたなど)「結果と考察」のところに文章で書いてください。

Strix

Strix 第42号発行のお知らせ

Strix(ストリクス:野外鳥類学論文集)は、当会が1982年より発行している、会員の方の調査研究に基づく和文誌です。

鳥類の生態に関する新知見、新しい繁殖地や飛来地の情報、これまでに知られていない行動の観察記録、自然保護活動の事例など幅広いテーマを扱っています。

このたび第42号を、上田恵介立教大学名誉教授(編集長、当会会長)、三上かつら氏(副編集長、バードリサーチ)の編集のもとで、発行しましたのでお知らせします。

第42号は、原著論文5編、短報8編、論説1編、書評3編を掲載しています。
ハッカチョウの1970年代から1990年代にかけての分布の変遷、北海道での繁殖期のホオアカの分布など、地域での長期にわたる研究のほか、三宅島でのカラ類と堅果、昆虫との関係や、オオキアシシギやムナグロノゴマなどの観察記録、クロサギの採食やオニグルミを食べるアカゲラ、ヒメメジロの盗蜜など興味深い行動の観察もあります。いずれもしっかりとした野外観察に基づく充実した内容となっています。
ぜひ、この機会に購入し、ご覧ください。

Strixの頒布と閲覧のお知らせ

イラスト-梟

最新号の第42号とバックナンバーは以下より購入できます。
バックナンバーの各号の内容は「目次」をご覧下さい。すでに絶版になった号についてはダウンロードできます。

購入と目次の閲覧、ダウンロードはこちらから

購入に関するお問い合わせは自然保護室までお願いいたします。
Eメール:[email protected]

Strix オンライン資料

観察会報告に掲載されているデータファイルは下記から見ることができます。

  1. 皿倉山で観察された鳥類(2009~2018)
  2. 静岡県浮島ヶ原の鳥類相の変遷
  3. 日本野鳥の会秋田県支部による冬季におけるカモ科調査(1993年?2022年)の結果について
  4. 頓田貯水池の鳥類相(2017年?2022年)

Strix 43号の原稿募集のお知らせ

Strix第43号(2027年6月発行予定)への掲載に向けた原稿を募集いたします。

Strixは、当会が1982年より発行している、鳥類の生態、繁殖や飛来に関する新知見、知られていない行動の観察記録、自然保護活動の事例紹介などを掲載する和文誌です。会員であればどなたでも投稿できます。

Strixの内容は、「原著論文」、「短報」、「総説」、「論説(自然保護レポートを含む)」、「観察会報告」の5つのカテゴリーに分かれ、原著論文と短報、総説については査読があります。

上田恵介会長(Strix編集長、立教大学名誉教授)、三上かつら氏(Strix副編集長、バードリサーチ)による論文指導のもとで、査読者や英文校閲者のご協力を得て、年1回発行しています。

観察会報告は、支部単位で行なっている探鳥会や観察会、個人の長年の観察記録のデータを掲載するもので、査読はなくStrix編集部による校閲があります。1年1回の調査地のデータであれば5年以上、毎月またはシーズンごとに調査している場所であれば3年以上のデータを取り扱います。原著論文、短報、観察会報告などへの投稿の方法や書式については投稿規程をご確認下さい。

43号は巣箱特集を予定しています。巣箱を用いて行われている継続的な調査や、巣箱を利用する鳥の興味深い行動、巣箱改良の取り組み等、巣箱をテーマとする調査研究と活動事例等を扱います。巣箱利用に関するデータをお持ちの方はこの機会にぜひ原著論文や短報等への投稿をお願いします。また、巣箱を使った地域活動の事例、小中学校での取り組み、親子向けのイベントの事例等を扱う論説も募集します。

投稿に関する詳細

「投稿規程」をご確認後、ご投稿下さい。

原稿の締め切り

巣箱特集向けの投稿原稿〆切は2026年10月31日(土)です。通常の投稿原稿の〆切は特に締め切りは定められていません。投稿する原稿内容に関する質問がありましたら、自然保護室にご相談下さい。
Eメール:[email protected]

原稿の送り先

  • Eメールの場合:[email protected]
  • 郵送の場合:〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23丸和ビル 日本野鳥の会自然保護室

特定外来生物法 詳細

特定外来生物法の施行規則案パブリックコメント募集への意見

(2005年3月7日提出)

[件名]外来生物法施行規則(案)について

[宛先]環境省自然環境局野生生物課

[氏名]財団法人日本野鳥の会 会長 柳生博

連絡先担当 自然保護室 金井 裕

[意見1]
1 意見の対象となる箇所
第三条一項

2 意見の概要
「動物園その他これに類する施設」を「公的な社会教育施設として法的な認定がされている動物園その他これに類する施設」とする。

3 意見及び理由
第1項にある博物館については、博物館法による定義があり、博物館相当施設については明確であるが、動物園については現状では法的にも一般的にも明確な定義ない。したがって、「動物園その他これに類する施設」という表記では、飼育施設の適用範囲が広範に含まれてしまい、法律による飼育規制の効果が不十分となる恐れがある。公的な社会教育施設として法的な認定がされている施設に限るように定義すべきである。

[意見2]
1 意見の対象となる箇所
第三条二項

2 意見の概要
「教育」を「公的な学校教育および社会教育」とする

3 意見及び理由
「教育」だけでは、その内容が不明確である。「公的な学校教育および社会教育」として、教育利用の範囲を明確にすべきである。

[意見3]
1 意見の対象となる箇所
第三条三項

2 意見の概要
「生業の維持」を「特定外来生物の指定の際に、既に当該特定外来生物の飼養等をしている生業の維持」とする。

3 意見及び理由
特定外来生物の性質から、生業として新たに飼育場所を増やすことがあってはならない。法律施行時に生業としている事業者に対する経過処置とすべきである。

[意見4]
1 意見の対象となる箇所
第四条五項ロ

2 意見の概要
「飼養個体の識別方法」を追加

3 意見及び理由
現在時では、特定生物ごとの飼養識別方法が明確となっていないが、ひとつの特定生物にたいして複数の飼養個体識別方法が選択されることが想定される。飼養許可の申請時に、飼養個体の識別方法を提示しておくべきである。

[意見5]
1 意見の対象となる箇所
第九条

2 意見の概要
「当該各号に該当するに至った日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、」を「当該各号に該当するに至った日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から七日以内に、」とする。

3 意見及び理由
飼養人が死亡した場合では、相続人等が不明確な状態なまま飼養生物が遺棄される恐れがある。特定生物を飼養する者は、死亡や疾病により飼養が困難になった場合でも、飼養管理を行う体制を保持するため、死亡時等には速やかに新たな飼養責任者を決定する仕組みが必要である。また、使用許可時に供託金を設置するなどし、7日以内に飼養責任者が決まらなかった場合には、行政責任において飼養や殺処分を決定できるようにすべきである。

[意見6]
1 意見の対象となる箇所
第二十八条二項

2 意見の概要
(2)として「食物および採食行動、繁殖行動および繁殖場所」を追記

3 意見及び理由
未判定外来生物の生態系への影響評価については、生態系への影響の大きさを予見するために重要な採食生態や、定着の可能性を予見するために重要な繁殖生態について、明確に記載を求めるべきである。

以上

柳生会長からの手紙

合同シンポジウム「子孫に残そう日本の自然を! ~つくろう、ブラックバス駆除ネットワーク~」(2005.03.12 立教大学 主催:立教大学ウエルネス研究所、共催:自由民主党 自然との共生会議、全国内水面漁業協同組合連合会、生物多様性研究会)でのブラックバスの駆除よびかけに際して

合同シンポジウムにお集まりのみなさん、

私は、日本の自然とその中で暮らすいきものたちが大好きです。私は、必ずしも野鳥の専門家ということではありませんが、大好きな鳥やいきものたちとともに暮らしたい、その暮らしを守っていきたいという想いから、ものいわぬいきものたちの言わば応援団長として、日本野鳥の会会長という責を引き受けております。私は八ケ岳にある山小屋にいる時間がかなりあり、そこで多くの野生のいきものと暮らせることが、大きな喜びです。その喜びを、多くの人たちと分かち合いたいと思っています。

しかし、いきものの中に、人の持ち込みによる外来生物が多くなるのは困りものです。ヤンバルクイナやアマミヤマシギは、世界で南西諸島にしか住んでいない学術的価値も高い鳥たちですが、これらが今、マングースの猛威にさらされて、絶滅の危機にあります。三宅島では、本土から持ち込まれたイタチにより、アカコッコやオカダトカゲが危機にさらされています。また本州や九州の山林では、ソウシチョウやガビチョウが高密度で生息し、日本にもともといた鳥たちのさえずりを圧倒している状況です。

この度、環境省の尽力で外来生物法が出来ました。これによって、外来生物の輸入や飼育が制限されることにより、新たな侵入・拡大がとめられ、必要に応じて駆除が実施されることになりました。この法律の効果によって、変容してしまった日本の生態系の回復が図られることは、たいへん喜ばしいことです。日本野鳥の会は、WWFジャパン、日本自然保護協会などと一緒に、特定種に指定すべき外来生物のリストを提案しています。現在、特定種の指定候補に挙げられているのはこのリストの一部だけですが、今後、さらに特定種の充実に努めていただきたいと思っています。

この指定種の候補に、ブラックバスがあげられたことを聞いて、ほっとしています。というのは、ブラックバスは日本各地に広がり、その影響は鳥にも及んでいると考えられるからです。今日は、主任研究員の金井からご報告しますが、日本野鳥の会は、野鳥の保護のために、既に1980年代にブラックバス駆除を行っています。これは、日本におけるブラックバス対策としては、かなり早いものであったと思います。できるだけ早く対策を進めるために、ぜひ、指定種への指定を、皆さんと共に確実なものにしたいと思っています。

ブラックバスが短期間にこのように広がったのは、バス釣りを楽しむ人たちの関与があったとしか考えられません。釣りという趣味は自然とつき合うための良い方法のひとつです。しかし、釣りの楽しみを追究するあまり、外来の生物を自然の中に放してまわり、日本の生態系を変えてしまうというのは、決して行ってはいけないことです。野外で活動するには、まず日本の自然とはどのようなものなのかを十分理解し、その上で野生のいきものと人との関係はどのようなものであるべきか、考え続ける必要があります。

ブラックバスを日本の生態系に持ち込んで増やしてしまったのは、結局、私たち人間の責任です。ですからその対策のためには、我々が責任をもって、駆除を推進するほか方法がないでしょう。やむを得ないとは言え、駆除により多くの生命が失われるのは無論、つらいものがあります。その痛みを感じつつ、今後さらにこのような悲劇を起こさないように、努めるべきです。

私たち日本野鳥の会は創設以来、「野の鳥は野に」を基本として活動しています。野鳥が自然の中で生きる場を確保し、そこで人もいっしょに暮らすことが本来のあり方と考えています。鳥だけではありません。野生のいきものを安易に捕まえて移動させ、飼育し、それを放すという行為は、厳に慎むべきことです。ブラックバス駆除が新たな外来生物問題の防止ともなるように、今日ご参加のみなさまといっしょに決意したいと思います。

2005年3月12日

柳生 博


特定外来生物法-ブラックバスの規制種への指定を早期に!(緊急声明)

2005年1月21日、当会はWWFジャパン、日本自然保護協会と連名で、以下の緊急声明をマスコミ各社に公表しました。

2005年1月21日

緊急声明
オオクチバスは「特定外来生物」に指定すべきである

オオクチバスを、法施行時に特定外来生物に指定すべきである
という小池環境大臣の考えを強く支持する


現在、特定外来生物の第一陣選定作業が終盤に差し掛かっているところであるが、オオクチバスについては、経済的影響を心配する釣り業界の強い声やこれを支持する政治的な動きなどを背景として、1月19日のオオクチバス小グループ会合において、半年間の事実上の先送りと取られかねない意見の集約がなされた。
オオクチバスは言うまでもなく、日本の淡水生態系に大きな被害をもたらしてきた外来魚であり、日本において外来種対策の法律が制定される契機ともなった種である。4回にわたるオオクチバス小グループの会合において、研究者や日本魚類学会から生態系への被害や放流による分布拡大の実態を示す調査資料が提出されており、「特定外来生物被害防止基本方針」に規定する被害の判定の基準を満たしているため、現時点で先送りをする科学的な理由はないと言える。
本日、小池百合子環境大臣が、オオクチバスを先送りせず、本年6月の法施行時に特定外来生物に含めるべきであると発言されたことは、日本の自然環境を守るべき最高責任者としての英断であり、強く支持するものである。「バスは法律の目玉で、まず指定することが望ましい」「指定は、生態系を守るという法律の趣旨にも沿う」という発言を、我々は歓迎するものであり、今後環境省が、生態系への被害防止を第一義とする毅然とした態度を貫き、ほかの懸念される生物も含めて指定されることを期待する。
1月31日に予定されている第二回専門家全体会合で、すべての特定外来生物候補が出揃うことになるが、この小池環境大臣の発言と、オオクチバス小グループおよび魚類専門家会合の複数の委員から出た「すぐにでも特定外来生物に指定し、取り組みを開始するのが妥当である」という意見を汲み取り、前向きな議論の結果として、早期に指定されることを望む。

■本件に関するお問い合わせ先:
WWFジャパ  草刈秀紀(tel. 03-3769-1713)/大倉寿之(広報担当)
(財)日本野鳥の会 古南幸弘・金井裕 (042-593-6872)
(財)日本自然保護協会大野正人 (03-3265-0523)

特定外来生物法-輸入規制の対象となる生物リスト案を公表

(野鳥誌 No.682 2004年1月号 p.31)

 当会は2004年10月27日に、(財)世界自然保護基金ジャパン、(財)日本自然保護協会と連名で、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(特定外来生物法)に基づく外来種対策のための「特定外来生物に指定すべき生物の提案リスト」を公表し、環境大臣あてに要望書を提出しました。
「特定外来生物法」は、国外から持ち込まれた外来種による被害を防止するために2004年6月に制定されたもので、2005年春の施行に向けて具体的政策の準備が進んでいます。この法律で指定される「特定外来生物」は、生態系に与える影響が大きいと法律上認められる外来種のことで、輸入や飼育を禁止し、野外での防除対策等を行うことになっています。この指定は今後、専門家の検討会により検討が行われます。
外来種による生態系等への影響は、世界各国で深刻な被害をもたらすことが報告されており、IUCN(国際自然保護連合)では外来種問題を生物多様性を喪失させる原因の一つとして国際的なガイドラインを勧告しています。
わが国でも、鳥類について言えば、例えばヤンバルクイナがマングースに捕食され被害者となる一方で、飼い鳥用に持ち込まれたガビチョウやソウシチョウが逃げて日本各地の森林で繁殖し、優占種となって生態系を変えてしまうといった深刻な問題が起きています。当会はこうした点を踏まえて候補種リストを検討し、鳥類49種・分類群、全体では354種・分類群を盛り込みました。
当会は、今後も外来生物対策の進展に注目していきます。

「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」は環境省のホームページから閲覧できます。
「特定外来生物に指定すべき生物の提案リスト」はこちら

2004年3月9日、本会は世界自然保護基金(WWF)ジャパン、日本自然保護協会、地球生物会議と連名で、開会中の第159回通常国会に、環境省から提案され政府から提出される「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案」に対し法案修正の要望書を提出しました。
要望は11項目からなり、政府が外来種対策の新法を設置することについて評価しつつ、生物多様性条約の第6回締約国会議における、外来種問題に関する指針原則に関する決議を参照しながら、予防原則の徹底と、透明性のある合意形成過程の実現、順応的で実効性のある防除事業の実施、国内における重要地域の保護のための修正点を述べています。
要望書の全文は、以下のとおりです。

2004年3月9日

環 境 大 臣
小池 百合子 殿

特定外来生物による生態系等に係る
被害の防止に関する法律案に対する要望書

(財)世界自然保護基金ジャパン
(財)日本自然保護協会
(財)日本野鳥の会
地球生物会議

拝啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃、野生生物の保全にご尽力下さり誠にありがとうございます。
さてご承知のとおり、我が国は生物多様性条約の加盟国の一員として、国内および世界の生物多様性を保全において、その役割が大いに注目されてきているところです。
その意味で今般、環境省より「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案」が今国会に上程される運びに到ったことは、誠に時宜を得たものであり、かつ我が国の生物多様性を保全する上において、大変重要な法案であると認識しております。
しかしながら私どもが法案の内容を拝見するに、いくつかの点で実効性を欠く面が見受けられました。つきましては、下記に改善すべき事項を提案申し上げますので、法案修正等、鋭意ご検討の程お願い申し上げます。

敬具

  1. 政令指定種を評価する科学委員会の設置:特定外来生物の政令指定にあたって、生物の性質に関し専門の学識経験を有する者から構成する科学委員会を設置し、生態系等への被害について評価を行うべきである(第2条関連)
    特定外来生物の政令指定のための評価判定は、当該生物に関する専門知識を持った学識経験者の意見を聞いて主務大臣が行うことになっておりますが、諸外国(ニュージーランド等)の場合、公平な判断を行うため、常設の科学委員会を設置されております。我が国では「種の保存法」において、本法律案と同様、希少野生動植物種の政令指定が行政裁量によって行われていますが、種の指定は順調に進んでいるとはいえず、政令指定種数は、レッド・データ・ブックの絶滅危惧種数のわずか2%にすぎません。
    特定外来生物の指定においては、新たな科学的知見が見つかれば、専門家やNGO等の申し立てにより、すぐに科学委員会が判定できる仕組みとする必要があります。
  2. 防除計画における合意形成:防除計画を立てるにあたって、関係都道府県だけでなく広く国民の意見を聞き反映させるための合意形成の手続きを盛り込むべきこと(第11条関連)
    現法律案では、防除計画の樹立の過程で国民の意見を反映させる手順について不明確であり、合意形成について明記されておりません。例えば鳥獣保護法の特定鳥獣保護管理計画の樹立について定められているような、審議会や公聴会といった計画の樹立過程における合意形成について明記すべきです。
  3. 防除事業の効果の判定:防除計画には、防除事業の効果の判定方法を盛りこむべきこと。(第11条関連)
    科学的・計画的、社会経済学的に判断し、順応的な防除事業が行われることが必要です。〈指針原則13 撲滅、14封じ込め〉
  4. 防除事業の評価委員会の設置:防除事業の実施結果の科学的評価を行うための評価委員会を設置すべきこと。(第11条関連)
    3~4は防除計画を科学的かつ順応的に進めていく上で必要不可欠の手順です。〈指針原則13 撲滅〉
  5. 鳥獣保護法の適用除外の条件:鳥獣保護法の適用除外を行うための条件を明記すべきこと。(第12条関連)
    現在、多くの都道府県で有害鳥獣捕獲の許可権限が市町村長におりていますが、現場の監視制度もなく、密猟や違法捕獲行為が多発しており、その捕獲が防除なのか、犯罪なのか、判別しようがない現状があります。こうした現状に加えて、特定外来生物防除の名の下に、標識のないワナがいたるところに仕掛けられた場合、錯誤捕獲、混獲、意図的な違法捕獲が入り交じり、在来の野生鳥獣の保護にも大きな支障をきたすことになります。
    外来生物の被害を防ぐという名目で違法行為を横行させない為に、ワナの標識の義務付け、混獲・錯誤捕獲の際の放鳥獣の措置、密猟・違法捕獲の防止の措置を行うべきです。また、違反行為には、罰則を科すべきです。〈指針原則15 防除〉
  6. 都道府県による防除計画:都道府県知事が、地域の状況に合わせて特定外来生物を特定し、防除する計画を定めることができるようにすべきこと。(第18条関連)
    南北に長く様々な植生帯にまたがる我が国の地理的特性から、外来生物の引き起こす問題は都道府県ごとに事情が大きく異なります。それに応じて防除事業における地方自治体の果たす役割も重要です。そこで、都道府県知事が当該都道府県の区域内おいて外来生物が著しく生態系等に被害を及ぼし、在来生物の生息状況に影響を及ぼしている事情、その他の事情を勘案して、当該外来生物を特定し、防除するための計画を定めることができるようにすべきです。〈指針原則2 3段階のアプローチ〉
  7. 不適正な防除の処罰:防除に関して適正を欠いた場合に認定取り消しを義務とし、また罰則を課すべきこと。(第20条関連)
    5と関連して、不適正な防除行為が行われた際の処罰を明確にしておくべきです。〈指針原則10 意図的導入〉
  8. 重要管理地域の設置:国内外来生物を含む全ての外来生物の持ち込みを禁止する「重要管理地域」の設置制度を設けるべきこと。(第3章関連)
    我が国の生物多様性の保全上重要な地域、例えば固有種・稀少種の多く生息する島嶼や自然保護区については、国内外来生物を含む全ての外来生物の持ち込みを禁止する「重要管理地域」を設けることが可能な制度を創設すべきです。
    現法案ではこのような規制の制度は、盛り込まれておらず、自然公園法等の改正によって、特別地域での外来生物放逐規制を行う構想とお聞きしていますが、例えば沖縄北部のやんばる地域のように、世界的に見ても希少な種が多数生息している地域で、自然公園に指定されておらず、しかも様々な外来生物による危機が現に起こり、また見込まれている重要地域も存在しています。
    生物多様性の保全上、特に重要な地域は「重要管理地域」とし、重要管理地域においては「重要管理地域外来生物管理計画」を策定し、外来生物の持ち込み等の規制などをすることができるようにすべきです。〈指針原則7 国境でのコントロールと検疫措置〉
  9. 未判定外来生物の判定における予防原則:有害性が完全に排除できない場合は、特定外来種に指定するよう判断すべきこと。(第22条関連)
    生物多様性条約における予防原則「科学的な確実性が十分にないことをもって、そのようなおそれを回避し又は最小にするための措置をとること」を考え判断すべきです。また、特定外来生物の指定と同様、未判定外来生物の判定においても専門家やNGO等の申し立てにより、すぐに科学委員会が判定できる仕組みとする必要があります。〈指針原則1 予防的アプローチ〉
  10. 未判定外来生物の判定期間の延長:当初の期間内に被害の可能性の判定が出来ない場合、6ヶ月の期間を延長できるようにすべきこと。(第22条関連)
    9~10は未判定外来生物のリスクについて、その生物に関する知見が不足しているために甘い評価が出てしまい、後に大きな被害を出すことを防ぐための予防的な措置として、科学委員会による検討の結果、再判定できる制度が盛り込まれるべきです。〈指針原則1 予防的アプローチ〉
  11. 未判定外来生物の申請者の立証責任:未判定外来生物の判定にあたっては、申請者の立証責任を明確にすべきこと。(第22条関連)
    未判定外来生物を特定外来生物に「指定する」か、「規制なし」にするかは、生物多様性を保全する上において、重要な決断となりますが、リスクを評価するためには、海外での事例等や生息地の情報を十分に集めなければなりません。この判定段階で、申請者が受益者負担を負い立証責任を明確にする制度が必要です。〈指針原則10 意図的導入〉

以上

※ 参考:生態系、生息地及び種を脅かす外来種の影響の予防、導入、影響緩和のための指針原則(生物多様性条約第6回締約国会議決議)

この件に関する問い合わせ先:
(財)世界自然保護基金ジャパン〈草刈秀紀〉
〒105-0014 東京都港区芝3-1-14日本生命赤羽橋ビル

03-3769-1772

(財)日本野鳥の会〈古南幸弘〉
〒191-0041 東京都日野市南平2-35-2WING鳥と緑の国際センター

042-593-6872

(財)日本自然保護協会〈吉田正人〉
〒102-0075 東京都千代田区三番町5-24 山路三番町ビル3F

03-3265-0523

地球生物会議〈野上 ふさ子〉
〒113-0021 東京都文京区本駒込5-67-9-504

03-5815-7522

【参考資料】

生態系、生息地及び種を脅かす外来種の影響の予防、
導入、影響緩和のための指針原則(仮訳)

生物多様性条約第6回締約国会議決議

はじめに

 この文書は、すべての政府、団体に対し、侵略的外来種の拡散と影響を最小化するための効果的な戦略を策定するための手引きである。各国はそれぞれ特有な問題に直面し、それぞれの状況に応じた解決方法を開発する必要性があるであろうが、指針原則は政府に対して明確な方向性と、目指すべき一連の目標を与えている。これらの指針原則がどの程度実行可能かは、最終的には利用可能なリソース(資金、人材など)がどの程度供給されるかによっている。指針原則の目的は、保全と経済的な発展という構成要素を統合したものとして、政府による侵略的外来種への対処を支援することにある。この15の指針原則は拘束力があるものではないので、この問題とその効果的な解決方法に関する知見が増えるにつれ、生物多様性条約の下での検討を通じて、容易に修正、拡張されるものである。
生物多様性条約第3条に従い、国際連合憲章及び国際法の諸原則に基づき、それぞれの国は自国の資源をその環境政策に従って開発する主権的権利を有し、また、自国の管轄又は管理下における活動が、他国の環境又はいずれの国の管轄にも属さない区域の環境を害さないことを確保する責任を有する。
以下の指針原則では、脚注に挙げられた用語が使用されていることについて注意が必要である。(*注)
また、この指針原則の適用に際しては、生態系は時とともにダイナミックに変化するものであり、種の自然分布は、人為によらなくても変化する可能性があるという事実を充分考慮しなければならない。

 (*注)以下の定義が使用されている。(i)“alien species”(外来種):過去あるいは現在の自然分布域外に導入された種、亜種、それ以下の分類群であり、生存し、繁殖することができるあらゆる器官、配偶子、種子、卵、無性的繁殖子を含む。(ii)“invasive alien species”(侵略的外来種):外来種のうち、導入(introduction)又は、拡散した場合に生物多様性を脅かす種(今回の指針原則では、“invasive alien species”は生物多様性条約締約国会議の決議V/8における“alien invasive species”と同じとみなす)(iii)“introduction”(導入): 外来種を直接・間接を問わず人為的に、過去あるいは現在の自然分布域外へ移動させること。この移動には、国内移動、国家間又は国家の管轄範囲外の区域との間の移動があり得る。(iv)“intentional introduction”(意図的導入):外来種を、人為によって、自然分布域外に意図的に移動又は放逐すること。(v)“unintentional introduction”(非意図的導入):導入のうち、意図的でないものすべてを指す。(vi)“establishment” (定着):外来種が新しい生息地で、継続的に生存可能な子孫を作ることに成功する過程のこと。(vii)“risk analysis”(リスク分析):(1)科学に基づいた情報を用いて、外来種の導入による影響とその定着の可能性を評価すること(すなわちリスク評価)、及び(2)社会経済的、文化的な側面も考慮して、これらのリスクを低減若しくは管理するために実施できる措置の特定をすること(すなわちリスク管理)。

A.総論

指針原則1 予防的アプローチ

 非意図的な導入の特定と予防においては、意図的な導入に関する決定と同様、侵略的外来種の経路と生物多様性への影響が予測不可能だとすれば、特にリスク分析に関しては、以下の指針原則に従った予防的アプローチに基づいて努力すべきである。予防的アプローチは、 年の環境と開発に関するリオ宣言の原則15及び生物多様性条約の前文で明らかにされたものである。
また、予防的アプローチは、すでに定着してしまった外来種の撲滅、封じ込め、防除措置を検討する際にも適用されるべきである。侵入種の様々な影響に関する科学的な確実性が欠如していることを、必要な撲滅、封じ込め、防除措置をとることを先延ばしにしたり、あるいは措置をとらない理由とすべきでない。

指針原則2 3段階のアプローチ

1 予防は、一般的に、侵略的外来種の導入や定着の後にとられる措置と比較してはるかに費用対効果が高く、環境的にも望ましい。
2 侵略的外来種は、国家間や国内での導入の予防を優先すべきである。侵略的外来種が既に導入されている場合には、初期の発見と迅速な行動がその定着を防止するために極めて重要である。望ましい対応はできるだけ速やかな撲滅(原則13)である場合がしばしばある。撲滅の実現が不可能あるいは撲滅のためのリソースが利用できない場合には、封じ込め(原則14)と長期的な防除措置(原則15)が実施されるべきである。(環境上の、経済的な、社会的な)利益とコストの検討は、長期的な観点でなされるべきである。

指針原則3 エコシステムアプローチ

 侵略的外来種に対する措置は、適当な場合には、締約国会議の決議Ⅴ/6に記述されたエコシステムアプローチに基づくべきである。

指針原則4 国の役割

1 侵略的外来種については、自国の管轄もしくは支配下での活動が、他国に対して侵略的外来種の潜在的な供給源となり得る危険性を認識し、種の侵略的な性質や侵略的になる可能性に関する入手可能なあらゆる情報の提供を含め、その危険性を最小限にするために必要な独自の行動や、協力の下に適切な行動をとるべきである。
2 そのような活動の例には以下のものが含まれる。
(a)他国への侵略的外来種の意図的な移動(たとえ、原産国では無害な種であったとしても)
(b)その種がその後(人間による媒介のあるなしにかかわらず)他国に分布を広げ侵略的となる危険性がある場合の自国への外来種の意図的な導入
(c)導入種が原産国では無害であったとしても、非意図的な導入につながるかもしれない活動3 各国は、侵略的外来種の拡散および影響を最小化することを援助するため、可能な限り侵略的になりうる種を特定し、その情報を他国が利用できるようにしなければならない。

指針原則5 調査とモニタリング

 問題に対処するための充分な知識の基礎を築くために、適当な場合には、各国が侵略的外来種に関する調査及びモニタリングを実施することが重要である。このような努力には、生物多様性のベースラインとなる分類学的研究が含まれるようにしなければならない。このようなデータに加え、モニタリングは新たな侵略的外来種の早期発見のために重要である。モニタリングには標的を絞った調査と全般的な調査の両者を含むべきであり、地域社会を含む他のセクターの参加によって効果が上がる。侵略的外来種に関する調査には侵入種の充分な同定を含むべきであり、以下のことを記述する必要がある。(a)侵入の経緯と生態(原産地、経路、時期)、(b)侵略的外来種の生物学的な特徴、(c)生態系、種、遺伝的レベルでの関連する影響、社会経済的影響、さらに時間経過に伴うそれらの影響の変化。

指針原則6 教育と普及啓発

 侵略的外来種についての普及啓発の推進は、侵略的外来種の管理を成功させるために極めて重要である。したがって、各国が侵入の原因と外来種の導入に伴うリスクについての教育と普及啓発の推進をすることが重要である。影響緩和措置が必要とされる場合には、地域社会や適切なセクターの団体をそのような措置の支援に従事させるために、教育と普及啓発を目的としたプログラムを実施すべきである。

B.予防

指針原則7 国境でのコントロールと検疫措置

1 各国は以下の点を確実にするために、侵略的な、あるいは侵略的になりうる外来種に対して国境でのコントロールと検疫措置を実施すべきである。
(a)外来種の意図的な導入は、適切な許可を必要とする(原則10)
(b)外来種の非意図的又は無許可の導入は、最小限に抑える
2 各国は現行の国内法や政策に従って、国内での侵略的外来種の導入をコントロールするために、適当な措置の実施を検討すべきである。
3 これらの措置は、外来種によってもたらされる脅威のリスク分析とその潜在的な導入経路に基づくべきである。既存の適当な政府機関あるいは権限を有する組織は、必要に応じて強化、拡大され、職員はこれらの措置を実施できるように適切な訓練を受けるべきである。早期発見システムと地域や国際的な連携は予防に不可欠である。

指針原則8 情報交換

1 各国は、外来種の予防、導入、モニタリング、影響緩和の活動をする際に利用される情報を編纂し普及させるために、インベントリー(目録)の開発、分類や標本のデータベースを含む関連するデータベースの統合、情報システムと相互運用可能な分散型のデータベースのネットワークの開発を支援すべきである。この情報には、事例リスト、近隣国への潜在的なリスク、侵略的外来種の分類、生態、遺伝的特徴、防除方法の情報を、利用できる限りいつでも、含むべきである。これらの情報は、世界侵入種プログラムによって編纂されているような国内の、地域的な、国際的な指針、手順、勧告と同様に、特に生物多様性条約クリアリングハウス・メカニズムを通じて広く普及が促進されるべきである。2 各国は外来種に対する特別な輸入の要件に関する情報、特に侵略的であると特定されている種の情報を提供し、他の国で利用可能にしなければならない。

指針原則9 能力構築を含む協力

 状況次第であるが、国の対応は単に国内だけのこともありうるし、二国間かそれ以上の国による協力を必要とすることもある。それらの協力には以下のようなものが含まれるであろう。
(a)特に近隣諸国間、貿易相手国との間、類似した生態系や侵入の歴史を持っている国の間での協力に重点を置き、侵略的外来種に関する情報、潜在的な不安、侵入の経路に関する情報を共有するためのプログラム。貿易相手国が類似した環境である場合には、特に注意すべきである。
(b)特定の外来種の取引、特に有害な侵入種を対象とした取引を規制するために、二国間又は多国間で協定を結び、それを利用すべきである。
(c)各国は、外来種の導入と定着が起こった場合のリスクを評価し減少させ、その影響を緩和するために必要な専門的技術や、財政面も含めリソースが不足している国に対する能力構築プログラムを支援すべきである。そのような能力構築には、技術移転や研修プログラムの開発が含まれる。
(d)侵略的外来種の特定、予防、早期発見、モニタリング、防除に向けた共同調査や出資。

C.種の導入

指針原則10 意図的導入

1 ある国において、実際に若しくは潜在的に侵略性のある外来種の意図的な最初の導入、又はその後の導入は、受け入れ国の権限ある当局からの事前の許可なくして行われるべきではない。提案された国への導入あるいは国内の新しい生態学的な地域への導入を許可するかしないかを決定する前に、環境影響評価を含む適切なリスク分析を評価プロセスの一部として実施するべきである。各国は、あらゆる努力を払って、生物多様性を脅かさないと考えられる外来種についてのみ導入を許可すべきである。その導入が生物多様性への脅威にはならないことを立証する責任は、導入の提案者にあるとすべきだが、それが適当な場合には受入国側が負うべきである。導入の許可には、それが適当であれば、条件を付すことができる(例えば、影響緩和計画、モニタリング手続き、評価や管理のための資金、封じ込めのための要件)
2 意図的な導入に関する決定は、リスク分析の枠組みを含めて、 年の環境と開発に関するリオ宣言の原則15及び生物多様性条約の前文で言及された予防的アプローチに基づくべきである。生物多様性の減少若しくは損失の脅威のある場合には、外来種に関して充分に科学的な裏付けがないことや知識が不足していることによって、権限ある当局が、侵略的外来種の拡散と悪影響を予防するために、そのような外来種の意図的な導入に関する決定を下すことを妨げられてはならない。

指針原則11 非意図的導入

1 すべての国は非意図的導入(または定着して侵略的になった意図的導入)に対処するための適切な対策をとるべきである。それらには、法律や規制措置、適切な責任を有する組織、機関の設立と強化が含まれる。迅速かつ効果的な活動ができるように、運営のためのリソースは充分であるべき。
2 非意図的導入をもたらす共通の経路を特定する必要があり、そのような導入を最小限にするための適切な対策をとるべきである。非意図的導入の経路には、しばしば、漁業、農業、林業、園芸、海運(バラスト水の放出を含む)、陸上・航空輸送、建設事業、造園、観賞用を含めた水産養殖、観光、ペット産業、野生動物牧場など、様々な分野の活動が関わっている。これらの活動の環境影響評価では、侵略的外来種の非意図的導入のリスクにも触れるべきである。侵略的外来種の非意図的な導入のリスク分析は、そのような経路に対して適切に実施されるべきである。

D.影響緩和

指針原則12 影響緩和

 侵略的外来種が定着していることが分かった場合には、各国は、独自に又は協力して、悪影響を緩和するために撲滅、封じ込め、防除の適切な段階で措置を講ずるべきである。撲滅、封じ込め、防除に使われる技術は、人間、環境、農業にとって安全であり、同時に、侵略的外来種によって影響を受ける地域の利害関係人に倫理的に容認されるものでなければならない。影響緩和措置は、予防的アプローチに基づいて、侵入のできるだけ初期の段階で行われるべきである。導入に責任のある個人あるいは法人は、自国の法律や規則に従わなかったために侵略的外来種が定着した場合、自国の政策や法律に従って、侵略的外来種の防除措置の費用や生物多様性の回復の費用を負担しなければならない。従って、潜在的なあるいは既知の侵略的外来種の新たな導入の早期発見は重要であり、それは迅速に次段階の行動をとる能力を伴うものである必要がある。

指針原則13 撲滅

 実現可能である場合には、撲滅は、侵略的外来種の導入と定着に対してとるべき最良の行動である場合が多い。侵略的外来種を撲滅する最良の機会は、個体群が小さく、地域的な分布にとどまっている侵入の初期の段階である。そのため、リスクが高い導入地点に焦点を絞った早期発見システムが最も有効であり、また撲滅後のモニタリングも必要である。撲滅事業を成功させるためには、地域社会による支援が不可欠な場合が多く、特に、協議によって行われた場合、効果的である。生物多様性への二次的な影響に対しても考慮がなされるべきである。

指針原則14 封じ込め

 撲滅が適当でない場合、侵略的外来種の拡散の防止(封じ込め)は、その生物や個体群の分布域が小さく、封じ込めが可能な状況では、しばしば適切な戦略となる。定期的なモニタリングが不可欠で、新規の大発生を撲滅する迅速な行動と関連している必要がある。

指針原則15 防除

 防除措置は、侵略的外来種の数を減らすと同様に、生じる被害を減らすことに重点を置くべきである。防除は、既存の国内規則、国際的取り決めに従って実施される、機械的防除、化学的防除、生物的防除、生息地管理を含む総合的な管理技術によって行われることが効果的であることがしばしばある。

特定外来生物法