カラスに関する参考図書・文献

カラスに関する参考図書や文献、日本野鳥の会の会員向け会誌『野鳥』の記事を紹介します。

参考図書・文献(発行年順)

  • Madge, S. & Burn, H. 1984. Crows & Jays. Christopher Helm A & C Black, London.
  • 唐沢孝一 1988. カラスはどれだけ賢いか. 中央公論新社, 東京.
  • Savage, C. 1995. Bird Brains: The Intelligence of Crows, Ravens, Magpies, and Jays. Greystone Books, Vancouver, Canada.
  • バーダー編集部 1999. 特集 鳥. Birder 13 (3). 文一総合出版, 東京.
  • 樋口広芳・森下英美子 2000. カラス、どこが悪い!?. 小学館, 東京.
  • 環境庁 2000. 都会のカラス~その被害と私たちにできること~. (環境省ウェブサイト) 2024年10月6日閲覧.
  • 川内博・遠藤秀紀 2000. カラスとネズミ. 岩波書店, 東京.
  • 松田道生 2000. カラス、なぜ襲う. 河出書房新社, 東京.
  • 環境庁 2001. 自治体担当者のためのカラス対策マニュアル. (環境省ウェブサイト) 2024年10月6日閲覧.
  • 杉田昭栄 2002. カラスとかしこく付き合う方法. 草思社, 東京.
  • 柴田佳秀 2007. カラスの常識. 子どもの未来社, 東京.
  • 樋口広芳・黒沢令子 (編著) 2010. カラスの自然史. 北海道大学出版会, 札幌.
  • 安西英明 2013. 野鳥観察ハンディ図鑑 新山野の鳥 改訂版. 日本野鳥の会, 東京.
  • 松原始 2013. カラスの教科書. 雷鳥社, 東京.
  • 高野伸二 (増補改訂新版: 安西英明、叶内拓哉、田仲謙介、渡部良樹、図版: 谷口高司) 2015. フィールドガイド日本の野鳥 増補改訂新版. 日本野鳥の会, 東京
  • 杉田昭栄 2018. カラス学のすすめ. 緑書房, 東京.
  • 塚原直樹 2021. カラスをだます. NHK出版, 東京.
  • 日本鳥学会 2024. 日本鳥類目録改訂第8版. 日本鳥学会, 東京.

『野鳥』誌 記事

カラス問題と共存

カラスは私たちのくらしの中で身近に見られる鳥ですが、時に人とのあつれきが発生します。いわゆるカラス問題という時のカラスは、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種ですが、最近はミヤマガラスによる被害も発生しています。

カラス問題とは何か

カラス問題には、大きく3つの問題があげられます。

1) ごみをあさり、散らかしてしまう
ごみ集積所での生ごみの無造作な放置や、中身が見える状態でネットやケースに入れずにごみ袋のまま集積所に出すと、カラスが見つけて中身をあさり、あたりは不衛生な状態になります。
2) 繁殖期に巣の近くを通行する人を威嚇、攻撃する
カラスは繁殖期にはヒナを守るために攻撃的になります。カラスの親鳥は巣のまわりを防衛し、巣やヒナに接近する人を威嚇、攻撃することがあります。
3) ねぐらで糞害が発生し、鳴き声がうるさい
ねぐらやその周辺など、カラスが集まる場所では糞で道路や建物などが汚されます。
また、ねぐら入りや早朝には鳴き声がうるさいという問題が発生しています。

こうした問題を減らすために、私たちはどのように行動すべきなのでしょうか。
カラス問題を考え、私たちのくらしも見直していきましょう。

カラスとの共存に向けて

ごみ被害を減らすためにどうするか

カラスのごみ被害を防ぐには、まず餌となる生ごみを減らすこと、そして、ごみの管理を徹底していくことです。自治体のルールにそって決められた場所や時間にごみを出すこと、また、ごみ集積所で、ごみが散乱しないように蓋やネットなどでしっかりと覆うこと、また、ごみが外から見えないよう工夫し、カラスがごみに接触できないようにすることも大事です。

ごみの管理は、一部の地域で対策を行っても他の地域で対策がされていなければ、その場所で被害が発生してしまいます。被害を減らしていくには地域間での連携や、協力が大切です。

カラスの威嚇、攻撃を受けないためにどうするか

子育て中のカラスは、巣のまわりを防衛し、近づく人や他の生きものを威嚇、攻撃することがあります。子育ての期間に、人が巣や巣立ちビナに接近しすぎなければ、カラスから攻撃してくることはまずありません。
巣のある場所やヒナの近くで、カラスの「カッ、カッ」と鳴く声を聞いたら、近づかず、その場を離れることが大切です。

道路や歩道などにヒナが落ちていて、通行に支障がある場合には道路の管理者や市町村の鳥獣保護担当者に連絡し、ご相談下さい。また、カラスが攻撃してくる際には、後方から襲ってきますので、やむを得ず、巣の近くを通る際には、傘や帽子などで身を守るなどの対策や、巣があることがわかっている場合には看板や張り紙などで、住民や通行人に注意喚起することも、被害を未然に防ぐのに有効です。

カラスフォーラム2003「首都圏の自治体はカラス問題とどう取り組んでいるのか」

2003年11月8日に、東京支部と(財)日本野鳥の会の共催で、カラス問題解決のために「カラスフォーラム2003」を開催しました(参加者 約100名)。フォーラムは、首都圏自治体関係者5名と大磯町前町会議員からの現状報告を頂き、カラスや廃棄物の専門家からのコメントを伺う形式で、興味深い事例や苦労話を聞くことが出来ました。カラス対策がゴミ対策であること、カラス対策が順調に進行しているところでは、住民の理解と協力が得られていることなど、共通認識が浮かび上がってきました。

まず板橋区からは、平成12年からはじまった東京都のカラス捕獲事業以降、苦情が数十件から200件に増え、カラスは有害だから駆除するのは当然という考えが子供たちにも広まっているというショッキングな報告がありました。カラス問題は、ゴミ問題をはじめとするルールづくりが大事であると共に、カラス対策は教育の問題であることを指摘されていました。

市川市は、カラス研究者の松田道生氏や本会の協力を得ながら、市内に生息しているカラスの個体数や営巣密度、被害を調べ、独自のマニュアルも作成し、対策を講じています。ネットがけなど正しい防除対策を講じることによって、カラス被害が十分の一に減ることを示していました。

日野市は、かつて多摩地区のゴミのリサイクル率がワースト1であったため、市長を先頭に全職員と住民が協力しあって、600回もの説明会を開き、ゴミ量の半減と戸別回収を実現させました。この他、年間700件もの苦情が殺到し防鳥ネットを無償配布した世田谷区、一軒一軒飲食店をまわってゴミ出しの管理を説得した新宿区の報告があり、いずれも涙ぐましい努力を感じさせました。

行政ではありませんが、10年ほど前から家庭のゴミを計りながら、一人一日あたり1000グラムあったゴミを100グラムにまで減らしてしまった大磯町の前町議の取り組みは、私たち住民がやるべき方向性を示していました。環境カウンセラーの崎田裕子氏からは、カラス問題からゴミ問題を考えることによって、ゴミ問題に新たな展開が期待できるというコメントがあり、ゴミ関係者からの大きな期待が寄せられました。

ごみを狙うカラス(写真/松田道夫)
ごみを狙うカラス
(写真/松田道夫)

リポーター
板橋区・水環境係長 坂本 郁子氏
市川市・自然環境課長 清水 敏男氏
大磯町・前町議会議員 田端 裕氏
世田谷区・環境調整係 布施 喜章氏
日野市・環境共生部長 笹木 延吉氏
新宿区・新宿西清掃事務所技能長 小倉 幸雄氏
コメンテーター
ジャーナリスト 崎田 裕子氏
東京大学大学院生物多様性科学研究室 森下 英美子氏
野鳥研究家 松田 道生氏
本会主任研究員 金井 裕氏

財団法人国際花と緑の博覧会記念協会から助成を受け、カラスフォーラム2003実施報告集(野鳥保護資料集第17集)を発行しました。

カラスフォーラム2001「都会のカラス問題に自治体はどう取り組むか」

開催日時 2001年3月11日(日) 13:10~16:30
開催場所 日本教育会館(一ツ橋ホール) 8F第一会議室
共催 環境省 (財)日本野鳥の会
後援 東京都

カラスは、昔から身近な鳥で、親しみを持たれる一方で神秘的あるいは気味の悪い鳥だったりしました。ところが、ここにきて「迷惑な鳥」、さらに「恐い鳥」というのが加わりました。都市地域での、カラスによる生活費害(ゴミを散らかす・うるさい・襲われる)が大きな問題になってきてからです。そして、カラスなんかみんな殺してしまえという声も大きくなりつつあるようです。でも、

カラス

カラスはそんなに悪い鳥なんでしょうか。
カラスと人はいっしょに暮らせないのでしょうか。

野生鳥獣による害と言えば、農作物の食害がもっとも大きな問題です。被害の大きさは食べられた作物の価格で計られます。都市域でカラスがゴミを食べ散らかすと確かに迷惑ではありますが、人がいらないといって出したものを食べているだけですから被害額というと、どうなるのでしょう。危険だからといって駆除されてる動物は、クマですね。これも問題なんですが、それにしてもカラスはクマと同じくらい危険なんでしょうか。

日本野鳥の会は東京周辺の支部と協力して、カラスの生息実態やゴミ散乱など生活被害との関係を調べ、カラスの問題について考えるシンポジウムを行って来ました。そして、人間側にも、改めるべき点が多いことを指摘してきました。

ところで、カラスに困っている人が苦情を持ちこむ先はどこかというと、生活に密着した施策を実施する地方自治体です。苦情相談を受ける窓口担当の方は、日々対応に苦労されています。今回のフォーラムでは、そんな自治体の中から実際にさまざまな工夫でカラス被害の軽減に取り組んでいる方々と、カラスの生態の調査を実施している研究者など専門家が集まりました。

 都市に暮らすとはいえ、カラスは昔から日本に住む野生の生き物です。生息する数をどうするか。被害の軽減の有効な方法はなにか。具体的な対策を考える上で良いアイデアがきっと見つかることを期待してこのフォーラムを行いました。

  1. フォーラム概要
  2. 事例報告
  3. 鳥類専門家による報告
  4. フォーラム参加者の意見
  5. フォーラムの評価

※1~5に関する出典:「生活と環境 平成13年5月号」

1. フォーラム概要

日本野鳥の会研究センター 黒沢令子

カラスは昔から人にとって身近な鳥だったが、それだけに農作物などを巡って人との軋轢があった。近年、とくに都市部において、野生のカラスがゴミを散らかしたり、人をおどかしたり攻撃したりするという生活被害が深刻化している。都市のカラス問題は、同じ地域にすむ人とカラスが、それぞれのライフスタイルとからみ合って起こる摩擦のようである。

1999年から2000年までに日本野鳥の会は東京周辺の支部と協力して、東京のカラスについて生息実態とゴミの散乱など生活被害との関連を調査し、カラスの問題について考えるシンポジウムを行なってきた(カラスシンポ報告書I,II 1999)。その結果、ゴミ散乱の問題は人間側にも改めるべき点が多いことを指摘してきた。この問題は、私たち人間に対して、都市部における野生動物と共存するためのライフスタイルができていないことに端緒を発すると思われる。

カラス対策ビデオの表紙
カラス対策ビデオの表紙

フォーラムの様子
フォーラムの様子

環境省では、2000年5月に都市生活の中で、カラスとつきあう心構えを紹介したパンフレットとビデオを作成・配布した。カラスに困った人が苦情を持ちこむ先は自治体の担当者である。そこで、今年度は、カラスに悩む自治体の担当者向けの対策マニュアルを取りまとめるため、東京を中心とした5つの自治体でモデル事業を行なった。

今モデル事業は、東京を中心とした自治体の中、2000年度に何らかのカラスに対する独自対策を行なっている自治体に協力をしてもらい、都市のカラス被害対策推進モデル事業を行なった。内容は、生じている生活被害の整理、カラスの分布調査、ゴミの散乱被害の調査、新たなゴミの散乱防止対策、アンケートなどによる効果測定とこれらにもとづい対策マニュアルの策定である。なお、このフォーラムで「カラス」と呼ぶのはおもにハシブトガラスのことを指す。このフォーラムはそのモデル事業の一環として、自治体の担当者の方々とカラスを研究している専門家を交えて情報交換や議論をしてもらう場として設定した。
都会のカラス~その被害と私たちにできること~(環境省)

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2. 事例報告

表1. 協力自治体の特色(平成12年度)
特色 品川区 世田谷区 日野市 三鷹市 川崎市
ごみ収集方法 繁華街の早朝収集 防鳥ネットの配布 サイクル推進のための戸別収集 繁華街の夜間収集 カラスの実態調査
集積所 集積所 戸別収集 戸別収集 集積所
ごみ散乱防止対策 折畳式金網籠
物理的隔離 チェーン付ネット
ポリバケツ
折畳式金網籠
ネット ネット籠
時間的隔離 早朝収集 夜間収集
カラスを減らすのに
結びつく対策
ごみ減量 駆除
今回新しく試した
乱防止対策・用具
時刻別ごみ出し チェーン付ネット ネット籠ほか
チェーン付ネット
折畳式金網籠
実施したアンケート 一般 モニター モニター 一般 モニター
概要
面積 (km2) 23 58.1 27.5 16.5 144.4
人口(万人) 67 78.5 16.5 16.4 125.3
緑被率(%) 12 20.5 50 23.7 27
苦情受付簿 ◇(部署毎) △ (1件のみ) △ (日付なし) ◇(部署毎)
苦情データの整理
受付部署 環境清掃部 総合支所区民部ほか各支所 環境共生部 生活環境部 農業振センター・
環境局ほか

品川区におけるカラス対策

品川区環境清掃部清掃リサイクル課 中山武志

品川区は23区内としては標準的な規模の自治体で、東海道の宿場町として始まった歴史があり、オフィス街、工場街、住宅地が混在する環境である。平成12年(2000年)の4月に清掃事業が都から区に移管されたことに伴い、より地域の実情に即した事業の実施について検討した。その結果、住民から苦情や要望が寄せられていたカラス対策について、きめこまかい施策を始めた(表1)。実施した対策は、駅前の繁華街における早朝の各戸収集、区が開発した折畳集ゴミ積ケースの設置、防鳥ネットの貸し出しなどである。

折畳式のゴミ集積ケース
折畳式のゴミ集積ケース

ここでは、景観や設置場所の広さに配慮しながらもカラスによるゴミの散乱をなくすために、品川区と区内企業が共同で開発・製作した折畳式のゴミ集積ケースを紹介したい。長崎市で野犬によるごみの食い荒らし対策として集積所に設置されている折畳式のケースを参考にして、清掃事業所収集員の意見も踏まえ、改良・工夫したものである。

開いた状態で幅120cm、高さ100cm、奥行き80cmで、折りたたむと奥行きが約20cmになり、通行上の障害を軽減できる。フレームはステンレスに樹脂加工を施し、網はFRP樹脂でできている。転倒防止のため、背面を器具で固定したり、開閉や格納がしやすいようにキャスターを取りつけたりという工夫をした。8月から設置を開始し、2000年度で27台を設置した。使用者には概ね評判はよいようで、苦情はきていない。

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世田谷におけるカラス対策―ごみ散乱防止ネットの配布―

世田谷区世田谷総合支所区民課相談 布施喜章

世田谷区は住宅地を多く擁し、区域が大きいので5か所に総合支所を設けている(表1)。

カラスへの苦情は多いが、それぞれの支所が受け付けており、区全体でのまとめはない。カラスなどによるごみ散乱の苦情が多かったので、平成7年(1995年)にごみ散乱防止と地域の環境衛生の保全を目的として、ごみ集積所利用団体に対してごみ散乱防止ネットを試行的に配布した。要綱を制定して、区報で公募を行ない、抽選により903枚を配布した。使用後報告をしてもらい、効果測定をしたところ、「ごみ散乱が少なくなった」(87.8%)、「ごみの出し方が良くなった」(70.2%)という効果が確認された。

2年間の試行期間をへて、平成9年度から3年間で区内の全ごみ集積所の7割に配布する目標を立て、要綱を見直し12,466枚を配布した。ネットの管理は利用している区民または団体に任せて自主管理とし、1ごみ集積所に対して1枚だけ配布した。破損、盗難などの場合も再配布はしていない。平成12年度(2000年)に清掃事業が区に移管になり、ネット配布事業の所管を清掃・リサイクル部に変更した。暫定措置として1年間、ネット配布期間を延長し、今後の対応については、区民課、環境課とともに庁内で検討している最中である。

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日野市のごみ減量成功例

日野市環境共生部リサイクル推進課 大貫格

日野市は都心から35kmの距離にあり、住宅地のほかに農地、工業団地を含む環境にあり、自然と調和のとれた都市建設を目指している(表1)。

箱形ネット(ペタールボックス)
箱形ネット
(ペタールボックス)

小型のチェーン付きネット
小型のチェーン付きネット

市として家庭ごみの収集は昭和28年(1953年)に開始し、昭和44年(1969年)には増えつづける家庭ごみを効率良く収集するために鉄製のダストボックスを使用して、収集所方式で回収を始める。平成11年(1999年)に至り、人口あたりのごみ量およびリサイクル率が多摩地区で最も悪くなったので、リサイクルを徹底して、ごみの減量を目指すことを決定した。ごみの排出に市民が自覚と責任をもってもらうため、市で指定した有料のごみ袋を使用してもらうことにした。平成12年(2000年)10月に、ダストボックスを廃止・撤去し、戸別収集を開始した。9品目を資源物としてごみと同時に回収している。その結果、家庭ごみの収集量は、前年同月のダストボックスによる収集量と比較して50%以下になった。今モデル事業では、日野市が業者と開発した箱形ネット(ペタールボックス)と、個人住宅用に小型のチェーン付きネットを試用している。

ダストボックスや金網容器は、ルールを守って使えば、カラスやネコによる散乱を防止する効果はあるが、反省点としては四六時中ごみを出せるので、市民のごみ出しの時間を限る意識や、ごみを減らす意識が育たなかった。そのため、ごみがボックスから常にあふれ出ている場合も多く、散乱防止の役に立たないことも多かった。

戸別収集と合わせて、生ごみの減量のために、電動生ごみ処理機の購入費を補助している。予算は1件25,000円を上限に2,700機分用意した。また飲食店を含む事業所に対して、排出者責任を徹底させるために、電話帳から全事業所を割り出してごみの排出物、排出量などを申告させ、パソコンで管理して、不法投棄の割り出しに役立てている。ごみの排出量が少ない事業所は依頼書を出せば、一般家庭と同じく市指定の有料ごみ袋で戸別収集の扱いをしている。ごみ出しの指導・管理として、「ポイ捨て条例」を実施し、不法投棄を見まわるパトロール員が6名、市内を巡回している。今後は、カラスの餌になるような生ごみの排出量ゼロを目指して、生ごみを堆肥化し、資源として活用する方向を検討している。

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三鷹市におけるごみの夜間・早朝収集

三鷹市生活環境部ごみ対策課 川嶋直久

三鷹市は緑が比較的に多く、市内全域が市街化区域の住宅地域である(表1)。

市内のごみ収集は戸別収集だが、駅前周辺の地区では飲食店や高層住宅の密度が高いので、排出されるごみの量が非常に多かった。この地区ではごみが散乱する被害が多く、美観も損ねるので住民から対策を望む声が上がっていた。市では、その対応策として、平成10年(1998年)1月より3か月の試行期間を設けて、夜間・早朝収集を行なった。その結果、欠点を補う効果があると判断されたので、平成12年(2000年)10月より本格実施を開始した。

夜間・早朝収集のメリットとしては、

  1. 町の美化、
  2. カラスによるごみの散乱防止、
  3. 収集の作業効率化、
  4. ごみ出し遅れの防止など多様化したライフスタイルへの対応ができることがある。

デメリットとしては、

  1. 作業騒音、
  2. 人件費などのコスト増、
  3. 作業員の労働体制負担増、
  4. マンションなどのごみ出し体制の変更の必要性などがあげられた。

それぞれの問題について、一つづつ検討、試行をくり返して解決していった。例えば、騒音については、住宅街の収集を一番早く0時頃から始め、ごみ回収車の走行スピードを押さえること、声による合図に替えてライトを使用したこと、車両のバック警戒音を切ることなどきめこまかく対応した。またコストについては、駅前周辺地区は利用する市民が多いので、効果が現れれば、満足してもらえる市民の数が多いことを考え、コスト対効果を比較すれば、経費をかける価値があると判断された。作業員の労働時間が厳しくなることに関しては、健康を配慮して、作業ローテーションを適正に組むことで対応することができた。また、日中と比べると、交通渋滞や人や自転車などの混合交通への配慮などの心配をする必要がなく、作業効率が格段にあがったことは作業員にとっては、メリットとなった。マンションなどは個別事情の違いが想定されたので、1軒1軒職員が訪問して事情を聞き、変更への協力を要請して了解を得た。その後、対象とした駅前地区ではごみの散乱がなくなり、ほぼ順調に続いているが、さらに市民の意向を調査し、本事業の改善に向けて評価・検討をする必要があると考えている。

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川崎市の現状

川崎市環境局川崎生活環境事業所生活環境推進事務 土田和幸

川崎市は多摩川をはさんで東京の各都市と接しており、住宅地区のほかに、日本有数の工業地区、農業地区など多様な環境を擁する都市である。川崎市では、可燃ごみは週4日収集しており、ごみ散乱の被害への苦情はあるが、市として独自の散乱防止対策は今のところ行なっていない。農業地域からカラスによる被害の苦情が多いため、農協へ助成金を出して、猟友会へ依頼して有害鳥獣駆除により、年間平均400羽ていどのカラスが駆除されている。その結果の効果測定はしていないが、被害の苦情はいっこうに減っていない。

そこで、農業振興課が、日本野鳥の会神奈川支部に依頼して、平成12年(2000年)12月から翌年1月にかけて、市内におけるカラスの生息調査を実施した。地元の自然保護団体と連携をとったことで、すみやかに実態調査を行なうことができた。現在はカラス対策といっても部署ごとに細分化されているため、一元化した対策をとることができないでいる。今後の課題として、調査結果を受けるとともに他都市の例を参考にして、もう一歩踏み込んだ対策を検討したい。

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3. 鳥類専門家による報告

カラスによる人への攻撃事例研究(中間報告)

東京大学生物多様性科学研究所 森下英美子

2000年夏期に東京都林務課で人を攻撃するカラスの巣を緊急捕獲したことをうけて、その事例について聞取り調査などを行ない、人を攻撃する事例が何故起きるのかその実態と起こるメカニズム、さらに未然に防ぐ知恵を探っている。

カラスが人を攻撃するのは、圧倒的に繁殖期に多く、巣や雛に人が何らかの接触を行なった後に襲われることが多いことがわかった。事例としては、カラスを追い払った、巣のそばで枝を剪定した、巣のそばに登った、洗濯物を干したなどがあげられている。攻撃のパターンは後ろから飛んできて、足でこぶしを作り、それで蹴ることがほとんどで、大怪我にいたる場合は少ない。「つつかれた」と感じることが多いが、それは攻撃の瞬間を見ていないので、思いこみであることが多い。

未然に防ぐ方法は、繁殖中はカラスを刺激しないことである。もし、攻撃を受けるようになってしまったら、繁殖が終わるまでたとえば1か月くらい、その場を迂回したり、帽子や傘をかぶって頭を防御するのがよい。こうした防御策が十分実施できないときは最後の手段として、雛が巣立つ前であれば、巣ごと撤去することも一時的に効果がある。いずれにせよ、野生動物であるカラスと共存するための知恵を人間がつける必要がある。

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カラス問題解決に向けてのステップ

日本野鳥の会研究センター 黒沢令子

環境省によるモデル事業の一環として、日本野鳥の会研究センターは東京周辺の4自治体でカラスの生息数とゴミの調査を行なった。その結果、東京では、カラスの密度は都心部に近い地域ほど高く、都心部から遠ざかるにしたがって、低くなる傾向が見られた。

各協力自治体では、ごみ散乱防止のためにさまざまな工夫をしているが、今回のモデル事業でも、新たにゴミ散乱を防止する対策を講じてもらった。まだ結果は十分にまとまっていないが、用具を最も早くから配り始めた日野市ではモニターアンケートが返送されているので、2001年2月末の段階の中間報告をしたい。

日野市では2000年10月にダストボックスを廃止した際に、指定ポリ袋でゴミを戸外に置いておくと、カラスなどによってゴミが散乱するのではないかという住民の危惧が大きかった。そこで、ゴミを入れておく箱式ネット、ゴミの上に掛ける重し付ネットおよび、絞り式ネットをモニター市民に配り、ゴミの散乱防止に対する効果を測定した。多くの市民が2000年10月のダストボックス廃止以前には、近所でゴミが散乱しているのを目にしていたが、廃止・戸別収集開始以後はゴミの散乱を見ていないと答えた。また、散乱の度合いはダストボックス時代には激しかったが、戸別収集になってからは、散乱していても、範囲が小さいと答えた人の方が多かった。従来のようにカラスとゴミの接点を物理的に断つ方式では、人の側のルール違反やゴミの分量の管理が十分でなかった時に効果が落ちた反面、透明のプラスチック袋で排出しても、根本的にゴミの量を減らすことが散乱被害を減らすためには最も効果があったと考えられる。

図2に、一たん問題がおきた時、どのようにして解決へ向けて歩んで行くかのステップを示したので、これに則って、科学的に危機を回避するシステムを考え、きめの細かい独自な対策を工夫して、解決に向かって一歩一歩慎重に歩む姿勢をもってほしい。

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カラス問題対応マニュアルの作成にあたって

野鳥研究家 松田道生

都市の周辺においてハシブトガラスによって引き起こされている問題に対処するため、特に行政の現場担当者が活用できるマニュアルを作成している。

実態についての研究が進んでいない反面、マスメディアが作り上げた誤ったイメージがはびこっている現状がある。そこで、科学的な知識に基づいてできるだけ的確にカラスの実態を把握して対策を立てる必要がある。

まず、都市において、カラスが引き起こす問題があることを認識すること(危機の認知)、正しい情報を十分揃えて方策を講じる姿勢をもつこと(現状調査)、都市住民の意識が多様化しているので多様な観点からの対策案が必要なこと(きめの細かい対策)、対症療法だけに頼らず、根本的な解決法を模索する必要がある(部署間の連携)。

行政システムの中で点検する必要がある項目をまとめてみると、1)担当部署における認識度の確認をすること、2)苦情窓口の一本化をはかること、3)関係部署の連携をはかること、4)外部組織とのネットワークの構築(鳥類専門家、住民やボランティア)、5)継続して取組む体制の構築があげられる。

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4. フォーラム参加者の意見

フォーラムの参加者には会場でアンケート(PDF 351KB)を配布し、休憩時に回収した。

第2部ではこれを集計して、その結果をもとに、参加者と意見交換を行なった。アンケートに答えてくれた人は89人おり、およそ150名の総参加者半数を超えたと思われる。仕事上でカラスと関わっている人は58人(65%)に及んだ。勤務先でみると17の区、4つの市、さらに他県の7都市からの参加者があった。

フォーラム参加者の勤務先(n=89)
フォーラム参加者の勤務先(n=89)

近所でのカラス問題としてあげられた第1位はゴミの散乱64人(72%)で、第2位は鳴いてうるさい23人(26%)だった。人への攻撃をあげた人は18人(20%)だった。

設問1. 近所でのカラス問題(n=89)
設問1. 近所でのカラス問題(n=89)

設問2. ゴミ対策として何か行っているか?(n=64)
設問2. ゴミ対策として何か行っているか?(n=64)

ゴミ対策がされている場合はその効果があがっているかという質問では、28人(39%)が多少あり、14人(19%)が多いにありと答えている。人を攻撃する事例についての質問では、直接蹴られたり、つつかれたことがある人が8人(44%)、そばを飛ばれて怖い思いをしたのが7人(39%)だった。攻撃の理由としてわかっているのは、巣の近くを通ったことで12人(67%)、次いで雛を連れていた3人(17%)で共に繁殖行動に由来する例だった。行政に期待するカラス対策としては、第1位が餌を断つことで62人(70%)、第2位は生態系の理解を深めるで37人(42%)だった。駆除や巣を落として欲しいと答えた人はそれぞれ13人と11人だった。最後に根本的解決のためにどのような対策が良いと思うかという質問では、68人(76%)が餌を断つことと答え、次いで生態系への理解を深める38人(43%)があり、駆除や巣を落とすと答えた人は9人と7人になった。

設問7. 根暴的対策として良いと思うもの(n=89)
設問7. 根暴的対策として良いと思うもの(n=89)

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5. フォーラムの評価

環境省の担当者からは、従来になかったような形式で、モデル自治体の実例を現場担当者から詳しく聞くことができ、大変意義深かったという意見があった。モデル自治体担当者は、それまで、清掃部門とカラスへの苦情受付部門が、膝を接して話し合ったことがほとんどないのが実情だった。そこで、今回、カラスの専門家を通して、始めてカラス問題を正面から捉えるに至ったという感想を述べていた。その意味で、モデル事業を通してではあるが、対策をとる際に必要な部署の担当者が情報交換を行なうのに適した会であったと思う。

主催者である日本野鳥の会や環境省、また後援の東京都から、担当部署を通してフォーラムのお知らせを行政の関連部署に流しておいたので、来場者の中には東京周辺の自治体の行政担当者も多く、環境課、公園課、動物園関係者、野生動物保護関係者、鳥類専門家など多彩な顔ぶれだった。参加者もある程度広域でのカラス対策を考える立場の人が多かったので、具体的で建設的な質疑応答ができたと思う。

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「都市におけるカラスの生態と生活被害対策について」―東京都カラス対策プロジェクトチームに行った講義内容―

2001.9.26
日本野鳥の会研究センター 黒沢令子

(財)日本野鳥の会は、平成9年度の東京都建設局からの委託による井の頭公園の調査や、シンポジウム「とうきょうのカラスをどうすべきか I(1999年)」(日本野鳥の会東京支部主催)への参加・協力を皮きりに、都市におけるカラスと人のあつれきを科学的に解決していく方策を検討してきました。また、2000年には環境省の委託により都市におけるカラス被害対策モデル事業を行ない、その結果を「カラスフォーラム2001」で発表しました。また「自治体担当者のためのカラス対策マニュアル」を環境省の委託により策定しております。
東京都のカラス対策プロジェクトチーム発足にあたっては、専門家としてのヒアリングを求められました。この要約はその際に行なった講義をまとめたものです。


  1. はじめに
  2. カラスの基本生態(井の頭公園の事例)
  3. 海外の事情
  4. カラスによる生活被害の現状と防除
  5. 東京周辺で始まっている自治体の対策
  6. 東京都に期待される役割

1. はじめに

  • カラスの生態系の内での地位(ニッチ)は、他の鳥に例えて言えばスズメ、カモメ、トビ、ワシをすべた合わせたようなところに相当します。
    つまりカラスは種子や果実、魚、死肉、肉を全部食物とすることができ、たいへん食性の幅が広く環境への適応力が高い鳥です。
  • 都市に多いのはハシブトガラスで、本来は森林性の鳥です。自然の森林生態系の中では、樹木で果実や種子、樹皮の中の昆虫などを食べ、樹上に巣を作って繁殖しています。都市では、公園などの樹木に巣を作って、昆虫や種子を食べる他に、人間が出す生ごみや残飯、ペットフードなどを利用しています。以下ここで「カラス」というのは、ハシブトガラスを指します。

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2. カラスの基本生態(井の頭公園の事例)

  • 【1日のくらし】カラスは、朝は夜明けより30分くらい前にねぐらを出て、採食に出かけ、満腹すると休息したり水浴びをしたり遊んだりして昼間を過ごします。夕方になると、2、3羽づつねぐらに帰ってきて、また集団ねぐらで眠ります。
  • 【ねぐら】カラスは、夜間は常緑樹などの暗い森の中に集まり、集団ねぐらをとります。晩夏にはその年生まれの幼鳥が加わって一か所のねぐらに集まる数も増します。小さな数羽のねぐらから大きな万単位におよぶものまで知られています。大きな常緑樹の林では、冬に最も個体数が増加し、春から繁殖期にかけて、なわばり個体がなわばりに居ついて戻らなくなると減る傾向があるようです。
  • 【寿命と成長】一般に野鳥は、若鳥は餌を取るのが下手なので、初めての冬を乗り切ることができずに、巣立った最初の年に多くが命を落とす割合が高いことが知られています。カラスでは1年目を越えられれば、10年以上は生きるだろうと考えられています。しかし、実際にハシブトガラスで個体識別をして特定の個体を追って調べた研究が少ないので、寿命などの知識は今後の課題の一つです。若鳥は集団で行動していますが、そのうちにつがいになる相手が見つかると、雌雄の2羽でなわばりを構えます。なわばりは、その中で食べ物を手に入れ、巣を作って繁殖するためのエリアで、いわば家庭菜園付き一戸立て住宅のようなものです。
  • 【繁殖】東京周辺ではおもに3月~6月ころに繁殖行動が見られ、幼鳥は6~7月ころ巣立ちます。8月~9月ころ幼鳥は一人前になって親元を離れ、若鳥の群れに合流します。親鳥はふたたびつがいだけになったなわばりを守りながら、非繁殖期を過ごします。
  • 【食物】井の頭公園での調査によると、公園のカラスの食べているのが観察された餌の6割以上が人に由来する食べ物でした。内訳は、ごみ箱から取り出した生ごみ、人がやったパンなどの食物、そして動物舎の餌でした。
  • 【生息密度と行動範囲】井の頭公園には20か所ほどに巣があり、巣と巣の間の距離はおよそ100mていどでしたが、中には50mしか離れていない巣もありました。同じ公園でも、都心の六義園の調査では、もっと狭い範囲に巣が密集していたと言い、都心の方がカラスの密度は高いようです。カラスの若鳥はなわばりをもたずに、もっと広い行動圏をもっているようです。
    朝、ねぐらを出ると食物を探しながら、この行動圏の中を周回するように移動しているのではないかと考えられます。上野公園のカラスにPHSを装着して追跡するというユニークな方法で東京大学の森下英美子さんと樋口広芳教授が行った調査では、上野公園に一日中留まる公園派、荒川などの河川敷の小公園を周回する下町派、さらに銀座、赤坂、六本木などの繁華街を次々と回るシティ派がいたといいます。行動範囲はおよそ5km圏内でした。目黒の国立自然教育園の調査では、およそ若鳥の行動範囲は10km圏内に収まることが分かっています。
  • 【調査方法】カラスの数を調べる方法には、道を歩いて日中の密度などを数えるルートセンサス法と、定点でねぐらに出入りする数を数え、その地域の総数を推定する調査方法があります。それぞれ一長一短あるので、目的に合った方法を選びます。対策をとろうとするには、相手を知らなければなりません。カラスとごみの現地視察をして実地に自分の目で確かめましょう。

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3. 海外の事情

  • ハシブトガラスはアジアの南側だけに生息している鳥なので、高緯度の欧米諸国にはいません。これらの国々の都市にはその代りに同じような地位にカモメ、アライグマ、クマなどがおり、ごみを野外に放置しておくことはこれらの動物を人に近づけることになるので、法令でごみの野外放置を禁止している所もあります(アラスカ州の例)。アジア・南米諸国ではイエガラス、ハゲワシ、サルなどが掃除家の役割をしています。こうした地域の人々は、ごみを戸外に出しておけば、これらの動物が掃除をしてくれるという意識をもっているようです。

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4. カラスによる生活被害の現状と防除

  • 都会においてカラスによる生活上の3大被害はごみ散乱、攻撃、騒音です。今までに東京都が行なったカラスの数の調査はありません。私たち日本野鳥の会が行なったねぐらアンケート調査では、2000年~2001年にかけて東京23区でおよそ2万5千羽、市町村部でおよそ7千羽、東京から50km圏内を全部合わせると8万羽と推定されています。
  • 田んぼに立てられる案山子(かかし)に代表されるように、日本人は昔からカラスが嫌う物を使って、被害を防除して来ました。カラスが嫌うものには、炸裂音、爆発的な光、見つめる人間、オオタカ、フクロウなどがあります。ただし、これらの方法で得られるのはいずれも一時的な追い払い効果であり、長期間持続する効果を期待することは無理のようです。
  • カラスが増えるのを防ぐ方法はあります。一般に環境における資源容量(食物)は限りがあり、個体数それを越えると飢え死にする個体が出るようになります。また、食物量が多い所では、何かの理由で個体数が減っても次の繁殖でその容量の限度まで回復します。現在、大都市では自然の食物量はさほど高いとは思われないのに、人が出す生ごみや残飯、餌やりによる食物量が多いために、雑食性のカラスはこの食物をうまく利用して、自然界ではありえないほど個体数が増えた状態にあると考えられます。これを押さえるのは、簡単なことです。食物量=すなわち生ごみ・残飯を戸外に出さない・残さないことです。出す場合は、簡単に取られないように、人が工夫することです。また、都市では食料の大部分が都市外から運搬されたものであり、また海外からの輸入も非常に多い状態にあります。カラスを増やさない対策をとれば、同時に環境にやさしい都市生活を築くことができます。一方、駆除によって鳥類の個体数をコントロールするのに成功した例は海外を含めてほとんどありません。
  • 自然界ではたいてい冬に食物が少なくなります。そこで、この対策をとるのに最も効果的な時期は冬期でしょう。一地域からカラスを減らすことを目的とするなら、単に追出して隣へ追いやるだけにならないように、戦略的方法論をとることが必要です。例えば、東京なら周辺自治体と協力して、ごみ対策の案を練っておき、都心のような繁華街と公園で徹底的にごみ対策を行なうことが考えられます。

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5. 東京周辺で始まっている自治体の対策

環境省・日本野鳥の会共催 カラスフォーラム2001の事例

  • 品川区では、清掃事業が都から移管された平成12年度当初に独自の対策を始めました。駅前繁華街での早朝収集、ポリバケツの貸与を行ない、また折畳式ごみ集積所ケースを開発して使用しました。またモデル事業として、ごみの収集車が来る時間を表示して、それに合わせてごみを出してもらう時間別収集も試行しました。住民アンケートの結果では、ごみを出すのが8時台と最も早い時間帯が、散乱防止に一番役立つと考えられました。
  • 世田谷区では、住民からごみが散乱して困るという苦情があり、ごみ集積所の管理者にネットを無償で貸与する対策を1997年(平成9年)より始めました。また2000年冬には、環境省のモデル事業に協力してチェーン付きネットを試用しました。使用した住民にアンケートをとった結果、ほとんどの住民が散乱を防止できたと満足していました。ただし、3kgを越えるような3m×4mという大型のネットになると高齢者や女性には扱いにくいことがわかり、ごみ集積所の規模を制限する必要性があると思われました。
  • 三鷹市では、従来戸別にごみ収集を行なっていましたが、駅前繁華街ではごみの量が多く、散乱もひどかったので、夜間・早朝収集を試行しました。メリットとしては、ごみ収集の効率が上がる、ごみがなくなり、散乱もしないので街がきれいになることがあげられる一方、デメリットとして、夜中の清掃車の騒音、人件費の増加、マンションのごみ出し体制の変更をする必要性などがありました。市のごみ対策課でデメリットを一つ一つ解決していき、本格実施をしてアンケートをとった所、ごみの散乱がほとんどなくなり、住民の満足度は高いという結果が出ました。
  • 日野市では、ごみのリサイクル率を上げて、ゴミ減量を行なうために、戸別収集、有料化に踏み切り、それまでのダストボックスを廃止しました。結果として、ポリ袋にして出しても中のごみの量が少ないため、カラスにあらされることも少なくなりました。さらにごみ散乱防止のために、環境省のモデル事業でチェーン付きネット、分別用折畳みボックスなどを業者と開発して市民に試用してもらったところ、ごみの散乱防止に効果ありとして住民に好評でした。
  • 川崎市では、従来、農業被害も含めてカラスによる被害があり、農村地域では駆除を行なっていましたが、効果は認められませんでした。そこで、県内の自然保護団体(日本野鳥の会神奈川支部)に依頼してカラスとごみの調査を行ないました。その結果、農業被害の苦情の多い地区に、生ごみが多く出る市場があり、そこにカラスが集中していることがわかりました。現在、市は市場と話し合いながら、その対策に取組んでいます。

他の鳥での先進事例

  • 広島市では、平和記念公園にドバトが増え、近隣のマンションなどから糞害や営巣してダニが出るなどと苦情が多くなりました。そこで、専門家を呼んで対策委員会を設け、5ヵ年計画で餌やりを制限・禁止した結果、5年後にはドバトの数が4分の1まで減少し、苦情もなくなりました。
  • スイスのバーゼル市でも、広島市と同じくドバトが増えて苦情が多くなり、まず駆除を試みました。8割まで個体数を減らしたところ、周辺からどっと入り込んできて、かえって元の数より増加してしまいました。その後は第2段目の対策として餌やりを制限・禁止したところ半数まで減り、目的を達成しました。

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6. 東京都に期待される役割

  • 都内の区市町村は平成12年度の清掃業務移管により、独自の清掃事業を開始している所が出ています。都としてはこれらの自治体がごみ対策をやりやすいようにリードしていくことが求められます。
  • 大規模公園では人の残飯、生ごみ、動物の餌などがカラスを呼び寄せ、その餌になっていたことがわかっています。これを徹底して管理し、カラスに食べられないようにすることが肝心です。
  • カラスやクマなどの大型雑食動物が餌をもらえると思って人の近くにやってくると、動物が嫌いな人とのあつれきが増します。人を攻撃するような気の強いカラスが出現した背景にも、人との距離の近さがあると考えられます。この問題の解決には、カラスの行動を変化させてしまった人のライフスタイルを変える必要があります。そこで、公園などの管理者は利用者がカラスに餌やりをするのを制限し、場合によっては禁止する措置が当面必要でしょう。そのためには、公園に指導員を配置したり、生態観察などの観察会を設けるなどして、市民への普及・教育をしていくことが望まれます。

(財)日本野鳥の会・黒沢令子 (無断転載を禁じます)

カラスフォーラム2004「カラスを科学する―その賢さから問題解決へ―」

フォーラムの様子

このフォーラムは、2004年11月7日、我孫子市のジャパンバードフェスティバルにおいて、当会東京支部と共催したもので、都市における人とカラスの軋轢の解消の具体策を探るもので、合計110人の方が来場しました。

冒頭に宇都宮大学の杉田昭栄先生により、カラスの脳の形態や学習能力の研究から、ある特定の光波長をカットして、カラスの視覚をかく乱させる半透明の黄色いゴミ袋を開発された経緯等をお話いただきました。続いて、東京支部川内博さん、当会評議員の松田道生さんから、自治体のカラス対策の最新事情の報告があり、ゴミの隔離を物理的に行うことの重要性が指摘されました。ネット開発メーカーの山崎孝寿さんからは、カラス対策グッズの道路占有の問題やコスト負担をどうすればよいかとの提言があり、いくつかのメーカーからのゴミネットや折りたたみ式ゴミ入れなどの展示や説明もありました。最後のディスカッションでは、住民一人一人のマナーや、地域社会のあり方にまで議論が発展しました。

(自然保護室)

連続ウェビナー(2025)第1回 国際プラスチック条約に科学者連合が求めるもの

本セミナーは終了しました。録画を公開しましたので、ご覧ください。
セミナー(録画)の視聴はこちら

写真:OWS

私たちが日常生活で使っているプラスチックが、海鳥をはじめ、生きものや地球環境に深刻な影響を与えています。この連続ウェビナーでは、プラスチックの問題をテーマに、さまざまな講師からお話を伺います。

2024年内の制定が目指されていた国際プラスチック条約は、各国の意見の隔たりが大きく、残念ながら合意に至りませんでした。今回は、科学者連合としてこの国際プラスチック条約に提言されている東京農工大学の高田秀重先生を講師に、プラスチック汚染を解決するための国際ルールの必要性、そして条約に盛り込むべき事項を解説いただきます。

連続ウェビナー・プラスチックの問題を考える2025

第1回 国際プラスチック条約に科学者連合が求めるもの

講師
高田 秀重 氏(東京農工大学教授)
日時
2025年4月17日(木)19:00~20:10
形式
オンライン会議システム形式「Zoom」を使用
参加費
無料
定員
300名(先着順)
お申し込み

こちらから事前申し込みをお願いします。
お申し込みいただいた方に、URL等の詳細をメールにてお知らせします。

また、当日リアルタイムでのご参加がむずかしい場合も、後日アーカイブ動画をお送りしますので、ぜひお申し込みください。

お申し込みはこちら

主催
(公財)日本野鳥の会

講師プロフィール

講師:武本匡弘氏顔写真

高田秀重(たかだ ひでしげ)東京農工大学教授

専門は環境中の人工化学物質の分布と輸送過程の解明。1998年からプラスチックと環境ホルモンの研究を開始し、2005年以来International Pellet Watchを主宰している。2012年から2019年まで、国連の海洋汚染専門家会議のマイクロプラスチックのワーキンググループのメンバー。東京農工大学プラスチック削減5Rキャンパスの推進者の一人。信条は、現場百ぺん、予防原則、No single-use plastic!

過去のウェビナーの録画のご視聴

  • 2021年3月12日に実施した、ウェビナー「見直そう、使い捨て。プラスチックに頼らない持続可能な社会づくり」(講師:原田禎夫氏)の録画を公開しました。
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  • 2021年7月16日に実施した、第2回ウェビナー「海の生きものたちに迫る、プラスチックの脅威」(講師:高砂淳二氏)の録画を公開しました。
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  • 2021年11月19日に実施した、第4回ウェビナー「プラスチックが引き起こす、海鳥と海洋生態系の危機」(講師:高田秀重氏)の録画を公開しました。
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  • 2022年1月21日に実施した、第5回ウェビナー「河川のプラスチックごみの現状と、私たちにできること」(講師:伊藤浩子氏)の録画を公開しました。
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  • 2022年5月27日に実施した、2022年度第1回ウェビナー「海鳥の生態から見た、プラスチックごみ問題」(講師:山本裕)の録画を公開しました。
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  • 2022年10月21日に実施した、2022年度第4回ウェビナー「リユース食器でプラスチックごみを減らそう」(講師:永井寛子氏)の録画を公開しました。
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  • 2023年2月17日に実施した、2022年度第6回ウェビナー「自治体と生活者、企業の協働で進める、プラスチック削減プログラム」(講師:古澤康夫氏)の録画を公開しました。
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  • 2023年9月20日に実施した、2023年度第2回ウェビナー「プラスチック製品に含まれる有害化学物質とは」(講師:木村‐黒田純子氏)の録画を公開しました。
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  • 2023年12月1日に実施した、2023年度第3回ウェビナー「最も危険な海洋プラスチック『ゴーストギア』を防ぐには」(講師:浅井総一郎氏)の録画を公開しました。
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  • 2024年5月31日に実施した、2024年度第一回ウェビナー「海鳥保護の現場から報告~海洋プラスチックの現状と取り組み」(講師:石郷岡卓哉氏)の録画を公開しました。
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  • 2024年11月28日に実施した、2024年度第三回ウェビナー「プラスチックによる海洋汚染の現状と気候変動の問題」(講師:武本匡弘氏)の録画を公開しました。
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  • 2025年4月17日に実施した、2025年度第一回ウェビナー「国際プラスチック条約に科学者連合が求めるもの」(講師:高田秀重氏)の録画を公開しました。
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お問い合わせ:
(公財)日本野鳥の会 自然保護室
電話:03-5436-2633 E-mail: [email protected]
住所:〒141‐0031 東京都品川区西五反田3‐9‐23 丸和ビル

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今年も玉名市横島小学校3年生のツル学習に協力しました(熊本県玉名市)

2025年1月15日

玉名市が用意したバスに乗り、横島干拓へ移動玉名市が用意したバスに乗り、横島干拓へ移動

重要文化財に指定されている旧玉名干拓施設(六枚戸)重要文化財に指定されている
旧玉名干拓施設(六枚戸)

熊本県玉名市の横島小学校では、3年生の皆さんが年間を通して野鳥観察を行っています。玉名横島地区の干拓(横島干拓)へ出かけて行うツルと地域に関する授業は、日本野鳥の会熊本県支部、横島校区まちづくり委員会、横島町文化財保存顕彰会が協力して実施しています。2025年1月15日、「横島干拓でマナヅルを見よう!」というテーマで授業があり、当会とWWFジャパンのスタッフが講師として参加しました。

バスに乗り、はじめに国の重要文化財に指定されている干拓施設を見学しました。戦国時代の武将加藤清正による干拓を手始めに、江戸、明治、大正、昭和と約400年にわたり干拓事業が行われ、かつて海であった場所は広大な農地になりました。明治時代中頃に完成した干拓地の潮受け堤防は、高さ3~6m、長さ5.2kmに及び「海の万里の長城」と称され、貴重な歴史遺産であることから「旧玉名干拓施設」として平成27年度に国の重要文化財に指定されました。この史蹟の外側に、国営事業として横島干拓(623ヘクタール)がつくられ、昭和47年度に入植が始まりました。マナヅルは販売用米が栽培される平成17年頃から飛来数が多くなり、稲刈り後の落穂や二番穂を食べて越冬するようになりました。

横島干拓の歴史や成り立ちについて学んだ後、ツルの飛来地に移動しました。6羽のマナヅルを望遠鏡や双眼鏡で観察していたところ、別の群れが飛んできて合流し、21羽のマナヅルを観察することができました。マナヅルのほか、さまざまな野鳥やハヤブサの狩りのようすを目撃できた子どもたちもいて、地域の自然の豊かさを感じることができたのではないかと思います。

教室での授業では、当会スタッフがナベヅル・マナヅルの生態や国内越冬地の現状、農業との関係についてクイズを行い、WWFジャパンスタッフが繁殖地モンゴルでのマナヅルのようすを紹介しました。初めて見るヒナの姿に、教室のあちこちから「かわいい!」と声が上がっていました。

モンゴルで生まれたマナヅルが、半年後には家族とともに遠く離れたこの地に渡ってくること、横島干拓にはツルたちを受け入れられる素晴らしい環境があることを、いまは気づけなくてもいつの日か、これは貴重で尊いことだとこの体験を思い起こしてくれるといいなと思いました。

マナヅル
マナヅル
飛翔するマナヅル
飛翔するマナヅル
観察中の子どもたちとマナヅルのデコイ
観察中の子どもたちとマナヅルのデコイ
教室での授業の様子
教室での授業の様子

写真:日本野鳥の会熊本県支部 東トミ子、(公財)日本野鳥の会 田尻浩伸、横田智

関連リンク

風力発電関連情報

風力発電に関するオリジナル出版・発行物

当会では、会員の方による調査研究の結果や自然保護に関する総説等を掲載する論文集『Strix』、当会が収集した自然保護資料や自然保護に関する実践・考え方をまとめた『野鳥保護資料集』を発行しています。

その中から、風力発電に関連する情報が掲載されているものをご紹介します。

Strix(ストリクス:野外鳥類学論文集)

『Strix』のページを見る

野鳥保護資料集

『野鳥保護資料集』のページを見る

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